JP3697291B2 - 流動層ボイラ発電プラント - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、残留熱量が大きい流動層ボイラを用いた流動層ボイラ発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、将来の石炭火力発電プラントの主力発電方式の一つとして、高効率及び低公害を図ることができ、しかも低コストを実現できる流動層発電プラントが注目を浴びている。
【0003】
この流動層ボイラとしては、火炉内を大気圧で燃焼させる常圧流動層燃焼ボイラと、火炉内を加圧状態で燃焼させる加圧流動層ボイラに分類でき、さらに、各々に微粉炭を火炉内部で再循環させる循環流動層ボイラと、火炉内部に石炭等の間接熱媒体(以下ベット材という)を用い微粉炭の火炉内流速を抑制した沸騰流動層ボイラの計4種類に分類できる。ここで、循環流動層ボイラや沸騰流動層ボイラは、石炭の燃焼効率や給水への熱伝達効率を上げることを目的とするものである。
【0004】
このような流動層ボイラは、燃料を火炉内に数mm〜数十mmの層状となって含入されるので、燃料投入を停止した後もボイラ内に残された燃料の残留熱量が非常に大きく、さらに沸騰流動層ボイラにおいては、熱媒自体にも相当量の熱量を保有している。従って、ボイラの運転停止後にもボイラの残留熱によるボイラチューブの破損を防止するため、タービン系統からボイラへの給水は途絶えることのないようにすることが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなタービン系統からボイラへの給水を行うための各種ポンプはモータを駆動機としている場合が多いので、発電プラントの所内全停時や系統外部電源事故時には、ポンプ駆動の電源が絶たれることになる。もしポンプが駆動できない場合には、ボイラへの給水は絶たれてしまうので、ボイラ内の残留熱量によりボイラチューブが破損してしまう。
【0006】
また、コールドブローオフを行うと、ボイラの火炉内で燃料が水と混合した灰となり、その灰を除去しないと再起動ができない。さらに、ベット材を用いた沸騰流動層ボイラにおいては、ベット材そのものが水と嵌合し、コンクリート状に凝固してしまうという問題がある。一度、コールドブローオフをしてしまうと、発電プラントを再起動させるために要する時間は、循環流動層ボイラにおいて灰を除去する時間が約24時間かかり、沸騰流動層ボイラにおいては凝固したベット材を除去する時間が約1ヶ月と多大な時間がかかる。従って、復旧に要する期間は発電プラントは発電することができなくなり、安定的な電力供給に支障を来すおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、発電プラントの所内全停時にコールドブローオフを不必要にし、ボイラの非常停止時にも通常のボイラ停止時と同様の所要時間にて再起動できる流動層ボイラ発電プラントを得ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、流動層ボイラが停止したとき流動層ボイラからの蒸気を給水ポンプ及び給水ブースタポンプを駆動する給水ポンプ駆動タービンに導入するための蒸気ラインを設け、流動層ボイラが停止したとき流動層ボイラからの蒸気で駆動される非常用タービンを設け、復水ポンプ及び復水ブースタポンプの駆動用電源を供給するための非常用発電機を非常用タービンに連結して設けたものである。
【0009】
請求項2の発明は、流動層ボイラが停止したとき流動層ボイラからの蒸気を給水ポンプ及び給水ブースタポンプを駆動する給水ポンプ駆動タービンに導入するための蒸気ラインを設け、復水ポンプ及び復水ブースタポンプの駆動用電源を供給するための非常用発電機を給水ポンプ駆動タービンに連結して設けたものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2における非常用発電機を、流体継手を介して給水ポンプ駆動タービンに連結したものである。
【0013】
【作用】
請求項1の発明では、流動層ボイラが停止したときは、流動層ボイラからの蒸気を給水ポンプ駆動タービンに導入し、給水ポンプ及び給水ブースタポンプを駆動する。また、流動層ボイラからの蒸気を非常用タービンに導入して非常用タービンに連結された非常用発電機を駆動する。そして、この非常用発電機の発電電力を復水ポンプ及び復水ブースタポンプに駆動電源として給する。従って、流動層ボイラが停止しても給水を継続できる。
【0014】
請求項2の発明では、流動層ボイラが停止したときは、流動層ボイラからの蒸気を給水ポンプ駆動タービンに導入し、給水ポンプ及び給水ブースタポンプを駆動する。また、給水ポンプ駆動タービンに連結して設けられた非常用発電機が駆動することになるので、この非常用発電機の発電電力を復水ポンプ及び復水ブースタポンプに駆動電源として供給する。従って、流動層ボイラが停止しても給水を継続できる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項2の作用に加え、復水ポンプ及び復水ブースタポンプへの駆動電源を適切に調整することできる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。図1は本発明の第1の実施例を示す構成図である。本発明の流動層ボイラ発電プラントにおいて、その通常運転時は、流動層ボイラ1に石炭燃料を投入して給水を昇温し、蒸発させた主蒸気を主蒸気管3の蒸気弁24を介して、まず主タービンの高圧タービン2に送る。高圧タービン2にて仕事を終えた蒸気は低温再熱管12にて流動層ボイラ1へ再送され、再たび昇温されて高温再熱管13の蒸気弁25を介して中圧タービン14へ送気される。そして、中圧タービン14にて仕事を終えた蒸気はさらに低圧タービン15へ送気され、低圧タービン15にて仕事を行う。
【0019】
これら主タービン(高圧タービン2、中圧タービン14、低圧タービン15)により回転エネルギーを伝達された発電機16は、自らの回転による運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、発電プラントの所内必要電源及び所内外系統に電力を送電する。低圧タービン15にて最終的に排出された蒸気は、復水器17にて凝縮され水に戻される。復水器17には、循環水ポンプ18にて冷却水が送水されている。
【0020】
復水器17内の復水は、電動機駆動の復水ポンプ6及び電動機駆動の復水ブースタポンプ7にて昇圧され、脱気器8に送水される。脱気器8内は、ボイラ給水流量の3分程度の給水を貯水できる設備となっている。その給水を給水ブースタポンプ9及び給水ポンプ10にて昇圧し流動層ボイラ1に給水する。給水ブースタポンプ9及び給水ポンプ10は、給水ポンプ駆動タービン11で駆動される。
また、給水ポンプ駆動タービン11は蒸気弁26を介して得られる中圧タービン14の抽気で駆動される。図1では2個の給水ポンプを描いているが点線で囲まれる給水ポンプ10は同一のものであることを示している。
【0021】
本発明の流動層発電プラントでは、給水ポンプ11の蒸気源として流動層ボイラ1からの蒸気をも導くように構成されている。すなわち、主蒸気管3から分岐して蒸気弁27を介して流動層ボイラ1からの蒸気を導く蒸気管30が設けられ、流動層ボイラ1が停止した際に流動層ボイラ1の残留熱量による蒸気を給水ポンプ駆動タービン11に導くように構成されている。
【0022】
また、流動層ボイラ1からの蒸気で駆動される非常用タービン4が設けられ、流動層ボイラ1が停止した際に流動層ボイラ1の残留熱量による蒸気を蒸気弁28を介して非常用タービン4に導くように構成されている。この非常用タービン4には非常用発電機5が連結されており、この非常用発電機で発電された電力が流動層ボイラ1に給水を供給する各種ポンプ(復水ポンプ6、復水ブースターポンプ7、循環水ポンプ18)の駆動用電源となる。
【0023】
ここで、発電プラントの外部送電系統に事故が発生した場合、発電プラントは緊急停止する。これにより、流動層ボイラ1、主タービン及び発電機16は緊急停止する。従って、流動層ボイラ1が特に沸騰流動層ボイラの場合には、ボイラ停止後においても、火炉内の流動層状の石炭燃料及びベット材は多くの熱量を保有している状態である。そのため、その冷却用として流動層ボイラ1へ冷却水を送水する必要がある。
【0024】
その冷却用給水の給水量特性を図2に示す。図2に示すように、冷却水は、流動層ボイラ1が停止してから約5分間、ボイラ最大蒸発流量B−MCRを送水し、その後、給水流量を徐々に減じながら、最終的に冷却用の給水が停止するまで20分程度の時間を必要とする。
【0025】
給水ポンプ駆動タービン11は、通常運転中には中圧タービン14からの抽気により運転されるが、中圧タービン14の停止により蒸気弁24を閉じ蒸気弁27を開して駆動蒸気源を主蒸気管3より蒸気管30に切り替える。これにより、主タービンの停止後も継続して給水ポンプ駆動タービン11は運転されることになる。脱気器8内には、ボイラ最大蒸発流量(B−MCR流量)の3分程度の給水が貯水されているので、その水が主蒸気を動力源とした給水ポンプ10及びそれに直結された給水ブースタポンプ9によって流動層ボイラ1に給水される。
【0026】
脱気器8内の貯水は、復水ポンプ6と復水ブースタポンプ7によって補給されることになる。復水ポンプ6及び復水ブースタポンプ7の駆動電源は、通常運転時は主タービンに連結された発電機16より得ているが、主タービン及び発電機16の停止及び所外電源系統の事故時には、流動層ボイラ1内の残留熱量により発生した主蒸気により非常用タービン4及び非常用発電機5が駆動されるので、非常用発電機5で発生した電力を駆動電源とする。
【0027】
すなわち、非常用発電機5によって発電された電力は、復水ポンプ6、復水ブースターポンプ7及び循環水ポンプ18に供給されるため、これら流動層ポンプ1への給水のためのポンプは停止することなく継続的に運転されることになる。
その結果、脱気器8内の貯水量は一定に保持される。つまり、復水ポンプ6及び復水ブースターポンプ7によって脱気器8内の貯水量は一定に保持され安定的に供給されることになる。
【0028】
このように、流動層ボイラ1内の残留熱量は給水ポンプ駆動タービン11及び非常用タービン4によって仕事されるため、熱エネルギーの有効活用ができる。
これら給水ポンプ駆動タービン11及び非常用タービン4から排出される蒸気は、復水器17に回収され循環水ポンプ18によって送られた冷却水と熱交換される。そして、そこで凝縮され液化して復水器17内は運転に安定的な真空度に保たれる。
【0029】
以上のようにこの第1の実施例によれば、外部系統事故が発生し、流動層ボイラ発電プラントが緊急停止した場合でも、非常用タービンに連結された非常用発電機が流動層ボイラへの給水を行う各種ポンプの駆動電源を確保するので、ボイラチューブを損傷するようなことはない。また、非常用タービンの駆動蒸気源としては流動層ボイラに残留した熱源を利用するので、熱エネルギーの有効活用ができる。
【0030】
次に、図3に本発明の第2の実施例の構成図を示す。この第2の実施例は第1の実施例に対し、非常用タービン4を省略し非常用発電機5をボイラ給水ポンプ駆動タービン11に連結して設け、また給水ポンプ10の流量制御を行うための調節弁19を設けたものである。従って、流動層ボイラ1が停止したときは、ボイラ給水駆動用タービン11で給水ポンプ10及び給水ブースタポンプ9を駆動すると共に、非常用発電機5も駆動して復水ポンプ6及び復水ブースタポンプ7の駆動用電源を供給することになる。
【0031】
そして、ボイラ給水ポンプ駆動タービン11は第1の実施例のように必ずしも給水流量を制御するように駆動されるわけではなく、復水ポンプ及び復水ブースタポンプの駆動用電源を優先して駆動されることもあるから、給水流量を制御するための調節弁19を設けている。その他の構成は図1に示した第1の実施例と同一であるので、同一要素には同一符号を付しその説明は省略する。
【0032】
第1の実施例と同様に、流動層ボイラ1が停止したときは、流動層ボイラ1内の残留熱量による蒸気で給水ポンプ駆動タービン11を運転し、流動層ボイラ1への冷却水を確保すると共に非常用発電機5で発生した電力を復水ポンプ6及び復水ブースタポンプ7の駆動電源として確保する。また、非常用発電機5は一定回転数で運転するのが望ましいので、この第2の実施例でも一定回転数で運転する。したがって、調節弁19にて給水ポンプ10の供給流量及び圧力を適正に制御する。これにより、流動層ボイラ1へ安定した冷却水を送水することが可能となる。
【0033】
次に、図4に本発明の第3の実施例を示す。この第3の実施例は第2の実施例に対し、非常用発電機5を流体継手20を介して給水ポンプ駆動タービン11に連結し、調節弁19を省略したものである。非常用発電機5を流体継手20を介して給水ポンプ駆動タービン11に連結したことにより、給水ポンプ10と非常用発電機5とは異なる回転数で回転することが可能となり、流動層ボイラ1への給水流量に応じて給水ポンプ駆動タービン11の回転数を変化させたとしても非常用発電機5の回転数を一定で回転させることができる。従って、給水ポンプ10の供給流量及び圧力を制御するための調節弁19は省略している。その他の構成は図3に示した第2の実施例と同一であるので、同一要素には同一符号を付しその説明は省略する。
【0034】
第2の実施例と同様に、流動層ボイラ1が停止したときは、流動層ボイラ1内の残留熱量による蒸気で給水ポンプ駆動タービン11を運転し、流動層ボイラ1への冷却水を確保すると共に非常用発電機5で発生した電力を復水ポンプ6及び復水ブースタポンプ7の駆動電源として確保する。また、流動層ボイラ1への冷却用の給水流量及び圧力の制御は給水ポンプ駆動タービンの回転数で行う。一方、非常用発電機5は一定回転数で運転するのが望ましいので、この第3の実施例でも一定回転数で運転する。したがって、流体継手20で非常用発電機5の回転数を調節することになる。これにより、流動層ボイラ1へ安定した冷却水を送水することが可能となる。
【0035】
すなわち、第3の実施例では調節弁19の代わりに給水ポンプ駆動タービン11と非常用発電機5とを流体継手20を介して接続し、給水ポンプ10と非常用発電機5とを異なる回転数で運転をする。つまり、流動層ボイラ1への必要冷却水量及び圧力と、必要補機への供給電力とを常に安定に供給することによって、流動ボイラ1へ安定した冷却水を送水し続けることが可能となる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、流動層ボイラ発電プラントの外部電源系統の停止による発電プラント内の全停電時にも、流動層ボイラの火炉内へ安定した冷却水を給水することができる。従って、コールドブローオフを不必要として流動層ボイラの非常停止時にも通常のボイラ停止時と同様の所要時間にて再起動できる。
【0045】
すなわち、請求項1の発明によれば、流動層ボイラ発電プラントが緊急停止した場合でも、非常用タービンに連結された非常用発電機が流動層ボイラへの給水を行う各種ポンプの駆動電源を確保するので、ボイラチューブを損傷するようなことはない。また、非常用タービンの駆動蒸気源としては流動層ボイラに残留した熱源を利用するので、熱エネルギーの有効活用ができる。
【0046】
請求項2の発明では、給水ポンプ駆動タービンには、給水ポンプ及び非常用発電機を連結しているので、非常用タービンが不要となる。しかも請求項1の発明の効果と同様な効果が得られる。
【0047】
請求項3の発明では、給水ポンプ駆動タービンと非常用発電機とは流体継手を介して連結しているので、請求項2の発明の効果に加え、流体継手で非常用発電機の回転数を調節できるという効果が得られる。したがって、給水ポンプ駆動タービンが流動層ボイラへの給水流量に応じて回転数制御しても非常用発電機の回転数を一定に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す構成図。
【図2】流動層ボイラの停止時おける冷却用給水の給水量特性を示す特性図。
【図3】本発明の第2の実施例を示す構成図。
【図4】本発明の第3の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
1 流動層ボイラ
2 高圧タービン
3 主蒸気管
4 非常用タービン
5 非常用発電機
6 復水ポンプ
7 復水ブースタポンプ
8 脱気器
9 給水ブースタポンプ
10 給水ポンプ
11 給水ポンプ駆動タービン
12 低温再熱蒸気管
13 高温再熱蒸気管
14 中圧タービン
15 高圧タービン
16 発電機
17 復水器
18 循環水ポンプ
19 調節弁
20 流体継手
21 補給水タンク
24〜27 蒸気弁
Claims (3)
- 残留熱量を有する流動層ボイラからの蒸気を主タービンに導き、この主タービンで仕事を終えた蒸気を復水器で凝縮し、この復水器からの復水を復水ポンプ及び復水ブースタポンプで脱気器に導き、この脱気器の水を給水ポンプ及び給水ブースタポンプで前記流動層ボイラに供給するようにした流動層ボイラ発電プラントにおいて、前記流動層ボイラが停止したとき前記流動層ボイラからの蒸気を前記給水ポンプ及び給水ブースタポンプを駆動する給水ポンプ駆動タービンに導入するための蒸気ラインを設け、前記流動層ボイラが停止したとき前記流動層ボイラからの蒸気で駆動される非常用タービンを設け、前記復水ポンプ及び復水ブースタポンプの駆動用電源を供給するための非常用発電機を前記非常用タービンに連結して設けたことを特徴とする流動層ボイラ発電プラント。
- 残留熱量を有する流動層ボイラからの蒸気を主タービンに導き、この主タービンで仕事を終えた蒸気を復水器で凝縮し、この復水器からの復水を復水ポンプ及び復水ブースタポンプで脱気器に導き、この脱気器の水を給水ポンプ及び給水ブースタポンプで前記流動層ボイラに供給するようにした流動層ボイラ発電プラントにおいて、前記流動層ボイラが停止したとき前記流動層ボイラからの蒸気を前記給水ポンプ及び給水ブースタポンプを駆動する給水ポンプ駆動タービンに導入するための蒸気ラインを設け、前記復水ポンプ及び復水ブースタポンプの駆動用電源を供給するための非常用発電機を前記給水ポンプ駆動タービンに連結して設けたことを特徴とする流動層ボイラ発電プラント。
- 前記非常用発電機は、流体継手を介して前記給水ポンプ駆動タービンに連結したことを特徴とする請求項2に記載の流動層ボイラ発電プラント。
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