JP3695725B2 - バッテリ及びそれを用いる電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポータブル化(コードレス化)された電子機器に用いられるバッテリを利用する技術に関し、特にはバッテリに蓄えられる静電気に対応するための技術に関する。
なお、ここで言う「バッテリ」とは、いわゆる素電池のみからなる狭義のバッテリだけを意味するのではなく、ケース内に1つ以上の素電池を収納してなる「バッテリパック」をも含む広い意味でのバッテリである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器においては、電子技術の進歩に支えられたこともあって、ポータブル化(コードレス化)が急速に進んでいる。ポータブル化された電子機器(以降、ポータブル電子機器という)の電源として用いられるバッテリ(電池)においても、電池技術の進歩によって小型・軽量・高容量化が進んでいる。その電池技術の進歩は、電子機器のポータブル化(コードレス化)を更に促進させる要因ともなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
異なる物が接触等すると、それらの間で電荷が移動して静電気が発生することが知られている。その静電気は、電子機器に侵入した場合、その電子機器に悪影響を与える。このため、電子機器は、静電気によって悪影響を受けないような対策を施して設計されている。
【0004】
上記ポータブル電子機器に使用されるバッテリにおいても、その内部に静電気が蓄えられる。バッテリ内に蓄えられた静電気は、それが装着される電子機器のバッテリ接続用の端子から電子回路内に侵入し、素子や回路の動作等に悪影響を及ぼすという問題点を発生させていた。
【0005】
ポータブル電子機器は、普通、現在の設定状態を示す情報やユーザが入力したデータ等を格納させるメモリ(DRAM等)に常に電流を供給する機能(サスペンド機能)を備え、そのサスペンド機能により、ユーザによる電源のオン/オフに係わらず、保持すべきデータが消えないようになっている。しかし、バッテリ内に静電気として蓄えられた電荷は、バッテリ接続用の端子からそのメモリに流れると、例えばそれに格納されているデータを破壊することがある。
【0006】
ポータブル電子機器は、その性格上、ユーザが携帯して様々な場所で使用することが多い。このため、メモリのデータが破壊されるといった上記問題点が発生すると、その破壊されたデータの再入力といった対処を行えないことが多く、問題点がより深刻になり易いのが実情である。このようなことからも、バッテリ内に蓄えられた静電気への対策が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、バッテリに蓄えられた静電気によるそれが装着される電子機器への悪影響を防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子機器は、バッテリのプラス端子、マイナス端子とそれぞれ接触するプラス側接触端子、マイナス側接触端子が設けられ、内面がフレームグランドとして利用可能なシールド面となっているバッテリ収納ケースと、バッテリをバッテリ収納ケース内に収納する際に、上記プラス端子が上記プラス側接触端子と接触する前の段階で、上記マイナス側接触端子を介さずに上記マイナス端子を上記シールド面に電気的に接続させる導電性部材と、を具備する。
【0009】
なお、上記の構成において、上記導電性部材は、上記バッテリを上記バッテリ収納ケース内に収納する際に上記シールド面に接触する上記バッテリの側面から、上記バッテリの上記マイナス端子にかけて延設されていることが望ましい。
【0013】
本発明のバッテリは、電子機器のバッテリ収納ケース内に所定の経路に沿って収納され、該バッテリ収納ケース内に設けられているプラス側接触端子、及びマイナス側接触端子とそれぞれ接触するプラス端子、及びマイナス端子から電流を電子機器に供給するバッテリであることを前提とし、上記プラス端子が上記プラス側接触端子と接触する前の段階で、上記バッテリ収納ケース内面のフレームグランドとして利用可能なシールド面に、上記マイナス側接触端子を介さずに上記マイナス端子を電気的に接続させる導電性部材を、具備する。
【0014】
なお、上記の構成において、上記導電性部材は、上記バッテリを上記バッテリ収納ケース内に収納する際に上記シールド面に接触する上記バッテリの側面から、上記バッテリの上記マイナス端子にかけて延設されていることが望ましい。
【0019】
本発明は、バッテリ内に蓄えられた静電気を電子機器のフレームグランドに直接放電させる。周知のように、電子機器は各種静電気対策が施されており、そのフレームグランドは、できるだけその面積が大きくなるように設計・製作される。このことから、上記のように静電気をフレームグランドに放電させても、その放電により注入された電荷は広い範囲に拡散することになる。これにより、上記静電気がプリント回路板のプラス側の電極パターンに侵入した場合と比較して、それが電子機器に及ぼす影響は非常に小さくなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、第1の実施の形態が適用されたポータブル電子機器(ハンディ端末装置:ハンドヘルドターミナル(HHT)。以下、単に端末装置と記す)の構成の説明図である。図1(a)は、表カバー2を裏カバー3から取り外した端末装置1の平面図であり、図1(b)は、表カバー2を裏カバー3に取り付けた端末装置1の図1(a)A−A線断面図である。この図1を参照して、始めに端末装置1の全体構成について説明する。
【0022】
なお、端末装置1は、業務効率、顧客サービス等の向上を支援する端末機であり、例えば電気料金の検針、飲食店等におけるオーダの入力といった各種業務に用いられるものである。それら各種業務を行うための各種キーや表示装置(LCD等)は図示していないが、それらは表カバー2上に設けられている。
PCB(Printed Circuit Boards:プリント回路板)4上には、装置1全体を制御するCPU5、各種データを格納するメモリ(例えばDRAM)6等が配置される。このPCB4は、裏カバー3に設けられている不図示の突起部、PCB4の端部上に重ねる取付部材7、及びその突起部に設けられている穴に合わせた形状のネジ8によって裏カバー3に取り付けられる。図1(a)に示すように、PCB4は4点で裏カバー3に取り付けられる。
【0023】
バッテリ収納ケース9は、PCB4と並んだような状態で裏カバー3に設けられている。そのバッテリ収納ケース9は、上部9aと下部9bとから構成され、裏カバー3の一部が下部9bを形成している。上部9aは裏カバー3とは別に作製したものであり、バッテリケース9は上部9aを下部9bに取り付ける構成である。
【0024】
バッテリ収納ケース9には、図2に示すバッテリ20が収納される。このバッテリ20の容器(ケース)21は、絶縁体の合成樹脂製であり、図2(a)に示すように、そのケース21の1面の下方にプラス(+)端子22、及びマイナス(−)端子23が設けられている。
【0025】
バッテリ20内には、図2(b)に示すように、素電池(セル)24、及び25が納められている。これら素電池24、及び25は、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池等の二次電池である。図2(c)に示すように、素電池24のプラス(+)端子と素電池25のマイナス(−)端子が導電性部材26によって接続され、素電池24、及び25はバッテリ20内で直列に接続されている。上記プラス(+)端子22には素電池25のプラス(+)端子が線27によって接続され、他方のマイナス(−)端子23には素電池24のマイナス(−)端子が線28によって接続されている。
【0026】
図1(b)に示すように、上記バッテリ収納ケース9は、バッテリ20の形状に合わせて形成されている。バッテリ20のバッテリ収納ケース9への収納(装着)は、プラス(+)端子22、及びマイナス(−)端子23が設けられている面(以降、端子22、及び23が設けられていることから、端子面と記す)を先にして、図1(a)に示すイ方向からバッテリ収納ケース9内に挿入していくことで行われる。
【0027】
バッテリ収納ケース9の内面12は、バッテリ20のガイドとして機能する。バッテリ20のバッテリ収納ケース9内への収納、及び取り出しは、それによってガイドされる経路に沿って行われる。
【0028】
図3は、バッテリ収納ケース9の下部9bの構成を説明する図である。この図3に示すように、バッテリ収納ケース9のイ方向から見た奥側には、バッテリ接続用のマイナス(−)接触端子31、及びプラス(+)接触端子32を有するバッテリ接続コネクタ30が設けられている。これら各端子31、及び32は、バッテリ20の各端子23及び22の形状、それらが設けられている位置に応じてバッテリ接続コネクタ30に設けたものである。このため、バッテリ20をイ方向からバッテリ収納ケース9内に挿入していくと、バッテリ20のプラス(+)端子22はプラス(+)接触端子32と、他方のマイナス(−)端子23はマイナス(−)接触端子31とそれぞれ嵌合するように接触した状態となる。
【0029】
このような状態とすることで、バッテリ20のバッテリ収納ケース9への収納(装着)が完了する。上記端子32は、線10によってPCB4の電極パターン4aと電気的に接続されている。他方の端子31は、線11によってPCB4のシグナルグランド(以降、SGと記す)の電極パターンと電気的に接続されている。このため、バッテリ20をバッテリ収納ケース9に収納することで、バッテリ20から電流がPCB4に供給されるようになる。そのとき、上記電極パターン4aは、PCB4内における電源として機能する。
【0030】
周知のように、PCBの設計においては、静電気対策として、SGの電極パターンができるだけ大きい面積となるように配慮される。これは、上記のようにすることにより、PCB4上の電極パターンで形成されるループの面積が減少して受信アンテナの効率が低下する、静電気により生じる静電界の影響が小さくなる、といった効果が得られるためである。PCB4においても、図示していないが、上記の理由によりSGの電極パターンは大きく、且つ全体的に形成されている。例えばPCB4の各取付部材7と接触している部分も、SGの電極パターンである。
【0031】
上記したような観点に基づいて設計されたPCB4上には、CPU5、メモリ6といったように、電気的に敏感な電子部品が置かれている。このような電子部品を有する電子システムにおいては、電子部品を静電気から保護するために、それのシールドを施すことが一般的に行われている。携帯装置1においては、PCB4等をシールドするために、表カバー2、及び裏カバー3の内面12にアルミニウムを蒸着させている。
【0032】
周知のように、遮蔽性能を低下させないためには、シールドはより完全に施す必要がある。そのために、表カバー2、裏カバー3の内面12は全体的にアルミニウムが蒸着されており、バッテリ収納ケース9の上部9a、及び下部9bの内面12にも全体的にアルミニウムが蒸着されている。
【0033】
これら各部の内面12に蒸着されたアルミニウムは、携帯装置1のグランド(フレームグランド(FG)、或いはシャシグランド)として利用される。このことから、アルミニウムが蒸着されている内面12をFGと言うことにする。PCB4のSGは、取付部材7によってFGに接続されている。
【0034】
以上が、形態装置1の全体的な構成である。次に、第1の実施の形態によるバッテリ20内に蓄えられた静電気対策について詳細に説明する。
図4は、バッテリ20のマイナス(−)端子23、及びその周辺の断面図である。この図4は、バッテリ20をバッテリ収納ケース9内に収納する際の様子を合わせて示したものである。
【0035】
図4に示すように、マイナス(−)端子23の断面は円錐状の形状をしている。このマイナス(−)端子23、及びプラス(+)端子22は、ケース21作製用の型に置いた状態で合成樹脂を流し込むことで、ケース21に一体的に設けられたものである。マイナス(−)端子23に設けられている穴23aは、型に合成樹脂を流し込んだ際に位置がずれないように、型に設けられた突起でマイナス(−)端子23を支持するためのものである。その突起により、ケース21には、マイナス(−)端子23の穴23aと重なる位置に穴41が形成されている。これは、他方のプラス(+)端子22においても同様である。穴41が形成されているケース21上の面は、図2(a)においてロ方向から見た面(以降、底面と記す)である。
【0036】
上記のように、PCB4上のSGの電極パターンは、プラス(+)側の電流が流れる電極パターン4aと比較して、非常に大きく形成されている。このため、たとえSGの電極パターンに静電気の電荷が流入しても、その電荷は広い範囲に拡散することになり、静電気による影響は電極パターン4aに電荷が流入した場合と比較して小さくなる。本発明は、このことに着目し、バッテリ20内に静電気として蓄えられた電荷をグランドに逃がすことで、その静電気による影響を低減したものである。
【0037】
普通、絶縁性の材料がケース21の材料として用いられることから、バッテリ20内に蓄えられた静電気は、端子22、或いは23から放電される。FG12は、バッテリ20のマイナス(−)端子23と電気的に接続されている。静電気は、周知のように、非常に短い時間で放電する。このことから、第1の実施の形態では、プラス(+)端子22がバッテリ収納ケース9内のプラス(+)接触端子32に接触する前の段階で、マイナス(−)端子23をFG12に電気的に強制的に接触させて、バッテリ20内の静電気をFG12に逃がすようにしている。
【0038】
ケース21の穴41、及びマイナス(−)端子23の穴23aは、上記した理由から、それらが重なる位置に存在している。このことから、第1の実施の形態は、それらの穴23a、41の形状に合わせて導電性を有する板バネ42(導電性部材)を作製し、それをバッテリ20に取り付けている。上記板バネ42は、そのほぼ中央の部分(以降、湾曲部と記す)42aで各端42bが互いに接触するように曲げるようになっている。
【0039】
板バネ42は、各端42bが互いに接触するように曲げた状態にさせ、それを先にしてケース21側から穴41、23aに差し込んだ後、その状態を解除させることで、バッテリ20に取り付けられる。穴41、23aに差し込んだ時の状態を解除させると、板バネ42は自身の弾性力によって端42b間の間隔が大きくなる方向に拡がる。このため、板バネ42はマイナス(−)端子23と2点で接触するとともに、穴23a、41から簡単には抜けない状態となる。
【0040】
板バネ42の湾曲部42aは、上記のようにしてバッテリ20に取り付けると、僅かにケース21から突出するようになっている。このため、ユーザがバッテリ20をバッテリ収納ケース9に収納する際には、図4に示すように、その湾曲部42aがバッテリ収納ケース9内のFG12に接触し、FG12と湾曲部42aが摺動しながらバッテリ20は収納ケース9内に収納される。
【0041】
図3中の領域12aは、ユーザがバッテリ20をバッテリ収納ケース9に収納する際に湾曲部42aとFG12が接触する領域を示したものである。この図3からも明らかなように、板バネ42をバッテリ20に取り付けたことで、プラス(+)端子22がプラス(+)接触端子32と接触する前にマイナス(−)端子23はFG12と電気的に接続される。このため、バッテリ20内に蓄えられた静電気はFG12に放電されることになり、それがプラス(+)端子22から端子32、線11を介してPCB4に放電、即ち電極パターン4aに流れた場合と比較して、静電気の影響を大幅に低減させることができる。
【0042】
なお、第1の実施の形態は、上記したように、ケース21、及びマイナス(−)端子23に各々設けられている穴41、23aを利用して、静電気放電用の部材である板バネ42をバッテリ20に取り付けているが、例えばケース21に静電気放電用の部材を一体的に設け、その部材からFG12に静電気を放電させるようにしても良い。しかし、合成樹脂、及びそれに類似した性質の材料でできた部品は、その型に材料を流し込んで作製することが多く、上記穴41、及び23aは、そのような製造方法によって生じる特有の構造である。このため、第1の実施の形態のように、その構造を利用して放電用の部材(板バネ42)を取り付けるようにすることは、それまでに用いている型、製造工程の基本的な流れの変更を各々回避するだけでなく、既に販売・使用されている従来のバッテリに対しても容易に適用できるという効果も得られる。
【0043】
次に、第1の実施の形態に対する変形例である第2、及び第3の実施の形態について、図5、図6をそれぞれ参照して詳細に説明する。
図5は、上記第2の実施の形態による放電用部材50の形状、及びそれの取付方法を説明する図である。
【0044】
図5(a)は、放電用部材50の形状を示す図である。この第2の実施の形態による放電用部材50は、例えば薄板状の導電性の部材(例えば銅テープ)であり、端部51を点線で谷折りにして使用する。その谷折りした端部51を、穴41、穴23a内に挿入し、本体をケース21に接着させる。
【0045】
図5(b)、及び(c)は、このようにして放電用部材50をバッテリ20に取り付けた状態を示している。図5(c)に示すように、端部51はマイナス(−)端子23と接触しており、本体部分は、図5(b)に示すように、ケース21の底面に貼り付けられている。このため、バッテリ20内の静電気は放電用部材50によってFG12に放電され、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
図6は、上記第3の実施の形態による放電用部材60の形状、及びそれの取付方法を説明する図である。
図6(a)は、放電用部材60の形状を示す図である。この第3の実施の形態による放電用部材60は、例えば上記第2の実施の形態と同様に、薄板状で銅製の部材(銅テープ)であり、端部61、及び62を、それぞれ点線で谷折りにして使用する。その谷折りした端部61は、マイナス(−)端子23の端子31の挿入口から内部に挿入し、他方の端部62は、底面側に接着させる。このため、バッテリ20内の静電気は放電用部材60によってFG12に放電され、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、この第3の実施の形態では、マイナス(−)端子23の端子31との接続用の挿入口に端部61を挿入させることから、穴41、穴23aに導電性部材(板バネ42、端部51)を差し込む上記第1、第2の実施の形態と比較すると、既に使用されている従来のバッテリに対してより幅広く適用させることができる。
【0048】
なお、上記第1〜第3の実施の形態はともに、マイナス(−)端子23に導電性部材(板バネ42、放電用部材50、60)を接触させ、その導電性部材からFG12に静電気を逃がすものである。これは、電子機器(携帯装置1)においてはシールドを施すことが一般に行われ、バッテリ収納ケース内もFGが普通は存在するためである。しかし、バッテリ収納ケース内にFGが存在しないような電子機器もある。このような電子機器においては、FGに電気的に接続させた他の導電性部材をバッテリ収納ケース内に設けても良く、或いは、上記導電性部材を、何らかの導体でバッテリ20を接地させるための部材として使用しても良い。このようにすることで、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。当然のことながら、電子機器のグランドに静電気を逃がさないのであれば、上記導電性部材は必ずしもマイナス(−)端子に接続させなくとも良い。
【0049】
次に、第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態の構成は、基本的には第1の実施の形態のそれと同じである。このため、第1の実施の形態から異なる部分のみ説明する。
【0050】
図7は、第4の実施の形態による静電気対策を説明する図であり、第4の実施の形態によるバッテリ接続コネクタ70とバッテリ20を簡略化して示したものである。この図7を参照して、第4の実施の形態による静電気対策について詳細に説明する。
【0051】
図7に示すように、第4の実施の形態では、バッテリ20のマイナス(−)端子23と接触するマイナス(−)接触端子71の長さを、プラス(+)端子22と接触するプラス(+)接触端子72の長さよりも長くしている。マイナス(−)端子23とプラス(+)端子22は、共にその先端が端子面に合わせて設けられており、バッテリ20は、バッテリ収納ケース9の内面でガイドされる経路に沿って収納、及びその取り出しが行われる。プラス(+)接触端子72、及びマイナス(−)接触端子71は、その経路方向に突出しており、その長さの差cは、バッテリ20側の各端子22、23が、装置1側の各端子72、71と接触するのに必要なバッテリ20の移動量の差となる。このため、バッテリ20がその長さの差cを動くのに要する時間だけ早く、マイナス(−)端子23はプラス(+)端子22よりも早く装置1側の端子(ここでは71)に接触することになり、SGを介してバッテリ20内の静電気をFG12に流すことができる。即ち、バッテリ収納ケース9内にFG12が存在していないような場合であっても、上記各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0052】
ところで、マイナス(−)側端子71、及びプラス(+)側端子72は共に棒状の形状であり、マイナス(−)端子23、及びプラス(+)端子22とは、その内部に挿入されて接触する(図4参照)。このことから、バッテリ20側の端子22、23と装置1側の端子72、71の状態(元の形状からの変化等)によって、それらが接触する位置が変化することがある。例えばプラス(+)側端子72が曲がっている場合には、マイナス(−)側端子71のほうがプラス(+)側端子72よりも長くとも、プラス(+)側端子72のほうがマイナス(−)側端子71よりも早くバッテリ20の端子(ここでは22)に接触することがありえる。
【0053】
第4の実施の形態では、上記のような不具合が起こらないように、各端子の形状に基づいて、プラス(+)側端子72とマイナス(−)側端子71の長さの差cを設定している。具体的には、バッテリ20のプラス(+)端子22、及びマイナス(−)端子23の幅をa、装置1側のプラス(+)側端子72、及びマイナス(−)側端子71の幅をbとすると、c>|a−b|としている。
【0054】
このようにすると、たとえ各端子22、23、71、72の形状、それが配置された位置等のバラツキ、変化が発生しても、それがマイナス(−)端子23とマイナス(−)接触端子71の接触タイミング(マイナス側接触タイミング)と、プラス(+)端子22とプラス(+)接触端子72の接触タイミング(プラス側接触タイミング)の前後の時間関係には影響しなくなり、常にマイナス側接触タイミングのほうをプラス側接触タイミングよりも早くすることができる。このため、上記の不具合を確実に回避することができる。
【0055】
装置1側の各端子72、71は、共にバッテリ20側の各端子22、23内に差し込まれることで接触することから、a−b>0である。上記の関係(c>|a−b|)において、その絶対値をとるのは、その逆の場合、常に正の値であるべき差cが負となるためである。第4の実施の形態の構成で説明すれば、装置1側の各端子71、72内にバッテリ20側の各端子23、22を差し込むことでそれらを接触させる場合、a−b<0となるためである。しかし、この場合でも、上記第4の実施の形態とは各端子に対する視点が逆になるだけで基本的な考え方は同じであり、その絶対値よりも大きい値に差cを設定することで、上記不具合を確実に回避することができる。
【0056】
図8は、第5の実施の形態による静電気対策を説明する図であり、第5の実施の形態によるバッテリ80とバッテリ接続コネクタ30を簡略化して示したものである。この図8を参照して、第5の実施の形態による静電気対策について詳細に説明する。
【0057】
第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態と同様の視点から静電気対策を行ったものである。即ち第4の実施の形態では、装置1側の端子71、72の長さに差cを持たせたのに対し、第5の実施の形態は、その逆に、バッテリ80側の端子81、82の形状、及びその配置を工夫したものである。
【0058】
第5の実施の形態の構成は、第1の実施の形態のそれからバッテリだけを変更したものである。具体的には、図8に示すように、バッテリ80を経路に沿って収納する方向から見て、プラス(+)端子82をマイナス(−)端子81よりも差cだけ手前側に配置したものである。
【0059】
これにより、プラス(+)端子82とプラス(+)接触端子32の接触には、マイナス(−)端子81とマイナス(−)接触端子31が接触してから差cだけ更にバッテリ80を収納する方向に動かさなければならなくなり、マイナス(−)端子81からマイナス(−)接触端子31、SGを介してバッテリ80の静電気をFG12に流すことができる。
【0060】
第5の実施の形態においても、バッテリ80側の各端子82、81の幅をa、装置1側(バッテリ接続コネクタ30)の各端子31、32の幅をbとすると、上記の関係(c>|a−b|)を満たしてバッテリ80を製作している。このため、上記第4の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0061】
ここで、上記バッテリ80の外観について説明すると、その形状は、図2(a)に示す外観を有する第1の実施の形態のバッテリ20から、ケース21のプラス(+)端子23周辺部分だけを差cだけ凹ませたものである。
【0062】
なお、第4、及び第5の実施の形態は、装置1側の各端子、或いはバッテリ側の各端子の何れかに着目して、バッテリのマイナス(−)端子をプラス(+)端子よりも早く装置1側に接触させるようにしたものであるが、装置1側の各端子、及びバッテリ側の各端子の両方に着目して、バッテリのマイナス(−)端子をプラス(+)端子よりも早く装置1側に接触させるようにしても良い。この場合においても、上記関係(c>|b−c|)を成立させることが望ましい。
【0063】
また、上記各実施の形態は、バッテリ20、或いは80を収納するバッテリ収納ケース9を装置内部に備えた構成であるが、これらのバッテリを装着するための機構を外部に設けたものであっても良い。このような機構を装置外に設けた場合であっても、バッテリを装着するためのガイド等を備えている場合には、本発明を容易に適用することができる。
【0064】
また、上記バッテリ20、80は、ケース内に素電池を収納したバッテリパックであるが、本発明は、バッテリ内に蓄えられた静電気の影響を回避するものであることから、普通のバッテリに対しても変わりなく適用できるものである。バッテリパックとしては、上記実施の形態のように、素電池をパック内に固定的に備えたものであっても、例えば乾電池のように、素電池を任意に交換できるものであっても良い。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、バッテリ内に蓄えられた静電気を直接FGに放電させる。このため、静電気として侵入した電荷は広い範囲に拡散され、その静電気による電子機器への悪影響を非常に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態が適用されたポータブル電子機器の構成の説明図である。
【図2】バッテリの構造の説明図である。
【図3】バッテリ収納ケースの下部の構成を説明する図である。
【図4】バッテリのマイナス(−)端子、及びその周辺の断面図である。
【図5】第2の実施の形態による放電用部材の形状、及びそれの取付方法を説明する図である。
【図6】第3の実施の形態による放電用部材の形状、及びそれの取付方法を説明する図である。
【図7】第4の実施の形態による静電気対策を説明する図である。
【図8】第5の実施の形態による静電気対策を説明する図である。
【符号の説明】
1 ポータブル電子機器(ハンディ端末装置)
4 PCB
5 CPU
6 メモリ
9 バッテリ収納ケース
12 FG
12a 領域
20、80 バッテリ
21 ケース
22、82 プラス(+)端子
23、81 マイナス(−)端子
23a 穴
31、71 マイナス(−)接触端子
32、72 プラス(+)接触端子
41 穴
42 板バネ(放電用部材)
42a 湾曲部
50、60 放電用部材
Claims (4)
- バッテリのプラス端子、マイナス端子とそれぞれ接触するプラス側接触端子、マイナス側接触端子が設けられ、内面がフレームグランドとして利用可能なシールド面となっているバッテリ収納ケースと、
前記バッテリを前記バッテリ収納ケース内に収納する際に、前記プラス端子が前記プラス側接触端子と接触する前の段階で、前記マイナス側接触端子を介さずに前記マイナス端子を前記シールド面に電気的に接続させる導電性部材と、
を具備したことを特徴とする電子機器。 - 前記導電性部材は、前記バッテリを前記バッテリ収納ケース内に収納する際に前記シールド面に接触する前記バッテリの側面から、前記バッテリの前記マイナス端子にかけて延設されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
- 電子機器のバッテリ収納ケース内に所定の経路に沿って収納され、該バッテリ収納ケース内に設けられているプラス側接触端子、及びマイナス側接触端子とそれぞれ接触するプラス端子、及びマイナス端子から電流を電子機器に供給するバッテリであって、
前記プラス端子が前記プラス側接触端子と接触する前の段階で、前記バッテリ収納ケース内面のフレームグランドとして利用可能なシールド面に、前記マイナス側接触端子を介さずに前記マイナス端子を電気的に接続させる導電性部材を、
具備したことを特徴とするバッテリ。 - 前記導電性部材は、前記バッテリを前記バッテリ収納ケース内に収納する際に前記シールド面に接触する前記バッテリの側面から、前記バッテリの前記マイナス端子にかけて延設されていることを特徴とする請求項3記載のバッテリ。
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JP12071596A JP3695725B2 (ja) | 1996-05-16 | 1996-05-16 | バッテリ及びそれを用いる電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP12071596A JP3695725B2 (ja) | 1996-05-16 | 1996-05-16 | バッテリ及びそれを用いる電子機器 |
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JPH09306455A JPH09306455A (ja) | 1997-11-28 |
JP3695725B2 true JP3695725B2 (ja) | 2005-09-14 |
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JP2007323909A (ja) * | 2006-05-31 | 2007-12-13 | Sanyo Electric Co Ltd | パック電池 |
-
1996
- 1996-05-16 JP JP12071596A patent/JP3695725B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09306455A (ja) | 1997-11-28 |
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