JP3690628B2 - パノラマ画像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパノラマ画像表示装置に係り、ビデオカメラを用いた監視装置等に適用され、単一のビデオカメラを用いながら360°の視野画像をモニタ画面の水平方向に表示させることを可能にする装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラを用いた監視装置が広く利用されるようになっているが、通常の監視装置では、画角が略90°の標準撮像レンズを装備し、アスペクト比が3:4となる画像信号を出力する4台のビデオカメラを適所に配置し、各ビデオカメラから得られる画像信号のデコードデータを垂直方向及び水平方向にそれぞれ1/2の圧縮比で圧縮し、その圧縮データをエンコードしてアスペクト比が3:4のモニタに左右上下をそれぞれ半分に分割した4分割画面として表示することが行われている。
また、ビデオカメラの設置台数を4台以上とし、モニタ画面をその台数分に相当する数で分割して表示させたり、4台分のビデオカメラの画像信号を適宜選択して4分割画面に表示させるような方式も採用されている。
【0003】
ところで、広いホールや工場内を常時全体的に監視する必要がある場合には、360°の視野範囲の画像を表示させねばならず、一箇所において複数台のビデオカメラを各撮像レンズの光軸が放射状になるように配置させ、各撮像レンズの画角で前記視野範囲をカバーできるようにして、各ビデオカメラから得られる画像を単一モニタに分割表示させる方式が採用される。
【0004】
そして、そのような監視装置であって、4台のビデオカメラを用いた場合の実例として、図2に示されるようなシステム構成のものがある。
同図において、1はビデオカメラ設置部、2は画像信号処理部、3は監視用モニタを示す。
ここに、ビデオカメラ設置部1は、例えば、広いホール等の天井から吊り下げられており、画角が略90°である標準撮像レンズを装備した4台のビデオカメラ1-1〜4をその各撮像レンズの光軸が平面的にみて略90°の中心角をもって放射状になるように設置させてある。
また、各ビデオカメラ1-1〜4は、水平走査ラインが略485ラインで、アスペクト比が3:4に相当する画面を構成する画像信号を出力させるものである。
尚、各ビデオカメラ1-1〜4の撮像レンズの光軸は必ずしも同一平面上にある必要はなく、ビデオカメラ設置部の吊り下げ位置や監視対象エリア等によって下側へ傾斜していてもよい。
【0005】
画像信号処理部2は、監視室等に設置されており、ビデオカメラ設置部1の各ビデオカメラ1-1〜4からケーブルを通じて個別に送られてくる4系統の画像信号から1系統の信号のみを一定周期で選択して入力させるスイッチ回路21と、スイッチ回路21で選択された画像信号(複合信号)を輝度信号と色信号に分離するY/C分離回路22と、その分離された輝度信号から書込み用の水平同期信号(WHD)と垂直同期信号(WVD)とフィールド同期信号(WFLD)を分離する同期信号分離回路23と、分離された輝度信号と色信号をデコードしてR,G,B信号を作成するデコーダ24と、デコードされたR,G,B信号を量子化してディジタルデータに変換するA/D変換器25と、A/D変換後の画像データを後述の書込み制御部31で間引き圧縮した後の圧縮画像データを記憶する4個のメモリ26-1〜4と、基準発振器の信号からフリーラン状態で読出し用の水平同期信号(RHD)と垂直同期信号(RVD)とフィールド同期信号(RFLD)を作成する同期信号発生回路(SSG)27と、前記基準発振器の信号から書込み/読出しタイミングを設定するための基準パルス(21MHz)を作成する基準クロック発生回路(CLK-GEN)28と、CLK-GEN28の基準パルスをWVDと同期させながら1/2に分周することにより10.5MHzの書込み用サンプリングパルスを得る1/2分周器29と、CLK-GEN28の基準パルスをRVDと同期させながら1/2に分周して10.5MHzの読出し用サンプリングパルスを得る1/2分周器30と、書込み用の同期信号:WHD,WFLDと1/2分周器29が分周出力するサンプリングパルスに基づいて、スイッチ回路21の切換えに対応して順次得られるA/D変換後の各画像データの水平走査ラインを1ラインおきに間引き、また各水平走査ラインの画素データを1画素おきに間引き、その垂直・水平方向に関してそれぞれ1/2の圧縮比で圧縮した各圧縮画像データをスイッチ回路21の切換え状態に対応したメモリ26-1〜4に書込む機能を有した書込み制御部31と、読出し用の同期信号:RHD,RVDと1/2分周器30が分周出力するサンプリングパルスに基づいて、ビデオカメラ1とビデオカメラ2に係る各圧縮画像データが書込まれているメモリ26-1とメモリ26-2の共通する水平走査ラインのデータを順次連続的に読出し走査し、次にビデオカメラ3とビデオカメラ4に係る各圧縮画像データが書込まれているメモリ26-3とメモリ26-4の共通する水平走査ラインのデータを順次連続的に読出し走査することにより、全体として4画面からなる1フレーム分のデータを読出す機能を有した読出し制御部32と、各メモリ26-1〜4から読出された画像データをアナログ信号(R,G,B信号)に変換するD/A変換器33と、読出し用同期信号:RHD,RFLDを用いてD/A変換後の画像信号をエンコードすることにより表示用信号を得るエンコーダ34と、その表示用信号を増幅して監視用モニタ3へ出力させるアンプ35とからなる。尚、各メモリ26-1〜4から圧縮画像データが読出されている期間中は書込みを禁止する必要があるため、書込み制御部31にRFLDを入力させて割込みをかけるようになっている。
【0006】
そして、この画像信号処理部2の全体的動作はマイコン回路36によって統括的に制御されるが、そのマイコン回路36には外部の押しボタンスイッチ37のON信号で割込みがかかり、押しボタンスイッチ37が押される度に分割表示モードと通常表示モード(スイッチ回路21が選択している画像信号の全画面表示モード)が切換わるようになっている。
一方、監視用モニタ3は、CCTV等において標準仕様とされているものであり、水平走査ラインが略485ラインで、アスペクト比が3:4に相当する表示画面を有している。
【0007】
以上のシステム構成により、この監視装置は次のように動作する。
先ず、分割表示モードでスイッチ回路21が周期的に切換えられてゆくと、各ビデオカメラ1-1〜4がその撮像レンズの画角でカバーしている各監視エリアの画像信号がY/C分離回路22へ順次取り込まれる。
そして、各監視エリアの画像信号はデコーダ24でデコードされた後にA/D変換器25でディジタル化された画像データとなるが、書込み制御部31によって、垂直・水平方向に関してそれぞれ1/2の圧縮比で圧縮しながら、各ビデオカメラ1-1〜4に対応付けられている各メモリ26-1〜4に書込まれる。
ここで、水平走査ラインに係る1/2の圧縮は、1フレームの圧縮画像データの内の何れかのフィールドデータをそのまま採用すれば実現できるため、書込み制御部31の回路構成は簡単なもので足りる。
一方、読出し制御部32は、メモリ26-1とメモリ26-2をアクセス対象として書込まれている圧縮画像データの共通の水平走査ラインを順次読出し走査し、次にメモリ26-3とメモリ26-4をアクセス対象として同様の条件で読出し走査する動作を繰返して実行しており、その1回分の動作で4つの圧縮画像データからなる1フレーム分の画像データを構成する。
読出された各画像データは、D/A変換器33でR,G,Bのアナログ信号に変換した後、エンコーダ34で表示用信号に変換されてアンプ35を介して監視用モニタ3へ出力される。
【0008】
従って、監視用モニタ3での表示態様は4分割表示となり、図2に示すように、上側半分にビデオカメラ1-1とビデオカメラ1-2がカバーしている監視エリアの撮影画像(CH1,CH2)が、下側半分にビデオカメラ1-3とビデオカメラ1-4がカバーしている監視エリアの撮影画像(CH3,CH4)が表示されることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のように監視装置で360°の視野範囲の画像を監視モニタに表示させる場合、その視野範囲に係る全ての画像が水平方向に一列に連続した表示方式(パノラマ画像表示方式)の方が望ましい。
何故なら、不審な挙動を行なう人物の動きや異常事態の発生状況を確認するためには、人物の動きを連続的に捕捉したり、異常箇所と他のエリアとの関係を全体的に把握する必要があり、パノラマ画像表示方式によれば、それらを監視し続けることが視覚的に容易になるからである。
【0010】
前記の監視装置のように上下左右に2分割した4分割表示方式を採用していると、CH1とCH2の画像及びCH3とCH4の画像についてはそれぞれ視覚的に連続性を有しているが、CH2とCH3の画像及びCH4とCH1の画像との関係についてみると上下に分断されているため、例えば、不審人物がそれら監視エリアの境界を通過した場合等に監視モニタ3上の注目する画像が上下に変わり、移動の連続性を視覚的に把握し難くなる。
【0011】
その問題に対して、前記の監視装置において、書込み制御部31による画像データの圧縮機能を垂直方向及び水平方向にそれぞれ1/4の圧縮比によるものとし、読出し制御部32が各メモリ26-1〜4の圧縮画像データにおける共通した水平走査ラインを読出すようにして、図3に示すように、監視モニタ3の画面の水平方向にCH1〜CH4の画像を連続的に表示させるパノラマ画像表示方式の採用が考えられる。
しかし、その場合には各画像CH1〜CH4の面積は監視モニタ3の画面面積の略1/16になり、逆に各画像の表示内容が見ずらくなって監視能力の低下を招くことになる。
【0012】
また、その欠点を解消すべく、ビデオカメラ設置部において、画角が略120°である広角撮像レンズを用いた3台のビデオカメラを略120°の開角をもって放射状に設置しておき、画像信号処理部で垂直方向及び水平方向にそれぞれ1/3の圧縮比で圧縮した圧縮画像データを作成し、図4に示すような3分割態様のパノラマ画像表示方式で監視モニタに表示させる方式の採用も考えられる
しかし、その場合には、書込み制御部におけるデータ圧縮機能として、水平走査ラインを垂直方向について前後のラインとの相関をとりながら2/3ライン分間引いて略161ラインにする必要があるため、一方のフィールドデータのみを採用すれば足りる圧縮比:1/2の場合と比較して書込み制御部の回路構成が複雑になると共に回路規模も大きくなり、ビデオカメラに広角撮像レンズを適用することと併せて製造コストが高くなることが避けられない。
【0013】
一方、前記の書込み制御部のデータ圧縮機能を、垂直方向に関する圧縮比をそのまま1/2にすると、図5に示すように1/3の圧縮比で間引かれている水平方向の画素数に対して垂直方向のライン数が略242ラインとなって、各ビデオカメラに対応する画像が垂直方向に略1.5倍で表示され、縦長で違和感のある表示態様になってしまう。
【0014】
換言すれば、アスペクト比が3:4に相当するビデオカメラと監視モニタを用いた監視装置において、従来から図2に示したような4分割表示方式が採用されているのは上記のような理由に基づいており、監視機能からみれば、可能な限り垂直方向のライン数を大きくとりながら、3:4のアスペクト比の各画像を水平方向に連続させたパノラマ画像表示方式で表示させることが望ましいことは明らかである。
【0015】
また、前記の従来技術に関して、次のような問題点も重要な課題として指摘されている。
(1) ビデオカメラ設置部1側に4台のビデオカメラ1-1〜4を固定・設置し、また各ビデオカメラ1-1〜4から監視室側の画像信号処理部2まで信号ケーブルを独立に配線する必要があるため、システム全体の設置コストの低減化に限界がある。
(2) 各ビデオカメラ1-1〜4の間に、ホワイトバランス等の調整によるバラツキや、アイリス・ガンマ特性の設定条件によるバラツキが不可避的に存在し、監視モニタ3における各画像CH1〜CH4を均一な状態で表示させることができず、表示品質の悪化を招く。
(3) ビデオカメラ設置部1が大きくなるため、取付け箇所の条件によって制約を受ける場合がある。
【0016】
そこで、本発明は、上記の各問題点に鑑みて、単一のビデオカメラを用いながらパノラマ画像表示方式で360°の視野範囲を表示させることを可能にし、またアスペクト比が9:16であるワイドモニタを用いることにより、従来技術で敬遠されていた3分割態様での適正なパノラマ画像表示を実現することを目的として創作された。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画角が略120°である撮像レンズを装備し、アスペクト比が3:4の撮像画像を構成する撮像素子を搭載した1台のビデオカメラと、前記ビデオカメラの撮像レンズの光軸と垂直な軸又は一定の角度を有した軸を中心にそのビデオカメラを回転させるカメラ回転手段と、前記カメラ回転手段により前記ビデオカメラが略120°回転する度に検出信号を出力する検出手段と、前記ビデオカメラから得られる画像信号をデコードするデコード手段と、前記デコード手段によるデコードデータを、垂直方向に1/2の圧縮比で、水平方向に1/3の圧縮比で圧縮するデータ圧縮手段と、前記データ圧縮手段が圧縮した画像データを3画面分記憶することが可能な記憶手段と、前記記憶手段に対して前記ビデオカメラの1回転毎に前記検出手段から時系列的に得られる3つの検出信号に対応付けた各データ記憶領域を設定しておき、各検出信号が得られる度に、その時点で前記データ圧縮手段から得られる圧縮画像データを対応したデータ記憶領域に先の書込みデータを更新しながら書込むデータ書込み手段と、所定周期で前記記憶手段に書込まれた3画面分の圧縮画像データにおける共通する水平走査ラインのデータを順次連続的に走査して読出すデータ読出し手段と、前記データ読出し手段が読出した圧縮画像データをエンコードするエンコード手段と、前記エンコード手段がエンコードした3画面分の圧縮画像データにおける水平走査ラインのデータを4/3倍に伸長して表示する表示手段とを具備したパノラマ画像表示装置に係る。
【0018】
また、本発明のデータ圧縮手段は必ずしも単一でその機能を有するものである必要はなく、データ圧縮手段とデータ書込み手段を共働機能手段として、次のように機能するものとしてもよい。
(1) デコード手段でデコードされたフレームデータを、垂直方向については1ライン毎に水平走査ラインを間引き、水平方向については各水平走査ラインの画素データを連続する3画素から2画素を間引きながら記憶手段に書込む。
(2) 垂直方向についてはデコード手段でデコードされたフレームデータの内の片方のフィールドデータのみを採用し、水平方向については各水平走査ラインの画素データを連続する3画素から2画素を間引きながら記憶手段に書込む。
(3) 垂直方向についてはデコード手段でデコードされたフレームデータにおける一方のフィールドデータの奇数番目に相当する水平走査ラインと他方のフィールドデータの偶数番目に相当する水平走査ラインを採用し、水平方向については各水平走査ラインの画素データを連続する3画素から2画素を間引きながら記憶手段に書込む。
【0019】
本発明によれば、1台のビデオカメラを回転させながら、その撮像レンズの画角:略120°に相当する角度分回転する度に、その時点でビデオカメラから得られている画像信号をデコード・圧縮した画像データを記憶手段の対応するデータ記憶領域に書込むため、記憶手段には常に360°の視野範囲をカバーした3画像分の圧縮データが更新されながら格納されることになる。
そして、データ圧縮手段によって、デコード手段のデコードデータは垂直方向に1/2の圧縮比で、水平方向に1/3の圧縮比でそれぞれ圧縮されているため、圧縮画像データによる各画面のアスペクト比は略9:8(=3/2:4/3)になっている。
次に、前記の3画像分の圧縮データはデータ読出し手段で記憶手段から読出されて表示手段へ出力されるが、表示手段では水平走査ラインのデータを4/3倍に伸長して表示するため、各画像のアスペクト比は略27:32(=9:32/3)となり、そのアスペクト比の3画像が水平方向に連続して表示される。
ここで、各画像のアスペクト比を元の撮像画像のアスペクト比である3:4(=24:32)と比較すると、垂直方向に略1.125倍(=27/24)だけ伸びているに過ぎない。
即ち、水平走査ライン数を元の撮像画像の1/2にしながら、アスペクト比の変化を僅かに抑制した3画像でのパノラマ画像表示が可能になり、アスペクト比が3:4の標準モニタを用いた場合に各画像が垂直方向へ略1.5倍も伸びた違和感のある表示(図5のパノラマ画像表示態様)であったのに対し、自然な表示が実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパノラマ画像表示装置の実施形態を、図1を用いて詳細に説明する。
この実施形態はパノラマ画像表示装置を監視装置に適用したものであり、同図において、41はビデオカメラ設置部、42は画像信号処理部、43は監視用モニタを示す。
そして、その画像信号処理部42の回路構成は、従来技術に係る監視装置(図2)の画像信号処理部2と比較すれば明らかなように、Y/C分離回路22とデコーダ24とA/D変換器25からなるデコード側の信号処理系、D/A変換器33とエンコーダ34とアンプ35からなるエンコード側の信号処理系、及び同期信号系の同期信号分離回路23とSSG27とCLK-GEN28と1/2分周器30に関しては図2の回路構成と共通しており、ここではそれらの回路要素についての説明を省略する。
【0021】
この実施形態に係る監視装置の特徴は次のような点にある。
(1) ビデオカメラ設置部41には、画角が略120°である広角撮像レンズ51を装備し、水平走査ライン数が略485ラインでアスペクト比が3:4の撮像画像を構成する撮像素子(CCD)を搭載した1台のビデオカメラ52が用いられている。
そして、そのビデオカメラ52には、撮像レンズ51の光軸に対して所定角度を有した回転軸が取り付けられており、その回転軸がモータ53を駆動源とした減速機構を介して定速回転せしめられるようになっている。
ここに、撮像レンズ51の光軸と回転軸のなす角度は、ビデオカメラ設置部41の位置と360°監視エリアの相対的位置関係により設定され、ビデオカメラ設置部41の位置からみて水平方向のエリアを監視する場合には90°に、上下斜め方向のエリアを監視する場合にはそれに対応した傾斜角度に設定される。
また、ビデオカメラ52の回転速度(回転軸の回転速度)は要求されている監視用画面の更新周期に応じて決定されるが、例えば1(回転/sec)程度の速度に設定される。
(2) ビデオカメラ設置部41には、ビデオカメラ52が略120°分回転する度に検出信号を出力する検出手段が設けられている。
この実施形態では、回転軸と一体的に回転する円盤の周縁部に傾斜角度が緩やかな切欠き部を1個形成しておき、3個のリミットスイッチ54a,54b,54cを略120°の中心角θに相当する位置に配置して各リミットスイッチ54a,54b,54cから、検出信号を得るようにしている。
尚、検出手段としては、前記の方式に限らず、光センサを用いる方式やモータ53の回転角度を検出する方式等も適用できる。
【0022】
(3) 画像信号処理部42のY/C分離回路22にはビデオカメラ52の撮像信号が直接入力されており、また各リミットスイッチ54a,54b,54cの検出信号が後述のマイコン回路65に入力されている。
(4) 画像信号処理部42は、図2の場合と同様に圧縮画像を格納するメモリを備えているが、この実施形態では3個のメモリ61-1〜3で構成されている。
各メモリ61-1〜3は、ビデオカメラ52から得られる画像信号をデコード・A/D変換して後述の書込み制御部63で間引き圧縮した後の圧縮画像データを記憶することが可能な容量を有している。尚、ここでは3個のメモリ61-1〜3を用いているが、容量の大きなメモリを領域区分して用いるようにしてもよい。
(5) 図2の画像信号処理部2では、CLK-GEN28の基準パルス(21MHz)を1/2分周器29で分周した10.5MHzの書込み用サンプリングパルスが書込み制御部31に入力されているが、この実施形態では、1/3分周器62で分周した7MHzの書込み用サンプリングパルスを書込み制御部63へ入力させている。
【0023】
(6) 書込み制御部63は、後述のマイコン回路65から識別信号が得られる度に、その識別信号に対応するメモリ61-iをアクセス対象に設定し、書込み用の同期信号:WHD,WFLDと1/3分周器62が分周出力するサンプリングパルスに基づいて、A/D変換後の画像データを垂直方向に1/2の圧縮比で圧縮すると共に水平方向に1/3の圧縮比で圧縮して設定されたメモリ61-iに書込む機能を有している。
(7) 読出し制御部64は、読出し用の同期信号:RHD,RVDと1/2分周器30が分周出力するサンプリングパルスに基づいて、各メモリ61-1〜3に書込まれている共通した水平走査ラインのデータを順次連続的に走査して読出す機能を有している。
【0024】
(8) マイコン回路65は、ビデオカメラ設置部41の各リミットスイッチ54a,54b,54cから得られる検出信号を受信し、それがどのリミットスイッチ54a,54b,54cの信号であるかを識別して書込み制御部63へ識別信号を出力する。
また、外部の押しボタンスイッチ37のON信号でマイコン回路65に割込みがかかり、マイコン回路65はその度にパノラマ画像表示モードと通常表示モード(検出信号の入力時点の画像信号による全画面表示モード)を切換える。
(9) 監視用モニタ43には、水平走査ライン数が略485ラインでアスペクト比が9:16であるワイドモニタが用いられており、フルモードが設定されると水平走査ラインデータを4/3倍に伸長して表示させる機能を有している。
【0025】
以上の特徴に基づいて、この実施形態の監視装置は次のように動作する。
先ず、ビデオカメラ52が定速回転せしめられると、マイコン回路65では各リミットスイッチ54a,54b,54cの検出信号を順次周期的に検出し、各検出信号が何れのリミットスイッチ54a,54b,54cに該当するものかを確認して書込み制御部63へ識別信号を出力する。
一方、ビデオカメラ52は回転しながら略120°の画角範囲にある監視エリアを撮像しており、その画像信号を画像信号処理部42のY/C分離回路22へ出力している。
【0026】
従って、ビデオカメラ52の画像信号はY/C分離されてデコーダ24でデコードされた後にA/D変換器25でディジタル化された画像データとなるが、書込み制御部63は、マイコン回路65から識別信号を検出する度に、そのフィールド画像データの第1フィールドの奇数ラインと第2フィールドの偶数ラインをサンプリングし、サンプリングした各ラインにおける連続した3画素について1画素だけを採用して他の2画素を間引く方法で画像データの圧縮を実行する。
そして、書込み制御部63は、識別信号を検出した時点でその識別信号に対応したメモリ61-iをアクセス状態に設定しており、そのメモリ61-iに対して前記の圧縮画像データを先に書込まれている圧縮画像データを更新しながら書込む。
その結果、リミットスイッチ54a,54b,54cの検出信号が得られた各時点における各撮像信号の圧縮画像データが対応するメモリ61-1,61-2,61-3に書込まれ、全てのメモリ61-1〜3についてみると、360°の監視エリアの圧縮画像データがビデオカメラ52の回転周期で逐次更新されている状態で格納されることになる。
尚、書込み制御部63の垂直方向に係るデータ圧縮方式としては、フィールド画像データの水平走査ラインを1ラインおきに間引く方式や、単に何れかのフィールドデータを採用する方式も採用できるが、前記の方式を採用すれば最終的な表示画像に良好なリアルタイム感をもたせることができる。
【0027】
一方、読出し制御部64は、全てのメモリ61-1〜3をアクセス対象として、書込まれている圧縮画像データの共通の水平走査ラインを順次読出し走査する。
そして、読出された各画像データは、D/A変換器33でR,G,Bのアナログ信号に変換した後、エンコーダ34で表示用信号に変換されてアンプ35を介して監視用モニタ43へ出力される。
【0028】
ところで、メモリ61-1〜3に格納されている各圧縮画像データは、書込み制御部63によって元の画像データ(アスペクト比は3:4)が垂直方向に1/2の圧縮比で、水平方向に1/3の圧縮比でそれぞれ圧縮されていることになるため、各画面のアスペクト比は略9:8(=3/2:4/3)に変化しており、それらが3画面分水平方向に並んだ態様のデータ構成で監視用モニタ43へ伝送される。
【0029】
監視用モニタ43は、上記のようにその水平走査ライン数がビデオカメラ52と同様の略485ラインで、アスペクト比が9:16のワイドモニタであり、通常モードではその水平走査ライン数とアスペクト比に該当する画像信号で画像表示を行なうのであるが、フルモードが設定されると水平走査ラインの信号を水平方向に4/3倍に伸長して表示する。
従って、監視用モニタ43がフルモードになっていると、画像信号処理部42から伝送された画像信号が構成している各画像は水平方向に4/3倍だけ伸びてアスペクト比が略27:32(=9:8*4/3)となり、その画像信号による3画面分が水平方向に連続して表示される。
そして、各画面の画像は、画像信号処理部42での処理によって画角が略120°の撮像レンズを用いたビデオカメラ52が略120°回転する度に撮影した画像に相当しているため、図1に示すように、監視用モニタ43の画面には水平走査ライン数が略242ライン(=485/2)でアスペクト比が略27:32の3画像分がパノラマ画像で表示されることになる。
また、読出し制御部64の読出し周期は書込み制御部63の書込み周期より大きく設定されているため、パノラマ画像を構成している3つの画像はそれぞれビデオカメラ52の回転周期で更新される。
【0030】
ところで、監視用モニタ43に表示された各画像は、元の撮像画像のアスペクト比(3:4=24:32)に対して垂直方向に伸びていることになるが、その伸び率は略1.125倍(=27/24)であって、視覚的に殆ど違和感を生じない程度の歪に過ぎない。
一方、従来技術においてアスペクト比が3:4の標準モニタを対象とした3画像によるパノラマ画像表示態様(図5)を示したが、その場合には各画像が垂直方向へ略1.5倍も伸びた歪を生じて視覚的な違和感を招いた。
この実施形態の監視装置によれば、監視用モニタ43にアスペクト比が9:16であるワイドモニタを適用し、且つ画像信号処理装置42でそれに適合した画像データの圧縮処理を行なったことにより、水平走査ライン数が略242ラインで図5の場合と同一であって実画像と殆ど変わらないパノラマ画像で監視を実行することが可能になる。
【0031】
また、この実施形態の監視装置では、従来技術に係る監視装置(図2)が複数のビデオカメラ1-1〜4を用いているのに対して、単一のビデオカメラ52で監視エリアの画像を撮影している。
従って、従来技術の監視装置では各ビデオカメラ1-1〜4の特性の相違によってパノラマ画像を構成する各画像にバラツキを生じるために相関をみながらそれを均一に調整する必要があったが、この実施形態の監視装置ではその必要がなくなる。
また、この実施形態では、ビデオカメラ52の回転機構が必要になるが、高価なビデオカメラは1台で足りるため、従来技術と比較してシステムの設置コストを低減化できる。
【0032】
尚、この実施形態では1組のビデオカメラ設置部41と画像信号処理部42によって360°監視エリアに係るパノラマ画像を表示させているが、異なる360°監視エリアを対象として2つのビデオカメラ設置部を設置し、それに対応して2つの画像信号処理部を設け、各画像信号処理部の出力信号を垂直方向に合成して略484ラインからなる1フレーム分の画像信号を構成する信号合成部を介して監視用モニタ43へ入力するようにすれば、監視用モニタ43の画面に各監視エリアのパノラマ画像を上下2段に表示させることができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のパノラマ画像表示装置は、以上の構成を有していることにより、次のような効果を奏する。
請求項1の発明は、1台のビデオカメラ(撮像レンズの画角;略120°,撮像素子の撮像画像のアスペクト比;3:4)を用いて、表示手段(アスペクト比;9:16,水平走査線数;ビデオカメラと略同一,水平走査機能;水平走査ラインを4/3倍に伸長)に3画像からなるパノラマ画像を各画像のアスペクト比が3:4に近い状態で表示させることを可能にし、360°の監視エリアを対象とする監視システムに最適な装置を提供する。
また、この発明によれば、パノラマ画像を構成する3画像の表示特性にバラツキがなく、監視システムのトータルコストの低減化が図れるという利点がある。
請求項2から請求項4の発明は、請求項1の発明における画像データの各種圧縮方式を与える。
特に、請求項3の発明によれば、何れか一方のフィールドデータを採用するだけで足りるためにデータ圧縮手段とデータ書込み手段の構成が簡素化でき、また請求項4の発明によれば、パノラマ画像を構成する3画像に他の方式よりもリアルタイム感をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパノラマ画像表示装置の実施形態に係る監視装置のシステム回路図である。
【図2】4台のビデオカメラを用いて4分割表示を行なう従来の監視装置のシステム回路図である。
【図3】従来の監視装置でアスペクト比を維持した4画像をパノラマ画像表示させると仮定した場合における監視用モニタでの画面構成を示す図である。
【図4】従来の監視装置でアスペクト比を維持して3分割態様のパノラマ画像表示を行なわせると仮定した場合における監視用モニタでの画面構成を示す図である。
【図5】従来の監視装置で垂直方向の水平走査ライン数を248ラインとして水平方向を1/3に圧縮すると仮定した場合における監視用モニタでの画面構成を示す図である。
【符号の説明】
1,41…ビデオカメラ設置部、1-1〜4,52…ビデオカメラ、2,42…画像信号処理部、3,43…監視用モニタ、21…スイッチ回路、22…Y/C分離回路、23…同期信号分離回路、24…デコーダ、25…A/D変換器、26-1〜4,61-1〜3…メモリ、27…同期信号発生回路(SSG)、28…基準クロック発生回路(CLK-GEN)、29,30…1/2分周器、31,63…書込み制御部、32,64…読出し制御部、33…D/A変換器、34…エンコーダ、35…アンプ、36,65…マイコン回路、37…押しボタンスイッチ、51…広角撮像レンズ、53…モータ、54a,54b,54c…リミットスイッチ、62…1/3分周器。

Claims (4)

  1. 画角が略120°である撮像レンズを装備し、アスペクト比が3:4の撮像画像を構成する撮像素子を搭載した1台のビデオカメラと、前記ビデオカメラの撮像レンズの光軸と垂直な軸又は一定の角度を有した軸を中心にそのビデオカメラを回転させるカメラ回転手段と、前記カメラ回転手段により前記ビデオカメラが略120°回転する度に検出信号を出力する検出手段と、前記ビデオカメラから得られる画像信号をデコードするデコード手段と、前記デコード手段によるデコードデータを、垂直方向に1/2の圧縮比で、水平方向に1/3の圧縮比で圧縮するデータ圧縮手段と、前記データ圧縮手段が圧縮した画像データを3画面分記憶することが可能な記憶手段と、前記記憶手段に対して前記ビデオカメラの1回転毎に前記検出手段から時系列的に得られる3つの検出信号に対応付けた各データ記憶領域を設定しておき、各検出信号が得られる度に、その時点で前記データ圧縮手段から得られる圧縮画像データを対応したデータ記憶領域に先の書込みデータを更新しながら書込むデータ書込み手段と、所定周期で前記記憶手段に書込まれた3画面分の圧縮画像データにおける共通する水平走査ラインのデータを順次連続的に走査して読出すデータ読出し手段と、前記データ読出し手段が読出した圧縮画像データをエンコードするエンコード手段と、画面のアスペクト比が9:16で、水平走査線数が前記ビデオカメラの水平走査線数と略同一であり、前記エンコード手段がエンコードした3画面分の圧縮画像データにおける水平走査ラインのデータを4/3倍に伸長して表示する表示手段とを具備したパノラマ画像表示装置。
  2. 前記のデータ圧縮手段とデータ書込み手段が共働する機能手段であり、前記デコード手段でデコードされたフレームデータを、垂直方向については1ライン毎に水平走査ラインを間引き、水平方向については各水平走査ラインの画素データを連続する3画素から2画素を間引きながら前記記憶手段に書込むこととした請求項1のパノラマ画像表示装置。
  3. 前記のデータ圧縮手段とデータ書込み手段が共働する機能手段であり、垂直方向については前記デコード手段でデコードされたフレームデータの内の片方のフィールドデータのみを採用し、水平方向については各水平走査ラインの画素データを連続する3画素から2画素を間引きながら前記記憶手段に書込むこととした請求項1のパノラマ画像表示装置。
  4. 前記のデータ圧縮手段とデータ書込み手段が共働する機能手段であり、垂直方向については前記デコード手段でデコードされたフレームデータにおける一方のフィールドデータの奇数番目に相当する水平走査ラインと他方のフィールドデータの偶数番目に相当する水平走査ラインを採用し、水平方向については各水平走査ラインの画素データを連続する3画素から2画素を間引きながら前記記憶手段に書込むこととした請求項1のパノラマ画像表示装置。
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