JP3696481B2 - 測定機のz軸組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は被測定物の寸法及び粗さ、うねり、輪郭、真円度、3次元形状などの表面性状を測定する表面性状測定機に関し、特に、Z軸スピンドルを備えるZ軸組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、例えば図1に示すような門型3次元測定機においては、測定子をZ軸方向(一般的には垂直方向)に送るため、図5に示すようなZ軸組立体が取り付けられる。
即ち、図5の符号”A”は水平な面内でX軸方向に延長するX軸ガイドであり、Z軸組立体は同X軸ガイドAに跨座状態におかれてX軸ガイドAの長さ方向に送られるスライダブロックBを備えており、同スライダブロックBの一側には垂直方向のZ軸スピンドルCをZ軸方向に案内する案内パッドDを付設したZ軸ブラケットEが固定される。
【0003】
そして、前記スライダブロックBの上面にはバランサブラケットFが固定され、同バランサブラケットFに固定した垂直なバランサラケットGの上部にはプーリブラケットHが支持され、前記Z軸スピンドルCの上端部に一端を固定した懸架ワイヤIの中間部が同プーリブラケットHに支持する中継プーリJに掛けられる。
また、前記懸架ワイヤIの他端は前記バランサラケットGと平行な垂直向きのガイドバーKで案内されるバランスウエイトLに結合され、下端部にタッチプローブMなどの検出子を固定するZ軸スピンドルCの重量が同バランスウエイトLの重量で平衡される。
そして、前述した組立体の部品は、スライダブロックBをZ軸組立体に組み付けた後、前カバーN及び後カバーOで覆われて完成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のZ軸組立体は、スライダブロックB、Z軸ブラケットE、バランサブラケットF、バランサラケットG、プーリブラケットH、ガイドバーK、中継プーリJ、バランスウエイトLといった多数の部品からなるため、それらの部品の製作費が割高で、3次元測定機の製造工程がやっかいとなる。
つまり、Z軸組立体の組立に際しては、バランサラケットG、プーリブラケットH、ガイドバーK、中継プーリJ、バランスウエイトLを組み付けたバランサブラケットFをスライダブロックBに組み立て、同スライダブロックBにZ軸ブラケットE及びZ軸スピンドルCを取り付け、X軸ガイドAに対してZ軸組立体を組み付け、最後に前カバーN及び後カバーOで組立体全体を覆う工程となる。
【0005】
本発明の目的は、以上に述べたような従来の測定機のZ軸組立体の問題に鑑み、構成部品が少なく、組立工程が簡単で、しかも外観も良い測定機のZ軸組立体を得るにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、被測定物の表面を測定する検出子を一端部に取り付けられZ軸方向に移動可能なZ軸スピンドルを備えたZ軸組立体において、長さ方向に対して直角な面内で内部をスピンドル収容室とウエイト収容室に仕切った垂直な角筒状の剛性Z軸ブラケットを備え、前記スピンドル収容室中には懸架ワイヤの一端に固定された前記Z軸スピンドルが案内手段によりその長さ方向に移動可能な状態で位置され、前記ウエイト収容室に臨んだZ軸ブラケットの内面には前記懸架ワイヤの他端に懸垂されてZ軸スピンドルの重量を平衡させるバランスウエイトを案内するウエイトガイドが突起された測定機のZ軸組立体を提案するものである。
【0007】
後述する本発明の好ましい実施例の説明においては、
1)前記Z軸ブラケットの隔壁上端面には前記懸架ワイヤの中間部を案内する中継プーリを支持したプーリブラケットが固定される構造、
2)前記スピンドル収容室を取り囲むZ軸ブラケットの内壁には前記案内手段を構成するエアパッドが支持され、前記Z軸ブラケットの外壁に取り付けられる前記エアパッドの給気部は目隠し板で被覆されることにより、前記Z軸ブラケットの外面が外観パネルとされる構造、
3)前記測定機は、略水平な面内で直交するX,Y軸方向に前記Z軸組立体を精密移動させ、前記Z軸スピンドルをZ軸方向に送って、測定機ベール上に置かれた被測定物の3次元的な寸法を含む表面性状を測定する3次元測定機である構造、
4)前記Z軸ブラケットは、アルミニューム押出材により形成されている構造
が3次元測定機を例にとって説明される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1から図4について本発明の実施例の詳細を説明する。
図1は本発明による門型3次元測定機を示し、測定機ベース1の上部には石定盤2が位置され、この石定盤2の水平な定面には被測定物を取り付けることができる。
【0009】
そして、前記石定盤2上には同石定盤2に沿って水平面内でのY軸方向に移動できる門型移動体3が位置され、図示を省略する駆動手段でY軸方向に精密に移動される同門型移動体3上には、Y軸方向に対して直角なX軸方向に延長したX軸ガイド4が設けられる。
また、前記X軸ガイド4に対しては、詳細を図2から図4に示す本発明のZ軸組立体5が跨座状態で支持され、同Z軸組立体5に支持されるZ軸スピンドル6の下端に固定するタッチプローブ7の検出子が被測定物の表面に接触される。このZ軸組立体5は図示を省略する周知の送り手段でX軸ガイド4の長さ方向(X軸方向)に精密に移動される。
【0010】
図2及び図3に示すように、本発明によるZ軸組立体5は例えばアルミニューム押出材で作ることができる上下方向に伸びた角筒状のZ軸ブラケット8を備え、このZ軸ブラケット8の内部は隔壁8aにより測定機ベース1の前後方向(Y軸方向)に隣り合ったスピンドル収容室10とウエイト収容室20とに仕切ってある。
そして、同Z軸ブラケット8の後背下部は”L”字状に切欠いてあり、このL字状切欠き11には剛性のある前記X軸ガイド4を包囲するスライドブロック12が固定してあり、同スライドブロック12が図示を省略する送り手段でX軸方向に送られる。
【0011】
また、前記スピンドル収容室10の内部には下端部を外部に突出させた状態の矩形断面のZ軸スピンドル6が収容されるが、このZ軸スピンドル6はスピンドル収容室10中に設ける周知の案内手段で垂直方向(Z軸方向)に案内される。図示実施例の場合、この案内手段はZ軸スピンドル6を取り囲む4方壁内側に支持する4個のエアパッド14A,14B,14C,14Dで構成され、図3から理解されるように、これらの各エアパッド14A,14B,14C,14Dの給気部14aはZ軸ブラケット8の隔壁8a、前壁8b、左、右壁8c,8dを貫通した状態とされ、固定ナット15で対応壁にそれぞれ締結される。
そして、Z軸ブラケット8の外部に位置する3個の固定ナット15は前壁8b、左、右壁8c,8dに形成する取付溝16A,16B,16C中に位置され、同取付溝16A,16B,16Cを塞ぐ目隠し板17A,17B,17Cで外部から遮蔽される。
【0012】
前記Z軸スピンドル6の長さ方向中間部には、図3に示すように、図示を省略する駆動ギヤに噛合できるZ軸方向のラック歯車18及び回折格子スケール19が固定され、同回折格子スケール19には取付ブラケット21に支持されるホログラム検出素子22が臨まされ、同ホログラム検出素子22でZ軸スピンドル6のZ軸方向の送り量が測定される。
さらに、前記Z軸スピンドル6の下端部にはZ軸スピンドル6の内部に位置したニップル23が固定され、このニップル23に一端を固定した懸架ワイヤ24はZ軸スピンドル6の上端に形成する透孔25からスピンドル収容室10中に導出される。
【0013】
一方、図3に示すように、前記Z軸ブラケット8のウエイト収容室20中にはZ軸ブラケット8の内面に一体成形される一対のリブ状ウエイトガイド26A,26Bが相対向状態で突出され、これらのウエイトガイド26A,26Bは重量のあるバランスウエイト27の対応する両側面溝28に摺動可能に嵌められ、Z軸スピンドル6の移動時のバランスウエイト27の振れが防止される。
そして、前述した懸架ワイヤ24の他端は案内手段を経由してバランスウエイト27のフック27aに固定され、このバランスウエイト27の重量によりZ軸スピンドル6の重量が平衡される。
【0014】
図4は懸架ワイヤ24の案内に用いるプーリブラケット33を示し、このプーリブラケット33はZ軸ブラケット8の隔壁8aにねじ固定できる2つの取付孔29を取付部33aに備え、これらの取付部33aから直角に曲げた支持部33bには2つの中継プーリ31A,31Bが中心軸32でそれぞれ回転可能に支持してある。
なお、図2の符号”34”は角筒状Z軸ブラケット8の上端部を塞ぐエンドキャップであり、同エンドキャップ34によりZ軸ブラケット8の内部への異物の侵入が防止される。
【0015】
図示実施例による3次元測定機のZ軸組立体は、以上のような構造であるから、下後背部にスライドブロック12を固定する中空のZ軸ブラケット8中にZ軸スピンドル6及びバランスウエイト27を組み込むだけで完成されるから、部品点数が少なく、製造工程が簡素化される利点がある。
そして、懸架ワイヤ24を誘導する中継プーリ31A,31Bを取り付けたプーリブラケット33をZ軸ブラケット8の隔壁8aに固定するだけで、簡単に中継プーリ31A,31Bの取付けを行うことができ、中空に成形されるZ軸ブラケット8自体が曲げ荷重に安定した断面係数の大きな部材となるばかりでなく、同Z軸ブラケット8の壁部に組み付けるエアパッド14A,14B,14C,14Dの給気部14aを局部的に目隠し板17A,17B,17Cで覆うだけ、Z軸ブラケット8を外観部材として利用できる。
【0016】
本発明は以上の実施の形態に限定されるものではない。すなわち、Z軸スピンドルの一端に取り付けられる検出子はタッチプローブに限らず、非接触型距離センサや粗さ検出センサあるいは内径測定センサや画像センサなどでもよい。
また、中継プーリ31A,31Bはエンドキャップ34に取り付けた構造とすることもできる。このようにすれば、プーリブラケット33を省略することができる。
【0017】
更に、案内手段は、実施例の気体軸受に限らず、気体の代わりに油を使用して剛性を向上させた油体軸受や磁気軸受などを使用して案内性能を更に向上させてもよい。
また、ウエイトガイド26A,26Bは、一対(2箇所)のリブ状に限らず、3箇所以上に向けてもよく、ガイド形状の凸状とし、バランスウエイト27側にアリ溝状の被ガイド部を設けてもよい。
【0018】
更に、バランスウエイト27の被ガイド部(両側面溝28)に耐摩耗性と潤滑性の高い部材(例えばターカイト)を設けたり、ウエイトガイド26A,26Bのガイド面に給油機構を設けるなどの方法によって、バランスウエイト27の摺動性能を改善することができる。
また、本発明は3次元測定機のZ軸組立体に限らず、1次元測長器、粗さ測定機、形状測定機、真円度測定機などの寸法や表面性状を測定する測定機のZ軸組立体として用いることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、それ自体剛性の高い角筒状のZ軸ブラケットの内部に、Z軸ブラケット及びバランスウエイトを組み付けるだけで、簡単にZ軸組立体を完成できるから、部品点数の削減と組立工程の簡素化を図ることができる。
また、請求項2及び請求項3の発明では、中継プーリの取付けを非常に簡単に行うことができ、従来の前後カバーの廃止による合理化を行い得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一部を切欠いて示す本発明を施した門型3次元測定機の全体斜視図である。
【図2】同3次元測定機に用いる本発明のZ軸組立体の断面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った拡大断面図である。
【図4】一部を切欠いて示すプーリブラケットの側面図である。
【図5】3次元測定機に用いる従来のZ軸組立体の断面図である。
【符号の説明】
1 測定機ベース
3 門型移動体
4 X軸ガイド
5 Z軸組立体
6 Z軸スピンドル
7 タッチプローブ(検出子)
8 Z軸ブラケット
8a 隔壁
10 スピンドル収容室
14A〜14D エアパッド
24 懸架ワイヤ
27 バランスウエイト
31A,31B 中継プーリ
Claims (5)
- 被測定物の表面を測定する検出子を一端部に取り付けられZ軸方向に移動可能なZ軸スピンドルを備えたZ軸組立体において、長さ方向に対して直角な面内で内部をスピンドル収容室とウエイト収容室に仕切った垂直な角筒状の剛性Z軸ブラケットを備え、前記スピンドル収容室中には懸架ワイヤの一端に固定された前記Z軸スピンドルが案内手段によりその長さ方向に移動可能な状態で位置され、前記ウエイト収容室に臨んだZ軸ブラケットの内面には前記懸架ワイヤの他端に懸垂されてZ軸スピンドルの重量を平衡させるバランスウエイトを案内するウエイトガイドが突起されたことを特徴とする測定機のZ軸組立体。
- 前記Z軸ブラケットの隔壁上端面には前記懸架ワイヤの中間部を案内する中継プーリを支持したプーリブラケットが固定されることを特徴とする請求項1記載の測定機のZ軸組立体。
- 前記スピンドル収容室を取り囲むZ軸ブラケットの内壁には前記案内手段を構成するエアパッドが支持され、前記Z軸ブラケットの外壁に取り付けられる前記エアパッドの給気部は目隠し板で被覆されることにより、前記Z軸ブラケットの外面が外観パネルとされることを特徴とする請求項1または請求項2記載の測定機のZ軸組立体。
- 前記測定機は、略水平な面内で直交するX,Y軸方向に前記Z軸組立体を精密移動させ、前記Z軸スピンドルをZ軸方向に送って、測定機ベール上に置かれた被測定物の3次元的な寸法を含む表面性状を測定する3次元測定機であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の測定機のZ軸組立体。
- 前記Z軸ブラケットは、アルミニューム押出材により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の測定機のZ軸組立体。
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