JPH07118087A - 単結晶薄膜形成方法 - Google Patents

単結晶薄膜形成方法

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JPH07118087A
JPH07118087A JP5285674A JP28567493A JPH07118087A JP H07118087 A JPH07118087 A JP H07118087A JP 5285674 A JP5285674 A JP 5285674A JP 28567493 A JP28567493 A JP 28567493A JP H07118087 A JPH07118087 A JP H07118087A
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JP
Japan
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thin film
single crystal
polycrystalline
substrate
crystal
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JP5285674A
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English (en)
Inventor
Toshibumi Asakawa
俊文 浅川
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NIYUURARU SYST KK
MegaChips Corp
Neuralsystems Corp
Original Assignee
NIYUURARU SYST KK
MegaChips Corp
Neuralsystems Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多結晶薄膜を単結晶薄膜へ効率よく転換す
る。 【構成】 石英基板81の上に多結晶Si薄膜82が形
成された試料をヒータ87で550゜Cに加熱しつつ、
Ne原子ビームを互いに70゜の角度をもって2方向か
ら多結晶Si薄膜82の表面へ照射する。その結果、ブ
ラベーの法則の作用で、多結晶Si薄膜82の表層部分
が、これらのビームの方向が最稠密面の法線方向となる
ように結晶方位の揃った単結晶Si層へ転換される。つ
づいて、この単結晶Si層が種結晶となって、縦方向の
固相エピタキシャル成長が進行し、多結晶Si薄膜82
の全領域が単結晶Si薄膜に転換される。 【効果】 縦方向のエピタキシャル成長によって単結晶
Si薄膜への転換が進行するので、単結晶Si薄膜の形
成が短時間で効率よく行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、基板の上に単結晶薄
膜を形成する単結晶薄膜形成方法に関し、特に基板の上
に形成された多結晶薄膜またはアモルファス薄膜を単結
晶薄膜に転換する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】所定の物質の単結晶薄膜を同一物質の単
結晶基板の上に形成するには、よく知られるエピタキシ
ャル成長法を用いることができる。一方、アモルファス
基板、多結晶基板などの結晶構造が異なる基板、あるい
は物質の異なる基板の上に単結晶薄膜を形成するには、
基板の上にアモルファス薄膜あるいは多結晶薄膜を一旦
形成し、その後これらの薄膜を単結晶へ転換する方法が
用いられる。
【0003】従来、多結晶半導体薄膜およびアモルファ
ス半導体薄膜の単結晶化には溶融再結晶化法と、横方向
固相エピタキシー法が使用されて来た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法は以下に記述するような問題点を有していた。す
なわち、前者の溶融再結晶化法では、薄膜を構成する物
質が高融点物質の場合、基板に大きい熱歪が発生し、利
用しようとする薄膜の物理的、電気的特性が損なわれる
という問題点があった。また溶融を行うために、電子ビ
ーム、或いはレーザービームが使用される。このため、
これらのビームのスポットを基板の全面にわたって走査
する必要があるので、再結晶化のために多大な時間とコ
ストとを要するという問題点があった。
【0005】後者の横方向固相エピタキシー法では、基
板を構成する物質の結晶方法に影響され易い上に、成長
速度が遅いという問題点があった。例えば、10μm程
度の距離に単結晶薄膜を成長させるのに、10時間以上
を必要とした。しかも、成長がある程度進行すると、格
子欠陥が発生し単結晶の成長が止まるために、大きい結
晶粒を得ることが困難であるという問題点があった。
【0006】さらに、いずれの方法においても、種結晶
を多結晶薄膜、或いはアモルファス薄膜に接触させる必
要があるという問題点があった。また、単結晶が成長す
る方向が薄膜の主面に沿った方向、すなわち横方向であ
るため、結晶への成長距離が長くなる結果、単結晶が成
長する中途において各種の障害が入るという問題点があ
った。例えば、基板がガラスなどのアモルファス状の材
料で構成される場合には、基板の格子の位置に規則性が
無いので、この不規則性が単結晶の成長に影響する結
果、結晶粒の粒径は大きいが多結晶として成長してしま
うという問題点があった。
【0007】一方、これらの方法における上述した問題
点を解決することを意図して、薄膜の縦方向の成長を利
用することによって成長距離を短くし、そのことによっ
て成長時間を短くする試みが行われた。すなわち、多結
晶薄膜、あるいはアモルファス薄膜の全面に種結晶を接
触させ、薄膜の主面に垂直な方向すなわち縦方向に固相
エピタキシャル成長を行わせる方法が試みられた。しか
しながら、その結果は、部分的にしか種結晶とアモルフ
ァス薄膜等とが接触せず、この接触部分から横方向エピ
タキシャル成長が起こるだけであり、期待された縦方向
の固相エピタキシャル成長によって単結晶薄膜を形成す
るには至らなかった。加えて、この方法では、種結晶と
成長した単結晶膜とが接着してしまうので、これを分離
することが非常に困難であり、敢えて引き離そうとする
と、成長した薄膜が基板から剥離し種結晶側に付着して
しまうという問題点があった。
【0008】この発明は、従来の方法が有する上述の問
題点を解決するためになされたもので、基板面上にすで
に形成されている所定の物質のアモルファス薄膜または
多結晶薄膜を、所望の結晶方位を持つようにその厚さ方
向に効率的に結晶化する単結晶薄膜形成方法を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者は、固相エピタキ
シーの縦方向成長方法において、物理的な種結晶を使用
する結果、成長した単結晶薄膜と種結晶が接着し分離す
ることが困難になる等の問題点を生じるのであって、物
理的な種結晶の替わりに仮想的な大面積の種結晶を用
い、種結晶が全面にしかも良好に密着したと同じ効果が
あり、同時に成長が終わった時点では単結晶表面に物理
的には何も付着していないような仮想的な種結晶を得る
ようにすれば問題点が解消されることを見出した。この
発明は、この基本的な着想に基づくものである。
【0010】すなわち、この発明にかかる請求項1記載
の単結晶薄膜形成方法は、基板上に所定の物質の単結晶
薄膜を形成する方法であって、前記基板上に前記所定の
物質のアモルファス薄膜または多結晶薄膜をあらかじめ
形成しておき、当該所定の物質の結晶化温度以下の高温
下で、形成すべき前記単結晶薄膜における方向の相異な
る複数の最稠密結晶面に垂直な方向から、前記所定の物
質のスパッタリングを引き起こさない低エネルギーの中
性原子または中性分子のビームを、前記アモルファス薄
膜または前記多結晶薄膜へ照射することを特徴とする。
【0011】また、この発明にかかる請求項2記載の単
結晶薄膜形成方法は、請求項1記載の方法において、前
記ビームを構成する原子の原子量が、前記所定の物質を
構成する元素の原子量の中の最大のものよりも低いこと
を特徴とする。
【0012】さらに、この発明にかかる請求項3記載の
単結晶薄膜形成方法は、請求項1記載の方法において、
前記ビームが、単一の電子サイクロトロン共鳴型のイオ
ン発生源と、当該イオン発生源から前記アモルファス薄
膜または多結晶薄膜へ至る経路に配設される反射板とに
よって得られることを特徴とする。
【0013】
【作用】
<請求項1記載の発明の作用>この発明の方法では、基
板面上にあらかじめ形成された所定の物質のアモルファ
ス薄膜または多結晶薄膜に、複数方向から原子または分
子のビームを照射する。このビームのエネルギーは、被
照射物質にスパッタリングを引き起こさない大きさであ
るので、ブラベー(Bravais )の法則が作用する。すな
わち、アモルファス薄膜または多結晶薄膜の表面近傍の
層が、ビームの照射方向に垂直な面が最稠密結晶面とな
るような結晶方位を有する結晶に転換される。複数本の
気体のビームは、方向の相異なる複数の最稠密結晶面に
垂直な方向から、それぞれ照射されるので、形成される
結晶の方位は、唯一に定まる。すなわち、結晶方位の揃
った単結晶の層が多結晶薄膜の表面近傍に形成される。
【0014】薄膜の温度が結晶化温度以下の高温度であ
るために、表面近傍に形成された単結晶が種結晶として
機能し、縦方向の固相エピタキシャル成長によって単結
晶が深部に向かって成長する結果、薄膜の厚さ方向の全
領域が単結晶化する。薄膜の温度が結晶化温度以上であ
ると、形成された単結晶が熱平衡状態である多結晶構造
へ転換される。一方、結晶化温度よりもはるかに低い温
度では、深部へ向かう結晶化が進行しない。このため、
薄膜の温度は、例えば結晶化温度の直下など、結晶化温
度以下の高温度に調整される。
【0015】<請求項2記載の発明の作用>この発明の
方法では、薄膜へ照射されるビームの原子または分子を
構成する原子の原子量が、薄膜を構成する元素の原子量
の中の最大のものよりも低いので、照射されたビームを
構成する原子の大部分が、薄膜の表面ないしその近傍で
後方へ散乱され、薄膜の中に残留し難い。
【0016】<請求項3記載の発明の作用>この発明の
方法では、薄膜へ照射するビームを、単一のビーム発生
源と、経路に配設される反射板とによって得るので、複
数のビーム発生源を要せずして、相異なる複数の所定の
方向から気体のビームを照射することが可能である。さ
らに、ビーム発生源が電子サイクロトロン共鳴型のイオ
ン発生源であるので、イオンビームの指向性が高いのに
加えて、イオン発生源から所定以上の距離において、イ
オンを中性化する手段を用いることなく、指向性のよい
強度の中性ビームを得ることができる。
【0017】
【実施例】
<1.第1実施例>まず、この発明の第1実施例につい
て説明する。
【0018】<1-1.装置の構成>図1はこの発明の第1
実施例における方法を効果的に実現するための装置の構
成を示す模式図である。この装置80は、基板81の上
に形成された多結晶薄膜82を単結晶薄膜へ転換する装
置である。したがって装置80には、基板81の上に既
存の方法によって所定の物質の多結晶薄膜82がすでに
形成されてなる試料が供給される。
【0019】基板81として多結晶SiO2 (石英)を
用い、この石英基板81の上に多結晶Si(シリコン)
薄膜82が形成されており、この多結晶Si薄膜82を
単結晶Si薄膜へ転換する例を取り上げる。装置80は
ケージ型イオン源83を備えている。このイオン源83
には、導管84から不活性ガスが導入され、その内部で
は電子線によって不活性ガスがイオン化されることによ
り、不活性ガスのプラズマが生成される。さらに、イオ
ン源83が備える引き出し電極が作り出す電場の作用
で、イオンのみがイオン源83の外部に取り出される結
果、イオン源83からイオンビームが放射される。例え
ば、直径が10cmのイオン源83によって、Ne(ネ
オン)イオンを200eV〜600eVに加速すること
ができ、その電流密度は1〜9mA/cm2 である。
【0020】イオン源83から放射されたイオンビーム
は、反射減速板85、およびコリメータ86に導かれた
のち、多結晶薄膜82の表面へ所定の角度をもって照射
される。反射減速板85は、(100)面を主面とする
2枚のシリコン単結晶板を備えている。これらのシリコ
ン単結晶板の形状および寸法は、例えば15cmの直径
を有する円盤形状である。これらのシリコン単結晶板
は、その主面に45゜の入射角をもって入射するイオン
ビームを順次反射することによって、そのエネルギーを
減耗させるとともに、その電価を中性化することによっ
て、低エネルギーの中性の原子ビームへ変換する。
【0021】図2は、コリメータ86の構造を示す斜視
図である。図2(a)は全体斜視図、図2(b)はその
拡大斜視図、さらに図2(c)は図2(b)の拡大斜視
図である。コリメータ86は、原子ビームの方向を揃え
ることによって、指向性の高い原子ビームを多結晶薄膜
82へ供給する機能を果たす。コリメータ86は、図2
(c)に示すようにアルミニウム板86aの両面にシリ
コン86bが蒸着されてなる波型部材と、同様の構造を
有する平板型部材とを、図2(b)に示すように交互に
積み重ねることによって構成される。その積層数は、例
えば30層である。シリコン86bでアルミニウム板8
6aの両面が覆われるのは、波型部材および平板型部材
が中性原子流で衝撃されることにより、スパッタリング
が起こっても、多結晶Si薄膜82へ異種の原子である
アルミニウム原子が到達することを防止するためであ
る。原子ビームは、これらの波型部材と平板型部材の間
に形成される細長いチャネルを通過する中で、±0.5
゜の範囲でその方向が揃えられることによって、高い指
向性を有する原子ビームに変換される。
【0022】なお、石英基板81は、ヒータ87に取り
付けられる。ヒータ87は、石英基板81の温度を所定
の高温度に保持する働きをなす。
【0023】<1-2.装置の動作>次に装置80の動作に
ついて説明する。装置80へ供給される試料は、例えば
よく知られる化学気相成長法(CVD)を用いて、石英
基板81の上に多結晶Si薄膜82を形成することによ
って製作することができる。石英基板81の厚さは、例
えば1.5mmであり、多結晶Si薄膜82の厚さは、
例えば約2000オングストロームである。まず、この
ようにして製作された試料を、ヒータ87へ装着する。
ヒータ87は、試料すなわち石英基板81および多結晶
Si薄膜82を550゜Cの温度に保持する。この温度
は、シリコンの結晶化温度よりも低い温度であるため
に、この温度の下では単結晶Siが多結晶Siへ移行す
ることはない。同時にこの温度は、種結晶が存在すれ
ば、この種結晶を核として多結晶Siが単結晶Siへと
成長し得るほどには高温度である。
【0024】次に、導管84からNe(ネオン)ガスを
イオン源83に導入することによって、Neイオンビー
ムを生成する。生成されたNeイオンビームは、反射減
速板85およびコリメータ86を通過することによっ
て、低エネルギーの中性Ne原子ビームとして多結晶S
i薄膜82の表面に到達する。
【0025】2台のイオン源83を起点とする2本のN
e原子ビームは、いずれも35゜の入射角をもって、し
かもそれらの入射方向が多結晶Si薄膜82の表面の法
線のまわりに互いに2回対称となるように、多結晶Si
薄膜82の表面に入射する。この2本のビームの入射方
向は、互いに70゜の角度をなしているので、ダイヤモ
ンド結晶構造を有する単結晶Siの独立な2つの最稠密
面、すなわち(111)面の法線方向に対応する。
【0026】ところで、イオン源83によって形成され
るプラズマのエネルギーは、多結晶Si薄膜82に到達
するNe原子のエネルギーが、多結晶Si薄膜82のス
パッタリングを引き起こさない大きさになるように、す
なわちNe原子の照射によるSiのスパッタリングにお
けるスレッショルド・エネルギーとして知られる値(=
27eV)よりも低くなるように設定される。したがっ
て、多結晶Si薄膜82に、いわゆるブラベー(Bravai
s )の法則が作用する。すなわち、多結晶Si薄膜82
に照射されるNe原子ビームの入射方向に垂直な面が最
稠密結晶面となるように、多結晶Si薄膜82の表面近
傍におけるSi原子が再配列する。
【0027】Ne原子ビームは2つの方向から入射し、
しかもそれぞれの入射方向は、単結晶Siの独立な2つ
の最稠密面に垂直な方向に対応するので、これらの入射
方向に垂直な面がいずれも最稠密面となるように、Si
原子が再配列する。すなわち、互いに独立な入射方向を
有する2本のNe原子ビームによって、2つの独立な
(111)面の再配列方向が一定方向に規制され、その
結果、結晶方位が一義的に決定づけられる。このため、
多結晶Si薄膜82の表面近傍の層が、結晶方位の揃っ
た単結晶Si層へと転換される。
【0028】以上が、多結晶Si薄膜82の単結晶化の
第1段階に相当する。図3は、この第1段階とそれに後
続する単結晶化の第2段階とにおける試料の内部構造を
示す模式図である。第1段階においては、図3(a)に
示すように、多結晶Si薄膜82の表面近傍にのみ、単
結晶Si層88が形成されている。
【0029】前述したように、多結晶Si薄膜82の温
度は、種結晶が成長するに適した温度に調整されてい
る。このため、多結晶Si薄膜82の表面に形成された
単結晶Si層88が種結晶として機能し、単結晶Si層
88が多結晶Si薄膜82の深部に向かって成長する。
そして、最終的に図3(b)に示すように多結晶Si薄
膜82の全領域が単結晶Si層88へ転換される。この
ようにして、石英基板81の上に結晶方位の揃った単結
晶Si薄膜が形成される。多結晶Si薄膜82の温度
は、前述したようにSiの結晶化温度よりも低く保たれ
ているので、単結晶Si層88が熱平衡状態である多結
晶構造に逆戻りすることはない。
【0030】照射によって多結晶Si薄膜82の表面に
形成され、種結晶として機能する単結晶Si層88は、
多結晶Si薄膜から転化して形成されたものであるの
で、その深部側に残っている多結晶Siの層とは一体を
なしている。すなわち、多結晶Siの層と種結晶との間
の接触性は完全である。このため、縦方向の固相エピタ
キシャル成長が良好に進行する。また、種結晶と固相エ
ピタキシャル成長によって形成された単結晶Siとは、
ともに同一結晶方位を有する同一物質の単結晶であるた
めに、単結晶Si薄膜を形成した後に種結晶を除去する
必要がない。また、単結晶Si薄膜が、縦方向の固相エ
ピタキシャル成長によって形成されるので、横方向に成
長する従来の技術に比べて、短時間で効率よく所望の単
結晶Si薄膜を得ることができる。
【0031】また、多結晶Si薄膜82に照射する原子
ビームを構成する元素として、上述したようにNeを選
択するのが望ましい。これは、Ne原子がSi原子より
も軽いために、Si薄膜に照射された際に、比較的重い
Si原子が比較的軽いNe原子を後方へ散乱する確率が
高いので、その結果、Ne原子がSi薄膜の中に侵入し
残留するということが起こりにくいからである。また、
照射する原子ビームを構成する元素にNeなどの不活性
元素を選択するのは、不活性元素がSi薄膜の中に残留
しても、Si等の薄膜を構成するいずれの元素とも化合
物を形成することがないので、Si薄膜の電子物性には
余り影響を及ぼさない上に、出来上がった単結晶Si薄
膜をある程度昇温することによって、容易に外部へ除去
され得るからである。
【0032】また、試料にNeイオンビームを直接照射
する代わりに、中性化した原子ビームを照射するのは、
以下の理由による。すなわち、第1に、イオンビームな
どの帯電粒子ビームを使用すると、粒子間の静電気によ
る反発力の為、ビームが広がり指向性が無くなるという
問題を生じる。第2に、基板が石英基板などの電気絶縁
性の基板である場合、薄膜を構成する物質の抵抗率が大
きい場合などにおいて、帯電粒子ビームを使用すると、
薄膜に電荷が蓄積し、蓄積電荷の反発力の為、ビームは
ある量以上は薄膜に到達しなくなるという問題がある。
これに対して、中性原子ビームを使用すれば、薄膜に電
荷が蓄積することがなく、また指向性のよい平行ビーム
が薄膜に到達し、結晶化がスムーズに進行する。
【0033】<1-3.試料における他の例>以上におい
て、多結晶Si薄膜82を単結晶Si薄膜に転換する例
について述べた。この発明の方法は、多結晶薄膜だけで
なく、アモルファス薄膜に対しても実施可能であり、同
様の効果を奏する。ここでは、この点を実証する実験デ
ータについて記述する。
【0034】実験では、石英基板81の上にアモルファ
スSi薄膜をプラズマCVDであらかじめ形成してなる
試料を準備した。また照射に供する不活性ガスとしてN
eガスを用いた。石英基板81の厚さは、1.5mmで
あり、アモルファスSi薄膜の厚さは、約2000オン
グストロームである。この試料をヒータ87へ装着し、
550゜Cの温度に保持する。この状態で、イオン源の
加速電圧が2000V、電流密度が2mA/cm2 の条
件の下で、約20秒間の照射を行った。その結果、試料
の中の照射された中央部はアモルファスSiに特有の暗
茶褐色の色が消滅し、心持ち黄色を帯びた透明に変わっ
ていた。その中の、約1cm2 の部分をX線、及び指向
性のエッチングで調べたところ、(110)軸を基板法
線方向に持つ単結晶Siが形成されていることが判明し
た。
【0035】結晶方位の決定は、結晶面をSiO2 (二
酸化シリコン)膜で被覆し、この酸化膜に小さい穴を開
け、KOH(水酸化カリューム)でエッチングを施し、
エッチングビットを確認することにより行った。その結
果、エッチングビットが六角形であることを確認するこ
とができ、これにより(110)軸を法線方向に持った
単結晶Siが出来上がっていることを確認し得た。
【0036】<2.第2実施例>つぎに、この発明の第
2実施例について説明する。
【0037】<2-1.装置の全体構成>図4はこの発明の
第2実施例における方法を効果的に実現するための装置
の正面断面図である。この装置101も先述の装置80
と同様に、基板11の上にあらかじめ形成された多結晶
薄膜を単結晶薄膜へ転換する装置である。
【0038】この装置101では、処理容器1の上部
に、電子サイクロトロン共鳴型(ECR)のイオン発生
器2が組み込まれている。ECRイオン発生器2は、プ
ラズマ室4を内部に規定するプラズマ容器3を備えてい
る。プラズマ容器3の周囲には、プラズマ室4に直流の
高磁場を印加する磁気コイル5が設置されている。プラ
ズマ容器3の上面には、マイクロ波をプラズマ室4へ導
入する導波管6、およびNeなどの不活性ガスを導入す
る不活性ガス導入管7が設けられている。
【0039】処理容器1は、その内部に照射室8を規定
する。プラズマ容器3の底部はその中央部に、プラズマ
が通過する引出口9を規定する。照射室8とプラズマ室
4とは、この引出口9を介して互いに連通している。照
射室8の内部には、引出口9の直下の位置に試料台10
が設置されている。試料台10の上には基板11が載置
され、さらに反射板12が基板11の上方に位置するよ
うに設置される。試料台10は、図示しないヒータを備
えており、このヒータの作用により基板11を加熱し、
適正な高温度に保持する。
【0040】反射板12は、好ましくは金属で構成され
る。試料台10は、図示しない回転駆動機構に連結され
ており、水平面内で回転可能である。また、試料台10
は反射板12を固定したまま、基板11を水平に移動し
得る構造となっている。
【0041】照射室8には、真空排気管14が連通して
いる。この真空排気管14の一端には、図示しない真空
装置が連結しており、真空排気管14を介して、照射室
8に存在する気体が排気されることにより、照射室8に
おける真空度が所定の高さに保持される。照射室8にお
ける真空度を表示する真空計15が、照射室8に連通し
て設置されている。
【0042】<2-2.反射板の構成>図5は、反射板12
の一例における斜視図である。この反射板12aは、単
結晶Siなどの、ダイヤモンド構造を有する単結晶を形
成するための反射板の一例である。反射板12aは、平
板状の基台21の中央部に開口部を規定する。この開口
部の周囲に、3個の直方体のブロック22が固定的に設
置され、それらの内側にそれぞれ反射用ブロック23が
固定されている。その結果、基台21の中央部には、こ
れらの反射用ブロック23で縁どりされた正三角形状の
開口部24が形成される。反射用ブロック23におい
て、開口部24に面する斜面25が、気体ビームを反射
する反射面として機能する。したがって、斜面25の傾
斜角度は、形成すべき単結晶の結晶軸の方向に対応して
適切な大きさに設定される。
【0043】図6は、ブロック22と反射用ブロック2
3とで構成される反射板12aの一部分の三面図であ
り、図6(a)、図6(b)、および図6(c)は、そ
れぞれ平面図、側面図、および正面図である。図6
(b)に図示するように、斜面25の傾斜角度は、55
゜に設定される。反射板12aは基板11を固定しない
構造となっているので、基板11が反射板12aに相対
的に水平移動し得る。このため、反射板12aを試料台
10に固定したまま、基板11を水平に移動させること
によって、面積の大きい基板11の上に単結晶薄膜を形
成することが可能である。
【0044】<2-3.ECRイオン発生器の動作>図4に
戻って、ECRイオン発生器2の動作について説明す
る。不活性ガス導入管7からプラズマ室4へ、Ne、A
r等の不活性ガスを導入しつつ、同時に導波管6からプ
ラズマ室4へマイクロ波が導入される。更に同時に、磁
気コイル5に直流電流が供給されることにより、プラズ
マ室4およびその周囲に直流磁場が形成される。供給さ
れた気体は、マイクロ波と直流磁場の作用でプラズマ状
態に保たれる。このプラズマは、マイクロ波と直流磁場
とによってサイクロトロンの原理で螺旋運動する高エネ
ルギーの電子によって生成される。
【0045】この電子は、反磁性の特性を有するので、
磁場の弱い方に移動し、磁力線に沿った電子流を形成す
る。その結果、電気的中性を維持するために、電子流に
伴われて正イオンも、磁力線に沿ったイオン流を形成す
る。すなわち、引出口9から照射室8へ、下方向に向か
う電子流とイオン流とが形成される。イオン流は、電子
流と並行して流れるので、消イオン時間を経過すると、
互いに再結合することによって中性原子流となる。した
がって、引出口9から下方に所定距離以上に離れた位置
では、殆ど中性の原子流のみが形成されている。
【0046】図7は、ECRイオン発生器2によって、
10eVのAr+ イオンを引出口9より取り出したとき
の、イオン電流密度と引出口9からの距離との関係を実
測した結果を示すグラフである。このグラフによれば、
イオン電流密度は、引出口から4〜5cmの距離から急
激に減少を始め、14cmの位置では1/10〜1/1
2の大きさに減衰することが読み取れる。イオン電流が
減衰した分、中性原子流が増加しており、引出口9から
下方に14cm以上離れた位置では、殆ど中性の原子流
のみが下方向へ向かって流れている。
【0047】このように、ECRイオン発生器2は、イ
オンを発生する装置でありながら、イオン流を電子流に
並行して形成するので、イオン流を中性化する他の手段
を用いることなく、密度の高い中性の原子流を容易に得
ることができるという利点を有する。また、イオン流が
電子流と並行して形成されるので、進行方向があまり発
散することなく、進行方向の揃った平行流に近いイオン
流が得られる。また、平行なイオン流が中性の原子流に
転換されるので、原子流も進行方向の揃った平行流に近
いものとなる。したがって、指向性を矯正するためのコ
リメータなどの他の手段を要しないという利点がある。
【0048】<2-4.装置101の動作>再び図4に戻っ
て、装置101の動作について説明する。反射板12と
して図5および図6に示した反射板12aを用い、基板
11として多結晶SiO2 (石英)基板を用い、この石
英基板11の上に単結晶Si薄膜を形成する例を取り上
げる。石英基板11の上には、CVD等の既知の方法を
用いて、多結晶Si薄膜があらかじめ形成されている。
【0049】まず、試料を試料台10と反射板12a
(12)の間へ装着する。試料台10が備えるヒータ
は、試料すなわち石英基板11および多結晶Si薄膜
を、第1実施例と同様の温度、すなわち550゜Cの温
度に保持する。
【0050】不活性ガス導入管7から導入される不活性
ガスとしては、好ましくはSi原子よりも原子量の小さ
いNeガスが選択される。ECRイオン発生器2の働き
により、引出口9から下方に向かってNe+ イオン流と
電子流が形成される。引出口9から反射板12a(1
2)までの距離は、好ましくは、Ne+ イオン流が殆ど
中性Ne原子流に転換されるのに十分なだけの大きさに
設定される。また、反射板12a(12)は、この下方
向へ向かうNe原子流が降り注ぐ位置に設置される。
【0051】下方向へ向かうNe原子流の一部は、反射
板12aに形成されている3つの斜面25によって反射
され、更に開口部24を通って、SiO2 基板11上の
多結晶Si薄膜へ照射される。また、Ne原子流の他の
一部は、斜面25へ入射せずに開口部24を通過して多
結晶Si薄膜へ直接に照射される。すなわち、多結晶S
i薄膜には、引出口9から直進して来た成分と、3つの
斜面25によって反射されて来た3成分とからなる4成
分のNe原子流が照射される。斜面25の傾斜角が55
゜に設定されているために、これら4成分のNe原子流
の照射方向は、形成すべきSi単結晶の4個の独立な最
稠密結晶面、すなわち(111)面に垂直な4方向に対
応する。
【0052】ところで、ECRイオン発生器2によって
形成されるプラズマのエネルギーは、SiO2 基板11
に到達するNe原子のエネルギーが、Ne原子の照射に
よるSiのスパッタリングにおけるスレッショルド・エ
ネルギー(=27eV)よりも低くなるように設定され
る。このため、多結晶Si薄膜にブラベーの法則が作用
する。その結果、照射されるNe原子流の入射方向に垂
直な面が、最稠密結晶面となるように多結晶Si薄膜内
のSi原子が再配列する。照射されるNe原子流は4つ
の成分を有しており、しかもそれぞれの成分の入射方向
は、単結晶Siの独立な4つの最稠密面に垂直な方向に
対応するので、これらの入射方向に垂直な面がいずれも
最稠密面となるように、Si原子が再配列する。すなわ
ち、互いに独立な入射方向を有する4本のNe原子ビー
ムによって、4つの独立な(111)面の再配列方向が
一定方向に規制され、その結果、結晶方位が一義的に決
定づけられる。このため、多結晶Si薄膜の表面近傍の
層が、結晶方位の揃った単結晶Si層へと転換される。
【0053】多結晶Si薄膜82の温度は、550゜C
すなわち種結晶が成長するに適した範囲内の温度に調整
されている。このため、多結晶Si薄膜の表面に形成さ
れた単結晶Si層が種結晶として機能し、単結晶Si層
が多結晶Si薄膜の深部に向かって成長する。そして、
多結晶Si薄膜の全領域が単結晶Si層へ転換される。
このようにして、石英基板11の上に結晶方位の揃った
単結晶Si層が形成される。以上の単結晶Si層の形
成、およびその成長の過程は、先述した図3で模式的に
表現される。
【0054】前述のように反射板12は金属で構成され
るのが望ましい。なぜならば、中性Ne原子流にわずか
に混在するNe+ イオン流が導電性の反射板12で反射
されたときに、Ne+ イオンが、中性原子に変換され、
基板11には変換された中性Ne原子流が照射されるか
らである。中性原子流はイオン流と異なり、進行方向が
発散し難いので、方向の揃った流れとして基板11へ入
射するという利点がある。
【0055】また、試料へNe原子流を照射する過程
で、回転駆動機構(図示しない)を動作させて試料台1
0を回転させるとよい。こうすることによって、多結晶
Si薄膜上の照射量の分布における均一性を高めること
ができる。
【0056】<2-5.実証データ>ここでは、第2実施例
の方法によって単結晶薄膜が形成されることを実証した
試験について記述する。図8は、上記の方法に基づい
て、多結晶SiO2 基板11の上に単結晶Si薄膜を形
成した試料の電子線回折像を示す実験データである。図
8(a)は、反射板12を用いずに、基板11に垂直な
Ne原子流成分のみを照射して得られた試料に関するも
のであり、他方の図8(b)は、反射板12aを用いて
Ne原子流の4成分を照射した得られた試料に関するも
のである。
【0057】一方向のみから原子流を照射して得た前者
の試料では、Si結晶の1つの(111)面が原子流の
入射方向に垂直になるように配向するが、入射方向の周
りの配向は任意であり、一方向に規制されない。すなわ
ち、この試料は一つの結晶軸のみが揃った多結晶Siと
して形成される。図8(a)において回折スポットが円
周に沿って連続に分布しているのは、この事実を反映し
たものである。
【0058】一方、4成分のNe原子流を照射して得ら
れた後者の試料では、図8(b)に示すように、3回回
転対称の回折スポットが得られる。このことは、得られ
た試料が、結晶がすべて揃った単結晶Siとして形成さ
れていることを実証するものである。アモルファス構造
よりも原子配列における規則性の高い多結晶構造を有す
る多結晶Si薄膜を、単結晶Si薄膜に転換し得たこと
から、アモルファスSiなどのアモルファス構造を有す
る薄膜を単結晶薄膜に転換することは当然に可能である
と判断し得る。
【0059】<2-6.Si以外の単結晶薄膜の形成方法>
以上は、単結晶Si薄膜の形成を例として装置101の
構成と動作について説明したが、装置101を用いて、
Si以外の単結晶薄膜を形成することも可能である。
【0060】
【表1】
【0061】表1は、照射される原子またはイオンの種
類と、標的となる薄膜を構成する元素との、各種の組合
せにおけるスパッタリングのスレッショルド・エネルギ
ーの値を示す。それぞれの組合せにおいて、掲げられる
スレッショルド・エネルギーよりも低いエネルギーのイ
オン流または原子流が照射されなければならない。化合
物で構成される薄膜に対しては、構成元素の中で最大の
原子量を有する元素に関するスレッショルド・エネルギ
ーを参照すればよい。なお、表2に掲げられる値は、特
に示される一部の値を除いて、すべてシミュレーション
に基づいて得られたものである。
【0062】<2-7.反射板における他の例>ここでは、
反射板の他の構成例について記述する。図9および図1
0は、図5に示した反射板12aと同じく、(111)
面を最稠密面とするダイヤモンド構造の結晶構造を有す
る単結晶薄膜を形成するための反射板の例を示す。図9
はこの反射板12bの斜視図であり、図10は三面図で
ある。この反射板12bでは、試料台10の上に取り付
けられる基台31の上面に基板11をスライドさせて出
し入れするための溝31aが形成されており、基板11
が基台31に組み込まれる構造となっている。このた
め、反射板12aとは異なり、反射板12bでは、基板
11は照射を実行する際に溝31aに固定される。基板
11の上に反射用ブロック33が位置するように、反射
用ブロック33の底面は、基台31の上面に設置されて
いる。図10に示すように、反射用ブロック33の斜面
35の傾斜角は、反射板12aと同様に55゜に設定さ
れている。
【0063】ダイヤモンド構造以外の結晶構造を有する
単結晶薄膜を形成することも可能であり、そのために
は、これらの反射板12a、12b以外の、それぞれの
結晶構造に適した構成を有する反射板を用意するとよ
い。また、結晶構造は同一であっても、様々な結晶方位
を有する単結晶薄膜を形成することも可能である。その
ためには、それぞれの結晶方位に適した反射板が用意さ
れる。以下に、その一例について記述する。
【0064】図11は、基板面に平行な結晶面が(10
0)面であるダイアモンド構造の単結晶に対応する反射
板の例を示す。図11(a)は、図11(b)に示す平
面図におけるAA線に沿った正面断面図である。平板状
の基台41の上面には、溝42が形成されている。この
溝42には、基板11が挿入される。すなわち、この反
射板12cは基板11が組み込まれる構造を有してお
り、基板11は照射を実行する際に反射板12cに相対
的に水平移動することができない。この基台41が、試
料台10の上に設置される。
【0065】基台41の上には、4個の反射用ブロック
43が、互いに直角に隣接するように基板11の周囲に
配設されている。反射用ブロック43の上面には、反射
用ブロック43の斜面45の上方にのみ開口部47を有
する遮蔽板46が設置されている。遮蔽板46の上方か
ら下方へ入射する原子流またはイオン流は、開口部47
のみを通過することにより、すべて斜面45で反射され
る。すなわち、基板11には、反射された原子流または
イオン流の4つの成分のみが入射され、上方から直接入
射する成分は存在しない。斜面45の傾斜角は62.6
3゜に設定されている。このため、4成分の入射方向
は、ダイアモンド構造の結晶における独立な4つの(1
11)面に垂直な方向に一致する。
【0066】図12は、基板面に平行な結晶面が(11
0)面であるダイアモンド構造の単結晶に対応する反射
板の例を示す。図12(a)は、図12(b)に示す平
面図におけるBB線に沿った正面断面図である。35゜
の傾斜角を有する基台51の上面には、溝52が形成さ
れている。この溝52には、基板11が挿入される。す
なわち、この反射板12dは基板11が組み込まれる構
造を有しており、基板11は照射を実行する際に反射板
12dに相対的に水平移動することができない。この基
台51が、試料台10の上に設置される。
【0067】基台51の上には、1個の反射用ブロック
53が配設されている。反射用ブロック53の斜面55
の基台51の上面に対する傾斜角は90゜に設定されて
いる。このため、上方から入射する原子流またはイオン
流は、基板11に35゜の入射角をもって直接入射する
成分と、斜面55で反射され反対側から同じく35゜の
入射角をもって入射する成分との2つの成分に分かれ
る。これらの成分の入射方向は、ダイアモンド構造の結
晶における独立な4つの(111)面の中の独立な2つ
の面に垂直な方向に一致する。すなわち、これらの2成
分は互いに独立な2つの最稠密面の方向を規定するの
で、この反射板12dを用いることによって、(11
0)面が基板面と平行となるように結晶方位が揃ったダ
イアモンド構造の単結晶薄膜を形成することが可能であ
る。
【0068】<3.その他の実施例>形成すべき単結晶
薄膜が、例えばGaNの単結晶薄膜である場合には、ま
ず通常のCVD法でSi基板上に多結晶のGaN膜を成
長させ、N原子を含むN2 (窒素)ガスまたはNH
3 (アンモニア)ガスを不活性ガス導入管7へ導入し、
これらの分子流、あるいは解離してなるN原子流をGa
N薄膜へ照射してもよい。照射されたN原子がGaNの
内部に残留しても、GaNの構成元素として単結晶の中
に組み込まれるので、GaNの特性に悪影響を及ぼす恐
れがない。
【0069】また、GaAsの単結晶薄膜を形成する場
合には、まずSi基板等の上に通常の分子線エピタキシ
ー法でGaAsの多結晶薄膜を成長させ、基板温度を5
00゜Cに保ち、照射ガスとしては安価なArガスを使
用し、反射板にはTa板を使用し、その他はSi単結晶
薄膜を形成する際と同じ条件を用いるとよい。この方法
によって、GaAsの単結晶薄膜を得ることができた。
【0070】
【発明の効果】
<請求項1記載の発明の効果>この発明の方法では、基
板面上にあらかじめ形成された所定の物質のアモルファ
ス薄膜または多結晶薄膜に、複数方向から原子または分
子のビームを照射するので、結晶方位の揃った単結晶の
層が多結晶薄膜の表面近傍に形成される。さらに、薄膜
の温度が結晶化温度以下の高温度であるために、縦方向
の固相エピタキシャル成長により単結晶が深部に向かっ
て成長する結果、薄膜の厚さ方向の全領域が単結晶化す
る。すなわち、アモルファス薄膜または多結晶薄膜の表
面近傍に形成される単結晶層が、あたかもアモルファス
薄膜または多結晶薄膜の表面を覆う種結晶として機能す
る。
【0071】この種結晶は、アモルファス薄膜または多
結晶薄膜から転化して形成されたものであるので、その
深部側に残っているアモルファスまたは多結晶の層とは
一体をなしている。すなわち、これらの層と種結晶との
間の接触性は完全である。このため、縦方向の固相エピ
タキシャル成長が良好に進行するという効果がある。ま
た、種結晶と固相エピタキシャル成長によって形成され
た単結晶とは、ともに同一結晶方位を有する同一物質の
単結晶であるために、単結晶薄膜を形成した後に種結晶
を除去する必要がないという効果が得られる。また、単
結晶薄膜が縦方向の固相エピタキシャル成長によって形
成されるので、短時間で効率よく所望の単結晶薄膜を得
ることができるという効果を奏する。
【0072】この発明の方法では、多結晶基板、アモル
ファス基板を含む基板の上に単結晶薄膜を形成すること
が可能で、しかもそれ程の高温度に基板を昇温する必要
がない。このため、液晶表示の薄膜トランジスタに使用
する半導体薄膜、3次元LSIに使用する単結晶薄膜
等、広範囲の単結晶薄膜を容易に得ることができるとい
う効果を奏する。更に、従来公知の金属蒸着膜では空格
子点が多いために膜の質が悪く、電子回路の配線に使用
した場合に、マイグレーション現象を起こし、断線する
ことが多いなどの問題を生じていたが、この発明の方法
によれば、このような障害を防止し得るという効果が得
られる。
【0073】<請求項2記載の発明の効果>この発明の
方法では、請求項1記載の発明の効果に加えて、特に、
薄膜へ照射されるビームの原子または分子を構成する原
子の原子量が、薄膜を構成する元素の原子量の中の最大
のものよりも低いので、照射されたビームを構成する原
子の大部分が、薄膜の表面ないしその近傍で後方へ散乱
され、薄膜の中に残留し難い。このため、これらの原子
が単結晶薄膜の中に残留することに起因する薄膜の電子
物性における変異を生じ難いという効果がある。
【0074】<請求項3記載の発明の効果>この発明の
方法では、請求項1記載の発明の効果に加えて、特に、
薄膜へ照射するビームを、単一のビーム発生源と、経路
に配設される反射板とによって得るので、複数のビーム
発生源を要せずして、相異なる複数の所定の方向から気
体のビームを照射することが可能である。すなわち、こ
の発明の方法では、複雑な構造を有するビーム発生源を
1個用意すれば足りるので、単純な装置構成をもって単
結晶薄膜を形成し得るという効果を奏する。また、ビー
ム発生源が1個で足りるので、高い真空下での薄膜の形
成が可能である。この発明ではさらに、ビーム発生源が
電子サイクロトロン共鳴型のイオン発生源であるので、
イオン発生源から所定以上の距離において、イオンを中
性化する手段を用いることなく、方向の揃った平行ビー
ムに近くしかも強度の中性ビームを得ることができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の方法を実行するのに適した装置の
模式図である。
【図2】コリメータの構造を示す斜視図である。
【図3】試料の断面図である。
【図4】第2実施例の方法を実行するのに適した装置の
正面断面図である。
【図5】第2実施例の方法に使用する反射板の斜視図で
ある。
【図6】第2実施例の方法に使用する反射板の三面図で
ある。
【図7】第2実施例の方法に使用するECRイオン発生
器の特性を示すグラフである。
【図8】第2実施例の方法を実証する実験データを示す
図である。
【図9】第2実施例の方法に使用する反射板の斜視図で
ある。
【図10】第2実施例の方法に使用する反射板の三面図
である。
【図11】第2実施例の方法に使用する反射板の構造図
である。
【図12】第2実施例の方法に使用する反射板の構造図
である。
【符号の説明】
2 ECRイオン発生器 7 不活性ガス導入管 11 石英基板 12 反射板 80 単結晶薄膜形成装置 81 石英基板 82 多結晶Si薄膜 83 イオン源 85 反射減速板 86 コリメータ 87 ヒータ 101 単結晶薄膜形成装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に所定の物質の単結晶薄膜を形成
    する方法であって、前記基板上に前記所定の物質のアモ
    ルファス薄膜または多結晶薄膜をあらかじめ形成してお
    き、当該所定の物質の結晶化温度以下の高温下で、形成
    すべき前記単結晶薄膜における方向の相異なる複数の最
    稠密結晶面に垂直な方向から、前記所定の物質のスパッ
    タリングを引き起こさない低エネルギーの中性原子また
    は中性分子のビームを、前記アモルファス薄膜または前
    記多結晶薄膜へ照射することを特徴とする単結晶薄膜形
    成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、前記ビー
    ムを構成する原子の原子量が、前記所定の物質を構成す
    る元素の原子量の中の最大のものよりも低いことを特徴
    とする単結晶薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法において、前記ビー
    ムが、単一の電子サイクロトロン共鳴型のイオン発生源
    と、当該イオン発生源から前記アモルファス薄膜または
    多結晶薄膜へ至る経路に配設される反射板とによって得
    られることを特徴とする単結晶薄膜形成方法。
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