JP3410574B2 - 単結晶炭素薄膜、軸配向多結晶炭素薄膜、高音用スピーカの振動板、半導体レーザ装置のヒートシンク、及び工具形成方法 - Google Patents

単結晶炭素薄膜、軸配向多結晶炭素薄膜、高音用スピーカの振動板、半導体レーザ装置のヒートシンク、及び工具形成方法

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JP3410574B2 JP01365695A JP1365695A JP3410574B2 JP 3410574 B2 JP3410574 B2 JP 3410574B2 JP 01365695 A JP01365695 A JP 01365695A JP 1365695 A JP1365695 A JP 1365695A JP 3410574 B2 JP3410574 B2 JP 3410574B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、基板の上に単結晶炭
素薄膜すなわちダイヤモンド薄膜、およびこれと類似の
特性を有する軸配向多結晶炭素薄膜を、低圧下で形成す
ることを可能にする単結晶炭素薄膜形成方法および軸配
向多結晶炭素薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、10万気圧を超える超高圧の下
で、単結晶炭素すなわちダイヤモンドを人工的に合成す
る方法が知られている。これに対して、低圧気相成長に
よって単結晶炭素薄膜すなわちダイヤモンド薄膜を基板
の上に形成する試みが行われている。これらは、常圧な
どの低圧下で熱着法あるいは気相合成法により単結晶炭
素薄膜を形成しようとするものである。以下に、従来の
これらの試みについて説明する。
【0003】<1.炭素イオンビーム蒸着法>まず、炭
素イオンビーム蒸着法を用いた試みについて説明する。
図15は、この炭素イオンビーム蒸着法を実行するため
の装置の原理図である。この方法は、黒鉛を原料とした
炭素イオンビームを発生させて、そのイオンビームの基
板表面への衝突を利用して薄膜を形成するものである。
すなわち、黒鉛製電極902へArガスが供給されると
ともに高周波電源901から高周波が付与される。その
結果、この黒鉛製電極902において炭素イオンとAr
イオンが発生する。発生した炭素イオンおよびArイオ
ンは、黒鉛製電極902ともう一つの黒鉛製電極903
との間に印加される電圧によって引き出され、試料台9
04に設置される基板905の表面に、ビームとなって
衝突する。
【0004】この方法によれば、基板905の上に、透
明で非常に電気抵抗の高い炭素薄膜が得られる。しか
も、この炭素薄膜は硬い性質を持っているので、ダイヤ
モンドライクカーボンと呼ばれている。しかしながら、
この薄膜は非晶質の炭素薄膜であって、単結晶炭素薄膜
ではない。このため、一定した構造のものを得ることが
困難であるとともに、構造が温度変化に対して不安定で
ある他、薄膜と基板との間の付着強度や絶縁耐圧が十分
でないという問題点があった。そのため、この方法で得
られた炭素薄膜は、スピーカの振動板などのごく一部へ
の利用にしか供されていなかった。
【0005】<2.熱フィラメントCVD法>つぎに、
熱フィラメントCVD(化学気相成長)法を用いた試み
について説明する。図16は、この熱フィラメントCV
D法を実行するための装置の原理図である。電気炉91
4に囲まれた石英管910の中に、試料台911とフィ
ラメント912が配置されるるとともに、試料台911
の上には基板913が載置されている。フィラメント9
12は、反応を実行する際には2000゜C以上に加熱
される。フィラメント912と基板913の間の距離
は、1ミリメートルから数センチメートルの間が一般的
であるので、基板913の温度は1000゜C近くとな
る。反応ガスとして、メタン(CH3)と水素(H2)、
あるいは気化したアルコール、アセトンなどと水素の混
合ガスが用いられる。反応室すなわち石英管910の内
部の圧力は、通常数十Torrである。
【0006】この方法では、基板913の温度が100
0゜C近くの高温度になるため、基板913の材料の選
定に制限があるという問題点がある。基板913の材料
には、例えばシリコン単結晶、モリブデン、炭化珪素焼
結体などが用いられている。すなわち、これらの耐熱性
の材料の上にしか炭素薄膜が形成され得ないとい問題点
があった。さらに、基板913上の温度分布を均一に保
持することが困難であり、そのため、基板913の広い
範囲に均一に炭素薄膜を形成したり、薄膜の品質を均一
化することが困難であるという問題点があった。さらに
何よりも、薄膜はダイヤモンドライクカーボン薄膜、す
なわち非晶質の炭素薄膜として形成され、単結晶炭素薄
膜は形成されないという問題点があった。
【0007】<3.マイクロ波プラズマCVD法>つぎ
に、マイクロ波プラズマCVD法を用いた試みについて
説明する。図17は、このマイクロ波プラズマCVD法
を実行するための装置の原理図である。この方法では、
原料ガス(主としてメタン系)と水素の分解がプラズマ
を用いて行われる。プラズマを発生するのにマイクロ波
が用いられるので、プラズマ中のイオンやラジカルの発
生密度が高いことから、薄膜の形成における不均一性が
少ないという利点がある。このため、この方法は実用化
に適した方法として注目されている。
【0008】図17に示すように、この方法では、石英
管920の中に、基板923が載置された試料台921
が配置される。電源924によって発生したマイクロ波
は、導波管925を通じて基板923が設置される反応
部へと導かれる。その際に、図示しない整合器を用いる
ことによって、プラズマが石英管920内の全体に広が
らず基板923の付近に集中させられる。
【0009】反応ガスとして、メタン(CH3)と水素
(H2)の混合ガスが用いられる。反応室すなわち石英
管920の内部の圧力は数Torr〜数十Torrの間
に保持されるとともに、反応ガス中のメタン濃度は0.
5〜2%に保持される。基板923の温度は、誘導加熱
によって700〜900゜C程度に上昇する。
【0010】しかし、一般的に、20〜200Torr
の高い圧力下で反応が行われるので、基板923の広い
範囲にわたって均質な薄膜を得ることには、反応面積お
よび放電面積の関係から限度があるという問題点があっ
た。また、基板923の温度が高いことに加えて、形成
される薄膜の品質、および成膜の速度等においても実用
的ではないという問題点があった。さらに、さらに何よ
りも、薄膜は非晶質または多結晶質の炭素薄膜として形
成され、単結晶炭素薄膜は形成されないという問題点が
あった。
【0011】<4.ECRプラズマCVD法>そこで、
比較的低温(500〜600゜C)、かつ低圧(0.1
Torr〜10Torr)の下で、良質の炭素薄膜を得
る試みもなされている。この方法では、プラズマを発生
するのにECR装置(電子サイクロトロン共鳴装置)を
用いている。すなわち、ECR装置によって高いプラズ
マ密度を実現している。また、反応ガスとして、CH4
(メタン)、CO2(二酸化炭素)、および水素から成
る混合ガス、あるいはC0(一酸化炭素)と水素の混合
ガスが用いられる。この方法における成膜条件は、例え
ば表1に示される通りである。
【0012】
【表1】
【0013】この条件下で得られる炭素薄膜の性質を表
2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】表2に示すように、650゜C〜750゜
Cの比較的低温下で、多結晶の炭素薄膜が得られる。基
板の温度を600゜Cにまで下げると、結晶粒径(グレ
インサイズ)は一層小さくなり、しかもその表面に非晶
質であるアモルファスカーボンが形成される。
【0016】また、COとH2の混合ガスの他に、(C
4+CO2)とH2の混合ガスや、CH3OHとH2の混
合ガスを使って、低圧(0.1Torr付近)、低温
(500〜650゜C)の下で、炭素薄膜を形成しよう
とする試みもなされている。しかし、これらの方法で形
成した膜は、結晶粒径がやはり約0.5μ程度と小さ
い。
【0017】また、薄膜の成長速度を上げるためにCH
3OHとHeの混合ガスを使用することも試みられてい
る。このとき、CH3OHとH2の混合ガスを用いた場合
に比較して、2倍の成長速度が観測されているが、結晶
粒径はやはり0.5μ以下であって、いわゆるマイクロ
クリスタルしか得られていない。
【0018】以上のように、マイクロ波プラズマCVD
法では、低温下で炭素薄膜を形成することができるが、
得られる炭素薄膜は単結晶ではなく非晶質または多結晶
であり、しかも多結晶の結晶粒径は小さいという問題点
があった。加えて、結晶粒の結晶方位を制御することは
困難であり、良質の薄膜は得られていないという問題点
があった。さらに、装置の構成上の制約から大きな口径
をもったプラズマを得にくく、そのため、大面積の炭素
薄膜を得るのが困難であるという問題点もあった。
【0019】<5.電子衝撃CVD法>つぎに、いわゆ
るEACVD法(電子衝撃CVD法)を用いた試みにつ
いて説明する。図18は、このEACVD法を実行する
ための装置の原理図である。この方法では、基板933
が載置された試料台931とフィラメント932の間に
直流電圧を印加しつつ、フィラメント932に電流を通
じることによって熱電子を発生させる。
【0020】基板933が設置される反応室へは、ガス
ボンベ940および流量調節器941から、反応ガスと
してのメタンガスと水素ガスの混合ガスが供給される。
また、反応室は電気炉934に包囲されており、基板9
33はこの電気炉によって加熱される。基板933の温
度は、プリズム942および光温度計943によって計
測される。フィラメント932から発生する熱電子は、
反応ガスの分解のために利用されるとともに、基板の表
面を衝撃することによって基板の上に結晶核を多く発生
させながら薄膜が形成されるのを可能にしている。
【0021】この方法では、基板933は700゜C〜
1000゜Cの高温度に保持されるので、基板933の
材料の種類に制約が生じるという問題点がある。また、
得られる炭素薄膜は、単結晶薄膜ではなく多結晶薄膜で
あり、しかもその結晶粒径は小さいという問題点があっ
た。加えて、結晶粒の結晶方位を制御することは困難で
あり、さらに大面積の炭素薄膜は得難いという問題点が
あった。
【0022】また、EACVD法の延長線上の技術であ
るDCプラズマ法が試みられている。この技術は、フィ
ラメントを用いないで直流放電によって炭素薄膜を形成
しようするものである。しかしながら、この方法におい
ても、上述したEACVD法におけると同様の問題点が
あった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたように、
従来の低圧気相成長法を用いて炭素薄膜を形成する方法
では、単結晶薄膜は形成されず、非晶質または多結晶の
炭素薄膜しか得られないという問題点があった。また、
品質のよい炭素薄膜を形成しようとすると、反応ガス濃
度、圧力、基板温度の均一性、プラズマ密度の均一性な
どの成膜条件を厳しく制御する必要があるのに加えて、
高品質でしかも大面積の炭素薄膜を得ることは困難であ
るなど、実用化を行う上で解消すべき問題点があった。
【0024】この発明は上記のような問題を解決するた
めになされたもので、単結晶炭素薄膜を低圧化で形成す
ることができ、しかも大面積の単結晶炭素薄膜が容易に
得られる単結晶炭素薄膜形成方法を提供することを目的
とする。さらに、単結晶炭素薄膜と類似の特性を有する
軸配向多結晶炭素薄膜を低圧化で形成することができ、
しかも大面積の軸配向多結晶炭素薄膜が容易に得られる
軸配向多結晶炭素薄膜形成方法を提供することをも目的
とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる請求項
1に記載の単結晶炭素薄膜形成方法は、基板の上に炭素
物質の単結晶薄膜を形成する単結晶炭素薄膜形成方法で
あって、前記基板の上に前記炭素物質のアモルファス薄
膜または多結晶薄膜をあらかじめ形成しておき、前記炭
素物質の結晶化温度以下の高温下で、形成すべき前記単
結晶薄膜における方向の相異なる複数の最稠密結晶面に
垂直な方向から、前記炭素物質のスパッタリングを引き
起こさない低エネルギーの気体のビームを、前記アモル
ファス薄膜または前記多結晶薄膜へ照射し、前記基板上
の薄膜へ複数方向から照射される前記気体のビームが、
単一のビーム発生源と、当該ビーム発生源から前記基板
へ至る経路に配設され、前記ビーム発生源から出力され
る原子流を複数方向に反射して分散させる錐体状の反射
ブロックと、前記基板の周囲に配設され、前記反射ブロ
ックによって反射された前記原子流を前記基板側に向け
て反射し、前記基板上の薄膜へ方向の相異なる複数の最
稠密結晶面に垂直な方向から前記気体のビームとして入
射させる反射板と、によって得られることを特徴とす
る。
【0026】この発明にかかる請求項2に記載の単結晶
炭素薄膜形成方法は、プラズマ化学気相成長法を用い
て、基板の上に炭素物質の単結晶薄膜を形成する単結晶
炭素薄膜形成方法であって、前記プラズマ化学気相成長
法のみでは前記炭素物質の結晶化が起こらない低温度下
で、反応ガスを前記基板の上に供給するとともに、形成
すべき前記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最
稠密結晶面に垂直な方向から、前記炭素物質のスパッタ
リングを引き起こさない低エネルギーの気体のビーム
を、前記基板の上へ照射し、前記基板上の薄膜へ複数方
向から照射される前記気体のビームが、単一のビーム発
生源と、当該ビーム発生源から前記基板へ至る経路に配
設され、前記ビーム発生源から出力される原子流を複数
方向に反射して分散させる錐体状の反射ブロックと、前
記基板の周囲に配設され、前記反射ブロックによって反
射された前記原子流を前記基板側に向けて反射し、前記
基板上の薄膜へ方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂
直な方向から前記気体のビームとして入射させる反射板
と、によって得られることを特徴とする。
【0027】この発明にかかる請求項3に記載の単結晶
炭素薄膜形成方法は、基板の上に炭素物質の単結晶薄膜
を形成する単結晶炭素薄膜形成方法であって、前記基板
の上に前記炭素物質の結晶化が起こらない低温度下で、
当該炭素物質を堆積させつつ、当該炭素物質のスパッタ
リングを引き起こさない低エネルギーの気体のビーム
を、堆積しつつある当該炭素物質へ一方向から照射する
ことによって、当該炭素物質の軸配向多結晶薄膜を形成
する工程と、前記炭素物質の結晶化温度以下の高温下
で、形成すべき前記単結晶薄膜における方向の相異なる
複数の最稠密結晶面に垂直な方向から、前記炭素物質の
スパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体の
ビームを前記軸配向多結晶薄膜へ照射することによっ
て、当該軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する工程
と、を備え、前記基板上の薄膜へ複数方向から照射され
る前記気体のビームが、単一のビーム発生源と、当該ビ
ーム発生源から前記基板へ至る経路に配設され、前記ビ
ーム発生源から出力される原子流を複数方向に反射して
分散させる錐体状の反射ブロックと、前記基板の周囲に
配設され、前記反射ブロックによって反射された前記原
子流を前記基板側に向けて反射し、前記基板上の薄膜へ
方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂直な方向から前
記気体のビームとして入射させる反射板と、によって得
られることを特徴とする。
【0028】この発明にかかる請求項4に記載の単結晶
炭素薄膜形成方法は、基板の上に炭素物質の単結晶薄膜
を形成する単結晶炭素薄膜形成方法であって、前記基板
の上に、前記炭素物質を堆積させることによって当該炭
素物質の薄膜を形成する工程と、前記工程の後に、前記
炭素物質の結晶化温度以下の高温下で、前記炭素物質の
スパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体の
ビームを、前記薄膜へ一方向から照射することによっ
て、当該薄膜を軸配向多結晶薄膜へ転換する工程と、前
記炭素物質の結晶化温度以下の高温下で、形成すべき前
記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最稠密結晶
面に垂直な方向から、前記炭素物質のスパッタリングを
引き起こさない低エネルギーの気体のビームを前記軸配
向多結晶薄膜へ照射することによって、当該軸配向多結
晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する工程と、を備え、前記基
板上の薄膜へ複数方向から照射される前記気体のビーム
が、単一のビーム発生源と、当該ビーム発生源から前記
基板へ至る経路に配設され、前記ビーム発生源から出力
される原子流を複数方向に反射して分散させる錐体状の
反射ブロックと、前記基板の周囲に配設され、前記反射
ブロックによって反射された前記原子流を前記基板側に
向けて反射し、前記基板上の薄膜へ方向の相異なる複数
の最稠密結晶面に垂直な方向から前記気体のビームとし
て入射させる反射板と、によって得られることを特徴と
する。
【0029】この発明にかかる請求項5に記載の単結晶
炭素薄膜形成方法は、請求項3または請求項4に記載の
方法において、前記軸配向多結晶薄膜を形成する際にお
ける前記気体のビームの照射方向と、前記軸配向多結晶
薄膜を単結晶薄膜へ転換する際における前記気体のビー
ムの複数の照射方向の1つとが、互いに同一であること
を特徴とする。
【0030】この発明にかかる請求項6に記載の単結晶
炭素薄膜形成方法は、請求項1ないし請求項4の何れか
に記載の方法において、前記気体が不活性ガスであるこ
とを特徴とする。
【0031】この発明にかかる請求項7に記載の単結晶
炭素薄膜形成方法は、請求項1ないし請求項4の何れか
に記載の方法において、前記気体を構成する元素の原子
量が、炭素原子の原子量よりも低いことを特徴とする。
【0032】この発明にかかる請求項8に記載の単結晶
炭素薄膜形成方法は、請求項1ないし請求項4の何れか
に記載の方法において、前記気体のビームを電子サイク
ロトロン共鳴型のイオン源を用いて生成することを特徴
とする。
【0033】
【0034】この発明にかかる請求項に記載の軸配向
多結晶炭素薄膜形成方法は、基板の上に炭素物質の軸配
向多結晶薄膜を形成する軸配向多結晶炭素薄膜形成方法
であって、前記基板の上に前記炭素物質の結晶化が起こ
らない低温度下で、当該炭素物質を堆積させつつ、当該
炭素物質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギ
ーの気体のビームを、堆積しつつある当該炭素物質へ一
方向から照射し、前記気体のビームを電子サイクロトロ
ン共鳴型のイオン源を用いて生成することを特徴とす
る。
【0035】この発明にかかる請求項10に記載の軸配
向多結晶炭素薄膜形成方法は、基板の上に炭素物質の軸
配向多結晶薄膜を形成する軸配向多結晶炭素薄膜形成方
法であって、前記基板の上に、前記炭素物質の薄膜をあ
らかじめ形成しておき、前記炭素物質の結晶化温度以下
の高温下で、前記炭素物質のスパッタリングを引き起こ
さない低エネルギーの気体のビームを、前記薄膜へ一方
向から照射し、前記気体のビームを電子サイクロトロン
共鳴型のイオン源を用いて生成することを特徴とする。
【0036】この発明にかかる請求項11に記載の軸配
向多結晶炭素薄膜形成方法は、請求項または請求項
に記載の方法において、前記気体が不活性ガスである
ことを特徴とする。
【0037】この発明にかかる請求項12に記載の軸配
向多結晶炭素薄膜形成方法は、請求項または請求項
に記載の方法において、前記気体を構成する元素の原
子量が、炭素原子の原子量よりも低いことを特徴とす
る。
【0038】この発明にかかる請求項13に記載の高音
用スピーカの振動板形成方法は、請求項1ないし8のい
ずれかに記載の単結晶炭素薄膜形成方法を用いた高音用
スピーカの振動板形成方法であって、振動板形状のアル
ミナ基板を前記基板とし、請求項1ないし8のいずれか
に記載の単結晶炭素薄膜形成方法により、前記アルミナ
基板上に単結晶炭素薄膜を形成することを特徴とする。
この発明にかかる請求項14に記載の高音用スピーカの
振動板形成方法は、請求項9ないし12のいずれかに記
載の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法を用いた高音用スピ
ーカの振動板形成方法であって、振動板形状のアルミナ
基板を前記基板とし、請求項9ないし12のいずれかに
記載の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法により、前記アル
ミナ基板上に軸配向多結晶炭素薄膜を形成することを特
徴とする。この発明にかかる請求項15に記載の半導体
レーザ装置のヒートシンク形成方法は、請求項1ないし
8のいずれかに記載の単結晶炭素薄膜形成方法を用いた
半導体レーザ装置のヒートシンク形成方法であって、ヒ
ートシンクの母材を前記基板とし、請求項1ないし8の
いずれかに記載の単結晶炭素薄膜形成方法により、前記
母材表面に単結晶炭素薄膜を形成することを特徴とす
る。この発明にかかる請求項16に記載の半導体レーザ
装置のヒートシンク形成方法は、請求項9ないし12の
いずれかに記載の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法を用い
た半導体レーザ装置のヒートシンク形成方法であって、
ヒートシンクの母材を前記基板とし、請求項9ないし1
2のいずれかに記載の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法に
より、前記母材表面に軸配向多結晶炭素薄膜を形成する
ことを特徴とする。この発明にかかる請求項17に記載
の工具形成方法は、請求項1ないし8のいずれかに記載
の単結晶炭素薄膜形成方法を用いた工具形成方法であっ
て、工具の母材を前記基板とし、請求項1ないし8のい
ずれかに記載の単結晶炭素薄膜形成方法により、前記母
材表面に単結晶炭素薄膜を形成することを特徴とする。
この発明にかかる請求項18に記載の工具形成方法は、
請求項9ないし12のいずれかに記載の軸配向多結晶炭
素薄膜形成方法を用いた工具形成方法であって 、工具の
母材を前記基板とし、請求項9ないし12のいずれかに
記載の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法により、前記母材
表面に軸配向多結晶炭素薄膜を形成することを特徴とす
る。この発明にかかる請求項19に記載の工具形成方法
は、請求項17または18に記載の工具形成方法におい
て、前記工具はバイトであることを特徴とする。この発
明にかかる請求項20に記載の工具形成方法は、請求項
17または18に記載の工具形成方法において、前記工
具はボンディングツールであることを特徴とする。この
発明にかかる請求項21に記載の工具形成方法は、請求
項17または18に記載の工具形成方法において、前記
工具はボールベアリング加工用治具であることを特徴と
する。
【0039】なお、この発明において「基板」とは、そ
の上に薄膜を形成することのみを目的として供される単
なる土台としての物体に限定されず、例えば所定の機能
を有するデバイスなどをも含めて、その上に薄膜を形成
する対象とされる媒体全般を意味する。
【0040】また、この発明で「気体のビーム」とは、
ビーム状のイオン流、原子流、分子流の何れをも包含す
る概念である。
【0041】
【作用】<請求項1に記載の方法の作用> この発明の方法では、基板上にあらかじめ形成された炭
素物質のアモルファス薄膜または多結晶薄膜に、単結晶
構造における最稠密面に垂直な複数方向から、スパッタ
リングを引き起こさない低エネルギーの気体のビームを
照射するので、ブラベ(Bravais)の法則が作用する結
果、結晶方位の揃った単結晶の層が薄膜の表面近傍に形
成される。さらに、薄膜の温度が結晶化温度以下の高温
度であるために、縦方向の固相エピタキシャル成長によ
り単結晶が深部に向かって成長する結果、薄膜の厚さ方
向の全領域が単結晶化する。すなわち、基板の上に結晶
方位の揃った単結晶炭素薄膜が形成される。また、単一
のビーム発生源と、反射ブロックと反射板とを用いるの
で、複数のビーム発生源を要せずして、複数方向の気体
のビームが得られる。
【0042】<請求項2に記載の方法の作用> この発明の方法では、プラズマ化学気相成長法によって
基板の上に炭素物質の薄膜を形成しつつ、同時に所定の
複数方向から気体のビームを基板上すなわち薄膜の上へ
照射するので、ブラベの法則が作用し、その結果、結晶
方位の揃った単結晶の炭素薄膜が形成される。また、単
一のビーム発生源と、反射ブロックと反射板とを用いる
ので、複数のビーム発生源を要せずして、複数方向の気
体のビームが得られる。
【0043】<請求項3に記載の方法の作用> この発明の方法では、基板の上に炭素物質の軸配向多結
晶薄膜をあらかじめ形成した後に、複数方向からビーム
を照射することによって、この薄膜を単結晶薄膜へ転換
する。このため、例えば基板が立体構造を成すなどのた
めに、複数方向からのビームが基板の上に均一に照射さ
れなくても、基板の上のどの部分にも炭素物質の単結晶
薄膜か軸配向多結晶薄膜の少なくとも何れかが形成され
る。また、少なくとも一方向からはビームの照射を受
け、横方向からの結晶成長と合わせてかなりの範囲で単
結晶化が進行する。また、単一のビーム発生源と、反射
ブロックと反射板とを用いるので、複数のビーム発生源
を要せずして、複数方向の気体のビームが得られる。
【0044】<請求項4に記載の方法の作用> この発明の方法では、基板の上に炭素物質の軸配向多結
晶薄膜をあらかじめ形成した後に、複数方向からビーム
を照射することによって、この薄膜を単結晶薄膜へ転換
する。このため、例えば基板が立体構造を成すなどのた
めに、複数方向からのビームが基板の上に均一に照射さ
れなくても、基板の上のどの部分にも炭素物質の単結晶
薄膜か軸配向多結晶薄膜の少なくとも何れかが形成され
る。また、少なくとも一方向からはビームの照射を受
け、横方向からの結晶成長と合わせてかなりの範囲で単
結晶化が進行する。また、単一のビーム発生源と、反射
ブロックと反射板とを用いるので、複数のビーム発生源
を要せずして、複数方向の気体のビームが得られる。
【0045】<請求項5に記載の方法の作用>この発明
の方法では、炭素物質の軸配向多結晶薄膜を形成する際
における気体のビームの照射方向と、軸配向多結晶薄膜
を単結晶薄膜へ転換する際における気体のビームの複数
の照射方向の1つとが、互いに同一であるので、単結晶
薄膜への転換が円滑に行われる。
【0046】<請求項6に記載の方法の作用>この発明
の方法では、不活性ガスのビームが照射に供されるの
で、形成される単結晶炭素薄膜に気体が残留しても、薄
膜の機械的、熱的、および電気的特性に目立った影響を
及ぼさないのに加えて、侵入した気体を薄膜から容易に
除去することができる。
【0047】<請求項7に記載の方法の作用>この発明
の方法では、ビームを構成する気体の元素の原子量が、
被照射対象である炭素物質の薄膜を構成する炭素原子の
原子量よりも低いので、照射された気体を構成する元素
の大部分が、薄膜の表面ないしその近傍で後方へ散乱さ
れ、薄膜の中に残留し難い。
【0048】<請求項8に記載の方法の作用>この発明
の方法では、ビーム発生源が電子サイクロトロン共鳴型
のイオン発生源である。このため、イオンビームの指向
性が高いのに加えて、イオン発生源から所定以上の距離
において、イオンを中性化する手段を用いることなく、
強度の中性ビームが得られる。
【0049】
【0050】<請求項〜請求項12のいずれかに記載
の方法の作用> この発明の方法では、単結晶炭素薄膜を形成する際に用
いられる複数方向からの気体のビームの代わりに、一方
向からの気体のビームを照射する。その結果、最稠密面
が照射方向に垂直となるように配向した軸配向多結晶層
が形成される。
【0051】
【実施例】
<1.第1実施例>まず、この発明の第1実施例の装置
について述べる。
【0052】<1-1.装置の構成>図1は、この実施例
のビーム照射装置の全体構成を示す正面断面図である。
この装置150は、基板11の上にあらかじめ形成され
た非晶質または多結晶の炭素薄膜を単結晶薄膜へ転換す
ることによって基板上に単結晶炭素薄膜を形成すること
を目的として構成されている。
【0053】この装置150では、処理容器1の上部
に、電子サイクロトロン共鳴型(ECR)のイオン源2
が組み込まれている。ECRイオン源2は、プラズマ室
4を内部に規定するプラズマ容器3を備えている。プラ
ズマ容器3の周囲には、プラズマ室4に直流の高磁場を
印加する磁気コイル5が設置されている。プラズマ容器
3の上面には、マイクロ波をプラズマ室4へ導入する導
波管6、およびHeなどの不活性ガスを導入する不活性
ガス導入管7が設けられている。
【0054】処理容器1は、その内部に照射室8を規定
する。プラズマ容器3の底部はその中央部に、プラズマ
が通過する引出口9を規定する。照射室8とプラズマ室
4とは、この引出口9を介して互いに連通している。照
射室8の内部には、引出口9の直下の位置に試料台10
が設置されている。試料台10の上には基板11が載置
されている。試料台10の上には、さらに、複数の所定
の入射角度をもって基板11へ入射する複数の原子流成
分を生成するための反射ユニット160が、基板11の
上方に位置するように設置されている。試料台10は、
図示しないヒータを備えており、このヒータの作用によ
り基板11を加熱し、適正な高温度に保持する。
【0055】照射室8には、真空排気管14が連通して
いる。この真空排気管14の一端には、図示しない真空
装置が連結しており、真空排気管14を介して、照射室
8に存在する気体が排気されることにより、照射室8に
おける真空度が所定の高さに保持される。照射室8にお
ける真空度を表示する真空計15が、照射室8に連通し
て設置されている。
【0056】<1-2.ECRイオン源の動作>つぎに、図
1に沿ってECRイオン源2の動作について説明する。
不活性ガス導入管7からプラズマ室4へ、He、Ne、
Arなどの不活性ガスを導入しつつ、同時に導波管6か
らプラズマ室4へマイクロ波が導入される。更に同時
に、磁気コイル5に直流電流が供給されることにより、
プラズマ室4およびその周囲に直流磁場が形成される。
供給された気体は、マイクロ波と直流磁場の作用でプラ
ズマ状態に保たれる。このプラズマは、マイクロ波と直
流磁場とによってサイクロトロンの原理で螺旋運動する
高エネルギーの電子によって生成される。
【0057】この電子は、反磁性の特性を有するので、
磁場の弱い方に移動し、磁力線に沿った電子流を形成す
る。その結果、電気的中性を維持するために、電子流に
伴われて正イオンも、磁力線に沿ったイオン流を形成す
る。すなわち、引出口9から照射室8へ、下方向に向か
う電子流とイオン流とが形成される。イオン流は、電子
流と並行して流れるので、消イオン時間を経過すると、
互いに再結合することによって中性原子流となる。した
がって、引出口9から下方に所定距離以上の離れた位置
では、殆ど中性の原子流のみが形成されている。
【0058】図2は、ECRイオン源2によって、10
eVのAr+イオンを引出口9より取り出したときの、
イオン電流密度と引出口9からの距離との関係を実測し
た結果を示すグラフである。このグラフによれば、イオ
ン電流密度は、引出口から4〜5cmの距離から急激に
減少を始め、14cmの位置では1/10〜1/12の
大きさに減衰することが読み取れる。イオン電流が減衰
した分、中性原子流が増加しており、引出口9から下方
に14cm以上離れた位置では、殆ど中性の原子流のみ
が下方向へ向かって流れている。
【0059】このように、ECRイオン源2は、イオン
を発生する装置でありながら、イオン流を電子流に並行
して形成するので、イオン流を中性化する他の手段を用
いることなく、密度の高い中性の原子流を容易に得るこ
とができるという利点を有する。また、イオン流が電子
流と並行して形成されるので、進行方向があまり発散す
ることなく、進行方向の揃った平行流に近いイオン流が
得られる。また、平行なイオン流が中性の原子流に転換
されるので、原子流も進行方向の揃った平行流に近いも
のとなる。したがって、指向性を矯正するためのコリメ
ータなどの他の手段を要しないという利点がある。
【0060】<1-3.反射ユニットの構成と動作>ここで
は、反射ユニット160の構成と動作について説明す
る。図3および図4は、それぞれ反射ユニット160の
構成を示す正面断面図および平面断面図である。これら
の図3、図4に例示される反射ユニット160は、単結
晶炭素薄膜すなわちダイヤモンド薄膜を形成するための
反射ユニットである。この反射ユニット160は、EC
Rイオン源2のイオン引出口の直下、すなわちECRイ
オン源2によって生成され下方向へ向かう原子流の下流
に配設されている。
【0061】反射ユニット160の上部には、ECRイ
オン源2から供給される原子流を選択的に遮断可能な遮
蔽板104が水平に設けられている。引出口9からこの
遮蔽板104までの距離が、ECRイオン源2が出力す
るイオン流が中性の原子流に転換されるのに十分な距
離、例えば14cm以上となるように反射ユニット16
0が設置される。すなわち、遮蔽板104には殆ど中性
の原子流が到達する。この遮蔽板104には、ECRイ
オン源2からの原子流の中心軸周りに4回回転対称とな
るように開口部112が設けられている。ECRイオン
源2からの原子流は、これらの開口部112のみを通過
して更に下方へ向かって流れる。
【0062】この遮蔽板104の直下には、反射ブロッ
ク106が設置されている。この反射ブロック106は
4回回転対称な錐体をなしており、錐体の対称軸は原子
流の中心軸に一致し、4つの開口部112の直下に錐体
の4つの側面がそれぞれ位置している。これらの側面は
必ずしも平面ではなく、一般には曲面である。この4つ
の側面が原子流を反射する反射面として機能する。すな
わち、開口部112を通過した原子流は、反射ブロック
106の4つの側面によって反射され、そのことによっ
て、中心軸から遠ざかる方向へ進行する4成分の原子流
が得られる。
【0063】これらの4成分の原子流は、いずれも、そ
のビーム断面が二次元的(平面的)に拡大する発散ビー
ムである。そして、これらの4成分は、整流部材(整流
手段)108を通過することによって、それぞれの進行
方向が所望の方向に精度よく揃えられた後、4枚の反射
板110へそれぞれ入射する。整流部材108は、反射
ブロック106の側面から反射板110へと向かう放射
状に原子流の方向を整える働きをなす部材であり、従来
周知の技術で構成可能である。
【0064】これらの4枚の反射板110は、被照射対
象である基板11の周囲に、しかも反射ブロック106
の対称軸の周りに4回回転対称に配置されている(図4
には1枚の反射板110のみを示して他を代表する。ま
た図4には1枚の反射板110の上半部分へ入射しかつ
反射する原子流のみを図示し、下半部分への入射および
反射原子流については図示を略している)。反射板11
0へ入射した原子流の成分は、その反射面によって再び
反射される。反射板110の反射面は適度の凹面形状を
有する。このため、発散する原子流の成分がこの反射面
に反射される結果、適度に集束されることにより、平行
ビームとなって、しかも基板11の上面全体にわたって
一様に降り注ぐ。しかも、基板11の上面に対して、例
えば55゜の入射角度(図3)をもって、4方向から基
板11の上面へ平行ビームが入射する。
【0065】<1-4.装置150の動作>図1を参照しつ
つ、装置150の動作について説明する。基板11とし
て例えばアルミナ基板を用い、この基板11の上に単結
晶炭素(ダイヤモンド)薄膜を形成する例を取り上げ
る。基板11の上には、この装置150に装着する前
に、例えばECRプラズマCVD等の従来の方法を用い
て、非晶質炭素薄膜または結晶粒径の小さい多結晶炭素
薄膜があらかじめ形成される。ECRプラズマCVDを
用いて成膜を行うときの条件を表3に列挙する。
【0066】
【表3】
【0067】この第1ステップで形成する薄膜では、そ
の結晶性は重要な要素ではないので、成長速度が速く大
面積の薄膜が形成できる生産性にすぐれた気相成長法を
選べば良い。例えば、EACVD法によるDCプラズマ
法を適用してもよい。
【0068】つぎに、例えば非晶質炭素薄膜が堆積した
基板11を試料台10と反射ユニット160の間へ装着
する。試料台10が備えるヒータは、試料すなわち基板
11および非晶質炭素薄膜の温度を、炭素の結晶化温度
よりも幾分低い高温度に維持する。この温度の下では、
一旦形成された単結晶炭素が多結晶炭素へと劣化するこ
とはない。同時にこの温度は、種結晶が存在すれば、こ
の種結晶を核として非晶質炭素あるいは多結晶炭素が単
結晶炭素へと成長し得るほどには高温度である。
【0069】不活性ガス導入管7から導入される不活性
ガスとしては、好ましくは炭素原子よりも原子量の小さ
いHeガスが選択される。ECRイオン源2の働きによ
り、He原子流が反射ユニット160に供給され、その
結果、基板11の上面全体に、例えば55゜の入射角度
をもって4つの方向から入射する。この場合、これら4
成分のHe原子流の入射方向は、形成すべき単結晶炭素
の4個の独立な最稠密結晶面、すなわち(111)面に
垂直な4方向に対応する。
【0070】ところで、ECRイオン源2によって形成
されるプラズマのエネルギーは、基板11に到達するH
e原子のエネルギーが、He原子の照射による炭素のス
パッタリングにおけるスレッショルド・エネルギーより
も低くなるように設定される。このため、非晶質炭素薄
膜にブラベ(Bravais)の法則が作用する。すなわち、
非晶質炭素薄膜に照射されるHe原子流の入射方向に垂
直な面が最稠密結晶面となるように、非晶質炭素薄膜の
表面近傍における炭素原子が再配列する。
【0071】照射されるHe原子流は4つの成分を有し
ており、しかもそれぞれの成分の入射方向は、単結晶炭
素の独立な4つの最稠密面に垂直な方向に対応するの
で、炭素原子の再配列は、これらの入射方向に垂直な面
がいずれも最稠密面となるように行われる。すなわち、
互いに独立な入射方向を有する4本のHe原子流によっ
て、4つの独立な(111)面の再配列方向が一定方向
に規制され、その結果、結晶方位が一義的に決定づけら
れる。このため、非晶質炭素薄膜の表面近傍の層が、結
晶方位の揃った単結晶炭素層へと転換される。
【0072】非晶質炭素薄膜の温度は、前述のように種
結晶が成長するに適した範囲内の温度に調整されてい
る。このため、非晶質炭素薄膜の表面に形成された単結
晶炭素層が種結晶として機能し、単結晶炭素層が非晶質
炭素薄膜の深部に向かって成長する。そして、一定時間
を経た後に、非晶質炭素薄膜の全領域が単結晶炭素層へ
転換される。このようにして、基板11の上に結晶方位
の揃った単結晶炭素薄膜が形成される。この単結晶炭素
薄膜は、(100)面が表面に沿うように配向する。
【0073】照射によって非晶質炭素薄膜の表面に形成
され、種結晶として機能する単結晶炭素層は、非晶質薄
膜から転化して形成されたものであるので、その深部側
に残っている非晶質炭素の層とは一体をなしている。す
なわち、非晶質炭素の層と種結晶との間の接触性は完全
である。このため、縦方向の固相エピタキシャル成長が
良好に進行する。すなわち、単結晶炭素薄膜の形成が迅
速に行われるとともに、良質の単結晶薄膜が得られる。
また、種結晶と固相エピタキシャル成長によって形成さ
れた単結晶炭素とは、ともに同一結晶方位を有する同一
物質の単結晶であるために、単結晶炭素薄膜を形成した
後に種結晶を除去する必要がない。
【0074】この装置150では、1台のECRイオン
源2が供給する1本の原子流を複数の成分に分離して、
それぞれを複数の方向から基板11へ照射するので、複
数の原子流成分の照射を目的として原子流成分と同数の
ECRイオン源2を準備する必要がないという利点があ
る。
【0075】また、図3に示した55゜の入射角度はい
うまでもなく一例であって、反射板110の形状、方向
を適宜変更することによって、結晶軸の所望する配向方
向に対応した任意の入射角度をもって基板11へ平行ビ
ームを入射することが可能である。すなわち、反射板1
10の形状、方向を適宜変更することによって、結晶軸
が任意の方向に配向した単結晶炭素薄膜を形成すること
ができる。
【0076】さらに、反射ブロック106によって発散
ビームが生成されるので、反射板110の反射ブロック
106の対称軸からの距離を、基板11の広さに応じて
適宜調節することによって、ECRイオン源2が供給す
るビームの断面よりもはるかに広大な基板11の上に、
一様に平行ビームを照射することができる。このため、
この装置150によれば、基板11を走査することな
く、大面積の基板11の上に所望の結晶方位を有する単
結晶薄膜を均一にかつ効率よく形成することが可能であ
る。
【0077】また、遮蔽板104に設けられた4つの開
口部112の開口面積を、個別に調節することによっ
て、これらの開口部112を通過する4成分のビームの
量を個別に調整することが可能である。このため、基板
11の上面に複数方向から照射される4成分の各ビーム
量を最適に設定することができる。例えば、4成分のビ
ーム量を均一に揃えることができる。このため、良質の
単結晶薄膜を効率よく形成することが可能である。
【0078】前述のように炭素薄膜に照射する原子流を
構成する元素として、炭素原子よりも軽いHeを選択す
るのが望ましい。これは、He原子流が炭素薄膜に照射
された際に、比較的重い炭素原子が比較的軽いHe原子
を後方へ散乱する確率が高いために、He原子が炭素薄
膜の中に侵入し残留するということが起こりにくいから
である。更に、照射する原子流を構成する元素に不活性
元素を選択するのは、不活性元素が炭素薄膜の中に残留
しても、この残留する不活性元素は、炭素と化合物を形
成することがなく、炭素薄膜の機械的、熱的、および電
気的特性には余り影響を及ぼさず、しかも出来上がった
単結晶炭素薄膜をある程度昇温することによって、容易
に外部へ除去され得るからである。
【0079】以上のように、この実施例の方法では、基
板11の上にあらかじめ堆積される炭素物質のアモルフ
ァス薄膜または多結晶薄膜は、従来の方法の中から成長
速度、成長面積等において高い効率が得られる方法を選
んで形成することができる。そして、このようにして形
成された炭素薄膜に、ビームを照射するという簡単な工
程を施すことによって、炭素薄膜が単結晶薄膜に転換さ
れ、そのことによって膜質の改善、すなわち炭素薄膜の
機械的、熱的、および電気的特性の改善を行うことがで
きる。しかも、かつて実現し得なかった低圧下での単結
晶炭素薄膜の形成が容易に実現する。
【0080】<1-5.軸配向多結晶炭素薄膜の形成>図1
の装置において、反射ユニット160を除去すると、基
板11にはHe原子流が一方向から照射される。このと
き、He原子流の照射によってブラベーの法則が作用す
るが、照射が一方向のみから行われるので、この照射方
向に直交するように一つの最稠密面の方向のみが規制さ
れ、他の最稠密面の方向は規制されない。このため、こ
のようにして一方向からの照射によって形成される薄膜
は、一般には単結晶構造ではなく、一軸方向のみが揃っ
た軸配向多結晶構造となる。
【0081】軸配向多結晶炭素薄膜は、機械的、熱的、
電気的その他のあらゆる点において、通常の多結晶炭素
薄膜よりも単結晶炭素薄膜に近い特性を有する。また、
軸配向多結晶炭素薄膜を形成する方法は、単結晶炭素薄
膜を形成する方法において単に照射方向を一方向に限定
するのみであるので、単結晶炭素薄膜を形成する方法よ
りもさらに製造が容易であるという利点がある。
【0082】なお、軸配向多結晶炭素薄膜を形成する際
に、基板11はHe原子流の入射方向に必ずしも直交す
るように配置されなくてもよい。基板11の姿勢は、揃
えたい一軸方向にHe原子流の照射方向が一致するよう
に任意に選択すればよい。
【0083】<2.第2実施例>つぎに、この発明の第
2実施例の装置について述べる。
【0084】<2-1.装置の構成と動作>図5は、この実
施例のビーム照射装置の全体構成を示す正面断面図であ
る。この装置151は、基板11の上に非晶質炭素薄膜
を形成しつつ、それと同時に原子流を照射することによ
って、成長しつつある非晶質炭素薄膜を単結晶薄膜へと
逐次的に転換することを目的として構成されている。装
置151では、照射室8に反応ガス供給管13が連通し
ている。この反応ガス供給管13を通して、プラズマC
VDにより基板11上に所定の物質の薄膜を形成するた
めの反応ガスが供給される。その他の構成上の特徴は、
装置150と同様である。
【0085】装置151はつぎのように動作する。第1
実施例で取り上げたように、ここでも、基板11として
アルミナ基板を用い、この基板11の上に単結晶炭素の
薄膜を形成する例を取り上げる。反応ガス供給管13か
ら、単結晶炭素の構成元素である炭素を供給するCH4
(メタン)ガスが供給される。また、不活性ガス導入管
7からプラズマ室4へ、Heガスが導入される。また、
Heガスには、微量の水素ガスおよび酸素ガスが混入さ
れる。これらの成膜条件を表4にまとめて示す。
【0086】
【表4】
【0087】反応ガス供給管13から供給されるメタン
ガスは、ECRイオン源2によって生成されたHe+
オン流あるいはHe原子流によって、基板11へ向かっ
て叩きつけられる。その結果、基板11の上面において
プラズマCVD反応が進行し、メタンガスが供給する炭
素を構成元素とする薄膜、すなわち炭素薄膜が成長す
る。
【0088】基板11の温度は、炭素の結晶化温度以下
に保持される。すなわち、プラズマCVDによって結晶
化が進行する温度以下の温度で炭素薄膜が形成される。
このため炭素薄膜は、プラズマCVDによって、まず非
晶質であるアモルファスカーボンとして形成される。
【0089】ECRイオン源2から下方向へと向かうH
e原子流は、反射ユニット160の働きによって、基板
11の上面に形成されつつある炭素薄膜の全面へ、例え
ば55゜の入射角度をもつ4方向から入射する。ECR
イオン源2によって形成されるプラズマのエネルギー
は、装置150と同様に、これらの4成分の入射エネル
ギーが、炭素に対するスレッショルド・エネルギーより
も低くなるように設定される。したがって、成長しつつ
あるアモルファスカーボン薄膜にブラベの法則が作用す
る。
【0090】すなわち、アモルファスカーボンに照射さ
れる4成分から成るHe原子流の入射方向に垂直な面
が、いずれも最稠密結晶面となるようにアモルファスカ
ーボン内の炭素原子が再配列する。その結果、単一の結
晶方位を有する単結晶炭素が形成される。すなわち、プ
ラズマCVDによって成長しつつあるアモルファスカー
ボン薄膜は、結晶方位の揃った単結晶炭素薄膜へ逐次転
換される。こうして得られる単結晶炭素薄膜は、(10
0)面が表面に沿うように配向する。
【0091】以上のように装置151では、プラズマC
VDにより炭素薄膜が成長する過程で、同時に単結晶へ
の転換が逐次進行する。このため、膜厚の大きい単結晶
炭素薄膜を、しかも低温下で形成することが可能であ
る。また、単結晶構造を有する基板の上に、それとは結
晶方位の異なる単結晶炭素薄膜を形成することも可能で
ある。
【0092】さらに、低温度下で単結晶薄膜を形成でき
るので、例えば既に所定の素子が作り込まれた基板の上
に、この素子の特性を変えることなく、更に単結晶炭素
薄膜を形成することも可能である。このように、この装
置151では、薄膜の単なる支持材としての機能しか持
たない基板だけではなく、所定の構造と機能とを有する
デバイスを基板として、その上に単結晶薄膜を形成する
ことも可能である。
【0093】<2-2.軸配向多結晶炭素薄膜の形成>図5
の装置において、反射ユニット160を除去すると、基
板11にはHe原子流が一方向から照射される。このと
き、He原子流の照射によってブラベーの法則が作用す
るが、照射が一方向のみから行われるので、この照射方
向に直交するように一つの最稠密面の方向のみが規制さ
れ、他の最稠密面の方向は規制されない。このため、こ
のようにして一方向からの照射によって形成される薄膜
は、一般には単結晶構造ではなく、一軸方向のみが揃っ
た軸配向多結晶構造となる。すなわち、単結晶炭素薄膜
を形成する方法よりも一層簡単な方法で、単結晶炭素薄
膜に近い特性をもった軸配向多結晶炭素薄膜を形成する
ことができる。
【0094】なお、軸配向多結晶炭素薄膜を形成する際
に、基板11はHe原子流の入射方向に必ずしも直交す
るように配置されなくてもよい。基板11の姿勢は、揃
えたい一軸方向にHe原子流の照射方向が一致するよう
に任意に選択すればよい。
【0095】以下において、第1または第2実施例の方
法が特に効果を発揮する装置、部品における単結晶炭素
薄膜の形成例を述べる。
【0096】<3.第3実施例>ここでは、音響材料と
しての単結晶炭素薄膜を形成する例について説明する。
炭素薄膜は音の伝搬速度が非常に高い物質として、オー
ディオ製品における高音用スピーカ(ツイータ)の振動
板材料への応用が注目されている。音速が高い物質であ
っても、それを振動板材料として利用するには、炭素薄
膜が振動板材料に見合った形状に形成されるとともに、
振動板全体が振動に追随するために軽く薄く形成されな
ければならない。従って、炭素薄膜を振動板に利用する
には、低圧気相成長法を用いて炭素薄膜を形成するのが
最も適している。また、各種炭素薄膜の中で、単結晶炭
素薄膜すなわちダイヤモンド薄膜は最も音速が高いの
で、単結晶炭素薄膜を振動板に利用するならば最も良好
な音響特性が得られる。
【0097】以下に、ツイータの振動板としての単結晶
炭素薄膜を形成する方法について説明する。まず図6
に、完成品としてのツイータの断面構造を示す。このツ
イータ200は、フランジ203を有するカップ状の振
動板201の周囲にボイスコイル202が巻かれた構造
を成している。このツイータ200は図示しない磁石の
中に挿入され、ボイスコイル202に音響電流を通じる
ことにより振動板201が振動し、そのことによってス
ピーカとして機能する。
【0098】この振動板201を構成するには、まず、
アルミナを振動板201の形状に形成する。その後、こ
の振動板形状のアルミナ基板を基板11として、第1実
施例の方法または第2実施例の方法を用いることによっ
て、このアルミナ基板の上に単結晶炭素薄膜を形成す
る。これによって、単結晶炭素薄膜を主材料とする振動
板201が得られる。
【0099】アルミナは音速の高い物質であり、その上
に、最も音速の高い単結晶炭素薄膜が形成されるので、
得られた振動板201は最も良好な音響特性を有する。
第1実施例、第2実施例の何れの方法も、アルミナ基板
をその融点近くまで昇温する必要がないので、アルミナ
を下地とする振動板201の製造に適している。また、
図3に示すように、複数方向から基板11へ照射される
He原子流の断面形状には2次元的な広がりがある。こ
のため、カップ状の振動板201の頭頂部だけでなく、
その側面にもHe原子流を照射することができる。すな
わち、第1実施例、第2実施例の何れの方法も、立体形
状を成し、しかも単結晶炭素薄膜を主材料とする振動板
201の製造に適している。
【0100】また、振動板201が立体形状を成すこと
から、He原子流が十分に照射されない部分がわずかで
も存在し、そのことによる音響特性の劣化を回避するた
めに、アルミナ基板の上にあらかじめ軸配向多結晶炭素
薄膜を形成してもよい。図7〜図9は、この方法を示す
工程図である。
【0101】まず、第1実施例または第2実施例の何れ
かの方法によって、振動板201の形状を成すアルミナ
基板211の上に炭素薄膜を形成する。ただし、図7に
示すように、このときのHe原子流の照射の際には、反
射ユニット160は用いられない。すなわち、He原子
流はアルミナ基板211の上に一方向から照射される。
その結果、ブラベの法則の作用により、最稠密面である
(111)面が原子流の入射方向に垂直になるように配
向した多結晶炭素薄膜、すなわち軸配向多結晶炭素薄膜
が形成される。入射方向の周りの結晶方位は規制されな
いので、あくまで多結晶薄膜として形成される。
【0102】この軸配向多結晶薄膜は、各結晶粒におけ
る結晶軸の方向が任意である通常の多結晶薄膜に比べる
と、規則性が高いので、その特性は単結晶薄膜に近いも
のとなる。立体形状を成すアルミナ基板211の上に、
軸配向多結晶炭素薄膜を形成する際には、図7および図
8に示すように、図示を略する試料台を回転することに
よってアルミナ基板211を適宜回転させつつHe原子
流を照射するとよい。少なくともHe原子流の入射方向
に一致しない回転軸の周りの回転については、間欠的に
回転を行うのが望ましい。
【0103】このようにして、アルミナ基板211の上
に軸配向多結晶炭素薄膜を形成した後に、図9に示すよ
うに、第1実施例の方法を実行することによって、軸配
向多結晶炭素薄膜を単結晶炭素薄膜に転換する。なお、
図9において、ビーム拡散ユニット206は、図3にお
ける遮蔽板104、反射ブロック106および整流部材
108を構成要素とするものである。
【0104】この方法によれば、アルミナ基板211の
上に仮にHe原子流が十分に照射されない部分が存在し
たとしても、その部分には少なくとも軸配向多結晶炭素
薄膜が形成されている。軸配向多結晶炭素薄膜では、ア
モルファス炭素薄膜あるいは通常の多結晶炭素薄膜より
も音速が高い。このため、He原子流が十分に照射され
ない部分が存在しても、音響的な特性の劣化が低く抑え
られる。また、少なくとも一方向からはHe原子流の照
射を受けており、横方向からの結晶成長と合わせてかな
りの範囲で単結晶化が進行する。
【0105】なお、この方法において、単結晶薄膜への
転換を行うべく照射されるHe原子流の複数の入射方向
の一つは、それに先だって軸配向多結晶薄膜を形成すべ
く照射されるHe原子流の入射方向に一致させ得るので
あれば、その方が望ましい。なぜならば、軸配向多結晶
薄膜における共通の一軸方向を変更することなく、単結
晶薄膜への転換が行われるので、単結晶薄膜への転換の
工程が短時間で円滑に進行するからである。
【0106】以上のように、この実施例の方法では、従
来の技術では非晶質の炭素薄膜(アモルファスカーボ
ン)か、あるいは結晶粒径の小さな多結晶薄膜しか得ら
れないために実現不可能であった単結晶炭素薄膜を主材
料とする振動板201を容易に構成することができる。
このため、かつて実現しなかった高音特性の最も優れた
ツイータが実現する。
【0107】なお、第3実施例に関する以上の説明で
は、単結晶炭素薄膜を形成する例について説明したが、
単結晶炭素薄膜の代わりに軸配向多結晶炭素薄膜を形成
してもよい。それには例えば、軸配向多結晶炭素薄膜を
一旦形成した後に単結晶炭素薄膜へと転換する上述した
方法において、後半の工程である単結晶炭素薄膜への転
換を行わずに、軸配向多結晶炭素薄膜を形成したままに
すればよい。そうすることによって、単結晶炭素薄膜を
形成する方法よりもさらに容易な方法で、あらゆる点で
単結晶炭素薄膜に近い特性を有する軸配向多結晶炭素薄
膜が得られる。すなわち、この方法で形成された軸配向
多結晶炭素薄膜を主材料とする振動板201は、単結晶
炭素薄膜を主材料とする振動板201と同様に、高音特
性の優れたツイータとして利用可能である。
【0108】<4.第4実施例>また、本発明の方法が
適した対象物に放熱板や絶縁膜がある。高周波発振に用
いられるガンダイオードや半導体レーザ等はその特性を
発揮するためには高電流密度が必要であり、そのために
素子の中心部は高温度となる。高温になるとその特性が
劣化するため、熱伝導の良い材料で放熱し特性を劣化さ
せないようにする必要がある。半導体レーザ部を炭素薄
膜に接触させて放熱することは素子の性能を保つために
有効である。また電気的には高絶縁性であることも都合
がよい。各種の炭素薄膜の中で単結晶炭素薄膜は、熱伝
導性、電気絶縁性ともに最も優れている。
【0109】図10は、単結晶炭素薄膜を主成分とする
ヒートシンクを有するレーザー装置の構成を示す内部斜
視図である。この装置300では、半導体レーザ素子3
01がヒートシンク302の上に取り付けられており、
このヒートシンク302は、さらに大きな熱容量を有す
る銅製のヒートシンク303の上に取り付けられてい
る。ヒートシンク302は銅材を母材とし、その表面が
単結晶炭素薄膜で覆われている。半導体レーザ素子30
1はワイヤを通じて電極304と電気的に接続されてい
る。
【0110】単結晶炭素薄膜を形成するための第1実施
例〜第3実施例の何れかの方法を用いることによって、
銅材の表面に単結晶炭素薄膜が被覆されたヒートシンク
302を容易に形成することができる。第1実施例〜第
3実施例の方法は、基板として機能する銅の母材をその
融点にまで昇温する必要がないので、銅材の表面に単結
晶炭素薄膜が被覆されたヒートシンク302を形成する
のに適している。
【0111】このように、放熱材の表面に炭素薄膜を被
覆して用いることは、放熱材に接触する素子の特性、寿
命の面からも有効であるが、本発明を適用すれば経済性
に優れ、しかも良質の放熱材が容易に製作され得る。
【0112】なお、第4実施例に関する以上の説明で
は、単結晶炭素薄膜を形成する例について説明したが、
単結晶炭素薄膜の代わりに軸配向多結晶炭素薄膜を形成
してもよい。それには例えば、単結晶炭素薄膜を形成す
る際に用いられる図1または図5の装置において、反射
ユニット160を除去することによって、複数方向から
の照射を行う代わりに一方向のみから照射を実行すれば
よい。そうすることによって、単結晶炭素薄膜を形成す
る方法よりもさらに容易な方法で、あらゆる点で単結晶
炭素薄膜に近い特性を有する軸配向多結晶炭素薄膜が得
られる。すなわち、この方法で形成された軸配向多結晶
炭素薄膜で覆われるヒートシンクは、単結晶炭素薄膜で
覆われるヒートシンク302と同様に、放熱特性の優れ
たヒートシンクして利用可能である。
【0113】<5.第5実施例>さらに、本発明の方法
が適した対象物に各種の工具がある。低圧気相成長法に
よって形成される炭素薄膜は硬質であるため、工具の切
削部などの硬度を要する部分にこの炭素薄膜を形成する
ことによって工具の硬度の改善を図ることができる。各
種の炭素薄膜の中で単結晶炭素薄膜は最も硬度が高いの
で、工具の切削部などに単結晶炭素薄膜を形成すること
は、工具の耐久性を改善するだけでなく、従来困難であ
った加工技術をも新たに提供する。
【0114】図11は、旋盤などに用いられるバイトの
刃先に単結晶炭素薄膜を形成した例を示す斜視図であ
る。この刃先400では、タングステンの母材401の
表面に単結晶炭素薄膜402が形成されている。このた
め、刃先の耐久性が向上するのに加えて、切削性が高め
られる。この刃先400を製造するには、まず、バイト
用に成型されたタングステンの母材401を準備する。
その後、母材401の表面に多結晶炭素薄膜を堆積させ
る。母材401への多結晶炭素薄膜の堆積は、経済性か
ら成長速度の速いEACVD法またはその延長上の技術
であるDCプラズマCVD法などを用いて行なうとよ
い。
【0115】例えばEACVD法では、原料ガスにCH
4とH2との混合ガスを用い、しかもCH4ガスには0.
5〜2%のものを用いる。母材401の温度は600〜
800゜Cに設定し、反応時の圧力は数十Torr(2
0〜40Torr)に設定するとよい。このとき、約4
〜6μm/hの成長速度で多結晶炭素薄膜が形成され
る。
【0116】DCプラズマ法では、同様にCH4とH2
の混合ガスを用いるが、メタン濃度を5%と高くすると
ともに、母材401の温度を700〜900゜Cに設定
するとよい。このとき、10〜20μm/hと高い成長
速度が得られるので、生産性が良好である。
【0117】このようにして多結晶炭素薄膜で被覆され
た母材401を、第1実施例の装置150に装着するこ
とによって、所定の条件下でHe原子流の照射を行う。
その結果、多結晶炭素薄膜が単結晶炭素薄膜へ転換さ
れ、母材401の表面に単結晶炭素薄膜402が形成さ
れる。また、母材401の上に単結晶炭素薄膜を形成す
るのに、第2実施例または第3実施例の方法を用いても
よい。このように、第1実施例〜第3実施例の何れの方
法においても、炭素とは異なる金属材料の上に単結晶炭
素薄膜を形成することができるので、バイトの刃先40
0などの工具の製造に適している。
【0118】つぎに、工具に適用したもう一つの例を述
べる。図12は、集積回路のチップとそのケースに設け
られた電極との間で配線を行うときに使用されるボンデ
ィングツールの斜視図である。このボンディングツール
410においても、タングステンのブロック411の上
面に単結晶炭素薄膜412が形成されている。
【0119】このボンディングツール410は、図13
に示すような要領で使用される。すなわち、ステージ4
20の上に半導体チップ421を載置し、しかも半導体
チップ421の上にいわゆるテープキャリア425を置
く。テープキャリア425は、母材としてのポリイミド
・フィルム423の上に形成された銅製の配線パターン
424を有している。この配線パターン424の一端部
が半導体チップ421の上に突出するように形成された
バンプ電極422に当接するように、テープキャリア4
25と半導体チップ421とが互いに位置合わせされ
る。この状態で、ボンディングツール410を配線パタ
ーン424の上から半導体チップ421へ向かって押圧
することによって、配線パターン424とバンプ電極4
22とが結合される。
【0120】ボンディングツールには従来、超合金など
が用いられてきたが、これらは焼結体であるために、加
熱しないで使用すると焼結体内において「つなぎ材」と
して使われている金属が侵されるために、ボンディング
ツールの表面が平滑でなくなってしまうという耐久性上
の問題があった。単結晶炭素薄膜は放熱性とともに摩耗
性にすぐれているので、押圧部が単結晶炭素薄膜412
で被覆されたボンディングツール410は耐久性に優れ
る。
【0121】つぎに、工具に適用したさらに別の例を述
べる。図14は、ボールベアリングの加工時に用いられ
る治具の斜視図である。この治具420では、台421
の上にブロック422が取り付けられている。台421
の上面には円環状に単結晶炭素薄膜423が形成されて
おり、これに隣接するブロック422の先端部にも同じ
く単結晶炭素薄膜424が形成されている。ベアリング
の加工を行うという用途から、この治具には高い耐摩耗
性が要求される。摩擦する部位に単結晶炭素薄膜42
3、424を形成することによって、治具420の耐摩
耗性が向上する。
【0122】なお、第5実施例に関する以上の説明で
は、単結晶炭素薄膜を形成する例について説明したが、
単結晶炭素薄膜の代わりに軸配向多結晶炭素薄膜を形成
してもよい。それには例えば、単結晶炭素薄膜を形成す
る際に用いられる図1または図5の装置において、反射
ユニット160を除去することによって、複数方向から
の照射を行う代わりに一方向のみから照射を実行すれば
よい。そうすることによって、単結晶炭素薄膜を形成す
る方法よりもさらに容易な方法で、あらゆる点で単結晶
炭素薄膜に近い特性を有する軸配向多結晶炭素薄膜が得
られる。
【0123】例えば、この方法で形成された軸配向多結
晶炭素薄膜を有するバイトの刃先は、単結晶炭素薄膜を
有する刃先400と同様に、硬度、耐久性等に優れた刃
先として利用可能である。
【0124】<6.その他の実施例> (1) すでに製作されているデバイス(LSI等)に
おいて配線(Al等)への影響を与えられない温度,特
性劣化を生じない温度で良質のダイヤモンド単結晶薄膜
を保護膜として形成することも可能である。
【0125】(2) 上記の実施例では、反射ブロック
106の形状、および反射板110の配置を4回回転対
称に選んだが、その他の回転対称、例えば2回回転対
称、あるいは3回回転対称に選ぶことも可能である。こ
のことによって、単結晶薄膜の結晶の配向に応じて、異
なる入射角度で入射する原子流の成分の数を任意に選ぶ
ことができる。すなわち、所望する様々な結晶方位を有
する単結晶炭素薄膜を形成することも可能である。
【0126】反射ブロック106の形状を、円錐体など
の回転対称に選んでもよい。このときには、基板11へ
の入射方向の数によらずに、反射ブロック106は1つ
で足りる。
【0127】(3) 原子流の方向を整える整流部材1
08は、反射ブロック106から反射板110へと向か
う原子流の経路に介挿する代わりに、反射板110によ
って反射され基板11へと向かう原子流の経路に介挿し
てもよい。また、これらの双方の経路に介挿してもよ
い。
【0128】また、整流部材108を備えない装置を構
成してもよい。しかしながら、整流部材108を備える
装置では、反射ブロック106や反射板110の形状お
よび配置などを厳密に設定しなくても、原子流の成分の
基板11への入射方向が精密に定まるという利点があ
る。
【0129】(4) 複数方向から基板11へ入射する
原子流を、単一のECRイオン源2と反射ユニット16
0とによって得る代わりに、複数のECRイオン源2を
用意し、各ECRイオン源2から基板11へと直接導く
ことによって得てもよい。
【0130】(5) ECRイオン源102の代わり
に、中性の原子流または分子流、あるい中性のラジカル
流を発生する他のビーム源を使用してもよい。このよう
な中性の原子流、ラジカル流を発生するビーム源がすで
に市販されている。このビーム源を使用すれば、中性の
原子またはラジカルのビームが得られるので、ECRイ
オン源を用いた場合と同様に、イオン流を中性化する手
段を要せずして、絶縁性の基板11の上に単結晶薄膜を
形成することが可能である。
【0131】(6) ECRイオン源102の代わり
に、ケージ型、カウフマン型等の他のイオン源を用いて
もよい。ただし、このときに生成されるイオン流は、イ
オン間の静電気による反発力によって流れが拡散し、指
向性が弱まる傾向にあるので、イオンを中性化する手
段、あるいは例えばコリメータなどのイオン流の指向性
を高める手段をイオン流の経路に介挿するのが望まし
い。特に、基板11に電気絶縁性の基板を用いるときに
は、基板11に電荷が蓄積して照射が進行しなくなるこ
とを防止するために、イオンを中性化する手段をイオン
流の経路に介挿することが望ましい。これに対し、EC
Rイオン源を備える実施例の装置では、イオン流を中性
化する手段を用いることなく中性原子流が容易に得ら
れ、しかも平行流に近い形で得られるという利点があ
る。
【0132】(7) 基板11に導電性の基板を用いる
ときには、ECRイオン源102の代わりに、他のイオ
ン源を用い、しかも中性化手段を用いることなく、イオ
ン流を基板へ照射するように装置を構成してもよい。
【0133】
【発明の効果】<請求項1に記載の発明の効果> この発明の方法では、基板面上にあらかじめ形成された
炭素物質のアモルファス薄膜または多結晶薄膜に、単結
晶構造における最稠密面に垂直な複数方向から、スパッ
タリングを引き起こさない低エネルギーの気体のビーム
を照射することによって、基板の上に単結晶炭素薄膜を
形成する。炭素物質のアモルファス薄膜または多結晶薄
膜は、従来の方法の中から成長速度、成長面積等におい
て高い効率が得られる方法を選んで形成することができ
る。この発明の方法によれば、このようにして形成され
た炭素薄膜に、ビームを照射するという簡単な工程を施
すことによって、あらかじめ形成された炭素薄膜が単結
晶薄膜に転換される。そのことによって膜質の改善、す
なわち炭素薄膜の機械的、熱的、および電気的特性の改
善が実現する。しかも、かつて実現し得なかった低圧下
での単結晶炭素薄膜の形成が容易に、かつ経済的に実現
する。また、薄膜へ照射する気体のビームを、単一のビ
ーム発生源と、反射ブロックと、反射板とによって得る
ので、複数のビーム発生源を要せずして、相異なる複数
の所定の方向から気体のビームを照射することが可能で
ある。すなわち、この発明の方法では、ビーム発生源を
1個用意すれば足りるので、単純な装置構成をもって単
結晶薄膜を形成し得るという効果を奏する。
【0134】<請求項2に記載の発明の効果> この発明の方法では、プラズマ化学気相成長法によって
基板の上に炭素物質の薄膜を形成しつつ、同時に所定の
複数方向から気体のビームを基板上すなわち薄膜の上へ
照射することによって、結晶方位の揃った単結晶の炭素
薄膜を形成する。すなわち、この発明の方法では、プラ
ズマ化学気相成長法により薄膜が成長する過程で、同時
に単結晶への転換が逐次進行する。このため、膜厚の大
きい単結晶薄膜を、しかも低温下で形成することが可能
である。また、薄膜へ照射する気体のビームを、単一の
ビーム発生源と、反射ブロックと、反射板とによって得
るので、複数のビーム発生源を要せずして、相異なる複
数の所定の方向から気体のビームを照射することが可能
である。すなわち、この発明の方法では、ビーム発生源
を1個用意すれば足りるので、単純な装置構成をもって
単結晶薄膜を形成し得るという効果を奏する。
【0135】<請求項3に記載の発明の効果> この発明の方法では、基板の上に炭素物質の軸配向多結
晶薄膜をあらかじめ形成した後に、複数方向からビーム
を照射することによって、この薄膜を単結晶薄膜へ転換
する。このため、例えば基板が立体構造を成すなどのた
めに、複数方向からのビームが基板の上に均一に照射さ
れなくても、基板の上のどの部分にも炭素物質の単結晶
薄膜か軸配向多結晶薄膜の少なくとも何れかが形成され
ているので、目立った特性上の劣化を引き起こさない。
また、薄膜へ照射する気体のビームを、単一のビーム発
生源と、反射ブロックと、反射板とによって得るので、
複数のビーム発生源を要せずして、相異なる複数の所定
の方向から気体のビームを照射することが可能である。
すなわち、この発明の方法では、ビーム発生源を1個用
意すれば足りるので、単純な装置構成をもって単結晶薄
膜を形成し得るという効果を奏する。
【0136】<請求項4に記載の発明の効果> この発明の方法では、基板の上に炭素物質の軸配向多結
晶薄膜をあらかじめ形成した後に、複数方向からビーム
を照射することによって、この薄膜を単結晶薄膜へ転換
する。このため、例えば基板が立体構造を成すなどのた
めに、複数方向からのビームが基板の上に均一に照射さ
れなくても、基板の上のどの部分にも炭素物質の単結晶
薄膜か軸配向多結晶薄膜の少なくとも何れかが形成され
ているので、目立った特性上の劣化を引き起こさない。
また、薄膜へ照射する気体のビームを、単一のビーム発
生源と、反射ブロックと、反射板とによって得るので、
複数のビーム発生源を要せずして、相異なる複数の所定
の方向から気体のビームを照射することが可能である。
すなわち、この発明の方法では、ビーム発生源を1個用
意すれば足りるので、単純な装置構成をもって単結晶薄
膜を形成し得るという効果を奏する。
【0137】<請求項5に記載の発明の効果>この発明
の方法では、炭素物質の軸配向多結晶薄膜を形成する際
における気体のビームの照射方向と、軸配向多結晶薄膜
を単結晶薄膜へ転換する際における気体のビームの複数
の照射方向の1つとが、互いに同一であるので、単結晶
薄膜への転換が円滑に行われる。
【0138】<請求項6に記載の発明の効果>この発明
の方法では、不活性ガスのビームが照射に供されるの
で、形成される単結晶炭素薄膜に気体が残留しても、薄
膜の機械的、熱的、および電気的特性に目立った影響を
及ぼさないのに加えて、侵入した気体を薄膜から容易に
除去することができる。
【0139】<請求項7に記載の発明の効果>この発明
の方法では、ビームを構成する気体の元素の原子量が、
被照射対象である炭素物質の薄膜を構成する炭素原子の
原子量よりも低いので、照射された気体を構成する元素
の大部分が、薄膜の表面ないしその近傍で後方へ散乱さ
れ、薄膜の中に残留し難い。
【0140】<請求項8に記載の発明の効果>この発明
の方法では、ビーム発生源が電子サイクロトロン共鳴型
のイオン発生源である。このため、イオンビームの指向
性が高いのに加えて、イオン発生源から所定以上の距離
において、イオンを中性化する手段を用いることなく、
強度の中性ビームを得ることができる。また、イオンを
中性化する手段を用いることなく、電気絶縁性の基板を
使用することも可能となる。
【0141】
【0142】<請求項〜請求項12のいずれかに記載
の発明の効果> この発明の方法では、単結晶炭素薄膜を形成する際に用
いられる複数方向からの気体のビームの代わりに、一方
向からの気体のビームを照射する。その結果、最稠密面
が照射方向に垂直となるように配向した軸配向多結晶薄
膜が形成される。結晶粒の間で一つの結晶方位だけが揃
っている軸配向多結晶炭素薄膜は、結晶粒の方位が任意
である通常の多結晶炭素薄膜に比べて結晶の規則性が高
いので、機械的、熱的、および電気的などあらゆる点に
おいて単結晶炭素薄膜に近い特性をもっている。したが
って、この発明の方法によって、従来の多結晶炭素薄膜
よりも単結晶炭素薄膜に近い炭素薄膜を形成することが
できる。
【0143】しかも、この発明の方法は、ビームの照射
方向が一方向であるために、複数方向から照射する単結
晶炭素薄膜形成方法よりも実施がさらに容易である。す
なわち、この発明の方法によれば、一方向からビームを
照射するという、実に容易かつ経済的な方法で単結晶炭
素薄膜に近い特性をもった炭素薄膜を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における装置の正面断面図である。
【図2】第1実施例におけるECRイオン源の特性を示
すグラフである。
【図3】第1実施例における反射ユニットの正面断面図
である。
【図4】第1実施例における反射ユニットの平面断面図
である。
【図5】第2実施例における装置の正面断面図である。
【図6】第3実施例におけるツイータの正面断面図であ
る。
【図7】第3実施例における振動板の製造工程図であ
る。
【図8】第3実施例における振動板の製造工程図であ
る。
【図9】第3実施例における振動板の製造工程図であ
る。
【図10】第4実施例における半導体レーザー装置の内
部斜視図である。
【図11】第5実施例におけるバイトの刃先の斜視図で
ある。
【図12】第5実施例におけるボンディングツールの斜
視図である。
【図13】第5実施例におけるボンディングツールの使
用要領を示す正面図である。
【図14】第5実施例における治具の斜視図である。
【図15】従来の装置の原理図である。
【図16】従来の装置の原理図である。
【図17】従来の装置の原理図である。
【図18】従来の装置の原理図である。
【符号の説明】
2 ECRイオン源(ビーム発生源) 11 基板 160 反射ユニット(反射手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−261214(JP,A) 特開 平1−141896(JP,A) 特開 昭63−206387(JP,A) 特開 平1−320291(JP,A) 特開 平2−184594(JP,A) 特開 平2−22198(JP,A) 特開 平2−229792(JP,A) 特開 昭61−191013(JP,A) 特開 昭62−167883(JP,A) 特開 昭63−286579(JP,A) 特開 平2−88490(JP,A) 特開 平3−60025(JP,A) 特開 平5−4896(JP,A) 特開 平5−39568(JP,A) 特開 平5−206071(JP,A) 特開 平6−128072(JP,A) 特開 平6−340500(JP,A) 特開 平7−58026(JP,A) 特開 平7−109196(JP,A) 特開 平7−118087(JP,A) 特開 平7−268625(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の上に炭素物質の単結晶薄膜を形成
    する単結晶炭素薄膜形成方法であって、 前記基板の上に前記炭素物質のアモルファス薄膜または
    多結晶薄膜をあらかじめ形成しておき、前記炭素物質の
    結晶化温度以下の高温下で、形成すべき前記単結晶薄膜
    における方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂直な方
    向から、前記炭素物質のスパッタリングを引き起こさな
    い低エネルギーの気体のビームを、前記アモルファス薄
    膜または前記多結晶薄膜へ照射し、 前記基板上の薄膜へ複数方向から照射される前記気体の
    ビームが、 単一のビーム発生源と、 当該ビーム発生源から前記基板へ至る経路に配設され、
    前記ビーム発生源から出力される原子流を複数方向に反
    射して分散させる錐体状の反射ブロックと、前記基板の
    周囲に配設され、前記反射ブロックによって反射された
    前記原子流を前記基板側に向けて反射し、前記基板上の
    薄膜へ方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂直な方向
    から前記気体のビームとして入射させる反射板と、 によって得られる ことを特徴とする単結晶炭素薄膜形成
    方法。
  2. 【請求項2】 プラズマ化学気相成長法を用いて、基板
    の上に炭素物質の単結晶薄膜を形成する単結晶炭素薄膜
    形成方法であって、 前記プラズマ化学気相成長法のみでは前記炭素物質の結
    晶化が起こらない低温度下で、反応ガスを前記基板の上
    に供給するとともに、形成すべき前記単結晶薄膜におけ
    る方向の相異なる複数の最稠密結晶面に垂直な方向か
    ら、前記炭素物質のスパッタリングを引き起こさない低
    エネルギーの気体のビームを、前記基板の上へ照射し、 前記基板上の薄膜へ複数方向から照射される前記気体の
    ビームが、 単一のビーム発生源と、 当該ビーム発生源から前記基板へ至る経路に配設され、
    前記ビーム発生源から出力される原子流を複数方向に反
    射して分散させる錐体状の反射ブロックと、 前記基板の周囲に配設され、前記反射ブロックによって
    反射された前記原子流を前記基板側に向けて反射し、前
    記基板上の薄膜へ方向の相異なる複数の最稠密 結晶面に
    垂直な方向から前記気体のビームとして入射させる反射
    板と、 によって得られる ことを特徴とする単結晶炭素薄膜形成
    方法。
  3. 【請求項3】 基板の上に炭素物質の単結晶薄膜を形成
    する単結晶炭素薄膜形成方法であって、 前記基板の上に前記炭素物質の結晶化が起こらない低温
    度下で、当該炭素物質を堆積させつつ、当該炭素物質の
    スパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体の
    ビームを、堆積しつつある当該炭素物質へ一方向から照
    射することによって、当該炭素物質の軸配向多結晶薄膜
    を形成する工程と、 前記炭素物質の結晶化温度以下の高温下で、形成すべき
    前記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最稠密結
    晶面に垂直な方向から、前記炭素物質のスパッタリング
    を引き起こさない低エネルギーの気体のビームを前記軸
    配向多結晶薄膜へ照射することによって、当該軸配向多
    結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する工程と、 を備え 前記基板上の薄膜へ複数方向から照射される前記気体の
    ビームが、 単一のビーム発生源と、 当該ビーム発生源から前記基板へ至る経路に配設され、
    前記ビーム発生源から出力される原子流を複数方向に反
    射して分散させる錐体状の反射ブロックと、 前記基板の周囲に配設され、前記反射ブロックによって
    反射された前記原子流を前記基板側に向けて反射し、前
    記基板上の薄膜へ方向の相異なる複数の最稠密結晶面に
    垂直な方向から前記気体のビームとして入射させる反射
    板と、 によって得られる ことを特徴とする単結晶炭素薄膜形成
    方法。
  4. 【請求項4】 基板の上に炭素物質の単結晶薄膜を形成
    する単結晶炭素薄膜形成方法であって、 前記基板の上に、前記炭素物質を堆積させることによっ
    て当該炭素物質の薄膜を形成する工程と、 前記工程の後に、前記炭素物質の結晶化温度以下の高温
    下で、前記炭素物質のスパッタリングを引き起こさない
    低エネルギーの気体のビームを、前記薄膜へ一方向から
    照射することによって、当該薄膜を軸配向多結晶薄膜へ
    転換する工程と、 前記炭素物質の結晶化温度以下の高温下で、形成すべき
    前記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最稠密結
    晶面に垂直な方向から、前記炭素物質のスパッタリング
    を引き起こさない低エネルギーの気体のビームを前記軸
    配向多結晶薄膜へ照射することによって、当該軸配向多
    結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換する工程と、 を備え 前記基板上の薄膜へ複数方向から照射される前記気体の
    ビームが、 単一のビーム発生源と、 当該ビーム発生源から前記基板へ至る経路に配設され、
    前記ビーム発生源から出力される原子流を複数方向に反
    射して分散させる錐体状の反射ブロックと、 前記基板の周囲に配設され、前記反射ブロックによって
    反射された前記原子流を前記基板側に向けて反射し、前
    記基板上の薄膜へ方向の相異なる複数の最稠密結晶面に
    垂直な方向から前記気体のビームとして入射させる反射
    板と、 によって得られる ことを特徴とする単結晶炭素薄膜形成
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4に記載の方法に
    おいて、前記軸配向多結晶薄膜を形成する際における前
    記気体のビームの照射方向と、前記軸配向多結晶薄膜を
    単結晶薄膜へ転換する際における前記気体のビームの複
    数の照射方向の1つとが、互いに同一であることを特徴
    とする単結晶炭素薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項4の何れかに記載
    の方法において、前記気体が不活性ガスであることを特
    徴とする単結晶炭素薄膜形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項4の何れかに記載
    の方法において、前記気体を構成する元素の原子量が、
    炭素原子の原子量よりも低いことを特徴とする単結晶炭
    素薄膜形成方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項4の何れかに記載
    の方法において、前記気体のビームを電子サイクロトロ
    ン共鳴型のイオン源を用いて生成することを特徴とする
    単結晶炭素薄膜形成方法。
  9. 【請求項9】 基板の上に炭素物質の軸配向多結晶薄膜
    を形成する軸配向多結晶炭素薄膜形成方法であって、 前記基板の上に前記炭素物質の結晶化が起こらない低温
    度下で、当該炭素物質を堆積させつつ、当該炭素物質の
    スパッタリングを引き起こさない低エネルギーの気体の
    ビームを、堆積しつつある当該炭素物質へ一方向から照
    射し、 前記気体のビームを電子サイクロトロン共鳴型のイオン
    源を用いて生成することを特徴とする軸配向多結晶炭素
    薄膜形成方法。
  10. 【請求項10】 基板の上に炭素物質の軸配向多結晶薄
    膜を形成する軸配向多結晶炭素薄膜形成方法であって、 前記基板の上に、前記炭素物質の薄膜をあらかじめ形成
    しておき、前記炭素物質の結晶化温度以下の高温下で、
    前記炭素物質のスパッタリングを引き起こさない低エネ
    ルギーの気体のビームを、前記薄膜へ一方向から照射
    し、 前記気体のビームを電子サイクロトロン共鳴型のイオン
    源を用いて生成することを特徴とする軸配向多結晶炭素
    薄膜形成方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または請求項10に記載の方
    法において、前記気体が不活性ガスであることを特徴と
    する軸配向多結晶炭素薄膜形成方法。
  12. 【請求項12】 請求項9または請求項10に記載の方
    法において、前記気体を構成する元素の原子量が、炭素
    原子の原子量よりも低いことを特徴とする軸配向多結晶
    炭素薄膜形成方法。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    単結晶炭素薄膜形成方法を用いた高音用スピーカの振動
    板形成方法であって、 振動板形状のアルミナ基板を前記基板とし、請求項1な
    いし8のいずれかに記載の単結晶炭素薄膜形成方法によ
    り、前記アルミナ基板上に単結晶炭素薄膜を形成するこ
    とを特徴とする高音用スピーカの振動板形成方法。
  14. 【請求項14】 請求項9ないし12のいずれかに記載
    の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法を用いた高音用スピー
    カの振動板形成方法であって、 振動板形状のアルミナ基板を前記基板とし、請求項9な
    いし12のいずれかに記載の軸配向多結晶炭素薄膜形成
    方法により、前記アルミナ基板上に軸配向多結晶炭素薄
    膜を形成することを特徴とする高音用スピーカの振動板
    形成方法。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    単結晶炭素薄膜形成方法を用いた半導体レーザ装置のヒ
    ートシンク形成方法であって、 ヒートシンクの母材を前記基板とし、請求項1ないし8
    のいずれかに記載の単結晶炭素薄膜形成方法により、前
    記母材表面に単結晶炭素薄膜を形成することを特徴とす
    る半導体レーザ装置のヒートシンク形成方法。
  16. 【請求項16】 請求項9ないし12のいずれかに記載
    の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法を用いた半導体レーザ
    装置のヒートシンク形成方法であって、 ヒートシンクの母材を前記基板とし、請求項9ないし1
    2のいずれかに記載の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法に
    より、前記母材表面に軸配向多結晶炭素薄膜を形成する
    ことを特徴とする半導体レーザ装置のヒートシンク形成
    方法。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    単結晶炭素薄膜形成方法を用いた工具形成方法であっ
    て、 工具の母材を前記基板とし、請求項1ないし8のいずれ
    かに記載の単結晶炭素薄膜形成方法により、前記母材表
    面に単結晶炭素薄膜を形成することを特徴とする工具形
    成方法。
  18. 【請求項18】 請求項9ないし12のいずれかに記載
    の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法を用いた工具形成方法
    であって、 工具の母材を前記基板とし、請求項9ないし12のいず
    れかに記載の軸配向多結晶炭素薄膜形成方法により、前
    記母材表面に軸配向多結晶炭素薄膜を形成することを特
    徴とする工具形成方法。
  19. 【請求項19】 請求項17または18に記載の工具形
    成方法において、前記工具はバイトであることを特徴と
    する工具形成方法。
  20. 【請求項20】 請求項17または18に記載の工具形
    成方法において、前記工具はボンディングツールである
    ことを特徴とする工具形成方法。
  21. 【請求項21】 請求項17または18に記載の工具形
    成方法において、前記工具はボールベアリング加工用治
    具であることを特徴とする工具形成方法。
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UA81169C2 (en) * 2006-01-13 2007-12-10 Process for preparation of coal-containing material by method of electron-beam evaporation of carbon in vacuum with subsequent condensation on substrate and a unit for realizing the same and at least one additional component
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