JP3696462B2 - 無段変速機用ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体と、金属リング集合体が嵌合するリングスロットを有する多数の金属エレメントとから構成され、ドライブプーリおよびドリブンプーリに巻き掛けられて両プーリ間で駆動力の伝達を行う無段変速機用ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は金属ベルト式無段変速機を示すもので、ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11間に巻き掛けた金属ベルト15の圧縮側の弦部(ドライブプーリ6の出口およびドリブンプーリ11の入口間の弦部)の形状を示している。図8(A)は圧縮側の弦部が直線形状になった状態を示しており、この状態では、金属エレメント32間の押し力を最も効果的に伝達することができ、しかも金属リング集合体31,31の内周面が金属エレメント32のリングスロットのサドル面から受ける荷重が小さくなって金属リング集合体31,31の疲労寿命が延長される。図8(B)は圧縮側の弦部が僅かに外反り(半径方向外側に凸)になった状態を示しており、この状態では、金属リング集合体31,31の内周面が金属エレメント32のリングスロットのサドル面に適切な面圧で接触するため、金属リング集合体31,31の耐久性を低下させることなく、金属エレメント32のローリング方向の姿勢を安定させることができる。
【0003】
それに対して、図8(C)は圧縮側の弦部が僅かに内反り(半径方向内側に凸)になった状態を示しており、この状態では、金属リング集合体31,31の内周面が金属エレメント32のリングスロットのサドル面(半径方向内縁)から浮き上がって金属リング集合体31,31の外周面がリングスロットの半径方向外縁に接触するため、金属リング集合体31,31の寿命が大幅に低下するだけでなく、金属リング集合体31,31に対して金属エレメント32がローリングして姿勢が不安定になり、振動や騒音が発生する原因となる問題がある。
【0004】
また、金属エレメントの主面の一部を厚肉にして接触部を形成し、この接触部において隣接する金属エレメントを相互に当接させて押し力を伝達するものが、実公平5−37067号公報、実公平5−5310号公報、特公平5−64254号公報により公知である。
【0005】
上記実公平5−37067号公報に記載されたものは、金属エレメントの本体部の3か所およびイヤー部の2か所を他の部分よりも厚肉にして接触部を形成するとともに、本体部およびイヤー部を連結するネック部に捩じれ弾性を与えることにより、ドライブプーリおよびドリブンプーリが軸方向にずれるミスアライメントが生じても、プーリの軸線に対して直交する方向に動力伝達を行えるようにして動力伝達効率の向上を図っている。
【0006】
また上記実公平5−5310号公報に記載されたものは、金属エレメントのロッキングエッジよりも半径方向外側に位置する本体部の接触部の圧縮歪みと、イヤー部の接触部の圧縮歪みとを略等しく設定することにより、金属エレメントが押し力を伝達するときの姿勢の乱れを防止して動力伝達効率の向上を図っている。
【0007】
また上記特公平5−64254号公報に記載されたものは、金属エレメントの本体部の2か所、ネック部の1か所およびイヤー部の2か所を他の部分よりも厚肉にした接触部を左右対称に形成し、押し力による金属エレメント相互間の変位特性を金属ベルトの圧縮側の弦部のコンプライアンス値と略一致させることにより、金属エレメント自体に安定した直進性を与えるとともにミスアライメントに応じた適切な変位特性を与えるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記実公平5−37067号公報、特公平5−64254号公報に記載されたものは、ミスアライメントを吸収するための金属エレメントの形状を工夫したものであり、圧縮側の弦部における金属ベルトの半径方向の反りに関しては全く考慮されていない。また上記実公平5−5310号公報に記載されたものは、金属ベルトの圧縮側の弦部を直線状態に保つことを狙っているため、金属ベルトの圧縮側の弦部が僅かに外反りになる良好な状態(図8(B)参照)が許容されなくなり、金属エレメントの接触部の設計自由度が制限されてしまう問題がある。
【0009】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、金属エレメントが相互に接触する接触部を適切に配置することにより、金属ベルトの圧縮側の弦部の反り形状が適切な形状になるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体と、金属リング集合体が嵌合するリングスロットを有する多数の金属エレメントとから構成され、ドライブプーリおよびドリブンプーリに巻き掛けられて両プーリ間で駆動力の伝達を行う無段変速機用ベルトにおいて、金属エレメントの主面にリングスロットの半径方向内側に位置する接触面とリングスロットの半径方向外側に位置する接触面とを形成し、前記半径方向外側に位置する接触面の面積を大きくすることで、それら全ての接触面の図心の半径方向位置を、リングスロットに嵌合する金属リング集合体の厚さ方向中心よりも半径方向外側であって、リングスロットの半径方向外縁よりも半径方向内側に設定し、圧縮側の弦部に位置する金属エレメント群を僅かに外反りにすることを特徴とする無段変速機用ベルトが提案される。
【0011】
上記構成によれば、金属エレメントのリングスロットの半径方向内側に位置する接触面とリングスロットの半径方向外側に位置する接触面とのうち、半径方向外側に位置する接触面の面積を大きくすることで、それら全ての接触面の図心の半径方向位置を、リングスロットに嵌合する金属リング集合体の厚さ方向中心よりも半径方向外側であって、リングスロットの半径方向外縁よりも半径方向内側に設定したので、金属ベルトの圧縮側の弦部の反り形状が僅かに外反り形状になり、金属リング集合体をリングスロットのサドル面に適切な面圧で接触させて金属エレメントのローリング方向の姿勢を安定させ、金属リング集合体の寿命延長および騒音や振動の低減を可能にしながら、動力伝達効率を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の参考例および実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図5は本発明の参考例を示すもので、図1は無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図、図2は金属ベルトの部分斜視図、図3は金属エレメントの正面図、図4は図3の4方向矢視図(伝達トルクがかかっていない時の状態を誇張して示した図)、図5は図4に対応する作用説明図(伝達トルクがかかっている時の状態)である。
【0014】
尚、本参考例で用いる金属エレメントの前後方向、左右方向、半径方向の定義は図2に示されている。半径方向はその金属エレメントが当接するプーリの半径方向として定義されるもので、プーリの回転軸に近い側が半径方向内側であり、プーリの回転軸に遠い側が半径方向外側である。また左右方向は金属エレメントが当接するプーリの回転軸に沿う方向として定義され、前後方向は金属エレメントの車両の前進走行時における進行方向に沿う方向として定義される。
【0015】
図1は自動車に搭載された金属ベルト式無段変速機Tの概略構造を示すもので、エンジンEのクランクシャフト1にダンパー2を介して接続されたインプットシャフト3は発進用クラッチ4を介して金属ベルト式無段変速機Tのドライブシャフト5に接続される。ドライブシャフト5に設けられたドライブプーリ6は、ドライブシャフト5に固着された固定側プーリ半体7と、この固定側プーリ半体7に対して接離可能な可動側プーリ半体8とを備えており、可動側プーリ半体8は油室9に作用する油圧で固定側プーリ半体7に向けて付勢される。
【0016】
ドライブシャフト5と平行に配置されたドリブンシャフト10に設けられたドリブンプーリ11は、ドリブンシャフト10に固着された固定側プーリ半体12と、この固定側プーリ半体12に対して接離可能な可動側プーリ半体13とを備えており、可動側プーリ半体13は油室14に作用する油圧で固定側プーリ半体12に向けて付勢される。ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11間に、左右の一対の金属リング集合体31,31に多数の金属エレメント32を支持してなる金属ベルト15が巻き掛けられる(図2参照)。それぞれの金属リング集合体31は、12枚の金属リング33を積層してなる。
【0017】
ドリブンシャフト10には前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17が相対回転自在に支持されており、これら前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17はセレクタ18により選択的にドリブンシャフト10に結合可能である。ドリブンシャフト10と平行に配置されたアウトプットシャフト19には、前記前進用ドライブギヤ16に噛合する前進用ドリブンギヤ20と、前記後進用ドライブギヤ17に後進用アイドルギヤ21を介して噛合する後進用ドリブンギヤ22とが固着される。
【0018】
アウトプットシャフト19の回転はファイナルドライブギヤ23およびファイナルドリブンギヤ24を介してディファレンシャル25に入力され、そこから左右のアクスル26,26を介して駆動輪W,Wに伝達される。
【0019】
而して、エンジンEの駆動力はクランクシャフト1、ダンパー2、インプットシャフト3、発進用クラッチ4、ドライブシャフト5、ドライブプーリ6、金属ベルト15およびドリブンプーリ11を介してドリブンシャフト10に伝達される。前進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は前進用ドライブギヤ16および前進用ドリブンギヤ20を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を前進走行させる。また後進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は後進用ドライブギヤ17、後進用アイドルギヤ21および後進用ドリブンギヤ22を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を後進走行させる。
【0020】
このとき、金属ベルト式無段変速機Tのドライブプーリ6の油室9およびドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を、電子制御ユニットU1 からの指令で作動する油圧制御ユニットU2 で制御することにより、その変速比が無段階に調整される。即ち、ドライブプーリ6の油室9に作用する油圧に対してドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドリブンプーリ11の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドライブプーリ6の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はLOWに向かって無段階に変化する。逆にドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧に対してドライブプーリ6の油室9に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドライブプーリ6の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドリブンプーリ11の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はODに向かって無段階に変化する。
【0021】
図2〜図4に示すように、金属板材から打ち抜いて成形した金属エレメント32は、概略台形状のエレメント本体34と、金属リング集合体31,31が嵌合する左右一対のリングスロット35,35間に位置するネック部36と、ネック部36を介して前記エレメント本体34の上部に接続される概略三角形のイヤー部37とを備える。エレメント本体34の左右方向両端部には、ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11のV面に当接可能な一対のプーリ当接面39,39が形成される。また金属エレメント32の進行方向前側および後側には、該進行方向に直交するとともに相互に平行な前後一対の主面40f,40rが形成され、また進行方向前側の主面40fの下部には左右方向に延びるロッキングエッジ41を介して傾斜面42が形成される。更に、前後に隣接する金属エレメント32,32を結合すべく、イヤー部37の前後面に相互に嵌合可能な凸部43fおよび凹部43rが形成される。
【0022】
図3および図4から明らかなように、金属エレメント32を打ち抜き加工する際に、その進行方向前側の主面40fに、周囲よりも僅かに突出する3か所の接触面TC ,TL ,TR が同時に形成される。接触面TC ,TL ,TR の突出量は、トルクの伝達時に該接触面TC ,TL ,TR が圧縮されて前後一対の主面40f,40rが相互に密着する程度(例えば、5〜10μm程度)に設定される。中央の接触面TC は金属エレメント32の左右方向中央部に形成されるもので、その半径方向内端はロッキングエッジ41に一致しており、その半径方向外端はリングスロット35,35のサドル面44,44と同じ高さに整列している。また左右の接触面TL ,TR は金属エレメント32のイヤー部37の左右両端部に対称に形成される。本参考例では、3か所の接触面TC ,TL ,TR の図心Pが金属リング集合体31,31の厚さ方向(半径方向)中央のラインL1 上に設定される。 3か所の接触面TC ,TL ,TR の図心Pは、それら接触面TC ,TL ,TR に質量が一様に分布したと仮定したときの質量中心に相当する点であり、重心とも呼ばれる。X軸を左右方向にとり、Y軸を半径方向にとったとき、図心PのX座標Xpは、
Xp=∫xdA/A
で与えられ、Y座標Ypは、
Yp=∫ydA/A
で与えられる。ここで、xおよびyは、それぞれ接触面TC ,TL ,TR 上の微小面積dAのX座標およびY座標であり、Aは接触面TC ,TL ,TR の総面積である。
【0023】
本参考例では3か所の接触面TC ,TL ,TR が金属エレメント32のセンターラインCに対して左右対称に配置されているため、図心Pは常にセンターラインC上に位置する。そして3か所の接触面TC ,TL ,TR の大きさや半径方向位置が変化すると、図心Pの位置がセンターラインC上を半径方向(Y軸方向)に変化する。
【0024】
図4は隣接する金属エレメント32間に押し力Fが作用していないときの状態を強調して示すもので、金属エレメント32の3か所の接触面TC ,TL ,TR が相手方の金属エレメント32に当接する。
【0025】
図5に示すように、金属エレメント32間の押し力Fは金属リング集合体31,31の厚さ方向中央のラインL1 (図3参照)に沿って作用すると考えられるため、本参考例では、前記押し力Fが3か所の接触面TC ,TL ,TR の図心Pを通過することになる。図心Pに押し力Fが作用すると、前述した図心Pの定義により、その押し力Fによる圧縮荷重は3か所の接触面TC ,TL ,TR の全域に亘って均等になり、3か所の接触面TC ,TL ,TR の圧縮歪みも均等になって隣接する金属エレメント32の前後一対の主面40f,40rは相互に密着する。その結果、押し力Fが作用する金属ベルト15の圧縮側の弦部において、隣接する金属エレメント32が相互に平行に保たれるため、前記圧縮側の弦部は図8(A)に示すように直線状になり、ドライブプーリ6からドリブンプーリ11に駆動力を最も効果的に伝達することが可能になるだけでなく、金属リング集合体31,31の内周面が金属エレメント32のリングスロット35,35から受ける荷重が小さくなって金属リング集合体31の疲労寿命が延長される。
【0026】
図6および図7に示す本発明の実施例の金属エレメント32は、そのイヤー部37を左右方向に延長して2か所の接触面TL ,TR を大型化したものである。本実施例のその他の構成は、上述した参考例と同じである。その結果、本実施例の金属エレメント32の図心Pは参考例のものよりも半径方向外側に移動し、リングスロット35,35の半径方向外縁に沿うラインL2 上に位置するようになる。本実施例では、金属ベルト15の圧縮側の弦部において、押し力Fは金属エレメント32の図心Pよりも半径方向内側に作用するため、半径方向外側の2か所の接触面TL ,TR に作用する圧縮荷重よりも、半径方向内側の1か所の接触面TC に作用する圧縮荷重が大きくなり、該半径方向内側の1か所の接触面TC がより大きく圧縮変形して隣接する金属エレメント32の前後の主面40f,40rが相互に密着する。一方、半径方向外側の2か所の接触面TL ,TR は完全に圧縮変形せずに隣接する金属エレメント32の前後の主面40f,40rは密着することがない。
【0027】
尚、金属エレメント32に押し力Fが作用していないときの状態は、参考例の図4の状態と同じである(ただし、3か所の接触面TC ,TL ,TR の厚さは誇張して示している)。
【0028】
これにより、前記圧縮側の弦部は図8(B)に示すように僅かに外反り(半径方向外側に凸)になり、金属リング集合体31,31の内周面が金属エレメント32のリングスロット35,35のサドル面44,44に適切な面圧で接触する。而して、金属リング集合体31,31の耐久性を低下させることなく、金属エレメント32のローリング方向の姿勢を安定させ、騒音や振動の発生を防止することができる。
【0029】
仮に、3か所の接触面TC ,TL ,TR の図心Pが金属リング集合体31,31の厚さ方向中央のラインL1 よりも半径方向内側に位置していると 金属リング集合体31,31の厚さ方向中央のラインL1 に沿って作用する押し力Fにより、前記圧縮側の弦部は図8(C)に示すように内反り(半径方向内側に凸)になってしまう。その結果、金属リング集合体31,31の内周面が金属エレメント32のサドル面44,44から浮き上がって金属リング集合体31,31の外周面がリングスロット35,35の半径方向外縁に接触してしまい、金属リング集合体31,31の寿命が大幅に低下するだけでなく、金属エレメント32がローリングして姿勢が不安定になるために振動や騒音が発生してしまう。
【0030】
また、仮に、3か所の接触面TC ,TL ,TR の図心Pがリングスロット35,35の半径方向外縁に沿うラインL2 よりも更に半径方向外側に位置していると、前記圧縮側の弦部は図8(B)に示す状態よりも更に強い外反り形状になってしまう。その結果、駆動力の伝達効率が大幅に低下するだけでなく、金属リング集合体31,31の内周面が金属エレメント32のリングスロット35,35のサドル面44,44から大きな荷重を受けて耐久性が低下してしまう。
【0031】
従って、3か所の接触面TC ,TL ,TR の図心Pを図3の位置と図6の位置と間に、即ち金属リング集合体31,31の厚さ方向中央のラインL1 と、リングスロット35,35の半径方向外縁に沿うラインL2 との間に位置させれば、金属ベルト15の圧縮側の弦部の反り形状を僅かに外反り形状にすることが可能になり、金属リング集合体31,31の寿命延長、騒音や振動の低減、動力伝達効率の向上を可能にすることができる。
【0032】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0033】
例えば、実施例では金属エレメント32の進行方向前側の主面40fに接触部TC ,TL ,TR を形成しているが、それら接触部TC ,TL ,TR を進行方向後側の主面40rに形成しても良く、前後両方の主面40f,40rに形成しても良い。また接触部TC ,TL ,TR の数は実施例の3か所に限定されず、その数や形状は任意に変更可能である。 尚、図4に鎖線で示すように、接触部TC ,TL ,TR の周縁部は角を持たずに滑らかに盛り上がっていてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、金属エレメントのリングスロットの半径方向内側に位置する接触面とリングスロットの半径方向外側に位置する接触面とのうち、半径方向外側に位置する接触面の面積を大きくすることで、それら全ての接触面の図心の半径方向位置を、リングスロットに嵌合する金属リング集合体の厚さ方向中心よりも半径方向外側であって、リングスロットの半径方向外縁よりも半径方向内側に設定したので、金属ベルトの圧縮側の弦部の反り形状が僅かに外反り形状になり、金属リング集合体をリングスロットのサドル面に適切な面圧で接触させて金属エレメントのローリング方向の姿勢を安定させ、金属リング集合体の寿命延長および騒音や振動の低減を可能にしながら、動力伝達効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図
【図2】 金属ベルトの部分斜視図
【図3】 金属エレメントの正面図
【図4】 図3の4方向矢視図(伝達トルクがかかっていない時の状態を誇張して示す図)
【図5】 図4に対応する作用説明図(伝達トルクがかかっている時の状態)
【図6】 本実施例に係る金属エレメントの正面図
【図7】 図5に対応する作用説明図(伝達トルクがかかっている時の状態)
【図8】 金属ベルト圧縮側の弦部の反り形状を説明する図
【符号の説明】
6 ドライブプーリ
11 ドリブンプーリ
31 金属リング集合体
32 金属エレメント
33 金属リング
35 リングスロット
40f 主面
P 図心
TC 接触面
TL 接触面
TR 接触面
Claims (1)
- 無端状の金属リング(33)を複数枚積層した金属リング集合体(31)と、金属リング集合体(31)が嵌合するリングスロット(35)を有する多数の金属エレメント(32)とから構成され、ドライブプーリ(6)およびドリブンプーリ(11)に巻き掛けられて両プーリ(6,11)間で駆動力の伝達を行う無段変速機用ベルトにおいて、
金属エレメント(32)の主面(40f)にリングスロット(35)の半径方向内側に位置する接触面(T C )とリングスロット(35)の半径方向外側に位置する接触面(T L ,T R )とを形成し、前記半径方向外側に位置する接触面(T L ,T R )の面積を大きくすることで、それら全ての接触面(TC ,TL ,TR )の図心(P)の半径方向位置を、リングスロット(35)に嵌合する金属リング集合体(31)の厚さ方向中心よりも半径方向外側であって、リングスロット(35)の半径方向外縁よりも半径方向内側に設定し、圧縮側の弦部に位置する金属エレメント(32)群を僅かに外反りにすることを特徴とする無段変速機用ベルト。
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