JP3695958B2 - 木目調樹脂成形物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木目調樹脂成形物に関し、詳しくは色相の安定した木質感に優れた木目調樹脂成形物に関すものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(以下、ABS樹脂と記す。)は優れた物性を有する樹脂として知られ、成形加工材料として用いられている。例えば、自動車部品、家庭用電気部品、事務機器部品、機械部品などに利用されている。一方、最近では自動車用内装材や住宅の内装材として、例えば窓枠、扉枠、床、天井、階段手すりなどに天然の木材に近い質感を有する木目調の材料を使用するケースが増えてきている。また建材分野では住宅などの外装材についても高級感のある天然木材と同じ木目調の材料からなる製品を使用した暖かみのある住宅の要望が増えてきている。
【0003】
従来、この要望に答えるためにはABS樹脂そのものでは木質感が得られないため木粉や紙などのセルロース系の添加剤を加えた組成物を用いた検討が行われている。例えばABS樹脂を用いて木質感を得るために、木粉を含有して発泡させた硬質の樹脂組成物が製造されている。しかしながらABS樹脂に一般の木粉を添加すると、木粉より発生する木酸などのためにABS樹脂の劣化が進行する問題があり、衝撃強度が低下するだけでなく、特に色調の低下が激しく木粉を添加したABS樹脂組成物は茶色になり易く、天然物の木粉の色が一定しない事もあり、製品の色管理が難しいという問題があった。また、木粉に含まれるリグニン等の不純物が黄色味を有しているため、着色に要する顔料が多量に必要になることや、発泡成形をする際には、このリグニンが発泡を阻害する傾向があった。これらの問題を解決する手段として、特公平8−30382号公報には、白色無機顔料をボールミルを用いて木質粉末の表面に担持する方法により木酸の放出を抑制する方法が開示されている。しかし、この方法では、白色顔料の木粉への担持が必要で、その工程が増加し、しかも処理効率が低く、経済的には不向きで木酸を本質的に抑制することができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の方法での問題点を解決し、色管理を簡単にし、物性の安定性と色相の変化を少なくし、木質感に優れた木目調樹脂成形物を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、(1)白度80%以上のセルロース粉末1〜60重量%とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(以下、ABS樹脂)40〜99重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、(2)着色剤3〜20重量%と、該ABS樹脂に対して、200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度の比が0.4以下または2.5以上であるスチレン系樹脂80〜97重量%からなる樹脂組成物0.1〜10重量部と(3)発泡剤0.01〜1重量部を混合成形して得られる比重が0.5〜1.0である木目調樹脂成形物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における白度80%以上のセルロース粉末とは、木、パルプ及び紙を酸及びアルカリで処理をすることにより、木酸、リグニン等の不純物を取り除いた白度80%以上のセルロース粉末であり、ここでの酸又はアルカリ処理は、例えば、木、パルプ及び紙を適度な大きさのチップに粉砕・選別して、そのチップを塩酸或いは硫酸での酸加水分解し、濾過・水洗・脱水・乾燥、さらに粉砕・選別して木酸、リグニン等の不純物を取り除く方法、或いは石灰石と硫黄から調製された亜硫酸と重亜硫酸カルシウムの混合液で100〜115℃での加熱蒸解、水洗、離解、スクリーニング、塩素−アルカリ−塩素−アルカリ−次亜塩素酸漂白−亜硫酸水或いは塩素酸処理のような一連の精製漂白、脱水・乾燥・選別して得る酸性重亜硫酸カルシウム法。その他に水酸化ナトリウムと硫酸ナトリウムが主成分である硫酸塩での加熱蒸解、洗浄、スクリーニング、二酸化炭素漂白、次亜塩素酸漂白、スクリーニング、徐塵工程、亜硫酸水溶液処理をしたのち脱水・乾燥・選別して得る硫酸塩法や硝酸とアルカリ処理からなる硝酸法、ヒドロトロピ塩溶液を用いたヒドロトロピ法が挙げられる。
【0007】
また、これら木酸、リグニン等の不純物を取り除いたセルロース粉末は、市場で容易に入手可能であり、例えば、日本製紙(株)社製の100メッシュパスの粒度を持つKCフロックW100(10N塩酸処理)、あるいは200メッシュパスの粒度を持つKCフロックW200(10N硫酸処理)などが挙げられる。特に、このセルロース粉末では、白色の微粉末であるため、顔料などによる調色は自由にできる。
【0008】
本発明のセルロース粉末のABSへの添加量比は、セルロース粉末1〜60重量%に対してABS樹脂40〜99重量%である。セルロース粉末の添加量が1重量%未満であると、成形物の木質感が得られず、60重量%超過であると、樹脂組成物の加工性が低下し、成形が困難になる。
【0009】
本発明でいうABS樹脂は、ゴム状重合体とスチレン系単量体、不飽和ニトリル系単量体及び、必要であれば他の単量体の共重合体からなる樹脂である。ここでスチレン系単量体としては、スチレン、α−アルキルモノビニリデン芳香族単量体(例えばα−メチルスチレン;α−エチレンスチレン;α−メチルビニルトルエン;αメチルジアルキルスチレン;等)、環置換アルキルスチレン(例えばo−m−及びp−ビニルトルエン;o−エチルスチレン;p−エチルスチレン;2,4−ジメルスチレン;p−第三級ブチルスチレン;等)、環置換ハロスチレン(例えばo−クロロスチレン;p−クロロスチレン;o−プロモスチレン;2,4−ジクロスチレン;等)環−アルキル、環ハロ−置換スチレン(例えば2−クロロ−4−メチルスチレン;2,6−ジクロロスチレン;等)ビニルナフタレン、ビニルアントラセンの一種または混合物が用いられる。
【0010】
上記の置換アルキル基は1〜4個の炭素原子を有し、そしてイソプロピル及びイソブチル基を含む。このうちモノビニリデン芳香族単量体の一種もしくは混合物が好ましく用いられる。また、不飽和ニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0011】
また、ゴム状重合体は共役1,3−ジエン(例えばブタジエン;イソプレン;等)等のポリブタジエン類やスチレン−ブタジエン共重合体またはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンメチレンリンケージ)等又はこれらの混合物が挙げられる。
【0012】
本発明でいう他の単量体とは、スチレン、アクリロニトリルと共重合可能な単量体であれば特に限定しないが、メチルメタクリレート等のアクリレート類や、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類が挙げられる。
【0013】
本発明のABS樹脂からメチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が10〜30重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.4〜0.9dl/gであり、好ましくは0.4〜0.80dl/g、さらに好ましくは0.45〜0.75dl/gである。還元粘度が0.4dl/gより小さいと衝撃強度が著しく低下するので好ましくなく、また0.9dl/gを越えると流動性が低下し、成形可能な温度が高くなり、そのために色相の悪化が起こるため好ましくない。ここで還元粘度とは海相成分(S)の0.25gを精秤し、ジメチルホルムアミド50mlに2時間かけて溶解させた溶液を、溶媒の流下時間が20〜100秒のウベローデ粘度計を用いて30℃の環境で測定して得られる値で、還元粘度は溶媒の流下秒数(t0 )と溶液の流下秒数(t)から次式(1)によって求める。
【0014】
【数1】
還元粘度(ηsp/c)={(t/t0 1}/0.5
【0015】
また必要に応じて他のABS系重合体やその他のポリマー、または添加剤等を混合することも本発明の構成に含まれる。例えば、他のポリマーとして、スチレン−アクリロニトリル樹脂、ブタジエンゴム、SBR、エチレン−プロピレンゴム、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体などのアクリル系エラストマー等が好ましい。
【0016】
本発明におけるABS樹脂の製造方法としては、溶液重合または塊状重合法が好ましく公知の方法でよく、一例を挙げると単量体と必要であれば前記単量体と共重合可能な他の単量体及び必要に応じてエチルベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶液重合で合成されたゴム状重合体を溶解し、分子量調節剤、重合開始剤等を添加するか、あるいは添加しないで、該ゴム状重合体の単量体溶液を攪拌式反応器に連続的に供給し、該単量体の一部または全量を共重合させゴム状重合体成分の粒子を形成する。得られた重合体混合液を脱揮発分槽に導入し、未反応単量体、溶剤を含んでいる場合は溶剤を重合体成分から分離する。その後造粒工程を経てペレット状のABS樹脂が得られる。
【0017】
本発明の樹脂成形物を得る方法としては、上述のABS樹脂にセルロース粉末、さらには必要に応じて着色剤その他添加剤を添加し、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンブレンダーなどにより攪拌・混合を行って得た配合粉として、さらには必要に応じて、例えば、コニカル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニーダー型押出機、ロール混練機などの混練機により造粒したペレットとして得ることができる。
【0018】
上記で得た配合粉又はペレットを用いて、シリンダー温度、ダイス温度共に200℃以下の条件下で押出成形、異形押出成形、射出成形、カレンダー成形、真空成形、ブロー成形等の溶融成形することにより、容易に木質感に優れた木目調樹脂成形物を得ることができる。ここで重要なことは、シリンダーとダイスの温度が200℃を越えると、セルロース粉末の焼けが生じることから、その温度を200℃以下に設定することである。
【0019】
また、本発明の成形物を成形する時の特徴として、従来の木粉やセルロースとABS樹脂の混合物においては押し出し時や成形加工時にダイスや金型にヤニ状物質が付着するという問題が生じるが、本発明の成形物の成形時には、このヤニ状付着物質が大幅に低減されるものであり、これも本発明の大きな効果である。この効果についての原理は明確ではないが、本発明のABS系重合体の海相成分(S)に含まれる不飽和ニトリル成分が特定の分布であること、特定のゴム状重合体を用いることが、かかるヤニ状物質の発生量の低減につながると推定される。
【0020】
本発明の着色剤とは、プラスチック用着色剤であり、公知のものは何れでもよく、例えば、染料や顔料が挙げられ、添加剤入りとして具体的にはドライカラー;染料・顔料+分散剤(金属石鹸、ワックス)、ペーストカラー;染料・顔料+液体の分散剤(可塑剤、ポリエステル、ポリオール)、リキッドカラー;染料・顔料+高沸点液状分散剤(ノニオン系界面活性剤)である。これら顔料として無機顔料の具体例としては、クレー、雲母、黄土、チタンホワイト、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、アルミナ白、黄色酸化鉄、カドミニウム黄、カドミニウム赤、硫化亜鉛、アンチモン白、銀朱、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、群青、タルク、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄、モリブデン赤、硫酸バリウム、硫酸鉛、硫酸ストロンチウム、紺青、水酸化アルミニウム、カーボンブラック、松煙、グラファイト、アルミニウム粉、ブロンズ粉など。また、有機顔料としては、具体的にはマダーレーキ、ロックウッドレーキ、コチニールレーキ、カミン6B、レッド2B、レーキレッドC、ジスアッゾイエロー、ハンザイエロー、ナフトールレッド、ポリアゾイエロー、ポリアゾレッド、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジンバイオレット、ペリレンレッド、キナフタロンイエローなど、他に塩基性染料、酸性染料、建て染め染料および媒染染料等が挙げられる。
【0021】
これらの着色剤は、必要に応じて白度80%以上のセルロース粉末とABS樹脂とともにあらかじめ溶融混練して押し出し機でペレット化しておくこともできる。また同じ着色剤あるいは別の種類の着色剤を、ABS樹脂に対する200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度の比が0.4以下または2.5以上であるスチレン系樹脂に対して3〜20重量%を同様に溶融混練して押し出し機でペレット化しておくことが好ましい。
【0022】
本発明の成形に適した温度は上述のようにシリンダーとダイスの温度が200℃を越えると、セルロース粉末の焼けが生じることから、成形温度は200℃以下である。特に採用される範囲は160℃から190℃の範囲である。
【0023】
本発明で用いられるスチレン系樹脂としてはポリスチレン、ゴムで強化した高衝撃ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)、ABS樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体樹脂(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン(EPDM)−スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)、メチルメタクリル酸(MMA)−スチレン共重合体樹脂(MS樹脂)等が好適に用いられる。成形品が木目調となるためには成形温度での流動条件、すなわち着色剤を大量に含むこれらの樹脂とセルロースを大量に含むABS樹脂の溶融粘度差が影響を与える。具体的には溶融粘度測定装置を用いて測定した200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度のABS樹脂に対する比が0.4以下または2.5以上であると木質感のある木目調の成形物が得られる。200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度の比が0.4と2.5の間にあると樹脂が相溶して、着色剤が均一に分散されてしまい、木目調の成形物が得られない。ここで粘度比の測定は、市販の溶融粘度測定装置を使用して200℃での溶融粘度を測定することで容易に行える。
【0024】
本発明で重要なのは、白度80%以上のセルロース粉末1〜60重量%とABS樹脂40〜99重量%および必要に応じて添加する着色剤からなる樹脂組成物(1)100重量部に対して、着色剤3〜20重量%と該ABS樹脂に対して、200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度の比が0.4以下または2.5以上であるスチレン系樹脂80〜97重量%からなる樹脂組成物(2)0.1〜10重量部混合することであり、この混合に際し、樹脂組成物(2)が0.1重量部未満では木目が確認できず、また10重量部を越えると色が濃くなりすぎて木目調の木質感が出ないので好ましくない。
【0025】
本発明で使用する発泡剤としては、公知のものの何れでもよく、例えば、空気、水、窒素、炭酸ガス、ブタンガス、ペンタン、フロンガスなどのガス類や炭酸塩や重炭酸塩などの無機発泡剤やイソシアネート類、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物等の有機発泡剤、たとえばp,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。発泡剤の使用量は成形品によって異なるが0.01〜1重量部である。
【0026】
本発明に用いる上述の樹脂成形物には、一般に用いられる充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、核剤、耐衝撃改良剤、加工助剤、エラストマーなどを必要に応じて用いることができる。ここでいう加工助剤としては、公知のものの何れでもよく、例えば、ポリメチルメタクリレートが挙げられる。また酸化防止剤としては、公知のものの何れでもよく、例えば、アルキルフェノール型、アルキレン・ビスフェノール型、アルキルフェノール・チオエーテル型、β,β’−チオプロピオン酸エステル型、有機亜リン酸エステル型、芳香族アミン型、フェノール・ニッケル複合体などが挙げられる。紫外線吸収剤としては、公知のものの何れでもよく、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシベンゾフェノン系などが挙げられる。
【0027】
本発明の樹脂成形物はさらに一般的に使用される無機充填剤を使用しても良く、例えば、炭酸カルシウム、クレー、含水珪酸、無水珪酸、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムアスベスト粉、酸化アンチモン、タルク、三水和アルミニウム、水和硼酸亜鉛、マグネシャ、重曹、硝酸加里、水酸化カルシウム、雲母、合成フッ素雲母等が挙げられる。以上の一般に用いられる添加剤については、市場で容易に入手可能であり、必要に応じて使用することができる。
【0028】
本発明のもう一つの特徴は、木質感を有する木目調の成形物とするために得られる成形物の比重を0.5〜1.0にする必要があり、上記で添加されるものの量は成形物の比重がこれらの範囲になるように決めることである。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的にする。この実施例は単なる例示であって本発明はこれらに限るものではない。
【0030】
本実施例でセルロース粉末とABS樹脂と必要に応じて添加する着色剤とからなる組成物は、コニーダー型押し出し機を用いてシリンダー温度・ダイス温度は190℃に設定してペレット化した。さらに該ABS樹脂に対して200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度の比が0.4以下または2.5以上であるスチレン系樹脂と着色剤からなる組成物の製造は押し出し機を使用してそれらの樹脂の通常の押し出し条件でペレット化した。
【0031】
樹脂の分子量としては、メルトフローインデックス(特定の温度のもと一定の加重で10分間押し出しさ樹脂の重量で表した。以下、MIと記す)で表し、JISの測定(JIS−K7210、試験温度200℃、加重5.00kgf)に準じた。
【0032】
溶融粘度の比は東洋精機製キャピログラフを使用して、直径1mm、長さ10mmのキャピラリーを使用して、シリンダー温度200℃で剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度を測定した。
【0033】
成形は東洋精機製作所(株)社製ラボプラストミル−コニカル二軸押出機2D−20C型を使用し、ダイスにはスリットダイ(W=40mm、H=1mm、L=60mm)を使用して、シリンダー温度・ダイス温度は200℃を越えないそれぞれの樹脂により任意の温度に設定し、幅40mm、厚み1mmの平板成形物を成形し、この成形物を用いて木質感について以下のように評価した。
木質感については、成形物の艶を測定し評価した。測定は、堀場製作所(株)社製ハンディー光沢計グロスチェッカーIG−320を使用して行った。ここではグロス値が15以下で木質感があると判断した。また、成形物と天然の杉板を本研究者以外の研究者10名に目視と触診で比較観察してもらい、そのときその成形物が天然の杉板に近い木質感があると判断した研究者の人数も結果に示す。
【0034】
実施例1
ABS樹脂として溶液重合法で製造したブタジエンゴムを使用して、連続塊状重合法で製造したメルトフローレートが0.70g/10分のABS樹脂(メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が24重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.71dl/gであり、ゴム状重合体成分の平均粒径が2.5μmで、0.4μm以上のゴム粒子の50%以上が0.1μm以上の細胞径を含むサラミ状の構造であり、細胞径の面積がゴム粒子全体の面積の70%を占めている粒子として分散相を25重量%の割合で含む。)100重量部に白度80%以上のセルロース粉末(日本製紙(株)社製、KCフロック W100)30重量部を三井三池(株)社製ヘンシェルミキサーにて混合し、得られた組成物をブッス社製ブッスコニーダー押出機にて190℃で造粒し、ペレット(1)を得た。また、スチレン系樹脂として別のABS樹脂(200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度比(対ABS樹脂)が0.3)100重量部に着色剤としてアントラキノン系のオレンジ顔料5重量部を混合後、二軸押し出し機を用いて260℃で造粒し、ペレット(2)を得た。
【0035】
上記ペレット(1)100重量部に対して、ペレット(2)1重量部と、発泡剤としてp,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を0.1重量部添加して、東洋精機製作所(株)社製ラボプラストミルコニカル二軸押出機2D−20C型を使用し、ダイスにはスリットダイ(W=40mm、H=1mm、L=60mm)を使用して、シリンダー温度を190℃、ダイス温度を190℃設定で、幅40mm、厚み1mmの平板成形品を得た。この平板成形物を上述の通りに木質感について評価した。また金型付着物質の観察を行い、成形後ダイスに付着物がなければ無し、有ると有りの判断を行った。結果を表1に示す。
【0036】
実施例2
ペレット(1)におけるABS樹脂として、溶液重合法で製造したブタジエンゴムを使用して、連続塊状重合法で製造したメルトフローレートが1.20g/10分のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が24重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.62dl/gであり、ゴム状重合体成分の平均粒径が0.85μmで、0.4μm以上のゴム粒子の50%以上が0.1μm以上の細胞径を含むサラミ状の構造であり、細胞径の面積がゴム粒子全体の面積の70%を占めている粒子として分散相を30重量%の割合で含む。)100重量部に白度80%以上のセルロース粉末20重量部とリン系加工安定剤(日本チバガイギー(株)社製、IRGAFOS−168)0.1重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)社製、イルガノックス1010)0.1重量部を用い、またスチレン系樹脂として別のABS樹脂(200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度比(対ABS樹脂)が3)100重量部に着色剤5重量部を混合後、二軸押し出し機を用いて260℃で造粒してペレット(2)を得た他は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表1に示す。
【0037】
実施例3
白度80%以上のセルロース粉末を80重量部に代えた他は実施例2と同様にしてペレットを得て、さらに平板成形物を得て評価した。結果を表1に示す。
【0038】
実施例4
ペレット(1)におけるABS樹脂として溶液重合法で製造したブタジエンゴムを使用して、連続塊状重合法で製造したメルトフローレートが5.10g/10分のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が15重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.44dl/gであり、ゴム状重合体成分の平均粒径が0.85μmで、0.4μm以上のゴム粒子の50%以上が0.1μm以上の細胞径を含むサラミ状の構造であり、細胞径の面積がゴム粒子全体の面積の80%を占めている粒子として分散相を33重量%の割合で含む。)100重量部に白度80%以上のセルロース粉末50重量部とリン系加工安定剤(日本チバガイギー(株)社製、IRGAFOS−168)0.1重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)社製、イルガノックス1010)0.1重量部を用い、またスチレン系樹脂として別のABS樹脂(200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度比(対ABS樹脂)が4)100重量部に着色剤5重量部を混合後、二軸押し出し機を用いて260℃で造粒してペレット(2)を得た。発泡剤を0.3重量部添加した以外は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表1に示す。
【0039】
実施例5
スチレン系樹脂としてABS樹脂に代え、200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度比(対ABS樹脂)が3.5の高衝撃性ポリスチレンを用いた他は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表1に示す。
【0040】
実施例6
スチレン系樹脂としてABS樹脂に代え、200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度比(対ABS樹脂)が4のAS樹脂を用いた他は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003695958
【0042】
比較例1
白度80%以上のセルロース粉末を0.5重量部に代えた他は実施例1と同様にペレットを得、平板成形品を評価した。結果を表2に示す。
【0043】
比較例2
白度80%以上のセルロース粉末を160重量部に代えた他は実施例2と同様にしたところ、ペレットとして得ることが出来なかった。結果を表2に示す。
【0044】
比較例3
ABS樹脂として乳化重合法で製造したメルトフローレートが2.50g/10分のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が25重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.62dl/gであり、ゴム状重合体成分の平均粒径が0.25μmで、サラミ状の構造のゴム粒子を含まない。)に代えた他は実施例1と同様にペレットを得、平板成形品を評価した。結果を表2に示す。
【0045】
比較例4
白度80%以下の市販の木粉に代えた他は実施例1と同様にペレットを得、平板成形品を評価した。結果を表2に示す。
【0046】
比較例5
スチレン系樹脂として、200℃における剪断速度103 sec‐1下での溶融粘度比(対ABS樹脂)が1.7のABS樹脂を使用した他は実施例1と同様にペレットを得、平板成形品としたところ木目は殆ど見られなかった。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0003695958
【0048】
【発明の効果】
目的用途に応じた樹脂を用い、木質感に優れる木質様樹脂組成物及びその成形物を提供でき、産業上さらには地球環境の面からも極めて優位である。

Claims (4)

  1. (1)白度80%以上のセルロース粉末1〜60重量%とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(以下、ABS樹脂)40〜99重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、(2)着色剤3〜20重量%と、該ABS樹脂に対して、200℃における剪断速度103 sec-1下での溶融粘度の比が0.4以下または2.5以上であるスチレン系樹脂80〜97重量%からなる樹脂組成物0.1〜10重量部と(3)発泡剤0.01〜1重量部を混合成形して得られる比重が0.5〜1.0である木目調樹脂成形物であって、
    前記ABS樹脂が、溶液重合で合成されたゴム状重合体を溶解した、少なくともスチレン系単量体及びアクリロニトリル系単量体、必要であれば前記単量体と共重合可能な他の単量体より成る溶液を塊状重合法および/または溶液重合法により製造されたABS樹脂であって、メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が10〜30重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.4〜0.9dl/gであり、該ゴム状重合体成分からなるゴム粒子の平均粒径が0.4〜4μmで、0.4μm以上のゴム粒子の50%以上が0.1μm以上の細胞径を含むサラミ状の構造であり、細胞径の面積がゴム粒子全体の面積の50%以上を占めている粒子として分散相を10〜35重量%の割合で形成してなることを特徴とする木目調樹脂成形物
  2. 請求項1記載のスチレン系樹脂が、該ABS樹脂に対して、200℃における剪断速度103 sec-1下での溶融粘度の比が0.4以下または2.5以上のABS樹脂である木目調樹脂成形物。
  3. 請求項1記載のスチレン系樹脂が、該ABS樹脂に対して、200℃における剪断速度103 sec-1下での溶融粘度の比が0.4以下または2.5以上のアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)である木目調樹脂成形物。
  4. 請求項1記載のスチレン系樹脂が、該ABS樹脂に対して、200℃における剪断速度103 sec-1下での溶融粘度の比が0.4以下または2.5以上のポリスチレン樹脂である木目調樹脂成形物。
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