JP3696921B2 - 半田処理用治具及び電子部品搭載用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、半田処理用治具(以下、「治具」という。)及び電子部品搭載用基板(以下、「搭載用基板」という。)の製造方法に関する。更に、詳しく言えば、半田処理工程の適正化を図ることにより、高精度で、高い信頼性を備えた搭載用基板を得ることができる治具及びこの様な搭載用基板を得るための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IC等の電子部品を搭載するための搭載用基板では、基板本体に設けられた接続用の導体部分と、所定の外部接続用手段(外部接続用のリードピン、リードフレーム等)との接合箇所の電気的信頼性や機械的強度を確保するために、半田部を形成することが行われてきた。
例えば、図4に示す様なピングリッドアレイ型(PGA型)の搭載用基板では、内壁面に導体層24の設けられたスルーホール23内に、外部接続用リードピン(以下、「リードピン」という。)3の根元部31を挿入した状態で、このスルーホール23内に半田部H1 を形成することが行われている。また、図12に示す様な表面実装型(QFP型等)の搭載用基板では、スルーホール63内を充填しつつ、基板本体6の上面の導体パターン661とリードフレーム7とを導通させる半田部H2 を形成することが行われている。
【0003】
そして、これらの半田部H1、H2の形成は、いずれも、基板本体2、6の下面側を溶融半田に浸し、この溶融半田を上記スルーホール23、63内に進入、上昇させる工程(以下、「半田処理工程」という。)により行われている。
ところが、この工程の際、溶融半田が基板本体2、6(搭載用基板)の目的外の箇所に付着すれば、搭載用基板としての精度、信頼性等を低下させることになりかねない。
例えば、図4に示す様なフェースダウンタイプの搭載用基板の場合には、基板本体2の下面側に設けられた電子部品搭載用凹部(以下、「搭載用凹部」)25(特にボンディングパッド263a)に溶融半田が付着すれば、搭載用基板の精度、信頼性等が低下することとなる。このため、半田処理の際、図17に示す様に、中央寄りに位置する平板状の遮蔽部12mと、その周囲に設けられた多数の貫通孔111mとを備えた治具1mが従来より用いられている(特開昭63−158858号公報等)。この治具1mは、リードピン3の突出部32を貫通孔111mに挿入しつつ、搭載用凹部25に遮蔽部12mで蓋をするものである(図18参照)。
【0004】
また、図12に示す様な搭載用基板では、リードフレーム7のうちで、基板本体6の外側にはみ出した部分(例えば、アウターリード部等)72に、溶融半田が付着することを防止する必要がある。このため、図19に示す様に、基板本体6に対し、若干のクリアランスを持って、その形状と略同形状の開口部Kを備えた枠状の治具(外側遮蔽部材)5mを用い、このはみ出し部72を保護することが行われている。(但し、図19の点線は、この治具5mを多連状に並べた治具体5Mを示している。)そして、この種の治具5mは、図20及び21に示す様に、上記はみ出し部72の下方側で、且つ基板本体6を取り囲む箇所において、はみ出し部72を溶融半田から遮蔽することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以下に述べる様に、これら治具1m、5mでは、上記「溶融半田の目的外の箇所への付着」を確実に防止できないことが多い。
即ち、前者の治具1mは、上記遮蔽部12mで、上記搭載用凹部25に蓋を被せるものに過ぎないため、搭載用凹部25内をしっかりと密閉された状態にすることが困難である。そして、通常の溶融半田がフラックス等で覆われて表面張力が小さくなっていること等と相まって、遮蔽部12mと基板本体2の下面29との間に存在する僅かな隙間より、溶融半田が搭載用凹部25内へと進入し易いのが実情である。
【0006】
一方、図12に示す様な表面実装型の搭載用基板では、高密度化の要請から、インナーリード部71の微細化、基板本体6の上下面に形成される各導体パターン661、662のリードピッチの微細化が大きく進行している。このため、半田処理工程の際に、基板本体6の下面61において、隣接する2つ以上の導体パターン(以下、「給電用パターン」という。)662に跨がって半田が付着する所謂「半田ブリッジ」と称される不具合が生じ易くなっている。これに対し、基板本体6の下面61にソルダーレジストを配置し、この様な不具合を回避しようとしても、各給電用パターン662のうちで、少なくともランド電極部662aは、その機能上、上記溶融半田に対して露出した状態にする必要がある。その結果、この様なソルダーレジストを用いても、上記ピッチ間隔が狭くなっていることと相まって、隣接するランド電極部662a間の半田ブリッジを回避することは困難である。
【0007】
また、上記ランド電極部662aより、基板本体6の端縁側等に向かって延設されるめっきリード部662bを、基板本体6の上面側に設ければ、この不具合を幾らかでも、生じ難くできると思われるが、この手法は以下の理由で採用し難い。即ち、めっきリード部662bは、基板本体6の必要部分に、Ni、Auめっき等を施すためのものである。このNi、Auめっき等は、基板本体6と、その電子部品搭載部(以下、「搭載部」という。)に搭載された電子部品(半導体等)とをAu線等(ボンディングワイヤー)により、電気的に接続する際に必要となるもので、この搭載部の周囲に設けられる。そして、めっきリード部662bを基板本体6の上面側に設ければ、半田による接合(接続時)時に、その歩留り(接合のし易さ)に大きな影響を与えるインナーリード部71とパターン(接続用導体パターン)661のギャップ(間隔)が大きく開き、歩留りが非常に悪くなる。このため、歩留り良く製品を得ようとすれば、めっきリード部662bを基板本体6の下面側(リードフレームの反対側)61に設ける必要があるからである。
【0008】
以上の様に、従来の各治具1m、5m等では、上記半田処理工程の際に、溶融半田が基板本体の目的外の箇所に付着する不具合を効果的に防止できないことが多い。従って、この様な不具合を確実に防止でき、しかも、搭載用基板(基板本体2、6)との脱着が容易で、高精度で、高性能な搭載用基板を確実に得ることができる治具、及びこの様な治具を用いた搭載用基板の製造方法の出現が従来より切望されていた。
【0009】
本発明は、上記観点に鑑みてなされたものであり、半田処理工程の適正化を図ることにより、高精度で、高い信頼性を備えた搭載用基板を得ることができる治具及びこの様な搭載用基板を得るための方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本第1発明の治具は、下面側に形成された搭載用凹部及び該搭載用凹部の周囲に形成された各スルーホールを有する基板本体と、該各スルーホール内に挿入される各根元部及び基板本体の下面より突出される各突出部を有する各リードピンと、を備えたピングリッドアレイ型の搭載用基板を製造する各工程のうちで、所定の溶融半田を上記基板本体の下面側より、該各スルーホール内に進入させて上記各根元部を該基板本体に半田固定する半田処理工程において該基板本体の下面側に配置される治具であって、平板部と、該平板部の上面から突出するように設けられ、上記搭載用凹部の少なくとも基板本体の下面寄りに摺動状態で嵌合し該搭載用凹部を略充填する隠蔽用凸部と、上記平板部の隠蔽用凸部周囲に設けられ、該隠蔽用凸部が上記搭載用凹部に嵌合する際に上記各スルーホールと略連通しつつ、上記各突出部を挿入可能な各貫通孔と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明は、主に、PGA型で、且つフェイスダウンタイプの搭載用基板の半田処理工程の適切化を図るものである。
上記隠蔽用凸部は、上記搭載用凹部全体に嵌まり込む状態(以下、「充填した状態」という。)になるものでも、搭載用凹部のうちの基板本体の下面寄りにのみ嵌まり込む状態(瓶口にコルク栓が嵌まり込んだ様な状態であり、以下、「栓をした状態」という。)になるものでもよい。上記本第2発明は、前者の「充填した状態」の一例を示すものであり、隠蔽用凸部の凸状壁面形状と搭載用凹部の凹状壁面形状とを略対応させ、該隠蔽用凸部が搭載用凹部に嵌合可能としたものである。
【0012】
また、本第3発明は、本第2発明において、搭載用凹部の凹状壁面形状が段差状であると共に、隠蔽用凸部が該凹状壁面形状に略対応した段差状の凸状壁面形状を備える場合を示している。これは、図3等に示す様に、基板本体が多数の基材21、22の積層構造を備える場合には、搭載用凹部25の凹状壁面形状が段差状とされ易いことを考慮したものである。
更に、上記貫通孔の形状、大きさ、配置箇所等は、治具が基板本体に取着される際に、上記各リードピンの各突出部が挿入可能で、且つ上記スルーホール内に十分な量の溶融半田を供給できる限り特に問わない。例えば、円形、矩形状等の横断面形状を備え、且つスルーホールと略同様、若しくはやや大きめ横断面を備えたものを例示できる。尚、この様に各貫通孔の横断面を大きめにすれば、各貫通孔と各リードピンとの間に十分なクリアランスが確保されるため、治具の装着の作業性が向上する。
【0013】
また、本第4発明に示す様に、各貫通孔をスリット状としてもよい。この場合にも、上記「クリアランス」が確保され、治具の装着の作業性が向上すると共に、リードピンの突出部の突出箇所、サイズ等が異なる種々の搭載用基板に対しても使用でき、治具としての汎用性が向上する。尚、「各貫通孔の横断面が大きめ」であったり、「スリット状」である場合等は、各貫通孔毎に複数のリードピンが挿入されてもよい。
【0026】
上記第1〜4発明に示す治具の材質としては、使用する溶融半田に濡れを生じ難く、溶融半田に対する耐熱性を備えたものが選択される。例えば、ガラスエポキシ、ガラスポリイミド等の強化プラスチック、ステンレス、チタン等の金属、所定のセラミックスにより構成されるものを例示できる。また、上記「溶融半田」が入れられる半田槽の形式は特に問わず、例えば、噴流式、静止式、オーバーフロー式等を例示できる。更に、基板本体の溶融半田に対する浸漬、引き上げ方向は特に問わず、垂直、斜め、水平等の各方向を、種々選択できる。
【0027】
【作用】
本第1〜4発明に示される治具は、平板部と、隠蔽用凸部と、平板部の隠蔽用凸部周囲に設けられた各貫通孔とを備えている。この隠蔽用凸部は、基板本体の下面側に設けられた搭載用凹部のうちで、少なくとも基板本体の下面寄りに嵌め込まれるものである。従って、隠蔽用凸部で搭載用凹部を充填した状態にしたり、搭載用凹部の下方側に栓をした状態にする。この結果、半田処理の際、搭載用凹部が密閉された状態となるため、たとえ、溶融半田の表面張力が小さくても浸入し難い。また、この隠蔽用凸部の搭載用凹部への嵌め込みは、摺動状態で行われる。その際、上記各貫通孔は基板本体の各スルーホールと略連通するため、リードピンの各突出部は各貫通孔に確実に挿入される。従って、治具と基板本体との脱着を精度良く、スムーズに行うことができ、半田処理工程の作業性が向上する。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)実施例1
本実施例は、図1に示す様な平面形状を備えた治具1を用い、図3に示す様な手順に従い、フェイスダウンタイプで且つPGA型の搭載用基板の半田処理を行ったものである。
【0030】
本治具1は、ステンレス製又はガラスエポキシ製のものであり、平面形状が略矩形の平板部11と、その上面の略中央寄りから突出する隠蔽用凸部12とを備えている。また、平板部11の隠蔽用凸部12を取り囲む箇所には、多数の貫通孔(1.5mmφ)111が設けられている。
更に、隠蔽用凸部12は、段差状の外形を備えており、下方側に位置する台座部121と、この台座部121の上に配置され、且つ台座部121よりも平面形状の小さい上方部122とにより構成されている。尚、この隠蔽用凸部12は、上記平板部11と一体的に作製されるものでも、別体で作製された後に接合されるものであってもよい。
【0031】
一方、半田処理前の搭載用基板2は、図3(a)に示す様に、基板本体2と、リードピン3とを備えている。このうち、基板本体2は、外形の平面形状が略矩形の第1基材21と、その上面側に配置され、同様な外形を備えた第2基材22との積層構造を備えている。尚、両基材21、22の接合は、所定の接着剤(例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、トリアジン樹脂系等の液状、若しくはBステージのシート状の接着剤)27によりなされている。但し、基板本体2を単一の基材からなる単層構造としてもよい。
【0032】
また、上記各基材21、22は、ガラス布に、ビスマレイミドトリアジン樹脂を含浸させたものである。但し、これらの基材21、22の材質は特に問わず、所定の耐熱性絶縁樹脂(エポキシ、ポリイミド、テフロン等)を含浸させたガラス布板や、所定のセラミック板等としてもよい。
更に、基板本体2の下面側の略中央寄りに、略段差状の凹状壁面を備えた搭載用凹部25が設けられている。尚、この凹部25には、上記半田処理の後、図4に示す様な電子部品(半導体等)Dが搭載されることとなる。
【0033】
更に、この凹部25の周囲には、上下両面を貫通するスルーホール23が多数設けられている。また、各スルーホール23の内壁面には、銅めっき、ニッケルめっき及び金めっきを、この順で施して形成された導体層24が設けられている。
また、上記基板本体2の上下両面の各スルーホール23周囲に相当する箇所には、上記導体層24の各端縁と導通するパッド部261、262が設けられている。更に、上記第2基材22の下面側の所定の箇所にも、導体層24に導通する内部パターン263が設けられている。尚、これらのパッド部261、262及び内部パターン263は、上記基材21、22の所望の面に貼られた銅箔にエッチング処理を施して構成されており、その表面側にはニッケルめっき及び金めっきがこの順で施されている。
【0034】
また、内部パターン263のうちで、上記搭載用凹部25で露出する部分263aが、所定のボンディングワイヤー(例えば、図4のY)の一端側が取着されるボンディングパッドとなる。尚、このワイヤーの他端側は、上記電子部品Dに取着されることになる。
上記各リードピン3は、銅、鉄、これらの合金(リン青銅、コバール、42アロイ)等の導電性を備えた金属により構成されている。そして、これらのリードピン3は、略同様な形状、太さを備えた根本部31及び突出部32と、これらの境界に配置されたやや幅広の鞘部33とを備えている。そして、これらのリードピン3は、各根本部31が、基板本体の下面側より上記各スルーホール23に挿入され、仮止めされた状態になっている。
【0035】
そして、本治具1の外形、寸法等は、上記搭載用基板2に取着可能な様に定められている。即ち、治具1の外形、寸法等(特に、隠蔽用凸部12の形状、寸法、配置箇所等)は、搭載用基板2の外形、寸法(特に、搭載用凹部25、リードピン3の形状、寸法、配置箇所等)に対応している。このため、外形、寸法等の異なる他の搭載用基板に半田処理を行う場合には、それに応じた外形、寸法等を備えた治具1とすることが必要である。但し、図2に示す様に、上記略円形断面を備えた貫通孔111の代わりに、矩形状断面を備えた大きめの貫通孔111aを設けたり、スリット状の貫通孔等を設ければ、リードピン3の形状、寸法、配置箇所等が異なる種々の搭載用基板に対しても汎用的に使用できる。
【0036】
そして、本実施例では、図3に示す様な手順に従って半田処理を行った。
先ず、図3(a)に示す様に、搭載用基板2の下面側に、上記治具1を位置あわせしながら取着する。このとき、上記隠蔽用凸部12が上記搭載用凹部25に摺動状態で嵌合される。この結果、搭載用凹部25の内部は、隠蔽用凸部12で充填された状態になる。これと同時に、上記リードピン3の突出部32が、上記貫通孔111内に挿入されるため、上記搭載用基板2の下面は、上記治具1の平板部11の上面に密着した状態になる。
【0037】
次いで、同図(b)に示す様に、半田槽(オーバーフロー式、噴流式等)内の溶融半田H1 に、この搭載用基板2を、その下面側(治具1の側)より浸漬し、約 分間保持した。このとき、溶融半田H1 は、上記貫通孔111を通過し、上記各スルーホール23内に浸入し、同各スルーホール23の上端側に到達する。そして、図4に示す様に半田部H1 が形成され、これにより、各リードピン3の各根本部31が上記各導体層24、ひいては基板本体2に固定され、半田処理工程を終了する。尚、この溶融半田H1 としては、例えば、錫−鉛、錫−銀、錫−アンチモン等の各種半田を用いることができるが、半田接合後の基板本体2の熱劣化、半田の耐熱性等を考慮して、所謂、9:1半田(錫と鉛が9:1で混合された半田)を用いることが特に好ましい。
【0038】
上記の様に、治具1の隠蔽用凸部12が搭載用凹部25に嵌まり込み、搭載用凹部25が隠蔽用凸部12で略充填された状態で半田処理を行うため、溶融半田は、この搭載用凹部25内に浸入し難い。この結果、半田処理の際に、溶融半田が搭載用凹部25内、特に、パッド部(ボンディングパッド)263aに付着することを確実に防止できる。
また、この隠蔽用凸部12の搭載用凹部25への嵌め込みは摺動状態で行われる。更に、治具1の搭載用基板2への取着は、隠蔽用凸部12が搭載用凹部25に嵌まり込み、且つ各貫通孔111がリードピンの各突出部32を通過させる様にすれるだけで、正確に行うことができる。従って、高い作業性の下で、半田処理を行うことができる。
【0039】
また、本実施例の変形例として、図5に示す様な治具1eを挙げることができる。
この治具1eは、同図に示す様に、隠蔽用凸部12eを台座部121eのみにより構成したものである。そして、この隠蔽用凸部12eは、上記搭載用凹部25の下方側25aに栓をする様な状態で嵌め込まれる。このため、上記搭載用凹部25の残りの部分(第2基材22側に位置する上方側)25bには隠蔽用凸部12eが挿入されないが、この部分25bは、あたかも、瓶口にコルク栓の嵌め込まれた瓶の内部の様に略密閉された状態になる。従って、この治具1eによっても、上記溶融半田H1 の搭載用凹部25への付着を確実に防止できる。
【0040】
更に、この治具1eでは、台座部121e及び平板部11eを所定のボルト(但し、両者を締結する手段はこのボルトに限らない。)B1を用いて脱着可能としている。従って、半田処理を行う搭載用基板2の搭載用凹部25の配置箇所、形状等に応じて、種々の形状を備えた台座部121eに取り替えて使用できるため、汎用性が高い。また、本治具1eの様に、隠蔽用凸部12eを台座部121eのみで構成すれば、上記「搭載用凹部25の残りの部分25b」の形状等が異なる搭載用基板2に対しても汎用的に使用できる。また、本実施例及び変形例では、2層構造の搭載用基板2に使用する治具1、1eについて述べたが、図6に示す様な3層構造、若しくは4層構造以上の搭載用基板2fに対して使用される治具1fであってもよい。
【0041】
(2)実施例2
本実施例では、図7に示す様な治具体5Lを用いて、図9に示す様な手順で、QFP型の搭載用基板の半田処理を行った。
【0042】
上記治具体5Lは、全体を通じて略一定の厚み(0.6mm)のステンレス板で構成されている。また、この治具体5Lは、多数の治具5を長手方向に多連状に配置した長尺状のものである。そして、図7に示す点線58で区画される各部分が各治具5となり、個々の治具5に相当する部分毎に、半田処理のなされる搭載用基板が取着されることになる。
また、各治具5に相当する部分毎に略矩形を描きながら並ぶ、4つの開口孔531〜534が設けられている。更に、各治具5に相当する部分では、開口孔531等の外側の箇所が外側遮蔽部(材)51となり、開口孔531等の内側の箇所が内側遮蔽部(材)52となっている。
【0043】
一方、半田処理前の搭載用基板は、図9(a)に示す様に、基板本体6と、リードフレーム7とを備えている。
このうち、基板本体6は、実施例1の第1基材21と同様な基材のみで構成された単層構造を備え、その略中央寄りの上面の部分をそのまま搭載部Tとしている。但し、実施例1と同様な複層構造としてもよい。
また、基板本体6搭載部Tの周囲には、各スルーホール(0.3mmφ)63が略千鳥状に配置されている(図10参照)。
【0044】
更に、これらのスルーホール63の内壁面には、実施例1と同様な導体層64が形成されている。
また、基板本体6の上面の上記搭載部Tの周囲には、上記導体層64の上端縁に導通した状態で、所定の接続用パターン661が、所定の間隔(0.3mm)をおきながら形成されている。尚、各パターン661のスルーホール63の上端の周囲側に位置する部分661aは、接続パッドとして作用する。
更に、基板本体6の下面61の搭載部Tの周囲に相当する箇所には、上記導体層64の下端縁に導通した状態で、所定の給電用パターン662が、所定の間隔(0.3mm)をおきながら形成されている。
【0045】
これらの給電用パターン662は、上記導体層64の下端縁に導通した状態で、スルーホール63の周囲に形成された各ランド電極部(各給電用パターン662の形成方向に直交する方向に沿った幅;約0.3mm)662aと、各ランド電極部662aより基板本体6の各端縁A1 〜A4 (図8参照)側に延設された各めっきリード部(幅;0.2mm、全長;2mm)662bとを備えている。尚、上記各給電用パターン662の所望の箇所には、所定のソルダーレジストをスクリーン印刷法で印刷塗布し、加熱硬化させた状態になっている。但し、このソルダーレジストの印刷塗布工程は省略することもできる。
【0046】
また、図10に示す様に、各ランド電極部662aは、各スルーホール63の形成状態に対応して、基板本体6の各端縁A1 〜A4 に近接するもの(以下、「端寄り電極部」662a1 という。)と、離間するもの(以下、「内寄り電極部」662a2 という。)とに分けられる。
尚、上記各パターン661、662は、基板本体6の上下両面に貼られた銅箔にエッチング処理を施して構成されており、その表面側にはニッケルめっき及び金めっきがこの順で施されている。
【0047】
上記リードフレーム7は、所要の金属箔(例えば、三菱電機社製の「MF202−H」、厚み;0.15mm)からなる。そして、各インナーリード部71が対応するスルーホール63の上方になる様に位置合わせされながら、上記基板本体6の上面側に配置されている。尚、各インナーリード部71及び各接続用導体パターン661の機械的な接続は、主に、基板本体6の上面の各端縁(A1 〜A4 )寄りの部分と、各インナーリード部71との間に配置された接着剤(例えば、実施例1の接着剤27と同様なもの)S1 によりなされている。
【0048】
そして、本治具5の外形、寸法等も、上記搭載用基板6に取着可能な様に定められている。即ち、これらの外形、寸法等(特に、開口孔531〜534の形状、寸法、配置箇所等)は、搭載用基板6の外形、寸法に対応させてある。具体的には、治具5(治具体5L)の幅を、上記基板本体6の幅よりもやや広くすると共に、各開口孔531〜534の描く外形線を、上記基板本体6の外周縁の形状に略一致させている。この結果、図9(a)及び10に示す様に、治具5を搭載用基板の下面側に取着すれば、外側遮蔽部51が上記リードフレーム7のアウターリード部72の下方側に配置され、内側遮蔽部52は基板本体6の下面のスルーホール63よりも内寄りの箇所を覆うことになる。
【0049】
そして、本実施例では、図9(b)に示す様に、この治具5の取着された搭載用基板を、各基板本体6の所定の端縁(A1 〜A4 のいずれの端縁でもよい。)を先頭にし、且つ基板本体6の下面61側を所定のはんだ槽内で噴流する溶融半田の液面に浸しながら搬送して、半田処理を行った。尚、この溶融半田としては、実施例1と同様の所謂、9:1を用いることができる。
このとき、図9(b)及び図11に示す様に、各基板本体6の下面61と、内側遮蔽部52の下面52aとで段差状態を形成する。その際、内側遮蔽部52の外周端面部521と、上記端寄り電極部662a1 との距離は、0.2mmとなり、外周端面部521と上記内寄り電極部662a2 との距離は、0.95mmとなる(図10参照)。
【0050】
そして、この搬送中に、図9(b)及び図11に示す様に、溶融半田H2 がスルーホール63内に浸入し、次いで、スルーホール63内を上昇し、基板本体6の上面に到達し、更に、上記各接続用パターン661のスルーホール63の周囲に位置する部分(接続パッド)661aを介し、上記インナーリード部71に迄達する。そして、図12に示す様に、各スルーホール63内の充填と、各接続用パターン661びインナーリード部71の電気的な接続とを行う半田部H2 が形成される。
そして、この基板本体6(搭載用基板)を半田槽内より取り出せば、その下面側の各給電用パターン662の表面が、半田により被覆されていることが確認できる。このとき、この半田による被覆は、略各給電用パターン662の表面のみに限られ、複数の給電用パターン662を跨いだ状態で半田が付着している部分は存在しない。
【0051】
本実施例では、上記半田処理の際、図11に示す様に内側遮蔽部52の外周端面部521と、基板本体6の下面61の露出面部61aとが角部8を形成する。また、基板本体6及び内側遮蔽部52は、半田濡れの生じ難い材質で構成されている。このため、この角部8に、溶融半田H2 の接触しない非接触空間81を形成しつつ、上記半田処理が行われる。この結果、この空間81の体積分の溶融半田H2 が、基板本体6の下面61のスルーホール63の周囲から排除され、この周囲に供給される溶融半田H2 の量が適量となる。従って、給電用パターン662のピッチ間隔が小さくなっても、隣接する各パターン662間に、半田ブリッジを生じ難い。
【0052】
尚、本実施例では、内側遮蔽部52が、全体を通じて面一の板状となっているが、枠状となっていてもよい。
また、図13(a)に示す様に、内側遮蔽部(材)52eと、外側遮蔽部(材)51eとを別体としてもよい。更に、この別体となる場合には、内側遮蔽部(材)52eが、基板本体1の一部を構成していてもよい。また、この別体にする場合、この図に示す様に、基板本体6の所望の箇所に、内側遮蔽部52eを接着剤S2 、両面テープ等で取着してもよい。更に、同図(b)に示す様に、所定の樹脂板や、テープ状物等により、内側遮蔽部(材)52fを構成することもできる。
【0053】
更に、本実施例の治具5の変形例として、図14及び15に示すものを例示できる。
このうち、図14に示す治具は、内側遮蔽部52gの外形が異なる他は、実施例2と同様である。
この内側遮蔽部52gの外周端縁は、基板本体6の設けられた各スルーホール63の千鳥状の配置状態に追随したジグザグ状の経路線59gを描いている。そして、端寄り電極部662a1 とこれに対向する外周端面部521gとの距離、及び内寄り電極部662a2 とこれに対向する外周端面部521hとの距離を、いずれも、0.4mmとしている。従って、本実施例では、角部8、ひいては、非接触空間81の大きさが、各ランド電極部662a(662a1 、662a2 )の千鳥状の配置状態にも係わらず、内側遮蔽部材52g全体を通じて略一定となる。従って、より一層、高精度に搭載用基板を製造することができる。
【0054】
更に、図15に示す治具5r(治具体5R)は、内側遮蔽部52rを、基板本体6の半田層内での搬送方向の先頭側に位置する端縁(例えば、図8のA1 )寄りにのみ配置するものである。上記の如く、基板本体6を半田槽内で搬送しながら、半田処理を行う場合には、各給電用パターン662のうちで、幅広のランド電極部662aのみを終端部とする部分で、特に半田ブリッジを生じ易い。本変形例は、この点に着目して、治具体5Rの単純化を図ったのである。そして、本変形例の場合も、上記各実施例と同様に、高密度で、精度及び信頼性の高い搭載用基板を得ることができる。但し、本治具体5Rは、基板本体の半田層内で搬送せずに行う場合にも、使用することができる。
また、実施例2及びその変形例では、基板本体6に形成された各ランド電極部662aの配置状態が千鳥状となる場合について述べたが、これと異なる配置状態の場合(例えば、各ランド電極部662aを各端縁A1 〜A4 に沿って直線状に配置した場合)に対しても、上記各治具5等を用いることができる。
【0055】
更に、上記各給電用パターン662は、ランド給電部662aと、めっきリード662bとで構成されているが、図16(a)に示す様に、各ランド給電部662aの先端部(めっきリード662bの延設方向に対向する端部)より、補助リード部662cを延設することもできる。この場合には、基板本体6jの特定の端縁A1 寄りに位置する給電パターン662、即ち、半田槽内を搬送する際に、めっきリード662b、ランド電極部662aの順に溶融半田を通過するパターン662においても、「半田のきれ」が良く、隣接する他のパターン662とのピッチ間隔を十分なものとできる補助リード部662cが終端部となる。従って、上記各治具5等と共に、この様な基板本体6jを用いれば、より一層、確実に高性能な搭載用基板を得ることができる。
【0056】
但し、図16(a)に示す場合、この様な補助リード部662cを、基板本体6jの全ての給電用パターン662が備えなくてもよい。例えば、上記の如く、めっき槽内を搬送する際に、先頭側に位置する端縁A1 寄りに位置する給電用パターン662のみが備えていてもよい。上述の如く、この先頭側に位置する端縁寄りに位置する給電用パターン662において、特に半田ブリッジを生じ易いからである。
更に、各ランド電極部662aの配置状態が千鳥状の場合、これらの補助リード部662cを、図16(b)に示す様に、端寄り電極部662a1 のみから延設してもよい。
【0057】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記各実施例及び変形例で述べた治具1、5の他に、実施例1の治具1及び実施例2の治具5の各機能を合わせ持つ治具を例示できる。この様な治具では、半田処理のなされる搭載用基板がフェイスダウンタイプで且つQFP型の搭載用基板である場合等に、搭載用凹部への溶融半田の付着と、上記半田ブリッジとを同時に防止することができ有効である。
また、実施例1及びその変形例においても、実施例2と同様に、治具1、1e等を多連状に並べた治具体としてもよい。
【0058】
また、各実施例では、基板本体2(6)の搭載用凹部25(搭載部T)の周囲を取り囲む状態で、各パッド部261、262(各パターン661、662)が形成された搭載用基板について述べたが、搭載用凹部25(搭載部T)を挟み対向する1組の端縁(例えば、図8のA1 及びA2 )寄りにのみ形成された搭載用基板に対しても各治具1(5)を利用できる。
【0059】
更に、上記各治具1、5等は、搭載用基板以外の配線基板の製造にも応用できる。また、上記電気的な接続を行うのが、半田以外の「ろう材」であっても、本各発明を応用できる。更に、基板本体1、6等の平面形状が本実施例と異なる場合(例えば、円形等)でも、本各発明を利用できる。
【0060】
【発明の効果】
上記第1〜4発明の治具を用いれば、半田処理工程の適切化を図りつつ、高精度で、高い信頼性を備えた搭載用基板を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の治具の平面図である。
【図2】実施例1の変形例に係わる治具の一部斜視図である。
【図3】(a)は実施例1の治具を搭載用基板(半田処理前)に取着する手順を示す一部縦断面図、(b)は実施例1の治具を取着した搭載用基板(半田処理前)を溶融半田に浸した状態を示す一部縦断面図である。
【図4】実施例1で作製した搭載用基板(半田処理済)及び従来例に係わる搭載用基板(半田処理済)の縦断面図である。
【図5】実施例1の変形例に係わる治具を説明するための一部縦断面図である。
【図6】実施例1の変形例に係わる治具を三層構造の搭載用基板(半田処理前)に取着した状態を示す一部縦断面図である。
【図7】実施例2の治具(治具体)の一部平面図である。
【図8】搭載用基板を構成する基板本体の下面側の概略を示す底面図である。
【図9】(a)は実施例2の治具体(治具)を搭載用基板(半田処理前)に取着する手順を示す一部縦断面図、(b)実施例2の治具体(治具)を取着した搭載用基板(半田処理前)を溶融半田に浸した状態を示す一部縦断面図である。
【図10】実施例2において、治具本体を搭載用基板(半田処理前)に組付けた状態を示す一部底面図である。
【図11】実施例2において溶融半田がスルーホール内に進入していく状況を説明するための一部縦断面図である。
【図12】実施例2で作製した搭載用基板(半田処理済)及び従来例に係わる搭載用基板(半田処理済)の縦断面図である。
【図13】(a)は実施例2の変形例に係わる治具体(治具)の一部縦断面図、(b)は実施例2の変形例に係わる治具体(治具)の一部縦断面図である。
【図14】実施例2の変形例に係わる治具体(治具)を搭載用基板(半田処理前)に組付けた状態を示す一部底面図である。
【図15】実施例2の変形例に係わる治具(治具体)の一部平面図である。
【図16】(a)は実施例2及びその変形例の治具体(治具)を用いるのに好適な搭載用基板(半田処理前)を構成する基板本体の一部底面図、(b)は実施例2及びその変形例の治具体(治具)を用いるのに好適な搭載用基板(半田処理前)を構成する基板本体の一部底面図である。
【図17】従来例に係わる治具の平面図である。
【図18】図17の治具を搭載用基板(半田処理前)に組付けた状態を示す一部縦断面図である。
【図19】従来例に係わる治具体(治具)の一部平面図である。
【図20】図19の治具を搭載用基板(半田処理前)に組付けた状態を示す一部底面図である。
【図21】従来例において溶融半田がスルーホール内に進入していく状況を説明するための一部縦断面図である。
【符号の説明】
1;治具、11;平板部、111、111a;貫通孔、12;遮蔽用凸部、121;台座部、122;上方部、2;基板本体、21;第1基材、22;第2基材、23;スルーホール、24;導体層、25;搭載用凹部、261、262;パッド部、263;内部パターン、263a;ボンディングパッド、3;リードピン、31;根本部、32;突出部、33;鞘部、D;電子部品、H1 ;溶融半田、5;治具、5L;治具体、51;外側遮蔽部(材)、52;内側遮蔽部(材)、521;外周端面部、531〜534;開口孔、T;搭載部、6;搭載用基板、61a;露出面部、63;スルーホール、64;導体層、661;接続用パターン、661a;接続パッド、662;給電用パターン、662a(662a1 、662a2 );ランド電極部、662b;めっきリード部、662c;補助リード部、7;リードフレーム、71;インナーリード部、A1 〜A4 ;基板本体6の各端縁、8;角部、81;非接触空間、H2 溶融半田。
Claims (4)
- 下面側に形成された電子部品搭載用凹部及び該電子部品搭載用凹部の周囲に形成された各スルーホールを有する基板本体と、該各スルーホール内に挿入される各根元部及び基板本体の下面より突出される各突出部を有する各外部接続用リードピンと、を備えたピングリッドアレイ型の電子部品搭載用基板を製造する各工程のうちで、所定の溶融半田を上記基板本体の下面側より、該各スルーホール内に進入させて上記各根元部を該基板本体に半田固定する半田処理工程において該基板本体の下面側に配置される半田処理用治具であって、
平板部と、該平板部の上面から突出するように設けられ、上記電子部品搭載用凹部の少なくとも基板本体の下面寄りに摺動状態で嵌合し該電子部品搭載用凹部を略充填する隠蔽用凸部と、上記平板部の隠蔽用凸部周囲に設けられ、該隠蔽用凸部が上記電子部品搭載用凹部に嵌合する際に上記各スルーホールと略連通しつつ、上記各突出部を挿入可能な各貫通孔と、を備えることを特徴とする半田処理用治具。 - 上記隠蔽用凸部の凸状壁面形状と、上記電子部品搭載用凹部の凹状壁面形状とが略対応し、該隠蔽用凸部が該電子部品搭載用凹部に嵌合可能な請求項1記載の半田処理用治具。
- 上記電子部品搭載用凹部の凹状壁面形状が段差状であると共に、上記隠蔽用凸部が該凹状壁面形状に略対応した段差状の凸状壁面形状を備える請求項2記載の半田処理用治具。
- 上記各貫通孔がスリット状である請求項1乃至3のいずれかに記載の半田処理用治具。
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