JP3690711B2 - ワイヤドットプリンタヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤドットプリンタヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一端がヨークに固定的に設けられ環状に配列された複数のコアのそれぞれにコイルを装着し、コアの他端にプリントワイヤを駆動するアーマチュアを対向配置し、コイルに通電しアーマチュアを変位させてプリントワイヤをプラテン上の用紙に衝突させるようにしたワイヤドットプリンタヘッドがある。
【0003】
その一例を図5に示す。図5はワイヤドットプリンタヘッドの一部の断面図で、コア101とアーマチュア102とは一つしか図示しないが、実際にはヨーク103の中心に対して放射状に配設されている。コア101にはコイル104を支持するボビンケース105が装着され、このボビンケース105にはガイドピン106が一体に形成されている。アーマチュア102はコア101に対向する可動鉄心107と、ガイドピン106に嵌合されたガイド孔108とを有する。アーマチュア102とヨーク103との間に磁束路を形成する天板である。この天板109は全てのアーマチュア102の可動鉄心107に嵌合される複数の窓孔110を備えて円板の形に形成され、その外周のやや内側の平面はアーマチュア102の後端縁を起伏自在に支える支点部111とされている。そして、アーマチュア102は支点部111から浮かないように支点押え(環状のゴム)112により押圧されている。113は後端がアーマチュア102に当接されたプリントワイヤである。このプリントワイヤ113はスプリング114により印字方向とは反対側に付勢されている。
【0004】
次に動作について説明する。非駆動時は、アーマチュア102はスプリング114の付勢力により退避状態に維持されるプリントワイヤ113に押されてコア101から離反する状態に維持される。この離反位置は図示しないストッパにより定められる。そして、特定のコイル104に電流を流すと、コア101、可動鉄心107、天板109、ヨーク103、コア101を磁束が通るため、アーマチュア102はガイドピン106により案内されながら支点部111を支点としてコア101に吸引される。これにより、プリントワイヤ113がスプリング114を圧縮方向に撓ませながらプラテン(図示せず)方向に移動し、その先端がプラテン上の用紙にインクリボンを介して衝突する。これにより、印字がなされる。コイル104への通電は瞬時で直ぐに通電が遮断されるため、プリントワイヤ113はプラテンからの反力とスプリング114の付勢力とにより後方に復帰し、アーマチュア102をコア101から離反させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、天板109はアーマチュア102より硬度が低い磁性材料により形成されているので、上述のようにアーマチュア102の後端のエッジ部を天板109の平面上の支点部111で支えると、繰り返しの使用によって天板109がアーマチュア102のエッジにより削られて溝状に掘られてしまう。また、ガイドピン106に嵌合されるガイド孔108とアーマチュア102の回動中心となる後端のエッジとが離れているため、ガイドピン106の外周面とガイド孔108の内側とが擦れ摩耗し易い。また、この摩耗の状態が進行するアーマチュア102の起伏動作が一定しなくなり印字品質に影響が生ずる。
【0006】
本発明は、アーマチュアを起伏自在に支持する支点部の摩耗を防止し得るワイヤドットプリンタヘッドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、一端がヨークに固定的に設けられ環状に配列された複数のコアと、前記複数のコアのそれぞれに装着された複数のコイルと、前記コアのそれぞれに対向配置されてプリントワイヤを駆動する複数のアーマチュアと、前記アーマチュアと前記ヨークとの間に設けられ、かつ、前記アーマチュアと前記ヨークとの間に磁束路を形成する天板と、前記アーマチュアの前記コアに対する接離方向の起伏動作を案内する案内部と、前記天板における前記案内部の近傍に配置されて前記アーマチュアの前記プリントワイヤとは反対側の端部付近の平坦面を起伏自在に支持するエッジ状の支点部とを備える。
したがって、アーマチュアは案内部により起伏動作を案内されながら天板の支点部を支点として起伏される。この起伏動作に際し、天板は支点部によりアーマチュアの平坦面を支えるためアーマチュアの後端のエッジ部には干渉しない。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記案内部は、前記コイルを保持するボビンケースから突出されて前記アーマチュアに形成されたガイド孔に嵌合されたガイドピンにより形成され、前記支点部は、環状に配列された複数の前記コアの環中心と前記ガイドピンの中心とを結ぶ直線に対して直交し、かつ、前記ガイドピンの中心を通る直線に一致するように前記天板の外周縁に切欠された複数の切欠のそれぞれのエッジにより形成され、前記支点部の中心には前記ガイドピンとの干渉を避ける非干渉部が形成されている。
したがって、アーマチュアはガイドピンにより起伏動作を案内されながら天板の支点部を支点として起伏される。この起伏動作に際し、ガイドピンは支点部の一致する位置でアーマチュアの起伏動作を案内する。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記アーマチュアと前記天板との間には非磁性材により形成されたフィルムが介装されている。したがって、長期間使用しても支点部の摩耗を防止することが可能となり、さらに、コアとアーマチュアとの間に発生する残留磁気による影響を軽減することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図4に基づいて説明する。まず、図1及び図2を参照してワイヤドットプリンタヘッドPHの構造について説明する。図中、1はハウジングである。このハウジング1には、複数のプリントワイヤ2の先端及び中間を摺動自在に支持するワイヤガイド3,4が設けられている。また、ハウジング1の中間部にはフランジ5が形成され、ハウジング1の後端部にはボス6が形成され、このボス6の基部側の周囲にはプリントワイヤ2の後端部を摺動自在に支持する複数のガイド孔7が形成されている。ハウジング1のフランジ5には、コネクタ8を介して外部回路に接続される配線基板9と、それぞれ磁性体により形成されたヨーク10及び天板11と、フィルム12とが積層されている。
【0011】
ヨーク10には複数のコア13が一体に形成され、これらのコア13にはコイル14を保持する絶縁性のボビンケース15が装着されている。各コア13に対向する複数のアーマチュア16は円柱状の可動鉄心17を有し、これらの可動鉄心17は天板11及びフィルム12の一部を貫通してコア13に対向配置されている。各アーマチュア16はボス6の中心軸に対して放射状に配列され、その一端がゴム等の弾性部材によって形成された環状の支点押え18によりフィルム12の一面に押えられている。各プリントワイヤ2はスプリング19により後方に付勢されてフイルム12を介してアーマチュア16の自由端側を押圧する。アーマチュア16の自由端側の背面に当接されてアーマチュア16の復帰位置を定める環状のストッパ20はリアカバー21に支持されている。そして、花弁型の板ばね22の中心がねじ23とナット24とによりハウジング1のボス6に固定されている。これにより、配線基板9、ヨーク10、支点押え18、リアカバー21が、ハウジング1のフランジ5と板ばね22との間で挾持されている。
【0012】
ここで、図3に示すように、磁性体によって形成された天板11には、アーマチュア16の可動鉄心17をコア13側に突出させる窓孔11aと、外周から突出されてヨーク10の外周側の開口縁10aとの間に磁束路を形成する複数の接続部11bと、これらの接続部11bの間に切欠された切欠11cと、窓孔11aの間において放射状に配置されたスリット状の開口11dとが形成されている。さらに、アーマチュア16の長手方向と直交する切欠11cの一部のエッジはアーマチュア16を直線上で起伏自在に支える支点部11eとして機能する。この支点部11eの中心には非干渉部11fが形成されている。この非干渉部11fは、ガイドピン15aとの干渉を防止するために機能するものである。本実施の形態では、ガイドピン15aが円柱状形状をしているので、その形状に合わせて半円形の形状に形成され、その半径の中心は直線の支点部11e上に一致されている。そして、前述したボビンケース15には、非干渉部11f及びアーマチュア16に形成されたガイド孔16aに突出するガイドピン15aが一体に形成されている。すなわち、アーマチュア16を起伏自在に支える支点部11eと、アーマチュア16に形成したガイド孔16a嵌合されてこのアーマチュア16を案内するガイドピン15aの中心とは同一直線上に配置されている。
【0013】
次に、動作について説明する。非駆動時は、アーマチュア16はスプリング19の付勢力により退避状態に維持されるプリントワイヤ2に押されてコア13から離反する状態に維持される。この離反位置はストッパ20により定められる。そして、特定のコイル14に電流を流すと、コア13、可動鉄心17、天板11、天板11、ヨーク10、ヨーク10、コア13を磁束が通るため、アーマチュア16はガイドピン15aにより案内されながら支点部11eを支点としてコア13に吸引される。これにより、プリントワイヤ2がスプリング19を圧縮方向に撓ませながらプラテン(図示せず)方向に移動し、その先端がプラテン上の用紙にインクリボンを介して衝突する。これにより、印字がなされる。コイル14への通電は瞬時で直ぐに通電が遮断されるため、プリントワイヤ2はプラテンからの反力とスプリング19の付勢力とにより後方に復帰し、アーマチュア16をコア13から離反させる。
【0014】
この場合、天板11は支点部11eによりアーマチュア16の平坦面を支えるためアーマチュア16の後端のエッジ部には干渉しない。したがって、天板11をアーマチュア16の硬度より低い硬度の磁性材料で形成しても支点部11eの摩耗を防止することができる。
【0015】
さらに、図4に示すように、ガイドピン15aの中心の位置が直線の支点部11eの位置と一致するので、アーマチュア16が起伏動作をするときにガイドピン15aの軸心と直交する方向の動きを極めて小さくすることができる。これにより、ガイド孔16aの内周面とガイドピン15aの外周面との擦れ合いを防止し、ガイドピン15aの摩耗を防止することがでできる。
【0016】
さらに、アーマチュア16と天板11との間には非磁性材により形成されたフィルム12が介装されているので、長期間使用しても支点部11eの摩耗を防止することができ、さらに、コア13とアーマチュア16との間に発生する残留磁気による影響をフィルム12により軽減することができる。
【0017】
なお、本実施の形態では、プリントワイヤ2の後端を単にアーマチュア16に当接させる構成であるが、プリントワイヤ2の後端をアーマチュア16に固着してもよい。また、コア13はヨーク10と一体に形成されているが、磁性材により別個に形成したコア13をヨーク10に固定的に結合してもよい。
【0018】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、一端がヨークに固定的に設けられ環状に配列された複数のコアと、前記複数のコアのそれぞれに装着された複数のコイルと、前記コアのそれぞれに対向配置されてプリントワイヤを駆動する複数のアーマチュアと、前記アーマチュアと前記ヨークとの間に設けられ、かつ、前記アーマチュアと前記ヨークとの間に磁束路を形成する天板と、前記アーマチュアの前記コアに対する接離方向の起伏動作を案内する案内部と、前記天板における前記案内部の近傍に配置されて前記アーマチュアの前記プリントワイヤとは反対側の端部付近の平坦面を起伏自在に支持するエッジ状の支点部とを備えるので、アーマチュアを案内部により起伏動作を案内しながら天板の支点部を支点として起伏させることができる。この起伏動作に際し、天板は支点部によりアーマチュアの平坦面を支えるためアーマチュアの後端のエッジ部には干渉しない。したがって、天板上の支点部の摩耗を防止することができる。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記案内部は、前記コイルを保持するボビンケースから突出されて前記アーマチュアに形成されたガイド孔に嵌合されたガイドピンにより形成され、前記支点部は、環状に配列された複数の前記コアの環中心と前記ガイドピンの中心とを結ぶ直線に対して直交し、かつ、前記ガイドピンの中心を通る直線に一致するように前記天板の外周縁に切欠された複数の切欠のそれぞれのエッジにより形成され、前記支点部の中心には前記ガイドピンとの干渉を避ける非干渉部が形成されているので、アーマチュアをガイドピンにより起伏動作を案内しながら天板の支点部を支点として起伏させることができれる。この起伏動作に際し、ガイドピンは支点部の一致する位置でアーマチュア起伏動作を案内するので、ガイドピンの摩耗を防止することができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記アーマチュアと前記天板との間には非磁性材により形成されたフィルムが介装されているので、長期間使用しても支点部の摩耗を防止することができ、さらに、コアとアーマチュアとの間に発生する残留磁気による影響をフィルムにより軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるワイヤドットプリンタヘッドの全体の構造を示す断面図である。
【図2】ワイヤドットプリンタヘッドの全体の構造を示す分解斜視図である。
【図3】ヨークと天板とフィルムとアーマチュアとの関係を示す分解斜視図である。
【図4】天板の一部をアーマチュアとともに示す平面図である。
【図5】従来のワイヤドットプリンタヘッドの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
2 プリントワイヤ
10 ヨーク
11 天板
11c 切欠
11e 支点部
11f 非干渉部
12 フィルム
13 コア
14 コイル
15 ボビンケース
15a 案内部、ガイドピン
16 アーマチュア
16a ガイド孔

Claims (3)

  1. 一端がヨークに固定的に設けられ環状に配列された複数のコアと、前記複数のコアのそれぞれに装着された複数のコイルと、前記コアのそれぞれに対向配置されてプリントワイヤを駆動する複数のアーマチュアと、前記アーマチュアと前記ヨークとの間に設けられ、かつ、前記アーマチュアと前記ヨークとの間に磁束路を形成する天板と、前記アーマチュアの前記コアに対する接離方向の起伏動作を案内する案内部と、前記天板における前記案内部の近傍に配置されて前記アーマチュアの前記プリントワイヤとは反対側の端部付近の平坦面を起伏自在に支持するエッジ状の支点部とを備えるワイヤドットプリンタヘッド。
  2. 前記案内部は、前記コイルを保持するボビンケースから突出されて前記アーマチュアに形成されたガイド孔に嵌合されたガイドピンにより形成され、前記支点部は、環状に配列された複数の前記コアの環中心と前記ガイドピンの中心とを結ぶ直線に対して直交し、かつ、前記ガイドピンの中心を通る直線に一致するように前記天板の外周縁に切欠された複数の切欠のそれぞれのエッジにより形成され、前記支点部の中心には前記ガイドピンとの干渉を避ける非干渉部が形成されている請求項1記載のワイヤドットプリンタヘッド。
  3. 前記アーマチュアと前記天板との間には非磁性材により形成されたフィルムが介装されている請求項1又は2記載のワイヤドットプリンタヘッド。
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