JP3213501B2 - Abs系樹脂の品質制御方法及びその成形物 - Google Patents

Abs系樹脂の品質制御方法及びその成形物

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JP3213501B2 JP32104994A JP32104994A JP3213501B2 JP 3213501 B2 JP3213501 B2 JP 3213501B2 JP 32104994 A JP32104994 A JP 32104994A JP 32104994 A JP32104994 A JP 32104994A JP 3213501 B2 JP3213501 B2 JP 3213501B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はABS系樹脂成形物及び
ABS系樹脂の品質を制御する方法に関するものであ
る。さらに詳細には特定のモルフォロジーを有するAB
S系樹脂成形物及びABS系樹脂の品質を制御する方法
に関する。本発明で使用される成形物なる用語はモール
ド成形品だけでなく押出成形品またはその他の方法によ
って成形されたものも含む。
【0002】さらに本発明は下記の品質のABS系樹脂
の成形物並びに該成形物を与えるのに適したABS系樹
脂を提供することに関する。 ABS系樹脂(A)成形物表面の光沢むらが小さく且つ
光沢の高いABS系樹脂の成形物。 ABS系樹脂(B)落錘衝撃強度むらが少ないABS系
樹脂の成形物。 ABS系樹脂(C)成形物表面が優れた艶消し性を有
し、且つ艶消しむらが少なく、しかも衝撃強度が高いA
BS系樹脂の成形物。 ABS系樹脂(D)成形物表面の光沢特性(高光沢又は
艶消し特性)が均一で場所によるばらつきが少なく、衝
撃強度の高いABS系樹脂の成形物。
【0003】
【従来の技術】これまで、エンジニアリング用等の成形
物として、ABS系樹脂の成形物は、その優れた機械的
強度、耐熱性、耐薬品強度、ネジ締め時の耐トルク強
度、色調、表面外観等から、電気製品や電子機器、自動
車用等の部品として、広く用いられてきている。ABS
樹脂は目的によって種々の性質のポリマーが必要であ
り、例えば高光沢の成形物から艶消しの成形物と全く正
反対の性質まで、また衝撃強度が高いものなど、さらに
は光沢や艶消し性や衝撃強度が成形物の箇所によってむ
らがあってはいけないなどの多様なしかも厳しい性質の
達成が要求される。
【0004】この達成には通常グラフト重合するゴム成
分の種類、その粒子径、さらにはグラフト重合の条件な
どかなり複雑な条件を選択または調節して物性を制御し
なければならず、またそれらを調節しても高レベルの物
性の制御は困難であるのが現状である。
【0005】これらの成形物は、その成形物が製造され
る工程において、成形加工条件を成形物全体にわたり均
一な条件に加工することが困難であるため、種々の品質
上の問題点が存在していた。すなわち (1)光沢が不十分であったり、成形物の表面が均一と
ならず、特に光沢特性においては、成形物全体の平均的
な光沢は優れていても、場所によって光沢のばらつき
(これを光沢むらと称す)があり、外から見える場所で
使用される成形物の材料として、この光沢むらの改善が
求められていた。 (2)成形物の落錘衝撃強度特性においては部分的に落
錘衝撃強度のばらつき(これを落錘衝撃強度むらと称
す)があり、工業材料として落錘衝撃強度むらの改善が
求められていた。 (3)成形物の艶消し性が不十分で、かつ艶消しむらが
大きい。
【0006】この光沢むらについて、例えば、射出成形
機による成形物について、更に詳細に説明すると、射出
成形時に表面が形成される際、金型内に溶融ポリマーを
送入するゲート部と呼ばれる付近と、このゲート部から
離れた地点(即ち、金型中を流れる溶融ポリマーの流動
末端部)では成形圧力に勾配を生じる為、一般的に成形
物末端部の光沢は低くなる現象が生じる。
【0007】更に、実用的な成形物は強度保持の為のリ
ブ、又はボス加工や型離れ用の突き出しピンや他の部分
との接合の為等、非常に複雑な形状になっており、成形
物の表面の光沢は、場所により大きく異なって均一とな
らず、特に光沢特性においては、成形物全体の平均的な
光沢は優れていても、あるいは艶消し性に優れていて
も、場所によって光沢むらや艶消しむらがあり、成形物
を用いた最終製品である、例えば、電気機器等の商品価
値を低下させている。
【0008】ABS系樹脂成形物において、表面の平均
的光沢を向上する方法は、数多く提案されており、ゴム
変性スチレン系の樹脂組成物では、例えば、異なるゴム
粒子径の樹脂をブレンドし平均光沢値と衝撃強度のバラ
ンスを向上させる方法が、特公昭46−41467、特
開昭59−1519、特開昭63−241053、米国
特許4,146,589等で開示されている。
【0009】上記の特公昭46−41467第1頁第右
欄27〜31行には、粒径0.05〜0.5μmの大き
さの粒子と、粒径2〜10μmの異なるゴム粒子径の樹
脂をブレンドし平均光沢値と衝撃強度のバランスを向上
させる方法が記載されており、大きさの異なる粒子を共
存させることが衝撃強度の向上に有効であると開示され
ているが、しかしながら光沢むらを低減するという課題
については有効な提案はなされていない。
【0010】かかる光沢のむらに対して、これまで、成
形物の製造時に、成形条件を工夫したり、あるいは、成
形用金型のデザインを変更することが行われている。
【0011】また近年、自動車内装部品、家庭電気機器
部品などの分野において成形物表面を艶消ししたものに
対する需要が高まっている。一般的な成形物表面の艶消
し方法としては、成形加工時の方法は金型表面にシボ加
工を施す方法、成形物表面に液状の艶消し剤を塗布する
方法が公知であるが特別の金型を必要としたり、特別な
操作を必要とする。またタルク、炭酸カルシウム、シリ
カゲル等の無機充填剤を混合する方法が知られている。
この場合は表面の艶消し性を均一にするためには、多量
の無機充填剤を添加する必要があり、衝撃強度が大幅に
低下して好ましくない。
【0012】上記、高光沢性または艶消し性の光沢むら
を低減するために、成形物の成形条件を工夫したり、あ
るいは成形用金型のデザインを工夫することにより経験
的に対応されてきたが、多大な時間とコストを要するだ
けでなく、例えば金型のデザイン変更では、結果的に光
沢むらが低減されても、強度面、構造面とのバランスが
とれない場合も多く生じていた。
【0013】樹脂の改質法としてはブレンド法が知ら
れ、例えば、特開平54ー142259、特公昭62ー
59725などがあげられる。しかしこれらの方法では
他の物性を低下させることなく艶消しむらを解消でき
ず、また後記するような成形物のモルフォロジーのもの
は得られない。
【0014】従来から、樹脂を成形する際には、樹脂内
部に発生する応力によってゴム粒子は、楕円状に変形す
ることが知られており、かかる形状は電子顕微鏡により
観察される。例えば(1)「ABS樹脂」第1編、第3
章ABS樹脂の性質、p126,高分子機械材料委員会
編(1970)に記載されている。(2)プラスチック
スエージVol.39,JAN,139(1993)に
も記載がある。
【0015】しかしながら、この様なゴム粒子の形態
(モルフォロジー)による成形物の物性の制御について
は何ら検討がなされていなかった。前述の(1)に記載
の成形物においては、全てのゴム粒子が一様にやや偏平
に変形しており、また、(2)に記載の成形物において
も、表面から一定距離にあるゴム粒子は全てが著しい変
形を受けている。即ち、従来の例においては表面付近で
ゴム粒子は略均一に変形した形態であった。
【0016】落錘衝撃強度むらについて、例えば、射出
成形機による成形物について、更に詳細に説明すると、
射出成形時に表面が形成される際、樹脂に配向が生じ
る。特に金型内の溶融樹脂の流動速度が速い箇所では樹
脂に強い配向がかかり、その部分の落錘衝撃強度は、金
型内の溶融樹脂の流動速度が遅い部分と比較して低くな
る傾向がある。例えば、単純な平板の成形物ではゲート
部付近は金型内の溶融樹脂の流動速度が速いため、ゲー
ト部に近い地点ほど落錘衝撃強度が低い傾向にある。ま
た、実用的な成形物は強度保持のためリブ、又はボス加
工や型離れ用の突き出しピンや他の部分との接合のため
等、非常に複雑な形状になっており、成形物の表面の成
形条件は、場所により大きく異なり強度のばらつきも大
きい。例えばIzod衝撃強度試験値が高い樹脂を用い
ても成形の際に生じる落錘衝撃強度むら、部分的に強度
の小さい部分が問題となり、その部分の強度を上げるた
めに、例えばABS樹脂とポリカーボネートとのブレン
ドの場合では使用する樹脂中のポリカーボネートの含有
率を増加させる等で対応していた。ABS系樹脂成形物
におけるこれまでの平均的衝撃強度または、平均的落錘
衝撃強度を向上させる方法は数多く提案されているが、
本発明の落錘衝撃強度むら解消についての有効な方法は
提案されていない。
【0017】このような、落錘衝撃強度むら解消のため
に、これまで成形時での成形条件の工夫、あるいは成形
用金型のデザインの変更、また前記のようなブレンド系
では強度の高い高価な樹脂のブレンド比率を上げるなど
で対応してきたが、これらの方法では多大なコストを要
するのみか、例えば成形用金型のデザインの変更ではバ
ランスが取れない場合が多く生じていて解決が困難であ
った。
【0018】
【本発明が解決しようとする課題】本発明者らは光沢む
ら、艶消しむら、落錘衝撃強度むら等の解消について鋭
意検討し、上記成形条件や金型のデザイン変更、ブレン
ド比の変更といった経験的な方法ではなく、驚くべきこ
とに成形物中のゴム粒子のモルフォロジーを特定の形状
にコントロールすることによりABS系樹脂の種々の品
質上の問題点を解消することを見いだし本発明に到達し
た。従って、本発明の目的は、特定のゴム粒子(モルフ
ォロジー)を持つABS系樹脂の成形物と極めて簡単な
方法によりモルフォロジーや物性などの品質を広範囲に
制御する方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明でいう後記の粒子
Bと粒子Aが混合する存在形態はこれまで全く知られて
いなかった。
【0020】すなわち、本発明はABS樹脂、又はAB
S樹脂を成分として含む材料の成形物において、成形物
表面から0.5〜1.5μmの深さに存在するゴム粒子
が、成形物表面との平行面を、超薄切片法による電子顕
微鏡写真で観察されるゴム状重合体粒子(以下ゴム粒
子)のうち、(1)長径aと短径bの比率a/bが1.
5以下である粒子A、及び(2)長径aと短径bの比率
a/bが5以上である粒子Bの少なくとも2種類の形態
を有し、且つ超薄切片法による電子顕微鏡写真で観察さ
れるゴム粒子の全面積を100%とした時に、粒子Aの
全面積が少なくとも10%以上を占めており、粒子Bの
全面積が0.01〜90%の範囲であることを特徴とす
るABS系樹脂の成形物である。
【0021】また本発明は上記特定の粒子A及びBの面
積範囲を与える成形物が得ることができることを特徴と
するABS系樹脂でありまたこのような成形物を与える
ABS系樹脂を提供することにある。なお、本発明でA
BS系樹脂とはABS樹脂のみならずABS樹脂を成分
として含む樹脂でありABS樹脂と他の樹脂とのブレン
ド物も含むことを意味する。
【0022】さらに本発明は、ABS樹脂、又はABS
樹脂を成分として含む材料の成形物において、超薄切片
法による電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子のうち、
(1)長径aと短径bの比率a/bが1.5以下である
粒子A、及び(2)長径aと短径bの比率a/bが5以
上である粒子Bとしたときに、ゴム粒子の全面積を10
0%とした時に、粒子Aの全面積が少なくとも10%以
上を占めており、粒子Bの全面積が0.01〜90%の
範囲であって且つ、成形物表面から0.5〜1.5μm
の深さ(成形物表面付近)と、該表面から厚み方向へ2
00μm以上の深さ(成形物深部)でのゴム粒子につい
て、 a.成形物表面付近で観察されるゴム粒子の全面積を1
00%としたときの、該表面付近の粒子Bの全面積の割
合をX1%、粒子Aの全面積の割合をY1%、X1/Y1
αsとし、 b.成形物深部で観察されるゴム粒子の全面積を100
%としたときの、粒子Bの全面積の割合をX2%、粒子
Aの全面積の割合をY2%、X2/Y2=αmとしたとき、 以下の式が成り立つことを特徴とするABS系樹脂成形
物である。 1×10-4≦αs≦9 αm≦1×10-2 αm/αs≦5×10-2 さらに本発明はABS樹脂、又はABS樹脂を成分とし
て含む材料の成形物において、成形物表面から0.5〜
1.5μmの深さに存在するゴム粒子が、成形物表面と
の平行面を、超薄切片法による電子顕微鏡写真で観察さ
れるゴム粒子のうち、(1)長径aと短径bの比率a/
bが1.5以下である粒子A、及び(2)長径aと短径
bの比率a/bが5以上である粒子Bの少なくとも2種
類の形態を有し、且つ超薄切片法による電子顕微鏡写真
で観察されるゴム粒子の全面積を100%とした時に、
粒子Aの全面積が少なくとも10%以上を占めており、
粒子Bの全面積が0.01〜90%の範囲に制御するこ
とを特徴とするABS系樹脂の品質制御方法である。
【0023】さらに本発明は、少なくともスチレン系単
量体及びアクリロニトリル系単量体、及び溶液重合法に
よって得られるゴム状重合体を含む原料を重合工程に供
給し、ゴム粒子を形成しつつ該単量体の一部もしくは全
量を重合する工程及び該工程の後、重合体、未反応単量
体および/または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又
は加熱後減圧室に導入して単量体および/または溶剤を
樹脂成分から分離する回収工程からなる溶液または塊状
重合によりABS樹脂を製造するに際して、回収工程の
出口の温度(回収操作後の樹脂の温度)を180〜30
0℃の範囲とし、(1)該温度の変動率(%)と1時間
あたりの該温度の変動回数の積(F)を0.5〜150
の範囲となるように回収工程の温度を変動させるか又は
(2)該温度を変動させて得られた2種以上のABS樹
脂のそれぞれのFと混合比率の積の和が0.5〜150
であるように混合することを特徴とするのABS系樹脂
の品質制御方法である。 特に好ましくは上記品質の制
御方法において、回収工程の出口の温度の変動率が1〜
15%、1時間あたりの該温度の変動回数が0.5〜3
3回の範囲で変動させることによって成形物のモルフォ
ロジーや物性等の品質を制御する方法である。
【0024】1.ABS系樹脂の製造方法 本発明でいうABS樹脂とは、ゴム状重合体とスチレン
系単量体、アクリロニトリル系単量体及び、必要であれ
ば、他の単量体の共重合体からなる樹脂であり、スチレ
ン系単量体としては、スチレン、α−アルキルモノビニ
リデン芳香族単量体(例えばα−メチルスチレン;α−
エチルスチレン;α−メチルビニルトルエン;α−メチ
ルジアルキルスチレン;など)、環置換アルキルスチレ
ン(例えばo−m−及びp−ビニルトルエン;o−エチ
ルスチレン;p−エチルスチレン;2,4−ジメチルス
チレン;p−第三級ブチルスチレン;など)、環置換ハ
ロスチレン(例えばo−クロロスチレン;p−クロロス
チレン;o−ブロモスチレン;2,4−ジクロロスチレ
ン;など)、環−アルキル、環−ハロ置換スチレン(例
えば2−クロロ−4−メチルスチレン;2,6−ジクロ
ロスチレン;など)ビニルナフタレン、ビニルアントラ
セン等の一種又はこれらの混合物が用いられる。アルキ
ル置換基は、一般に1〜4個の炭素原子を有し、そして
イソプロピル及びイソブチル基を含む。このモノビニリ
デン芳香族単量体の混合物が用いられる。
【0025】また、アクリロニトリル系単量体として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリ
ロニトリル、フマロニトリル及びこれらの混合物等があ
げられる。
【0026】またゴム状重合体は、常温でゴム状を示す
ものであれば良く特に限定を要しないが、好ましくは、
共役1,3−ジエン(例えばブタジエン;イソプレン;
など)などのポリブタジエン類やスチレン−ブタジエン
共重合体又はEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン
−メチレンリンケージ)等があげられる。
【0027】本発明でいう他の単量体とは、スチレン、
アクリロニトリルと共重合可能な単量体であれば特に限
定しないが、メチルメタクリレート等のアクリレート類
や、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミ
ド等のマレイミド類があげられる。
【0028】本発明の中で用いるABS系樹脂とは、上
記のABS樹脂又はABS樹脂を成分とする樹脂であ
り、ABS樹脂を成分とする樹脂とは、ABS樹脂と他
の樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンエ
ーテル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニト
リル−スチレン共重合樹脂等との混合物や、ABS樹脂
と難燃剤等との混合物、またガラスフィラー、タルク等
充填材との混合物等、ABS樹脂を成分とする樹脂であ
れば特に限定するものではない。
【0029】本発明では特に本発明のABS系樹脂10
0重量部中にポリカーボネートを10〜75部含有する
ことをによって光沢むらがない耐熱性の高いABS系樹
脂成形物を得ることができる。
【0030】本発明の中で用いるABS系樹脂の成形物
とはABS系樹脂を成形加工した成形物であり、ABS
系樹脂の機械的、化学的特徴を利用して、機械部品とし
て、或いは文房具用品、玩具等それ自体が最終製品とし
て用いられるものである。成形加工はこれまで知られて
いる通常の樹脂の成形方法が用いられ、例えば射出成
形、押出成形などがあげられる。前述した様に、本発明
は成形物表面のゴム粒子のモルフォロジーを制御するこ
とに特徴をもつ。
【0031】本発明のABS樹脂の射出成形、押出成形
または他の方法による成形は通常の条件で行われるが、
例えば、射出成形の場合はシリンダー温度180〜28
0℃、好ましくは200〜280℃、金型温度は20〜
90℃、好ましくは40〜90℃で行われる。本願発明
の成形体としては特に射出成形が好ましい。
【0032】2.本発明のABS系樹脂成形物のモルフ
ォロジー 本発明において、成形物表面付近においてゴム粒子は少
なくとも2種類の形態において存在しなければならな
い。即ち、成形物表面から0.5〜1.5μmの深さに
存在するゴム粒子が少なくとも2種類の形態で存在しな
ければならない。
【0033】本発明で問題とする形態を定める領域を成
形物表面からの深さとして、0.5〜1.5μmとする
のは、この深さのゴム粒子の特別な存在形態が表面の光
沢むらと相関していることを発見したことに基づく。ま
た、表面から0.5〜1.5μmの深さの間では、ゴム
粒子の存在形態が深さに対して、依存性がなく略一定で
あることを発見したことにも基づいている。即ち、深さ
が0.5μmより浅い場合は、ゴム粒子の形態のばらつ
きが多くまた、1.5μmを越えると、深さにより存在
状態が変化するため、ABS系樹脂成形物中のゴム粒子
の形態を特定するのに向いていない。
【0034】本発明において、ゴム粒子の形態は、成形
物表面に平行面において測定する。この平行な断面は、
成形物表面に平行にミクロトームを用いて超薄切片に成
形物を切り出して得られる。この時、ミクロトームによ
って切り出す1枚あたりの試料の厚みは、0.05μm
として、表面から順に切り出し、11枚目以降30枚目
までの試料を用いて形態を測定する。
【0035】本発明における粒子Aとは、かかる表面層
の試料の電子顕微鏡写真において、ゴム粒子の長径をa
μm、短径をbμmとする時、aとbの比であるa/b
が1.5以下のものを粒子Aと定める。粒子Bはa/b
が5以上である粒子である。本発明で言う長径aとは超
薄切片法による電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子の
周上の2点間の距離の最大の長さを表し、短径bとは、
長径aにおいてa/2の点における、長径aに垂直なゴ
ム粒子の長さを示す。かかる制約条件において、粒子
A、Bの全面積を算出する際、全面積は1000μm2
以上とれる様に電子顕微鏡で観察する視野の大きさを定
める。この数は特に限定はしないが、前記の電子顕微鏡
の視野は、ゴム粒子の数として1000個以上含まれる
視野の大きさである。 本発明の方法ではこの2種類の
粒子Aと粒子Bの含有率を制御し、それによって成形物
の物性を制御するものである。
【0036】ここにいう粒子Aの平均ゴム粒子径とは、
超薄切片法による電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子
のうち粒子Aについて500〜700個の長径及び短径
を測定して、測定した各々のゴム粒子についての長径及
び短径の算術平均を、ここでゴム粒子径Di と呼び、次
式(数1)により平均ゴム粒子径を求める。
【0037】
【数1】 本発明の成形物のモルフォロジーは粒子Aの全面積が少
なくとも10%以上を占めており、粒子Bの全面積が
0.01〜90%の範囲のものである。
【0038】本発明の方法では粒子Aと粒子Bで評価さ
れるモルフォロジーを制御することによって (A)高光沢で、光沢むらの少ない成形物を与えるAB
S系樹脂 (B)落垂衝撃強度のむらが少ない成形物を与えるAB
S系樹脂 (C)艶消し性が良好で、そのむらの少ない成形物を与
えるABS系樹脂 (D)成形物表面の光沢特性(高光沢又は艶消し特性)
が均一で場所によるばらつきが少なく、衝撃強度の高い
成形物を与えるABS系樹脂の4種類のABS系樹脂が
得られるように制御する方法を提供するものである。
【0039】(A)の成形物は、粒子Aの全面積は、1
0〜99%が好ましく、さらに好ましくは10〜80%
である。10%に満たない場合では光沢むらが生じるだ
けでなく、成形物表面においてゴム粒子の配向による影
響がでるため、見かけの色相にもばらつきが生じるため
好ましくない。また粒子Aの平均ゴム粒子径は、好まし
くは0.1〜1.5μm、より好ましくは0.3〜1.
3μm、特に好ましくは0.3〜0.8μmの範囲であ
る。1.5μmを越えると光沢が不足する。また0.1
μmに満たない場合は強度が低下して好ましくない。ま
た、超薄切片法による電子顕微鏡写真で観察する方法に
おいて、ゴム粒子の全面積を100%とした時に、粒子
Aであって、その平均ゴム粒子径が0.1〜1.0μm
の範囲で、しかもそのゴム粒子径が1.0〜1.5μm
である粒子の割合が0.5〜5.0%の範囲であること
が好ましく、より好ましくは0.5〜3.0%、さらに
好ましくは、0.5〜1.5%の範囲である。この範囲
を満足した場合、光沢むらが小さく且つ光沢が高い上
に、更に高い強度を持つ成形物を得ることができる。ま
た粒子Bの全面積が0.01〜1.0%の範囲にある必
要があり、粒子Bがないと光沢むらが生じ好ましくな
い。
【0040】本発明は、粒子Bの全面積が0.01〜
1.0%の範囲にあり、粒子Aの平均粒子径が0.1〜
1.0μmの範囲を与える成形物を得ることができるA
BS系樹脂を提供することができる。
【0041】本発明の樹脂成形物は、高い光沢を有し、
しかも従来の様な光沢むらが無いため、電気機器、コン
ピューター等の産業分野の部品として有用であり、また
化粧品容器や玩具、文房具等の成形物として特に有用で
ある。
【0042】(B)の成形物はゴム粒子の全面積を10
0%とした時、粒子Aの全面積が10%以上であり且つ
粒子Bの全面積が1%を越え40%未満の範囲にあり、
好ましくは1〜30%、さらに好ましく1〜25%であ
る。後述する粒子Bのa/b値の変動係数αが0.05
〜0.5の範囲のものが好ましく使用できる。粒子Aの
平均ゴム粒子径は好ましくは0.1〜3μmの範囲、よ
り好ましくは0.3〜1.5μm、特に好ましくは0.
3〜1.2μmである。
【0043】粒子Aの全面積は、10〜60%、好まし
くは15〜57%、さらに好ましくは20〜50%であ
る。10%に満たない場合では落錘衝撃強度むらが生じ
るだけでなく、成形物表面においてゴム粒子の配向によ
る影響がでるため、見かけの色相にもばらつきが生じる
ため好ましくない。
【0044】本発明は、粒子Bの全面積が1%を越え4
0%未満の範囲にあり、粒子Aの平均ゴム粒子径が0.
1〜3μmの範囲を与える成形物を得ることができるA
BS系樹脂を提供することができる。
【0045】さらに本ABS系樹脂(B)は粒子Bの長
径aと短径bの比a/bの変動係数αが好ましくは0.
05〜0.5、さらに好ましくは0.1〜0.4のもの
が用いられる。ここで言う変動係数αとは、観察される
粒子Bの長径aと短径bの比a/bの値をXiとし、そ
の平均値をXavとした時、下記式(数2)で示される。
【0046】
【数2】 また、粒子Aのうち、長径aと短径bの平均値が1.0
〜1.5μmの範囲にある粒子を超薄切片法による電子
顕微鏡写真で観察されるゴム粒子の全面積を100%と
した時に、1%以上、好ましくは2%以上、さらに好ま
しくは5%以上含むことが好ましい。この範囲に入る粒
子が少ないと落錘衝撃強度むらを生じるだけでなく、強
度が低下して好ましくない。
【0047】(C)の成形物は粒子Aの全面積は、10
〜40%が好ましく、さらに好ましくは10〜35%、
さらに好ましくは10〜30%で、10%に満たない場
合では艶消しむらが生じるだけでなく、成形物表面にお
いてゴム粒子の配向による影響がでるため、見かけの色
相にもばらつきが生じるため好ましくない。また、粒子
Aのうち、粒子径1.0〜1.5μmの範囲にある粒子
を1%以上含むことが好ましい。
【0048】本発明では、電子顕微鏡写真において観察
されるゴム粒子の全面積を100%とした時、粒子Aの
面積が10%以上であり、且つ粒子Bの全面積が40〜
90%の範囲にあり好ましくは40〜80%、さらに好
ましくは40〜60%である。粒子Aの平均ゴム粒子径
が0.2〜5.0μmの範囲、好ましくは0.2〜4.
0μm、さらに好ましくは0.3〜3.0μmである。
粒子Aの平均ゴム粒子径が0.2μmに満たない場合は
強度が極端に低下してこのましくない。
【0049】本発明は、粒子Bの全面積が40〜90%
の範囲にあり、粒子Aの平均ゴム粒子径が0.2〜5.
0μmの範囲を与える成形物を得ることができることA
BS系樹脂を提供することができる。
【0050】本発明のABS樹脂の成形は通常の条件例
えば、シリンダー温度180〜280℃、好ましくは2
00〜280℃、金型温度は20〜90℃、好ましくは
40〜90℃で行われる。(この成形条件は本発明の各
実施態様において共通である) (D)の成形物は粒子Aの全面積が少なくとも10%以
上を占めており、粒子Bの全面積が0.01〜90%の
範囲のものであり且つ、以下のモルフォロジーを持つも
のである。
【0051】成形物表面から0.5〜1.5μmの深さ
(成形物表面付近)と、該表面から厚み方向へ200μ
m以上の深さ(成形物深部)でのゴム粒子について、 a.成形物表面付近で観察されるゴム粒子の全面積を1
00%としたときの、該表面付近の粒子Bの全面積の割
合をX1%、粒子Aの全面積の割合をY1%、X1/Y1
αsとし、 b.成形物深部で観察されるゴム粒子の全面積を100
%としたときの、粒子Bの全面積の割合をX2%、粒子
Aの全面積の割合をY2%、X2/Y2=αmとしたとき、 以下の式が成り立つことを特徴とするABS系樹脂成形
物である。 1×10-4≦αs≦9 αm≦1×10-2 αm/αs≦5×10-2 本発明のABS系樹脂(D)は、成形物表面の光沢特性
(高光沢又は艶消し特性)が均一で場所によるばらつき
が少なく、衝撃強度の高い事を特徴とするABS系樹脂
の成形物であり、上記の特定のゴム粒子のモルフォロジ
ーを持つ成形物が表面光沢むらを著しく低減したもので
ある。
【0052】ABS系樹脂(D)の成形物において、好
ましくは成形物表面から100μmまでの深さ(成形物
表層部)にある樹脂の化学組成と、成形物表面から20
0μm以上の深さ(成形物深部)にある樹脂の化学組成
が同じであり、レーザー回折式粒度分析装置を用いて、
溶液法で測定した成形物表層部と成形物深部のゴム粒子
平均径の差が0〜15%であることである。
【0053】また ABS系樹脂(D)の成形物におい
て、好ましくはαs、αm、αm /α sが以下の式が成り
立つようなABS系樹脂成形物。 1×10-4≦αs ≦5 αm ≦5×10-3 αm /αs ≦1×10-2 また更に高光沢で光沢むらが少なく衝撃強度を高く維持
するためには、好ましくは、αs、αm、αm /αsが以
下の式が成り立ち、 1×10-4≦αs ≦0.3 αm ≦5×10-3 αm /αs ≦5×10-2 かつ、レーザー回折式粒度分析装置を用いて、溶液法で
測定した成形物深部のゴム粒子平均径が0.1〜1.5
μmであることを特徴とするABS系樹脂成形物であ
る。
【0054】又、艶消し性が良好で艶消むらも少なく衝
撃強度を高く維持するためには好ましくはαs、αm、α
m /αsが以下の式が成り立ち、 0.5≦αs ≦9 αm ≦1×10-2 αm /αs ≦3×10-2 かつ、レーザー回折式粒度分析装置を用いて、溶液法で
測定した成形物表層部と成形物深部のゴム粒子平均径が
0.7〜3μmであることを特徴とするABS系樹脂成
形物である。
【0055】αsが1×10-4未満では光沢むらが生
じ、9を越えると成形物の表面にすじ模様が表れて好ま
しくない。本発明の問題とするモルフォロジーを定める
領域を表面付近である表面から0.5〜1.5μmの深
さと、成形部深部である表面から200μm以上の深さ
とするのは、この範囲の深さに存在するゴム粒子を従来
にない特定のモルフォロジーにすることにより、成形物
表面の光沢の均一性をコントロールでき、なおかつ衝撃
強度を高く維持できることを見いだしたことにに基づ
く。表面付近の0.5〜1.5μmというのは、この深
さの間ではゴム粒子の存在状態が、深さに対して依存性
がなく略一定であることを発見したことに基づいてい
る。即ち、深さが0.5μmより浅い場合は、ゴム粒子
のモルフォロジーのばらつきが多く、また1.5μmを
越えると、深さにより存在状態が変化するため、光沢む
らの小さいABS系樹脂成形物中のゴム粒子のモルフォ
ロジーを特定するのには向いていない。また、深部の表
面から厚み方向に200μm以上の深さとするのはこの
範囲のゴム粒子のモルフォロジーが成形物中で主要な役
割を占めており、成形物全体の衝撃強度と直接結びつい
ているためである。特にこの範囲の中のゴム粒子のモル
フォロジーが成形物の衝撃強度に影響する。
【0056】また本発明において、成形物表面から10
0μmまでの深さを成形物表層部として化学分析し、さ
らにレーザー回折式粒度分布分析装置を用いて溶液法で
ゴム粒子平均粒子径を測定するが、成形物表面から10
0μm深さまでの試料はマクロトームカッターによって
切り出して得る。ここで100μmというのはマクロト
ームカッターの精度があり実際には10%未満の誤差が
含まれる。また、成形物深部は表層部のゴム粒子の顕微
鏡写真によるモルフォロジー観察と同様に表面から深さ
200μmまでをマクロトームカッターで切り除き、2
00μm以降の深さで、好ましくは200〜300μm
の深さで必要な量を切り出し分析試料とする。
【0057】また本発明では、レーザー回折式粒度分析
装置を用いて溶液法で測定した成形物表層部と深部のゴ
ム粒子平均径の差が0〜15%、好ましくは0〜10
%、より好ましくは0〜5%となるようにする。15%
を越えると、光沢むらが発生して好ましくない。
【0058】本発明において樹脂の化学組成が同じとは
成形物表層部と深部のスチレン系単量体、アクリロニト
リル系単量体、ゴム状重合体、必要であれば他の単量体
の組成比の差が0から2%以内、ゴム粒子を除いた共重
合体の還元粘度の差が0〜2%、好ましくは0〜1%の
範囲内であることが必要である。
【0059】3.本発明のABS系樹脂のモルフォロジ
ーと品質の制御方法 本発明の成形物は前記2.記載のモルフォロジーを持つ
物であれば良いので製造方法については限定されない
が、ABS樹脂の好ましい製造方法の一例について説明
する。なお、この製造方法の説明は本発明のモルフォロ
ジーと品質の簡単な制御方法の説明に相当する。
【0060】溶液又は塊状重合のABS樹脂の製造方法
においては、例えばゴム粒子形成を含む重合の終了後に
おいて、重合終了後の重合体及び未反応単量体及び溶剤
を含む混合液を加熱し、同時に、又は加熱後減圧室に導
入してモノマー及び溶剤を樹脂成分と分離する回収工程
がある時、この工程において回収工程の出口の温度を1
30〜300℃の範囲として該温度を一定にせず、ばら
つかせて樹脂を回収すると、粒子Bとなり得るゴム粒子
の割合が増加する。
【0061】本発明のABS系樹脂の成形物において、
成形物表面から0.5〜1.5μmの深さに存在するゴ
ム粒子が、成形物表面との平行面を、超薄切片法による
電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子のうち、(1)長
径aと短径bの比率a/bが1.5以下である粒子A、
及び(2)長径aと短径bの比率a/bが5以上である
粒子Bの少なくとも2種類の形態を有し、且つ超薄切片
法による電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子の全面積
を100%とした時に、粒子Aの全面積が少なくとも1
0%以上を占めており、粒子Bの全面積が0.01〜9
0%の範囲に制御することによってABS系樹脂の品質
が制御される。
【0062】より具体的には、少なくともスチレン系単
量体及びアクリロニトリル系単量体、及び溶液重合法に
よって得られるゴム状重合体を含む原料を重合工程に供
給し、ゴム粒子を形成しつつ該単量体の一部もしくは全
量を重合する工程及び該工程の後、重合体、未反応単量
体および/または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又
は加熱後減圧室に導入して単量体および/または溶剤を
樹脂成分から分離する回収工程からなる溶液または塊状
重合によりABS樹脂を製造するに際して、回収工程の
出口の温度(回収操作後の樹脂の温度)を180〜30
0℃の範囲とし、(1)該温度の変動率(%)と1時間
あたりの該温度の変動回数の積(F)を0.5〜150
の範囲となるように回収工程の温度を変動させるか又は
(2)該温度を変動させて得られた2種以上のABS樹
脂のそれぞれのFと混合比率の積の和が0.5〜150
であるように混合することによってABS系樹脂の品質
を制御することができる。
【0063】本方法について更に例示をすると、例え
ば、前記の回収工程の出口の温度範囲180〜300℃
において、好ましくは、220〜270℃の範囲におい
て、回収工程の出口の温度の平均値(Tav)を一定にし
て、該温度を1時間あたり平均値(Tav)の1〜15%
の割合の範囲で0.5〜33回変動させることにより達
成できる。
【0064】本発明では回収工程の出口の温度の変動率
(%)と1時間あたりの該温度の変動回数は下記の方法
で決められる。平均値(Tav)に対する変動の幅を温度
変動率(Tde)と称し、この温度変動率(Tde)が大き
くなる程、最終的には成形物で粒子Bとなるゴム粒子の
数を増加させることができる。
【0065】本発明で言う回収工程の出口の温度の平均
値(Tav)は下記式(数3)で算出される。
【0066】
【数3】 本発明で言う回収工程の出口の温度の変動率(Tde:1
時間あたりの該温度変動率)は下記式で算出される。 回収工程の出口の温度変動率(Tde)=((Tmax −T
min )/Tav)×100 (但しTmax は1時間あたりの回収工程の出口の温度の
最大温度、Tmin は該温度の最小温度) また1時間あ
たりの該温度の変動回数を変動回数と呼び(但し、該温
度変動率1%未満の変動は無視する)、時間に対し温度
の微分値が正負に変化する回数をさし、毎時温度変動回
数を増加させる程、最終的に成形物で粒子Bとなるゴム
粒子数が増加する。かかるABS樹脂の全量、もしくは
一部を本発明の目的に適うように用いて成形することに
より、本発明の成形物が得られる。上記の樹脂を使用す
る場合は、少なくとも1時間、好ましくは3時間以上の
間に製造された樹脂を1ロットとして混合して使用し本
発明の回収工程の出口の温度変動の影響が表れるように
する必要がある。
【0067】本発明ではさらに、少なくともスチレン系
単量体及びアクリロニトリル系単量体、及び溶液重合法
によって得られるゴム状重合体を含む原料を重合工程に
供給し、ゴム粒子を形成しつつ該単量体の一部もしくは
全量を重合する工程及び該工程の後、重合体、未反応単
量体および/または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に
又は加熱後減圧室に導入して単量体および/または溶剤
を樹脂成分と分離する回収工程からなる溶液または塊状
重合によりABS樹脂を製造するに際して、回収工程の
出口の温度を180〜300℃の範囲とし変動させ、該
温度の変動率(%)と1時間あたりの該温度の変動回数
の積(F)として、該温度を変動させて得られた2種以
上のABS樹脂のそれぞれのFと混合比率の積の和が
0.5〜150であるように混合することを特徴とする
ABS系樹脂の品質制御方法を提供し、また上記組成物
を得ることができる。これによってより好ましい性能の
ABS系樹脂が得られる。
【0068】特に好ましくは2種以上のABS系樹脂を
混合してABS系樹脂を得る方法において、上記2種以
上のABS樹脂の回収の出口の温度の変動率(%)と1
時間あたりの温度の変動回の積の最も小さいのに対する
該積の最も大きなABS樹脂の該積の比が1〜20、好
ましくは1〜15、より好ましくは1〜10であるAB
S樹脂組成物である。
【0069】本発明方法の別の実施態様は、少なくとも
スチレン系単量体及びアクリロニトリル系単量体、及び
溶液重合法によって得られるゴム状重合体を含む原料を
重合工程に供給し、ゴム粒子を形成しつつ該単量体の一
部もしくは全量を重合する工程及び該工程の後、重合
体、未反応単量体および/または溶剤を含む混合液を加
熱し、同時に又は加熱後減圧室に導入して未反応単量体
および/または溶剤を樹脂成分と分離する回収工程から
なる溶液または塊状重合のABS樹脂の製造方法におい
て、前記回収工程である減圧室を並列で少なくとも2室
以上有し、この各室の出口の温度を180〜300℃の
範囲とし、各室の回収の出口の温度を変動させて得られ
た2種以上の回収条件の異なるABS樹脂を混合して得
られる樹脂組成物の製造方法において、該温度の変動率
(%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)と
して、該温度を変動させて得られた2種以上のABS樹
脂のそれぞれのFと混合比率の積の和が0.5〜150
であるようにすることを特徴とするABS樹脂組成物の
製造方法である。この方法ではブレンドなどの操作が不
要で直接ブレンドされたのと同等の優れた性能のABS
系樹脂組成物を直接得ることができる。
【0070】本発明の方法では、上記のように回収工程
の出口の温度の変動率(%)と1時間あたりの該温度の
変動回数を調節することで下記の異なった性質の成形物
を得ることができるようにABS系樹脂を制御する方法
を提供するものである。 (A)高光沢で、光沢むらの少ない成形物を与えるAB
S系樹脂 (B)落垂衝撃強度のむらが少ない成形物を与えるAB
S系樹脂 (C)艶消し性が良好で、そのむらの少ない成形物を与
える系ABS樹脂 (D)成形物表面の光沢特性(高光沢又は艶消し特性)
が均一で場所によるばらつきが少なく、衝撃強度の高い
成形物を与えるABS系樹脂 5.本発明の特定のモルフォロジーを有するABS系樹
脂の製造方法 (A)の成形物を製造するのに用いられるABS樹脂の
好ましい製造方法の一例について説明するが、本発明の
成形物が本願発明のゴム粒子である成形物であれば特に
以下に述べるABS樹脂の製造方法に限定されるもので
はない。
【0071】本成形物を得るABS系樹脂の製造方法と
しては回収工程の出口の温度の変動率(%)と1時間あ
たりの該温度の変動回数の積(F)(以下”温度と回数
の積”と略記する)又は、該温度を変動させて得られた
2種以上のABS樹脂のそれぞれのFと混合比率の積の
和(以下”Fと混合比率の積の和”と略記する)を0.
5〜15であるように制御する方法が挙げられる。この
製造方法において、回収工程の出口の温度の変動率が1
〜5%、1時間あたりの該温度の変動回数が0.5〜1
5回であるABS樹脂の製造方法であり、またこれから
えられたABS樹脂を成形して得られる成形物にも係わ
る。
【0072】2種類以上のABS系樹脂を使用する場合
は、上記2種以上のABS樹脂の”温度と回数の積”の
最も小さいのに対する該積の最も大きなABS樹脂の該
積の比が好ましくは1〜20、より好ましくは1〜1
0、特に好ましくは1〜5であることを特徴とするAB
S樹脂であり、さらに上記方法でえられたABS樹脂を
成形して得られる成形物のも係わる。
【0073】上記方法で得られたABS系樹脂の成形物
はABS系樹脂を成形加工した成形物であり、ABS系
樹脂の機械的、化学的特徴を利用して、機械部品とし
て、或いは文房具用品、玩具等それ自体が最終製品とし
て用いられるものである。成形加工はこれまで知られて
いる通常の樹脂の成形方法が用いられ、例えば射出成
形、押出成形などがあげられる。前述した様に、表面の
光沢むらは成形加工条件と直接関係するのであるが、本
発明は成形物表面付近のゴム粒子のモルフォロジーを制
御することに特徴をもつ。製造条件の異なる2種以上の
ABS樹脂を使用することによって、特に光沢の均一性
の良好な成形物が得られる。
【0074】本発明の方法の上記製造方法で得られる樹
脂成形物(A)は、高い光沢を有し、しかも従来の様な
光沢むらが無いため、電気機器、コンピューター等の産
業分野の部品として有用であり、また化粧品容器や玩
具、文房具等の成形物として特に有用である。
【0075】(B)の成形物を製造するのに用いられる
ABS樹脂の好ましい製造方法の一例について説明する
が、得られるABS樹脂が本願発明のゴム粒子を含む成
形物を提供できるのであれば特に以下に述べるABS樹
脂の製造方法に限定されるものではない。
【0076】本成形物(B)を得るABSの製造方法と
しては前記の”温度と回数の積”又は”Fと混合比率の
積の和”を15を越え35以下であるように制御する方
法が挙げられる。この製造方法において、回収工程の出
口の温度の変動率が3〜10%、1時間あたりの該温度
の変動回数が5〜15回変動させるABS樹脂の製造方
法であり、またこれからえられたABS樹脂を成形して
得られる成形物である。2種以上のABS樹脂の”温度
と回数の積”の最も小さいものに対する該積の最も大き
なABS樹脂の該積の比が好ましくは1〜20、より好
ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5であることを
特徴とするABS樹脂の製造方法であり、またこれから
えられたABS樹脂を成形して得られる成形物にも係わ
る。
【0077】上記のようにして得られたABS系樹脂の
成形物はABS系樹脂(B)を成形加工した成形物であ
り、ABS系樹脂の機械的、化学的特徴を利用して、機
械部品として、或いは文房具用品、玩具等それ自体が最
終製品として用いられるものである。成形加工はこれま
で知られている通常の樹脂の成形方法が用いられ、例え
ば射出成形、押出成形などがあげられる。前述した様
に、落錐衝撃強度むらは成形加工条件にも関係するので
あるが、本発明は成形物表面のゴム粒子のモルフォロジ
ーを制御することによって落錐衝撃強度むらの低減を可
能にするものである。
【0078】本発明の方法で得られる樹脂成形物(B)
は従来の様な落錘衝撃強度むらが少ないため、電気機
器、コンピューター等の産業分野の部品として有用であ
り、また自動車部品等の工業用材料として特に有用であ
る。
【0079】(C)の成形物を製造するのに用いられる
ABS樹脂の好ましい製造方法の一例について説明する
が、得られるABS系樹脂が本願発明で特定したゴム粒
子を含む成形物を提供できるものであれば特に以下に述
べるABS樹脂の製造方法に限定されるものではない。
【0080】本成形物を得るABS樹脂(C)の製造方
法としては前記の”温度と回数の積”又は”Fと混合比
率の積の和”を35を越え150以下であるように制御
する方法が挙げられる。この製造方法において、回収工
程の出口の温度の変動率が3〜15%、1時間あたりの
該温度の変動回数が11〜33回変動させるABS樹脂
の製造方法であり、またこれからえられたABS樹脂を
成形して得られる成形物である。2種以上のABS樹脂
の”温度と回数の積”の最も小さいものに対する該積の
最も大きなABS樹脂の該積の比が好ましくは1〜1
0、より好ましくは1〜5であることを特徴とするAB
S樹脂の製造方法であり、またこれからえられたABS
樹脂を成形して得られる成形物にも関する。
【0081】本発明の方法で得られる樹脂成形物(C)
は優れた艶消し性を有し、しかも従来の様な艶消しむら
が無いため、電気機器、コンピューター等の産業分野の
部品として有用であり、また化粧品容器や玩具、文房具
等の成形物として特に有用である。
【0082】(D)の成形物を製造するのに用いられる
ABS樹脂の好ましい製造方法の一例について説明する
が、得られる成形物が本願発明で特定したゴム粒子を含
む成形物を提供できるものであれば特に以下に述べるA
BS樹脂の製造方法に限定されるものではない。
【0083】本発明の成形物を製造するのに用いられる
ABS樹脂の好ましい製造方法の一例について説明する
が、本発明は成形物中のゴム粒子のモルフォロジーを特
定することで光沢むらが少なく、耐衝撃性の良好な成形
物を得ることにあるので、本発明は以下に述べるABS
樹脂の製造方法に限定されるものではない。
【0084】少なくともスチレン系単量体及びアクリロ
ニトリル系単量体、及び溶液重合法によって得られるゴ
ム状重合体を含む原料を重合工程に供給し、ゴム粒子を
形成しつつ該単量体の一部もしくは全量を重合する工程
及び該工程の後、重合体、未反応単量体および/または
溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又は加熱後減圧室に
導入して単量体および/または溶剤を樹脂成分と分離す
る回収工程からなる溶液または塊状重合によりABS樹
脂の製造方法において、この工程において回収の出口の
温度を180〜300℃の範囲とし、回収工程の出口の
温度を変動させ、”温度と回数の積”又は”Fと混合比
率の積の和”が0.5〜150であるように制御するA
BS樹脂の製造方法であってさらに、この工程で上記重
合終了後の混合液を回収工程に送入する混合液の送入速
度を一定とせずばらつかせて回収し、しかも回収工程出
口の樹脂の温度の平均値を特定の範囲にして回収するこ
とにより、本発明の特許請求の範囲に記載した特定の成
形物を与えるABS樹脂(D)が得られる。回収工程後
は造粒工程を経て粒状のABS樹脂を得る。この際の造
粒工程の条件は特に限定はなく通常の条件で行われる。
【0085】ここでいう回収工程に送入する混合物の送
入速度を一定とせずにばらつかせて回収する方法として
の好ましい実施態様について説明する。
【0086】混合物を回収工程に装入する流量をFWと
する時、得られるABS系樹脂の品質はFWの変動率
(FWde)と装入量変動回数NFWchの積を決めること
により制御される。FWdeは、平均の装入量FWavに対
して定義される。(数4) 平均の装入量(FWav)は
【0087】
【数4】 (FWi:1分間の装入量の値リットル/min) また、装入量の変動率(FWde)は下記式(数5)によ
り算出される。 DFWi=@ FWchーFWav@ (FWch:時間に対するFWの微分値が正から負、ある
いは負から正へ変化する時のFWの値)
【0088】
【数5】 (NFWch:1時間当たりの上記微分値の正から負、あ
るいは負から正へ変化する回数。) また、回収工程の出口の樹脂の温度の平均値(Tav℃)
を特定の範囲にするために下記式で算出されるTFを用
いる。 TF=300ーTav これらの値は3時間以上、当該ABS樹脂の製造を行
い、FWavの値の0.5%未満の場合は変化がなかった
ものとみなして算出する。
【0089】本発明でいうαsを有する成形物を得るた
めにはTFが一般に0〜100、好ましくは20〜8
0、さらに好ましくは30〜75であり、かつTFとF
deの積が一般に0〜3000、好ましくは100〜2
000、さらに好ましくは300〜2000である。T
FとFWdeの積が3000を越えるとαsは9を越え
る。
【0090】また本発明でいうαmはFWdeとNFWch
の積(fFW)が1.5〜500にあることが好まし
く、2〜200がより好ましく、5〜50が特に好まし
い。fFWが500を越えるとαmは1×10-2を越え
る。
【0091】このような現象についてはその詳細なメカ
ニズムは明確ではないが重合で生成したゴム粒子間にF
W及びTFの影響下で何らかの相互作用が働いているも
のと考えられる。この相互作用は重合終了後の段階にお
いては明確ではないが、成形加工することによりその特
徴が表れるものと推定される。
【0092】次に実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
では無い。
【0093】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。各種試験方法を下記に示す。実施例で得られたペ
レットをもちいて、射出成形を行った。金型は(図1)
の成形物を作る金型を用い、金型温度は50℃とした。
また、得られた成形物の性能評価を下記の基準で測定し
た。 (1)光沢、艶消しの測定 (図1)に示した形状、寸法の成形物を用いて、JIS
K7105中の光沢度の測定法(60゜鏡面光沢)によ
って、×印で示した10か所の光沢を測定し、光沢値の
10点平均値、光沢値の標準偏差を求めた。この標準偏
差の大きさより光沢むらまたは艶消しむらの大きさを表
す。 (2)すじ模様の観察 光沢を測定した試験片の外観を目視で観察し、すじ模様
の有り、無しを判定した。 (3)衝撃強度の測定 衝撃強度は成形物を切り出し、試験片とし、Izod衝
撃試験法(JIS−K7110)で行った。 (4)落錘衝撃強度の測定 図1に示した形状、寸法の成形物を用いて、JISK7
211の方法によって、×印で示した10か所の落錘衝
撃強度を測定し、落錘衝撃強度の標準偏差を求めた。こ
の落錘衝撃強度の標準偏差が大きいほど落錘衝撃強度む
らが大きいことを示す。 (5)耐熱温度の測定 ビカット軟化点はASTM DI525に準拠して成形
物から試験片を切り出したサンプルを用いて評価した。 (6)ゴム粒子測定 TEM(透過型電子顕微鏡)を使用して、超薄切片法に
より、ゴム粒子形状を測定した。 (7)成形物の表層部と深部のゴム粒子平均径の測定 成形物の表層部と深部をそれぞれマクロトームカッター
で粒径測定に必要量を切り出し、レーザー回折式粒度測
定装置で測定した。 (8)成形物表層部と深部の化学組成 成形物の表層部と深部をそれぞれマクロトームカッター
で測定に必要量切り出し、各試料をヨウ素で滴定しブタ
ジエン量を求めた。また切り出した試料10重量部をメ
チルエチルケトン100重量部の溶剤に10時間接触
後、遠心分離機にかけてゲル分を除き、可溶分からスチ
レン/アクリロニトリル成分(AS成分)を分離し、得
られたAS成分を元素分析でC,H,Nの比率によりア
クリロニトリル量を求める。またAS成分をジメチルホ
ルムアミドを溶媒として溶液粘度法により還元粘度(η
SP/C)を求めた。 (9)粒子Bの変動係数:α 観察される粒子Bの長径aと短径bの比a/bの値をX
iとし、その平均値をXa vとした時、下記式(数6)よ
り求めた。
【0094】
【数6】 実施例Oー1 実施例OではABS系樹脂の品質の制御方法について記
載する。 a.ABS樹脂の製造方法 毎時スチレン75.5重量部、アクリロニトリル24.
5重量部、エチルベンゼン5重量部、ゴム状重合体7重
量部(スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレ
ン中に5wt%溶解し25℃で測定した溶液粘度10c
st)、有機過酸化物〔1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〕0.
05重量部、メルカプタン0.2重量部よりなる原料溶
液を調製した。この原料を3段の攪拌式重合槽列反応器
にて重合を行った。第1段目の槽から原料溶液を連続的
に供給した。第1段目の槽の攪拌数は350rpmと
し、反応温度110℃とした。2段目の槽、3段目の槽
では、温度を前段の反応槽より20℃上げた温度とし
た。3段目の槽より重合液を並列に2つの予熱器と減圧
室より成る回収工程に同量づつ導き回収後の樹脂はまた
混合された。回収工程入口の単量体の量は毎時35重量
部であり、重合体に転化した単量体の総量は毎時65重
量部であった。回収工程の出口での樹脂の温度(回収温
度(Tav))、温度変動率(Tde)、1時間あたりの温
度変動回数(Nct)を変更して(表1)各条件で10時
間づつ30時間連続運転を行い、7〜10時間(O−
1)、17〜20時間(O−2)および27〜30時間
(O−3)の試料の物性と成形物のモルフォロジーを評
価した。本実施例の製造条件を表1に、成形物のモルフ
ォロジーの評価結果を表2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】 実施例A 実施例Aでは高光沢で、光沢むらの少ない成形物を与え
るABS系樹脂(A)の製造例を記載する。 a.ABS樹脂の製造方法 スチレン75.5重量部、アクリロニトリル24.5重
量部、エチルベンゼン5重量部、ゴム状重合体7重量部
(スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン中
に5wt%溶解し25℃で測定した溶液粘度10cs
t)、有機過酸化物〔1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〕0.0
5重量部、メルカプタン0.2重量部よりなる原料溶液
を調製した。この原料を3段の攪拌式重合槽列反応器に
て重合を行った。第1段目の槽から原料溶液を連続的に
供給した。第1段目の槽の攪拌数は70〜400rpm
とし、反応温度110℃とした。2段目の槽、3段目の
槽では、温度を前段の反応槽より20℃上げた温度とし
た。3段目の槽より重合液を予熱器と減圧室より成る回
収工程に導いた。回収工程入口の単量体の量は35重量
部であり、重合体に転化した単量体の総量は65重量部
であった。なお、実験に使用した試料は3時間を1ロッ
トとして混合し使用した。
【0097】第1段目の反応槽の攪拌数及び、回収工程
の出口での樹脂の温度(回収温度(Tav))、温度変動
率(Tde)、1時間あたりの温度変動回数(Nct)を変
更して(表3)に示すポリマー試料a1〜a4を得た。
なお温度変動率(Tde)及び1時間当たりの温度変動回
数(Nct)は、予熱器のジャケットの熱媒の平均温度及
び流量を変えて変更した。
【0098】
【表3】 実施例A−1 ポリマー試料a1を50重量部、ポリマー試料a2を5
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料をシ
リンダー温度230℃で射出成形した。(金型温度は5
0℃)得られた成形物は粒子Bが0.8%存在し、光沢
値標準偏差は3.0%と低い値であり、光沢むらが小さ
いことを示している。結果を(表4)に示す。
【0099】比較例A−1 ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径0.5μm)1
6重量部の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル
30%からなる単量体混合物84重量部を乳化重合し
た。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソ
ーダで中和、洗浄、濾過、乾燥してABS樹脂を得た。
得られた試料を射出成形温度220℃で成形した。成形
物のゴム粒子を観察すると、粒子Bが0%で、光沢値標
準偏差が8.2%と大きく、光沢むらが大きい結果とな
った。結果を(表4)に示す。
【0100】実施例A−2 ポリマー試料a3を90重量部とポリマー試料a4を1
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料を射
出成形温度220℃で成形した。得られた成形物のゴム
粒子を観察すると、粒子Bが0.18%であり、光沢値
標準偏差は2.1%と低く、光沢むらが小さい結果とな
った。結果を(表4)に示す。
【0101】実施例A−3 ポリマー試料a2を70重量部、ポリマー試料a3を3
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料を射
出成形温度200℃で成形した。得られた成形物のゴム
粒子を観察すると、粒子Bが0.5%であり、光沢値標
準偏差は2.0%と低く、光沢むらが小さい結果となっ
た。結果を(表4)に示す。
【0102】
【表4】 実施例B 実施例Bでは落垂衝撃強度のむらが少ない成形を与える
ABS系樹脂(B)の製造例を記載する。 a.ABS樹脂の製造方法 スチレン75.5重量部、アクリロニトリル24.5重
量部、エチルベンゼン10重量部、ゴム状重合体9重量
部(スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン
中に5wt%溶解し25℃で測定した溶液粘度10cs
t)、有機過酸化物〔1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〕0.0
3重量部、メルカプタン0.1重量部よりなる原料溶液
を調製した。この原料を3段の攪拌式重合槽列反応器に
て重合を行った。第1段目の槽から原料溶液を連続的に
供給した。第1段目の槽の攪拌数は200rpmとし、
反応温度100℃とした。2段目の槽、3段目の槽で
は、温度を前段の反応槽より20℃上げた温度とした。
3段目の槽より重合液を予熱器と減圧室より成る回収工
程に導いた。回収工程入口の単量体の量は35重量部で
あり、重合体に転化した単量体の総量は65重量部であ
った。
【0103】回収工程の出口での樹脂の温度(回収温度
(Tav))、温度変動率(Tde)、1時間あたりの温度
変動回数(Nct)を変更して(表5)に示すポリマー試
料b1〜b5を得た。なお温度変動率及び1時間当たり
の温度変動回数は、予熱器のジャケットの熱媒の平均温
度及び流量を変えて変更した。
【0104】
【表5】 実施例B−1 ポリマー試料b2を80重量部、ポリマー試料b3を2
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料をシ
リンダー温度200℃、金型温度50℃で射出成形した
結果を表ー6に示す。得られた成形物は粒子Bが1.4
%存在し、粒子Bの変動係数αは0.13であった。こ
の落錘衝撃強度の標準偏差は19.6cmであり、落錘
衝撃強度むらが小さい。
【0105】比較例B−1 ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径0.8μm)2
0重量部の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル
30%からなる単量体混合物80重量部を乳化重合し
た。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソ
ーダで中和、洗浄、濾過、乾燥してABS樹脂を得た。
得られたABS樹脂を射出成形温度220℃で成形し
た。得られた成形物は粒子Bが観察されず、この落錘衝
撃強度の標準偏差は40.5cmであり、落錘衝撃強度
むらが大きい。
【0106】実施例B−2 ポリマー試料b1を50重量部とポリマー試料b2を5
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料を射
出成形温度230℃で成形した結果を表ー6に示す。得
られた成形物は粒子Bが15.7%存在し、粒子Bの変
動係数αは0.30であった。この落錘衝撃強度の標準
偏差は17.4cmであり、落錘衝撃強度むらが小さ
い。
【0107】実施例B−3 ポリマー試料b3を90重量部とポリマー試料b4を1
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料を射
出成形温度210℃で成形した結果を表ー6に示す。得
られた成形物は粒子Bが7.2%存在し、粒子Bの変動
係数αは0.29であった。この落錘衝撃強度の標準偏
差は15.2cmであり、落錘衝撃強度むらが小さい。
【0108】実施例B−4 ポリマー試料b2を80重量部とポリマー試料b5を2
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料を射
出成形温度200℃で成形した結果を表ー6に示す。得
られた成形物は粒子Bが22.0%存在し、粒子Bの変
動係数αは0.4であった。この落錘衝撃強度の標準偏
差は14.3cmであり、落錘衝撃強度むらが小さい。
【0109】
【表6】 実施例C 実施例Cでは艶消し性が良好で、そのむらの少ない成形
物を与えるABS系樹脂(C)の製造例を記載する。 a.ABS樹脂の製造方法 スチレン75.5重量部、アクリロニトリル24.5重
量部、エチルベンゼン8重量部、ゴム状重合体7重量部
(ブタジエン重合体、スチレン中に5wt%溶解し25
℃で測定した溶液粘度35cst)、有機過酸化物
〔1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン〕0.04重量部、メルカプ
タン0.15重量部よりなる原料溶液を調製した。この
原料を3段の攪拌式重合槽列反応器にて重合を行った。
第1段目の槽から原料溶液を連続的に供給した。第1段
目の槽の攪拌数は200rpmとし、反応温度110℃
とした。2段目の槽、3段目の槽では、温度を前段の反
応槽より20℃上げた温度とした。3段目の槽より重合
液を予熱器と減圧室より成る回収工程に導いた。回収工
程入口の単量体の量は35重量部であり、重合体に転化
した単量体の総量は65重量部であった。
【0110】第1段目の反応槽の攪拌数及び、回収工程
の出口での樹脂の温度(回収温度(Tav))、温度変動
率(Tde)、1時間あたりの温度変動回数(Nct)を変
更して表ー7に示すポリマー試料c1〜c5を得た。な
お温度変動率(Tde)及び1時間当たりの温度変動回数
(Nct)は、予熱器のジャケットの熱媒の平均温度及び
流量を変えて変更した。なお、実験に使用したポリマー
試料は3時間を1ロットとして混合し使用した。
【0111】
【表7】 実施例C−1 ポリマー試料c1を60重量部、ポリマー試料c5を4
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料をシ
リンダー温度210℃で成形した。(金型温度は50
℃)得られた成形物は粒子Bが62.2%存在し、光沢
値標準偏差は4.2%と低い値であり、艶消しむらが小
さく、光沢平均値が20%と非常に優れた艶消し性を持
っていることを示している。結果を表ー8に示す。
【0112】比較例C−1 ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径1.5μm)1
6重量部の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル
30%からなる単量体混合物84重量部を乳化重合し
た。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソ
ーダで中和、洗浄、濾過、乾燥してABS樹脂を得た。
得られた試料を射出成形温度200℃で成形し評価した
結果を表ー8に示す。得られた成形物のゴム粒子を観察
すると、粒子Bが0%であり、光沢値標準偏差が8.2
%と大きく、艶消しむらが大きく、光沢平均値も48%
と実施例C−1と比較して艶消し性も艶消しむらも劣っ
ていた。
【0113】実施例C−2 ポリマー試料c3を20重量部とポリマー試料c5を8
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料を射
出成形温度200℃で成形した。得られた成形物のゴム
粒子を観察すると、粒子Bが48.5%であり、光沢値
標準偏差は3.0%と低く、艶消しむらが小さいく、光
沢平均値が19%と非常に優れた艶消し性を持っている
ことを示している。結果を表ー8に示す。
【0114】実施例C−3 ポリマー試料c1を90重量部、ポリマー試料c4を1
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料を射
出成形温度240℃で成形した結果を表ー8に示す。得
られた成形物のゴム粒子を観察すると、粒子Bが88.
1%であり、光沢値標準偏差は2.1%と低く、艶消し
むらが小さく、光沢平均値が29.0%と優れた艶消し
性を有している。
【0115】実施例C−4 ポリマー試料c1を70重量部、ポリマー試料c5を3
0重量部を押出機により溶融混合し、得られた試料を射
出成形温度220℃で成形し評価した結果を表ー8に示
す。得られた成形物のゴム粒子を観察すると、粒子Bが
77.2%であり、光沢値標準偏差は2.5%と低く、
艶消しむらが小さく、光沢平均値も31.0%と優れた
艶消し性を有していた。
【0116】
【表8】 実施例D 実施例Dでは成形物表面の光沢特性(高光沢又は艶消し
特性)が均一で場所によるばらつきが少なく、衝撃強度
の高い成形物を与えるABS系樹脂(D)の製造例を記
載する。
【0117】実施例D−1 スチレン75.5重合部、アクリロニトリル24.5重
量部、エチルベンゼン15重量部、ゴム状重合体10重
量部(スチレンーブタジエンブロック共重合体、スチレ
ン中に5wt%溶解し、25℃で測定した粘度溶液粘度
が11cst)有機過酸化物[1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン]0.04重量部、メルカプタン0.12重量部より
なる原料溶液を調製した。この原料を3段の攪拌式重合
槽列反応器にて重合を行なった。第1段目の槽から原料
溶液を連続的に供給した。第1段目の槽の攪拌数は25
0rpmとし、反応温度110℃とした。2段目の槽は
反応温度を120℃、3段目の槽は反応温度を130℃
とした。3段目の槽より重合液を予熱器と減圧室より成
る回収工程に導いた。回収工程に装入の際の平均の装入
量FWAVを一定とし、FWAV、FWde、NFW ch、T
F、回収工程の出口での樹脂の温度(回収温度
(Tav))、温度変動率(Tde)、1時間あたりの温度
変動回数(Nct)を表9に示す通りにしてポリマーを回
収し、これを押出機を用いてシリンダー温度220℃で
造粒してポリマーを得た(造粒条件は実施例と比較例で
すべて本実施例と同じとした)。得られたポリマーを成
形し、成形物の物性の測定結果を表10に示す。得られ
た成形物はα sが1.98×10-3、αmが1.2×10
-5でαm /αsが6.06×10-3となり、光沢値は9
2%、光沢値の標準偏差は1.8%、衝撃強度17kg
・cm/cm2となり、光沢むらが小さく、光沢値と衝
撃強度のバランスが良いことを示している。
【0118】実施例D−2 回収工程に装入するまでは実施例D−1と同様に行い、
回収工程に装入の際のFWAV、FWde、NFWch、T
F、Tav、温度変動率(Tde)、1時間あたりの温度変
動回数(Nct)を表9に示す条件にしてポリマーを得
た。結果を表10に示す。得られた成形物はαsが0.
64、αmが3×10-4でαm /αsが4.7×10-4
なり、光沢値は53%、光沢値の標準偏差は3.2%、
衝撃強度17kg・cm/cm2と光沢むらが小さいこ
とを示している。
【0119】実施例D−3 エチルベンゼン20重量部、ゴム状重合体12重量部、
メルカプタン0.15重量部、第1段目の攪拌速度を2
00rpm、反応温度100℃とし、回収工程に装入す
るまでは実施例D−1と同様に行い、回収工程に装入の
際のFWAV、FW de、NFWch、TF、Tav、Tde、N
ctを表9に示す条件にしてポリマーを得た。結果を表1
0に示す。得られた成形物はαsが4、αmが3.3×1
-4でαm/αsが8.25×10-5となり、光沢値は2
5%、光沢値の標準偏差は2.3%、衝撃強度18kg
・cm/cm2と艶消し性が高く、光沢むらが小さいこ
とを示している。
【0120】実施例D−4 実施例D−1で得られたポリマー80重量部とポリカー
ボネート(帝人化成製、パンライトL−1225、メル
トフローレート 10g/min、ビカット軟化点15
1℃)20重量部を混合し評価を行った結果を表2に示
す。得られた成形物はαsが4.7×10-2、αmが4.
2×10-4でαm /αsが8.9×10-3となり、光沢
値は96%、光沢値の標準偏差は1.2と光沢むらが小
さいことを示している。またビカット軟化点は118℃
と高い耐熱性を有していた。
【0121】
【表9】
【0122】
【表10】 実施例E 実施例Eで示す実験はABS系樹脂をブレンドしないで
(A)、(B)、(C)の樹脂を製造してそれを用いて
成形物を製造して評価した結果を示す。
【0123】実施例EAー1 スチレン74.5重合部、アクリロニトリル25.5重
量部、エチルベンゼン10重量部、ゴム状重合体(スチ
レンーブタジエンブロック共重合体、スチレン中に5w
t%溶解し、25℃で測定した溶液粘度が10cst)
7.4重量部、有機過酸化物[1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン]0.05重量部、メルカプタン0.2重量部よりな
る原料溶液を調製した。この原料を3段の攪拌式重合槽
列反応器にて重合を行なった。第1段目の槽から原料溶
液を連続的に供給した。第1段目の槽の攪拌速度は20
0rpm、第2段目、第3段目の攪拌速度はそれぞれ1
00rpm、80rpmとし、反応温度はおのおの1段
目の槽は105℃、2段目110℃、3段目120℃と
した。回収工程の出口の樹脂温度(Tav)を230℃、
温度変動率(Tde)3%、温度変動回数(Nct)を3回
に制御してポリマー試料を得た。得られたポリマーを用
いてシリンダー温度210℃、金型温度50℃の条件で
射出成形を行った。製造条件と評価結果を表11に示
す。成形物表面の粒子Aの割合は71.3%、粒子Bの
割合は0.4%であり、ゴム粒子Aのうち粒子径が1.
0〜1.5μmの粒子の割合は0.2%、ゴム粒子Aの
平均粒子径は0.4μmであった。押出機で溶融混合し
成形して得た成形物の光沢の平均値は95%であり、光
沢値の標準偏差は3.9%、Izod衝撃値は17kg
・cm/cm2、ビカット軟化点は106℃であった。
【0124】実施例EAー2 回収工程前までは実施例EAー1と同様に行い、回収工
程の条件のみを変更した。すなわち、回収工程の出口の
樹脂温度(Tav)を250℃、温度変動率(Tde)を2
%、温度変動回数(Nct)を2回とする以外は同様にし
て成形物を得た。製造条件と評価結果を表11に示す。
この成形物表面の粒子Aの割合は78.1%、粒子Bの
割合は0.15%であり、ゴム粒子Aのうち粒子径が
1.0〜1.5μmの粒子の割合は0.3%、ゴム粒子
Aの平均粒子径は0.4μmであった。成形物の光沢の
平均値は97%であり、光沢値の標準偏差は3.0%、
Izod衝撃値は18kg・cm/cm2、ビカット軟
化点は106℃であった。
【0125】実施例EBー1 回収工程前までは実施例EAー1と同様に行い、回収工
程の条件のみを変更した。すなわち、回収工程の出口の
樹脂温度(Tav)を210℃、温度変動率(Tde)を8
%、温度変動回数(Nct)を4回とする以外は同様にし
て成形物を得た。製造条件と評価結果を表11に示す。
この成形物表面の粒子Aの割合は41%、粒子Bの割合
は28%であり、ゴム粒子Aの平均粒子径は0.6μm
であった。成形物の落錘衝撃値の平均値は87cmであ
り、落錘衝撃値標準偏差値は18.2cmであり、Iz
od衝撃値は17kg・cm/cm2、ビカット軟化点
は106℃であった。
【0126】実施例EBー2 回収工程前までは実施例EAー1と同様に行い、回収工
程の条件のみを変更した。すなわち、回収工程の出口の
樹脂温度(Tav)を230℃、温度変動率(Tde)を6
%、温度変動回数(Nct)を3回とする以外は同様にし
て成形物を得た。製造条件と評価結果を表11に示す。
この成形物表面の粒子Aの割合は52%、粒子Bの割合
は12%であり、ゴム粒子Aの平均粒子径は0.5μm
であった。成形物の光沢の平均値は26%であり、光沢
値標準偏差値は3.8%であり、Izod衝撃値は17
kg・cm/cm 2、ビカット軟化点は106℃であっ
た。
【0127】実施例ECー1 回収工程前までは実施例EAー1と同様に行い、回収工
程の条件のみを変更した。すなわち、回収工程の出口の
樹脂温度(Tav)を230℃、温度変動率(Tde)を5
%、温度変動回数(Nct)を10回とする以外は同様に
して成形物を得た。製造条件と評価結果を表11に示
す。この成形物表面の粒子Aの割合は22%、粒子Bの
割合は51%であり、ゴム粒子Aの平均粒子径は0.5
μmであった。成形物の光沢の平均値は26%であり、
光沢値標準偏差値は3.8%であり、Izod衝撃値は
17kg・cm/cm 2、ビカット軟化点は106℃で
あった。
【0128】実施例ECー2 分離工程前までは実施例EAー1と同様に行い、回収工
程の条件のみを変更した。すなわち、回収工程の出口の
樹脂温度(Tav)を210℃、温度変動率(Tde)を1
0%、温度変動回数(Nct)を8回とする以外は同様に
して成形物を得た。製造条件と評価結果を表11に示
す。この成形物表面の粒子Aの割合は16%、粒子Bの
割合は65%であり、ゴム粒子Aの平均粒子径は0.7
μmであった。成形物の光沢の平均値は35%であり、
光沢値標準偏差値は4.9%であり、Izod衝撃値は
18kg・cm/cm 2、ビカット軟化点は106℃で
あった。
【0129】
【表11】
【0130】
【発明の効果】 本発明の成形物は特定のゴム粒子を持
ち、優れた光沢、艶消し性又は落錐衝撃強度を持ち、し
かも成形物の場所によるこれらの性質むらが少ない。ま
た上記成形物を得るためのABS系樹脂並びに品質を容
易に制御する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は射出成形品の光沢と落錐衝撃強度を測定
した位置を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平5−332399 (32)優先日 平成5年12月27日(1993.12.27) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−81429 (32)優先日 平成6年4月20日(1994.4.20) (33)優先権主張国 日本(JP) 早期審査対象出願 (72)発明者 安藤 敏彦 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 高久 真人 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 森田 尚夫 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 内田 睦子 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−107087(JP,A) 特開 平3−103414(JP,A) 特開 平4−255705(JP,A) 特開 平6−49147(JP,A) 特開 平8−120031(JP,A) 特開 平8−120030(JP,A) 特開 平8−81523(JP,A) 特開 昭59−80415(JP,A) 欧州特許出願公開352383(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 279/04 C08L 55/02 C08L 69/00

Claims (35)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ABS樹脂、又はABS樹脂を成分とし
    て含む材料の成形物において、成形物表面から0.5〜
    1.5μmの深さに存在するゴム粒子が、成形物表面と
    の平行面を、超薄切片法による電子顕微鏡写真で観察さ
    れるゴム状重合体粒子(以下ゴム粒子)のうち、(1)
    長径aと短径bの比率a/bが1.5以下である粒子
    A、及び(2)長径aと短径bの比率a/bが5以上で
    ある粒子Bの少なくとも2種類の形態を有し、且つ超薄
    切片法による電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子の全
    面積を100%とした時に、粒子Aの全面積が少なくと
    も10%以上を占めており、粒子Bの全面積が0.01
    〜90%の範囲であることを特徴とするABS系樹脂の
    成形物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の粒子A及びBの全面積範
    囲を与える成形物が得ることができることを特徴とする
    ABS系樹脂。
  3. 【請求項3】 粒子Bの全面積が0.01〜1.0%の
    範囲にあり、粒子Aの平均粒子径が0.1〜1.5μm
    である請求項1記載のABS系樹脂の成形物。
  4. 【請求項4】 超薄切片法による電子顕微鏡写真で観察
    されるゴム粒子の全面積を100%とした時に、粒子A
    の全面積が少なくとも10%以上を占め、且つ粒子Bの
    全面積が0.01〜1.0%の範囲にあり、かつ粒子A
    の平均ゴム粒子径が0.1〜1.0μmの範囲にあるこ
    とを特徴とする請求項3記載のABS系樹脂の成形物。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の粒子Bの全面積範囲と粒
    子Aの平均粒子径範囲を与える成形物が得ることができ
    ることを特徴とするABS系樹脂。
  6. 【請求項6】 超薄切片法による電子顕微鏡写真で観察
    する方法において、ゴム粒子の全面積を100%とした
    時に、粒子Aであって、その平均ゴム粒子径が0.1〜
    1.0μmの範囲しかもそのゴム粒子径が1.0〜1.
    5μmである粒子の割合が0.5〜5.0%の範囲であ
    ることを特徴とする請求項4記載のABS系樹脂の成形
    物。
  7. 【請求項7】 粒子Bの全面積が1%を越え40%未満
    の範囲にあり、粒子Aの平均粒子径が0.1〜3μmで
    ある請求項1記載のABS系樹脂の成形物。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の粒子Bの全面積範囲及び
    粒子Aの平均粒子径の範囲を与える成形物を得ることが
    できることを特徴とするABS系樹脂。
  9. 【請求項9】 粒子Bの全面積が40〜90%の範囲に
    あり、粒子Aの平均粒子径が0.2〜5μmである請求
    項1記載のABS系樹脂の成形物。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の粒子Bの全面積範囲及
    び粒子Aの平均粒子径の範囲を与える成形物を得ること
    ができることを特徴とするABS系樹脂。
  11. 【請求項11】 ABS樹脂、又はABS樹脂を成分と
    して含む材料の成形物において、超薄切片法による電子
    顕微鏡写真で観察されるゴム粒子のうち、(1)長径a
    と短径bの比率a/bが1.5以下である粒子A、及び
    (2)長径aと短径bの比率a/bが5以上である粒子
    Bとしたときに、成形表面から0.5〜1.5μmの深
    さ(成形物表面付近)と、該表面から厚み方向へ200
    μm以上の深さ(成形物深部)でのゴム粒子について、 a.成形物表面付近で観察されるゴム粒子の全面積を1
    00%としたときの、該表面付近の粒子Bの全面積の割
    合をX1%、粒子Aの全面積の割合をY1%、X1/Y1
    αsとし、 b.成形物深部で観察されるゴム粒子の全面積を100
    %としたときの、粒子Bの全面積の割合をX2%、粒子
    Aの全面積の割合をY2%、X2/Y2=αmとしたとき、 以下の式が成り立つことを特徴とする請求項1記載のA
    BS系樹脂成形物。 1×10-4≦αs≦9 αm≦1×10-2 αm/αs≦5×10-2
  12. 【請求項12】 成形物表面から100μmまでの深さ
    (成形物表層部)にある樹脂の化学組成と、成形物表面
    から200μm以上の深さ(成形物深部)にある樹脂の
    化学組成が同じであり、レーザー回折式粒度分析装置を
    用いて、溶液法で測定した成形物表層部と成形物深部の
    ゴム粒子平均径の差が0〜15%であることを特徴とす
    る請求項11記載のABS系樹脂の成形物。
  13. 【請求項13】 αs、αm、αm /αsが以下の式が成
    り立つような請求項11記載のABS系樹脂成形物。 1×10-4≦αs ≦5 αm ≦5×10-3 αm /αs ≦1×10-2
  14. 【請求項14】 αs、αm、αm /αsが以下の式が成
    り立ち、 1×10-4≦αs ≦0.3 αm ≦5×10-3 αm /αs ≦5×10-2 かつ、レーザー回折式粒度分析装置を用いて、溶液法で
    測定した成形物深部のゴム粒子平均径が0.1〜1.5
    μmであることを特徴とする請求項11記載のABS系
    樹脂成形物。
  15. 【請求項15】 αs、αm、αm /αsが以下の式が成
    り立ち、 0.5≦αs ≦9 αm ≦1×10-2 αm /αs ≦3×10-2 かつ、レーザー回折式粒度分析装置を用いて、溶液法で
    測定した成形物深部のゴム粒子平均径が0.7〜3μm
    であることを特徴とする請求項11記載のABS系樹脂
    成形物。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載のABS系樹脂100
    重量部中にポリカーボネートを10〜75重量部含有す
    ることを特徴とする、光沢むらがない耐熱性の高いAB
    S系樹脂成形物。
  17. 【請求項17】 ABS樹脂、又はABS樹脂を成分と
    して含む材料の成形物において、成形物表面から0.5
    〜1.5μmの深さに存在するゴム粒子が、成形物表面
    との平行面を、超薄切片法による電子顕微鏡写真で観察
    されるゴム粒子のうち、(1)長径aと短径bの比率a
    /bが1.5以下である粒子A、及び(2)長径aと短
    径bの比率a/bが5以上である粒子Bの少なくとも2
    種類の形態を有し、且つ超薄切片法による電子顕微鏡写
    真で観察されるゴム粒子の全面積を100%とした時
    に、粒子Aの全面積が少なくとも10%以上を占めてお
    り、粒子Bの全面積が0.01〜90%の範囲に制御す
    ることを特徴とする請求項1記載のABS系樹脂の品質
    制御方法。
  18. 【請求項18】 少なくともスチレン系単量体及びアク
    リロニトリル系単量体、及び溶液重合法によって得られ
    るゴム状重合体を含む原料を重合工程に供給し、ゴム粒
    子を形成しつつ該単量体の一部もしくは全量を重合する
    工程及び該工程の後、重合体、未反応 単量体および/
    または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又は加熱後減
    圧室に導入して単量体および/または溶剤を樹脂成分か
    ら分離する回収工程からなる溶液または塊状重合により
    ABS樹脂を製造するに際して、回収工程の出口の温度
    を180〜300℃の範囲とし、(1)該温度の変動率
    (%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)を
    0.5〜150の範囲となるように回収工程の温度を変
    動させるか又は(2)該温度を変動させて得られた2種
    以上のABS樹脂のそれぞれのFと混合比率の積の和が
    0.5〜150であるように混合することを特徴とする
    請求項17記載のABS系樹脂の品質制御方法。
  19. 【請求項19】 少なくともスチレン系単量体及びアク
    リロニトリル系単量体、及び溶液重合法によって得られ
    るゴム状重合体を含む原料を重合工程に供給し、ゴム粒
    子を形成しつつ該単量体の一部もしくは全量を重合する
    工程及び該工程の後、重合体、未反応 単量体および/
    または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又は加熱後減
    圧室に導入して単量体および/または溶剤を樹脂成分と
    分離する回収工程からなる溶液または塊状重合によりA
    BS樹脂を製造するに際して、回収工程の出口の温度を
    180〜300℃の範囲とし変動させ、該温度の変動率
    (%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)と
    して、該温度を変動させて得られた2種以上のABS樹
    脂のそれぞれのFと混合比率の積の和が0.5〜150
    であるように混合することを特徴とする請求項18記載
    のABS系樹脂の品質制御方法。
  20. 【請求項20】 (1)該回収工程の出口の温度の変動
    率(%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)
    が0.5〜15の範囲となるように回収工程の出口の温
    度を変動させるか又は(2)該温度を変動させて得られ
    た2種以上のABS樹脂のそれぞれのFと混合比率の積
    の和が0.5〜15であるように混合することを特徴と
    する請求項18記載のABS系樹脂の品質制御方法。
  21. 【請求項21】 (1)回収工程の出口の温度の変動率
    (%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)が
    15を越え35以下の範囲となるように回収工程出口の
    温度を変動させるか又は(2)該温度を変動させて得ら
    れた2種以上のABS樹脂のそれぞれのFと混合比率の
    積の和が15を越え35以下の範囲であるように混合す
    ることを特徴とする請求項18記載のABS系樹脂の品
    質制御方法。
  22. 【請求項22】 (1)回収工程の出口の温度の変動率
    (%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)が
    35を越え150以下の範囲となるように回収工程出口
    の温度を変動させるか又は(2)該温度を変動させて得
    られた2種以上のABS樹脂のそれぞれのFと混合比率
    の積の和が35を越え150以下の範であるように混合
    することを特徴とする請求項18記載のABS樹脂の品
    質制御方法。
  23. 【請求項23】 回収工程が、並列に少なくとも2室以
    上有し、この各室の出口の温度を180〜300℃の範
    囲とする請求項19載のABS樹脂の品質制御方法。
  24. 【請求項24】 少なくともスチレン系単量体及びアク
    リロニトリル系単量体、及び溶液重合法によって得られ
    るゴム状重合体を含む原料を重合工程に供給し、ゴム粒
    子を形成しつつ該単量体の一部もしくは全量を重合する
    工程及び該工程の後、重合体、未反応 単量体および/
    または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又は加熱後減
    圧室に導入して単量体および/または溶剤を樹脂成分と
    分離する回収工程からなる溶液または塊状重合によりA
    BS樹脂を製造するに際して、回収工程の出口の温度を
    180〜300℃の範囲とし、(1)該温度の変動率
    (%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)を
    0.5〜15の範囲となるように回収工程の温度を変動
    させるか又は(2)該温度を変動させて得られた2種以
    上のABS系樹脂のそれぞれのFと混合比率の積の和が
    0.5〜15であるように混合されることによって製造
    されたABS系樹脂またはそれが含まれたABS系樹脂
    を成形すること特徴とする請求項3記載のABS系樹脂
    の成形物。
  25. 【請求項25】 回収工程の出口に対する温度の変動率
    が1〜5%、1時間あたりの変動回数が0.5〜15回
    である請求項24記載のABS樹脂の製造方法。
  26. 【請求項26】 回収工程の出口の温度を該温度の変動
    率(%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)
    を変動させて得られた2種以上のABS系樹脂を混合し
    て得られる樹脂組成物において、それぞれのFと混合比
    率の積の和が0.5〜15であるように混合することを
    特徴とする請求項24記載のABS系樹脂。
  27. 【請求項27】 2種以上のABS樹脂を混合してAB
    S樹脂組成物を得る方法において、上記2種以上のAB
    S樹脂の回収の出口の温度の変動率(%)と1時間あた
    りの該温度の変動回数の積の最も小さいのに対する該積
    の最も大きなABS樹脂の該積の比が1〜20であるこ
    とを特徴とする請求項26記載のABS樹脂。
  28. 【請求項28】 少なくともスチレン系単量体及びアク
    リロニトリル系単量体、及び溶液重合法によって得られ
    るゴム状重合体を含む原料を重合工程に供給し、ゴム粒
    子を形成しつつ該単量体の一部もしくは全量を重合する
    工程及び該工程の後、重合体、未反応 単量体および/
    または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又は加熱後減
    圧室に導入して単量体および/または溶剤を樹脂成分と
    分離する回収工程からなる溶液または塊状重合によりA
    BS樹脂を製造するに際して、回収工程の出口の温度を
    180〜300℃の範囲とし、(1)該温度の変動率
    (%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)を
    15を越え35以下の範囲となるように回収工程の温度
    を変動させるか又は(2)該温度を変動させて得られた
    2種以上のABS樹脂のそれぞれのFと混合比率の積の
    和が15を越え35以下であるように混合されることに
    よって製造されたABS樹脂またはそれが含まれたAB
    S系樹脂を成形すること特徴とする請求項7記載のAB
    S系樹脂の成形物。
  29. 【請求項29】 回収工程の出口の温度の変動率が3〜
    10%、1時間あたりの変動回数が5〜15回である請
    求項28記載のABS系樹脂の製造方法。
  30. 【請求項30】 回収工程の出口の温度を該温度の変動
    率(%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)
    を変動させて得られた2種以上のABS系樹脂を混合し
    て得られるABS系樹脂において、それぞれのFと混合
    比率の積の和が15を越え35以下であるように混合す
    ることを特徴とする請求項28記載のABS系樹脂。
  31. 【請求項31】 2種以上のABS系樹脂を混合してA
    BS樹脂組成物を得る方法において、上記2種以上のA
    BS系樹脂の回収工程出口の温度の変動率(%)と1時
    間あたりの温度の変動回数の積の最も小さいのに対する
    該積の最も大きなABS系樹脂の該積の比が1〜20で
    あることを特徴とする請求項30記載のABS系樹脂。
  32. 【請求項32】 少なくともスチレン系単量体及びアク
    リロニトリル系単量体、及び溶液重合法によって得られ
    るゴム状重合体を含む原料を重合工程に供給し、ゴム粒
    子を形成しつつ該単量体の一部もしくは全量を重合する
    工程及び該工程の後、重合体、未反応単量体および/ま
    たは溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又は加熱後減圧
    室に導入して単量体および/または溶剤を樹脂成分と分
    離する回収工程からなる溶液または塊状重合によりAB
    S樹脂を製造するに際して、回収工程の出口の温度を1
    80〜300℃の範囲とし、(1)該温度の変動率
    (%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)を
    35を越え150以下の範囲となるように回収工程の温
    度を変動させるか又は(2)該温度を変動させて得られ
    た2種以上のABS樹脂のそれぞれのFと混合比率の積
    の和が35を越え150以下であるように混合されるこ
    とによって製造されたABS樹脂またはそれが含まれた
    ABS系樹脂を成形すること特徴とする請求項9記載の
    ABS系樹脂の成形物。
  33. 【請求項33】 回収工程の出口に対する温度の変動率
    が3〜15%、1時間あたりの変動回数が11〜33回
    である請求項32記載のABS系樹脂の製造方法。
  34. 【請求項34】 回収工程の出口の温度を該温度の変動
    率(%)と1時間あたりの該温度の変動回数の積(F)
    を変動させて得られた2種以上のABS系樹脂を混合し
    て得られるABS系樹脂において、それぞれのFと混合
    比率の積の和が35を越え150以下であるように混合
    することを特徴とする請求項32記載のABS系樹脂。
  35. 【請求項35】 2種以上のABS系樹脂を混合してA
    BS系樹脂を得る方法において、上記2種以上のABS
    樹脂の回収工程の出口の温度の変動率(%)と1時間あ
    たりの温度の変動回数の積の最も小さいのに対する該積
    の最も大きなABS樹脂の該積の比が1〜20であるこ
    とを特徴とする請求項34記載のABS系樹脂。
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