JP3696059B2 - 道床バラスト掻出用チェーン及び掻出装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄道道床のバラスト交換作業に使用するバラスト掻出チェーンとその装置に関する。
【０００２】
【発明が解決しようとする課題】
バラスト交換における掻出しと充填作業は、列車の走行時間帯を避けて短時間内に行う必要から高速高能率な作業が要求され、バラスト掻出作業は、掻出装置の性能、特にチェーンの耐摩耗性及び掻出能力によって大きく左右されるので作業は掻出チェーンの性能に支配されるといっても過言でない。
バラスト掻出性能を高めるにはチェーンに固設される掻出爪（ビット）の有効巾（高さ）を大きくすることが有効であるが、従来の鎖式チェーンでは掻出爪の有効巾を大きくするとチェーンの回転が不安定になりガイド機構と共に偏摩耗して短寿命になる欠点があった。
更に掻出チェーンは、道床に挿入される水平部と搬出用コンベアとの間の曲走部においても円滑に屈曲して走行するものでなければならない。この他、作業車に搭載される掻出装置は、走行移動中は作業車の片側においてレールと並行に保持され、トンネル内でも作業しなければならないため大きさに限界がある。
【０００３】
本発明はこれら相反する要求や制約を克服し、単位長当りの掻出量を高めると共に高速化を図り、更に曲走部における掻出チェーンの円滑な屈曲を保証し、長時間の使用に耐える丈夫な掻出チェーン装置を提供するものである。
【０００４】
本発明掻出チェーンは、単数又は複数の掻出爪を突設した押出壁が上面板上に垂設されると共に、上面板下面に一対の脚片を備えたリンク部材とヒンジピンによって連接された連結体が前記脚片間に位置して各リンク部材とピン連結されて構成され、更に上面板と脚片部を含むリンク部材の両端部に夫々チェーン曲走に対応するための切欠きテーパ面が形成されてなるものである。
また、バラスト掻出装置は、前記掻出チェーンの一方の脚片内側面にチェーン曲走部の曲率に応じた弧面が形成されると共に前記弧面に接する案内ローラがチェーン曲走部の内側に沿って所定間隔で配設されて構成される。
【０００５】
【発明の実施の形態】
図１、２において、１は地上走行用履帯と軌条走行用車輪を備えた作業車であって前端部にバラスト掻出装置２を備えている。３は、回動装置であって作業車の車輪走行中はバラスト掻出装置２をレール４の片側にレールと平行に支持し、掻出作業においては枕木５とほぼ平行に支持する。
６は、延長及び傾斜角度調節可能なベルトコンベア、７は必要に応じて使用する振分けコンベアである。
掻出装置２は、受けホッパ１０を連設したカバーダクト１１内に掻出チェーン装置１２の一部を収納保持すると共にダクト上部にチェーン駆動機構１３を備えている。１３ａは油圧モータ、１３ｂは減速機構、１４はダクトの曲り部である。
掻出チェーン装置１２は、枕木下方のバラスト道床に挿入される水平掻出部１５、曲走部１６及び傾斜部１７からなる案内枠１８とエンドレスチェーン体１９からなり、チェーン体１９は、案内枠の基端側に枢着されている駆動スプロケット（図示せず）と先端側従動スプロケット２１に係合連結されている。２０は駆動軸、２１ａは従動軸である。両スプロケットの回転面が異なるためチェーン中間部に曲走部１６を生じる。
【０００６】
チェーン体１９は、リンク部材２２と連結体３４によって図４以下のように構成されている。
２３は上面板、２４は上面板上に垂設されたバラスト押出壁であって傾斜端部２５に掻出爪２６が突設されている。掻出爪は公知の回転ビットによって交換可能に設けられる。
２７、２８は上面板２３の下面に連接された一対の脚片であって下端に夫々フランジ２９、２９が設けられている。一方の脚片２７の外側面には、後述するチェーン曲走部の曲率に応じた弧面３１が形成されている。
３２は、脚片２７、２８を含む上面板２３の隅部に形成したテーパ面であってチェーン体曲走部において各リンク部材の弧面３１を連続させて大円弧を形成し、後述するローラによって円滑な曲走を保証する。
【０００７】
３３は、リンク部材２２の上面板の両端中央の脚片間に凹設した半円弧部で円弧端はテーパ面３２に接続する。各リンク部材を連結する連結体３４は図７に示すように対向するヒンジ連結部３５とピン孔３６を有する２つの半体３４Ａ、３４Ｂからなり垂直なヒンジピン３７によって連結される。３８は、リンク連結ピンの挿入孔、３９はリンクピンである。
【０００８】
上記の如く構成された掻出チェーンの運動は、掻出装置の直線部においては通常のチェーンと同様であるが、曲走部においては図８、図９に示すようになる。即ち、チェーン体１９を構成している連結体３４はリンク部材２２を連結したままヒンジピン３７を中心にして折れ曲がり、同時にリンク部材２２の隣接するテーパ面３２が接触する。
これによって各リンク部材の脚片２７の外側面に形成されている一定曲率の弧面３１が連続して大円弧３１Ａを形成する。
４０は弧面３１に転接する曲走案内ローラであって弧状フレーム４１上に所定間隔で軸支され、各案内ローラ４０は恰も１個の内接円に接している如く円滑に転動する。
【０００９】
作業現場において、掻出チェーン装置１２の水平掻出部１５が回動装置３によって図１、図２の如く枕木５の下方に挿入され、チェーンの張り側を内側にして矢方向に走行する。掻出爪２６によって掻出されたバラストはダクト開口部１４ａに投入されそのままダクト内を移送され、受けホッパ１０を経てコンベア６に移される。
【００１０】
【発明の効果】
本発明における掻出爪２６及びバラスト押出壁２４は、従来装置のものより大型であるからチェーンの単位長当りの掻出量を多くできる。この他、曲走部においてリンク部材のテーパ面３２が接触することによってチェーン体１９の揺動が規制され、更にチェーン体の案内ローラ転接面が大円弧を形成して案内ローラ４０で支持されるので曲走部のチェーン走行が安定し、円滑になり、偏摩耗を生じない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】作業状態の軌道車側面図。
【図２】同上正面図。
【図３】チェーン装置の一部切断展開平面図。
【図４】掻出挿入部の先端側拡大平面図。
【図５】チェーンの一部拡大側面図。
【図６】同上継断面図。
【図７】連結体の分解側面図。
【図８】掻出チェーンの曲走部側面図。
【図９】掻出チェーンの曲走部の拡大断面図。
【符号の説明】
１ 作業車
２ バラスト掻出装置
３ 回動装置
１０ 受けホッパ
１１ カバーダクト
１２ 掻出チェーン装置
１３ チェーン駆動機構
１４ ダクト曲り部
１５ 水平掻出部
１６ 曲走部
１７ 傾斜部
１８ 案内枠
１９ チェーン体
２０ 駆動軸
２１ 従動スプロケット
２２ リンク部材
２３ 上面板
２４ バラスト押出壁
２５ 傾斜端部
２６ 掻出爪
２７、２８ 脚片
２９ フランジ
３１ 弧面
３２ テーパ面
３３ 半円凹部
３４ 連結体
３５ ヒンジ連結部
３６ ピン孔
３７ ヒンジピン
３８ 挿入孔
３９ リンクピン
４０ 案内ローラ
４１ 弧状フレーム

Claims (3)

1. 掻出爪を突設した押出壁が垂設された上面板下面に一対の脚片を備えたリンク部材とヒンジピンによって連接された連結体が前記脚片間に位置して各リンク部材とピン連結されてなるバラスト掻出チェーン。
2. 上面板と脚片部を含むリンク部材の両端部に夫々チェーン曲走に対応するための切欠きテーパ面が形成されてなる請求項１記載のバラスト掻出チェーン。
3. 請求項１、２記載の掻出チェーンの一方の脚片内側面にチェーン曲走部の曲率に応じた弧面が形成されると共に前記弧面に接する案内ローラがチェーン曲走部の内側に沿って所定間隔で配設されてなるバラスト掻出装置。

Images