JP3695812B2 - プレーナ電極型半導体光素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信システム等に用いて好適なプレーナ電極型半導体光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子において、プレーナ電極型(単にプレーナ型ともいう。)とは、基板の一方側の面に二電極が設けられている構造であり、ほぼ同一平面上に電極が設けられている。この構造は基板の裏側に一方の電極を形成しおよびこの電極とは基板を挟んで反対側の表面に他方の電極を形成する構造に比べ、寄生容量の減少や素子設計、プロセスの容易化に有効な構造である。半導体光素子においてもプレーナ電極型の構造は用いられており、従来、例えば、文献1「特開平2−130984」または文献2「特開平3−12984」に開示されているものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のプレーナ電極型半導体光素子には以下のような問題点があった。
【0004】
文献1に記載の半導体レーザ装置は、基板の上面に設けられた光導波層(活性層)が、同じく基板上面に設けられた二つのクラッド層に隣接して挟まれており、それぞれのクラッド層の上面に電極が形成されている構造である。このような構造では、光導波層を含むメサ構造を形成してその両脇にそれぞれ別々の導電型のクラッド層を埋め込み形成する。従って、先ず、メサストライプの一方の側面を露出させるためにエッチングを施してクラッド層を埋め込み形成し、次に、他方の側面を露出させて先のクラッド層とは異なる導電型のクラッド層を埋め込み形成する。このようにメサストライプの両脇を別々に分けてエッチングおよび埋め込み形成を行うので、メサ形成用のマスクのアライメントにずれが生じ易い。従って、ストライプ幅が光導波方向に沿って一定にならないという問題があった。
【0005】
また、光導波層の上面および下面にはそれぞれ高抵抗層が設けられており、両クラッド層間のこれらの高抵抗層によって寄生容量が形成されてしまう構造であった。この高抵抗層を介する寄生容量を低減させるには、この高抵抗層のストライプ幅(両クラッド層間の間隔長)は大きい方が良い。しかし、これらの高抵抗層に相俟って光導波層のストライプ幅が決まってしまい、正孔および電子の拡散長に比べて十分小さくすることができず、光導波層にキャリアを注入する場合、その注入効率が低下するという問題があった。
【0006】
従って、以上の問題点を解決する手段を有するプレーナ電極型半導体光素子及びその製造方法の出現が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るプレーナ電極型半導体光素子は、下地上に形成され、表面段差が設けられた第1クラッド層と、該表面段差の低い側の面上に順次形成された光導波層と第2クラッド層とを含む積層と、該積層の側面と前記表面段差の側面との境界領域に形成された、溝状の第1絶縁層と、前記第2クラッド層を前記第1絶縁層に接する所定幅のメサストライプと他の領域とに分断するために前記積層内に設けられた、溝状の第2絶縁層と、前記第1クラッド層に設けられた前記表面段差の高い側の面上に、該第1クラッド層と導通するように形成された第1電極と、前記第2クラッド層の表面上に、前記第2クラッド層と導通し且つ前記第1電極と離間して形成された第2電極とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構造によれば、メサストライプの両脇にはクラッド層ではなく絶縁層(第1および第2絶縁層)が設けられている。従って、従来のように、メサストライプの各側面を露出させて各クラッド層を埋め込み形成する必要がない。このため、エッチング製造過程に伴うマスク合わせの不整合が起こらない。
【0009】
また、この構造によれば、両クラッド層(第1および第2クラッド層)間の光導波層の膜厚と、両クラッド層間を絶縁するための高抵抗層(第1絶縁層)のサイズとが互いに独立な構造である。従来のプレーナ電極型半導体光素子の構造に比べて、高抵抗層を介する両クラッド層間の間隔長を広くできるので両クラッド層間に形成される寄生容量は低減する。また、高抵抗層のサイズとは別に両クラッド層間の光導波層の間隔を小さくすることができる。従って、この活性領域である光導波層の膜厚を電子−正孔拡散長より十分小さくすることができるのでキャリアの注入効率が増加する。そして、この光導波層に電界を印加するときには、その電界強度は光導波層の膜厚に反比例するので従来の構造に比べて印加電界を大きく取ることができる。
加えて、この構造では、表面段差が設けられた第1クラッド層を下地上に形成し、さらに、当該表面段差の高い側の面上に、該第1クラッド層と導通する第1電極を形成した。これにより、第1クラッド層と第1電極とを直接に或いはコンタクト層のみを介して接続することができるので、これら第1クラッド層・第1電極間の抵抗を十分に低く抑えることができる。
【0010】
この発明に係るプレーナ電極型半導体光素子の第1の製造方法は、(a)下地上に、表面段差を有する第1クラッド層を形成する工程と、(b)該表面段差の低い側の面上に、光導波層と第2クラッド層とを順次堆積することにより、積層を形成する工程と、(c)該積層の側面と前記表面段差の側面との境界領域に、溝状の第1絶縁層を形成する工程と、(d)前記積層内に溝状の第2絶縁層を形成することにより、前記第2クラッド層を、前記第1絶縁層に接する所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
この発明に係るプレーナ電極型半導体光素子の第2の製造方法は、(a)下地上に、第1クラッド層と光導波層と第2クラッド層とを順次堆積することにより、積層を形成する工程と、(b)該積層の一部領域をエッチングすることにより、前記第1クラッド層を露出させる工程と、(c)前記第1クラッド層の露出面上に、該第1クラッド層と同じ導電型の半導体材料を用いて、前記光導波層の上面より高い位置まで半導体層を形成する工程と、(d)該半導体層の側面と前記第2クラッド層の側面との境界に、溝状の第1絶縁層を形成する工程と、(e)前記第2クラッド層を前記第1絶縁層に接する所定幅のメサストライプと他の領域とに分断するために、前記積層内に溝状の第2絶縁層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
この発明に係るプレーナ電極型半導体光素子の第3の製造方法は、(a)下地上に、第1クラッド層と第1コンタクト層とを順次堆積する工程と、(b)該第1コンタクト層の上面に光導波層の形成予定領域を画成して該予定領域を開口部とする第1マスクを形成する工程と、(c)該第1マスクを用いたエッチングにより、前記開口部から第1クラッド層を露出させて、該第1クラッド層に表面段差を形成する工程と、(d)該表面段差の低い側の面上に、光導波層と第2クラッド層と第2コンタクト層とを順次堆積することにより積層を形成する工程と、(e)前記第1マスクを除去し、前記積層の側面と前記表面段差の側面との境界領域上に第1開口を有し且つ前記第2クラッド層を所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する位置に第2開口を有する第2マスクを形成する工程と、(f)前記第2マスクを用いて、前記第1、第2開口のそれぞれから前記第1クラッド層が露出する(但し、前記下地が露出しない)深さまでエッチングを行うことにより、第1、第2溝を形成する工程と、(g)該第1、第2溝に絶縁性材料を埋め込むことにより、第1、第2絶縁層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
この発明に係るプレーナ電極型半導体光素子の第4の製造方法は、(a)下地上に、第1クラッド層、光導波層、第2クラッド層および第2コンタクト層を順次堆積することにより、積層を形成する工程と、(b)前記第1コンタクト層の上面に光導波層の形成予定領域を画成して該第1コンタクト層の上面の該予定領域に第1マスクを形成する工程と、(c)該第1マスクを用いて前記積層をエッチングすることにより、前記第1クラッド層を露出させる工程と、(d)前記第1クラッド層の露出面に、該第1クラッド層と同じ導電型の半導体材料を前記光導波層の上面よりも高い位置まで堆積することにより半導体層を形成し、さらに、該半導体層の上面に第1コンタクト層を形成する工程と、(e)前記第1マスクを除去し、前記積層の側面と前記半導体層の側面との境界領域上に第1開口を有し且つ前記第2クラッド層を所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する位置に第2開口を有する第2マスクを形成する工程と、(f)前記第2マスクを用いて、前記第1、第2開口のそれぞれから前記第1クラッド層が露出する(但し、前記下地が露出しない)深さまでエッチングを行うことにより、第1、第2溝を形成する工程と、(g)該第1、第2溝に絶縁性材料を埋め込むことにより、第1、第2絶縁層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
これらの製造方法によれば、先ず、第2クラッド層を含むメサストライプの幅は、第1および第2絶縁層の形成によって決定される。そして、従来のように、メサストライプの両側面を二つのマスクを別々に用いてエッチングを行い露出させる工程は不要であり、メサストライプの両脇を同時にエッチングして絶縁層を埋め込み形成するのでマスク合わせの不整合が生じない。
【0015】
この発明に係るプレーナ電極型半導体光素子の第5の製造方法は、(a)下地上に、第1クラッド層と第1コンタクト層とを順次堆積する工程と、(b)該第1コンタクト層の上面に光導波層の形成予定領域を画成して該予定領域を開口部とする第1マスクを形成する工程と、(c)該第1マスクを用いたエッチングにより、前記開口部から前記第1クラッド層を露出させて、該第1クラッド層に表面段差を形成する工程と、(d)該表面段差の低い側の面上に、光導波層と第2クラッド層と第2コンタクト層とを順次堆積することにより積層を形成する工程と、(e)前記第1マスクを除去し、前記第1および第2コンタクト層の上面の、前記第2クラッド層を所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する位置に第2開口を有する第3マスクを形成する工程と、(f)前記第3マスクを用いて、前記第1クラッド層の厚さ(前記下地の上面および前記光導波層の下面間の厚さ)程度の深さのエッチングを前記第2開口に露出している前記第2コンタクト層の表面から施すことにより、第3溝を形成する工程と、(g)前記第3マスクの、前記積層の側面と前記表面段差の側面との境界領域上に第1開口を設けることにより、第2マスクを形成する工程と、(h)該第2マスクを用いて、前記第1開口から前記第1クラッド層が露出し(但し、前記下地が露出せず)且つ前記第2開口から前記下地が露出するまでエッチングを行うことにより、第1、第2溝を形成する工程と、(i)該第1、第2溝に絶縁性材料を埋め込むことにより、第1、第2絶縁層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
この発明に係るプレーナ電極型半導体光素子の第6の製造方法は、(a)下地上に、第1クラッド層、光導波層、第2クラッド層および第2コンタクト層を順次堆積することにより積層を形成する工程と、(b)前記第1コンタクト層の上面に光導波層の形成予定領域を画成して該第1コンタクト層の上面の該予定領域に第1マスクを形成する工程と、(c)該第1マスクを用いて前記積層をエッチングすることにより、前記第1クラッド層を露出させる工程と、(d)前記第1クラッド層の露出面に、該第1クラッド層と同じ導電型の半導体材料を前記光導波層の上面よりも高い位置まで堆積することにより半導体層を形成し、さらに、該半導体層の上面に第1コンタクト層を形成する工程と、(e)前記第1マスクを除去し、前記第1および第2コンタクト層の上面に、前記第2クラッド層を所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する位置に第2開口を有する第3マスクを形成する工程と、(f)前記第3マスクを用いて、前記第1クラッド層の厚さ(前記下地の上面および前記光導波層の下面間の厚さ)程度の深さのエッチングを前記第2開口に露出している前記第2コンタクト層の表面から施すことにより、第3溝を形成する工程と、(g)前記第3マスクの、前記積層の側面と前記半導体層の側面との境界領域上に第1開口を設けることにより、第2マスクを形成する工程と、(h)該第2マスクを用いて、前記第1開口から前記第1クラッド層が露出し(但し、前記下地が露出せず)且つ前記第2開口から前記下地が露出するまでエッチングを行うことにより、第1、第2溝を形成する工程と、(i)該第1、第2溝に絶縁性材料を埋め込むことにより、第1、第2絶縁層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
上述の製造方法に従えば、効率良く、第2絶縁層と下地が接している場合の構造を作成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明のプレーナ電極型半導体光素子及びその製造方法について説明する。尚、図は、この発明の構成が理解できる程度に形状、大きさおよび配置関係が概略的に示されているに過ぎず、また、以下に記載する条件、材質等は単なる好適例に過ぎないので、この発明はこれらの実施の形態例にのみ何等限定されるものではない。また、以下の図に用いられている数字または記号は、同じ構成要素には同一の数字または記号を付して示してある。
【0019】
<第1の構成例>
先ず、この発明の構造の実施の形態の一例について説明する。図1は、第1の構成例のプレーナ電極型半導体光素子の構造の説明に供する斜視図である。この実施の形態のプレーナ電極型半導体光素子は、第1クラッド層、第2クラッド層、光導波層、第1絶縁層および第2絶縁層を下地の上面に具えている。図1の(A)に示す構成では、下地として半絶縁性を示すFeをドープしたInP基板(Fe−InP基板またはFe−InP半絶縁性半導体基板と称する。)10を用いている。第1クラッド層を、高位側の第1の上面24aおよび低位側の第2の上面24bを有する、いわゆる高低の段差のあるn−InPクラッド層20とし、この低位側の第2の上面24bに光導波層としてアンドープトInGaAsP光導波層(以下、略して、InGaAsP光導波層と称する。)26a、26bが形成されている。そして、このInGaAsP光導波層26a、26bの上面に第2クラッド層としてそれぞれp−InPクラッド層28a、28bが設けられている。また、n−InPクラッド層20およびp−InPクラッド層28a間を電気的に分離するために、第1絶縁層42が設けられている。そして、第1絶縁層42と第2絶縁層44と相俟って少なくともp−InPクラッド層28aのストライプ幅を決めるために、p−InPクラッド層28aおよび28b間の第2絶縁層44は、このクラッド層28aに対し第1絶縁層42とは反対側に第1絶縁層42と対向して設けられている。第1絶縁層42および第2絶縁層44として、この構成例のようにInGaAsP系の半導体光素子ではFe−InP等の高抵抗半導体を用いると、屈折率差が小さくなる。従って、第1絶縁層42および第2絶縁層44としては、ポリイミド等の樹脂材料、または適当な誘電体材料などが好適である。または、これら絶縁層42および44を空気で満たした空隙として構成してもよい。
【0020】
上述のFe−InP基板10の上面側に、前述した各層が設けられている。尚、これらの構成要素は、下地の上面に沿って光導波方向(図中、矢印aで示してある。)となる方向に延在している。また、n−InPクラッド層20の高位側の第1の上面24aにn- −InGaAsPコンタクト層22を形成し、その上にn側電極48を設けている。p−InPクラッド層26a、26bの上面にはそれぞれp+ −InGaAsPコンタクト層30a、30bを形成し、p+ −InGaAsPコンタクト層30bおよび第2絶縁層44の上面、並びに第1絶縁層42の上面にはそれぞれパッシベーション層46aおよび46bが設けられている。第2コンタクト層30aとパッシベーション層46b上にp側電極50が設けられている。この構成例の電極として、n側電極48には、n- −InGaAsPコンタクト層22の表面からAu−Ge−Ni(AuとGeとNiの合金)、Ti−Pt(TiとPtの合金)、Auの三層を順次に積層したものが用いられ、p側電極50には、p+ −InGaAsPコンタクト層30aの表面からAu−Zn(AuとZnの合金)、Ti−Pt、Auの三層を順次に積層したものが用いられる。パッシベーション層46aおよび46bにはSiO2 を用いて絶縁保護層としている。
【0021】
<第1の製造方法>
この図1の(A)の構成例の製造方法(第1の製造方法)について、図6および図7を参照して説明する。先ず、プレーナ電極型半導体光素子の製造に当たり、下地の上側の全面に、この下地とは反対側の面に第1の上面と第1の上面よりも低い第2の上面とを設けた第1クラッド層を形成する工程について説明する。
【0022】
最初に、下地としてFe−InP基板10を用い、このFe−InP基板10の上側の全面に、第1クラッド層(n−InP層)12および第1コンタクト層(n- −InGaAsP層)14を下地側から順次に堆積させる(図6の(A))。この堆積工程には、例えば、MOVPE(有機金属エピタキシャル成長)等の結晶成長法が用いられる。次に、n- −InGaAsP層14の上面に光導波層の形成予定領域18を画成してこの予定領域18を開口部とする第1マスク16を形成する(図6の(B))。先ず、n- −InGaAsP層14の上面にSiO2 を蒸着する。後に形成される光導波層の上側のn- −InGaAsP層14の上面(図6の(B)に示される領域18。)を開口部とするマスクパターンをフォトリソグラフィとエッチングによって形成する。
【0023】
次に、この第1マスク16を用い、n- −InGaAsP層14からn−InP層12のFe−InP基板10に達しない深さまでエッチングを行う(図6の(C))。このエッチング工程には、例えば、Cl2 、Ar+ ガスを使用したドライエッチングが用いられる。また、ウエットエッチングでもよく、エッチャントとして塩酸系または硫酸系のものを用いて行えば良い。このエッチング工程によって、n−InP層12には、n- −InGaAsP層14との境界面である第1の上面24aより低位の第2の上面24bが形成される(図6の(C))。この工程によって成形を受けて、n−InP層12は高低の段差を有するn−InP層20となり、n- −InGaAsP層14はその残存層としてn- −InGaAsP層22となる。
【0024】
この構成例は、下地として半絶縁性を示すFe−InP基板10を用いているのでエッチングの深さはFe−InP基板10に達しない深さとした。下地として、絶縁性の基板、または第1クラッド層と同じ導電型の基板を用いる場合には、このエッチングの深さは基板に達していてもよい。
【0025】
次に、第2の上面24bに光導波層および第2クラッド層を第1クラッド層20側から順次に堆積させる。
【0026】
この例では、第2の上面24bにInGaAsP層(光導波層)26、p−InP層(第2クラッド層)28およびp+ −InGaAsP層(第2コンタクト層)30を第1クラッド層20側から順次に堆積させる(図6の(D))。この結晶成長工程には、MOVPE法等が用いられる。この結晶成長工程は第1マスク16を用いて行われる。また、表面の凹凸を解消するために、p−InP層28の上面はn−InP層20の高位側の上面24aと同じ高さとし、p+ −InGaAsP層30の上面はn- −InGaAsP層22の上面と同じ高さとなるようにするのが良い。
【0027】
次に、第1クラッド層20と第2クラッド層28との間に両者を絶縁するための第1絶縁層を形成する工程、および第1クラッド層20と相俟って第2クラッド層28のストライプ幅を決めるための第2絶縁層を第2クラッド層28の表面から少なくとも光導波層26に達する深さまで形成する工程について説明する。そのために先ず、第1マスク16を除去し、第1および第2コンタクト層22および30の上面に、第1クラッド層20と第2クラッド層28の境界部を含み光導波方向(図7の紙面に垂直な方向。)に平行である第1領域32およびこの第1領域32に平行な第2コンタクト層30の上面の第2領域34が開口部である第2マスク36a、36bおよび36cを形成する(図7の(A))。SiO2 の第1マスクパターン16の除去にはフッ化酸素系のエッチャントが用いられる。第2マスク36a、36bおよび36cは第1マスク16と同様にSiO2 で形成する。第1コンタクト層22の上面に第2マスク36a、第2コンタクト層30の上面に第2マスク36bが形成され、第2マスク36aおよび36b間は光導波方向に一定の幅で離間しており、この帯状(ストライプ状)の離間部分が第1領域32である。また、第2コンタクト層30の上面に第2マスク36bに対して、第2マスク36aとは反対側に第2マスク36cが形成されている。同様に、第2マスク36bおよび36c間は光導波方向に一定の幅で離間しており、この帯状(ストライプ状)の離間部分が第2領域34である。
【0028】
次に、第2マスク36a、36bおよび36cを用いて前記第1および第2領域32および34のそれぞれに、第1および第2コンタクト層22および30の表面から少なくとも光導波層26に達する深さ(但し、Fe−InP基板10に達しない深さとする。)にまでエッチングを施して第1および第2の二つの溝38および40を形成する(図7の(B))。これらの第1溝38および第2溝40を、例えば、臭化水素系のエッチャントを用いたエッチングによって形成する。この例では、このエッチングによって、第1領域32に第1溝38、および第2領域34に第2溝40を同じ深さで形成する。但し、その深さは前述の通りである。また、第2溝40の形成によって、第2クラッド層28、第2コンタクト層30および光導波層26のそれぞれが二つの領域に分断される(これら分断された領域それぞれを第2クラッド層28aおよび28bとし、第2コンタクト層30aおよび30bとし、光導波層26aおよび26bと称する(図7の(B))。)。
【0029】
そして、次に、両溝38および40を絶縁性材料で埋め込んで第1および第2絶縁層42および44を形成する(図7の(C))。この埋め込み工程は、第2マスク36a、36bおよび36cを用いて第1溝38に第1絶縁層42を形成し、第2溝40に第2絶縁層44が形成される。これらの第1および第2絶縁層42および44は、絶縁性材料として高抵抗半導体等を用いる場合にはMOVPE法等によって形成する。また、絶縁性材料としてポリイミド等の樹脂材料を用いる場合には、液体状態の材料を用いてスピンコーティング法等によって形成する。
【0030】
最後に、パッシベーション層(SiO2 層)と電極が形成される(図7の(D))。パッシベーション層46aは第1絶縁層42の上面に形成され、およびパッシベーション層46bは第2絶縁層44の上面と第2コンタクト層30bの上面に形成される。そして、第1コンタクト層22の上面に第1電極48が形成され、第2コンタクト層30aおよびパッシベーション層46bの上面に第2電極50が形成される。パッシベーション層46bは、第2電極50および第2コンタクト層30b間を電気的に分離している。この後は、基板裏面のエッチング、劈開、端面のコーティングを施してチップを形成する。
【0031】
上述した製造工程において、特に、基板からの不純物が上側の各層に拡散して導電型に影響を与える場合がある。この不純物拡散を防止するための中間層を、基板10および第1クラッド層20間に挿入してもよい。また、基板裏面に金属を蒸着し、この金属面をボンディング面として用いることもできる。
【0032】
<第2の構成例>
図1の(B)は、この発明の光素子の別の構成例(第2の構成例)の構造を示す斜視図である。この構成例において図1の(A)に示した構成例との相違は、第1クラッド層が二つの層から構成されている点である。Fe−InP基板10の上面側の全面に設けられているのがn−InPクラッド層20である。このn−InPクラッド層20、第1絶縁層42およびn- −InGaAsPコンタクト層22に接して囲まれて設けられているのが半導体層56である。この半導体層56は第1クラッド層20と同じ導電型の半導体層であり、例えば、第1クラッド層と同じn−InPを用いてもよい。
【0033】
このように、第1クラッド層が二層になることにより次に説明するように図1の(A)の構成例と製造工程に違いが生じる。
【0034】
<第2の製造方法>
この図1の(B)の構成例の製造工程(第2の製造方法)について、図8および図9を参照して説明する。先ず、この製造工程においては、下地の上側の全面に、第1クラッド層、光導波層および第2クラッド層を下地側から順次に堆積させる。
【0035】
下地としてFe−InP基板10を用い、この基板の上側の全面に、n−InP層(第1クラッド層)12、InGaAsP層(光導波層)52、p−InP層(第2クラッド層)54およびp+ −InGaAsP層(第2コンタクト層)68を基板側から順次に堆積させる(図8の(A))。
【0036】
次の工程で、光導波層52の上面よりも低い位置で第1クラッド層20の上面が露出面となるように形成する。そのため、n−InP層12の上面に形成すべき光導波層52の予定領域18を定めてこのn−InP層12の上面の予定領域18に対応する領域を覆う第1マスク16を形成する(図8の(B))。
【0037】
続いて、第1マスク16を用いてp+ −InGaAsP層68の表面から少なくともn−InP層12に達する深さ(但し、基板10に達しない深さとする。)にまでエッチングを施す(図8の(C))。
【0038】
上述の工程によって、n−InP層12の残存部分が第1クラッド層20となり、InGaAsP層52の残存部が光導波層26となり、p−InP層54の残存部が第2クラッド層28となり、p+ −InGaAsP層68の残存部分が第2コンタクト層30となる。そして、第1クラッド層20の露出面24が、光導波層26の上面より低い位置に形成される。
【0039】
次に、第1クラッド層20の露出面24に、表面が少なくとも光導波層26の上面より高位置にある第1クラッド層20と同じ導電型の半導体層56を形成する(図8の(D))。この図示例では、半導体層56の表面と第2クラッド層28の表面とを同じ高さにしてある。また、半導体層56の上面には第1クラッド層20と同じ導電型の第1コンタクト層(n- −InGaAsP層)22が形成される。
【0040】
次に、半導体層56と第2クラッド層28との間に両者を絶縁するための第1絶縁層を形成し、および第1クラッド層20と相俟って第2クラッド層28のストライプ幅を決めるための第2絶縁層を第2クラッド層28の表面から少なくとも光導波層26に達する深さまで形成する(図9の(A)〜(C))。
【0041】
そのため、先ず、第1マスク16を除去し、第1および第2コンタクト層22および30の上面に第2マスク36a、36bおよび36cを形成する。この第2マスクは、半導体層56および第2クラッド層28間の境界すなわち接続部を含み光導波方向(図9の紙面に垂直な方向。)に同一の幅で帯状(ストライプ状)に延在する第1領域32およびこの第1領域32に平行であって同一の幅で帯状(ストライプ状)に延在する第2領域34のそれぞれがを開口部として具えている(図9の(A))。
【0042】
第2マスク36a、36bおよび36cを用いて第1および第2領域32および34のそれぞれに露出している部分に対しエッチングを行い、このエッチングを第1および第2コンタクト層22および30の表面から少なくとも光導波層26に達する深さ(但し、基板10に達しない深さとする。)まで行って二つの第1および第2溝38および40を形成する(図9の(B))。
【0043】
これら両溝38および40を絶縁性材料で埋め込み、第1および第2絶縁層42および44を形成する(図9の(C))。
【0044】
最後に、第1の製造方法と同様に、第2マスク36a、36bおよび36cを除去して、パッシベーション層46aおよび46bおよび電極48および50を設ける(図9の(D))。
【0045】
上述の図1の(A)および(B)に示した第1および第2の構成例は、従来の構造で問題であったクラッド層を介する寄生容量が小さい。近来の高速動作を行うシステムに用いる半導体素子としては寄生容量が低減されていることが必要である。従来のプレーナ電極型半導体光素子の寄生容量を評価するために、従来のプレーナ電極型半導体光素子の構造として次のモデルを仮定する。InGaAsP光導波層は、その上面および下面の全面に設けられたInP高抵抗層で上下を挟まれ、このInP/InGaAsP/InP積層体の両側面がn−InPクラッド層およびp−InPクラッド層で挟まれた構造である。二つの各々の高抵抗層の幅W(両クラッド層間の間隔長)を1μmとし、光導波方向の長さLを350μm、膜厚d1 を1μmとすれば、クラッド層を介した容量C1 は、次式で表される。
【0046】
C1 =2ε0 εS Ld1 /W=0.112≒0.1(pF)
ここで、ε0 は真空誘電率であり、8.854×1012(F/m)とし、εS はInP高抵抗層の比誘電率であり、これを12とした。一方、光導波層の容量C2 は、比誘電率εS がクラッド層と同一であるとし、膜厚d2 を0.2μmとすることにより、
C2 =ε0 εS Ld2 /W=0.0074(pF)
と計算される。C2 と比べるとC1 は無視できない容量であることが理解される。このように、従来のプレーナ電極型半導体光素子の両クラッド層間には、光導波層のサイズに依存する層が挿入されてしまう構造であり、この層に起因する寄生容量が問題であった。
【0047】
これに対して、この第1および第2の構成例に示したように、この発明のプレーナ電極型半導体光素子の構造は、両クラッド層(n−InP層20、p−InP層28)間が絶縁層(第1絶縁層42)によって絶縁されている構造である。よって、クラッド層間に発生する寄生容量は光導波層26aのサイズには関係なく絶縁層のサイズおよび誘電率に依存する。容量を低減させるためにはこの幅が大きいことが望ましいが、第1絶縁層42の下側の第1クラッド層20部分が増大してしまうことによりこの部分の抵抗が増大してしまう。この構成例の第1絶縁層42の幅(両クラッド層間の間隔長)は10μm程度としている。
【0048】
また、この構成例を発光素子として用いるときには、光導波層に順方向のバイアス電圧を印加して電流を注入するが、この漏れ電流が非常に小さい構造である。従って、レーザ特性は向上する。また、この構成例を光変調器として用いるときには、光導波層に逆方向のバイアス電圧を印加して電界を形成するが、光導波層に均一に電圧を印加できるので、この電界の強度を大きくできる。
【0049】
上述に示した構造にしたことにより、この構造の製造方法に当たっては、従来のように光導波層を含むメサストライプの両側面を別々のエッチング工程によって行うことを必要としない。従って、エッチングに用いる二つのマスクの軸合わせを行う必要がなくメサストライプの幅を光導波方向に沿って一定にできる。よって、製造工程の簡略化、特性の均一化および歩留の向上が実現される。また、前述した第1の製造方法と第2の製造方法とを比べた場合、第1の製造方法の方が結晶成長による熱処理工程が1回少ないので光導波層への不純物の拡散が少ない。
【0050】
図2は、第1および第2の構成例の変形例の構造を示す斜視図である。図1の(A)の変形例が図2の(A)の構成例であり、図1の(B)の変形例が図2の(B)の構成例である。図2に示されるように、この例では、第2絶縁層44はInGaAsP光導波層26に接しているが二つの領域に分断していない。このように、第2絶縁層44は少なくともInGaAsP光導波層26に接していればよい。また、第1絶縁層42は、n−InPクラッド層20およびp−InPクラッド層28a間を電気的に分離し、n- −InGaAsPコンタクト層22およびp+ −InGaAsPコンタクト層30a間を電気的に分離していればよい。この変形例は第1の構成例と同様の効果を奏する。尚、この第1の構成例の変形例は、第1の製造方法を用いて作成できる。
【0051】
<第3および第4の構成例>
図3は、この発明の光素子の第3および第4の構成例の構造を示す斜視図である。尚、第1および第2の構成例との相違のみを説明する。図3の(A)が第3の構成例を示しおよび図3の(B)が第4の構成例を示しており、図1の(A)および(B)にそれぞれ対応されて示されている。図3の各図に示されるように、第1および第2の構成例との相違は、第2絶縁層44が第1絶縁層42よりも深く形成されていることであり下地であるFe−InP基板10に接して設けられている(但し、第1絶縁層42は基板10に接していない。)。この第3および第4の構成例は、第2絶縁層44がFe−InP基板10に接し、n−InPクラッド層20を分断する構成である(分断されたn−InP層(第1クラッド層)に20a、20bの記号を付して称する。)。この構成によって、第1クラッド層20aおよび20b間は電気的に分離されている。よって、第1クラッド層20bおよび第2電極間50間に形成されていた寄生容量を消去できる。
【0052】
<第3の製造方法>
この第4の構成例(図3の(B)の構成例)の製造工程(第3の製造方法)について図10および図11を参照して説明する。また、半導体層56および第1コンタクト層22を第1クラッド層20の露出面に堆積させるまでの工程は、第2の製造方法の工程(a)〜(d)(図8の(A)〜(D))と同様であるので重複説明を避けるためその説明を省略する。従って、先ず、第1マスク16を除去し、第1および第2コンタクト層22および30の上面に、半導体層56および第2クラッド層28間の接続部を含み光導波方向(図10の紙面に垂直な方向。)に平行である第1領域32および第1領域32に平行な第2コンタクト層30の上面の第2領域34が開口部である第2マスク36a、36bおよび36cを形成する工程について説明する。
【0053】
最初に、第1マスク16を除去して、第1または第2コンタクト層22および30の上面に、第2領域32が開口部である第3マスク58aおよび58bを形成する(図10の(A))。第3マスク58aは第1コンタクト層22および第2コンタクト層30の上面に形成しており、第2コンタクト層30の上面にはこのマスク58aとは第2領域32である開口部を隔てて第3マスク58bが形成される。
【0054】
次に、第3マスク58aおよび58bを用いて、第1クラッド層20の厚さ(基板10の上面および光導波層26の下面間の厚さ)程度の深さのエッチングを開口部32に露出している第2コンタクト層30の表面から施して第3溝60を形成する(図10の(B))。このエッチングによって、第2コンタクト層30が二つの領域に分断されて第2コンタクト層30aおよび30bが形成されている。
【0055】
次に、第3マスク58aおよび58bの第1領域32に開口部を設けて第2マスク36a、36bおよび36cを形成する(図10の(C))。ここでは、フォトリソグラフィおよびエッチンングを用いて第1領域32に開口部を形成する。
【0056】
以下の工程は、第2の製造方法の工程(図9の(B)、(C)および(D)に示した工程)と同様にして行われる。但し、エッチングの深さに注意する。
【0057】
先ず、第2マスク36a、36bおよび36cを用いて第1および第2領域32および34の両者にエッチングを施す。この場合、第1領域の開口部32では第1コンタクト層22の表面からエッチングが開始し、第2領域の開口部34では第3溝60の表面からエッチングを開始する。このエッチングにより、第1領域32に形成される第1溝38の深さを第1コンタクト層22の表面から少なくとも光導波層26に達する深さ(但し、基板10に達しない深さとする。)とし、第2領域34に形成される第2溝40の深さを第2コンタクト層30aおよび30bの表面から少なくとも基板10に達する深さとして第1および第2溝38および40を形成することができる(図11の(A))。このように、第1溝38は基板10に達しない深さに形成され、第2溝40は基板10に達するように形成される。
【0058】
次に、これら第1および第2溝38および40に絶縁性材料を埋め込んで、第1および第2絶縁層42および44を形成し(図11の(B))、第2マスク36a、36bおよび36cを除去してパッシベーション層46aおよび46bと、電極48および50とを形成する(図11の(C))。
【0059】
以上、説明した通り、この第3の製造方法は、予め、第2領域34に小さな第3溝60を形成しておき、次に、第1および第2領域に同時にエッチングを施して深さの異なる第1および第2溝38および40を形成し、これら溝に同時に絶縁材料を埋め込んで第1および第2絶縁層42および44を形成できる。尚、図3の(A)の構成例の製造工程については、第1の製造方法および第3の製造方法から容易に理解できるので省略する。
【0060】
上述した第3および第4の構成例によれば次のような効果が得られる。第1および第2の構成例(図1の(A)および(B))においては、両クラッド層間の寄生容量を低減することに成功したが、第2絶縁層44の光導波層26aとは反対側の側面に設けられている光導波層26b、第2クラッド層28bおよびp+ −InGaAsP層30bを介する容量が形成されていた。これに対し図3の(A)および(B)に示した第3および第4の構成例では、第2絶縁層44を基板10に接して設けることにより第1クラッド層20を第1クラッド層20aおよび20bの二領域に分断し、光導波層26bに接する第1クラッド層20bを第1電極から絶縁して容量が形成されないようにした。従って、この構成によって電極間の容量を非常に小さくすることが可能である。
【0061】
<第5および第6の構成例>
図4は、この発明の光素子の第5および第6の構成例の構造を示す斜視図である。尚、第1、第3および第4の構成例との相違のみを説明する。図4の(A)、(B)がそれぞれ図1の(A)、(B)または図3の(A)、(B)に対応されて示されている。この第5および第6の構成例も第3および第4の構成例と同様に第2絶縁層44がFe−InP基板10に接している構成である。しかし、この場合には、第1絶縁層42と第2絶縁層44は同じ深さに形成されており、Fe−InP基板10の第2絶縁層44の下側に帯状(ストライプ状)の凸状部(突条部)62を設けることによってこれら第2絶縁層44および基板10の凸状部62とを接合している。第3構成例〜第6構成例は共に、第2絶縁層44がFe−InP基板10に接し、n−InPクラッド層20を分断する構成である(分断されたn−InPクラッド層に20aおよび20bの記号を付して称する。)。前述したように、これらの構成によれば、第1および第2の構成例に比べて電極間容量が減少する。
【0062】
<第4の製造方法>
次に、図4の(B)の第6の構成例の構造の製造工程(第4の製造方法)について、図12および図13を参照して説明する。先ず、下地であるFe−InP基板10の上面にエッチングによって光導波方向(図12の紙面に垂直な方向。)に平行な凸状部62を形成する(図12の(A))。後の工程は、第2の製造方法と同様にして行えばよい(図12の(B)〜(D)および図13の(A)〜(E))。但し、n−InP層12はその表面が平坦となるように形成し、さらに、第2の製造方法の工程においてエッチングによって形成される第1および第2溝38および40の深さに注意する(図13の(C))。第1の溝38は基板10に達しない深さとし、第2の溝40は基板10の凸状部62に接する深さとなるように形成する。この第4の製造方法によれば、第1および第2溝38および40の深さは両者共に等しい深さであるが、予め、基板10に凸状部62を形成しておくことによって、第1溝38は基板10に達しないが第2溝40がこの基板10の凸状部62に達する。
【0063】
この第5および第6の構成例の構造からは、第3および第4の構成例と同様の効果がもたらされる。製造工程においては、第1絶縁層42および第2絶縁層44の両者の深さが同じであるので、これらを形成するためのエッチング工程が簡単になる。従って、第4の製造方法によれば、製造工程プロセスの安定度の向上が図れる。
【0064】
<第7および第8の構成例>
図5の(A)および(B)は、この発明の光素子の第7および第8の構成例の構造をそれぞれ示す斜視図である。第7および第8の構成例は、光導波方向に集積化を行う場合の構成例である。同一基板上に光導波方向に複数段の半導体光素子を集積する例として、例えば、発振周波数を可変にするために活性領域に位相調整領域やDBR領域(分布反射器)を付加する例がある。また、DFBレーザ(分布帰還型レーザ)のように電流注入を多電極構造にして行う例のように、複数の電極を有する場合もある。集積化の光素子の組合せ例として、光変調器/半導体レーザ、導波路型フォトダイオード/光変調器、半導体レーザ/過飽和吸収器、半導体レーザ/光変調器/過飽和吸収器、半導体レーザ/光増幅器、波長変換器/光変調器、半導体レーザ/導波路型フォトダイオード等(組合せの様子を/で表した。)の各例がある。また、光導波方向だけでなくアレイ状に集積化される例もある。さらに、曲がり導波路、テーパ導波路、光結合器などを用いて集積化を行う例もある。これらの構成例を多電極素子と呼ぶこともある。
【0065】
これらの多電極素子においては、上述した第4〜第6の構成例で示した絶縁層は、電極間の寄生容量の低減の目的のみならず、積極的に所望の電極間を絶縁する目的で用いられている。第7の構成例は、第3および第4の構成例を光素子の集積化に応用した例である。また、第8の構成例は、第5および第6の構成例を光素子の集積化に応用した例である。
【0066】
図5の各構成例は共に光導波方向に垂直な方向であって下地面と平行な方向に基板10と接して第3絶縁層64を設けてある。この第3絶縁層64は第2絶縁層44とつながっており、第2絶縁層44と同じ材料で形成してある。この第3絶縁層64によって、p側電極側の各層20b、26b、28b、30bおよび46bを電気的に二つの領域に分離している。従って、第3絶縁層64を挟んだ第2電極50および第3電極66間は、電気的に分離している。
【0067】
第7の構成例(図5の(A))は、第1絶縁層42に比べて第2および第3絶縁層44および64が深く形成されており、これら第2および第3絶縁層44および64が基板10と接している構成である。
【0068】
また、第8の構成例(図5の(B))は、基板10の上面に帯状すなわちストライプ状の凸状部(突条部)62aおよび62bがT字形状に交差して形成されており、これらの凸状部62aおよび62bが第2および第3絶縁層44および64に接している構成である。
【0069】
<第5の製造方法>
これら第7の構成例の製造工程(第5の製造方法)について説明する。先ず、図5の(A)の構成例の製造工程について図14および図15の斜視図を参照して説明する。この製造工程は第2の製造方法の技術を用いて行われる。また、第3の製造工程に類似する工程もあるので図10および図11を、図14および図15の光導波方向(図14の(A)に示した矢印aの方向。)に垂直な方向に切って取って示した断面図(図14の(A)の露出面。)として比較参照して用いる。尚、半導体層56および第1コンタクト層22を第1クラッド層20の露出面に堆積させるまでの工程は、第2の製造方法につき説明した図8の(A)〜(D)の工程と同様であるので省略する。また、この構成例の光導波層は、前述と同様にInGaAsP層としている。製造工程の内、光導波層の結晶成長過程においては、その光導波層が属する素子の機能に合わせてバンドギャップ波長(従って、InGaAsPの組成)を変えた層をそれぞれの素子部に形成している。
【0070】
先ず、第1マスク16を除去し、第1および第2コンタクト層22および30の上面に、半導体層56および第2クラッド層28間の接続部を含み光導波方向に平行である第1領域32および第1領域32に平行な第2コンタクト層30の上面の第2領域34が開口部である第2マスク36a、36b、36cおよび36dを形成する工程について説明する。第2の製造方法の図8の(D)で説明した工程に続けて以下の工程が行われる。
【0071】
最初に、第1マスク16を除去し、第2領域32を開口部とする第3マスク58a、58bおよび58cを第1および第2コンタクト層22および30の上面に形成する(図10の(A)の断面図および図14の(A)の斜視図)。この段階においては、第3マスク58の第2領域34が第2コンタクト層30の上面において光導波方向に延在する部分と、この部分と直交しかつこの部分の中途からの分岐した部分とでT字形状として設けられている(図14の(A))。
【0072】
次に、この第3マスク58a、58bおよび58cを用いて、第2コンタクト層30の第2領域34に露出している面にエッチングを施し第3溝60を形成する(図10の(B)の断面図および図14の(B)の斜視図)。第3溝60の深さについては第3の製造方法の工程において既に説明した通りである。
【0073】
次に、第3マスク58aの第1領域32にエッチングによって開口を設け、第3マスク58aを二分して第2マスク36aおよび36bが形成される(図15の(A))。第3マスク58bおよび58dは第2マスク36cおよび36dと称する。
【0074】
次に、第2マスク36a〜36dを用いて、エッチングを行い、第1溝38および第2溝40aおよび40bが形成される(図15の(B))。このエッチングの深さは第1溝38は基板に接しないが、第2溝40aおよび40bは基板10に達する深さとする。第2溝40aは第1溝38に平行に形成されており、第2溝40bは第2溝40aに直交してこれとつながって設けられている。
【0075】
次に、第2溝40bを第2溝40a側に延在して交わる部分の第2マスク36bをエッチングによって除去し、第2マスク36bを二分する分離領域72を設ける(図16の(A))。第2マスク36bは二分されて第2マスク36bおよび36eとなる。
【0076】
次に、分離領域72にエッチングを施し、第4溝70を形成する(図16の(B))。第4溝70によって、第1コンタクト層30aおよび第2クラッド層28aは分離領域72で分離される。
【0077】
次に、第1溝38、第2溝40aおよび40b、第4溝70に絶縁性材料を成長させて第1、第2および第3絶縁層42、44および64をそれぞれ形成する(図17の(A))。
【0078】
そして、第2マスク36a〜36eを取り除き、パッシベーション層46aおよび46bを形成し、第1、第2および第3電極48、50および66を形成する(図17の(B))。
【0079】
<第6の製造方法>
また、第8の構成例の作成に当たっては、予め基板10の上面にエッチングを施して凸状部62aおよび62bを形成する(図18)。以下の工程は、第4の製造方法および第5の製造方法を利用して第8の構成例の構造が作成されることが理解される。
【0080】
この第7および第8の構成例によれば、複数の電極間の電気的な絶縁特性が向上する。従って、異なる機能の光素子同士を集積化する際の電気的なクロストークをなくすことができる。この集積化技術を応用して数十[Gbps]以上の超高速光通信システムを向上させることが可能である。
【0081】
以上説明してきた実施の形態では、InGaAsP系の半導体光素子について説明したが、これらの実施の形態は、これらの材料に限定されるものではない。また、結晶の面方位にも限定されない。光導波層としてInGaAsPを用いたが、他の物質を用いても、別の構造としてもよく、例えば、光導波層として多重量子井戸構造を用いることも可能である。また、光導波層の近傍にグレーティング構造を付加することによって、シングルモード発振させたり、波長フィルタや結合導波路を付加して用いることもできることは言うまでもない。また、この実施の形態の製造工程においては、特にマスクとしてSiO2 を挙げたが、例えば、SiOx (xは任意の整数)やSiNなどの誘電体を用いてもよい。また、基板10の上面に中間層としてInGaAsPなどのInPとエッチングレート差が大きい層を、エッチングストップ層として形成しておくことも可能である。
【0082】
以上説明した通り、これらの実施の形態の構造によれば、先ず、寄生容量や電極容量が低減されるといった効果がもたらされる。また、漏れ電流の低減と印加電界強度の増大といった効果ももたらされる。これらに加えて、二つの電極が同一平面上にあるので、これらの電極面を熱伝導率の優れたサブキャリア(ヒートシンクともいう。)面に接してボンディングし、放熱特性を高めることができる。従って、放熱性の向上により、光導波層にキャリアが注入されたり掃出されたりする時間の熱による劣化が低減される。さらに、このマウント法によれば電極にワイヤを張る必要がなくなるので、ワイヤによるインダクタンスが無い。よって、高周波動作が可能である。また、この構成例においては、基板が発振光に対して透明であるので、このマウント法によって基板側から光導波層を観察することができ、導波路内の欠陥個所を光の散乱や反射から特定できる。
【0083】
これらの実施の形態の製造方法によれば、従来のようなマスク合わせが不要であり、メサストライプの幅は光導波方向に沿って一定に形成できる。この結果、製造工程の簡略化や特性の均一化、および歩留の向上が実現される。
【0084】
【発明の効果】
以上、説明した通り、この発明のプレーナ電極型半導体光素子によれば、メサストライプの両脇には第1および第2絶縁層が設けられ、これらの絶縁層によって、ストライプ幅が決定されている。これらの第1および第2絶縁層は、製造過程において同時に形成されるので、マスク合わせの不整合が起きず、光導波方向に沿ってストライプ幅を一定にすることができる。
【0085】
また、この発明の構造によれば両クラッド層を介した電気容量が光導波層のサイズに依存しないので制御することが可能である。第1絶縁層を介する両クラッド層間の間隔長は広く取ることができるので第1および第2クラッド層間に形成される寄生容量は低減する。また、第1絶縁層のサイズとは別に両クラッド層間の光導波層の間隔を電子−正孔拡散長より十分小さくすることができるのでキャリアの注入効率が増加する。そして、この光導波層に電界を印加するときには、その電界強度は光導波層の膜厚に反比例するので印加電界を大きく取ることができるといった効果を奏する。
【0086】
また、この発明のプレーナ電極型半導体光素子の製造方法によれば、この構造を形成するのに好適な方法であり、従来の製造工程に比べて簡略になるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1および第2の構成例の構造を示す図である。
【図2】第1および第2の構成例の変形例の構造を示す図である。
【図3】第3および第4の構成例の構造を示す図である。
【図4】第5および第6の構成例の構造を示す図である。
【図5】第7および第8の構成例の構造を示す図である。
【図6】第1の製造方法の説明に供する図(その1)である。
【図7】第1の製造方法の説明に供する図(その2)である。
【図8】第2の製造方法の説明に供する図(その1)である。
【図9】第2の製造方法の説明に供する図(その2)である。
【図10】第3の製造方法の説明に供する図(その1)である。
【図11】第3の製造方法の説明に供する図(その2)である。
【図12】第4の製造方法の説明に供する図(その1)である。
【図13】第4の製造方法の説明に供する図(その2)である。
【図14】第5の製造方法の説明に供する図(その1)である。
【図15】第5の製造方法の説明に供する図(その2)である。
【図16】第5の製造方法の説明に供する図(その3)である。
【図17】第5の製造方法の説明に供する図(その4)である。
【図18】第6の製造方法の説明に供する図である。
【符号の説明】
10:Fe−InP基板
12、20、20a〜20b:n−InP層
14、22:n- −InGaAsP層
16:第1マスク
18:予定領域
24:露出面
24a:第1の上面
24b:第2の上面
26、26a、26b、52:InGaAsP層(光導波層)
28、28a、28b、54:p−InP層
30、30a、30b、68:p+ −InGaAsP層
32:第1領域(開口部)
34:第2領域(開口部)
36a〜36e:第2マスク
38:第1溝
40、40a、40b:第2溝
42:第1絶縁層
44:第2絶縁層
46a、46b:パッシベーション層
48:第1電極(n側電極)
50:第2電極(p側電極)
56:半導体層
58a〜58c:第3マスク
60:第3溝
62、62a、62b:凸状部
64:第3絶縁層
66:第3電極
70:第4溝
72:分離領域
Claims (10)
- 下地上に形成され、表面段差が設けられた第1クラッド層と、
該表面段差の低い側の面上に順次形成された光導波層と第2クラッド層とを含む積層と、
該積層の側面と前記表面段差の側面との境界領域に形成された、溝状の第1絶縁層と、
前記第2クラッド層を前記第1絶縁層に接する所定幅のメサストライプと他の領域とに分断するために前記積層内に設けられた、溝状の第2絶縁層と、
前記第1クラッド層に設けられた前記表面段差の高い側の面上に、該第1クラッド層と導通するように形成された第1電極と、
前記第2クラッド層の表面上に、前記第2クラッド層と導通し且つ前記第1電極と離間して形成された第2電極と、
を備えることを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子。 - 請求項1に記載のプレーナ電極型半導体光素子において、前記第2絶縁層は前記下地に接して設けられていることを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子。
- 請求項2に記載のプレーナ電極型半導体光素子において、前記他の領域の前記積層および前記第2電極を、前記第2絶縁層の延伸方向と直交する方向に電気的に分断するために、当該第2電極から前記下地にわたって形成された第3絶縁層を、少なくとも1個備えることを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子。
- (a)下地上に、表面段差を有する第1クラッド層を形成する工程と、
(b)該表面段差の低い側の面上に、光導波層と第2クラッド層とを順次堆積することにより、積層を形成する工程と、
(c)該積層の側面と前記表面段差の側面との境界領域に、溝状の第1絶縁層を形成する工程と、
(d)前記積層内に溝状の第2絶縁層を形成することにより、前記第2クラッド層を、前記第1絶縁層に接する所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する工程と、
を含むことを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子の製造方法。 - (a)下地上に、第1クラッド層と光導波層と第2クラッド層とを順次堆積することにより、積層を形成する工程と、
(b)該積層の一部領域をエッチングすることにより、前記第1クラッド層を露出させる工程と、
(c)前記第1クラッド層の露出面上に、該第1クラッド層と同じ導電型の半導体材料を用いて、前記光導波層の上面より高い位置まで半導体層を形成する工程と、
(d)該半導体層の側面と前記第2クラッド層の側面との境界に、溝状の第1絶縁層を形成する工程と、
(e)前記第2クラッド層を前記第1絶縁層に接する所定幅のメサストライプと他の領域とに分断するために、前記積層内に溝状の第2絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子の製造方法。 - (a)下地上に、第1クラッド層と第1コンタクト層とを順次堆積する工程と、
(b)該第1コンタクト層の上面に光導波層の形成予定領域を画成して該予定領域を開口部とする第1マスクを形成する工程と、
(c)該第1マスクを用いたエッチングにより、前記開口部から前記第1クラッド層を露出させて、該第1クラッド層に表面段差を形成する工程と、
(d)該表面段差の低い側の面上に、光導波層と第2クラッド層と第2コンタクト層とを順次堆積することにより積層を形成する工程と、
(e)前記第1マスクを除去し、前記積層の側面と前記表面段差の側面との境界領域上に第1開口を有し且つ前記第2クラッド層を所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する位置に第2開口を有する第2マスクを形成する工程と、
(f)前記第2マスクを用いて、前記第1、第2開口のそれぞれから前記第1クラッド 層が露出する(但し、前記下地が露出しない)深さまでエッチングを行うことにより、第1、第2溝を形成する工程と、
(g)該第1、第2溝に絶縁性材料を埋め込むことにより、第1、第2絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子の製造方法。 - (a)下地上に、第1クラッド層、光導波層、第2クラッド層および第2コンタクト層を順次堆積することにより、積層を形成する工程と、
(b)前記第1コンタクト層の上面に光導波層の形成予定領域を画成して該第1コンタクト層の上面の該予定領域に第1マスクを形成する工程と、
(c)該第1マスクを用いて前記積層をエッチングすることにより、前記第1クラッド層を露出させる工程と、
(d)前記第1クラッド層の露出面に、該第1クラッド層と同じ導電型の半導体材料を前記光導波層の上面よりも高い位置まで堆積することにより半導体層を形成し、さらに、該半導体層の上面に第1コンタクト層を形成する工程と、
(e)前記第1マスクを除去し、前記積層の側面と前記半導体層の側面との境界領域上に第1開口を有し且つ前記第2クラッド層を所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する位置に第2開口を有する第2マスクを形成する工程と、
(f)前記第2マスクを用いて、前記第1、第2開口のそれぞれから前記第1クラッド層が露出する(但し、前記下地が露出しない)深さまでエッチングを行うことにより、第1、第2溝を形成する工程と、
(g)該第1、第2溝に絶縁性材料を埋め込むことにより、第1、第2絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子の製造方法。 - 請求項6または7に記載のプレーナ電極型半導体光素子の製造方法において、前記工程(a)の前工程として、前記下地の上面にエッチングによって光導波方向に平行な帯状の凸状部を形成する工程を追加し、前記工程(f)に行うエッチンングは、該下地の凸状部に達する深さまで行うことを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子の製造方法。
- (a)下地上に、第1クラッド層と第1コンタクト層とを順次堆積する工程と、
(b)該第1コンタクト層の上面に光導波層の形成予定領域を画成して該予定領域を開口部とする第1マスクを形成する工程と、
(c)該第1マスクを用いたエッチングにより、前記開口部から前記第1クラッド層を露出させて、該第1クラッド層に表面段差を形成する工程と、
(d)該表面段差の低い側の面上に、光導波層と第2クラッド層と第2コンタクト層とを順次堆積することにより積層を形成する工程と、
(e)前記第1マスクを除去し、前記第1および第2コンタクト層の上面の、前記第2クラッド層を所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する位置に第2開口を有する第3マスクを形成する工程と、
(f)前記第3マスクを用いて、前記第1クラッド層の厚さ(前記下地の上面および前記光導波層の下面間の厚さ)程度の深さのエッチングを前記第2開口に露出している前記第2コンタクト層の表面から施すことにより、第3溝を形成する工程と、
(g)前記第3マスクの、前記積層の側面と前記表面段差の側面との境界領域上に第1開口を設けることにより、第2マスクを形成する工程と、
(h)該第2マスクを用いて、前記第1開口から前記第1クラッド層が露出し(但し、前記下地が露出せず)且つ前記第2開口から前記下地が露出するまでエッチングを行うことにより、第1、第2溝を形成する工程と、
(i)該第1、第2溝に絶縁性材料を埋め込むことにより、第1、第2絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子の製造方法。 - (a)下地上に、第1クラッド層、光導波層、第2クラッド層および第2コンタクト層を順次堆積することにより積層を形成する工程と、
(b)前記第1コンタクト層の上面に光導波層の形成予定領域を画成して該第1コンタクト層の上面の該予定領域に第1マスクを形成する工程と、
(c)該第1マスクを用いて前記積層をエッチングすることにより、前記第1クラッド層を露出させる工程と、
(d)前記第1クラッド層の露出面に、該第1クラッド層と同じ導電型の半導体材料を前記光導波層の上面よりも高い位置まで堆積することにより半導体層を形成し、さらに、該半導体層の上面に第1コンタクト層を形成する工程と、
(e)前記第1マスクを除去し、前記第1および第2コンタクト層の上面に、前記第2クラッド層を所定幅のメサストライプと他の領域とに分断する位置に第2開口を有する第3マスクを形成する工程と、
(f)前記第3マスクを用いて、前記第1クラッド層の厚さ(前記下地の上面および前記光導波層の下面間の厚さ)程度の深さのエッチングを前記第2開口に露出している前記第2コンタクト層の表面から施すことにより、第3溝を形成する工程と、
(g)前記第3マスクの、前記積層の側面と前記半導体層の側面との境界領域上に第1開口を設けることにより、第2マスクを形成する工程と、
(h)該第2マスクを用いて、前記第1開口から前記第1クラッド層が露出し(但し、前記下地が露出せず)且つ前記第2開口から前記下地が露出するまでエッチングを行うことにより、第1、第2溝を形成する工程と、
(i)該第1、第2溝に絶縁性材料を埋め込むことにより、第1、第2絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするプレーナ電極型半導体光素子の製造方法。
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