JP3697566B2 - 工作機械の主軸装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は工作機械の主軸装置、たとえば高速で回転する主軸を備えたマシニングセンタの主軸装置に関する。
【0002】
この明細書において、主軸先端側、すなわち図1、図4および図7の左側を前、これと反対側を後というものとする。
【0003】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
マシニングセンタの主軸装置として、先端に工具が取付けられる中空状主軸と、主軸内に主軸に対して回転しないが軸方向に移動しうるように同軸上に配され、かつ軸方向の移動により主軸先端への工具の着脱を行うドローバーとを備えたものが知られている。この主軸装置においては、ドローバーは、その軸方向に間隔をおいた複数箇所において、主軸の内周面に案内されて軸方向に移動するようになっている。
【0004】
しかしながら、このような主軸装置においては、主軸およびドローバーの製作性、ならびに主軸装置の組立作業性を向上させるため、ドローバーが主軸により案内される箇所において、主軸の内周面とドローバーの外周面との間に隙間が存在することは不可避である。したがって、主軸およびドローバーを含む回転系が回転した場合に、ドローバーが上記隙間の分だけラジアル方向にがたついてその重心が主軸回転中心軸線上から外れることになる。その結果、上記回転系の重心が主軸の回転中心軸線上からずれて回転中に振動が生じ、その結果加工精度が低下するという問題がある。しかも、回転時には、主軸およびドローバーが遠心力により膨張するが、その膨張量は主軸の方がドローバーよりも大きいので、主軸の案内部とドローバーの外周面との間の隙間が一層大きくなり、上記問題が著しくなる。
【0005】
この発明の目的は、上記問題を解決し、主軸の回転中のドローバーのがたつきを防止するとともに、主軸に振動が生じることを防止し、これにより加工精度を高めることのできる工作機械の主軸装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
請求項1の発明による工作機械の主軸装置は、先端に工具が取付けられる中空状主軸と、主軸内に主軸に対して回転しないが軸方向に移動しうるように同軸上に配され、かつ軸方向の移動により主軸先端への工具の着脱を行うドローバーとを備えた工作機械の主軸装置であって、ドローバーの周囲にはめ被せられ、かつ径方向に弾性変形する弾性変形部分を有するブッシュと、ドローバーに設けられかつブッシュの弾性変形部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付ける押圧手段とを備えており、ブッシュが、ドローバーの後端部の周囲に固定状にはめ被せられかつ押圧手段により径方向外方に弾性変形させられる薄肉部分を備えており、押圧手段が、ドローバーの後端面から前方に伸びるように周方向に等間隔をおいて形成された複数のねじ穴にねじはめられる押圧ねじと、ドローバーの周面から径方向内方に伸びるように形成されかつ先端がねじ穴に臨む複数の貫通穴内に、ドローバーの径方向に移動しうるようにはめ入れられた押し子とよりなり、押圧ねじがねじ穴にねじはめられて前方に移動することにより押し子が押圧ねじの先端に押されてドローバーの径方向外方に移動し、押し子に押されてブッシュの薄肉部分が径方向外方に弾性変形するようになされているものである。
【0007】
請求項1の発明によれば、押圧手段によりブッシュの弾性変形部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付けておくことにより、主軸およびドローバーの回転時におけるドローバーのラジアル方向へのがたつきが防止される。しかも、ドローバーのラジアル方向のがたつきに起因する主軸およびドローバーを含む回転系の主軸回転中心軸線上からのずれが防止され、その結果主軸およびドローバーの回転中の振動発生が防止される。したがって、加工精度を向上させることができる。また、押圧手段によるブッシュの弾性変形部の径方向外方への弾性変形量を適当に調節することにより、主軸およびドローバーの回転時に、遠心力による主軸の膨張量が遠心力によるドローバーの膨張量よりも大きくなったさいにも、主軸およびドローバーの回転時におけるドローバーのラジアル方向へのがたつきが防止される。
【0008】
また、主軸装置の組立作業において、ドローバーおよびブッシュの主軸への挿入時には、ブッシュの外周面と主軸外周面との間に隙間を存在させておくことができるので、挿入作業を簡単に行うことができる。しかも、ドローバー、ブッシュおよび主軸の製作時には、高い加工精度は要求されないので、これらの製作作業が簡単になる。
【0009】
さらに、請求項1の発明による工作機械の主軸装置において、ブッシュが、ドローバーの後端部の周囲に固定状にはめ被せられかつ押圧手段により径方向外方に弾性変形させられる薄肉部分を備えており、押圧手段が、ドローバーの後端面から前方に伸びるように周方向に等間隔をおいて形成された複数のねじ穴にねじはめられる押圧ねじと、ドローバーの周面から径方向内方に伸びるように形成されかつ先端がねじ穴に臨む複数の貫通穴内に、ドローバーの径方向に移動しうるようにはめ入れられた押し子とよりなり、押圧ねじがねじ穴にねじはめられて前方に移動することにより押し子が押圧ねじの先端に押されてドローバーの径方向外方に移動し、押し子に押されてブッシュの薄肉部分が径方向外方に弾性変形するようになされているので、比較的簡単な構造で、主軸およびドローバーの回転時におけるドローバーのラジアル方向へのがたつきを防止することができる。
【0010】
また、この場合、次のようにして主軸装置が組立てられる。すなわち、まずブッシュの厚肉部分をドローバーの後端部の周囲に固定状にはめ被せることによりブッシュをドローバーに固定した後、ドローバーを主軸内に挿入する。このとき、ブッシュの厚肉部分および薄肉部分の外周面と主軸内周面との間には隙間を存在させておくことができるので、ブッシュが固定されたドローバーの主軸内への挿入を簡単に行うことができる。ついで、押圧ねじをねじ穴にねじはめて前方に移動させることにより、その先端で押し子を押してドローバーの径方向外方に移動させ、押し子によりブッシュの薄肉部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付け、ブッシュと主軸との間の隙間をなくす。こうして、主軸装置が組立てられる。したがって、主軸装置の組立作業が比較的簡単になる。
【0011】
請求項2の発明による工作機械の主軸装置は、先端に工具が取付けられる中空状主軸と、主軸内に主軸に対して回転しないが軸方向に移動しうるように同軸上に配され、かつ軸方向の移動により主軸先端への工具の着脱を行うドローバーとを備えた工作機械の主軸装置であって、ドローバーの周囲にはめ被せられ、かつ径方向に弾性変形する弾性変形部分を有するブッシュと、ドローバーに設けられかつブッシュの弾性変形部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付ける押圧手段とを備えており、ブッシュの弾性変形部分の内周面が前方に向かって漸次大径となされたテーパ面であり、ドローバーにおけるブッシュがはめ被せられた部分の外周面が後方に向かって漸次小径となされたテーパ面であり、押圧手段が、ブッシュの後側に前後方向に移動自在に配置された押え蓋と、後方から押え蓋を貫通しかつドローバーの後端面に形成されたねじ穴にねじはめられるボルトとよりなり、ボルトがねじ穴にねじはめられることにより押え蓋が前方に移動し、これによりブッシュがドローバーに対して前方に移動させられるとともに、両テーパ面の働きによりブッシュの弾性変形部分が径方向外方に弾性変形するようになされているものである。
請求項2の発明によれば、押圧手段によりブッシュの弾性変形部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付けておくことにより、主軸およびドローバーの回転時におけるドローバーのラジアル方向へのがたつきが防止される。しかも、ドローバーのラジアル方向のがたつきに起因する主軸およびドローバーを含む回転系の主軸回転中心軸線上からのずれが防止され、その結果主軸およびドローバーの回転中の振動発生が防止される。したがって、加工精度を向上させることができる。また、押圧手段によるブッシュの弾性変形部の径方向外方への弾性変形量を適当に調節することにより、主軸およびドローバーの回転時に、遠心力による主軸の膨張量が遠心力によるドローバーの膨張量よりも大きくなったさいにも、主軸およびドローバーの回転時におけるドローバーのラジアル方向へのがたつきが防止される。
また、主軸装置の組立作業において、ドローバーおよびブッシュの主軸への挿入時には、ブッシュの外周面と主軸外周面との間に隙間を存在させておくことができるので、挿入作業を簡単に行うことができる。しかも、ドローバー、ブッシュおよび主軸の製作時には、高い加工精度は要求されないので、これらの製作作業が簡単になる。
さらに、請求項2の発明による工作機械の主軸装置において、ブッシュの弾性変形部 分の内周面が前方に向かって漸次大径となされたテーパ面であり、ドローバーにおけるブッシュがはめ被せられた部分の外周面が後方に向かって漸次小径となされたテーパ面であり、押圧手段が、ブッシュの後側に前後方向に移動自在に配置された押え蓋と、後方から押え蓋を貫通しかつドローバーの後端面に形成されたねじ穴にねじはめられるボルトとよりなり、ボルトがねじ穴にねじはめられることにより押え蓋が前方に移動し、これによりブッシュがドローバーに対して前方に移動させられるとともに、両テーパ面の働きによりブッシュの弾性変形部分が径方向外方に弾性変形するようになされているので、比較的簡単な構造で、主軸およびドローバーの回転時におけるドローバーのラジアル方向へのがたつきを防止することができる。
【0012】
また、この場合、次のようにして主軸装置が組立てられる。すなわち、まずドローバーを主軸内に挿入する。このとき、ドローバーの外周面と主軸の内周面との間には比較的大きな隙間を存在させておくことができるので、この挿入作業を簡単に行うことができる。ついで、ドローバーの周囲にその後方からブッシュをはめ被せた後押え蓋を配置し、押え蓋に貫通させたボルトをねじ穴にねじはめる。すると、押え蓋が前方に移動するとともに、押え蓋に押されてブッシュが前方に移動する。すると、ブッシュおよびドローバーのテーパ面の働きによりブッシュの弾性変形部分が径方向外方に弾性変形して、主軸内周面に押付けられる。こうして、主軸装置が組立てられる。したがって、主軸装置の組立作業が比較的簡単になる。
【0013】
請求項3の発明による工作機械の主軸装置は、先端に工具が取付けられる中空状主軸と、主軸内に主軸に対して回転しないが軸方向に移動しうるように同軸上に配され、かつ軸方向の移動により主軸先端への工具の着脱を行うドローバーとを備えた工作機械の主軸装置であって、ドローバーに大円柱部が設けられ、大円柱部の端面に環状みぞが全周にわたって形成され、大円柱部における環状みぞの径方向外側部分が径方向に弾性変形可能な弾性変形部分となされ、弾性変形部分の径方向内側に、主軸およびドローバーが回転したさいの遠心力により径方向外方に移動して弾性変形部分を押圧し、これにより弾性変形部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付ける押圧手段が設けられているものである。
【0014】
請求項3の発明の工作機械の主軸装置によれば、主軸およびドローバーが回転すると、遠心力により押圧手段が径方向外方に移動して弾性変形部分を押圧し、これにより弾性変形部分が径方向外方に弾性変形して主軸内周面に押付けられるので、主軸およびドローバーの回転時におけるドローバーのラジアル方向へのがたつきが防止される。しかも、ドローバーのラジアル方向のがたつきに起因する主軸およびドローバーを含む回転系の主軸回転中心軸線上からのずれが防止され、その結果主軸およびドローバーの回転中の振動発生が防止される。したがって、加工精度を向上させることができる。また、主軸およびドローバーの回転時の弾性変形部分の径方向外方への弾性変形量は、ドローバーの遠心力による膨張量よりも大きくなるので、主軸およびドローバーの回転時に、遠心力による主軸の膨張量が遠心力によるドローバーの膨張量よりも大きくなったさいにも、ドローバーのラジアル方向へのがたつきが防止される。また、主軸およびドローバーの停止時には、ドローバーの弾性変形部分の主軸への押付けが解除されるので、ドローバーの軸方向の移動による主軸先端への工具の着脱をスムーズに行うことができる。
【0015】
さらに、主軸装置の組立作業において、ドローバーおよびブッシュの主軸への挿入時には、ドローバーの外周面と主軸外周面との間に隙間を存在させておくことができるので、この挿入を簡単に行うことができる。しかも、ドローバーおよび主軸の製作時には、高い加工精度は要求されないので、これらの製作作業が簡単になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
実施形態1
この実施形態は図1〜図3に示すものである。
【0018】
図1において、中空状主軸(1)の前部の複数箇所と後部の複数箇所が転がり軸受(2)により厚肉円筒状の固定ハウジング(3)に対して回転自在に支持されている。転がり軸受(2)としては、たとえば深みぞ玉軸受、アンギュラ玉軸受、円すいころ軸受など、ラジアル荷重と少なくとも一方向のスラスト荷重を受けるものが用いられる。なお、図1において、軸受(2)およびその取付け構造の詳細は省略されている。ハウジング(3)は主軸頭あるいは主軸台などの機械本体(4)に固定されている。ハウジング(3)内の前側の軸受(2)と後側の軸受(2)との間の部分に、主軸(1)を回転させるための駆動装置であるビルトイン型の電動機(5)が設けられている。電動機(5)は、主軸(1)の外周に設けられたロータ(5a)と、その周囲のハウジング(3)の内周に設けられたステータ(5b)とから構成されている。
【0019】
主軸(1)内に、前後方向に伸びるドローバー(6)が、主軸(1)に対して回転しないが軸方向に移動しうるように同軸上に配置されている。主軸(1)内の前端部に、工具(図示略)を保持しかつ主軸(1)前端に形成されたテーパ穴(1a)内にはめ入れられた工具ホルダ(7)の着脱を行う工具着脱装置(8)が設けられている。工具着脱装置(8)は、主軸(1)内にねじはめられた固定部材(8a)と、ドローバー(6)の前端部にねじはめられ、かつ固定部材(8a)に対して前後方向に移動しうる可動部材(8b)と、両部材(8a)(8b)間に配置された複数のボール(8c)とよりなり、可動部材(8b)が固定部材(8a)に対して後方に移動することにより、ボール(8c)の働きによって工具ホルダ(7)が主軸(1)前端に固定され、これとは逆に可動部材(8b)が固定部材(8a)に対して前方に移動することにより、ボール(8c)の働きによって工具ホルダ(7)が主軸(1)前端から解放される。
【0020】
ドローバー(6)の後端部に、他の部分よりも外径の大きい大円柱部(6a)が設けられている。ドローバー(6)の大円柱部(6a)の外径は主軸(1)の内径よりも小さくなっており、ここに所定寸法の隙間が形成されている。。ドローバー(6)の後端部の周囲にブッシュ(12)がはめ被せられている。ブッシュ(12)は、ドローバー(6)における大円柱部(6a)の前側部分に締まりばめされてドローバー(6)に固定された厚肉部分(12a)と、厚肉部分(12a)の後端の外周部に一体に形成されて後方に突出しかつ大円柱部(6a)外周面と主軸(1)内周面との間の隙間に位置する薄肉部分(12b)とよりなる。図2および図3に示すように、薄肉部分(12b)には、その後端から前方に伸びる複数のスリット(13)が周方向に等間隔をおいて形成されている。これにより、薄肉部分(12b)は径方向に弾性変形するようになっている。薄肉部分(12b)の後端は、ドローバー(6)の大円柱部(6a)の外周面に形成された段付き部(6b)に当接している。
【0021】
図2および図3に示すように、ドローバー(6)の大円柱部(6a)には、その後端面から前方にのびる複数のねじ穴(14)が周方向に等間隔をおいて形成されている。スリット(13)の位置とねじ穴(14)の位置とは、周方向に関してずれている。ねじ穴(14)に、前端面が円錐状とされた押圧ねじ(15)がねじはめられている。また、ドローバー(6)の大円柱部(6a)には、その外周面から径方向内方に伸びかつ先端がねじ穴(14)の先端部に臨むねじ穴(14)と同数の貫通穴(16)が形成されている。貫通穴(16)内には、ピン状の押し子(17)が摺動自在にはめ入れられている。押し子(17)の内端部はねじ穴(14)内に位置している。また、押し子(17)の内端面は円錐状とされ、外端面は凸球面状とされている。そして、押圧ねじ(15)が前方に移動すると、押圧ねじ(15)の端面に押されて押し子(17)が径方向外方に移動し、押し子(17)に押されてブッシュ(12)の薄肉部分(12b)が径方向外方に弾性変形させられ、これにより薄肉部分(12b)が主軸内周面に押付けられる。
【0022】
なお、ブッシュ(12)のスリット(13)の位置および大きさ、ドローバー(6)のねじ穴(14)の位置および大きさ、押圧ねじ(15)の質量、貫通穴(16)の位置および大きさ、ならびに押し子(17)の質量は、ブッシュ(12)を含んだドローバー(6)の重心が、主軸(1)の回転中心軸線上からずれないようなものとなされている。
【0023】
主軸(1)内周面の前側部分に段付き部(1b)が形成されている。ドローバー(6)におけるブッシュ(12)の厚肉部分(12a)の前端面と段付き部(1b)との間に存在する部分の前端部および前後の中間部の周囲に、それぞれ環状ばね受け部材(9)が前後方向に移動自在にはめ被せられている。前側のばね受け部材(9)と後側のばね受け部材(9)との間、および後側のばね受け部材(9)とブッシュ(12)の厚肉部分(12a)との間に、それぞれドローバー(6)を後方に付勢する複数の皿ばね(10)が配置されている。また、ドローバー(6)は、ハウジング(3)の後端部に設けられた油圧シリンダのピストン(11)により皿ばね(10)の付勢力に抗して前進させられるようになっている。そして、ドローバー(6)が皿ばね(10)により後方に付勢されて後退することにより、工具着脱装置(8)によって工具ホルダ(7)が主軸(1)前端に固定され、油圧シリンダのピストン(11)により押されて前進することによって工具ホルダ(7)が主軸(1)前端から解放されるようになっている。
【0024】
実施形態1の主軸装置において、ドローバー(6)に固定されたブッシュ(12)の薄肉部分(12b)が径方向外方に弾性変形させられて主軸(1)内周面に押し付けられているので、主軸(1)およびドローバー(6)の回転時のドローバー(6)のラジアル方向へのがたつきが防止される。しかも、ドローバー(6)のラジアル方向のがたつきに起因する主軸(1)およびドローバー(6)を含む回転系の主軸(1)の回転中心軸線上からのずれが防止され、その結果主軸(1)およびドローバー(6)の回転中の振動発生が防止される。したがって、回転中に振動が発生することが防止され、その結果加工精度を向上させることができる。
【0025】
実施形態2
この実施形態は、図4〜図6に示すものである。
【0026】
この実施形態の場合、ドローバー(6)の後端部に、外径が主軸(1)内周面の内径よりも若干小さい大円柱部(6c)と、大円柱部(6c)の後端に一体に形成されるとともに大端径が大円柱部(6c)の外径よりも小さくなされ、かつ外周面が後方に向かって漸次小径となされたテーパ面(20)であるテーパ部(6d)と、テーパ部(6d)の後端に一体に形成されるとともに外径がテーパ部(6d)の小端径よりも小さい小円柱部(6e)とが設けられている。
【0027】
ドローバー(6)のテーパ部(6d)の周囲にブッシュ(21)が、その後端部がテーパ部(6d)よりも後方に突出するように、はめ被せられている。ブッシュ(21)の内周面における後端部を除いた部分は、後方に向かって漸次小径となされたテーパ面(22)となっている。ブッシュ(21)、その前端から後方に伸びかつテーパ面(21)とほぼ等しい長さの複数のスリット(23)が周方向に等間隔をおいて形成されており、ブッシュ(21)におけるテーパ面(22)が存在する部分が、径方向に弾性変形する弾性変形部分(21a)となされている。
【0028】
また、テーパ部(6d)には、その後端面から前方にのびる複数のねじ穴(24)が周方向に等間隔をおいて形成されている。小円柱部(6e)の周囲にカラー(25)がはめ被せられている。カラー(25)には、前後方向に伸びる複数の貫通穴(26)が周方向に等間隔をおいて、ねじ穴(24)と対応するように形成されている。主軸(1)の後端部内に押え蓋(27)が前後方向に移動自在にはめられている。押え蓋(27)の前面中央部に凹所(27a)が形成され、この凹所(27a)内に、ドローバー(6)の小円柱部(6e)が前後方向に移動自在にはまっている。また、押え蓋(27)には、前後方向に伸びる複数の貫通穴(28)が周方向に等間隔をおいて、ねじ穴(24)および貫通穴(26)と対応するように形成されている。そして、押え蓋(27)およびカラー(25)の貫通穴(28)(26)に後方から通されたボルト(29)がテーパ部(6d)のねじ穴(24)にねじはめられることによって押え蓋(27)が前方に移動し、これに押されたブッシュ(21)が前方に移動し、その結果テーパ部(6d)およびブッシュ(21)のテーパ面(20)(22)の働きによりブッシュ(21)の弾性変形部分(21a)が径方向外方に弾性変形して主軸(1)内周面に押付けられる。ここで、ブッシュ(21)の弾性変形部分(21a)の弾性変形量は、カラー(25)の軸方向の長さを変更し、これにより押え蓋(27)の移動量を調節することによって変更することができるので、製作誤差によりブッシュ(21)の外周面と主軸(1)との隙間の大きさが変わった場合にも、弾性変形部分(21a)の弾性変形量を変更してを適切な強さの力で主軸(1)内周面に押付けることが可能になる。
【0029】
なお、ブッシュ(21)のスリット(23)の位置および大きさ、ドローバー(6)のテーパ部(6d)のねじ穴(24)の位置および大きさ、カラー(25)および押え蓋(27)の貫通穴(26)(28)の位置および大きさ、ならびにボルト(29)の質量は、ブッシュ(21)を含んだドローバー(6)の重心が、主軸(1)の回転中心軸線上からずれないようなものとなされている。
【0030】
ドローバー(6)は、油圧シリンダのピストン(11)により押え蓋(27)を押圧することによって、皿ばね(10)の付勢力に抗して前進させられるようになっている。そして、ドローバー(6)が皿ばね(10)により後方に付勢されて後退することにより、工具着脱装置(8)によって工具ホルダ(7)が主軸(1)前端に固定され、油圧シリンダのピストン(11)により押されて前進することによって工具ホルダ(7)が主軸(1)前端から解放されるようになっている。
【0031】
この実施形態2の主軸装置におけるその他の構成は、上述した実施形態1の主軸装置と同様であり、同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0032】
実施形態2の主軸装置において、ブッシュ(21)の弾性変形部分(21a)が径方向外方に弾性変形させられて主軸(1)内周面に押し付けられているので、主軸(1)およびドローバー(6)の回転時のドローバー(6)のラジアル方向へのがたつきが防止される。しかも、ドローバー(6)のラジアル方向のがたつきに起因する主軸(1)およびドローバー(6)を含む回転系の主軸(1)の回転中心軸線上からのずれが防止され、その結果主軸(1)およびドローバー(6)の回転中の振動発生が防止される。したがって、回転中に振動が発生することが防止され、その結果加工精度を向上させることができる。
【0033】
実施形態3
この実施形態は、図7〜図9に示すものである。
【0034】
この実施形態の場合、ドローバー(6)の後端部に、外径が主軸(1)の内径よりも若干小さい大円柱部(6f)が一体に形成されている。大円柱部(6f)の前端面に環状みぞ(30)が全周にわたって形成されている。大円柱部(6f)における環状みぞ(30)の外側部分に、その前端から後方に伸びる複数のスリット(33)が周方向に等間隔をおいて形成されており、この部分に径方向に弾性変形する弾性変形部分(31)が設けられている。環状みぞ(30)内に、主軸(1)およびドローバー(6)が回転したさいの遠心力により径方向外方に移動して弾性変形部分(31)を押圧し、これにより弾性変形部分(31)を径方向外方に弾性変形させる質量の等しい複数の円弧状ウェイト(32)(押圧手段)が入れられている。
【0035】
なお、ここでは、ドローバー(6)における大円柱部(6f)と段付き部(1b)との間に存在する部分の後端部にも、環状ばね受け部材(9)が前後方向に移動自在にはめ被せられている。これにより、ウェイト(32)が前方に移動してその一部分が環状みぞ(30)から前方に突出することが防止されており、その結果主軸(1)およびドローバー(6)の回転時の径方向外方への移動が常に支障なく行われるようになっている。
【0036】
この実施形態3の主軸装置におけるその他の構成は、上述した実施形態1の主軸装置と同様であり、同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0037】
実施形態3の主軸装置において、電動機(5)により主軸(1)が回転させられると、主軸(1)とともにドローバー(6)および各ウェイト(32)も回転する。各ウェイト(32)は、この回転により発生する遠心力によって環状みぞ(30)内で径方向外方に移動しようとして大円柱部(6f)の弾性変形部分(31)を径方向外方に押圧する。すると、弾性変形部分(31)が径方向外方に弾性変形させられて主軸(1)の内周面に押付けられ、ドローバー(6)のラジアル方向へのがたつきが防止される。しかも、各ウェイト(32)の質量は等しいので、各ウェイト(32)から弾性変形部分(31)に作用する力が全周にわたって等しくなり、主軸(1)およびドローバー(6)を含む回転系の重心が主軸(1)の回転中心軸線上に位置することになる。したがって、回転中に振動が発生することが防止され、その結果加工精度を向上させることができる。
【0038】
一方、主軸(1)およびドローバー(6)の停止時には、ウェイト(32)から弾性変形部分(31)に作用する力がなくなり、弾性変形部分(31)を主軸(1)内周面に押付ける力がなくなるので、ドローバー(6)の主軸(1)への固定が解除される。したがって、ドローバー(6)の軸方向の移動による主軸(1)前端への工具の着脱をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態1の主軸装置を示す縦断面図である。
【図2】 実施形態1の主軸装置の後部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】 図2のIII−III線断面図である。
【図4】 この発明の実施形態2の主軸装置の後部を示す縦断面図である。
【図5】 実施形態2の主軸装置の後部を拡大して示す縦断面図である。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【図7】 この発明の実施形態3の主軸装置を示す縦断面図である。
【図8】 実施形態3の主軸装置の後部を拡大して示し、主軸が回転している状態の縦断面図である。
【図9】 図8のIX−IX線断面図である。
【符号の説明】
(1):主軸
(6):ドローバー
(6a):大円柱部
(6d):テーパ部
(6f):大円柱部
(6g):中円柱部
(12):ブッシュ
(12a):厚肉部分
(12b):薄肉部分(弾性変形部分)
(14):ねじ穴
(15):押圧ねじ
(16):貫通穴
(17):押し子
(20):テーパ面
(21):ブッシュ
(21a):弾性変形部分
(22):テーパ面
(24):ねじ穴
(27):押え蓋
(29):ボルト
(30):環状みぞ
(31):弾性変形部分
(32):ウェイト(押圧手段)
Claims (3)
- 先端に工具が取付けられる中空状主軸と、主軸内に主軸に対して回転しないが軸方向に移動しうるように同軸上に配され、かつ軸方向の移動により主軸先端への工具の着脱を行うドローバーとを備えた工作機械の主軸装置であって、ドローバーの周囲にはめ被せられ、かつ径方向に弾性変形する弾性変形部分を有するブッシュと、ドローバーに設けられかつブッシュの弾性変形部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付ける押圧手段とを備えており、ブッシュが、ドローバーの後端部の周囲に固定状にはめ被せられかつ押圧手段により径方向外方に弾性変形させられる薄肉部分を備えており、押圧手段が、ドローバーの後端面から前方に伸びるように周方向に等間隔をおいて形成された複数のねじ穴にねじはめられる押圧ねじと、ドローバーの周面から径方向内方に伸びるように形成されかつ先端がねじ穴に臨む複数の貫通穴内に、ドローバーの径方向に移動しうるようにはめ入れられた押し子とよりなり、押圧ねじがねじ穴にねじはめられて前方に移動することにより押し子が押圧ねじの先端に押されてドローバーの径方向外方に移動し、押し子に押されてブッシュの薄肉部分が径方向外方に弾性変形するようになされている工作機械の主軸装置。
- 先端に工具が取付けられる中空状主軸と、主軸内に主軸に対して回転しないが軸方向に移動しうるように同軸上に配され、かつ軸方向の移動により主軸先端への工具の着脱を行うドローバーとを備えた工作機械の主軸装置であって、ドローバーの周囲にはめ被せられ、かつ径方向に弾性変形する弾性変形部分を有するブッシュと、ドローバーに設けられかつブッシュの弾性変形部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付ける押圧手段とを備えており、ブッシュの弾性変形部分の内周面が前方に向かって漸次大径となされたテーパ面であり、ドローバーにおけるブッシュがはめ被せられた部分の外周面が後方に向かって漸次小径となされたテーパ面であり、押圧手段が、ブッシュの後側に前後方向に移動自在に配置された押え蓋と、後方から押え蓋を貫通しかつドローバーの後端面に形成されたねじ穴にねじはめられるボルトとよりなり、ボルトがねじ穴にねじはめられることにより押え蓋が前方に移動し、これによりブッシュがドローバーに対して前方に移動させられるとともに、両テーパ面の働きによりブッシュの弾性変形部分が径方向外方に弾性変形するようになされている工作機械の主軸装置。
- 先端に工具が取付けられる中空状主軸と、主軸内に主軸に対して回転しないが軸方向に移動しうるように同軸上に配され、かつ軸方向の移動により主軸先端への工具の着脱を行うドローバーとを備えた工作機械の主軸装置であって、ドローバーに大円柱部が設けられ、大円柱部の端面に環状みぞが全周にわたって形成され、大円柱部における環状みぞの径方向外側部分が径方向に弾性変形可能な弾性変形部分となされ、弾性変形部分の径方向内側に、主軸およびドローバーが回転したさいの遠心力により径方向外方に移動して弾性変形部分を押圧し、これにより弾性変形部分を径方向外方に弾性変形させて主軸内周面に押付ける押圧手段が設けられている工作機械の主軸装置。
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