JP3690908B2 - 非晶質無機繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱材、フィルタ材またはプラスチック、金属、金属間化合物、セラミックス、コンクリート等の強化材等その他広範な用途に使用される非晶質無機繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維は、住宅用等の断熱材、プラスチックおよびコンクリート用の強化材等広範な用途に使用されている。これは、ガラス繊維が、非晶質構造であることなどにより高強度を有することや低価格であることなどによっている。
しかしながらガラス繊維は、高温での強度低下が著しいために、高温構造部材としての使用に耐えるものではなく、またSiO2 を主成分とし、一般的にはアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物を含有するために、例えば強化材としては、成形温度が低く、その温度において上記物質と化学反応を起こさない基材のみを対象にせざるを得ない。
【0003】
一方、金属の弾性率、高温強度等の改善のためには、ウィスカーや短繊維、連続繊維等で金属を強化する方法が有効とされ、これらの繊維で強化した金属基複合材料の製造研究が行われている。中でも強化用繊維として連続繊維を用いた場合が、弾性率、強度等の改善が著しいことから、現在、Al2 O3 系、SiC系等の連続繊維を強化用繊維として用いた金属基複合材料の製造研究が最も活発になされている。
【0004】
しかしながら、これらの連続繊維はいかなる温度範囲においても十分な延性加工性を有するものではなく、連続繊維強化型の金属基複合材料を従来の金属材料やウィスカーや短繊維強化型の金属基複合材料と同様に二次成形することは不可能である。
したがって、連続繊維強化型金属基複合材料の形状は現在のところ比較的単純なものに限られており、その広範な用途への適用のためには、最高使用温度においては十分な強度を持ちながらも、成形温度近傍においては延性加工性を有する連続繊維の開発が必要である。
【0005】
米国特許第5,605,870号には、10poises以下の粘度を有する溶融液より製造されるセラミックファイバーが開示されている。この繊維は、それ自体公知のいわゆるmelt extraction 法により製造され、非晶質相及び/又は結晶相から構成されている。しかし、非晶質相のみから構成される繊維の組成と物性との関係については何ら記載はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような現状を鑑みて、本発明者らは、高強度を有し、高温での性能低下がほとんどなく、延性加工性を有する繊維を得るべく鋭意研究を重ね、本発明に記す新規な非晶質無機繊維を見出した。
すなわち、A(AはAl,Cr,Ti,Zr,Hf,Mn,Fe,Ni,Ga及びGeからなる群から選択される少なくとも一種の元素)、Oおよび少なくとも一種の希土類金属元素から構成される溶融液を回転ロールに接触させて冷却し、細線状に凝固させて製造される非晶質無機繊維が、強化用繊維として十分な強度を持ち、その強度が高温(800℃)でも低下することがないにも関わらず、850〜1100℃の温度範囲で粘性流動加工性を有するという従来の繊維にはない特性を持つことが見出された。
【0007】
本発明の目的は、室温から高温までの引張強度が大きく、粘性流動加工性を有し、断熱材、フィルタ材またはプラスチック、金属、金属間化合物、セラミックス、コンクリート等の強化材等その他広範な用途に好適に使用することができる非晶質無機繊維を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、A(AはAl,Cr,Ti,Zr,Hf,Mn,Fe,Ni,Ga及びGeからなる群から選択される少なくとも一種の元素)、Oおよび少なくとも一種の希土類金属元素から構成され、850〜1100℃の温度範囲で粘性流動加工性を有することを特徴とする非晶質無機繊維に関する。
【0009】
この非晶質無機繊維は、構成元素の溶融液を急冷し細線状に凝固させて製造されるものである。
ここで、「粘性流動加工性」とは過冷却液体領域における粘性流動による塑性変形を利用した成形加工性を意味する。また、「非晶質」とはX線回折によりブロードなハローパターンを示す材料の原子構造を意味する。
【0010】
【発明の実施の形態】
Aとしては、Al,Cr,Ti,Zr,Hf,Mn,Fe,Ni,Ga及びGeからなる群から選択される少なくとも一種の元素が挙げられ、特に、Al,Crは得られる非晶質繊維の高温強度が高くなるので好ましい。
また、Aが二種以上の元素である場合、あるいは、前記元素以外に、さらにMg,Ca,Ba及びSiからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有する場合には、得られる繊維が非晶質化し易くなる。
【0011】
希土類金属元素としては、Gd,La,Sm,Y,Ce,Pr,Nd,Eu,Dy,Yb,Er,Tb,Ho,Tm及びLuからなる群から選択される少なくとも一種の元素が挙げられ、特に、Gd,La,Smは得られる非晶質無機繊維の強度が高くなるので好ましい。
【0012】
本発明の非晶質無機繊維におけるAの割合は、Al,Cr,Fe,Gaの場合はA2 O3 換算で、Ti,Zr,Hf,Geの場合はAO2 換算で、Mn,Niの場合はAO換算で、10〜90モル%の範囲にあることが好ましい。
また、本発明の非晶質無機繊維の形状は、特に限定されないが、円形または円形に近い断面を有することが好ましい。本発明の非晶質無機繊維は連続繊維としても、短繊維としても使用できる。
【0013】
非晶質無機繊維の横断面の寸法は、断面形状にもより一概ではないが、3〜50μm、好ましくは、5〜30μmの直径のものが好ましい。
非晶質無機繊維の室温、好ましくはさらに800℃における引張強度は、2.0GPa 以上、好ましくは2.5GPa 以上であることが望ましい。
本発明の非晶質無機繊維は、850〜1100℃の温度範囲内で粘性流動加工性を有することを特徴とし、本発明の非晶質無機繊維で強化した材料あるいは成形体をこの粘性流動加工性を利用して二次成形加工した後も本発明の非晶質無機繊維はその強度(室温〜800℃)を実質的に失わないことが可能である。従って、本発明の非晶質無機繊維は二次成形加工性を有する強化用無機繊維として、有用である。
【0014】
本発明の非晶質無機繊維は、A(AはAl,Cr,Ti,Zr,Hf,Mn,Fe,Ni,Ga及びGeからなる群から選択される少なくとも一種の元素)、Oおよび少なくとも一種の希土類金属元素から構成される溶融液を、例えば、回転ロールに接触させるなどの方法で急冷し、細線状に凝固させることにより製造することができる。
【0015】
溶融前の原料としては、一般的にはAの酸化物および希土類金属元素の酸化物が用いられるが、溶融した時に酸化物になるものであればよく、水酸化物、炭酸塩等を用いてもよい。また、原料の形態としては、粉体、成形体、焼結体、凝固体のいずれでも良く、また、これらの二つ以上が組み合わさったものでも良い。
【0016】
前記の原料の溶解方法は、少なくとも該原料の回転ロールに接触する部分をその融点以上の温度に加熱することが可能な方法であればいかなる方法でも良く、加熱源として、例えば、アーク、レーザー、電子ビーム、光、赤外線、高周波等を用いることができる。高周波を用いる場合は、該原料が室温近傍においてほとんど導電性を有さないために、導電性を有しかつ該原料の融点より高い融点を有する坩堝に該原料を収容する必要がある。例えば、Mo,W,Ta,Ir,Nb等の坩堝が好適に用いられる。また、原料が粉体である場合も上記のような材質の坩堝や支持台を用いる必要があるが、この場合は上記坩堝に加えて、水などによって冷却を施したCu製の坩堝や支持台等を使用することもできる。原料が粉体である場合以外でもこれらの坩堝や支持台等を好適に使用することができる。
【0017】
原料の溶解は、大気中、不活性ガス中、還元性ガス中、炭化水素ガス中、真空中などいかなる雰囲気中で行われても良いが、原料の融点以下の温度において酸化されやすい坩堝等を用いる場合は、アルゴンガスやヘリウムガスなどの不活性ガス雰囲気中または真空中などで溶解を行うことが好ましい。また、アークにより原料を溶解する場合は、アークが発生するに十分なアルゴンガス等が雰囲気中に含まれている必要がある。
【0018】
回転ロールの材質には特に制限はないが、熱伝導率が大きいものや高融点金属などがロールの寿命や得られる繊維の品質の安定性の点で好ましい。具体的には、Cu、Cu合金、Mo,Ta,W,Ir等を好適に使用することができる。
【0019】
回転ロールと溶融液との接触は、例えば、溶融液中に回転ロールの先端を回転接触させるとか、あるいは回転ロール上に溶融液が落下させるなどのいずれの態様でもよい。
しかし、溶融液中に回転ロールの先端を回転接触させ、回転ロールの形状としてその先端が溶融液と小さい面積で接触することが可能なものが、得られる繊維の断面形状を均一にするのに都合が良く、例えば図1に示すように、先端にV字型の突起を有する回転ロールを好適に使用することができる。
【0020】
このような回転ロールを溶融液に接触させる際の回転ロールの周速度は10m/sec 以下であることが望ましい。周速度が10m/sec より速い場合は、断面積が一定の繊維を得ることが難しくなる場合があるためである。
【0021】
本発明の非晶質繊維を製造する装置としては、例えば図2に示すような機構を有するものを使用することができる。W電極(1)と水冷を施されたCu製坩堝(2)の間に発生させたアーク(3)により溶解されたA(AはAlまたはCr)、Oおよび希土類金属元素から構成される溶融液(4)をCu製坩堝を横方向に移動させることにより矢印の方向に回転するロール(5)に接触させ細線状に凝固させることで非晶質無機繊維(6)を得るものである。
【0022】
そのほか、非晶質金属を製造する方法として公知の製法、製造装置を使用することもできる。要するに、本発明の特性を持つ非晶質無機繊維が得られる条件で製造できればよい。
【0023】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明についてさらに具体的に説明する。
実施例1
原料にはα−Al2 O3 粉末とY2 O3 粉末を用いた。α−Al2 O3 粉末とY2 O3 粉末をモル比で前者を82、後者を18の割合でエタノールを用いた湿式ボールミルによって混合し、得られたスラリーからロータリーエバポレータを用いてエタノールを除去した。
【0024】
得られた混合粉末をステンレス製のダイスを用いて一軸プレスにより直径10mm、高さ10mmの円柱状に成形し、次いでこの円柱状成形体をアークにより溶解しボタン状の凝固体を得た。
このボタン状凝固体を図2に示す水冷を施したCu製坩堝(2)に収容し、その後、図2の機構が収容される系内を−0.04MPa のアルゴンガス雰囲気にし、W電極とCu製坩堝の間にアークを発生させた。アークによってボタン状凝固体を溶解し、この溶解状態を維持したまま、Cu製坩堝を移動させて、2m/sec の周速度で回転する先端に30°のV字型突起を有する直径70mmのCu製ロールに接触させ、平均直径15μmの連続繊維を得た。
【0025】
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
【0026】
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で150%の伸びを示した。
つまり、この繊維が繊維強化型金属基複合材料の実質的な最高使用温度(Ti基の場合で600℃以上)以上の温度で室温と同等の十分な強度を持ちながらも、その温度以上の多くの金属材料が成形可能な温度では粘性流動加工性を有することが示された。
【0027】
実施例2
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とGd2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で78:22とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0028】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で220%の伸びを示した。
【0029】
実施例3
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とLa2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で77.5:22.5とし、また回転ロールの周速度を1m/sec にした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0030】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、900℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
900℃での引張試験では、この繊維は低応力下で230%の伸びを示した。
【0031】
実施例4
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とPr6 O11粉末を用い、その混合比をモル比で78.8:21.2とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0032】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、900℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
900℃での引張試験では、この繊維は低応力下で160%の伸びを示した。
【0033】
実施例5
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とNd2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で80.3:19.7とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0034】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で170%の伸びを示した。
【0035】
実施例6
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とSm2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で69:31とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0036】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で220%の伸びを示した。
【0037】
実施例7
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とEu2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で71.7:28.3とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0038】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、900℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
900℃での引張試験では、この繊維は低応力下で170%の伸びを示した。
【0039】
実施例8
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とDy2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で78.9:21.1とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0040】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で160%の伸びを示した。
【0041】
実施例9
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とYb2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で83.7:16.3とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0042】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で180%の伸びを示した。
【0043】
実施例10
原料粉末にα−Al2 O3 粉末とEr2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で81.1:18.9とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0044】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で170%の伸びを示した。
【0045】
実施例11
原料粉末にCr2 O3 粉末とGd2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で80:20とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0046】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で200%の伸びを示した。
【0047】
実施例12
原料粉末にCr2 O3 粉末とEr2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で78:22とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0048】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で160%の伸びを示した。
【0049】
実施例13
原料粉末にZrO2 粉末とLa2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で65:35とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0050】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で160%の伸びを示した。
【0051】
実施例14
原料粉末にMnO粉末とGd2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で27:73とし、また回転ロールの周速度を1m/sec にした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0052】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で170%の伸びを示した。
【0053】
実施例15
原料粉末にFe2 O3 粉末とSm2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で16.8:83.2とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0054】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で180%の伸びを示した。
【0055】
実施例16
原料粉末にGa2 O3 粉末とGd2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で69.2:30.8とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0056】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で170%の伸びを示した。
【0057】
実施例17
原料粉末にGeO2 粉末とLa2 O3 粉末を用い、その混合比をモル比で45.5:54.5とし、また回転ロールの周速度を1.5m/sec にした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0058】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で160%の伸びを示した。
【0059】
実施例18
原料粉末にα−Al2 O3 粉末、Y2 O3 粉末及びMgO粉末を用い、その混合比をモル比で66.3:32.7:1とした以外は実施例1と同様の方法で連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンが示されたことにより、非晶質であることがわかった。
【0060】
また、この繊維の引張試験を、室温の場合は負荷速度2mm/min 、スパン25mmの条件で、800℃、1000℃の空気中の場合は負荷速度2mm/min 、スパン100mmの条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は低応力下で190%の伸びを示した。
【0061】
比較例1
原料にα−Al2 O3 粉末とZrO2 粉末を用い、その混合比をモル比で前者を62、後者を38とし、また回転ロールの周速度を0.5m/sec にした以外は実施例1と同様の方法で平均直径15μmの連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンとシャープなピークが示されたことにより、非晶質相と結晶相が混在したものであることがわかった。
【0062】
この繊維の室温および800℃、1000℃の空気中での引張試験を実施例1と同様の条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は脆性的に破断し、引張強度は0.3GPa であった。
【0063】
比較例2
原料にα−Al2 O3 粉末、ZrO2 粉末、TiO2 を用い、その混合比をモル比で前者より44.8,37.9,17.3とした以外は比較例1と同様の方法で平均直径15μmの連続繊維を得た。
得られた繊維の構造は、Cu−Kα線を用いたX線回折によりブロードなハローパターンとシャープなピークが示されたことにより、非晶質相と結晶相が混在したものであることがわかった。
【0064】
この繊維の室温および800℃、1000℃の空気中での引張試験を実施例1と同様の条件で行った。測定された室温および800℃での引張強度の平均値を表1に示す。
1000℃での引張試験では、この繊維は脆性的に破断し、引張強度は0.1GPa であった。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、室温から高温までの引張強度が大きく、粘性流動加工性を有し、断熱材、フィルタ材またはプラスチック、金属、セラミックス、コンクリート等の強化材等その他広範な用途に好適に使用することができる非晶質無機繊維が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の非晶質無機繊維の製造に用いる回転ロールの形状の一例を示す図面である。
【図2】図2は、本発明の非晶質無機繊維の製造に用いる装置の機構の一例を示す図面である。
【符号の説明】
1…W電極
2…Cu製坩堝
3…アーク
4…溶融液
5…ロール
6…非晶質無機繊維
Claims (7)
- 構成元素の溶融液を急冷し、細線状に凝固させて製造されたものである非晶質無機繊維であって、A(AはAl,Cr,Ti,Zr,Hf,Mn,Fe,Ni,Ga及びGeからなる群から選択される少なくとも一種の元素)、Oおよび少なくとも一種の希土類金属元素から構成され、850〜1100℃の温度範囲で粘性流動加工性を有することを特徴とする非晶質無機繊維。
- AがAl及び/又はCrである請求項1記載の非晶質無機繊維。
- 非晶質無機繊維が、さらにMg,Ca,Ba及びSiからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有する請求項1記載の非晶質無機繊維。
- 非晶質無機繊維が、さらにTi,Zr,Hf,Mn,Fe,Ni,Ga,Ge,Mg,Ca,Ba及びSiからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有する請求項2記載の非晶質無機繊維。
- 非晶質無機繊維が、構成元素の溶融液を回転ロールに接触させて冷却し、細線状に凝固させて製造されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の非晶質無機繊維。
- 希土類金属元素がGd,La,Sm,Y,Ce,Pr,Nd,Eu,Dy,Yb,Er,Tb,Ho,Tm及びLuからなる群から選択される少なくとも一種の元素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非晶質無機繊維。
- 希土類金属元素が、Gd,La及びSmからなる群から選択される少なくとも一種の元素であることを特徴とする請求項6に記載の非晶質無機繊維。
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