JP3696767B2 - ガスタービンの排出ガス温度計測装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスを計測する熱電対と、この熱電対が収容されてガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電用や産業用にガスタービンが広く使用されるようになっている。これは、ガスタービンの燃焼器出口温度つまりタービン入口ガス温度が1100℃級から1300℃級以上にすることが可能となって、ガスタービン単体の効率が向上してきたこと、ガスタービンと蒸気タービンとを併せて熱効率の向上を目指した発電方式、すなわちコンバインドサイクル発電プラントが増加してきたこと、などによる。
【0003】
上記したコンバインドサイクル発電プラントは、主体となるガスタービンの入口燃焼ガス温度を、上記した1300℃級に高めることにより、高効率化、高出力化を実現している。このようなことから、発電プラントでは、ガスタービンを用いたコンバインドサイクル発電方式が主流となっている。
【0004】
ガスタービンの運用に当たっては、ガスタービンの保護のためにガスタービン入口温度を計測する必要がある。ところが、この部分のガスは、上記したように1300℃級と高温であり、かつ流れも高速であることから、熱電対で計測することは困難である。その理由は、熱電対とその保護管を、このような流体中に設置すると、損傷しやすく充分な信頼性を確保できないからである。
【0005】
このため、一般のガスタービンでは、ガスタービンから排出されたガスの温度を計測し、この排出ガス温度によってガスタービンの入口温度を制御する手法が採用されている。ガスタービンの排出ガス温度からタービン入口温度は、熱力学的手法により求めることが可能である。
【0006】
このように、ガスタービンの排出ガス温度の測定は、設備の安全保護上、最も重要な事項の一つとなっている。図5は、上部側の半分のみを示しているガスタービンの外観図であり、燃焼器1にて高温化された圧縮空気が、ガスタービンケーシング3内のタービンにより、排気フレーム5を経て後部ディフューザ7内の流路に送られ、排出ガスGとなって排出される。この後部ディフューザ7の流路壁に、複数の熱電対取付孔9が全周にわたり形成されている。
【0007】
図6は、熱電対取付孔9に、熱電対11を備えた温度計測装置13が取り付けられた状態を示している。温度計測装置13は、熱電対11を収容する保護管15を備えており、この保護管15を上記した熱電対取付孔9に挿入し、その外周に形成してある取付フランジ17の周囲を後部ディフューザ7の流路壁に溶接によって固定する。
【0008】
図7は、温度計測装置13を拡大したもので、図中で右半分を断面で示している。保護管15は、内部に熱電対11を収容する貫通孔19を備えるとともに、先端には円筒状の整流部21を備え、整流部21内の図中で左右に貫通する通路21a内に先端が位置するよう熱電対11を収容している。上記した通路21aは、排出ガスGの流れ方向と平行となるよう設定されている。
【0009】
熱電対11は、保護管15に対し、図6および図7中で上端部にて固定具23によって固定されている。固定具23は、保護管15に対し、ねじ部25を介して締結される本体27と、本体27に対し、ねじ部29を介して締結されるナット31とから構成されている。ナット31の内周部には、押圧片33の外周側の端部33aが取り付けられており、この押圧片33は、ナット31の本体27への締結によって本体27側の押圧部27aにより図中で上方に押し付けられ、これに伴い押圧片33は内周面が熱電対11の外周面に押し付けられて熱電対11が固定される。
【0010】
そして、図7に示すように(図6では図示せず)、温度計測装置13が取り付けられた部分を含む後部ディフューザ7の外周部に、保温材35が設けられている。保温材35は、排出ガスの熱を図示しない蒸気タービンに有効利用するために設けるもので、取付フランジ17より図7中で上部側の保護管15全域および固定具23の一部を覆っている。
【0011】
図7に示すように、熱電対11は、保護管15における貫通孔19の中心に収容されかつ、先端が整流部21における通路21aの中心に位置するように位置決めするための環状の位置決め具37を備えている。図8は、この位置決め具37周辺の拡大された断面図で、熱電対11は、熱電対素線39が中空の金属シース41内に収容された構成であり、金属シース41が位置決め具37の挿入孔43に挿入された状態で両者相互が溶接により固定されている。
【0012】
位置決め具37の図中で下部側全周には、テーパ面45が形成され、これに対応して貫通孔19の内面にはストッパ面47が形成されている。位置決め具37が溶接固定された熱電対11を、保護管15の貫通孔19に図7中で上方から挿入し、位置決め具37のテーパ面45が貫通孔19のストッパ面47に密着することで、熱電対11が、貫通孔19の中心に収容されかつ、先端が整流部21における通路21aの中心に位置決めされることになる。この位置決め作業後に、あらかじめ熱電対11が挿入されている前述した固定具23のナット31を、保護管15に締結固定されている本体27に締結することで、熱電対11が保護管15に固定されることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように、ガスタービンの高効率化に伴う燃焼ガス温度の高温化により、ガスタービンの排出ガス温度もより高温となっている。このため、図8に示すような熱電対11の保護管15に対する位置決め構造では、位置決め具37のテーパ面45が保護管15のストッパ面47に面接触していることから、この接触面で焼き付きが生じ、熱電対11が保護管15から引き出せなくなるという不具合が発生している。
【0014】
また、図7のように、保温材35が、固定具23を保護管15に締結固定するためのねじ部25を覆っているような場合には、このねじ部25も高温に保持されて焼き付きが生じ、上記と同様な問題が発生している。
【0015】
熱電対11は、ガスタービンの保護や燃焼制御に用いることから、温度計測の応答性を高める必要があり、熱電対素線39が極めて細く形成してあるため、断線しやすく、交換を必要とする。しかしながら、上述したように、焼き付きによって熱電対11が保護管15から引き出せなくなると、熱電対11単体での交換ができず、後部ディフューザ7に溶接固定されている保護管15ごと交換しなければならなくなり、交換作業に多大の時間を要し、設備の運用を著しく阻害する要因となる。
【0016】
そこで、この発明は、熱電対を保護管に位置決めするための位置決め部および、熱電対を保護管に固定するための固定具の、保護管に対する焼き付きを防止して、熱電対を保護管から容易に引き出せるようにすることを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記熱電対の外周と前記保護管の内周との間に、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部を設け、この位置決め部における相互の接触部を、点もしくは線接触状態とする構成としてある。
【0018】
このような構成のガスタービンの排出ガス温度計測装置によれば、熱電対を保護管内に挿入すると、位置決め部によって熱電対の保護管に対する先端側への移動が規制されて位置決めされる。このとき、熱電対と保護管とは、位置決め部において、点もしくは線接触状態となって焼き付き防止に有効となる。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成において、接触部は、一方がテーパ面で構成されている。
【0020】
上記構成によれば、テーパ面に、他方の接触部が点もしくは線接触することで、熱電対が保護管に対して半径方向の位置決めがなされる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2の発明の構成において、接触部は、他方がテーパ面に線接触する環状の突起で構成されている。
【0022】
上記構成によれば、テーパ面に対し、環状の突起が線接触することで、熱電対の保護管に対する先端側への移動が規制されて位置決めされる。
【0023】
請求項4の発明は、請求項3の発明の構成において、環状の突起は、複数形成されている。
【0024】
上記構成によれば、熱電対の保護管に対する半径方向の位置決めが確実となる。
【0025】
請求項5の発明は、請求項3または4の発明の構成において、環状の突起は、熱電対側に設けられている。
【0026】
上記構成によれば、熱電対を保護管に組み込む前の状態では、環状の突起は外部に露出する状態となるので、環状の突起の形成が容易となる。
【0027】
請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかの発明の構成において、熱電対と保護管との相互の接触部における少なくともテーパ面側に、耐酸化被膜を形成してある。
【0028】
上記構成によれば、テーパ面は、耐酸化被膜を形成することで、高温による酸化が抑制され、焼き付き防止に有効となる。
【0029】
請求項7の発明は、ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記熱電対の外周と前記保護管の内周との間に、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部を設け、この位置決め部における相互の接触部の少なくともいずれか一方に、耐酸化被膜を形成してある。
【0030】
上記構成によれば、熱電対を保護管内に挿入すると、位置決め部によって熱電対の保護管に対する先端側への移動が規制されて位置決めされる。このとき、熱電対と保護管とは、位置決め部において耐酸化被膜を介して接触し、焼き付き防止に有効となる。
【0031】
請求項8の発明は、請求項6または7の発明の構成において、耐酸化被膜は、少なくとも保護管側に対しては加熱により酸化被膜を形成してなる。
【0032】
上記構成によれば、保護管の熱電対に対する位置決め部は、熱電対が挿入される孔の内部に位置しており、このため耐酸化被膜を形成するにあたり、加熱によって酸化被膜を形成することが製造上有利である。酸化被膜をあらかじめ形成しておくことで、使用時に高温雰囲気下となっても、酸化が抑制される。
【0033】
請求項9の発明は、請求項8の発明の構成において、熱電対に対しては、金属溶射により耐酸化被膜を形成してある。
【0034】
上記構成によれば、熱電対側の保護管に対する位置決め部は、保護管への組み付け前においては外部に露出しており、金属溶射が容易に行える。
【0035】
請求項10の発明は、ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記保護管の基端部に、保護管の流路壁への固定部から離れる方向に延長され、前記熱電対が挿入される保護管延長部を設け、この保護管延長部の前記保護管と反対側の端部に、前記熱電対を外側から押し付けて固定する固定具を締結固定する構成としてある。
【0036】
上記構成によれば、流路壁の外周において、保護管全域および、保護管への保護管延長部の取付部付近が、例えば保温材にて覆われて、この付近が高温に保持されていても、保護管側の熱は、保護管延長部にて放熱され、固定具の保護管延長部に対する締結固定部の高温化が抑制され、この部位の焼き付き防止に有効となる。
【0037】
請求項11の発明は、請求項10の発明の構成において、保護管と保護管延長部との相互の対向面の一部に空間を形成してある。
【0038】
上記構成によれば、保護管から保護管延長部への熱伝導が抑制される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0040】
図1は、この発明の実施の一形態を示す、前記従来例で説明した図8に相当する断面図で、従来例で示した図5ないし図8と同一の構成要素には同一の符号を付しある。この実施の形態における、従来のものに対して異なる点は、熱電対11の外周部に溶接固定されている位置決め具37の、保護管15側のストッパ面47に接触するテーパ面45(図8参照)を、環状となる複数の段差49を設けて、環状の突起51としたことと、保護管15をあらかじめ排出ガス雰囲気程度の温度(約600℃)に加熱してストッパ面47の表面に酸化被膜を形成し、耐酸化被膜としたことである。
【0041】
上記したストッパ面47と突起51とが、相互に接触する接触部であり、この接触部によって、熱電対11の保護管15に対する先端側(図1中で下部側)への移動を規制する位置決め部を構成することになる。
【0042】
位置決め部においては、ストッパ面47に対し環状の突起51が線接触する上、ストッパ面47にはすでに酸化被膜が形成されていることから、高温雰囲気下での表面の酸化促進が抑制されるので、ガスタービンとして排出ガス温度が高温化しても、位置決め具37と保護管15との焼き付きを防止することができる。これにより、熱電対11の保護管15からの引き抜きが可能となり、熱電対11の交換が容易となる。
【0043】
上記した環状の突起51は、複数設けられているので、ストッパ面47にそれぞれが当接することで、熱電対11の図1中で上下方向の中心線と保護管15の同中心線とを確実に一致させることができ、熱電対11の保護管15に対する半径方向(図1中で左右方向)の位置決めをより確実に行うことができる。
【0044】
なお、位置決め具37の突起51を形成した部位にも耐酸化被膜を形成することで、焼き付き防止をより一層確実なものとすることができる。この場合の耐酸化被膜は、前述の加熱による酸化被膜のほかに、金属溶射を行うことも可能である。また、テーパ面47に接触する位置決め具37側の接触部は、環状の突起51に限るものではなく、周方向に断続的に形成されるものや、テーパ面47の傾斜方向に延長される突起や、あるいはテーパ面47に対して点接触するような突起でも構わない。いずれにしても、テーパ面47に対し、面接触せず、点もしく線接触する形態であれば、どのようなものでもよい。
【0045】
図2は、この発明の他の実施の形態を示している。この実施の形態は、図1における段差49および突起51に代え、表面に金属溶射を施して、耐酸化被膜53を形成したものである。位置決め具37において、ストッパ面47に対する接触面に、耐酸化被膜53を形成することで、ガスタービンとして排出ガス温度が高温化しても、位置決め具37と保護管15との焼き付きを防止することができる。
【0046】
なお、耐酸化被膜53としては、金属溶射に代えて、前記図1の例で説明した加熱による酸化被膜を形成することもできる。また、図2の例では、ストッパ面47側に、前記図1の例で示した位置決め具37側の段差49と同様な段差を設け、耐酸化被膜53に対して突起により線接触もしくは点接触させるようにしてもよい。
【0047】
図3は、熱電対11を保護管15に固定するための前記図7に示した固定具23の保護管15側に対する固定構造を示している。なお、この図3は、右側半分のみを断面で示している。保護管15の上部端面に、保護管15より細径の保護管延長部55を溶接により固定してある。保護管延長部55には、熱電対11が挿入される挿入孔57が形成され、この挿入孔57の保護管15と反対側の端部内面に雌ねじ部59が形成されている。
【0048】
この雌ねじ部59に、前記図7に示したものと同様な固定具23が締結固定されている。つまり、固定具23の本体27が、保護管延長部55の雌ねじ部59に締結固定される。そして、従来と同様の保温材35は、保護管延長部55に対しては、保護管15側の一部のみを覆っており、固定具23の保護管延長部55に対する締結部となる雌ねじ部59を覆ってはいない。
【0049】
このため、上記締結部が保温材35によって保温されて高温に保持されることがなく、しかも細径化された保護管延長部55によって保護管15からの熱が放熱され、固定具23と保護管延長部55との締結部の焼き付きを防止することができる。焼き付き防止によって固定具23を保護管延長部55から容易に取り外せ、熱電対11の保護管15からの引き抜きが可能となり、熱電対11の交換が容易となる。
【0050】
図4は、図3の変形例で、保護管延長部55の保護管15に対向する面に、凹部61を形成し、保護管延長部55と保護管15との間に空間63を形成してある。凹部61の外周側には、保護管15の端面に当接する環状の当接部65が形成されることとなる。
【0051】
空間63が形成されることで、保護管15から保護管延長部55へ伝達される熱量が少なくなり、固定具23と保護管延長部55との締結部の焼き付きがより確実に防止される。また、凹部61を形成することで、溶接時における保護管延長部55の割れを防止することもできる。
【0052】
上記図4の例では特に、保護管15と保護管延長部55との溶接は、シール性確保のため、全周行うことが望ましい。
【0053】
なお、上記した凹部61は、当接部65より内側全域に形成してもよいが、全域でなく部分的に設けても構わない。また、保護管延長部55に凹部61を設ける代わりに、保護管15側に凹部を設けるようにしても、また、保護管15と保護管延長部55との双方に凹部を設けるようにしてもよい。
【0054】
このように、熱電対11を保護管15に位置決めするための位置決め具37と保護管15との接触部にて焼き付きが防止されるとともに、熱電対11を保護管15と一体の保護管延長部55に固定するための固定具23と、保護管延長部55との締結部においても焼き付きが防止されるので、熱電対11は、保護管15から容易に引き抜くことができて交換が容易となり、設備の信頼性が向上する。
【0055】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、熱電対と保護管とは、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部において、相互の接触部が点もしくは線接触するようにしたので、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止でき、熱電対の交換を容易に行うことができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、接触部は、一方がテーパ面で構成されているので、熱電対が保護管に対して半径方向の位置決めがなされつつ、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止することができる。
【0057】
請求項3の発明によれば、接触部は、他方がテーパ面に線接触する環状の突起で構成されているので、テーパ面に対し、環状の突起が接触することで、熱電対の保護管に対する先端側への移動が規制されつつ、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止することができる。
【0058】
請求項4の発明によれば、環状の突起は、複数形成されているので、熱電対の保護管に対する半径方向の位置決めを確実に行うことができる。
【0059】
請求項5の発明によれば、環状の突起は、熱電対側に設けられているので、環状の突起の形成が容易になる。
【0060】
請求項6の発明によれば、熱電対と保護管との相互の接触部における少なくともテーパ面側に、耐酸化被膜を形成したので、高温による酸化を抑制でき、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止することができる。
【0061】
請求項7の発明によれば、熱電対と保護管とは、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部において、相互の接触部の少なくともいずれか一方に、耐酸化被膜を形成したので、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止でき、熱電対の交換を容易に行うことができる。
【0062】
請求項8の発明によれば、耐酸化被膜は、少なくとも保護管側に対しては加熱により形成するようにしたので、熱電対に対する接触部が内部に形成されている保護管に対する酸化被膜の形成を容易に行うことができる。
【0063】
請求項9の発明によれば、熱電対に対しては、金属溶射により耐酸化被膜を形成したので、熱電対と保護管との相互の接触部における焼き付きを防止することができる。
【0064】
請求項10の発明によれば、保護管の基端部に、保護管の流路壁への固定部から離れる方向に延長され、熱電対が挿入される環状の保護管延長部を設け、この保護管延長部の保護管と反対側の端部に、熱電対を外周から押し付けて固定する固定具を締結固定するようにしたので、固定具の保護管延長部に対する締結部が、保護管の端部から離れた位置となり、保護管側の熱は保護管延長部にて放熱され、上記締結部への熱伝達を抑制できて締結部での焼き付きを防止でき、熱電対の交換を容易に行うことができる。
【0065】
請求項11の発明によれば、保護管と保護管延長部との相互の対向面の一部に空間を形成したので、保護管から保護管延長部への熱の伝達を抑制でき、固定具の保護管延長部に対する締結部の焼き付きを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態を示すガスタービンの温度計測装置における、熱電対の保護管に対する位置決め部周辺の断面図である。
【図2】この発明の他の実施の形態を示すガスタービンの温度計測装置における、熱電対の保護管に対する位置決め部周辺の断面図である。
【図3】熱電対の保護管に対する固定具周辺の右半分のみ断面で示す説明図である。
【図4】図3の変形例を示す要部の拡大された断面図である。
【図5】上部側の半分を示しているガスタービンの外観図である。
【図6】図5のガスタービンの後部ディフューザに温度計測装置が取り付けられている状態を示す断面図である。
【図7】図6の温度計測装置を拡大して右半分を断面として示した説明図である。
【図8】図7における熱電対の保護管に対する位置決め部周辺の拡大された断面図である。
【符号の説明】
11 熱電対
13 温度計測装置
15 保護管
23 固定具
37 位置決め具
47 ストッパ面(接触部)
51 環状の突起(接触部)
53 耐酸化被膜
55 保護管延長部
63 空間
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスを計測する熱電対と、この熱電対が収容されてガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電用や産業用にガスタービンが広く使用されるようになっている。これは、ガスタービンの燃焼器出口温度つまりタービン入口ガス温度が1100℃級から1300℃級以上にすることが可能となって、ガスタービン単体の効率が向上してきたこと、ガスタービンと蒸気タービンとを併せて熱効率の向上を目指した発電方式、すなわちコンバインドサイクル発電プラントが増加してきたこと、などによる。
【0003】
上記したコンバインドサイクル発電プラントは、主体となるガスタービンの入口燃焼ガス温度を、上記した1300℃級に高めることにより、高効率化、高出力化を実現している。このようなことから、発電プラントでは、ガスタービンを用いたコンバインドサイクル発電方式が主流となっている。
【0004】
ガスタービンの運用に当たっては、ガスタービンの保護のためにガスタービン入口温度を計測する必要がある。ところが、この部分のガスは、上記したように1300℃級と高温であり、かつ流れも高速であることから、熱電対で計測することは困難である。その理由は、熱電対とその保護管を、このような流体中に設置すると、損傷しやすく充分な信頼性を確保できないからである。
【0005】
このため、一般のガスタービンでは、ガスタービンから排出されたガスの温度を計測し、この排出ガス温度によってガスタービンの入口温度を制御する手法が採用されている。ガスタービンの排出ガス温度からタービン入口温度は、熱力学的手法により求めることが可能である。
【0006】
このように、ガスタービンの排出ガス温度の測定は、設備の安全保護上、最も重要な事項の一つとなっている。図5は、上部側の半分のみを示しているガスタービンの外観図であり、燃焼器1にて高温化された圧縮空気が、ガスタービンケーシング3内のタービンにより、排気フレーム5を経て後部ディフューザ7内の流路に送られ、排出ガスGとなって排出される。この後部ディフューザ7の流路壁に、複数の熱電対取付孔9が全周にわたり形成されている。
【0007】
図6は、熱電対取付孔9に、熱電対11を備えた温度計測装置13が取り付けられた状態を示している。温度計測装置13は、熱電対11を収容する保護管15を備えており、この保護管15を上記した熱電対取付孔9に挿入し、その外周に形成してある取付フランジ17の周囲を後部ディフューザ7の流路壁に溶接によって固定する。
【0008】
図7は、温度計測装置13を拡大したもので、図中で右半分を断面で示している。保護管15は、内部に熱電対11を収容する貫通孔19を備えるとともに、先端には円筒状の整流部21を備え、整流部21内の図中で左右に貫通する通路21a内に先端が位置するよう熱電対11を収容している。上記した通路21aは、排出ガスGの流れ方向と平行となるよう設定されている。
【0009】
熱電対11は、保護管15に対し、図6および図7中で上端部にて固定具23によって固定されている。固定具23は、保護管15に対し、ねじ部25を介して締結される本体27と、本体27に対し、ねじ部29を介して締結されるナット31とから構成されている。ナット31の内周部には、押圧片33の外周側の端部33aが取り付けられており、この押圧片33は、ナット31の本体27への締結によって本体27側の押圧部27aにより図中で上方に押し付けられ、これに伴い押圧片33は内周面が熱電対11の外周面に押し付けられて熱電対11が固定される。
【0010】
そして、図7に示すように(図6では図示せず)、温度計測装置13が取り付けられた部分を含む後部ディフューザ7の外周部に、保温材35が設けられている。保温材35は、排出ガスの熱を図示しない蒸気タービンに有効利用するために設けるもので、取付フランジ17より図7中で上部側の保護管15全域および固定具23の一部を覆っている。
【0011】
図7に示すように、熱電対11は、保護管15における貫通孔19の中心に収容されかつ、先端が整流部21における通路21aの中心に位置するように位置決めするための環状の位置決め具37を備えている。図8は、この位置決め具37周辺の拡大された断面図で、熱電対11は、熱電対素線39が中空の金属シース41内に収容された構成であり、金属シース41が位置決め具37の挿入孔43に挿入された状態で両者相互が溶接により固定されている。
【0012】
位置決め具37の図中で下部側全周には、テーパ面45が形成され、これに対応して貫通孔19の内面にはストッパ面47が形成されている。位置決め具37が溶接固定された熱電対11を、保護管15の貫通孔19に図7中で上方から挿入し、位置決め具37のテーパ面45が貫通孔19のストッパ面47に密着することで、熱電対11が、貫通孔19の中心に収容されかつ、先端が整流部21における通路21aの中心に位置決めされることになる。この位置決め作業後に、あらかじめ熱電対11が挿入されている前述した固定具23のナット31を、保護管15に締結固定されている本体27に締結することで、熱電対11が保護管15に固定されることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように、ガスタービンの高効率化に伴う燃焼ガス温度の高温化により、ガスタービンの排出ガス温度もより高温となっている。このため、図8に示すような熱電対11の保護管15に対する位置決め構造では、位置決め具37のテーパ面45が保護管15のストッパ面47に面接触していることから、この接触面で焼き付きが生じ、熱電対11が保護管15から引き出せなくなるという不具合が発生している。
【0014】
また、図7のように、保温材35が、固定具23を保護管15に締結固定するためのねじ部25を覆っているような場合には、このねじ部25も高温に保持されて焼き付きが生じ、上記と同様な問題が発生している。
【0015】
熱電対11は、ガスタービンの保護や燃焼制御に用いることから、温度計測の応答性を高める必要があり、熱電対素線39が極めて細く形成してあるため、断線しやすく、交換を必要とする。しかしながら、上述したように、焼き付きによって熱電対11が保護管15から引き出せなくなると、熱電対11単体での交換ができず、後部ディフューザ7に溶接固定されている保護管15ごと交換しなければならなくなり、交換作業に多大の時間を要し、設備の運用を著しく阻害する要因となる。
【0016】
そこで、この発明は、熱電対を保護管に位置決めするための位置決め部および、熱電対を保護管に固定するための固定具の、保護管に対する焼き付きを防止して、熱電対を保護管から容易に引き出せるようにすることを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記熱電対の外周と前記保護管の内周との間に、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部を設け、この位置決め部における相互の接触部を、点もしくは線接触状態とする構成としてある。
【0018】
このような構成のガスタービンの排出ガス温度計測装置によれば、熱電対を保護管内に挿入すると、位置決め部によって熱電対の保護管に対する先端側への移動が規制されて位置決めされる。このとき、熱電対と保護管とは、位置決め部において、点もしくは線接触状態となって焼き付き防止に有効となる。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成において、接触部は、一方がテーパ面で構成されている。
【0020】
上記構成によれば、テーパ面に、他方の接触部が点もしくは線接触することで、熱電対が保護管に対して半径方向の位置決めがなされる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2の発明の構成において、接触部は、他方がテーパ面に線接触する環状の突起で構成されている。
【0022】
上記構成によれば、テーパ面に対し、環状の突起が線接触することで、熱電対の保護管に対する先端側への移動が規制されて位置決めされる。
【0023】
請求項4の発明は、請求項3の発明の構成において、環状の突起は、複数形成されている。
【0024】
上記構成によれば、熱電対の保護管に対する半径方向の位置決めが確実となる。
【0025】
請求項5の発明は、請求項3または4の発明の構成において、環状の突起は、熱電対側に設けられている。
【0026】
上記構成によれば、熱電対を保護管に組み込む前の状態では、環状の突起は外部に露出する状態となるので、環状の突起の形成が容易となる。
【0027】
請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかの発明の構成において、熱電対と保護管との相互の接触部における少なくともテーパ面側に、耐酸化被膜を形成してある。
【0028】
上記構成によれば、テーパ面は、耐酸化被膜を形成することで、高温による酸化が抑制され、焼き付き防止に有効となる。
【0029】
請求項7の発明は、ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記熱電対の外周と前記保護管の内周との間に、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部を設け、この位置決め部における相互の接触部の少なくともいずれか一方に、耐酸化被膜を形成してある。
【0030】
上記構成によれば、熱電対を保護管内に挿入すると、位置決め部によって熱電対の保護管に対する先端側への移動が規制されて位置決めされる。このとき、熱電対と保護管とは、位置決め部において耐酸化被膜を介して接触し、焼き付き防止に有効となる。
【0031】
請求項8の発明は、請求項6または7の発明の構成において、耐酸化被膜は、少なくとも保護管側に対しては加熱により酸化被膜を形成してなる。
【0032】
上記構成によれば、保護管の熱電対に対する位置決め部は、熱電対が挿入される孔の内部に位置しており、このため耐酸化被膜を形成するにあたり、加熱によって酸化被膜を形成することが製造上有利である。酸化被膜をあらかじめ形成しておくことで、使用時に高温雰囲気下となっても、酸化が抑制される。
【0033】
請求項9の発明は、請求項8の発明の構成において、熱電対に対しては、金属溶射により耐酸化被膜を形成してある。
【0034】
上記構成によれば、熱電対側の保護管に対する位置決め部は、保護管への組み付け前においては外部に露出しており、金属溶射が容易に行える。
【0035】
請求項10の発明は、ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記保護管の基端部に、保護管の流路壁への固定部から離れる方向に延長され、前記熱電対が挿入される保護管延長部を設け、この保護管延長部の前記保護管と反対側の端部に、前記熱電対を外側から押し付けて固定する固定具を締結固定する構成としてある。
【0036】
上記構成によれば、流路壁の外周において、保護管全域および、保護管への保護管延長部の取付部付近が、例えば保温材にて覆われて、この付近が高温に保持されていても、保護管側の熱は、保護管延長部にて放熱され、固定具の保護管延長部に対する締結固定部の高温化が抑制され、この部位の焼き付き防止に有効となる。
【0037】
請求項11の発明は、請求項10の発明の構成において、保護管と保護管延長部との相互の対向面の一部に空間を形成してある。
【0038】
上記構成によれば、保護管から保護管延長部への熱伝導が抑制される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0040】
図1は、この発明の実施の一形態を示す、前記従来例で説明した図8に相当する断面図で、従来例で示した図5ないし図8と同一の構成要素には同一の符号を付しある。この実施の形態における、従来のものに対して異なる点は、熱電対11の外周部に溶接固定されている位置決め具37の、保護管15側のストッパ面47に接触するテーパ面45(図8参照)を、環状となる複数の段差49を設けて、環状の突起51としたことと、保護管15をあらかじめ排出ガス雰囲気程度の温度(約600℃)に加熱してストッパ面47の表面に酸化被膜を形成し、耐酸化被膜としたことである。
【0041】
上記したストッパ面47と突起51とが、相互に接触する接触部であり、この接触部によって、熱電対11の保護管15に対する先端側(図1中で下部側)への移動を規制する位置決め部を構成することになる。
【0042】
位置決め部においては、ストッパ面47に対し環状の突起51が線接触する上、ストッパ面47にはすでに酸化被膜が形成されていることから、高温雰囲気下での表面の酸化促進が抑制されるので、ガスタービンとして排出ガス温度が高温化しても、位置決め具37と保護管15との焼き付きを防止することができる。これにより、熱電対11の保護管15からの引き抜きが可能となり、熱電対11の交換が容易となる。
【0043】
上記した環状の突起51は、複数設けられているので、ストッパ面47にそれぞれが当接することで、熱電対11の図1中で上下方向の中心線と保護管15の同中心線とを確実に一致させることができ、熱電対11の保護管15に対する半径方向(図1中で左右方向)の位置決めをより確実に行うことができる。
【0044】
なお、位置決め具37の突起51を形成した部位にも耐酸化被膜を形成することで、焼き付き防止をより一層確実なものとすることができる。この場合の耐酸化被膜は、前述の加熱による酸化被膜のほかに、金属溶射を行うことも可能である。また、テーパ面47に接触する位置決め具37側の接触部は、環状の突起51に限るものではなく、周方向に断続的に形成されるものや、テーパ面47の傾斜方向に延長される突起や、あるいはテーパ面47に対して点接触するような突起でも構わない。いずれにしても、テーパ面47に対し、面接触せず、点もしく線接触する形態であれば、どのようなものでもよい。
【0045】
図2は、この発明の他の実施の形態を示している。この実施の形態は、図1における段差49および突起51に代え、表面に金属溶射を施して、耐酸化被膜53を形成したものである。位置決め具37において、ストッパ面47に対する接触面に、耐酸化被膜53を形成することで、ガスタービンとして排出ガス温度が高温化しても、位置決め具37と保護管15との焼き付きを防止することができる。
【0046】
なお、耐酸化被膜53としては、金属溶射に代えて、前記図1の例で説明した加熱による酸化被膜を形成することもできる。また、図2の例では、ストッパ面47側に、前記図1の例で示した位置決め具37側の段差49と同様な段差を設け、耐酸化被膜53に対して突起により線接触もしくは点接触させるようにしてもよい。
【0047】
図3は、熱電対11を保護管15に固定するための前記図7に示した固定具23の保護管15側に対する固定構造を示している。なお、この図3は、右側半分のみを断面で示している。保護管15の上部端面に、保護管15より細径の保護管延長部55を溶接により固定してある。保護管延長部55には、熱電対11が挿入される挿入孔57が形成され、この挿入孔57の保護管15と反対側の端部内面に雌ねじ部59が形成されている。
【0048】
この雌ねじ部59に、前記図7に示したものと同様な固定具23が締結固定されている。つまり、固定具23の本体27が、保護管延長部55の雌ねじ部59に締結固定される。そして、従来と同様の保温材35は、保護管延長部55に対しては、保護管15側の一部のみを覆っており、固定具23の保護管延長部55に対する締結部となる雌ねじ部59を覆ってはいない。
【0049】
このため、上記締結部が保温材35によって保温されて高温に保持されることがなく、しかも細径化された保護管延長部55によって保護管15からの熱が放熱され、固定具23と保護管延長部55との締結部の焼き付きを防止することができる。焼き付き防止によって固定具23を保護管延長部55から容易に取り外せ、熱電対11の保護管15からの引き抜きが可能となり、熱電対11の交換が容易となる。
【0050】
図4は、図3の変形例で、保護管延長部55の保護管15に対向する面に、凹部61を形成し、保護管延長部55と保護管15との間に空間63を形成してある。凹部61の外周側には、保護管15の端面に当接する環状の当接部65が形成されることとなる。
【0051】
空間63が形成されることで、保護管15から保護管延長部55へ伝達される熱量が少なくなり、固定具23と保護管延長部55との締結部の焼き付きがより確実に防止される。また、凹部61を形成することで、溶接時における保護管延長部55の割れを防止することもできる。
【0052】
上記図4の例では特に、保護管15と保護管延長部55との溶接は、シール性確保のため、全周行うことが望ましい。
【0053】
なお、上記した凹部61は、当接部65より内側全域に形成してもよいが、全域でなく部分的に設けても構わない。また、保護管延長部55に凹部61を設ける代わりに、保護管15側に凹部を設けるようにしても、また、保護管15と保護管延長部55との双方に凹部を設けるようにしてもよい。
【0054】
このように、熱電対11を保護管15に位置決めするための位置決め具37と保護管15との接触部にて焼き付きが防止されるとともに、熱電対11を保護管15と一体の保護管延長部55に固定するための固定具23と、保護管延長部55との締結部においても焼き付きが防止されるので、熱電対11は、保護管15から容易に引き抜くことができて交換が容易となり、設備の信頼性が向上する。
【0055】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、熱電対と保護管とは、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部において、相互の接触部が点もしくは線接触するようにしたので、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止でき、熱電対の交換を容易に行うことができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、接触部は、一方がテーパ面で構成されているので、熱電対が保護管に対して半径方向の位置決めがなされつつ、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止することができる。
【0057】
請求項3の発明によれば、接触部は、他方がテーパ面に線接触する環状の突起で構成されているので、テーパ面に対し、環状の突起が接触することで、熱電対の保護管に対する先端側への移動が規制されつつ、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止することができる。
【0058】
請求項4の発明によれば、環状の突起は、複数形成されているので、熱電対の保護管に対する半径方向の位置決めを確実に行うことができる。
【0059】
請求項5の発明によれば、環状の突起は、熱電対側に設けられているので、環状の突起の形成が容易になる。
【0060】
請求項6の発明によれば、熱電対と保護管との相互の接触部における少なくともテーパ面側に、耐酸化被膜を形成したので、高温による酸化を抑制でき、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止することができる。
【0061】
請求項7の発明によれば、熱電対と保護管とは、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部において、相互の接触部の少なくともいずれか一方に、耐酸化被膜を形成したので、熱電対と保護管との接触部位での焼き付きを防止でき、熱電対の交換を容易に行うことができる。
【0062】
請求項8の発明によれば、耐酸化被膜は、少なくとも保護管側に対しては加熱により形成するようにしたので、熱電対に対する接触部が内部に形成されている保護管に対する酸化被膜の形成を容易に行うことができる。
【0063】
請求項9の発明によれば、熱電対に対しては、金属溶射により耐酸化被膜を形成したので、熱電対と保護管との相互の接触部における焼き付きを防止することができる。
【0064】
請求項10の発明によれば、保護管の基端部に、保護管の流路壁への固定部から離れる方向に延長され、熱電対が挿入される環状の保護管延長部を設け、この保護管延長部の保護管と反対側の端部に、熱電対を外周から押し付けて固定する固定具を締結固定するようにしたので、固定具の保護管延長部に対する締結部が、保護管の端部から離れた位置となり、保護管側の熱は保護管延長部にて放熱され、上記締結部への熱伝達を抑制できて締結部での焼き付きを防止でき、熱電対の交換を容易に行うことができる。
【0065】
請求項11の発明によれば、保護管と保護管延長部との相互の対向面の一部に空間を形成したので、保護管から保護管延長部への熱の伝達を抑制でき、固定具の保護管延長部に対する締結部の焼き付きを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態を示すガスタービンの温度計測装置における、熱電対の保護管に対する位置決め部周辺の断面図である。
【図2】この発明の他の実施の形態を示すガスタービンの温度計測装置における、熱電対の保護管に対する位置決め部周辺の断面図である。
【図3】熱電対の保護管に対する固定具周辺の右半分のみ断面で示す説明図である。
【図4】図3の変形例を示す要部の拡大された断面図である。
【図5】上部側の半分を示しているガスタービンの外観図である。
【図6】図5のガスタービンの後部ディフューザに温度計測装置が取り付けられている状態を示す断面図である。
【図7】図6の温度計測装置を拡大して右半分を断面として示した説明図である。
【図8】図7における熱電対の保護管に対する位置決め部周辺の拡大された断面図である。
【符号の説明】
11 熱電対
13 温度計測装置
15 保護管
23 固定具
37 位置決め具
47 ストッパ面(接触部)
51 環状の突起(接触部)
53 耐酸化被膜
55 保護管延長部
63 空間
Claims (11)
- ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記熱電対の外周と前記保護管の内周との間に、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部を設け、この位置決め部における相互の接触部を、点もしくは線接触状態とすることを特徴とするガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- 接触部は、一方がテーパ面で構成されていることを特徴とする請求項1記載のガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- 接触部は、他方がテーパ面に線接触する環状の突起で構成されていることを特徴とする請求項2記載のガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- 環状の突起は、複数形成されていることを特徴とする請求項3記載のガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- 環状の突起は、熱電対側に設けられていることを特徴とする請求項3または4記載のガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- 熱電対と保護管との相互の接触部における少なくともテーパ面側に、耐酸化被膜を形成したことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記熱電対の外周と前記保護管の内周との間に、熱電対の保護管に対する先端側への移動を規制する位置決め部を設け、この位置決め部における相互の接触部の少なくともいずれか一方に、耐酸化被膜を形成したことを特徴とするガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- 耐酸化被膜は、少なくとも保護管側に対しては加熱により酸化被膜を形成してなることを特徴とする請求項6または7記載のガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- 熱電対に対しては、金属溶射により耐酸化被膜を形成したことを特徴とする請求項8記載のガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- ガスタービンの燃焼ガス排出側の流路に先端が突出するよう設置されて排出ガスの温度を計測する熱電対と、この熱電対が収容されて前記ガス排出側の流路壁に固定される保護管とを備えたガスタービンの排出ガス温度計測装置において、前記保護管の基端部に、保護管の流路壁への固定部から離れる方向に延長され、前記熱電対が挿入される保護管延長部を設け、この保護管延長部の前記保護管と反対側の端部に、前記熱電対を外側から押し付けて固定する固定具を締結固定したことを特徴とするガスタービンの排出ガス温度計測装置。
- 保護管と保護管延長部との対向面の一部に空間を形成したことを特徴とする請求項10記載のガスタービンの排出ガス温度計測装置。
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