JP3697787B2 - 水切り付調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライス刃によって野菜等のスライスを作るためのスライサー、あるいはスライス刃の前方に縦切り刃を有して野菜等の千切りを形成するための千切り器等の調理器に関し、特にスライスをボール内の水によってさらす場合に使用するのに適した水切り付調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
玉ねぎやきゅうり等のスライスを作るための、調理基板の中央にスライス刃を設けたスライサーと呼ばれる調理器はよく知られている。玉ねぎのような野菜については、これを暫く水に漬けてさらすと、サラダ等として食するのに適したものになる。そこで、この種のスライサーである従来の調理器は、一旦玉ねきをボールの内にスライスしておき、このボール内に水を加えてさらし、その後に水を切ってさらしスライスを形成するようにしていた。
【0003】
このような水切り方法であると、水切り時に手を添えるか、何か水切りに適したものをボールに当てなければならない。手を添える方法では、特に冬期ではつめたいし、何かを用意することは面倒である。また、ボール上にスライサーを載せてスライス作業を行う場合に、スライサーには力が加わるから、これがボールからズレてしまって作業がしづらいということがあった。以上のことは、スライス刃の前方に縦切り刃を有して野菜等の千切りを形成するための千切り器等の調理器においても同様である。
【0004】
本発明者等は、以上のような調理器の不安定さを解消して、水切りが簡単に行えるようにするにはどうしたらよいかについて種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のように実状に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、ボール上でのスライス作業等が安定的に行えて、しかもさらし水の水切りをも簡単に行えるようにすることである。
【0006】
すなわち、本発明の目的とするところは、ボール上に載置してスライス作業を行うに際して、そのスライス作業等を安定した状態で行うことができ、しかもボールに載置したままの状態でさらし水の水切りを簡単に行うことのできるスライサー等の調理器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明の採った手段は、以下の実施の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「調理基板10の略中央にスライス刃11を設けて、このスライス刃11に対してスライスしたい野菜等を調理基板10上を移動させることにより、野菜等のスライスを形成するための調理器において、
調理基板10の少なくとも一側に、スライスを収納するボール40の一部内側に配置し得て、多数の水切り孔21を有する水切り20を一体的に形成するとともに、
ボール40の開口縁41に係合し得る円弧状の係合突条30を、半径が異なる複数のものとして、調理基板10の裏面に一体的に形成したことを特徴とする水切り付調理器100」
である。
【0008】
すなわち、この水切り付調理器100は、その調理基板10の一側に、これをボール40の開口縁41に当ててボール40内の水切りを行うのに使用する水切り20を有するとともに、調理基板10の裏面側にボール40の開口縁41に係合する係合突条30を一体的に形成して、野菜等のスライス等を安定的に形成するようにしたものである。
【0009】
なお、この水切り付調理器100の係合突条30は、当該水切り付調理器100をボール40の開口縁41に係合させるためだけに使用されるものである。
【0010】
この水切り付調理器100は、次のようにして使用される。すなわち、まず、図1あるいは図3に示すように、当該水切り付調理器100をボール40の上面に載置するとともに、その裏面に形成してある係合突条30をボール40の開口縁41に係合させる。このとき、ボール40内にさらし水を張っておいてもよいし、スライス作業完了時にボール40内にさらし水を加えてもよい。
【0011】
以上のようにしておいて、スライス作業を始めるのであるが、当該水切り付調理器100はその係合突条30によりボール40の開口縁41に係合しているのであるから、スライス作業時にボール40から簡単に外れることはない。勿論、ボール40は不安定なものであるから、調理基板10の取手13を持つ手でこのボール40の開口縁41を同時に押えながら、スライス作業を行うとよい。
【0012】
さて、玉ねぎ等の野菜を、調理基板10上を往復移動させれば、この調理基板10の略中央に設けてあるスライス刃11によってスライスが形成されることは、従来のスライサーと同様である。また、以下の実施例2に係る調理器100では、スライス刃11の前方に縦切刃12が形成してあるから、この調理器100によって所謂「千切り」野菜が形成される。
【0013】
スライスまたは千切りされた野菜は、ボール40内に貯められるのであるが、これはボール40内に予め張っておいた、あるいはスライス作業等の後に入れたさらし水によってさらされる。所定時間さらした後に水切りを行われなければならないが、この水切りは、当該水切り付調理器100をボール40上に載置したまま行えばよい。何故なら、この水切り付調理器100によれば、図1または図6に示したように、その調理基板10に水切り20が一体的に形成してあるから、この水切り20側にボール40を傾斜させれば、水切り20の各水切り孔21からさらし水のみが排出されるからである。
【0014】
従って、この水切り付調理器100によれば、その係合突条30によってボール40に対する安定化が行えるのであり、水でスライス等をさらした後には、この水切り付調理器100をボール40に載置したまま水切り20側に傾斜させれば、手をそえたり他の水切り具を用意しなくても、さらし水の水切りが行えるのである。
【0015】
また、この水切り付調理器100の係合突条30は円弧状のものとしてある。これにより、この水切り付調理器100においては、その係合突条30がボール40の開口縁41に広い部分で係合することになり、また係合箇所の選択も大きな自由度を以て行えるため、ボール40上に対する安定的載置をより一層確実に行えるのである。
【0016】
さらに、この水切り付調理器100は、その円弧状の係合突条30を、半径の異なる複数種類のものとしたことである。これにより、この水切り付調理器100では、ボール40の大きさが異なっても、これに合った係合突条30にその開口縁41を係合させることができて、当該水切り付調理器100のボール40上に対する安定的載置の為の選択を行うことができるのである。この場合、実施形態の水切り付調理器100では、径の異なる各係合突条30の円弧の中心を、調理基板10の中心と略一致させてあるので、各係合突条30の選択によって、水切り20がボール40から大きくズレてしまうことはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を、図面に示した実施の形態である水切り付調理器100について説明する。また、実施形態の水切り付調理器100では、単なる「スライス」のみを行う実施例1のものと、これを基本にしながら「千切り」を行う実施例2のものとの2種類があるので、順に説明していくこととする。
【0018】
(実施例1)
図1〜図5には、本発明の実施例1に係る水切り付調理器100が示してあって、この水切り付調理器100は、調理基板10の略中央にスライス刃11を設けて、このスライス刃11に対してスライスしたい野菜等を調理基板10上を移動させることにより、野菜等のスライスを形成するためのものである。
【0019】
そして、この水切り付調理器100は、特に図1〜図3に示したように、調理基板10の一側に半月状の水切り20を一体的にしたものであり、この水切り20には縦方向の長穴として形成した多数の水切り孔21を有しているものである。本実施形態の水切り付調理器100における水切り20は、長さが約210mmで幅が約100mmの調理基板10に対して、この調理基板10の中心から半径が90mm程度の半月状のものとしたものであり、調理基板10の反対側の側縁には形成していないものである。また、各水切り孔21は、幅が約3mmの長孔として形成したものであり、水切り20の半月状態にあわせてその長さを調整してある。
【0020】
なお、この水切り20には、調理基板10の両側に一体的に形成して実施してもよいものであり、その場合には、次に述べる各係合突条30のように、その半径を変えて実施すると、径の異なるボール40に対しての水切りとして適用することが出来るから有利である。勿論、各水切り孔21は、実施形態におけるような長孔だけでなく、所謂網目状(格子状)のものとして実施してもよい。
【0021】
さて、調理基板10の裏面には、図3にて示したように、複数の係合突条30が一体的に形成してある。これら各係合突条30は、本実施形態の水切り付調理器100では円形のボール40の開口縁41に係合させることを主眼としているので、円弧状のものとして形成してある。
【0022】
また、本実施形態における水切り付調理器100の係合突条30においては、図3にも示したように、複数種類の半径を有するものとしてあり、調理基板10の略中心を中心として、半径約70mm、90mm及び100mmの3種類のものをそれぞれ左右一対用意したものである。
【0023】
なお、このような水切り付調理器100は、手で持ってスライス作業をするものであるから、その調理基板10の一端に手で握り易い形状の取手13が形成してある。また、このような取手13、調理基板10、水切り20及び各係合突条30は合成樹脂を材料として一体成形したものである。
【0024】
(実施例2)
図6〜図10には、本発明の実施例2に係る水切り付調理器100が示してあり、この水切り付調理器100は、そのスライス刃11の前方に位置する調理基板10に、野菜のスライスする面に縦方向の切目を入れるための縦切刃12を有している以外は、前述した実施例1の水切り付調理器100を全く同様の構成を有したものである。
【0025】
すなわち、縦切刃12が縦方向の切目を入れるものであることによって、スライス刃11でスライスされた野菜は、所謂「千切り」された細い糸状のものとなるのであり、刺身の「つま」等に利用される大根の千切りを形成することができるものである。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、請求項1に係る発明においては、上記実施形態において例示した如く、
「調理基板10の略中央にスライス刃11を設けて、このスライス刃11に対してスライスしたい野菜等を調理基板10上を移動させることにより、野菜等のスライスを形成するためのスライサーにおいて、
調理基板10の少なくとも一側に、スライスを収納するボール40の一部内側に配置し得て、多数の水切り孔21を有する水切り20を一体的に形成するとともに、
ボール40の開口縁41に係合し得る円弧状の係合突条30を、半径が異なる複数のものとして、調理基板10の裏面に一体的に形成したこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、ボール上に載置してスライス作業を行うに際して、そのスライス作業を安定した状態で行うことができ、しかもボールに載置したままの状態でさらし水切りを簡単に行うことができるのである。
【0027】
また、この水切り付調理器100においては、係合突条30を円弧状のものとしたことにその構成上の特徴があり、これにより、円弧状の開口縁41を有するボール40に載置するとき、その固定をより一層確実に行うことができる。
【0028】
さらに、この水切り付調理器100においては、係合突条30を異なる半径を有する複数種類のものとしたことにその特徴があり、これにより、径の異なる複数種類のボール40に適用することができて、使用上の汎用性の高い水切り付調理器100とすることができるのである。
【0029】
従って、本発明に係る水切り付調理器100によれば、この種のスライサーである従来の調理器における不都合を完全に解消したことになる。従来のスライサーでは、一旦玉ねきをボールの内にスライスしておき、このボール内に水を加えてさらし、その後に水を切ってさらしスライスを形成するようにしていたのであるが、このような水切り方法であると、水切り時に手を添えるか、何か水切りに適したものをボールに当てなければならなかった。
【0030】
従来の手を添える方法では、特に冬期ではつめたいし、何かを用意することは面倒であったのであるが、本発明の水切り付調理器100によれば、半月状の水切り20が手を添えなくても水切りを可能にするから、手を添えたり何かを用意する必要がなくなったのである。また、従来のスライサーのように、ボール上に載せてスライス作業を行う場合に、スライサーには力が加わるから、これがボールからズレてしまって作業がしづらいということがあったが、本発明の水切り付調理器100によれば、係合突条30がボール40に 係合するから、作業がし易くなったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る水切り付調理器の使用状態を示す斜視図である。
【図2】同水切り付調理器の拡大平面図である。
【図3】同水切り付調理器の座面図である。
【図4】同水切り付調理器を側方から示すもので、(イ)は水切り付調理器の中央線に沿ってみた縦断面図、(ロ)は側面図である。
【図5】同水切り付調理器の正面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る水切り付調理器の使用状態を示す斜視図である。
【図7】同水切り付調理器の拡大平面図である。
【図8】同水切り付調理器の座面図である。
【図9】同水切り付調理器を側方から示すもので、(イ)は水切り付調理器の中央線に沿ってみた縦断面図、(ロ)は側面図である。
【図10】同水切り付調理器の正面図である。
【符号の説明】
100 水切り付調理器
10 調理基板
11 スライス刃
12 縦切刃
13 取手
20 水切り
21 水切り孔
30 係合突条
40 ボール
41 開口縁
Claims (1)
- 調理基板の略中央にスライス刃を設けて、このスライス刃に対してスライスしたい野菜等を前記調理基板上を移動させることにより、野菜等のスライスを形成するための調理器において、
前記調理基板の少なくとも一側に、スライスを収納するボールの一部内側に配置し得て、多数の水切り孔を有する水切りを一体的に形成するとともに、
前記ボールの開口縁に係合し得る円弧状の係合突条を、半径が異なる複数のものとして、前記調理基板の裏面に一体的に形成したことを特徴とする水切り付調理器。
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-
1996
- 1996-08-30 JP JP22954996A patent/JP3697787B2/ja not_active Expired - Fee Related
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