JP3694220B2 - 反射体および反射型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部光を光源とする反射型液晶表示装置に好適に使用できる反射体、およびこれを用いた反射型液晶表示装置に関する。さらに詳しくは、広範囲の角度にわたって良好な反射率を有すると共に、所望の範囲の反射方向において特に反射率を高めることのできる反射体、およびその反射体を用いることにより、広い視野角を有すると共に、通常の視野範囲で充分な明るさを確保できるよう適度な指向性を有する反射型液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハンディタイプのコンピュータなどの表示部として、特に消費電力が小さいことから外部光を光源とする反射型液晶表示装置が広く利用されている。この反射型液晶表示装置は、表示面側から入射した光を内部の反射体で表示面側に反射させて、液晶層の分子配列の状態に応じて示される表示を、利用者が目視できるようにするものである。
【0003】
この種の反射型液晶表示装置に用いられる反射体として、表面が平らな鏡面状態とされた反射体を用いると、入射角度に対応する特定の反射角度において非常に高い反射率を示すが、反射率の高い反射角度の範囲がきわめて狭い、すなわち、視野角が狭いという特性を持っている。そのため、反射体表面に球面の一部をなす凹部や溝を多数形成したり、ランダムな凹凸を設けたりすることにより、広範囲の方向に良好な反射率が得られるようにする試みがなされている(特願平9−203637号、特願平9−197576号、特願平9−194643号等)。
【0004】
このうち反射体表面に球面の一部をなす多数の凹部を設けたものとして、特願平9−203637号には、図8に示すような反射体が提案されている。この図に示す形態の反射体51は、例えばガラス等からなる基板52上に設けられた感光性樹脂層等からなる平板状の樹脂基材53(反射体用基材)の表面に、その内面が球面の一部をなす多数の凹部54が重なり合うように連続して形成され、その上に例えばアルミニウムや銀等の薄膜からなる反射膜55が蒸着または印刷等により形成されたものである。
【0005】
上記凹部54は、深さが0.1ないし3μmの範囲でランダムに形成されるとともに、隣接する凹部54のピッチも5ないし50μmの範囲でランダムに配置されている。また、凹部54の内面は、各々単一の球面の一部をなす曲面となっており、その傾斜角は、−18ないし+18度の範囲に設定されている。
【0006】
なお、上記の「凹部の深さ」とは反射体表面から凹部の底部までの距離、「隣接する凹部のピッチ」とは平面視したときに円形となる凹部の中心間の距離のことである。また、「凹部内面の傾斜角」とは、図9に示すように、凹部54の内面の任意の箇所において0.5μm幅の微小な範囲をとったときに、その微小範囲内における斜面の水平面に対する角度θのことである。角度θの正負は、反射体表面に立てた法線に対して例えば図8における右側の斜面を正、左側の斜面を負と定義する。
【0007】
この反射体51は、図5のβに示すような反射特性を有している。図5は、入射角度30度において、縦軸を反射率(反射強度)、横軸を反射角度とした反射特性曲線を示すグラフである。なお、入射角度とは、図10に示すように、反射体51表面に立てた法線Hと入射光Jとがなす角度ω0である。また、反射角度とは、上記法線Hと入射光Jとを含む平面上において、上記法線Hと反射光Kとがなす角度ωである。図5のβに示すように、反射体51は、反射角度30度を中心として、15゜≦ω≦45゜の範囲で、ある程度良好な反射率を有しているものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の反射体51は、凹部の存在により比較的広範囲の角度にわたってある程度良好な反射率が得られるものである。しかし、図5のβに示すように反射角度15度および45度を左右のピークとして、反射角度30度の近傍においては反射率が低くなっている。したがって、ある程度良好な反射率が得られる範囲が存在はしているものの、その中心部において明るさが損なわれているものであった。
【0009】
しかしながら、ノート型のパソコンや卓上計算機、腕時計等、特定の装置に組み込まれた表示装置は、光源の方向(入射角度)と、反射光を受ける利用者の視線との角度(反射角度)とが、ある特定の範囲内にある条件で使用される場合が多い。したがって、使用者の利用の便宜を考えると、広い視野角が得られるだけでなく、ある特定の反射方向が最も明るく、その方向をピークとする反射率が得られることが望まれる。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、広範囲の角度にわたって良好な反射率を有すると共に、所望の範囲の反射方向において特に反射率を高めることのできる反射体、およびその反射体を用いることにより、広い視野角を有すると共に、通常の視野範囲に対して適度な指向性を有する反射型液晶表示装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明として、反射体表面に多数の凹部が形成され、前記凹部の内面が、各々半径の異なる複数の球面の一部を連続させた面からなることを特徴とする反射体を提供する。
【0012】
本反射体によれば、凹部内面に、半径の小さい球面の一部からなる曲面が存在することによって視野角を広くすることができると共に、半径の大きい球面の一部からなる曲面、すなわち、平面に近い曲面が存在することによって、特定方向の反射率を高めることができる。
【0013】
また、請求項2の発明として、反射体表面に多数の凹部が形成され、前記凹部の内面が、各々半径の異なる2つの球面の一部を連続させた面からなることを特徴とする反射体を提供する。
【0014】
本反射体では、2つだけの半径の異なる球面の一部を組み合わせて凹部の内面を形成するので、加工が容易である。なお、凹部の内面を、半径の各々異なる3つ以上の球面の一部を組み合わせて形成すれば、視野角の広さと特定方向の反射率とのバランスをより微妙にコントロールできるが、通常の使用条件では2つの球面で充分である。
【0015】
また、請求項3の発明として、反射体表面に多数の凹部が形成され、前記凹部の内面が、各々半径の異なる2つの球面の一部である周縁曲面と周縁曲面に囲まれた位置に存する底曲面とを連続させた面からなり、周縁曲面を形成する球面の半径が、底曲面を形成する球面の半径より小さいと共に、各々の球面の中心から反射体表面に立てた法線が、互いに同一直線上に存することを特徴とする反射体を提供する。
【0016】
本反射体では、周縁曲面を形成する球面の半径が小さく広範囲の傾斜角が得られるため、充分な広さの視野角が得られる。また、凹部の中心部に存在する底曲面が平面に近い曲線となるため、凹部の内面において傾斜角が小さい面の分布が高くなり、その結果、反射体表面に立てた法線に対して入射角と対象な方向の反射角度における反射率が最も高くなり、その方向をピークとして近傍の反射率も高くなる。
【0017】
この場合、各凹部の内面の傾斜角は、請求項4に記載の如く、周縁曲面については、10〜35度及び−35〜−10度の範囲で、底曲面については、4〜17度及び−17〜−4度の範囲とすることが望ましい。これは、周縁曲面の傾斜角が10〜35度及び−35〜−10度の範囲を超えると反射光の傾斜角が広がりすぎて反射強度が低下し、底曲面の傾斜角が4〜17度及び−17〜−4度の範囲を超えると、ある特定方向の反射率が充分高くならないためである。
【0018】
また、各凹部の深さは、請求項5に記載の如く0.1ないし3μmの範囲でランダムに形成することが望ましい。これは、0.1μmより小さいと、正反射が強くなり過ぎ、3μmを越えると、後行程で凹部を平坦化するときに凸部の表面が平坦化膜で埋めきれず、所望の反射特性が得られなくなるからである。また、深さをランダムにせず、一定の深さの凹部のみとすると、規則性が生じて光の干渉色が出て反射光が色付いてしまうという不具合があるからである。
【0019】
なお、前述のように、上記の「凹部の深さ」とは、反射体表面から凹部の底部までの距離のことである。また、「凹部内面の傾斜角」とは、図9を用いて説明したように、凹部の内面の任意の箇所において0.5μm幅の微小な範囲をとったときに、その微小範囲内における斜面の水平面に対する角度θのことである。角度θの正負は、反射体表面に立てた法線に対して例えば図8における右側の斜面を正、左側の斜面を負と定義する。
【0020】
各凹部の配置については、互いに離間させてもよいが、請求項6に記載の如く互いに連続して形成する事が望ましい。これにより、反射体表面全面に凹部を効率よく配置することができるので、凹部によって適度な指向性を保ちながら視野角を広げるという効果が最大限に発揮できる。
【0021】
また、他の配置としては請求項7に記載の如く、多数の凹部を多数の溝と共に反射体表面に形成することもできる。これにより、凹部による上記効果に加えて、溝によって、溝に垂直な方向の視野角を広げるという効果を併せ持つことができる。この場合、溝は、直線上でも曲線状でもよく、また、互いに交差しても差し支えない。また、凹部と溝は、互いの効果が失われない範囲の密度で各々形成するものとする。
【0022】
また、請求項8の発明として、上記の請求項1から請求項7のいずれかに記載の反射体を備えたことを特徴とする反射型液晶表示装置を提供する。なお、反射体の設置形態としては、液晶セルの外側に設置する外付け型、あるいは液晶セルを構成する基板の内面に設置する内蔵型のいずれのタイプとしてもよい。
【0023】
本反射型液晶表示装置は、広い視野角を有すると共に、適度な指向性を備えるものである。したがって、ノート型パソコン等の特定の装置に組み込んだ場合に、使用者の通常の視野範囲にわたって、充分な明るさを確保できるものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1ないし図5を参照して説明する。図1は本実施の形態の反射体を示す図である。この図に示すように、本実施の形態の反射体1は、例えばガラス等からなる基板2上に設けられた感光性樹脂層等からなる平板状の樹脂基材3(反射体用基材)の表面に、その内面が図2に示す特定形状をなす多数の凹部4が重なり合うように連続して形成され、その上に例えばアルミニウムや銀等の薄膜からなる反射膜5が蒸着または印刷等により形成されたものである。
【0025】
図2(a)は、凹部4の断面図、図2(b)は平面図である。この図に示すように、各凹部4の内面は、周縁曲面4aと、周縁曲面4aに囲まれた位置ににある底曲面4bとから形成されている。周縁曲面4aは、中心をO1として半径がR1である球面の一部である。また、底曲面4bは、中心をO2として半径がR2である球面の一部である。各々の球面の中心であるO1とO2とから、反射体1の表面に立てた法線は、いずれも同一の直線L上に位置する。
【0026】
各々の半径R1とR2とは、R1≦R2の関係にあり、かつ10μm≦R1≦70μm、20μm≦R2≦100μmの範囲で変化するものである。また、図2(a)において、θ1は周縁曲面4aの傾斜角で、10゜≦θ1≦35゜および−35゜≦θ1≦−10゜の範囲で変化するものである。また、θ2は底曲面4bの傾斜角で、4゜≦θ2≦17゜および−17゜≦θ2≦−4゜の範囲で変化するものである。
【0027】
なお、平面方向から見た周縁曲面4aの半径r1及び底曲面4bの半径r2は、各々の半径、R1,R2及び傾斜角θ1、θ2に応じて決まるものである。
【0028】
凹部4の深さdは0.1ないし3μmの範囲で各凹部毎にランダムな値をとる。凹部4の深さが3μmを超えると、後工程で凹部4を平坦化する場合に凸部の頂上が平坦化膜で埋めきれず、所望の平坦性が得られなくなり、0.1μmに満たないと、正反射が強くなり過ぎるからである。
【0029】
再び、図1に戻り、凹部4の配置等について説明する。隣接する凹部4のピッチは5ないし50μmの範囲でランダムに配置する。なぜなら、仮に隣接する凹部4のピッチに規則性があると、光の干渉色が出て反射光が色付いてしまうという不具合があるからである。また、隣接する凹部4のピッチが5μm未満の場合、反射体形成用母型の製作上の制約があり、加工時間が極めて長くなる、所望の反射特性が得られるだけの形状が形成できない、干渉光が発生する等の問題が生じるからである。また、反射体形成用母型の製作に使用し得るダイヤモンド圧子を用いる場合の実用上の観点から、隣接する凹部4のピッチを5ないし50μmとすることが望ましい。
【0030】
上記構成の反射体の製造方法に特に限定はないが、たとえば以下のように製造することができる。まず、図3(a)に示すように、例えば黄銅、ステンレス、工具鋼等からなる表面が平坦な平板状の母型基材7を転造装置のテーブル上に固定する。そして、先端が図2に示す凹部4に対応する特定形状のダイヤモンド圧子8で母型基材7の表面を押圧し、母型基材7を水平方向に移動させてはダイヤモンド圧子8を上下動させて押圧するという操作を多数回繰り返すことにより、深さや配列ピッチが異なる多数の凹部7aを母型基材7の表面に転造し、図3(b)に示すような反射体形成用母型9とする。
【0031】
図4に示すように、ここで用いる転造装置は、母型基材7を固定するテーブルが0.1μmの分解能で水平面内のX方向、Y方向に移動し、ダイヤモンド圧子8が1μmの分解能で鉛直方向(Z方向)に移動する機能を持つものである。そして、X方向、Y方向の移動距離を変化させることによって隣接する凹部のピッチを、Z方向の移動距離を変化させることによって各凹部の深さを変化させられるものである。なお、ダイヤモンド圧子8の最先端は径R2、それよりもやや上方の径はR1である。
【0032】
その後、図3(c)に示すように、母型9を箱形容器10に収納、配置し、容器10に例えばシリコーンなどの樹脂材料11を流し込んで、常温にて放置、硬化させ、この硬化した樹脂製品を容器10から取り出して不要な部分を切除し、図3(d)に示すように、母型9の型面をなす多数の凹部と逆の凹凸形状である多数の凸部を持つ型面12aを有する転写型12を作成する。
【0033】
次に、ガラス基板の上面に、アクリル系レジスト、ポリスチレン系レジスト、アジドゴム系レジスト、イミド系レジスト等の感光性樹脂液をスピンコート法、スクリーン印刷法、吹き付け法等の塗布法により塗布する。そして、塗布終了後、加熱炉またはホットプレート等の加熱装置を用いて基板上の感光性樹脂液を例えば80〜100℃の温度範囲で1分以上加熱するプリベークを行って基板上に樹脂基材3としての感光性樹脂層を形成する。ただし、用いる感光性樹脂の種類によってプリベーク条件は異なるため、上記範囲外の温度と時間で処理してもよいことは勿論である。なお、ここで形成する感光性樹脂層の膜厚は2〜5μmの範囲とすることが好ましい。
【0034】
その後、図2(e)に示すように、図2(d)に示した転写型12を用い、この転写型12の型面12aをガラス基板上の樹脂基材3に一定時間押し付けた後、転写型12を樹脂基材3から外す。このようにして、図2(f)に示すように、樹脂基材3の表面に転写型型面12aの凸部を転写して多数の凹部4を形成する。また、型押し時のプレス圧は用いる樹脂基材3の種類にあった値を選択することが好ましく、例えば30〜50kg/cm2 程度の圧力とするのがよい。プレス時間についても用いる樹脂基材3の種類にあった値を選択することが好ましく、例えば30秒〜10分程度の時間とする。
【0035】
その後、透明なガラス基板の裏面側から樹脂基材3を硬化させるための紫外線等の光線を照射し、樹脂基材3を硬化させる。ここで照射する紫外線等の光線は、上記種類の感光性樹脂層からなる樹脂基材3の場合、50mJ/cm2 以上の強度であれば樹脂基材3を硬化させるのに充分であるが、感光性樹脂層の種類によってはこれ以外の強度で照射してもよいことは勿論である。そして、プリベークで用いたのと同様の加熱炉、ホットプレート等の加熱装置を用いてガラス基板上の樹脂基材3を例えば240℃程度で1分以上加熱するポストベークを行ってガラス基板上の樹脂基材3を焼成する。
【0036】
最後に、樹脂基材3の表面に例えばアルミニウムをエレクトロンビーム蒸着等によって成膜して凹部の表面に沿って反射膜5を形成することにより、本実施の形態の反射体1が完成する。
【0037】
図5のαは、本実施の形態の反射体1について、入射角度30度において、縦軸を反射率(反射強度)、横軸を反射角度とした反射特性曲線を示すグラフである。このように、本実施の形態の反射体1においては、凹部4の内面に、半径の小さい球面の一部からなる周縁曲面4aが存在し、比較的絶対値の大きい傾斜角の範囲を与えるので、15゜≦ω≦45゜という広い範囲で良好な反射率を有している。また、半径の大きい球面の一部からなる底曲面4b、すなわち平坦面に近い曲面が存在するので、ゼロに近い傾斜角を与える内面の割合が高くなる。その結果、入射角度である30度と対象な方向の反射角度30度における反射率が最も高くなり、その方向をピークとして近傍の反射率も高くなっている。従来技術に係る反射体51と比較すると、反射角度30度における反射率は、10%以上高くなっている。
【0038】
なお、本発明の反射体と従来技術の反射体との反射光全体の光量を比較した場合、両者に有意の差は存在しない。図5の反射特性αとβとを比較すると、αの方が全体の光量が大きいように見えるが、これは、比較実験における条件を厳密にそろえることが困難であるためである。
【0039】
また、上記の製造方法によれば、反射体形成用の母型9を製造する際には、ダイヤモンド圧子8を上下動させて母型基材7の表面を押圧するだけであるから、ダイヤモンド圧子8と母型基材7が擦れ合うようなことがない。その結果、ダイヤモンド圧子8先端の表面状態が母型9側に確実に転写され、圧子8の先端を鏡面状態としておけば母型9の凹部内面、ひいては反射体の凹部内面も容易に鏡面状態とすることができる。
【0040】
さらに、ポリエステル等の樹脂フィルムを加熱することで凹凸面を形成する方法と比較して、凹部の深さ、径、ピッチ等の寸法、凹部内面の表面状態等は全て制御されたものであり、高精度の転造装置の使用により反射体の凹部形状をほぼ設計通りに作成することができる。したがって、本方法によれば、作成する反射体の反射角度、反射効率等の反射特性が制御しやすいものとなり、所望の反射体を得ることができる。
【0041】
なお、上記製造方法として図3に示した凹部の転造パターンはほんの一例に過ぎず、適宜設計変更が可能なことは勿論である。また、反射体用基材、母型用基材等の各種基材の材料、転写型の構成材料等に関しても適宜変更が可能である。
【0042】
図6は本発明の他の実施の形態の反射体を示す図である。この図に示すように、本実施の形態の反射体31は、例えばガラス等からなる基板32上に設けられた感光性樹脂層等からなる平板状の樹脂基材33(反射体用基材)の表面に、ストライプ溝34が形成され、次いで、特定形状をなす多数の凹部35がランダムに形成され、その上に例えばアルミニウムや銀等の薄膜からなる反射膜36が蒸着または印刷等により形成されたものである。
【0043】
ここで、凹部35は、図2に示した凹部4と同様であり、その内面は、各々球面の一部である周縁曲面と、周縁曲面に囲まれた位置ににある底曲面とから形成されている。周縁曲面の半径と底曲面の半径との関係、各々の球面の中心から、反射体31の表面に立てた法線が同一の直線上に位置する点等、種々の条件も前記凹部4について記載したのと同様である。
【0044】
本実施形態によれば、凹部の視野角を広げ、かつ適度な指向性を備えることができるという上記効果に加えて、溝によって、溝に垂直な方向の視野角を広げるという効果を併せ持つことができる。
【0045】
次に、上記の反射体を備えたSTN(Super Twisted Nematic )方式の反射型液晶表示装置について説明する。
図7に示すように、この反射型液晶表示装置は、例えば厚さ0.7mmの一対の表示側ガラス基板13と背面側ガラス基板14との間に液晶層15を設け、表示側ガラス基板13の上面側にポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂等からなる1枚の位相差板16を設け、さらに位相差板16の上面側に第1の偏光板17を配設している。また、背面側ガラス基板14の下面側には、第2の偏光板18、図1に示した本実施の形態の反射体1を順次設けている。
【0046】
反射体1は、第2の偏光板18の下面側に凹部4を形成した面が対向するように取り付けられ、第2の偏光板18と反射体1との間には、グリセリン等の光の屈折率に悪影響を与えることのない材料からなる粘着体19が充填されている。両ガラス基板13、14の対向面側にはITO(インジウムスズ酸化物)等からなる透明電極層20、21がそれぞれ形成され、透明電極層20、21上にポリイミド樹脂等からなる配向膜22、23がそれぞれ設けられている。これら配向膜22、23等の関係により液晶層15中の液晶は240度捻れた配置となっている。
【0047】
また、前記背面側ガラス基板14と透明電極層21との間に、図示していないカラーフィルタを印刷等で形成することにより、この液晶表示装置をカラー表示できるようにしてもよい。
【0048】
本実施の形態の液晶表示装置においては、上述したように、反射体1自体が広い反射角度にわたる高い反射率と適度な指向性を兼ね備えているので、使用者が通常に表示面を見る方向を中心として、広い視野角と充分な明るさを兼ね備えた表示面とすることができる。
【0049】
なお、本実施の形態の反射型液晶表示装置では、反射体を第2の偏光板の外側に配設する、いわゆる外付けの反射体とする例を説明したが、背面側ガラス基板の対向面側に配設して内蔵型としてもよい。また、液晶表示装置の例としてSTN方式のもので説明したが、液晶層の液晶分子の捻れ角を90度に設定したTN(Twisted Nematic )方式の液晶表示装置にも本発明の反射体を適用し得ることは勿論である。
【0050】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の反射体においては、内面を各々半径の異なる複数の球面の一部を連続させた面とした多数の凹部を表面に形成したことにより、広範囲の反射角度に対して良好な反射率が得られると共に、適度な指向性も兼ね備えることができる。
また、本発明の反射型液晶表示装置によれば、上記のような優れた特性を持つ反射体を備えたことにより、広い視野角と、使用者の望む方向を中心に充分な明るさを備える液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態である反射体を示す斜視図である。
【図2】 同、反射体の凹部4を示すもので(a)は断面図、(b)は平面図である
【図3】 同、反射体の製造過程を順を追って示したプロセスフロー図である。
【図4】 同、反射体の形成に用いる母型の製造過程を示す図であって、ダイヤモンド圧子で母型基材を押圧している状態を示す図である。
【図5】 同、反射体と従来の反射対の反射特性との比較データである。
【図6】 本発明の他の実施の形態である反射体を示す斜視図である。
【図7】 本発明の一実施の形態である反射型液晶表示装置を示す断面図である。
【図8】 従来の反射体の一例を示す斜視図である。
【図9】 反射体の凹部内面の傾斜角を説明するための図である。
【図10】入射角度と反射角度とを説明するための図である。
【符号の説明】
1 反射体
2 基板
3 樹脂基材(反射体用基材)
4 凹部
4a 周縁曲面
4b 底曲面
5 反射膜
7 母型基材
8 ダイヤモンド圧子
9 反射体形成用母型
12 転写型
Claims (8)
- 反射体表面に多数の凹部が形成され、前記凹部の内面が、各々半径の異なる複数の球面の一部を連続させた面からなることを特徴とする反射体。
- 反射体表面に多数の凹部が形成され、前記凹部の内面が、各々半径の異なる2つの球面の一部を連続させた面からなることを特徴とする反射体。
- 反射体表面に多数の凹部が形成され、前記凹部の内面が、各々半径の異なる2つの球面の一部である周縁曲面と周縁曲面に囲まれた位置に存する底曲面とを連続させた面からなり、周縁曲面を形成する球面の半径が、底曲面を形成する球面の半径より小さいと共に、各々の球面の中心から反射体表面に立てた法線が、互いに同一直線上に存することを特徴とする反射体。
- 前記周縁曲面の傾斜角が10〜35度及び−35〜−10度の範囲で、前記底曲面の傾斜角が4〜17度及び−17〜−4度の範囲で、各々設定されたことを特徴とする請求項3に記載の反射体。
- 前記多数の凹部の深さが0.1ないし3μmの範囲でランダムに形成されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の反射体。
- 前記多数の凹部が互いに連続して形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の反射体。
- 前記多数の凹部が多数の溝と共に反射体表面に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の反射体。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の反射体を備えたことを特徴とする反射型液晶表示装置。
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