JP3697328B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フェーズドアレイ方式の探触子を有し、ディジタルビームフォームを用いてダイナミックフォーカスを行ないながら、反射エコー信号を受信する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置では通常、ダイナミックフォーカスと呼ばれる手法により、検体の任意の位置からの反射エコーを高精度に受信する方法が用いられている。
図5はかかるダイナミックフォーカスの概念を説明するための説明図で、同図(a)は、超音波を送受信する振動子列と体内における反射点との関係を示し、(b)は各振動子列と遅延時間との関係を示す。
すなわち、一様な媒質を仮定すると、深さd1の点P1で反射したエコーは、点P1を中心とする円弧状の同相波面A1を形成する。したがって、P1からのエコーを高いS/Nで得るためには、n個の振動子列21で受信した信号に対して、図5(b)に示すような遅延時間DA1を与えた後(整相)、加算する必要がある。
【0003】
同様に、深さd2の点P2で反射したエコーは、点P2を中心とする円弧状の同相波面A2を形成する。したがって、P2からのエコーを高いS/Nで得るためには、n個の振動子列21で受信した信号に対して、図5(b)に示すような遅延時間DA2を与えた後(整相)、加算する必要がある。つまり、DA1,DA2,…のように、遅延時間を切り替えながら整相,加算を行なうことでダイナミックに焦点を合わせる(ダイナミックフォーカス)ことができる。
【0004】
なお、ディジタルビームフォームを用いてダイナミックフォーカスを行ないながら反射エコー信号を受信する超音波診断装置は、下記1),2)などにより公知である。
1)Ronald A.Mucci“A Comparison of Efficient Beamforming Algorithms”IEEE
Trans.on Acoustics,Speech,and Signal
Processing Vol.ASSP−32,No.3(1984)
2)Tai K.Song and Song B.Park,“A NewDigital Phased Array System for Dynamic Forcusing and Steering with Reduced Sampling Rate”,ULTRASONIC IMAGING 12,1−16(1990)
【0005】
図6は超音波診断装置の第1の従来例としてのディジタルビームフォーム部を示すブロック図、図7はその動作説明図である。
ここでは、n個の振動子PA1〜PAnからなる探触子1で得られた受信エコーを、10〜12ビットの離散ディジタルデータに変換するA/D(アナログ/ディジタル)変換器2と、読み出しタイミングを遅延させることで、ディジタル遅延手段として用いるFIFO(First In First Out)メモリ3と、FIFOメモリ出力のサンプリングレートをk倍に増加(アップレート)させるインタポレータ9と、このインタポレータ出力を加算する加算回路4と、A/D変換のサンプリングクロックSCLK(=FIFOメモリの書き込みクロック)、およびFIFOメモリの読み出しクロックRCLK1〜RCLKnを発生するクロック発生回路8Aとから構成される。
【0006】
ここで、サンプリングクロックSCLKおよび読み出しクロックRCLK1〜RCLKnのクロックレートは、ナイキスト条件を満足するようナイキスト周波数(受信信号帯域の最高周波数の2倍程度の繰り返し周波数)以上に設定する。また、高品質の画像を維持するため、遅延時間の精度は1/10f0(f0:超音波の中心周波数)程度にすることが望ましい。また、上記構成の場合、遅延精度は読み出しクロックRCLK1〜RCLKnの位相精度と、インタポレータ9のアップレート比kにより決まるので、読み出しクロックRCLK1〜RCLKnの位相精度は1/10f0程度に、アップレート比kはk=4〜6程度に設定する。
【0007】
上記方式は、各受信信号について共通のサンプリングクロックSCLKで離散化を行ない、整相,加算はFIFOメモリ3とインタポレータ9で行なう。離散化された各受信信号データは、各受信信号の包絡線成分がほぼ一致するようにFIFOメモリ3において遅延される。しかし、このときの各信号のサンプル点の位相は必ずしも一致していないため、このまま加算したのでは、大きな誤差が発生する。そこで、インタポレータ9を用いてアップレートした後加算することで、誤差のない高精度な整相,加算を実現することができる。
【0008】
図8は超音波診断装置の第2の従来例としてのディジタルビームフォーム部を示すブロック図、図9はその動作説明図である。
n個の振動子PA1〜PAnからなる探触子1で得られた受信エコーを、10〜12ビットの離散ディジタルデータに変換するA/D(アナログ/ディジタル)変換器2と、ディジタルデータのバッファ処理を行なうFIFOメモリ3と、読み出されるFIFOメモリ出力を加算する加算回路4と、A/D変換器2のサンプリングクロックSCLK1〜SCLKn(=FIFOメモリの書き込みクロック)、およびFIFOメモリの読み出しクロックRCLKを発生するクロック発生回路8Bとから構成される。
【0009】
ここで、サンプリングクロックSCLK1〜SCLKnおよび読み出しクロックRCLKのクロックレートは、ナイキスト条件を満足するよう、ナイキスト周波数以上に設定する。上記構成の場合、遅延精度はサンプリングクロックSCLK1〜SCLKnの位相精度により決まるので、SCLK1〜SCLKnの位相精度は1/10f0程度に設定する。
この第2の方式は、各受信信号のサンプリングクロックSCLK1〜SCLKnを制御することにより、常に同相波面上の受信信号を離散化するものである(つまり、整相処理をサンプリング時点で行なっている)。FIFOメモリに書き込まれるデータはすでに整相後の値であるので、図6の方式で必要であったインタポレータ9が不要となる。FIFOメモリに書き込まれたnチャンネル(channel)の受信信号データを、共通のクロックRCLKで読み出して(つまり、同期をとって)加算すれば、高精度な整相,加算を実現することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1,第2従来例においては、A/D変換器が受信信号の数だけ必要とされる。装置の小型化を図るため、ディジタルビームフォーム部で用いられている複数のA/D変換器を、マルチプレクサと1つのA/D変換器で置き換え、入力される受信信号をマルチプレクサで順次切り替えながら、1つのA/D変換器で離散化を実行する方式が考えられる。この方式は、各受信信号のサンプル点を自由に設定することができないため(例えば、同時に2つの受信信号を離散化することはできない)、サンプル点を制御することによって整相を実現する第2の従来例と組み合わせることは困難であるが、整相をFIFOメモリとインタポレータで実現する第1の従来例とは、容易に組み合わせることができる。
【0011】
図10は第1の従来例の小型化を図った第3の従来例としてのディジタルビームフォーム部を示すブロック図である。
探触子1のn個の振動子PA1〜PAnで得られた受信信号u1,u2,…,unを順次選択するマルチプレクサ5と、選択された信号を離散化する高速A/D変換器2と、離散化された受信信号をもとのチャネル(channel)に戻すデマルチプレクサ7と、読み出しタイミングを遅延させるディジタル遅延手段としてのFIFOメモリ3と、FIFOメモリ出力のサンプリングレートをk倍にアップレートさせるインタポレータ9と、インタポレータ出力を加算する加算回路4と、A/D変換のサンプリングクロックSCLKと、FIFOメモリの読み出しクロックRCLK1〜RCLKnを発生するクロック発生回路8Cとから構成される。
【0012】
上記の構成において、読み出しクロックRCLK1〜RCLKnのクロックレートfsはナイキスト周波数以上に、また、サンプリングクロックSCLKの クロックレートはnfsに設定する。第2の従来例と同様、読み出しクロックRCLK1〜RCLKnの位相精度は1/10f0程度、アップレート比kはk=4〜6程度必要である。
図11に図10の動作を示す。
受信信号u1,u2,…,unはA/D変換器2により、1/nfsずつずれたサンプリング点で離散化される。離散化された信号は、デマルチプレクサ7により、もとのchannelに戻された後、FIFOメモリ3により包絡線成分がほぼ一致するように遅延が与えられ、インタポレータ9によりてサンプリングレートを上げて加算される。しかし、このような構成では、依然として高精度,高速なインタポレータが必要であり、また、加算時のサンプリングレートも高いため、ハードに対する負担が大きい。
したがって、この発明の課題は、画質を低下させることなく、A/D変換器の個数を減らすとともにインタポレータを不要とし、かつ、加算時のサンプリングレートをクロックレートfsと同等(つまり、ナイキスト周波数程度)にし得るようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決すべく、この発明では、複数チャネルの受信信号から1つずつ順次選択する1対のマルチプレクサと、選択された1対の受信信号を互いに90°の位相差に相当する時間だけずらして離散化する1対のA/D変換器と、離散化された1対の受信信号から所定のサンプリング点における受信信号を計算する補間演算部と、補間演算により求められた受信信号をもとのチャネルに戻すデマルチプレクサと、前記補間演算部により求められた受信信号を格納し、同期をとるFIFOメモリと、FIFOメモリ出力を加算する加算回路と、A/D変換のサンプリングクロックおよびFIFOメモリの書き込みクロック,読み出しクロックを発生するクロック発生回路とを設けるようにしている。
上記請求項1の発明では、前記補間演算部を、前記A/D変換器により離散化された1対の受信信号に所定係数を乗じる1対の乗算器と、各乗算結果を加算する加算器と、前記所定係数を記憶するメモリとから構成することができる(請求項2の発明)。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の実施の形態を示すブロック図である。
同図からも明らかなように、ここではn(n≧2)個のA/D変換器を用いる代わりに、互いに90°の位相差に相当する時間だけずらして離散化する1対の高速A/D変換器2a,2bを設け、離散化された1対の受信信号から同相波面上の受信信号を求めることにより、高速なインタポレータを不要とし、加算時のサンプリングレートをナイキスト周波数まで低減するものである。ここで、同相波面上の受信信号の求め方について、以下に説明する。この受信信号は部分的には中心周波数f0の正弦波とみなすことができるので、これをcosω0tと置くと、この信号から位相φに相当する時間だけ遅れた信号は、
と表わすことができる。つまり、cosω0tと90°だけ位相差を持ったcos(ω0t+π/2)とが分かれば、任意の位相φだけ遅れた信号を積和演算で求めることができる。
【0015】
図1に示すディジタルビームフォーム部は、探触子1のn個の振動子PA1〜PAnから得られた受信信号u1,u2,…,unを順次選択する1対のマルチプレクサ5a,5bと、選択された信号を互いに90°の位相差に相当する時間だけずらして10〜12ビットの離散ディジタルデータに変換する1対の高速A/D変換器2a,2bと、A/D変換器の出力から所定のサンプル点でのデータを計算する補間演算部6と、補間データをもとのchannelに戻すデマルチプレクサ7と、補間データを格納するFIFOメモリ3と、FIFOメモリ出力を加算する加算回路4と、A/D変換のためのサンプリングクロックSCLKa,SCLKb、FIFOメモリ3の書き込みクロックSCLK1〜SCLKn、およびFIFOメモリ3の読み出しクロックRCLKを発生するクロック発生回路8とから構成される。FIFOメモリ3の書き込みクロックSCLK〜SCLKnと、読み出しクロックRCLKのサンプリングレートfsは、ナイキスト周波数以上に設定する。サンプリングクロックSCLKa,SCLKbは互いに90°の位相差を持つクロックであり、サンプリングレートはfsのn倍に設定する。各クロックの例を図2に示す。図2(a),(b)はサンプリングクロックSCLKa,SCLKb、(c)〜(e)は書き込みクロックSCLK1〜SCLKn、(f)は読み出しクロックRCLKをそれぞれ示す。
【0016】
図3は図1の補間演算部の具体例を示すブロック図である。
すなわち、1対の乗算器61a 61bと、乗算係数cosφ,sinφを記憶しているメモリ62と、加算器63等から構成される。
図4に補間演算部の動作を示す。
図中の黒丸印は、第1のA/D変換器2aのサンプル点を、白丸印は第2のA/D変換器2bのサンプル点を表示している。両サンプル点は互いに90°の位相差を持っている。いま、第1のA/D変換器2aのサンプル値をxi、第2のA/D変換器2bのサンプル値をyiとすると、上記(1)式を適用することにより、この1対のサンプリングデータ(xi,yi)から、同相波面上(図4中の四角印)の受信データRiを次式の如く補間演算する。
Ri=cosφi×xi+sinφi×yi …(2)
【0017】
ここで、φiはi番目のchannelの第1のA/D変換器2aのサンプル点(黒丸印)から、同相波面上(図4中の四角印)までの位相差である。各φiに対するcosφi,sinφiはメモリ62に格納されており、ビームフォーム動作時に順次読み出される。このような補間演算により、同相波面上の受信信号データを得ることができる。この受信信号データを、デマルチプレクサ7により、もとのchannelに戻し、FIFOメモリ3で各channelの同期をとった後加算することにより、高精度な整相,加算を実現することが可能となる。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、補間演算部を設けて同相波面上の受信信号データを求め、FIFOメモリで同期をとった後加算することにより、A/D変換器の個数を2個とし、インタポレータを不要とし、加算のサンプリングレートを10f0(f0:超音波の中心周波数)からナイキスト周波数程度まで下げながら、高精度な整相,加算を行なうことができ、装置の小型化,低コスト化を実現することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1で用いられる各クロックを示す波形図である。
【図3】図1における補間演算部の具体例を示すブロック図である。
【図4】図3の動作説明図である。
【図5】ダイナミックフォーカスにおける振動子列と反射点,遅延時間の関係を説明するための説明図である。
【図6】第1の従来例を示すブロック図である。
【図7】図6の動作説明図である。
【図8】第2の従来例を示すブロック図である。
【図9】図8の動作説明図である。
【図10】第3の従来例を示すブロック図である。
【図11】図10の動作説明図である。
【符号の説明】
1…振動子、2,2a,2b…A/D変換器、3…FIFOメモリ、4…加算回路、5,5a,5b…マルチプレクサ、6…補間演算部、7…デマルチプレクサ、8,8A,8B,8C…クロック発生回路、9…インタポレータ、61a,61b…乗算器、62…メモリ、63…加算回路。
【発明の属する技術分野】
この発明は、フェーズドアレイ方式の探触子を有し、ディジタルビームフォームを用いてダイナミックフォーカスを行ないながら、反射エコー信号を受信する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置では通常、ダイナミックフォーカスと呼ばれる手法により、検体の任意の位置からの反射エコーを高精度に受信する方法が用いられている。
図5はかかるダイナミックフォーカスの概念を説明するための説明図で、同図(a)は、超音波を送受信する振動子列と体内における反射点との関係を示し、(b)は各振動子列と遅延時間との関係を示す。
すなわち、一様な媒質を仮定すると、深さd1の点P1で反射したエコーは、点P1を中心とする円弧状の同相波面A1を形成する。したがって、P1からのエコーを高いS/Nで得るためには、n個の振動子列21で受信した信号に対して、図5(b)に示すような遅延時間DA1を与えた後(整相)、加算する必要がある。
【0003】
同様に、深さd2の点P2で反射したエコーは、点P2を中心とする円弧状の同相波面A2を形成する。したがって、P2からのエコーを高いS/Nで得るためには、n個の振動子列21で受信した信号に対して、図5(b)に示すような遅延時間DA2を与えた後(整相)、加算する必要がある。つまり、DA1,DA2,…のように、遅延時間を切り替えながら整相,加算を行なうことでダイナミックに焦点を合わせる(ダイナミックフォーカス)ことができる。
【0004】
なお、ディジタルビームフォームを用いてダイナミックフォーカスを行ないながら反射エコー信号を受信する超音波診断装置は、下記1),2)などにより公知である。
1)Ronald A.Mucci“A Comparison of Efficient Beamforming Algorithms”IEEE
Trans.on Acoustics,Speech,and Signal
Processing Vol.ASSP−32,No.3(1984)
2)Tai K.Song and Song B.Park,“A NewDigital Phased Array System for Dynamic Forcusing and Steering with Reduced Sampling Rate”,ULTRASONIC IMAGING 12,1−16(1990)
【0005】
図6は超音波診断装置の第1の従来例としてのディジタルビームフォーム部を示すブロック図、図7はその動作説明図である。
ここでは、n個の振動子PA1〜PAnからなる探触子1で得られた受信エコーを、10〜12ビットの離散ディジタルデータに変換するA/D(アナログ/ディジタル)変換器2と、読み出しタイミングを遅延させることで、ディジタル遅延手段として用いるFIFO(First In First Out)メモリ3と、FIFOメモリ出力のサンプリングレートをk倍に増加(アップレート)させるインタポレータ9と、このインタポレータ出力を加算する加算回路4と、A/D変換のサンプリングクロックSCLK(=FIFOメモリの書き込みクロック)、およびFIFOメモリの読み出しクロックRCLK1〜RCLKnを発生するクロック発生回路8Aとから構成される。
【0006】
ここで、サンプリングクロックSCLKおよび読み出しクロックRCLK1〜RCLKnのクロックレートは、ナイキスト条件を満足するようナイキスト周波数(受信信号帯域の最高周波数の2倍程度の繰り返し周波数)以上に設定する。また、高品質の画像を維持するため、遅延時間の精度は1/10f0(f0:超音波の中心周波数)程度にすることが望ましい。また、上記構成の場合、遅延精度は読み出しクロックRCLK1〜RCLKnの位相精度と、インタポレータ9のアップレート比kにより決まるので、読み出しクロックRCLK1〜RCLKnの位相精度は1/10f0程度に、アップレート比kはk=4〜6程度に設定する。
【0007】
上記方式は、各受信信号について共通のサンプリングクロックSCLKで離散化を行ない、整相,加算はFIFOメモリ3とインタポレータ9で行なう。離散化された各受信信号データは、各受信信号の包絡線成分がほぼ一致するようにFIFOメモリ3において遅延される。しかし、このときの各信号のサンプル点の位相は必ずしも一致していないため、このまま加算したのでは、大きな誤差が発生する。そこで、インタポレータ9を用いてアップレートした後加算することで、誤差のない高精度な整相,加算を実現することができる。
【0008】
図8は超音波診断装置の第2の従来例としてのディジタルビームフォーム部を示すブロック図、図9はその動作説明図である。
n個の振動子PA1〜PAnからなる探触子1で得られた受信エコーを、10〜12ビットの離散ディジタルデータに変換するA/D(アナログ/ディジタル)変換器2と、ディジタルデータのバッファ処理を行なうFIFOメモリ3と、読み出されるFIFOメモリ出力を加算する加算回路4と、A/D変換器2のサンプリングクロックSCLK1〜SCLKn(=FIFOメモリの書き込みクロック)、およびFIFOメモリの読み出しクロックRCLKを発生するクロック発生回路8Bとから構成される。
【0009】
ここで、サンプリングクロックSCLK1〜SCLKnおよび読み出しクロックRCLKのクロックレートは、ナイキスト条件を満足するよう、ナイキスト周波数以上に設定する。上記構成の場合、遅延精度はサンプリングクロックSCLK1〜SCLKnの位相精度により決まるので、SCLK1〜SCLKnの位相精度は1/10f0程度に設定する。
この第2の方式は、各受信信号のサンプリングクロックSCLK1〜SCLKnを制御することにより、常に同相波面上の受信信号を離散化するものである(つまり、整相処理をサンプリング時点で行なっている)。FIFOメモリに書き込まれるデータはすでに整相後の値であるので、図6の方式で必要であったインタポレータ9が不要となる。FIFOメモリに書き込まれたnチャンネル(channel)の受信信号データを、共通のクロックRCLKで読み出して(つまり、同期をとって)加算すれば、高精度な整相,加算を実現することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1,第2従来例においては、A/D変換器が受信信号の数だけ必要とされる。装置の小型化を図るため、ディジタルビームフォーム部で用いられている複数のA/D変換器を、マルチプレクサと1つのA/D変換器で置き換え、入力される受信信号をマルチプレクサで順次切り替えながら、1つのA/D変換器で離散化を実行する方式が考えられる。この方式は、各受信信号のサンプル点を自由に設定することができないため(例えば、同時に2つの受信信号を離散化することはできない)、サンプル点を制御することによって整相を実現する第2の従来例と組み合わせることは困難であるが、整相をFIFOメモリとインタポレータで実現する第1の従来例とは、容易に組み合わせることができる。
【0011】
図10は第1の従来例の小型化を図った第3の従来例としてのディジタルビームフォーム部を示すブロック図である。
探触子1のn個の振動子PA1〜PAnで得られた受信信号u1,u2,…,unを順次選択するマルチプレクサ5と、選択された信号を離散化する高速A/D変換器2と、離散化された受信信号をもとのチャネル(channel)に戻すデマルチプレクサ7と、読み出しタイミングを遅延させるディジタル遅延手段としてのFIFOメモリ3と、FIFOメモリ出力のサンプリングレートをk倍にアップレートさせるインタポレータ9と、インタポレータ出力を加算する加算回路4と、A/D変換のサンプリングクロックSCLKと、FIFOメモリの読み出しクロックRCLK1〜RCLKnを発生するクロック発生回路8Cとから構成される。
【0012】
上記の構成において、読み出しクロックRCLK1〜RCLKnのクロックレートfsはナイキスト周波数以上に、また、サンプリングクロックSCLKの クロックレートはnfsに設定する。第2の従来例と同様、読み出しクロックRCLK1〜RCLKnの位相精度は1/10f0程度、アップレート比kはk=4〜6程度必要である。
図11に図10の動作を示す。
受信信号u1,u2,…,unはA/D変換器2により、1/nfsずつずれたサンプリング点で離散化される。離散化された信号は、デマルチプレクサ7により、もとのchannelに戻された後、FIFOメモリ3により包絡線成分がほぼ一致するように遅延が与えられ、インタポレータ9によりてサンプリングレートを上げて加算される。しかし、このような構成では、依然として高精度,高速なインタポレータが必要であり、また、加算時のサンプリングレートも高いため、ハードに対する負担が大きい。
したがって、この発明の課題は、画質を低下させることなく、A/D変換器の個数を減らすとともにインタポレータを不要とし、かつ、加算時のサンプリングレートをクロックレートfsと同等(つまり、ナイキスト周波数程度)にし得るようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決すべく、この発明では、複数チャネルの受信信号から1つずつ順次選択する1対のマルチプレクサと、選択された1対の受信信号を互いに90°の位相差に相当する時間だけずらして離散化する1対のA/D変換器と、離散化された1対の受信信号から所定のサンプリング点における受信信号を計算する補間演算部と、補間演算により求められた受信信号をもとのチャネルに戻すデマルチプレクサと、前記補間演算部により求められた受信信号を格納し、同期をとるFIFOメモリと、FIFOメモリ出力を加算する加算回路と、A/D変換のサンプリングクロックおよびFIFOメモリの書き込みクロック,読み出しクロックを発生するクロック発生回路とを設けるようにしている。
上記請求項1の発明では、前記補間演算部を、前記A/D変換器により離散化された1対の受信信号に所定係数を乗じる1対の乗算器と、各乗算結果を加算する加算器と、前記所定係数を記憶するメモリとから構成することができる(請求項2の発明)。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の実施の形態を示すブロック図である。
同図からも明らかなように、ここではn(n≧2)個のA/D変換器を用いる代わりに、互いに90°の位相差に相当する時間だけずらして離散化する1対の高速A/D変換器2a,2bを設け、離散化された1対の受信信号から同相波面上の受信信号を求めることにより、高速なインタポレータを不要とし、加算時のサンプリングレートをナイキスト周波数まで低減するものである。ここで、同相波面上の受信信号の求め方について、以下に説明する。この受信信号は部分的には中心周波数f0の正弦波とみなすことができるので、これをcosω0tと置くと、この信号から位相φに相当する時間だけ遅れた信号は、
と表わすことができる。つまり、cosω0tと90°だけ位相差を持ったcos(ω0t+π/2)とが分かれば、任意の位相φだけ遅れた信号を積和演算で求めることができる。
【0015】
図1に示すディジタルビームフォーム部は、探触子1のn個の振動子PA1〜PAnから得られた受信信号u1,u2,…,unを順次選択する1対のマルチプレクサ5a,5bと、選択された信号を互いに90°の位相差に相当する時間だけずらして10〜12ビットの離散ディジタルデータに変換する1対の高速A/D変換器2a,2bと、A/D変換器の出力から所定のサンプル点でのデータを計算する補間演算部6と、補間データをもとのchannelに戻すデマルチプレクサ7と、補間データを格納するFIFOメモリ3と、FIFOメモリ出力を加算する加算回路4と、A/D変換のためのサンプリングクロックSCLKa,SCLKb、FIFOメモリ3の書き込みクロックSCLK1〜SCLKn、およびFIFOメモリ3の読み出しクロックRCLKを発生するクロック発生回路8とから構成される。FIFOメモリ3の書き込みクロックSCLK〜SCLKnと、読み出しクロックRCLKのサンプリングレートfsは、ナイキスト周波数以上に設定する。サンプリングクロックSCLKa,SCLKbは互いに90°の位相差を持つクロックであり、サンプリングレートはfsのn倍に設定する。各クロックの例を図2に示す。図2(a),(b)はサンプリングクロックSCLKa,SCLKb、(c)〜(e)は書き込みクロックSCLK1〜SCLKn、(f)は読み出しクロックRCLKをそれぞれ示す。
【0016】
図3は図1の補間演算部の具体例を示すブロック図である。
すなわち、1対の乗算器61a 61bと、乗算係数cosφ,sinφを記憶しているメモリ62と、加算器63等から構成される。
図4に補間演算部の動作を示す。
図中の黒丸印は、第1のA/D変換器2aのサンプル点を、白丸印は第2のA/D変換器2bのサンプル点を表示している。両サンプル点は互いに90°の位相差を持っている。いま、第1のA/D変換器2aのサンプル値をxi、第2のA/D変換器2bのサンプル値をyiとすると、上記(1)式を適用することにより、この1対のサンプリングデータ(xi,yi)から、同相波面上(図4中の四角印)の受信データRiを次式の如く補間演算する。
Ri=cosφi×xi+sinφi×yi …(2)
【0017】
ここで、φiはi番目のchannelの第1のA/D変換器2aのサンプル点(黒丸印)から、同相波面上(図4中の四角印)までの位相差である。各φiに対するcosφi,sinφiはメモリ62に格納されており、ビームフォーム動作時に順次読み出される。このような補間演算により、同相波面上の受信信号データを得ることができる。この受信信号データを、デマルチプレクサ7により、もとのchannelに戻し、FIFOメモリ3で各channelの同期をとった後加算することにより、高精度な整相,加算を実現することが可能となる。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、補間演算部を設けて同相波面上の受信信号データを求め、FIFOメモリで同期をとった後加算することにより、A/D変換器の個数を2個とし、インタポレータを不要とし、加算のサンプリングレートを10f0(f0:超音波の中心周波数)からナイキスト周波数程度まで下げながら、高精度な整相,加算を行なうことができ、装置の小型化,低コスト化を実現することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1で用いられる各クロックを示す波形図である。
【図3】図1における補間演算部の具体例を示すブロック図である。
【図4】図3の動作説明図である。
【図5】ダイナミックフォーカスにおける振動子列と反射点,遅延時間の関係を説明するための説明図である。
【図6】第1の従来例を示すブロック図である。
【図7】図6の動作説明図である。
【図8】第2の従来例を示すブロック図である。
【図9】図8の動作説明図である。
【図10】第3の従来例を示すブロック図である。
【図11】図10の動作説明図である。
【符号の説明】
1…振動子、2,2a,2b…A/D変換器、3…FIFOメモリ、4…加算回路、5,5a,5b…マルチプレクサ、6…補間演算部、7…デマルチプレクサ、8,8A,8B,8C…クロック発生回路、9…インタポレータ、61a,61b…乗算器、62…メモリ、63…加算回路。
Claims (2)
- 複数チャネルの受信信号から1つずつ順次選択する1対のマルチプレクサと、選択された1対の受信信号を互いに90°の位相差に相当する時間だけずらして離散化する1対のA/D変換器と、離散化された1対の受信信号から所定のサンプリング点における受信信号を計算する補間演算部と、補間演算により求められた受信信号をもとのチャネルに戻すデマルチプレクサと、前記補間演算部により求められた受信信号を格納し、同期をとるFIFOメモリと、FIFOメモリ出力を加算する加算回路と、A/D変換のサンプリングクロックおよびFIFOメモリの書き込みクロック,読み出しクロックを発生するクロック発生回路とを有してなる超音波診断装置。
- 前記補間演算部を、前記A/D変換器により離散化された1対の受信信号に所定係数を乗じる1対の乗算器と、各乗算結果を加算する加算器と、前記所定係数を記憶するメモリとから構成することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
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