JP3694370B2 - 分注装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分注装置及びその動作方法に関し、特にノズルへの圧力伝達媒体として液体を用いた分注装置の分注精度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、検体検査では、試験管内の検体や試薬などの液体試料をノズルに吸引し、この液体試料を別の検査用試験管に吐出するといった分注作業が行われる。この際、ノズルと分注ポンプをチューブなどの配管系でつないだ分注装置が用いられる。この分注装置では、分注ポンプによって生じる圧力の変動を、配管を介してノズルに伝達し、これを吸引・吐出力として、ノズル先端の開口部から液体試料の吸引・吐出が行われる。従来の分注装置の一種として、ノズルと分注ポンプの間での圧力伝達の媒体に液体を用いるものがある。すなわち、この従来装置では、配管に圧力伝達液(以下、配管液と呼ぶ。)が注入され、分注ポンプに吸引力が発生すると、配管液が分注ポンプの方へ移動し、その結果、ノズルの先端から液体試料が吸引され、逆に分注ポンプに吐出力が発生すると、配管液がノズルの方へ移動して、液体試料が吐出される。ここで、圧力伝達を液体で行うことの利点の一つは、配管液をノズルから吐出させてノズルの洗浄を行うことができることにある。なお、この従来装置では、一般に、ノズル内で、配管液と吸引した試料の間に空気層が形成される。この空気層は、配管液と液体試料が混合するのを防止する機能を有し、例えば、ノズル先端まで配管液を充填した状態から、液体試料の吸引前にあらかじめ空気等をノズル内に吸引することにより形成される。
【0003】
上記、配管液により圧力を伝達する分注装置においては、その配管液に気泡が混入すると、その分、圧力伝達特性が変動したりすることにより、分注精度に悪影響を与えるおそれがある。そこで、従来は、配管を外して配管液を入れ替える等の作業をしたり、またノズル洗浄時などにおいて、配管液をノズルから吐出させると同時に、配管液中の気泡を排出・除去したり、することが行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、配管を外すという作業は煩わしく作業者の負担であるという問題があり、また、配管液を吐出する方法では、配管等に再注入される配管液自体に気泡が混入していることがあり、気泡除去の効果が不確実であるという問題があった。そのため、分注精度が低下するという問題を十分に解決できていなかった。
【0005】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、装置内の配管液から気泡を除去し、分注精度が向上した分注装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る分注装置は、分注ポンプに圧力伝達液を供給する補給槽と、前記分注ポンプとノズルとの間の経路上に設けられた切り替え弁と、前記補給槽と前記切り替え弁とを接続する補給管と、この補給管の途中に設けられ前記圧力伝達液中の気泡をトラップする貯留槽とを有し、前記貯留槽は、前記切り替え弁より高所に位置し、前記切り替え弁から前記貯留槽までの前記補給管の向きは、上向きであることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、補給槽から補給される圧力伝達液は、貯留槽を経由して分注ポンプに供給される。つまり、補給槽内の圧力伝達液または補給槽から貯留槽までの補給管内の圧力伝達液が気泡を含んでいても、いったん、貯留槽に溜められ、この貯留されている間に、圧力伝達液中の気泡は、液面に浮上し貯留槽上部の空気層にトラップされ消滅する。貯留槽は切り替え弁より高所に位置し、また切り替え弁から貯留槽までの補給管の向きは傾斜の緩急は別として常に上向きであるので、切り替え弁と貯留槽との間の補給管に気泡が停留することがない。分注ポンプには、この貯留槽内及び貯留槽から切り替え弁までの補給管内の気泡が除去された圧力伝達液が供給され、この気泡除去済みの圧力伝達液を用いてノズルとの間で圧力伝達を行うことにより、分注装置は正確な分注処理を行うことができる。また、分注ポンプ内の圧力伝達液または圧力伝達管内の圧力伝達液が気泡を含んでいる場合には、切り替え弁の切替動作と分注ポンプの吸引吐出動作とによって、これら圧力伝達液を貯留槽に注入し、その中及び貯留槽から切り替え弁までの補給管内の気泡をトラップし除去してから、その圧力伝達液を分注ポンプ及び圧力伝達管に戻して用いることにより、気泡の影響のない精度の良い分注処理を行うことができる。
【0008】
本発明に係る分注装置は、前記分注ポンプと前記切り替え弁を制御する制御装置を備え、この制御装置は、前記分注ポンプから前記貯留槽へ前記圧力伝達液を注入させ、前記貯留槽における前記トラップにより気泡を除去された前記圧力伝達液を前記分注ポンプに吸引させ、前記切り替え弁を切り替えて、前記分注ポンプから前記ノズルへ前記圧力伝達液を吐出させることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、制御部が、分注ポンプ及び切り替え弁を制御して、分注ポンプ内及び圧力伝達管内の圧力伝達液から気泡を除去する処理を自動的に行う。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の分注装置について図面を参照し説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の分注装置の構成を示す模式図である。この装置は、図示しない基台上に備えられ、基台上の載置された分注元の試験管からノズルに液体試料を吸引し、このノズルを分注先の試験管に移動して試料を吐出する。
【0012】
図1において、ノズル2は、例えば、ステンレス製のノンディスポーザブルタイプノズルである。ノズル2は、ノズル移動機構4によって3次元的に移動でき、試料吸引位置や試料吐出位置、ノズル洗浄位置へと移動する。また、ノズル2は、配管6、三方弁である切り替え弁8、配管10を順に介して、分注ポンプであるシリンジポンプ12と接続される。
【0013】
シリンジポンプ12は円筒形のシリンジ14を有し、このシリンジ14にピストン16が内挿され、シリンジ14とピストン16によりシリンジ室18が形成されている。そして、シリンジ14は、前述の配管10と接続されている。ピストン16は、ピストン棒20を介してポンプモータ22から駆動力を受け、シリンジ14内で往復する。シリンジ室18には、後述する洗浄液が注入される。本装置は、後述するようにこの洗浄液を圧力伝達液とし、配管6、10を圧力伝達管として、ノズル2に吸引・吐出力を伝達する。
【0014】
また、切り替え弁8の上方には、貯留槽30が配置され、両者は、切り替え弁8から貯留槽30まで単調に上昇する形状を有した配管32によって接続されている。貯留槽30の底面には配管32とともに、配管34が接続され、この配管34の反対端は、洗浄液タンク36内に蓄えられた洗浄液中に差し込まれている。洗浄液タンク36は、洗浄液を蓄えた補給槽であり、洗浄液タンク36内の洗浄液は、補給管である配管34、32、貯留槽30、切り替え弁8及び配管10を経由してシリンジポンプ12に補給される。
【0015】
貯留槽30は密閉容器であり、内部には洗浄液38が貯留され、その上部には空気層40が存在する。この空気層40の気圧を調整するために、空気層調整弁42が設けられ、これを開くことにより、空気層40と外気との間の流通を行うことができる。
【0016】
切り替え弁8は、例えば電磁弁であり、外部からの制御信号により駆動されて切り替え動作し、シリンジポンプ12をノズル2と貯留槽30のいずれかに連通させる。なお、配管6、10、32、34は、例えばポリマー製のチューブであり、その内径は、例えば、それぞれ約2mmである。
【0017】
図2は、ノズル2、切り替え弁8、シリンジポンプ12を駆動するための制御システムの構成を示すブロック図である。同図において、制御部50は、主としてコンピュータからなり、入力部52から制御部50へ、分注量や、分注処理数、試験管の配置などの設定条件が入力される。また、制御部50は、試験管内の試料の液面位置を検出する液面検出器54と接続されている。制御部50は、入力された設定条件に従った制御信号を、ノズル移動機構駆動回路56、電磁弁駆動回路58及びポンプモータ駆動回路60へ出力する。これら各駆動回路は、それぞれ、ノズル移動機構4、切り替え弁8及びポンプモータ22に駆動信号を送りこれらを駆動させる。
【0018】
次に、この分注装置の動作のうち吸引、吐出及び洗浄の各動作を説明する。図3は、主要な過程におけるノズル2内の状態を示す模式的な断面図である。
【0019】
まず、ノズル2の先端まで洗浄液が満たされている状態から、液体試料の吸引動作を説明する。ノズル2は、ノズル移動機構4によって分注元の試験管の上方に移動される。また、切り替え弁8は、ノズル2とシリンジポンプ12を連通するように切り替えられる。まず、ノズル2の先端開口68が試験管内の液体試料に挿入されない状態で、ピストン16を引く。すると、シリンジ室18内の圧力低下を補償するように洗浄液が移動し、この移動がノズル2に伝達され、先端開口68からノズル2内に空気70が吸引される(図3(a))。空気の吸引量は、例えば、30μl程度の微小量である。
【0020】
次に、ノズル2が下方に移動され、液体試料に挿入される。この時、図2の液面検出器54は、試料の液面位置を検出して制御部50に入力する。制御部50は、液面の位置に基づいてノズル移動機構4を制御し、ノズル2が液面から約1〜2mm程度の深さまで挿入されると、ノズル2の下降を停止させる。
【0021】
この状態で、ピストン16をさらに引いて、ノズル2内に液体試料72を吸引する。この吸引量は、分注量より多めに設定される。これは、吐出時に試料が内壁に残るなどの要因により、必要な分注量が得られないことを避けるためである。
【0022】
吸引終了後、ノズル2が試験管から引き上げられる。図3(b)は、吸引終了後の状態を示している。試料吸引前に吸引された空気が、洗浄液と試料との間に空気層74を形成している。この空気層74は、洗浄液76と液体試料72が混ざりあわないようにする働きをする。空気層74の体積は十分に小さいので、シリンジポンプ12に吐出力が発生したときに、この吐出力の液体試料72への伝達は速く、よって、ピストン移動に対する試料吐出の応答性が高い。
【0023】
次に、ノズル2に吸引した試料を分注先の試験管に吐出する吐出動作を説明する。ノズル移動機構4が、ノズル2を分注先の試験管へ移動し、さらに試験管の中へノズル2の先端部分を挿入し、先端開口68が空中にある状態でノズル2を保持する。そして、シリンジポンプ12のピストン16が、ポンプモータ22により駆動されて押し込まれる。この押出し移動が洗浄液76に伝達され、液体試料72がノズルの先端開口68から試験管内へ吐出される。吐出量は例えば、3μl程度である。
【0024】
続いて、洗浄動作を説明する。図3(c)は、試料の吐出が終了した状態を示しており、ノズル2内には、余剰分の試料78が存在する。ノズル移動機構4は、洗浄槽が設けられた洗浄位置へノズル2を移動する。そして、シリンジポンプ12のピストン16を押出し移動し、数百μlの洗浄液76を洗浄槽へ吐出する。この際、同時にノズル2の外側にも洗浄液をかける。これにより、ノズル2の内外面が洗浄される。
【0025】
洗浄終了後、適宜、洗浄液がシリンジポンプ12に補充される。この補充では、切り替え弁8が切替え動作されて、シリンジポンプ12と洗浄液タンク36が接続される。そしてポンプモータ22を駆動してピストン16を下に引くと、配管32を介して貯留槽30内の洗浄液がシリンジ室18に流入、補充される。ちなみに、貯留槽30の上部の空気層40は密閉されており、洗浄液が配管32へ流出すると、貯留槽30内部の圧力が低下する。これにより洗浄液タンク36の洗浄液が配管34を経由して貯留槽30へ吸引されるので、貯留槽30内の洗浄液の量はほぼ一定に保たれる。
【0026】
さて、以上が、分注の基本的な動作である。この動作を行ううちに、何らかの原因でノズル内や配管内の洗浄液中に気泡が生じることがある。気泡が生じる原因としては、洗浄液中に溶け込んでいる空気が、吸引動作などにおける圧力低下により気泡となるといったことが考えられる。上述したように、吐出量は非常に微量であり、分注処理には精度が要求されるので、洗浄液中の気泡は分注精度の劣化の原因ともなりうる。本装置では、これを解決するために貯留槽30を設けた。以下、本装置の特徴である、貯留槽30の働きを説明する。
【0027】
図4は、シリンジポンプ12からノズル2までの系に充填された洗浄液から気泡を除去する動作を説明するフローチャートである。始めに切り替え弁8がノズル2とシリンジポンプ12を接続するように切り替えられる(処理100)。そして、ピストン16を下に移動し、ノズル2から切り替え弁8までの洗浄液を全て、切り替え弁8からシリンジポンプ12寄りへ吸引する(処理102)。なお、この動作により、ノズル2から切り替え弁8までの配管6には空気が充填される。
【0028】
次に、シリンジポンプ12と洗浄液タンク36とを接続するように切り替え弁8を切り替える(処理104)。この状態で、ポンプモータ22を駆動してピストン16を上に移動させ、シリンジ室18から洗浄液を吐出させる。吐出された洗浄液は、配管32を介して貯留槽30に流入する。貯留槽30の上部の空気層40は密閉されているので、洗浄液が配管32から流入すると、貯留槽30内部の圧力が上昇し、これにより貯留槽30内部の洗浄液が配管34を経由して洗浄液タンク36へ流出する(処理106)。続いて、今度は逆にピストン16を下に移動させると、処理106と逆の流動が起こる。つまり、上述した洗浄動作後のシリンジ室18への洗浄液の補充における動作と同様のことが起こり、洗浄液タンク36からシリンジポンプ12へ洗浄液が移動する(処理108)。
【0029】
上記処理106及び処理108を数回繰り返し、洗浄液をシリンジポンプ12と洗浄液タンク36との間で行き来させる。ここで、貯留槽30内部の洗浄液38の表面に達した気泡は、空気層40にトラップされて消滅し得る。上記洗浄液の流動は、洗浄液内の気泡が貯留槽30内で洗浄液38の表面に達する確率を高くし、気泡のトラップを促進させるものである。所望の回数、処理106、108のループを実行し、洗浄液中の気泡を減少させた後、切り替え弁8をノズル2側に切り替え、ノズル2とシリンジ室18とを連通させ(処理110)、気泡除去動作を終了する。
【0030】
ここで、処理110の前に処理108が行われており、シリンジ室18には、洗浄液が充填されている。よって、ピストン16を上に移動させて、ノズル2の先端まで洗浄液を満たせば、上述した吸引動作の初期状態となることから分かるように、処理110に続いて、上述した吸引、吐出、洗浄といった分注処理の基本動作に移行することができる。よって、吸引・吐出を行う際には、洗浄液に含まれていた気泡は、上記気泡除去動作により貯留槽30の空気層に集められ、そして貯留槽30は、切り替え弁8によって、吸引、吐出動作に関係するノズル2、配管6、配管10、シリンジ室18からなる系(分注動作系と呼ぶ。)から分離される。つまり、まず分注動作系は、気泡の除去された洗浄液を充填されることにより、シリンジポンプ12の吸引・吐出量とノズル2における吸引・吐出量との対応関係がばらつきなく精密に定まる。また、分注動作系は、吸引・吐出時には、気泡を含まず、かつ切り替え弁8によって空気層40から分離されるので、途中経路に空気が介在することによる応答性の劣化を生じることなく、シリンジポンプ12の吸引・吐出力がノズル2に伝達される。この高い応答性によって、吸引・吐出動作の制御を精密に行うことが可能となる。
【0031】
なお、上述した処理102における1回の吸引動作で、切り替え弁8からノズル2までの全体に空気を充填することができないような場合には、上記処理100、102、104、106を順に必要な回数だけ繰り返して、ノズル2側から貯留槽30側への洗浄液の移動を行えばよい。
【0032】
また、上記洗浄動作後の洗浄液の補充動作と処理108の共通性からも理解できるように、本装置では、洗浄動作後に洗浄液タンク36からシリンジポンプ12へ洗浄液を補充する際、貯留槽30で洗浄液の流動による気泡除去促進が行われる。つまり、本装置は、単なるシリンジポンプ12への補充動作においても、気泡除去の効果を発揮する。
【0033】
上記、気泡除去動作は、他の基本動作同様、制御部50を構成するコンピュータに気泡除去動作制御プログラムとしてプログラミングされている。処理106、108のループ回数は、デフォルト値として与えてもよいし、操作者が設定したり変更できるようにしてもよい。この気泡除去動作制御プログラムは、例えば、分注装置の操作者が、操作パネルのボタンやキーボードから随時指示することにより起動される。制御部50は、操作者からの指示を受けると、分注処理中の場合には、洗浄動作終了のタイミングを待って、気泡除去動作を開始する。また、制御部50の分注処理の制御プログラム中にあらかじめ気泡除去動作を組み込んでおくこともできる。この場合には、所定分注回数、または所定時間をパラメータとして操作者が指定できるようにし、これらの回数または時間ごとに気泡除去動作を行うようにしてもよい。
【0034】
さて、本装置において、配管32を切り替え弁8から単調に上昇する形状としたのは、気泡が自身の浮力によって配管32内を上昇し、かつ配管32の途中で停留しないで貯留槽30に到達するようにするためである。例えば、配管32の配置、形状は、望ましくは鉛直かつ直線であるが、これ以外にも斜めの配置や曲線形状の配管も可能である。加えて、配管10をシリンジ室18の上部に接続し、ここから切り替え弁8まで単調に上昇する形状とすることにより、シリンジ室18及びこれと貯留槽30を結ぶ配管系内の気泡が、自然と貯留槽30に移動する。よって、上記気泡除去動作をせずに放置するだけでも、気泡が空気層40に集まり、気泡除去の効果が期待でき、また、気泡除去動作においても気泡除去の促進が図られ、より短時間で気泡を除去することができる。同様に、配管34を洗浄液タンク36から貯留槽30まで単調に上昇するようにすれば、同様にして配管34内の気泡除去の促進を図ることができる。
【0035】
気泡が貯留槽30に集まるにつれ、貯留槽30内の洗浄液38の液面が徐々に低下する。貯留槽30が完全に空気で満たされると、洗浄液38と空気層40との境界面が確保されなくなり気泡のトラップ効果が損なわれ、また、シリンジポンプ12と洗浄液タンク36との間の洗浄液の流動も損なわれてしまう。空気層調整弁42は、これを解決するために用いられる。すなわち、例えば、空気層調整弁42を開いて、貯留槽30内の空気を吸引排出したり、シリンジポンプ12から洗浄液を貯留槽30に注入したりすることにより、洗浄液38の低下した液面の高さを復元する。
【0036】
気泡除去動作が効率的に行われるためには、貯留槽30に接続された配管32、34による洗浄液の流出入により、貯留槽30内の洗浄液38の全体が効率的に流動し、また、空気層40と洗浄液38との境界面の面積が確保されることが望ましい。このような観点から、貯留槽30の底面積、気泡除去動作時に貯留槽30に貯留される洗浄液38の深さ、配管32及び配管34の貯留槽30への接続位置が定められる。例えば、貯留槽30の底面の形状は、正方形、円形のほか、楕円、細長の矩形とすることができ、特にこれを楕円、細長矩形とした場合には、配管32と配管34を互いにこれら底面形状の長手方向の両端に配置することにより、貯留槽30内の洗浄液38の全体的な流動が図られる。また、底面形状を例えば正方形とした場合には、配管32と配管34を互いに、正方形の一つの対角線の両端に配置することにより、やはり、貯留槽30内の洗浄液38に停留する部分が生じにくくなるであろう。
【0037】
洗浄液38の深さは、あまり深いと、気泡が液面に達するまでの平均時間が長くなる点で好ましくなく、あまり浅いと、空気層40の増大に対する余裕が少なくなるという問題や、配管32または配管34から洗浄液が流入する際、その勢いで洗浄液面が乱され、泡立つおそれがあるという問題が生じうる。よって、これらの要因を考慮して、洗浄液の深さは適切に設定される。ここで、流入する洗浄液の勢いは、シリンジポンプ12の吸引・吐出力の影響だけでなく、配管32、34の断面積の影響も受ける。つまり、シリンジポンプ12の吸引・吐出速度を同一とした場合、配管が太いほど配管内の流速は抑制され、洗浄液を静かに貯留槽30に流入させることができる。また、配管を太くすることによって、配管内の気泡自身の浮力による上昇が円滑化するというメリットもある。そのため、配管32、34の太さはある程度の太さを有するように定められる。本装置では、このような点を考慮して、上述したように、例えば、内径約2mmのチューブを用いている。
【0038】
上述した洗浄液38の液面の位置や、配管からの流出入の様子を外部から観察できるように、貯留槽30の全体または一部を透明としてもよい。また、この透明とした部分が洗浄液の蒸気で曇ることなどを防止し、上記内部の観察を気温等の条件に関わりなく容易とするため、上記透明部分を防曇性を有するような材質で構成してもよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明の分注装置によれば、ノズルに対する圧力伝達を担う液体から、気泡が除去される。これにより、分注ポンプの吸引・吐出量とノズルにおける吸引・吐出量との対応関係が常に精度よく定まり、また、気泡による圧力伝達の損失、応答性の劣化がないので制御が正確に行われ、よって、分注精度が向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の分注装置の構成を示す模式図である。
【図2】 本装置を駆動するための制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】 分注処理の主要な過程におけるノズル内の状態を示す模式的な断面図である。
【図4】 気泡除去動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
2 ノズル、4 ノズル移動機構、6,10,32,34 配管、8 切り替え弁、12 シリンジポンプ、14 シリンジ、16 ピストン、18 シリンジ室、20 ピストン棒、22 ポンプモータ、30 貯留槽、36 洗浄液タンク、38 洗浄液、40 空気層、42 空気層調整弁、50 制御部、52入力部、54 液面検出器、56 ノズル移動機構駆動回路、58 電磁弁駆動回路、60 ポンプモータ駆動回路。
Claims (1)
- ノズルと分注ポンプとが圧力伝達管によって接続され、前記分注ポンプで発生する吸引・吐出力を前記圧力伝達管を流通する圧力伝達液を介して前記ノズルに及ぼす分注装置において、
前記分注ポンプに前記圧力伝達液を供給する補給槽と、
前記分注ポンプと前記ノズルとの間の経路上に設けられた切り替え弁と、
前記補給槽と前記切り替え弁とを接続する補給管と、
この補給管の途中に設けられ、前記圧力伝達液中の気泡をトラップする貯留槽と、
前記分注ポンプと前記切り替え弁を制御する制御部と、
を有し、
前記貯留槽は、前記切り替え弁より高所に位置し、貯留槽内部の圧力伝達液の表面に達した気泡を貯留槽内部の空気層によってトラップし、
前記切り替え弁から前記貯留槽までの前記補給管の向きは、上向きであり、
前記制御部は、
前記圧力伝達管から前記圧力伝達液を前記分注ポンプに吸引させ、吸引された圧力伝達液を前記貯留槽を介して前記分注ポンプと前記補給槽との間で行き来させて圧力伝達液を流動させることにより、前記貯留槽における前記トラップを促進させて前記吸引された圧力伝達液から気泡を除去し、さらに、前記切り替え弁を切り替えて、気泡が除去された圧力伝達液を前記分注ポンプから前記ノズルへ供給する、
ことを特徴とする分注装置。
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1996
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