JP3697482B2 - 絶縁膜生成方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に絶縁膜を生成する方法およびその装置に係り、特に低温度の基板上に高抵抗の絶縁膜を生成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体やディスプレーの製造工程において、絶縁膜を形成するのには、一般的にプラズマCVD法が用いられ、この場合、600°C程度での運用が多い。これよりも低温度で基板上に絶縁膜を気相成長させる手法としては、ECR(electron cycrotron resonance)−プラズマCVD法や熱触媒体CVD法が知られている。
【0003】
ECR−CVD法は、プラズマ発生室にマイクロ波を照射して高密度のプラズマを発生させて成膜する手法で、300〜400°C程度の比較的低温度の基板温度で酸化珪素(SiO2)や窒化珪素(Si34)膜などの絶縁膜を生成することができる。
【0004】
熱触媒体CVD法は、高温度に熱せられた金属などに原料ガスを作用させることにより、原料ガスを熱分解して基板上に絶縁膜を成長させる手法で、基板自体を高温度に加熱することなく膜生成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来手法には次のような問題がある。
たとえば、圧電変換器に用いられるピエゾ素子は、300°C近くまで加熱されると、その特性が劣化するので、ピエゾ素子の電極部の高絶縁膜被覆を形成する工程では、基板温度を100〜200°C程度におさえる必要がある。ところが、従来のECR−CVD法では、100〜200°C程度の低温度の基板上に高品質の絶縁膜を生成することが困難であった。また、ECR−CVD法は、マイクロ波を発生させるマグネトロンを備えるので、装置構成が複雑化して高価になり、大サイズ化も難しいという難点もある。
【0006】
一方、熱触媒体CVD法は、比較的に低温度の基板上に絶縁膜を生成できるが、それでも200°C以下の低温基板では絶縁リークを引き起こすピンホール等の欠陥が絶縁膜中に生じやすく、高品位の絶縁膜を得ることができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、低温度の基板上に高品位の絶縁膜を比較的容易に生成することができる絶縁膜生成方法およびその装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、請求項1に記載の発明に係る絶縁膜生成方法は、基板から離れて配設された熱源から発せられる熱により原料ガスを分解して、熱触媒体 CVD 法により、常温〜 200 ℃に維持された基板上に絶縁膜を堆積させる膜堆積過程と、前記基板上の絶縁膜表面にイオン衝撃を与えるイオン衝撃過程とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る発明によると、基板から離れて配設された熱源から発せられる熱により原料ガスを分解しているので、ヒータを内蔵したサセプタに基板を載置して基板を加熱することにより原料ガスを分解している従来のCVD法に比較して、基板の温度上昇を抑えることができる。つまり、低温度で絶縁膜を堆積することができる。しかも、低温度で絶縁膜を堆積したことにより、絶縁膜の密度が下がってピンホール等の欠陥が生じても、基板上に堆積された絶縁膜にイオン衝撃を与えているので、ピンホール等の欠陥が埋まり高密度の絶縁膜、つまり高抵抗の絶縁膜を生成することができる。
【0010】
前記イオン衝撃過程では、好ましくは、基板周囲に発生させたプラズマで放電ガスをイオン化し、そのイオン化された放電ガスで絶縁膜表面にイオン衝撃を与える。比較的に弱いプラズマで放電ガスをイオン化することにより、基板やチャンバー内壁からスパッタ粒子(イオン化された放電ガスによりスパッタリングされて飛散する粒子)を飛散させることなく、絶縁膜の密度を上げることができる。
【0011】
好ましくは、前記膜堆積過程と前記イオン衝撃過程とを繰り返すことにより、高密度で任意の膜厚の絶縁膜を生成することができる。
【0012】
また、膜堆積過程では放電ガスの供給を停止し、イオン衝撃過程では放電ガスを供給するようにすれば、膜堆積過程で絶縁膜表面にイオン衝撃が加わらないので、効率よく膜成長させることができる。あるいは、これに代えて膜堆積過程ではプラズマを発生させず、イオン衝撃過程ではプラズマを発生させるようにしてもよい。あるいは、膜堆積過程では原料ガスを供給し、イオン衝撃過程では原料ガスの供給を停止するようにしてもよい。また、膜堆積過程とイオン衝撃過程との間にわたり、原料ガスを継続して供給すれば、イオン衝撃過程の間にも幾分かの絶縁膜を成長させることができる。この場合、イオン衝撃過程での膜成長は、遅い成膜速度ではあるが、比較的硬い高密度の膜が形成できる。
【0013】
本発明において、原料ガスの種類は特に限定しないが、テトラエチルオルソシリケート(TEOS:Si(OC254)ガスが好ましい。TEOSガスは分解速度が速く、高速度で酸化珪素膜を堆積することができるが、従来のCVD法によれば、低温基板上では膜質が柔らかく弱いので、絶縁抵抗は小さくなる。しかし、本発明によれば、堆積された酸化珪素膜表面にイオン衝撃を与えるので、硬くて強い高抵抗の酸化珪素膜を生成することができる。
【0014】
本発明において、放電ガスの種類は特に限定しないが、窒素(N2)ガスを用いると、イオン衝撃された絶縁膜表面が窒化(原料ガスがTEOSガスの場合は、酸窒化)して、絶縁性を一層高めることができる。
【0015】
さらに、本発明において好ましくは、膜堆積過程の前に、基板表面にイオン衝撃を与えて基板表面を洗浄する洗浄過程が実施される。このような洗浄過程を置くことにより基板と絶縁膜との密着性を向上させることができる。洗浄過程の種類は特に限定しないが、基板周囲に発生させたプラズマで放電ガスをイオン化し、そのイオン化された放電ガスで基板表面にイオン衝撃を与えて基板表面を洗浄するようにすれば、洗浄過程が上述したイオン衝撃過程と同様に実施できるので、基板洗浄を容易に行うことができる。
【0016】
本発明において、基板の温度を常温〜200°Cの範囲内にするのが好ましい。このように温度設定すれば、例えば高温に晒されると特性が劣化するピエゾ素子などにも高抵抗の絶縁膜被覆を堆積させることができる。
【0017】
さらに、本発明は、基板から離れて配設された熱源から発せられる熱により原料ガスを分解して基板上に絶縁膜を堆積させる絶縁膜形成過程において、前記基板の温度を常温〜200°Cの範囲内にすることを特徴とする。本発明によれば、基板から離れて配設された熱源から発せられる熱により原料ガスを分解しているので、基板の温度上昇が抑えられる。そして、その基板の温度を常温〜200°Cの範囲内にすることにより、熱に弱いプラスチック類や圧電素子など、種々の基板に絶縁膜を堆積させることができる。
【0018】
また、本発明は、基板上に絶縁膜を生成する絶縁膜生成装置であって、処理対象である基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内で基板を支持する基板支持手段と、前記チャンバー内を排気する排気手段と、前記チャンバー内に原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、前記チャンバー内に放電ガスを導入する放電ガス導入手段と、前記チャンバー内に導入された原料ガスを熱分解するために、基板から離れて配設される熱源と、前記チャンバー内に導入された放電ガスをイオン化するためのプラズマ発生手段とを備えた装置を提供する
【0019】
本発明装置によれば、基板支持手段によって基板がチャンバー内で支持された後に、排気手段によってチャンバー内が排気される。続いてチャンバー内に原料ガスが導入されると、その原料ガスは熱源からの熱により分解されて基板上に絶縁膜が堆積される。そして、チャンバー内に放電ガスを導入するとともに、この放電ガスをプラズマ発生手段によってイオン化して、基板の絶縁膜表面にイオン衝撃を与える。本発明装置によれば、比較的に簡単な構成でもって、低温度の基板に高絶縁性の絶縁膜を生成することができる。なお、本発明装置は、上記の手順で使用されるだけでなく、上述した本発明方法の種々の実施態様にも好適に用いられる。
【0020】
本発明装置において、熱源の種類は特に限定しないが、通電されることにより熱を発する金属細線で熱源を構成すれば、原料ガスを熱分解するのに必要な高温度を容易に得ることができる。この場合、基板の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出信号に基づいて、金属細線で形成された熱源への通電を制御することにより、基板の温度を設定範囲内に維持する制御手段とを備えるのが好ましい。このような基板の温度制御により、基板上に堆積される絶縁膜を高品位に維持することができる。さらに、制御手段は、金属細線で形成された熱源への通電をオン・オフ制御するように構成するのが好ましい。熱源への通電をオン・オフ制御することにより、オン時には熱源を高温度にして原料ガスの熱分解を促進することができ、また、熱源への通電を適宜にオフすることにより、基板の過熱を防止することができる。
【0021】
本発明装置において好ましくは、熱源と基板との間に、熱源から基板への輻射熱を遮る熱遮蔽部材が配設される。このような熱遮蔽部材を設けることにより、基板の温度上昇を一層効果的に抑えることができる。さらに、基板支持手段に基板を冷却する冷却機構を備えると、基板の温度上昇を抑える上でより一層効果的である。
【0022】
また、本発明において好ましくは、プラズマ発生手段は、基板支持手段と基板との間に配設されて高周波電力が供給される金属板を備える。このように構成すれば、金属板の表裏面が基板と基板支持手段によって遮蔽されるので、プラズマ発生手段の電極としての金属板が無用のイオン衝撃を受けて汚染源となるのを避けることができる。
【0023】
さらに、本発明装置において好ましくは、基板を予備加熱する予備加熱手段を備える。このような予備加熱手段を設けることにより、膜堆積過程の当初から最適な基板温度で絶縁膜を堆積することができ、膜質を一層向上することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明に係る絶縁膜生成装置の一実施例の概略構成を示した図である。
【0025】
図1において、符号1は、処理対象である基板Wを収容するチャンバーである。本実施例において、基板WはN型シリコンウエハである。処理対象となる基板Wとしては、この他にピエゾ素子やプラスチックフィルムなど、絶縁膜が堆積される種々のものがある。チャンバー1は、その底部に設けられた排気口1aを介して真空ポンプ2に連通接続されて、チャンバー1内が真空排気されるようになっている。この真空ポンプ2は、本発明装置における排気手段に相当する。
【0026】
チャンバー1の上部には、チャンバー1内に原料ガスと放電ガスとを導入するためのガス導入ノズル3が設けられている。原料ガスは、基板Wに堆積する絶縁膜の種類に応じて適宜に選択される。本実施例では、基板Wに酸化珪素膜を堆積するために、テトラエチルオルソシリケート(TEOS:Si(OC254)ガスを用いている。TEOSガスの他に、シランガス(SiH4)を用いてもよい。ただし、シランガスを用いた場合、爆発防止対策などの措置を講ずる必要がある。これに対しTEOSガスの場合、安価で比較的に安全であり、しかも分解速度が速いので、高速度で酸化珪素膜を堆積することができる点で有利である。
【0027】
放電ガスは、基板Wに堆積された絶縁膜の表面にイオン衝撃を与えるために用いられるもので、後述するプラズマ発生手段によりイオン化される。放電ガスとしては、例えば窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを用いることができる。原料ガスがTEOSガスである場合に、放電ガスとして窒素ガスを用いると、イオン衝撃された絶縁膜(本実施例の場合、酸化珪素膜)が窒化して、絶縁膜の絶縁性が向上するので好ましい。上述したガス導入ノズル3は、本発明装置における原料ガス導入手段および放電ガス導入手段に相当する。なお、単一のガス導入ノズル3に代えて、個別のガス導入ノズルを使って原料ガスと放電ガスとをチャンバー1内に導入するようにしてもよい。
【0028】
チャンバー1内には、基板Wを支持するための支持板4が配設されている。支持板4は銅などの金属から形成されている。支持板4は、その内部に形成された冷却水流路4aに冷却水を流通させることにより、支持板4に支持された基板Wを冷却するようになっている。支持板4は、本発明装置における基板支持手段に相当し、冷却水流路4aは、基板Wを冷却する冷却機構に相当する。
【0029】
基板Wと支持板4との間に、高周波電源5に電気的に接続された金属板6が配設されている。この金属板6に高周波電力を供給することにより基板Wの周囲にプラズマを発生させて放電ガスをイオン化し、基板Wの表面にイオン衝撃を与えるようになっている。高周波電源5および金属板6は、本発明装置におけるプラズマ発生手段に相当する。金属板6は2枚の絶縁用ガラス板7で覆われることにより、イオン化された放電ガスでスパッタリングされないようになっている。
【0030】
基板Wから離れた位置に2つのフィラメント8が基板Wに対向して配設されている。フィラメント8は、本発明装置における熱源に相当し、チャンバー1内に導入された原料ガスをフィラメント8から発せられた熱により熱分解するために用いられる。フィラメント8は、モリブデンやタングステンなどの金属細線を、基板Wに対向して直線状に架設して構成されている。各フィラメント8は、通電制御用のスイッチ9を介してフィラメント用電源10に電気的に接続されている。フィラメント8の配設位置が基板Wに近過ぎると、フィラメント8の近傍領域で絶縁膜の膜厚が厚くなるので好ましくないく、また、フィラメント8の配設位置が基板Wから離れ過ぎると、絶縁膜の堆積速度が低下する。フィラメント8と基板Wとの距離は5〜10cmが好ましい。
【0031】
スイッチ9は、温度調節器11からの信号によってオン・オフ制御される。温度調節器11には、基板Wの表面に着脱可能に取り付けられた熱電対12から温度検出信号が与えられる。つまり、温度調節器11は、熱電対12の温度検出信号に基づいて、フィラメント8への通電をオン・オフ制御することにより、基板Wの表面温度を設定範囲に維持する。温度調節器11は本発明における制御手段に、熱電対12は本発明装置における温度検出手段に、それぞれ相当する。
【0032】
フィラメント8への通電をオン・オフ制御することにより、フィラメント8は高温状態(点灯状態)と、非通電状態(消燈状態)とを交互に繰り返すことになる。点灯時のフィラメント8の温度は、TEOSガスでは1000〜2000°Cが好ましい。フィラメント8が高温状態のときに原料ガスが熱分解されて、基板Wに絶縁膜が堆積される。非通電状態のときは絶縁膜がほとんど堆積されずに、支持板4の冷却機構の作用によって基板Wの温度上昇が抑制される。基板Wの設定温度範囲は、熱により基板Wの特性が劣化せずに、しかも良好な膜質の絶縁膜が得られる範囲が設定される。基板Wの温度を常温〜200°Cの範囲内にすれば、種々の基板に対して特性劣化を引き起こすことなく、良好な絶縁膜を堆積させることができる。
【0033】
因みに、基板Wを所定の設定温度に正確に維持するだけであれば、フィラメント8の通電を単純にオン・オフ制御するよりも、フィラメント8への給電量を連続的に増減させて調節する連続制御方式が良いと考えられるが、そうするとフィラメント8の温度が必然的に低下して、絶縁膜の堆積速度が低下する。そこで、本実施例では上述のようにフィラメント8の通電をオン・オフ制御することによって、原料ガスの熱分解に十分な高温度を通電(オン)時に得ている。
【0034】
図1に戻って、基板Wと各フィラメント8との間に、セラミックなどから形成された熱遮蔽板13がそれぞれ配設されている。これらの熱遮蔽板13は、基板Wがフィラメント8からの輻射熱に直接に晒されるのを防止するために設けられている。このような熱遮蔽板13を設けることにより、原料ガスの熱分解を極力妨げないで、基板Wの温度上昇を抑制することができる。
【0035】
さらに、チャンバー1内には、基板Wを予備加熱するためのハロゲンランプ14が設けられている。ハロゲンランプ14も温度調節器11からの信号によって点灯制御されている。このようなハロゲンランプ14を設けることにより、絶縁膜の堆積過程の当初から基板Wが最適な温度になっているので、高品位の絶縁膜を堆積することができる。
【0036】
次に、上述した構成を備えた実施例装置を使って基板W上に絶縁膜を生成する過程を説明する。
【0037】
図2は、絶縁膜生成過程の順序を示したフローチャートである。
まず、支持板4に基板Wをセットした後、チャンバー1を閉じてチャンバー1内を真空排気する(ステップS1)。本実施例では、チャンバー1内を6.6661×10-3Pa(5×10-5Torr)まで排気した。次に、ハロゲンランプ14を点灯させることにより、基板Wの表面温度を105±5°Cの範囲内に予備加熱する(ステップS2)。
【0038】
チャンバー1内に放電ガス(窒素ガス)を導入するとともに、金属板6に高周波電力を供給(高周波放電)することにより、基板Wの周囲にプラズマを発生させて放電ガスをイオン化する。このイオン化された放電ガスで基板Wの表面にイオン衝撃を与えることにより、基板表面を洗浄する(ステップS3)。プラズマ状態の放電イオンは方向性が極めて弱いので、イオン銃などを使ってイオン衝撃を与えるものに比べて、基板表面の細部(例えば、基板表面に形成された微細な溝の内部)まで洗浄することができる。
【0039】
洗浄過程が終わると、放電ガスの導入および高周波電力の供給をそれぞれ停止して、チャンバー1内に原料ガス(TEOSガス)を導入するとともに、フィラメント8を点灯することにより、フィラメント8から発せられた熱で原料ガスを熱分解して、絶縁膜(酸化珪素膜)を基板上に堆積する(ステップS4)。本実施例では、TEOSガスを3.99966Pa(3×10-3Torr)程度になるまで導入した。フィラメント8は、通電時に1000〜2000°Cの温度範囲内に設定した。本実施例では、絶縁膜を30分間堆積した。この間、基板Wの表面温度が熱電対12で検出され、その検出信号が温度調節器11に与えられる。温度調節器11は、基板Wの表面温度が設定温度範囲(105±5°C)を超えると、フィラメント8への通電を停止する。フィラメント8が消燈すると、支持板4の冷却機構の作用によって、基板温度が徐々に低下する。基板温度が設定範囲に入ると、フィラメント8への通電を再開する。このように、膜堆積過程では、フィラメント8は点灯と消燈を繰り返す。
【0040】
1回目の膜堆積過程が終わると、原料ガスの導入およびフィラメント8への通電をそれぞれ停止して、チャンバー1内に放電ガス(窒素ガス)を導入するとともに、金属板6に高周波電力を供給することにより、基板Wの周囲にプラズマを発生させて放電ガスをイオン化し、そのイオン化された放電ガスで基板Wの絶縁膜表面にイオン衝撃を与える(ステップS5)。本実施例では、放電ガスを1.33322Pa(1×10-2Torr)程度まで導入した。本発明におけるイオン衝撃の目的は、絶縁膜の表面をイオンで叩いて、その密度を向上させることにあるので、比較的に弱いプラズマで足りる。本実施例では、金属板6に25ワットの高周波電力を供給し、10分間のイオン衝撃を行った。膜堆積過程で低温度で堆積された絶縁膜は、比較的に密度が低いが、その絶縁膜の表面がイオン化された放電ガスで衝撃を受けることにより、密度が高められ、膜中のピンホール等の欠陥を消失させることができる。また、本実施例では、放電ガスとして窒素ガスを用いているので、絶縁膜の表面が窒化して、薄い酸窒化膜(SiOXY)が形成される。その結果、酸化珪素膜だけの場合と比べて、絶縁膜の絶縁性が向上する。
【0041】
イオン衝撃過程では、イオン化された放電ガスのスッパタリング作用により、絶縁膜の膜厚が僅かではあるが減少する。したがって、比較的に厚い膜厚が必要な場合には、上記の膜堆積過程とイオン衝撃過程とを繰り返し行うのが好ましい(ステップS6)。膜堆積過程で絶縁膜を厚く堆積することによって、膜堆積過程とイオン衝撃過程とを各1回にすることも可能であるが、膜堆積過程とイオン衝撃過程とを繰り返すことにより、高い絶縁性能を得ることができる。本実施例では、膜堆積過程とイオン衝撃過程とを2回繰り返して絶縁膜を生成した。
【0042】
成膜後、基板W上の絶縁膜の上に電極を付けて、深さ方向の抵抗を絶縁抵抗測定器で測定したところ、1012〜1013Ωcmの高絶縁抵抗を示した。なお、基板(シリコンウエハ)Wの単独では、108Ωcm以下であった。
【0043】
本発明は上記の実施例に限らず、次のように変形実施することもできる。
(1)上記の実施例では、膜堆積過程が終わると原料ガスの供給とフィラメント8への通電を停止してイオン衝撃過程に移行したが、これに代えて、フィラメント8への通電のみを停止し、膜堆積過程とイオン衝撃過程の間にわたり、原料ガスを継続して供給しても良い。イオン衝撃過程で原料ガスを供給すると、プラズマの作用で原料ガスが分解されて絶縁膜が少し堆積される。つまり、イオン衝撃過程では、絶縁膜堆積過程で形成された絶縁膜(酸化珪素膜)の表面に、イオン化された放電ガス(窒素ガス)でイオン衝撃を与えることにより、酸化珪素膜の表面に酸窒化膜が形成されるが、この酸窒化膜の形成過程でプラズマの作用により酸化珪素膜も少し形成されるので、堆積過程で形成された酸化珪素膜と、イオン衝撃過程で形成される酸窒化膜との多層構造の連続性が良くなることが期待できる。
【0044】
(2)上記の実施例では、膜堆積過程の後にイオン衝撃過程を行ったが、膜堆積過程とイオン衝撃過程とを並行して行うようにしてもよい。この場合、絶縁膜が堆積されると同時にイオン衝撃を受けて絶縁膜の密度が高められる。
【0045】
(3)上記の実施例では、プラズマ発生用の電極(金属板6)を支持板4と基板Wとの間に設けたが、この電極を熱遮蔽板13と基板Wとの間に設けてもよい。
また、プラズマ発生用の電極は平板状の金属板に限らず、コイルで形成してもよい。
【0046】
(4)実施例で説明した絶縁膜生成装置は、チャンバー1内に1枚の基板Wを収納して絶縁膜を生成するものであったが、チャンバー1内に収納した複数枚の基板Wに同時に絶縁膜を生成するように構成してもよい。例えば、図3の平面図に示すように、フィラメント8a〜8eを多角形状に配設し、各フィラメント8a〜8eにそれぞれ対向して基板Wを配置してもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、基板から離れて配設された熱源から発せられる熱により原料ガスを分解して基板上に絶縁膜を堆積させ、この絶縁膜の表面にイオン衝撃を与えて絶縁膜の密度を向上させているので、熱によって基板の特性を劣化させることなく、高絶縁性の絶縁膜を容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る絶縁膜生成装置の一実施例の概略構成を示した図である。
【図2】実施例装置を使った絶縁膜生成過程を示したフローチャートである。
【図3】変形例の要部構成を示した平面図である。
【符号の説明】
W … 基板
1 … チャンバー
2 … 真空ポンプ
3 … ガス導入ノズル
4 … 支持板
5 … 高周波電源
6 … 金属板
8 … フィラメント
11 … 温度調節器
12 … 熱電対
13 … 熱遮蔽板
14 … ハロゲンランプ

Claims (12)

  1. (1)基板から離れて配設された熱源から発せられる熱により原料ガスを分解して、熱触媒体 CVD 法により、常温〜 200 ℃に維持された基板上に絶縁膜を堆積させる膜堆積過程と、
    (2) 基板周囲で発生させたプラズマにより放電ガスをイオン化して、イオン化された放電ガスにより、常温〜 200 ℃に維持された基板上の絶縁膜表面にイオン衝撃を与えるイオン衝撃過程と
    を備えたことを特徴とする高密度絶縁膜の形成方法。
  2. (1) 膜堆積過程と (2) イオン衝撃過程とを並行して行う請求項1に記載の高密度絶縁膜の形成方法。
  3. (1)膜堆積過程と(2)イオン衝撃過程とを繰り返し行う請求項1に記載の高密度絶縁膜の形成方法。
  4. 原料ガス、テトラエチルオルソシリケートガスである請求項1〜3のいずれかに記載の高密度絶縁膜の形成方法。
  5. 放電ガス、窒素ガスである請求項1〜4のいずれかに記載の高密度絶縁膜の形成方法。
  6. (1)膜堆積過程の前に、基板周囲で発生させたプラズマにより
    放電ガスをイオン化して、イオン化された放電ガスにより、基板表面にイオン衝撃を与える洗浄過程を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の高密度絶縁膜の形成方法。
  7. 基板表面に高密度絶縁膜を形成するための装置であって、
    処理対象である基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内で基板を支持する基板支持手段と、
    前記チャンバー内を排気する排気手段と、
    前記チャンバー内に原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、
    前記チャンバー内に放電ガスを導入する放電ガス導入手段と、
    前記チャンバー内に導入された原料ガスを熱分解するために、基板から離れて配設された通電発熱用金属細線からなる熱源と、
    前記チャンバー内に導入された放電ガスをイオン化するためのプラズマ発生手段と、
    前記基板の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出信号に基づいて、前記熱源への通電を抑制することにより基板温度を常温〜 200 ℃の設定温度範囲に維持する制御手段と
    を備えたことを特徴とする高密度絶縁膜形成装置。
  8. 基板温度の制御手段が、金属細線で形成された熱源への通電をオン・オフ制御する手段である請求項7に記載の高密度絶縁膜形成装置。
  9. 金属細線で形成された熱源と基板との間に、熱源から基板への輻射熱を遮断する熱遮断部材を備えた請求項7または8に記載の高密度絶縁膜形成装置。
  10. 基板支持手段、基板を冷却する冷却装置を備えた請求項7〜9のいずれかに記載の高密度絶縁膜形成装置。
  11. プラズマ発生手段、基板支持手段と基板との間に配設された高周波電力が供給される金属板を備えた請求項7〜10のいずれかに記載の高密度絶縁膜形成装置。
  12. 基板を予備加熱する予備加熱手段を備えた請求項7〜11のいずれかに記載の高密度絶縁膜形成装置。
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