JP3694282B2 - 単結晶薄膜形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板の上に単結晶薄膜または軸配向多結晶薄膜を効率よく形成することを可能にする単結晶薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の物質の単結晶薄膜を同一物質でしかも同一の結晶方位を有する単結晶基板の上に形成するには、よく知られるエピタキシャル成長法を用いることができる。一方、非晶質基板、多結晶基板などの結晶構造が異なる基板、あるいは物質の異なる基板の上に、単結晶薄膜を形成するには、基板の上に非晶質薄膜あるいは多結晶薄膜を一旦形成し、その後これらの薄膜を単結晶へ転換する方法が用いられる。
【0003】
従来、多結晶半導体薄膜および非晶質であるアモルファス半導体薄膜の単結晶化には溶融再結晶化法と、横方向固相エピタキシー法が使用されて来た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法は以下に記述するような問題点を有していた。すなわち、前者の溶融再結晶化法では、薄膜を構成する物質が高融点物質の場合、基板に大きい熱歪が発生し、利用しようとする薄膜の物理的、電気的特性が損なわれるという問題点があった。また溶融を行うために、電子ビーム、或いはレーザービームが使用される。このため、これらのビームのスポットを基板の全面にわたって走査する必要があるので、再結晶化のために多大な時間とコストとを要するという問題点があった。
【0005】
後者の横方向固相エピタキシー法では、基板を構成する物質の結晶方法に影響され易い上に、成長速度が遅いという問題点があった。例えば、10μm程度の厚さの単結晶薄膜に成長させるのに、10時間以上を必要とした。しかも、成長がある程度進行すると、格子欠陥が発生し単結晶の成長が止まるために、大きい結晶粒を得ることが困難であるという問題点があった。
【0006】
さらに、いずれの方法においても、種結晶を多結晶薄膜、或いは非晶質薄膜に接触させる必要があるという問題点があった。また、単結晶が成長する方向が薄膜の主面に沿った方向、すなわち横方向であるため、結晶への成長距離が長くなる結果、単結晶が成長する中途において各種の障害が入るという問題点があった。例えば、基板がガラスなどの非晶質状の材料で構成される場合には、基板の格子の位置に規則性が無いので、この不規則性が単結晶の成長に影響する結果、結晶粒の粒径は大きいが多結晶として成長してしまうという問題点があった。
【0007】
一方、これらの方法における上述した問題点を解決することを意図して、薄膜の縦方向の成長を利用することによって成長距離を短くし、そのことによって成長時間を短くする試みが行われた。すなわち、多結晶薄膜、あるいは非晶質薄膜の全面に種結晶を接触させ、薄膜の主面に垂直な方向すなわち縦方向に固相エピタキシャル成長を行わせる方法が試みられた。しかしながら、その結果は、部分的にしか種結晶と非晶質薄膜等とが接触せず、この接触部分から横方向エピタキシャル成長が起こるだけであり、期待された縦方向の固相エピタキシャル成長によって単結晶薄膜を形成するには至らなかった。加えて、この方法では、種結晶と成長した単結晶膜とが接着してしまうので、これを分離することが非常に困難であり、敢えて引き離そうとすると、成長した薄膜が基板から剥離し種結晶側に付着してしまうという問題点があった。
【0008】
また、基板自体が単結晶構造を有する場合には、この基板の結晶方位と異なる結晶方位を有する単結晶の薄膜を、この基板の上に形成することはいずれの従来の技術をもってしても不可能であるという問題点があった。
【0009】
また、同様のことは、各結晶粒の間で一つの結晶軸が同一方向に揃った多結晶薄膜、すなわち軸配向多結晶薄膜についてもいえる。すなわち、従来の技術では、任意の基板の上に所望の方向に配向した軸配向多結晶薄膜を形成することは困難であるという問題点があった。
【0010】
この発明は、従来の方法が有する上述の問題点を解決するためになされたもので、所望の方向に配向した軸配向多結晶薄膜、および所望の結晶方位を有する単結晶薄膜を形成し得る単結晶薄膜形成方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる請求項1に記載の単結晶薄膜形成方法は、基板の上に所定の物質の単結晶薄膜を形成する単結晶薄膜形成方法であって、前記基板の上に前記所定の物質の結晶化が起こらない低温度下で、当該所定の物質を堆積させつつ、当該所定の物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを、堆積しつつある当該所定の物質へ一方向から照射することによって、当該所定の物質の軸配向多結晶薄膜を形成する工程と、前記所定の物質の結晶化温度以下の高温下で、前記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂直な方向から、前記所定の物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを前記軸配向多結晶薄膜へ照射することによって、当該軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明にかかる請求項2に記載の単結晶薄膜形成方法は、基板の上に所定の物質の単結晶薄膜を形成する単結晶薄膜形成方法であって、前記基板の上に、前記所定の物質を堆積させることによって当該物質の薄膜を形成する工程と、前記工程の後に、前記所定の物質の結晶化温度以下の高温下で、前記所定の物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを、前記薄膜へ一方向から照射することによって、当該薄膜を軸配向多結晶薄膜へ転換する工程と、前記所定の物質の結晶化温度以下の高温下で、前記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂直な方向から、前記所定の物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを前記軸配向多結晶薄膜へ照射することによって、当該軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明にかかる請求項3に記載の単結晶薄膜形成方法は、請求項1または請求項2に記載の方法において、前記軸配向多結晶薄膜を形成する際における前記気体のビームの照射方向と、前記軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する際における前記気体のビームの複数の照射方向の1つとが、互いに同一であることを特徴とする。
【0014】
この発明にかかる請求項4に記載の単結晶薄膜形成方法は、請求項1または請求項2に記載の方法において、前記気体が不活性ガスであることを特徴とする。
【0015】
この発明にかかる請求項5に記載の単結晶薄膜形成方法は、請求項4に記載の方法において、前記不活性ガスを構成する元素の原子量が、前記所定の物質を構成する元素の原子量の中の最大の原子量よりも低いことを特徴とする。
【0016】
この発明にかかる請求項6に記載の単結晶薄膜形成方法は、請求項1または請求項2に記載の方法において、前記所定の物質が、常温度下で気体である気体物質を構成する元素を含むとともに、前記気体のビームが、前記気体物質のビームであることを特徴とする。
【0017】
この発明にかかる請求項7に記載の単結晶薄膜形成方法は、請求項1または請求項2に記載の方法において、前記気体のビームを電子サイクロトロン共鳴型のイオン源を用いて生成することを特徴とする。
【0018】
なお、この発明において「基板」とは、その上に薄膜を形成することのみを目的として供される単なる土台としての物体に限定されず、例えば所定の機能を有するデバイスなどをも含めて、その上に薄膜を形成する対象とされる媒体全般を意味する。
【0019】
また、この発明で「気体のビーム」とは、ビーム状のイオン流、原子流、分子流の何れをも包含する概念である。
【0020】
【作用】
<請求項1に記載の発明の作用>
この発明の方法では、基板の上に軸配向多結晶薄膜をあらかじめ形成した後に、複数方向からビームを照射することによって薄膜を単結晶薄膜へ転換する。このため、例えば基板の上に遮蔽体が形成されているなどのために、複数方向からのビームが基板の上に均一に照射されなくても、基板の上のどの部分にも単結晶薄膜か軸配向多結晶薄膜の少なくとも何れかが形成されているので、目立った特性上の劣化を引き起こさない。
【0021】
<請求項2に記載の発明の作用>
この発明の方法では、基板の上に軸配向多結晶薄膜をあらかじめ形成した後に、複数方向からビームを照射することによって薄膜を単結晶薄膜へ転換する。このため、例えば基板の上に遮蔽体が形成されているなどのために、複数方向からのビームが基板の上に均一に照射されなくても、基板の上のどの部分にも単結晶薄膜か軸配向多結晶薄膜の少なくとも何れかが形成されているので、目立った特性上の劣化を引き起こさない。
【0022】
<請求項3に記載の発明の作用>
この発明の方法では、軸配向多結晶薄膜を形成する際における気体のビームの照射方向と、軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する際における気体のビームの複数の照射方向の1つとが、互いに同一であるので、単結晶薄膜への転換が円滑に行われる。
【0023】
<請求項4に記載の発明の作用>
この発明の方法では、不活性ガスのビームが照射に供されるので、形成される単結晶薄膜に気体が残留しても、薄膜の電子物性等の特性に目立った影響を及ぼさないのに加えて、侵入した気体を薄膜から容易に除去することができる。
【0024】
<請求項5に記載の発明の作用>
この発明の方法では、不活性ガスを構成する元素の原子量が、薄膜として成長しつつある所定の物質の構成元素の最大の原子量よりも低いので、照射された不活性ガスの原子またはイオンの大部分が、薄膜の表面ないしその近傍で後方へ散乱され、薄膜の中に残留し難い。
【0025】
<請求項6に記載の発明の作用>
この発明の方法では、照射される気体が薄膜として成長する物質の構成元素を含んでいる。このため、照射後にこの構成元素の原子またはイオンが薄膜の中に残留しても、これらが不純物として単結晶薄膜へ悪影響を及ぼす恐れがない。
【0026】
<請求項7に記載の発明の作用>
この発明の方法では、ビーム発生源が電子サイクロトロン共鳴型のイオン発生源である。このため、イオンビームの指向性が高いのに加えて、イオン発生源から所定以上の距離において、イオンを中性化する手段を用いることなく、強度の中性ビームが得られる。また、電気絶縁性の基板にイオンの電荷が蓄積しない。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態に係る実施例を説明する。
【0028】
<1.第1実施例>
まず、この発明の第1実施例の装置について述べる。
【0029】
<1-1.装置の全体構成>
図2は、この実施例の軸配向多結晶薄膜形成装置の全体構成を示す正面断面図である。この装置102は、基板の上に所定の物質の薄膜を成長させつつ、同時にこの薄膜を一軸配向性の多結晶薄膜へと転換することによって、基板の上に軸配向多結晶薄膜を形成することを目的として構成されている。
【0030】
この装置102では、反応容器1の上部に、電子サイクロトロン共鳴型(ECR)のイオン発生器2が組み込まれている。ECRイオン発生器2は、プラズマ室4を内部に規定するプラズマ容器3を備えている。プラズマ容器3の周囲には、プラズマ室4に直流の高磁場を印加する磁気コイル5が設置されている。プラズマ容器3の上面には、マイクロ波をプラズマ室4へ導入する導波管6、およびNeなどの不活性ガスを導入する不活性ガス導入管7が設けられている。
【0031】
反応容器1は、その内部に反応室8を規定する。プラズマ容器3の底部はその中央部に、プラズマが通過する引出口9を規定する。反応室8とプラズマ室4とは、この引出口9を介して互いに連通している。反応室8の内部には、引出口9の直下の位置に試料台10が設置され、さらに、試料台10の上には基板11が載置されている。基板11は試料を構成する要素の一つであり、多結晶構造、アモルファス構造、または単結晶構造の何れの物質で構成されてもよい。この基板11の上に所望の方向に配向した軸配向多結晶薄膜が形成される。
【0032】
反応室8には、反応ガス供給管13が連通している。この反応ガス供給管13を通して、プラズマCVDにより基板11上に所定の物質の薄膜を形成するための反応ガスが供給される。図2の例では、3本の反応ガス供給管13a、13b、および13cが設けられている。反応室8には、更に真空排気管14が連通している。この真空排気管14の一端には、図示しない真空装置が連結しており、真空排気管14を介して、反応室8に存在する気体が排気されることにより、反応室8における真空度が所定の高さに保持される。反応室8における真空度を表示する真空計15が、反応室8に連通して設置されている。
【0033】
<1-2.ECRイオン発生器2の動作>
つぎに、ECRイオン発生器2の動作について説明する。不活性ガス導入管7からプラズマ室4へ、Ne、Ar等の不活性ガスを導入しつつ、同時に導波管6からプラズマ室4へマイクロ波が導入される。更に同時に、磁気コイル5に直流電流が供給されることにより、プラズマ室4およびその周囲に直流磁場が形成される。供給された気体は、マイクロ波と直流磁場の作用でプラズマ状態に保たれる。このプラズマは、マイクロ波と直流磁場とによってサイクロトロンの原理で螺旋運動する高エネルギーの電子によって生成される。
【0034】
この電子は、反磁性の特性を有するので、磁場の弱い方に移動し、磁力線に沿った電子流を形成する。その結果、電気的中性を維持するために、電子流に伴われて正イオンも、磁力線に沿ったイオン流を形成する。すなわち、引出口9から反応室8へ、下方向に向かう電子流とイオン流とが形成される。イオン流は、電子流と並行して流れるので、消イオン時間を経過すると、互いに再結合することによって中性原子流となる。したがって、引出口9から下方に所定距離以上離れた位置では、殆ど中性の原子流のみが形成されている。
【0035】
図3は、ECRイオン発生器2によって、10eVのAr+イオンを引出口9より取り出したときの、イオン電流密度と引出口9からの距離との関係を実測した結果を示すグラフである。このグラフによれば、イオン電流密度は、引出口から4〜5cmの距離から急激に減少を始め、14cmの位置では1/10〜1/12の大きさに減衰することが読み取れる。イオン電流が減衰した分、中性原子流が増加しており、引出口9から下方に14cm以上離れた位置では、殆ど中性の原子流のみが下方向へ向かって流れている。
【0036】
このように、ECRイオン発生器2は、イオンを発生する装置でありながら、イオン流を電子流に並行して形成するので、ECRイオン発生器2を用いることにより、イオン流を中性化する他の手段を用いることなく、密度の高い中性の原子流を容易に得ることができるという利点がある。また、イオン流が電子流と並行して形成されるので、進行方向があまり発散することなく、進行方向の揃った平行流に近いイオン流が得られる。また、平行なイオン流が中性の原子流に転換されるので、原子流も進行方向の揃った平行流に近いものとなる。
【0037】
また、基板11には中性の原子流が照射されるので、基板11が電気絶縁性であっても、イオンの電荷が基板11に蓄積して基板11への照射が阻害されるという恐れがない。
【0038】
<1-3.装置102の動作>
つぎに図2に戻って、装置102の動作について説明する。基板11として多結晶SiO2(石英)を用い、この石英基板11の上に単結晶Siの薄膜を形成する例を取り上げる。反応ガス供給管13a、13b、および13cのそれぞれから、単結晶Siの主材料であるSiを供給するSiH4(シラン)ガス、p型不純物をドープするためのB23(ジボラン)ガス、およびn型不純物をドープするためのPH3(ホスフィン)ガスが供給される。不活性ガス導入管7から導入される不活性ガスとしては、好ましくはSi原子よりも原子量の小さいNeガスが選択される。
【0039】
ECRイオン発生器2の働きにより、引出口9から下方に向かってNe+イオン流と電子流が形成される。引出口9から基板11までの距離は、好ましくは、Ne+イオン流が殆ど中性Ne原子流に転換されるのに十分なだけの大きさに設定される。反応ガス供給管13から供給されるシランガスは、これらのNe+イオン流あるいはNe原子流によって、基板11へ向かって叩きつけられる。その結果、基板11の上面においてプラズマCVD反応が進行し、シランガスが供給するSiを構成元素とする薄膜、すなわちSi薄膜が成長する。また、ジボランガスまたはホスフィンガスをその流量を適正に調整しつつ供給することによって、これらのガスによるプラズマCVD反応も同時に進行し、B(ボロン)またはP(燐)を所望の濃度で含有するSi薄膜が形成される。
【0040】
基板11は加熱されない。このため、基板11は、略常温度に保持される。したがって、Si薄膜は略常温度下で成長する。すなわち、プラズマCVDによって結晶化が進行する温度以下の温度でSi薄膜が形成される。このためSi薄膜は、プラズマCVDによって、まずアモルファスSiとして形成される。
【0041】
前述の下方向へ向かうNe原子流は、基板11の上面へ垂直に入射する。すなわち、基板11の上面に形成されつつあるSi薄膜には、引出口9から直進して来たNe原子流が照射される。
【0042】
ところで、ECRイオン発生器2によって形成されるプラズマのエネルギーは、基板11に到達するNe原子のエネルギーが、Si薄膜においてスパッタリングを引き起こさない大きさになるように、すなわちNe原子の照射によるSiのスパッタリングにおけるスレッショルド・エネルギーとして知られる値(=27eV)よりも低くなるように設定される。したがって、成長しつつあるアモルファスSi薄膜に、いわゆるブラベー(Bravais)の法則が作用する。すなわち、アモルファスSiに照射されるNe原子流の入射方向に垂直な面が、最稠密結晶面すなわち(111)面となるようにアモルファスSi内のSi原子が再配列する。
【0043】
すなわち、プラズマCVDによって成長しつつあるアモルファスSi薄膜は、一つの最稠密面に垂直な結晶軸の方向が、基板11の表面に垂直な方向に揃った多結晶Si薄膜、すなわち一軸配向性の多結晶Si薄膜へと逐次転換される。その結果、基板11の上には多結晶Si薄膜が形成され、しかも、この多結晶構造を構成するいずれの結晶粒においても、その表面には(111)面が露出する。
また、反応ガス供給管13より、ジボランガスまたはホスフィンガスを、シランガスと同時に供給することによって、BまたはPが添加されたp型またはn型の軸配向多結晶Si薄膜が形成される。
【0044】
また、前述のようにSi薄膜に照射する原子流を構成する元素として、Si原子よりも軽いNeを選択するのが望ましい。これは、Ne原子流がSi薄膜に照射された際に、比較的重いSi原子が比較的軽いNe原子を後方へ散乱する確率が高いために、Ne原子がSi薄膜の中に侵入し残留するということが起こりにくいからである。更に、照射する原子流を構成する元素に不活性元素を選択するのは、不活性元素がSi薄膜の中に残留しても、この残留する不活性元素は、Siおよびドープされた不純物等のいずれとも化合物を形成することがなく、Si薄膜の電子物性には余り影響を及ぼさず、しかも出来上がった単結晶Si薄膜をある程度昇温することによって、容易に外部へ除去され得るからである。
【0045】
ところで、装置102において、Ne原子流あるいは中性化する前のNeイオン流の照射を受ける可能性のある部分、例えば、反応容器1の内壁、試料台10の上面などは、照射によってスパッタリングが発生しない材料で構成される。すなわち、Neイオン流のエネルギーよりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成される。そのため、これらの部材においてNe原子流またはNeイオン流の照射によるスパッタリングが発生しないので、これらの部材を構成する材料元素による薄膜への汚染が防止される。また、スパッタリングによるこれらの部材の損傷も防止される。
【0046】
表1は、照射される原子またはイオンの種類と、標的となる物質を構成する元素との、各種の組合せにおけるスパッタリングのスレッショルド・エネルギーの値を示す。なお、表1に掲げられる値は、特に示される一部の値を除いて、すべてシミュレーションに基づいて得られたものである。
【0047】
【表1】
Figure 0003694282
【0048】
Neイオン流のエネルギーは、形成すべきSi薄膜におけるスレッショルド・エネルギー以下に設定されるので、Ne照射におけるスレッショルド・エネルギーがSi薄膜よりも高い材料、例えば、表1に示されるTa、W、Ptなどを用いて反応容器1、試料台10などを構成するとよい。また、それらの部材の表面、例えば反応容器1の内壁あるいは試料台10の表面などに、Ta等のスレッショルド・エネルギーが高い材料をコーティングしても同様の効果が得られる。
【0049】
以上は、Si薄膜の形成を例として装置102の構成と動作について説明したが、装置102を用いて、Si以外の軸配向多結晶薄膜を形成することも可能である。例えば、GaAs薄膜を形成することも可能である。この場合には、反応ガス供給管13より供給される反応ガスは、Ga(CH33等を含むGaAsの形成に適した反応ガスが選ばれる。また、GaAsは2元素から成る化合物であるが、照射されるイオン流または原子流を構成する元素は、これらの2元素の中で原子量が大きいAs元素よりも軽い元素、例えばNeまたはArを選ぶとよい。そして、照射エネルギーについても同様に、原子量が大きいAs元素に関するスレッショルド・エネルギー以下になるように設定される。
【0050】
一般に、形成すべき薄膜が複数元素で構成される場合には、照射されるイオン流または原子流を構成する元素は、これらの複数元素の中の原子量が最大である元素よりも軽い元素を選ぶとよい。そして、照射エネルギーについても同様に、原子量が最大の元素に関するスレッショルド・エネルギー以下になるように設定される。このとき、装置102において、試料台10などのイオン流または原子流の照射を受ける部材の表面を、薄膜の材料よりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成するとよい。
【0051】
あるいは、これらの表面を、薄膜と同一材料で構成してもよい。例えば、装置102を、Siの軸配向多結晶薄膜を形成するための装置として構成するときには、試料台10の表面等をSiでコーティングするとよい。このように、構成すれば、試料台10等においてスパッタリングが発生しても、それが、異種元素によるSi薄膜の汚染を引き起こさないという利点が得られる。
【0052】
さらに、試料台10などのイオン流または原子流の照射を受ける部材の表面を、照射されるイオン流または原子流を構成する元素よりも重い元素を含む材料で構成するとよい。そうすることによって、イオン流または原子流の照射にともなって、これらのイオン流または原子流を構成する元素がそれらの部材の中に侵入し難いという利点が生まれる。このため、異種元素の侵入によるこれらの部材の劣化が抑制される。
【0053】
なお、装置102では、プラズマCVDによりSi薄膜が成長する過程で、同時に一軸配向性の多結晶への転換が逐次進行する。このため、膜厚の大きい軸配向多結晶Si薄膜を、しかも低温下で形成することが可能である。低温度下で軸配向多結晶薄膜を形成できるので、例えば既に所定のデバイスが作り込まれた基板の上に、このデバイスの特性を変えることなく、一軸配向結晶薄膜を形成することが可能である。
【0054】
また、以上の説明では、基板11は試料台10の上に水平に載置され、その結果、原子流は基板11に垂直に入射した。このため、基板11の上に例えばSiの軸配向多結晶薄膜を形成するときには、薄膜の表面が(111)面となった。
しかしながら、基板11を試料台10に傾斜させて載置することによって、薄膜の表面に対して傾斜した所望の方向に(111)面が一様に配向したSiの軸配向多結晶薄膜を形成することも可能である。
【0055】
なお、試料台10は、回転機構に連結されるなど、基板11を水平回転可能な構造に構成してもよい。また、試料台10は、水平移動機構に連結されるなど、基板11を水平移動可能な構造に構成してもよい。このように構成することによって、基板11の上に均一に一軸配向薄膜を形成することが可能となる。
【0056】
<1-4.実証データ>
ここでは、上記の方法によって軸配向多結晶薄膜が形成されることを実証した試験について記述する。図4は、上記の方法に基づいて、多結晶の石英基板11の上に軸配向多結晶Si薄膜を形成した試料の電子線回折像を示す実験データである。この実証試験では、基板11の表面に垂直にNe原子流が照射された。
【0057】
図4に示すように、回折スポットは一点に現れるとともに、そのまわりの円周に沿って連続に分布する。すなわち、実験の結果は、形成されたSi薄膜の1つの(111)面が原子流の入射方向に垂直となるように配向するとともに、入射方向の周りの配向は任意であり、一方向に規制されないことを示している。すなわち、この試料は一つの結晶軸のみが揃った多結晶Si、すなわち軸配向多結晶Siとして形成されていることを実証している。
【0058】
アモルファス構造よりも原子配列における規則性の高い多結晶構造を有する石英基板11の上に、軸配向多結晶Si薄膜を形成し得たことから、アモルファスSiなどのアモルファス構造を有する基板の上に軸配向多結晶薄膜を形成することは当然に可能であると判断し得る。また、多結晶粒の大きさを拡大した構造と等価な単結晶構造を有する基板の上にも、同様に、軸配向多結晶薄膜を形成することができるものと判断し得る。
【0059】
<2.第2実施例>
つぎに、この発明の第2実施例について説明する。
【0060】
<2-1.装置の全体構成>
図5は、この実施例の装置の全体構成を示す正面断面図である。なお、以下の図において、図2に示した装置102と同一部分には同一符号を付して、その詳細な説明を略する。この装置100は、基板の上に所定の物質の薄膜を成長させつつ、同時にこの薄膜を単結晶薄膜へと転換することによって、基板の上に単結晶薄膜を形成することを目的として構成された単結晶薄膜形成装置である。
【0061】
図5に示すように、この装置100の構造は、反射板12が試料台10に設置される点が、装置102とは特徴的に異なる。反射板12は、ECRイオン源2から供給される原子流を反射することによって、原子流を基板11へ複数方向から照射する目的で設置される。このため、反射板12は引出口9の直下に位置し、しかも基板11の上方に位置するように設置される。
【0062】
<2-2.反射板の構成と機能>
図6は、反射板12の好ましい一例における斜視図である。また図7は、図6に示した反射板の平面図であり、図8と図9は分解図である。これらの図を参照しつつ、反射板12の一例について説明する。
【0063】
この反射板12は、単結晶Siなどの、ダイヤモンド構造を有する単結晶を形成するための反射板の一例である。反射板12は、平板状の遮蔽板51の中央部に正六角形の開口部を規定する。遮蔽板51の下面には、開口部を囲むように、3個の反射用ブロック53が固定的に設置されている。反射用ブロック53は、貫通孔57を貫通しネジ孔58に螺合するネジによって、遮蔽板51に締結されている。その結果、遮蔽板51の開口部の直下には、これらの反射用ブロック53で縁どりされた正三角形状の開口部54が形成される。
【0064】
上方から降り注ぐ原子流は、遮蔽板51によって選択的に遮蔽され、正六角形の開口部のみを通過する。反射用ブロック53において、開口部54に面する斜面55が、気体ビームを反射する反射面として機能する。図7の平面図に示されるように、3つの斜面55はそれぞれ遮蔽板51の正六角形の開口部に選択的に露出する。このため、上方から降り注ぐ原子流は、開口部54を通過して基板11に垂直方向に直接入射する第1の成分と、3つの斜面55のそれぞれによって反射されることによって基板11へ斜め方向から入射する第2〜第4の成分の、合計4成分に分解される。
【0065】
図7に示すように、正三角形の開口部54の三隅は、上方から見ると正六角形の開口部の1つおきの隅に一致している。すなわち、上方から見て、正六角形の開口部の隣合う二辺を等辺とする3つの二等辺三角形の領域に、3つの斜面55がそれぞれ選択的に露出する。このことは、複数の斜面55による二重反射を防止するとともに、基板11の上に均一に各原子流成分を照射させることを可能にする。図10および図11を用いてこのことを説明する。
【0066】
図10は、図7と同様に反射板12の平面図である。また、図10に示されるA−A切断線に沿った断面図を図11に示す。これらの図に示すように、二等辺三角形の頂点に相当する1つの斜面55上の位置(図におけるB点)に入射する原子流は、反射された後に正三角形の開口部54の相対する頂点(図におけるC点)へ入射する。したがって、開口部54の一辺とA−A切断線との交点をD点と定義すると、斜面55上のB−D間に飛来した原子流は、開口部54上のD−C間に均等に分配される。
【0067】
A−A切断線を平行にずらして成る任意の切断線E−E上に飛来する原子流についても同様のことがいえる。すなわち、引出口9から飛来する原子流は遮蔽板51によって斜面55上に選択的に供給される結果、反射された3成分の原子流が、基板11上の開口部54の直下に相当する領域に均一に入射する。
【0068】
また、正六角形の開口部を通過して1つの斜面55に供給される原子流は、上述のようにすべて開口部54上に入射し、隣接する他の斜面55へ入射することがない。このため、原子流が複数の斜面55によって多重反射された成分が基板11上に入射するという恐れがない。
【0069】
なお、斜面55の傾斜角は、図11に示したように例えば55゜に設定される。
【0070】
このとき、斜面55で反射された原子流は、開口部54の直下に位置する基板11の上に70゜の入射角をもって入射する。すなわち、基板11には第1成分が垂直に入射するとともに、第2〜第4成分が70゜の入射角をもって、しかも第1の成分の入射方向の周りに3回対称な方向に入射する。このとき、これらの第1〜第4の成分の入射方向は、Si単結晶の最稠密面である4つの(111)面に垂直な4方向に、それぞれ対応する。
【0071】
<2-3.装置の動作>
図5に戻って、装置100の動作について説明する。反射板12として、図6〜図9に示した反射板12を用い、基板11として多結晶SiO2(石英)を用い、この石英基板11の上に単結晶Siの薄膜を形成する例を取り上げる。反射板12における斜面55の傾斜角は55゜に設定されているものとする。
【0072】
反応ガス供給管13a、13b、および13cのそれぞれから、単結晶Siの主材料であるSiを供給するSiH4(シラン)ガス、p型不純物をドープするためのB23(ジボラン)ガス、およびn型不純物をドープするためのPH3(ホスフィン)ガスが供給される。不活性ガス導入管7から導入される不活性ガスとしては、好ましくはSi原子よりも原子量の小さいNeガスが選択される。
【0073】
ECRイオン発生器2の働きにより、引出口9から下方に向かってNe+イオン流と電子流が形成される。引出口9から反射板12までの距離は、好ましくは、Ne+イオン流が殆ど中性Ne原子流に転換されるのに十分なだけの大きさに設定される。
【0074】
このため、図2に示した装置102と同様に、基板11の上面においてプラズマCVD反応が進行し、アモルファスSi薄膜が成長する。また、ジボランガスまたはホスフィンガスをその流量を適正に調整しつつ供給することによって、これらのガスによるプラズマCVD反応も同時に進行し、B(ボロン)またはP(燐)を所望の濃度で含有するSi薄膜が形成される。
【0075】
同時に、反射板12の働きによって、基板11上に形成されつつあるアモルファスSi薄膜には、Ne原子流の4成分が照射される。そして、これらの4成分の入射方向は、前述したようにSi単結晶の4つの(111)面に垂直な方向に対応する。さらに、装置102におけると同様に、ECRイオン発生器2によって形成されるプラズマのエネルギーは、基板11に到達するNe原子のエネルギーが、Ne原子の照射によるSiのスパッタリングにおけるスレッショルド・エネルギー(=27eV)よりも低くなるように設定される。したがって、成長しつつあるアモルファスSi薄膜に、ブラベーの法則が作用する。すなわち、アモルファスSiに照射されるNe原子流の4成分に垂直な面が、最稠密結晶面となるようにアモルファスSi内のSi原子が再配列する。
【0076】
すなわち、互いに独立な入射方向を有する4つの(複数の)Ne原子流の成分によって、(111)面の方向が規制されるので、Si原子が再配列することによって、単一の結晶方位を有する単結晶Siが形成される。すなわち、プラズマCVDによって成長しつつあるアモルファスSi薄膜は、結晶方位の揃った単結晶Si薄膜へ逐次転換される。その結果、最終的に基板11の上に結晶方位の揃った単結晶Si薄膜が形成される。なお、この単結晶Si薄膜は、表面が(111)面となる。
【0077】
反応ガス供給管13より、ジボランガスまたはホスフィンガスを、シランガスと同時に供給することによって、BまたはPが添加されたp型またはn型の単結晶Si薄膜が形成される。また、不純物元素を含有するこれらの反応ガスを、交互に供給することによって、例えばp型単結晶Si層の上に、等軸のn型単結晶Si層を形成することも可能である。
【0078】
このように、装置100では、プラズマCVDによりSi薄膜が成長する過程で、同時に単結晶への転換が逐次進行する。このため、従来の方法に比べてはるかに効率よく単結晶薄膜を形成し得る。しかも、外部から種結晶を付加する必要がないので、工程が簡単であるとともに確実に単結晶薄膜を形成することができる。さらに、膜厚の大きい単結晶Si薄膜を、しかも低温下で形成することが可能である。低温度下で単結晶薄膜を形成できるので、例えば既に所定のデバイスが作り込まれた基板の上に、このデバイスの特性を変えることなく、更に新たな単結晶薄膜を形成することが可能である。
【0079】
また、この装置100では、1台のECRイオン源2が供給する1本の原子流を複数の成分に分離して、それぞれを複数の方向から基板11へ照射するので、複数の原子流成分を照射するために、原子流成分と同数のECRイオン源2を準備する必要がないという利点がある。
【0080】
また、反射板12を使用するので、複数の斜面55による原子流の多重散乱が起こらない。このため、基板11へは所定の4方向以外の方向からの原子流の照射は起こらない。しかも、反射板12は、基板11への原子流の均一な照射を実現するので、所定の4方向からの原子流の照射が均一に行われる。このため、基板11の上に単結晶Si薄膜が均一に形成される。
【0081】
ところで、装置100において、Ne原子流あるいは中性化する前のNeイオン流の照射を受ける可能性のある部分、例えば、反射板12、反応容器1の内壁、試料台10などは、照射によってスパッタリングが発生しない材料、すなわちNeイオン流のエネルギーよりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成される。例えば、表1に示されるTa、W、Ptなどで構成される。そのため、これらの部材においてNe原子流またはNeイオン流の照射によるスパッタリングが発生しないので、これらの部材を構成する材料元素による薄膜への汚染が防止される。
【0082】
また、それらの部材においてNe原子流の照射を受ける表面、例えば遮蔽板51の上面、斜面55などに、Ta等のスレッショルド・エネルギーが高い材料をコーティングしても同様の効果が得られる。
【0083】
以上は、Si薄膜の形成を例として装置100の構成と動作について説明したが、装置100を用いて、Si以外の軸配向多結晶薄膜を形成することも可能である。例えば、GaAs薄膜を形成することも可能である。斜面55の傾斜角、個数等の反射板12の構造を適宜変更することによって、任意の物質、結晶構造、および結晶方位を有する単結晶薄膜を形成することができる。反射板12の表面等は、薄膜の材料よりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成される。
【0084】
反射板12等の表面を薄膜の材料よりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成する代わりに、薄膜と同一材料で構成してもよい。例えば、装置100を、Siの単結晶薄膜を形成するための装置として構成するときには、反射板12の表面等をSiでコーティングするとよい。このように、構成すれば、反射板12等においてスパッタリングが発生しても、それが、異種元素によるSi薄膜の汚染を引き起こさないという利点が得られる。
【0085】
さらに、反射板12等の表面を、照射されるイオン流または原子流を構成する元素よりも重い元素を含む材料で構成するとよい。そうすることによって、イオン流または原子流の照射にともなって、これらのイオン流または原子流を構成する元素がそれらの部材の中に侵入し難いという利点が生まれる。このため、異種元素の侵入によるこれらの部材の劣化が抑制される。
【0086】
<2-4.実証データ>
つぎに、上記の方法によって単結晶薄膜が形成されることを実証した試験について記述する。図12は、上記の方法に基づいて、多結晶石英基板11の上に単結晶Si薄膜を形成した試料の電子線回折像を示す実験データである。
【0087】
実験の結果、図12に示すように、3回回転対称の回折スポットが得られた。
このことは、得られた試料が、結晶軸がすべて揃った単結晶Siとして形成されていることを実証するものである。アモルファス構造よりも原子配列における規則性の高い多結晶構造を有する石英基板11の上に、単結晶Si薄膜を形成し得たことから、アモルファスSiなどのアモルファス構造を有する基板の上に単結晶薄膜を形成することは当然に可能であると判断し得る。また、多結晶粒の大きさを拡大した構造と等価である単結晶構造を有する基板の上に、この基板の単結晶の配向方向とは無関係な所望の方向に配向した単結晶薄膜を形成することができる。
【0088】
<3.第3実施例>
つぎに、この発明の第3実施例の装置について述べる。図13は、この実施例の装置の全体構成を示す正面断面図である。この装置101は、基板の上に非晶質構造あるいは多結晶構造を有する所定の物質の薄膜をあらかじめ形成させておき、その後、この薄膜を単結晶薄膜へと転換することによって、基板の上に単結晶薄膜を形成することを目的として構成された単結晶薄膜形成装置である。
【0089】
図13に示すように、この装置101の構造は、反応ガス供給管13が設けられない点が、装置100とは特徴的に異なる。また、試料台10は、図示しないヒータを備えており、このヒータの作用により基板11を加熱し、適正な高温度に保持することが可能である。
【0090】
図13を参照しつつ、装置101の基本的な動作について説明する。反射板12として図6〜図9に示した反射板12を用い、基板11として多結晶の石英基板を用い、この石英基板11の上に単結晶Si薄膜を形成する例を取り上げる。石英基板11の上には、CVD(化学気相成長法)等の既知の方法を用いて、多結晶Si薄膜があらかじめ形成されているものとする。
【0091】
まず、基板11を試料台10と反射板12の間へ装着する。試料台10が備えるヒータは、基板11を550゜Cの温度に保持する。この温度は、シリコンの結晶化温度よりも低い温度であるために、この温度の下では、一旦形成された単結晶Siが多結晶Siへと逆戻りすることはない。同時にこの温度は、種結晶が存在すれば、この種結晶を核として多結晶Siが単結晶Siへと成長し得るほどには高温度である。
【0092】
第1実施例で述べたと同じ理由により、基板11に照射すべき原子流としてNe原子流が選択され、しかも、ECRイオン源2によって形成されるNeプラズマのエネルギーは、基板11に到達するNe原子のエネルギーが、Siのスパッタリングにおけるスレッショルド・エネルギーよりも低くなるように設定される。また、反射板12の働きによって、基板11上に形成されている多結晶Si薄膜には、Ne原子流の4成分が照射される。そして、これらの4成分の入射方向は、Si単結晶の4つの(111)面に垂直な方向に対応する。
【0093】
このため、多結晶Si薄膜の表面近傍にブラベーの法則が作用することによって、多結晶Si薄膜に照射されるNe原子流の4成分の入射方向に垂直な面が最稠密面となるように、多結晶Si薄膜の表面近傍におけるSi原子が再配列する。すなわち、互いに独立な入射方向を有する4つの(複数の)Ne原子流の成分によって、表面近傍における(111)面の方向が規制されるので、多結晶Si薄膜の表面近傍の層が、結晶方位の揃った単結晶Si層へと転換される。
【0094】
多結晶Si薄膜の温度は、前述のように550゜Cすなわち種結晶が成長するに適した範囲内の温度に調整されている。このため、多結晶Si薄膜の表面に形成された単結晶Si層が種結晶として機能し、単結晶Si層が多結晶Si薄膜の深部に向かって成長する。そして、多結晶Si薄膜の全領域が単結晶Si層へ転換される。このようにして、石英基板11の上に結晶方位の揃った単結晶Si層が形成される。
【0095】
照射によって多結晶Si薄膜の表面に形成され、種結晶として機能する単結晶Si層は、多結晶Si薄膜から転化して形成されたものであるので、その深部側に残っている多結晶Siの層とは一体をなしている。すなわち、多結晶Siの層と種結晶との間の接触性は完全である。このため、縦方向の固相エピタキシャル成長が良好に進行する。また、種結晶と固相エピタキシャル成長によって形成された単結晶Siとは、ともに同一結晶方位を有する同一物質の単結晶であるために、単結晶Si薄膜を形成した後に種結晶を除去する必要がない。また、単結晶Si薄膜が、縦方向の固相エピタキシャル成長によって形成されるので、横方向に成長する従来の技術に比べて、短時間で効率よく所望の単結晶Si薄膜を得ることができる。
【0096】
ところで、装置100と同様に、装置101においても、Ne原子流あるいは中性化する前のNeイオン流の照射を受ける可能性のある部分、例えば、反射板12、反応容器1の内壁、試料台10などにおいて、少なくともその表面は、照射によってスパッタリングが発生しない材料、例えば、表1に示されるTa、W、Ptなどで構成される。そのため、これらの部材においてNe原子流またはNeイオン流の照射によるスパッタリングが発生しないので、これらの部材を構成する材料元素による薄膜への汚染が防止される。
【0097】
以上は、Si薄膜の形成を例として装置101の構成と動作について説明したが、装置101を用いて、Si以外の軸配向多結晶薄膜を形成することも可能である。例えば、GaAs薄膜を形成することも可能である。この場合にも、反射板12の表面等は、薄膜の材料よりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成される。また、装置100と同様に、反射板12等の表面を薄膜の材料よりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成する代わりに、薄膜と同一材料で構成してもよい。さらに、反射板12等の表面を、照射されるイオン流または原子流を構成する元素よりも重い元素を含む材料で構成するとよい。
【0098】
<4.第4実施例>
つぎに、この発明の第4実施例の装置について述べる。図14は、この実施例の装置の全体構成を示す正面断面図である。この装置103は、基板の上に非晶質構造あるいは多結晶構造を有する所定の物質の薄膜をあらかじめ形成させておき、その後、この薄膜を軸配向多結晶薄膜へと転換することによって、基板の上に軸配向多結晶薄膜を形成することを目的として構成された軸配向多結晶薄膜形成装置である。
【0099】
図14に示すように、この装置102は、装置101(図13)から反射板12を除去した構造を有する。また装置101と同様に、試料台10は図示しないヒータを備えており、このヒータの作用により基板11を加熱し、適正な高温度に保持することが可能である。
【0100】
図14を参照しつつ、装置103の基本的な動作について説明する。基板11として多結晶の石英基板を用い、この石英基板11の上に軸配向多結晶Si薄膜を形成する例を取り上げる。石英基板11の上には、CVD(化学気相成長法)等の既知の方法を用いて、多結晶Si薄膜があらかじめ形成されているものとする。この多結晶Si薄膜は、各結晶粒が任意の方向に配向した通常の多結晶構造であってよい。
【0101】
まず、基板11を試料台10の上に装着する。試料台10が備えるヒータは、基板11を550゜Cの温度に保持する。この温度は、シリコンの結晶化温度よりも低い温度であるために、この温度の下では、一旦形成された軸配向多結晶Siが元の通常の多結晶Siへと逆戻りすることはない。同時にこの温度は、種結晶が存在すれば、この種結晶を核として通常の多結晶Siが軸配向多結晶Siへと成長し得るほどには高温度である。
【0102】
引出口9を通過したイオン流は原子流となって基板11の表面に垂直に入射する。第1実施例で述べたと同じ理由により、基板11に照射すべき原子流としてNe原子流が選択され、しかも、ECRイオン源2によって形成されるNeプラズマのエネルギーは、基板11に到達するNe原子のエネルギーが、Siのスパッタリングにおけるスレッショルド・エネルギーよりも低くなるように設定される。
【0103】
このため、多結晶Si薄膜の表面近傍にブラベーの法則が作用することによって、多結晶Si薄膜に照射されるNe原子流の入射方向に垂直な面が最稠密面となるように、多結晶Si薄膜の表面近傍におけるSi原子が再配列する。すなわち、(111)面が表面に沿うように一軸方向が揃った軸配向多結晶Si層へと多結晶Si薄膜の表面近傍の層が転換される。
【0104】
多結晶Si薄膜の温度は、前述のように550゜Cすなわち種結晶が成長するに適した範囲内の温度に調整されている。このため、通常の多結晶Si薄膜の表面に形成された軸配向多結晶Si層が種結晶として機能し、軸配向多結晶Si層が通常の多結晶Si薄膜の深部に向かって成長する。そして、多結晶Si薄膜の全領域が軸配向多結晶Si層へ転換される。このようにして、石英基板11の上に、(111)が表面に沿うように配向した軸配向多結晶Si薄膜が形成される。
【0105】
なお、基板11の上に通常の多結晶Si薄膜をあらかじめ形成する代わりに、アモルファスSi薄膜をあらかじめ形成した後に、装置103に供することによっても、軸配向多結晶Si薄膜を形成することができる。
【0106】
ところで、装置102と同様に、装置103においても、Ne原子流あるいは中性化する前のNeイオン流の照射を受ける可能性のある部分、例えば、反応容器1の内壁、試料台10などにおいて、少なくともその表面は、照射によってスパッタリングが発生しない材料、例えば、表1に示されるTa、W、Ptなどで構成される。そのため、これらの部材においてNe原子流またはNeイオン流の照射によるスパッタリングが発生しないので、これらの部材を構成する材料元素による薄膜への汚染が防止される。
【0107】
以上は、Si薄膜の形成を例として装置103の構成と動作について説明したが、装置103を用いて、Si以外の軸配向多結晶薄膜を形成することも可能である。例えば、GaAs薄膜を形成することも可能である。この場合にも、試料台10の表面等は、薄膜の材料よりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成される。また、装置102と同様に、試料台10等の表面を薄膜の材料よりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成する代わりに、薄膜と同一材料で構成してもよい。さらに、試料台10等の表面を、照射されるイオン流または原子流を構成する元素よりも重い元素を含む材料で構成するとよい。
【0108】
<5.第5実施例>
つぎに、第5実施例について説明する。この実施例の方法は、基板の上に軸配向多結晶薄膜を形成した後に、複数方向から原子流を照射することによって単結晶薄膜に転換し、そのことによって基板11の上に単結晶薄膜を形成するものである。そのためには、例えば、第1実施例の装置102を用いて基板11の上に軸配向多結晶薄膜を形成した後に、第3実施例の装置101を用いて、この薄膜を単結晶薄膜に転換するとよい。
【0109】
あるいは、第2実施例の装置100を用いて、はじめは反射板12を除いて反応ガスの供給と原子流の照射とを実行することによって軸配向多結晶薄膜を形成し、その後、装置100に反射板12を設置して基板11を加熱しつつ原子流の照射を実行することによって、薄膜を単結晶薄膜に転換し、その結果、基板11の上に単結晶薄膜を形成してもよい。
【0110】
あるいはまた、基板11の上に非晶質あるいは通常の多結晶構造の薄膜をCVD等によってあらかじめ形成し、その後、装置103を用いて軸配向多結晶薄膜に転換し、さらにその後、装置101を用いて単結晶薄膜に転換し、その結果、基板11の上に単結晶薄膜を形成してもよい。
【0111】
このように、この実施例の方法では、基板11の上に単結晶薄膜を形成する前に、あらかじめ軸配向多結晶薄膜を形成する。このため、基板11の上に単結晶薄膜が形成され難い部位があっても、その部位には単結晶薄膜に近い特性を備える軸配向多結晶薄膜が形成されているので、薄膜の機械的および電気的特性が目立って劣化しないという利点がある。すなわち、単結晶薄膜を形成する工程を精密に実行しなくても、適度に良好な特性をもった薄膜を得ることができる。
【0112】
このことは、基板11の形状が平板状でなく立体形状であったり、あるいは基板11の表面に厚みを有する遮蔽体が形成されているなどのために、基板11の所定の領域に複数方向からの原子流を均一に照射し難い場合に特に有効である。
図15〜図17に、それらの例を示す。
【0113】
図15は、立体形状を有する基板11の上に軸配向多結晶Si薄膜71があらかじめ形成されてなる試料70の表面に、2方向からNe原子流が照射されつつある状態を模式的に図示する断面図である。図14が示すように、試料70が立体形状を成しており、そのために、試料70自身が原子流に対する遮蔽体となる。その結果、軸配向多結晶Si薄膜71の特定の領域においては、Ne原子流の照射は一方向からのみ行われ、2方向からの照射は実現しない。
【0114】
図16および図17は、薄膜状の半導体集積回路を製造するプロセスの中で、マスク材72を用いて基板11の上に単結晶Si薄膜を選択的に形成する工程を模式的に示す断面図である。基板11の上には、あらかじめCVD等によってアモルファスまたは通常の多結晶のSi薄膜74を形成する。その後、装置103を用いて、SiO2等で構成されるマスク材72が有する開口部を通して、Ne原子流をSi薄膜74の上面に垂直に照射することによってマスク材72の開口部直下に、軸配向多結晶Si薄膜71を選択的に形成する(図16)。
【0115】
つぎに、装置101を用いて、マスク材72が有する開口部を通して、Si薄膜74の上面にNe原子流を複数方向から照射することによって、軸配向多結晶Si薄膜71を単結晶Si薄膜へと転換する(図17)。このとき、マスク材72が一定の厚さを有することから、マスク材72の開口部の端縁付近には、複数方向からのNe原子流が十分には照射されない。このため、マスク材72の開口部の端縁付近には単結晶Si薄膜が形成され難い。しかしながら、単結晶Si薄膜が形成されなくとも、少なくとも軸配向多結晶Si薄膜が形成されているので、キャリア移動度等の電気的特性上の劣化を最小限に抑えることができる。
【0116】
なお、この実施例の方法において、単結晶薄膜への転換を行うべく照射される原子流の複数の入射方向の一つは、それに先だって軸配向多結晶薄膜を形成すべく照射される原子流の入射方向に一致させるのが望ましい。なぜならば、軸配向多結晶薄膜における共通の一軸方向を変更することなく、単結晶薄膜への転換が行われるので、単結晶薄膜への転換の工程が短時間で円滑に進行するからである。
【0117】
<6.第6実施例>
つぎに、第6実施例について説明する。
【0118】
<6-1.装置の構成>
図18は、この実施例の装置の全体構成を示す正面断面図である。この装置150は、基板11の上にあらかじめ形成された非晶質薄膜または多結晶薄膜(軸配向多結晶薄膜を含む)を、単結晶薄膜へ転換することによって基板上に単結晶薄膜を形成することを目的として構成されている。
【0119】
この装置150は、反射板12の代わりに反射ユニット160が設置されている点が装置101とは特徴的に異なる。反射ユニット160は、複数の所定の入射角度をもって基板11へ入射する複数の原子流成分を生成するためのものであり、試料台10の上に設置されており、しかも、基板11の上方に位置するように設置されている。試料台10は、基板11を加熱し、適正な高温度に保持することが可能な図示しないヒータを備えている。
【0120】
<6-2.反射ユニットの構成と動作>
ここでは、反射ユニット160の構成と動作について説明する。図1および図19は、それぞれ反射ユニット160の構成を示す正面断面図および平面断面図である。これらの図1および図19に例示される反射ユニット160は、単結晶Siなどの、ダイヤモンド構造の単結晶を形成するための反射ユニットである。
この反射ユニット160は、ECRイオン源2のイオン引出口の直下、すなわちECRイオン源2によって生成され下方向へ向かう原子流の下流に配設されている。
【0121】
反射ユニット160の上部には、ECRイオン源2から供給される原子流を選択的に遮断可能な遮蔽板104が水平に設けられている。引出口9からこの遮蔽板104までの距離が、ECRイオン源2が出力するイオン流が中性の原子流に転換されるのに十分な距離、例えば14cm以上となるように反射ユニット160が設置される。すなわち、遮蔽板104には殆ど中性の原子流が到達する。この遮蔽板104には、ECRイオン源2からの原子流の中心軸周りに4回回転対称となるように開口部112が設けられている。ECRイオン源2からの原子流は、これらの開口部112のみを通過して更に下方へ向かって流れる。
【0122】
この遮蔽板104の直下には、反射ブロック106が設置されている。この反射ブロック106は4回回転対称な錐体をなしており、錐体の対称軸は原子流の中心軸に一致し、4つの開口部112の直下に錐体の4つの側面がそれぞれ位置している。これらの側面は必ずしも平面ではなく、一般には曲面である。この4つの側面が原子流を反射する反射面として機能する。すなわち、開口部112を通過した原子流は、反射ブロック106の4つの側面によって反射され、そのことによって、中心軸から遠ざかる方向へ進行する4成分の原子流が得られる。
【0123】
これらの4成分の原子流は、いずれも、そのビーム断面が二次元的(平面的)に拡大する発散ビームである。そして、これらの4成分は、整流部材(整流手段)108を通過することによって、それぞれの進行方向が所望の方向に精度よく揃えられた後、4枚の反射板110へそれぞれ入射する。整流部材108は、反射ブロック106の側面から反射板110へと向かう放射状に原子流の方向を整える働きをなす部材であり、従来周知の技術で構成可能である。
【0124】
これらの4枚の反射板110は、被照射対象である基板11の周囲に、しかも反射ブロック106の対称軸の周りに4回回転対称に配置されている(図19には1枚の反射板110のみを示して他を代表する。また図19には1枚の反射板110の上半部分へ入射しかつ反射する原子流のみを図示し、下半部分への入射および反射原子流については図示を略している。)。反射板110へ入射した原子流の成分は、その反射面によって再び反射される。反射板110の反射面は適度の凹面形状を有する。このため、発散する原子流の成分がこの反射面に反射される結果、適度に集束されることにより、平行ビームとなって、しかも基板11の上面全体にわたって一様に降り注ぐ。しかも、基板11の上面に対して、例えば55゜の入射角度(図1)をもって、4方向から基板11の上面へ平行ビームが入射する。
【0125】
<6-3.装置150の動作>
図18を参照しつつ、装置150の動作について説明する。基板11としてアモルファスまたは多結晶SiO2(石英)基板を用い、この石英基板11の上に単結晶Si薄膜を形成する例を取り上げる。基板11の上には、例えばCVD(化学気相成長法)等の方法を用いて、多結晶Si薄膜(軸配向多結晶Si薄膜を含む)があらかじめ形成されている。
【0126】
まず、基板11を試料台10と反射ユニット160の間へ装着する。試料台10が備えるヒータは、試料すなわち基板11および多結晶Si薄膜を、550゜Cの温度に保持する。装置101と同様に、不活性ガス導入管7から導入されるガスとしては、好ましくはSi原子よりも原子量の小さい不活性のNeガスが選択される。
【0127】
ECRイオン源2の働きにより、Ne原子流が反射ユニット160に供給され、その結果、基板11の上面全体に、例えば55゜の入射角度をもって4つの方向から入射する。この場合、これら4成分のNe原子流の入射方向は、形成すべきSi単結晶の4個の独立な最稠密結晶面、すなわち(111)面に垂直な4方向に対応する。また、装置101と同様に、ECRイオン源2によって形成されるプラズマのエネルギーは、基板11に到達するNe原子のエネルギーが、Ne原子の照射によるSiのスパッタリングにおけるスレッショルド・エネルギーよりも低くなるように設定される。
【0128】
このため、多結晶Si薄膜にブラベの法則が作用する結果、多結晶Si薄膜に照射されるNe原子流の入射方向に垂直な面が最稠密結晶面となるように、多結晶Si薄膜の表面近傍におけるSi原子が再配列する。すなわち、多結晶Si薄膜の表面近傍の層が、結晶方位の揃った単結晶Si層へと転換される。
【0129】
多結晶Si薄膜の温度は、前述のように550゜Cすなわち種結晶が成長するに適した範囲内の温度に調整されている。このため、多結晶Si薄膜の表面に形成された単結晶Si層が種結晶として機能し、単結晶Si層が多結晶Si薄膜の深部に向かって成長する。そして、一定時間を経た後に、多結晶Si薄膜の全領域が単結晶Si層へ転換される。このようにして、基板11の上に結晶方位の揃った単結晶Si層が形成される。形成される単結晶Si薄膜の結晶方位は、(100)面が表面に沿うように配向する。
【0130】
なお、図1に示した55゜の入射角度はいうまでもなく一例であって、反射板110の形状、方向を適宜変更することによって、所望する単結晶薄膜の結晶構造から決まる任意の入射角度をもって基板11へ平行ビームを入射することが可能である。また、反射ブロック106によって発散ビームが生成されるので、反射板110の反射ブロック106の対称軸からの距離を、基板11の広さに応じて適宜調節することによって、広大な基板11の上に一様に平行ビームを照射することができる。
【0131】
このように、この装置150によれば、基板11を走査することなく、ECRイオン源2が供給するビームの断面よりもはるかに大面積の基板11の全面に、所望の入射角度をもって、しかも均一に原子流を照射することができる。すなわち、大面積の基板11の上に所望の単結晶薄膜を均一にかつ効率よく形成することが可能である。
【0132】
また、遮蔽板104に設けられた4つの開口部112の開口面積を、個別に調節することによって、これらの開口部112を通過する4成分のビームの量を個別に調整することが可能である。このため、基板11の上面に複数方向から照射される4成分の各ビーム量を最適に設定することができる。例えば、4成分のビーム量を均一に揃えることができる。このため、良質の単結晶薄膜を効率よく形成することが可能である。
【0133】
また、装置101と同様に、反射ブロック106、整流部材108、反射板110等の原子流の照射を受ける反射ユニット160の各部材等の少なくとも表面を、形成すべき薄膜よりもスパッタリングにおけるスレッショルド・エネルギーの高いTa、W、Ptなどの材料で構成してもよい。また、装置101と同様に、反射ユニット160の各部材等の表面を薄膜の材料よりもスレッショルド・エネルギーの高い材料で構成する代わりに、薄膜と同一材料で構成してもよい。さらに、反射ユニット160の各部材等の表面を、照射されるイオン流または原子流を構成する元素よりも重い元素を含む材料で構成してもよい。
【0134】
<7.第7実施例>
つぎに、この発明の第7実施例の装置について述べる。図20は、この実施例のビーム照射装置の全体構成を示す正面断面図である。この装置151は、装置100と同様に、基板11の上に多結晶薄膜を形成しつつ、それと同時に原子流を照射することによって、成長しつつある多結晶薄膜を単結晶薄膜へ逐次的に転換することを目的として構成されている。
【0135】
このため、装置151では、装置100と同様に、反応室8に反応ガス供給管13が連通している。この反応ガス供給管13を通して、プラズマCVDにより基板11上に所定の物質の薄膜を形成するための反応ガスが供給される。図20の例では、3本の反応ガス供給管13a、13b、および13cが設けられている。その他の構成上の特徴は、装置150と同様である。
【0136】
装置151はつぎのように動作する。第6実施例で取り上げたように、ここでも、基板11として多結晶SiO2(石英)を用い、この基板11の上に単結晶Siの薄膜を形成する例を取り上げる。反応ガス供給管13a、13b、および13cのそれぞれから、単結晶Siの主材料であるSiを供給するSiH4(シラン)ガス、p型不純物をドープするためのB23(ジボラン)ガス、およびn型不純物をドープするためのPH3(ホスフィン)ガスが供給される。また、不活性ガス導入管7からプラズマ室4へ、Neガスが導入される。
【0137】
反応ガス供給管13から供給される反応ガスと、ECRイオン源2によって生成されたNe+イオン流あるいはNe原子流によって、基板11の上面においてプラズマCVD反応が進行し、その結果、アモルファス構造のSi薄膜が成長する。ECRイオン源2から下方向へと向かうNe原子流は、反射ユニット160の働きによって、基板11の上面に形成されつつあるSi薄膜の全面へ、例えば55゜の入射角度をもつ4方向から入射する。ECRイオン源2によって形成されるプラズマのエネルギーは、装置100と同様に、これらの4成分の入射エネルギーが、Siに対するスレッショルド・エネルギーよりも低くなるように設定される。したがって、成長しつつあるアモルファスSi薄膜にブラベの法則が作用する結果、プラズマCVDによって成長しつつあるアモルファスSi薄膜は、結晶方位の揃った単結晶Si薄膜へ逐次転換される。その結果、基板11の上に単一の結晶方位を有する単結晶Siが形成される。
【0138】
この装置151においても、反射ユニット160が用いられるので、基板11を走査することなく、ECRイオン源2が供給するビームの断面よりもはるかに大面積の基板11の全面に、所望の入射角度をもって、しかも均一に原子流を照射することができる。すなわち、大面積の基板11の上に所望の単結晶薄膜を均一にかつ効率よく形成することが可能である。
【0139】
<8.第8実施例>
つぎに、この発明の第8実施例の装置について述べる。図21〜図23は、それぞれこの実施例の装置の斜視図、平面図、および正面図である。これらの図21〜図23を参照しつつ、この実施例の装置の構成と動作について説明する。
【0140】
この装置200では、ECRイオン源2は水平に設置され、水平に載置される基板11の表面と平行な水平方向に気体のビームを供給する。ECRイオン源2から供給される気体のビームが基板11の上面へと到達するまでの経路に、反射ユニット260が介挿されている。
【0141】
反射ユニット260には、気体のビームの経路に沿って、反射ブロック206、遮蔽板204、整流部材208、反射板210が順に配設されている。反射ブロック206は、中心軸が垂直な角柱形状をなしており、この中心軸の周りに回転駆動される。引出口9からこの反射ブロック206までの距離は、ECRイオン源2が出力するイオン流が中性の原子流に転換されるのに十分な距離、例えば14cm以上となるように設定される。このため、反射ブロック206には殆ど中性の原子流が到達する。
【0142】
図24は、反射ブロック206の動作を説明するための平面図である。この図24に示すように、反射ブロック206へ入射する原子流は、反射ブロック206が回転することによって、水平面内の多方向へと散乱される。すなわち、反射ブロック206は、ビーム断面がビームの進行にともなって線状ないし帯状、すなわち略一次元的に拡大する発散ビームを実質的に生成する。
【0143】
遮蔽板204は、発散する原子流の中の、特定範囲の散乱角を有する成分のみを選択的に通過させる。遮蔽板204を通過した原子流は、整流部材208を通過することによって、その進行方向が精密に揃えられる。整流部材208は、整流部材108と同様に構成される。反射ブロック206は、図24等に示すように、四角柱形状である代わりに、例えば三角柱、六角柱など他の角柱形状であってもよい。
【0144】
図21〜図23に戻って、整流部材208を通過した原子流は、水平方向に帯状の反射板210に入射する。反射板210の反射面は適度の凹面形状を有する。このため、発散する原子流の成分がこの反射面に反射される結果、適度に集束されることにより、平行ビームとなって、基板11の上面に線状ないし帯状に降り注ぐ。しかも、この平行ビームは、例えば35゜の入射角度をもって基板11の上面へ入射する。原子流の経路に沿って配設される反射ブロック206から反射板210までの一組の部材が、図22に示すように、2組設置される。このことによって、基板11の上には、対向する2方向からそれぞれ35゜の入射角度をもって原子流が入射する。
【0145】
反射ブロック206によって、原子流は略一次元的に発散するように散乱されるので、反射ブロック206と反射板210の間の距離を十分に設定することによって、ECRイオン源2から供給されるビーム径よりもはるかに幅の広い線状ないし帯状の領域に平行ビームを照射することが可能である。
【0146】
装置200は基板11を載置する図示しない試料台を備えており、この試料台は、図示しない水平移動機構によって水平に移動可能である。この試料台の水平移動にともなって、基板11は、原子流が入射する線状ないし帯状領域とは垂直な方向(交差する方向)に沿って平行に移動する。このように、基板11を走査することによって、基板11の全領域にわたる原子流の照射が実現する。基板11の走査が行われるので、広大な基板11に対して均一に原子流の照射を実行することが可能である。
【0147】
なお、この装置200は、装置100と同様に反応ガス供給管13を備えることによって、基板11に所定物質の薄膜を形成しつつ、この薄膜を単結晶に逐次転換するように構成してもよい。また、装置101と同様に、試料台にヒータを備えることによって、基板11の上にあらかじめ堆積された所定物質の薄膜を、単結晶薄膜に転換するように構成してもよい。2本の原子流の入射方向が、互いに対向する方向であって、しかも入射角がいずれも35゜であることから、基板11の上に形成される単結晶薄膜の結晶方位は、(110)面が表面に沿うように配向する。
【0148】
各反射ユニット260の間の位置関係、および反射板210の角度などを変更することによって、(110)面以外の他の結晶面が薄膜の表面に沿うように結晶方位が配向した単結晶薄膜を形成することが可能である。例えば、各反射ユニット260において、反射ブロック206から反射板210へ向かう原子流の中心軸同士が90゜または180゜の角度を成すように2組以上の反射ユニット260を配設し、しかも、各反射ユニット260から基板11へ入射する原子流の入射角度がいずれも55゜となるように反射板210の形状および向きを設定することによって、(100)面が表面に沿うように結晶方位が配向した単結晶薄膜を形成することができる。
【0149】
また、各反射ユニット260において、反射ブロック206から反射板210へ向かう原子流の中心軸同士を120゜ずつずらして配置した3組の中の2組以上の反射ユニット260を配設し、しかも、各反射ユニット260から基板11へ入射する原子流の入射角度がいずれも70゜となるように反射板210の形状および向きを設定することによって、(111)面が表面に沿うように結晶方位が配向した単結晶薄膜を形成することができる。
【0150】
また、装置150と同様に、反射ブロック206、整流部材208、反射板210等の原子流の照射を受ける反射ユニット260の各部材等の少なくとも表面を、形成すべき薄膜よりもスパッタリングにおけるスレッショルド・エネルギーの高いTa、W、Ptなどの材料で構成してもよい。また、反射ユニット260の各部材等の表面を、形成すべき単結晶薄膜と同一物質で構成してもよい。さらに、反射ユニット260の各部材等の表面を、照射されるイオン流または原子流を構成する元素よりも重い元素を含む材料で構成してもよい。
【0151】
<9.第9実施例>
つぎに、この発明の第9実施例の装置について述べる。図25は、この実施例の装置の構成を示す斜視図である。この図25に示すように、この装置300は、反射ユニット360を備えている。この反射ユニット360は、反射ブロック206の代わりに、静電電極306を備える点が、反射ユニット260とは特徴的に異なる。静電電極306には、中性の原子流の代わりに、イオン流が入射される。すなわち、引出口9からこの静電電極306までの距離は、ECRイオン源2が出力するイオン流が中性の原子流に殆ど転換されずに、イオン流のままで静電電極306へ入射するように十分に短く設定される。
【0152】
静電電極306には、交流電源307が付随して設けられる。この交流電源307は、一定バイアス電圧の上に交流電圧が重畳して成る変動電圧を静電電極306に供給する。その結果、静電電極306へ入射したイオン流が、変動する静電場の作用によって水平面内の多方向へと散乱される。
【0153】
このように、この装置300では、交流電源307が供給する変動電圧によって、イオン流の散乱が実現するので、遮蔽板204によって遮蔽される不要な方向へのイオン流の散乱を容易に抑えることができる。すなわち、ECRイオン源2が供給するイオン流を効率よく基板11への照射に役立てることができるという利点がある。さらに、交流電源307が供給する変動電圧の波形を、例えば三角波状に設定するなどによって、イオン流を各散乱方向へ、一層高い均一性をもって散乱することができるという利点も得られる。
【0154】
<10.変形例>
(1) 第6実施例および第7実施例では、反射ブロック106の形状、および反射板110の配置を4回回転対称に選んだが、その他の回転対称、例えば2回回転対称、あるいは3回回転対称に選ぶことも可能である。すなわち、所望する単結晶薄膜の結晶構造に応じて、異なる入射角度で入射する原子流の成分の数を任意に選ぶことが可能である。反射ブロック106の形状を、円錐体などの回転対称に選んでもよい。このときには、基板11への入射方向の数によらずに、反射ブロック106は1つで足りる。このように、この発明の装置では、ダイヤモンド構造以外の結晶構造を有する単結晶薄膜を形成することも可能であり、また、結晶構造は同一であっても、様々な結晶方位を有する単結晶薄膜を形成することも可能である。また任意の結晶構造に対応できるので、単結晶薄膜を構成する物質もSiに限定されることがなく、例えばGaAs、GaNなどの半導体単結晶薄膜の形成も可能である。
【0155】
(2) 第6実施例および第7実施例において、原子流の方向を整える整流部材108は、反射ブロック106から反射板110へと向かう原子流の経路に介挿する代わりに、反射板110によって反射され基板11へと向かう原子流の経路に介挿してもよい。また、これらの双方の経路に介挿してもよい。
【0156】
また、整流部材108を備えない装置を構成してもよい。しかしながら、整流部材108を備える装置では、反射ブロック106や反射板110の形状および配置などを厳密に設定しなくても、原子流の成分の基板11への入射方向が精密に定まるという利点がある。
【0157】
なお、以上のことは、第8実施例及び第9実施例における、整流部材208についても同様である。
【0158】
(3) 第1実施例〜第8実施例において、ECRイオン源2の代わりに、中性の原子流または分子流、あるい中性のラジカル流を発生する他のビーム源を使用してもよい。このような中性の原子流、ラジカル流を発生するビーム源がすでに市販されている。このビーム源を使用すれば、中性の原子またはラジカルのビームが得られるので、ECRイオン源を用いた場合と同様に、イオン流を中性化する手段を要せずして、絶縁性の基板11の上に単結晶薄膜を形成することが可能である。
【0159】
(4) 第1実施例〜第9実施例において、ECRイオン源2の代わりに、ケージ型、カウフマン型等の他のイオン源を用いてもよい。ただし、このときに生成されるイオン流は、イオン間の静電気による反発力によって流れが拡散し、指向性が弱まる傾向にあるので、イオンを中性化する手段、あるいは例えばコリメータなどのイオン流の指向性を高める手段をイオン流の経路に介挿するのが望ましい。
【0160】
特に、基板11に電気絶縁性の基板を用いるときには、基板11に電荷が蓄積して照射が進行しなくなることを防止するために、イオンを中性化する手段をイオン流の経路に介挿することが望ましい。これに対し、ECRイオン源を備える実施例の装置では、イオン流を中性化する手段を用いることなく中性原子流が容易に得られ、しかも平行流に近い形で得られるという利点がある。
【0161】
なお、第9実施例の装置にイオンを中性化する手段を設置する場合には、静電電極306よりも下流に設置される。
【0162】
(5) 以上の実施例で示した各ビーム照射装置は、単結晶薄膜を形成することを目的とした装置に限定されるものではなく、他の目的で複数方向から気体のビームを照射するための装置に実施することも可能である。特に、第6実施例〜第9実施例に示した装置は、広大な基板の上に均一に、しかも複数方向から気体のビームを照射する目的への利用に適している。
【0163】
(6) 第1実施例〜第9実施例において、形成すべき薄膜がGaNなど、常温下で気体であるN(窒素元素)を含む場合には、照射に供される気体として窒素ガスを用いてもよい。そうすれば、照射に供される気体が薄膜中に残留しても不純物として薄膜の特性劣化をもたらす恐れがない。
【0164】
【発明の効果】
<請求項1に記載の発明の効果>
この発明の方法では、基板の上に軸配向多結晶薄膜をあらかじめ形成した後に、複数方向からビームを照射することによって薄膜を単結晶薄膜へ転換する。このため、例えば基板の上に遮蔽体が形成されているなどのために、複数方向からのビームが基板の上に均一に照射されなくても、基板の上のどの部分にも単結晶薄膜か軸配向多結晶薄膜の少なくとも何れかが形成されているので、目立った特性上の劣化を引き起こさない。
【0165】
<請求項2に記載の発明の効果>
この発明の方法では、基板の上に軸配向多結晶薄膜をあらかじめ形成した後に、複数方向からビームを照射することによって薄膜を単結晶薄膜へ転換する。このため、例えば基板の上に遮蔽体が形成されているなどのために、複数方向からのビームが基板の上に均一に照射されなくても、基板の上のどの部分にも単結晶薄膜か軸配向多結晶薄膜の少なくとも何れかが形成されているので、目立った特性上の劣化を引き起こさない。
【0166】
<請求項3に記載の発明の効果>
この発明の方法では、軸配向多結晶薄膜を形成する際における気体のビームの照射方向と、軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する際における気体のビームの複数の照射方向の1つとが、互いに同一であるので、単結晶薄膜への転換が円滑に行われる。
【0167】
<請求項4に記載の発明の効果>
この発明の方法では、不活性ガスのビームが照射に供されるので、形成される単結晶薄膜に気体が残留しても、薄膜の電子物性等の特性に目立った影響を及ぼさないのに加えて、侵入した気体を薄膜から容易に除去することができる。
【0168】
<請求項5に記載の発明の効果>
この発明の方法では、不活性ガスを構成する元素の原子量が、薄膜として成長しつつある所定の物質の構成元素の最大の原子量よりも低いので、照射された不活性ガスの原子またはイオンの大部分が、薄膜の表面ないしその近傍で後方へ散乱され、薄膜の中に残留し難い。
【0169】
<請求項6に記載の発明の効果>
この発明の方法では、照射される気体が薄膜として成長する物質の構成元素を含んでいる。このため、照射後にこの構成元素の原子またはイオンが薄膜の中に残留しても、これらが不純物として単結晶薄膜へ悪影響を及ぼす恐れがない。
【0170】
<請求項7に記載の発明の効果>
この発明の方法では、ビーム発生源が電子サイクロトロン共鳴型のイオン発生源である。このため、イオンビームの指向性が高いのに加えて、イオン発生源から所定以上の距離において、イオンを中性化する手段を用いることなく、強度の中性ビームを得ることができる。また、イオンを中性化する手段を用いることなく、電気絶縁性の基板を使用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第6実施例における反射ユニットの正面断面図である。
【図2】第1実施例における装置の正面断面図である。
【図3】第1実施例のECRイオン源の特性を示すグラフである。
【図4】第1実施例における装置の実証試験の結果を示す図である。
【図5】第2実施例における装置の正面断面図である。
【図6】第2実施例における反射板の斜視図である。
【図7】図6に示した反射板の平面図である。
【図8】図6に示した反射板の分解斜視図である。
【図9】図6に示した反射板の分解斜視図である。
【図10】図6に示した反射板の平面図である。
【図11】図10に示した反射板のA−A切断線に沿った断面図である。
【図12】第2実施例における装置の実証試験の結果を示す図である。
【図13】第3実施例における装置の斜視図である。
【図14】第4実施例における装置の斜視図である。
【図15】第5実施例における方法を説明する工程図である。
【図16】第5実施例における方法を説明する工程図である。
【図17】第5実施例における方法を説明する工程図である。
【図18】第6実施例における装置の正面断面図である。
【図19】第6実施例における反射ユニットの平面図である。
【図20】第7実施例における装置の正面断面図である。
【図21】第8実施例における装置の斜視図である。
【図22】第8実施例における装置の平面図である。
【図23】第8実施例における装置の正面図である。
【図24】第8実施例における装置の平面図である。
【図25】第9実施例における装置の斜視図である。
【符号の説明】
102、103 軸配向多結晶薄膜形成装置(ビーム照射装置)
100、101、150、151、200、300 単結晶薄膜形成装置(ビーム照射装置)
1 反応容器(容器)
2 ECRイオン源(ビーム源)
10 試料台(部材)
11 基板
12 反射板(反射手段)
51 遮蔽板(遮蔽体)
53 反射用ブロック(反射体)
55 斜面(反射面)
104 遮蔽板(ビーム配分調整手段)
106、206 反射ブロック(第1の反射体)
306 静電電極(第1の反射体)
108、208 整流部材(整流手段)
110、210 反射板(第2の反射体)
160、260、360 反射ユニット(反射手段、反射装置)

Claims (7)

  1. 基板の上に所定の物質の単結晶薄膜を形成する単結晶薄膜形成方法であって、
    前記基板の上に前記所定の物質の結晶化が起こらない低温度下で、当該所定の物質を堆積させつつ、当該所定の物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを、堆積しつつある当該所定の物質へ一方向から照射することによって、当該所定の物質の軸配向多結晶薄膜を形成する工程と、
    前記所定の物質の結晶化温度以下の高温下で、前記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂直な方向から、前記所定の物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを前記軸配向多結晶薄膜へ照射することによって、当該軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する工程と、
    を備えることを特徴とする単結晶薄膜形成方法。
  2. 基板の上に所定の物質の単結晶薄膜を形成する単結晶薄膜形成方法であって、
    前記基板の上に、前記所定の物質を堆積させることによって当該物質の薄膜を形成する工程と、
    前記工程の後に、前記所定の物質の結晶化温度以下の高温下で、前記所定の物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを、前記薄膜へ一方向から照射することによって、当該薄膜を軸配向多結晶薄膜へ転換する工程と、
    前記所定の物質の結晶化温度以下の高温下で、前記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂直な方向から、前記所定の物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを前記軸配向多結晶薄膜へ照射することによって、当該軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する工程と、
    を備えることを特徴とする単結晶薄膜形成方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の方法において、前記軸配向多結晶薄膜を形成する際における前記気体のビームの照射方向と、前記軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する際における前記気体のビームの複数の照射方向の1つとが、互いに同一であることを特徴とする単結晶薄膜形成方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の方法において、前記気体が不活性ガスであることを特徴とする単結晶薄膜形成方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、前記不活性ガスを構成する元素の原子量が、前記所定の物質を構成する元素の原子量の中の最大の原子量よりも低いことを特徴とする単結晶薄膜形成方法。
  6. 請求項1または請求項2に記載の方法において、前記所定の物質が、常温度下で気体である気体物質を構成する元素を含むとともに、前記気体のビームが、前記気体物質のビームであることを特徴とする単結晶薄膜形成方法。
  7. 請求項1または請求項2に記載の方法において、前記気体のビームを電子サイクロトロン共鳴型のイオン源を用いて生成することを特徴とする単結晶薄膜形成方法。
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