JP3690312B2 - 電子回路装置及び電子計算機用モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はセラミック配線基板を用いた電子回路装置及び電子計算機用モジュール並びに電子計算機に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミック配線基板は、小型化が可能で、信頼性が高いという理由から、半導体チップや小型電子部品を搭載するための基板として用いられ、電子計算機、通信機器、家電品等に組み込まれている。
【0003】
セラミック配線基板のなかでも、グリーンシートを用いる湿式セラミック配線基板は、高密度配線に有利であるため、よく用いられる。この湿式セラミック配線基板は、つぎのような製造方法により作製される。まず、セラミック原料粉末を有機樹脂で結合したセラミック生シート(以下、グリーンシートと呼ぶ)を作製し、続いてこのグリーンシートに貫通孔(スルーホール)をあけた後、導体ペーストを用いて表面に配線パタ−ンを形成するとともに、シートを複数枚積層したときに各シートの配線パタ−ンを接続するため、貫通孔にも導体ペーストを充填する。次に、このように配線パタ−ンを形成したグリーンシートを所定枚数積み重ね積層圧着した後、焼成する。以上により、セラミック多層配線基板が作製される。
【0004】
なお、シリコンを用いた半導体集積回路素子を搭載する多層配線基板には、従来より、絶縁材料として、アルミナ(Al2O3)が主に用いられ、導体材料として、アルミナと同時焼結可能な高融点金属であるモリブデン(Mo)やタングステン(W)が用いられている。しかし、アルミナの熱膨張係数は約7×10-6/℃と大きいので、アルミナ基板にシリコン半導体素子を直接搭載する場合には、それらの接続導体部に大きな応力が作用し、信頼性が得られない。さらに、アルミナの比誘電率は約10と比較的大きく、多層配線基板としての信号伝搬がまだ十分速くない。その上、上記高融点金属の抵抗は比較的大きい。
【0005】
そこで、上記問題点を解決するために、特公平2−49550号公報では、20重量%以上、50重量%未満のアルミナと、10重量%以上、60重量%未満の石英ガラスと、20重量%以上、40重量%未満の非結晶化ガラスまたは結晶化ガラスとからなる混合物を含むガラスセラミック層と銅導体層とを有すること、および熱解重合型樹脂を含むバインダを使用することを特徴とする多層セラミック配線基板およびその製造方法が提案されている。また、例えば、特公平2−49550号公報や、特公平1−50120号公報には、電気抵抗が低い銅を導体材料と誘電率の低いガラスセラミックと組み合わせたガラス/銅配線基板を使用することにより、半導体素子を搭載するのに必要な高速の信号伝送を実現する技術が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
グリーンシートは、セラミック粉末と有機バインダと該バインダの溶剤とボールミル混合して調製されるスラリを、シート状に成形することにより作られる。
【0007】
有機バインダとしては、ポリビニルブチラール樹脂、熱解重合型アクリル樹脂等が一般に使用される。そこで、その溶剤として、従来より、アルコール系、ケトン系、あるいは、トリクロロエチレン等の塩素系の有機溶剤が用いられている。
【0008】
しかしながら、アルコール系やケトン系の溶剤は可燃性であり、さらに、人体に対する毒性があるものもあり、安全性に問題がある。また、塩素系の溶剤は、これらの問題のほか、環境に対する悪影響が懸念される。従って、安全衛生上の観点では、これらの有機溶剤ではなく、水または水を主成分とする溶剤を用いることが望ましい。
【0009】
このため、水を溶剤とする有機バインダ材料が開発されてきている。例えば、セラミック成形用のバインダとして水溶性ポリアクリル酸エステルまたは水溶性ポリメタクリル酸エステルを用いる技術(特公平1−53233号公報、特公平1−44668号公報)や、界面活性剤を用いてビニル単量体を乳化重合して得られたエマルジョン系バインダにアクリル酸またはメタクリル酸を加え、アンモニアで中和したものを用いる技術(特開昭60−180955号公報、特開昭60−180956号公報)等が提案されている。
【0010】
しかし、水を溶剤とする有機バインダ材料は、一般に親水性官能基が付加されているため、有機溶剤を用いる有機バインダ材料よりも熱分解性が悪く、脱バインダが困難であるという問題を有する。
【0011】
有機バインダの焼尽(脱バインダ)は、有機樹脂のカーボンへの分解過程とカーボンの酸化過程からなると言える。前者の過程は約200〜400℃の温度で、後者の過程はおおよそ700℃以上の温度で起きる。特に後者の過程は、
C+2H2O→CO2+2H2
と表される反応であり、高温であるほど反応が進みやすい。従って、有機バインダの焼尽をできるだけ高温で行う方が、短時間で脱バインダでき、生産性がよい。特に、導体材料に酸化されやすい銅を用いるためには、脱バインダ工程(グリーンシート調製用有機バインダを焼尽する工程)は、銅が酸化しない雰囲気(水蒸気、窒素、水素ガスなどの雰囲気)で行なうことが好ましいが、このような非酸化性雰囲気中で脱バインダを行なうと、熱分解後のバインダ残渣物がカーボンとなるため、このカーボンを、水蒸気中との熱力学的な反応によって、COまたはCO2として除去するためには、非常に長時間を要することから、脱バインダ工程は高温で行なうことが望ましいと考えられる。
【0012】
また、有機バインダの焼尽の後、ガラスセラミックスは緻密化のための熱処理、すなわち、焼結が行われる。多層セラミック配線基板の生産性向上のためには、それらの熱処理が短時間に行われる必要がある。
【0013】
しかし、脱バインダ工程の熱処理の間に基板材料であるガラスセラミックスの焼結が過度に進行し、有機樹脂の残渣やカーボンがシート内に閉じ込められてしまうと、閉じ込められたカーボンが酸化して生じるガスによるボイドの発生や、誘電率の増大の原因となり、さらに、得られるガラスセラミックスの絶縁抵抗が低下したり、ガラスセラミックスがその後の熱処理で十分に緻密化しないため十分な強度が得られないなどの問題があるため、好ましくない。一般に、基板中に残存するカーボン量としては、200ppm以下が好ましい。
【0014】
そこで、脱バインダ工程の温度を高くするためには、軟化点の高いガラスを用いる必要がある。しかしながら、融点が1083℃である銅と同時に焼結するものを用いなくてはならないことから、ガラス材料は、1000℃付近で焼結可能なものに限られる。従って、バインダ除去の温度を800℃以上にすることは困難である。
【0015】
また、有機樹脂の残渣やカーボンをシート内に閉じ込めないようにするには、基板材料であるガラスセラミックスとして、有機バインダの焼尽のための熱処理の間、過度に焼結が進行しないものを用いることが好ましい。上述のように、水を溶剤とする有機バインダ材料は、有機溶剤を用いる有機バインダ材料よりも熱分解しにくく、脱バインダの速度が遅い。そのため、水を溶剤とする有機バインダ材料を用いるためには、それに適した基板材料のガラスセラミックスが必要である。
【0016】
また、上記のシリコン半導体集積回路素子搭載用多層セラミック配線基板の性能向上と信頼性向上を図るために、基板材料のセラミックスには、導体として低抵抗金属の銅を使用できるように銅が溶融する温度の1083℃よりも低い1050℃以下(望ましくは1000℃付近)で焼結すること、比誘電率が小さいこと、熱膨張係数がシリコンの熱膨張係数(3.0×10-6/℃)と整合すること、および、大きな曲げ強度を有することが要求される。これらの特性を満たすセラミック材料としては、硼珪酸ガラス・フィラー系が挙げられる。
【0017】
しかし、硼珪酸ガラス・フィラー系では、グリーンシートに調製した際の硼珪酸ガラスの耐水性が問題となる。硼珪酸ガラスの耐水性が悪いと、含有される酸化硼素が水に溶出しやすく、高湿度雰囲気の下で、ガラス表面に硼酸結晶が析出してしまう。また、硼珪酸ガラスには、熱処理によりクリストバライト結晶の析出しやすいものがある。クリストバライト結晶は約230℃で異常に大きな体積変化を伴う結晶相の転移が生じるので、基板の割れの原因となり、その析出は好ましくない。
【0018】
さらに、従来技術では、十分な高密度配線を行なうことができないという問題があった。
【0019】
配線密度の目安として、グリーンシートにあける貫通孔の間隔(スルーホールピッチ)がある。このピッチの限界、すなわち配線密度の限界は、明けた貫通孔の位置精度で決まり、この位置精度は、引張り強度や剪断強度等のグリーンシートの機械的特性で決まる。従って、配線密度を高くするためには、従来技術より機械的特性の優れたグリーンシートが必要となる。そのためには、機械的特性の優れたグリーンシートを得ることのできる材料とグリーンシート成形プロセスとの開発が必要である。
【0020】
また、従来の焼結技術では、セラミック粉末原料の粒径や組成ばらつき、グリーンシート密度ばらつき、セラミック材料と銅導体との焼結収縮カーブのミスマッチ及び銅導体のパターン密度、積層圧着工程での積層体密度ばらつき、焼成工程での雰囲気および温度ばらつき等、原材料やプロセスに起因する焼結収縮率ばらつきがあるため、焼結した基板の寸法精度も十分ではなく、これもまた高密度配線を妨げていた。また、薄膜配線基板を搭載するためにも、高い寸法精度が要求される。しかし、焼結体の寸法精度を大幅に改善するためには、従来とは異なる新しい配線基板製造プロセスを開発する必要がある。
【0021】
そこで、本発明は、上述した諸問題を解決し、溶剤として水系溶剤を用い、脱バインダが容易で、高密度配線が可能であり、寸法精度の高い配線基板およびその製造方法と、該配線基板を製造するための材料とを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記のような配線基板は、高軟化点で耐水性が良好な硼珪酸ガラスとセラミックフィラーとからなる基板用ガラス材料、および、熱分解性が良好で孔あけおよび印刷工程での寸法変化が小さい水系分散型バインダ樹脂を用い、寸法収縮変化がほとんど無い加圧焼結を行なうことによって得られる。
【0023】
本発明では、上記目的を達成するために、下記(1)〜(4)の工程をこの順で有する配線基板の製造方法と、この方法に用いられる材料、この方法により作製される配線基板と、該配線基板を備える電子回路装置、電子計算機用モジュール、および電子計算機とが提供される。
【0024】
(1)非晶質ガラスと、フィラーと、有機バインダと、溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程
(2)スラリーをシート状に加工して、グリーンシートを調製するグリーンシート調製工程
(3)グリーンシートに、導体によりビアホールおよび/または配線を形成する導体形成工程
(4)グリーンシートを、必要に応じて積層する工程
(5)積層体を700〜880℃に加熱して脱バインダする工程
(6)積層体を900〜1050℃に加熱して焼結する加熱工程
ただし、上記の非晶質ガラスは、SiO2、B2O3、R2O(Rはアルカリ金属を表す)と不可避的不純物とを含み、図1に示すSiO2−B2O3−R2O系三角組成図において、第1の組成を示す点および第3の組成を示す点、第3の組成を示す点および第10の組成を示す点、第10の組成を示す点および第11の組成を示す点、第11の組成を示す点および第4の組成を示す点、第4の組成を示す点および上記第1の組成を示す点、をそれぞれ結ぶ線により囲まれる領域内(線上含む)の点の示す組成を有する。ただし、図1において、各組成を示す点は小円により表されており、小円内の数字は、該小円の表す組成の番号を示している。
【0025】
なお、三角組成図とは、三角座標により3成分系の組成物を表現する図である。三角組成図において、正三角形の頂点(A、B、Cとする)は、それぞれ3成分のうちのいずれかの純物質を表し、正三角形内(辺上を含む)の点は、3成分のうちの少なくとも1種からなる組成物を表す。該組成物に含まれる各成分の比率は、その組成物を示す点(Pとする)から、各頂点の対辺へそれぞれ下した垂線の長さの比率により表される。すなわち、頂点Aの対辺をaとすると、頂点Aの示す成分の比率は、点Pから辺aへ下された垂線(hとする)の長さにより表される。この線分hの長さ(すなわち、頂点Aの示す成分の組成比)は、点Pから、線分hに直行する線を引き、この線と頂点Aの示す成分の百分率(または分率)目盛の付された辺との交点を求め、該交点の目盛を読み取ることにより知ることができる。
【0026】
また、非晶質ガラスの各成分は、それぞれ酸化物として換算される。すなわち、SiO2成分の量とは、非晶質ガラス中に含まれる珪素の量を、酸化珪素(SiO2)に換算して求められる量であり、B2O3成分の量とは、非晶質ガラス中に含まれる硼素の量を、酸化硼素(B2O3)に換算して求められる量であり、R2O成分の量とは、非晶質ガラス中に含まれるアルカリ金属の量を、アルカリ金属酸化物(R2O)に換算して求められる量であり、Al2O3成分の量とは、非晶質ガラス中に含まれるアルミニウムの量を、酸化アルミニウム(Al2O3)に換算して求められる量であり、ZnO成分の量とは、非晶質ガラス中に含まれる亜鉛の量を、酸化亜鉛(ZnO)に換算して求められる量である。
【0027】
各組成の組成比は、SiO2成分、B2O3成分、およびR2O成分の総重量を100%としたとき、第1の組成は、SiO2成分が88重量%、B2O3成分が12重量%であり、第3の組成は、SiO2成分が82重量%、B2O3成分が18重量%であり、第10の組成は、SiO2成分が84重量%、B2O3成分が10重量%、R2O成分が6重量%であり、第11の組成は、SiO2成分が90重量%、B2O3成分が5重量%、R2O成分が5重量%であり、第4の組成は、SiO2成分が89重量%、B2O3成分が10重量%、R2O成分が1重量%である。
【0028】
なお、上記組成範囲のうち、上記第4の組成を示す点および第5の組成を示す点、第5の組成を示す点および第9の組成を示す点、第9の組成を示す点および上記第10の組成を示す点、上記第10の組成を示す点および上記第11の組成を示す点、上記第11の組成を示す点および上記第4の組成を示す点、をそれぞれ結ぶ線により囲まれる領域内(線上含む)の点の示す組成が、さらに好ましい。
【0029】
ここで、第5の組成は、SiO2成分が87重量%、B2O3成分が11.5重量%、R2O成分が1.5重量%である組成を示し、第9の組成は、SiO2成分が84.7重量%、B2O3成分が10.8重量%、R2O成分が4.5重量%である組成を示す。
【0030】
また、ガラスの耐水性の点から、Rはカリウムであることが望ましい。また、上述の組成におけるR2Oを、R2OとR2Oのモル量の90%以下のAl2O3とに置き換えた組成のガラスが、より好ましく、さらに、非晶質ガラス全体に対して1〜4重量%のZnO成分を含んでいてもよい。
【0031】
なお、非晶質ガラスとフィラーの量は、非晶質ガラスおよびフィラーの前体積を100体積%としたとき、非晶質ガラスが60〜95%であり、フィラーが40〜5体積%であることが好ましい。
【0032】
また、本発明では、有機バインダとして、水溶性高分子を重合用分散安定剤として用いた懸濁重合によって得られるセラミック成形用有機バインダ、すなわち、
(A)少なくとも一種類以上のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(ただし、炭素数が1〜18個のアルキル基、炭素数が1〜12個の環状アルキル基またはアリール基のエステル)100重量部と、
(B)水溶性高分子(重合用分散安定剤)1〜9.5重量部とを、
水または水と水溶性有機溶剤との混合液に溶解し、重合開始剤存在下で(A)のエステル化合物を懸濁(共)重合させて得られる高分子化合物を用いる。
【0033】
さらに、本発明では、(6)の工程において、成形体(積層する場合は積層体、積層しない場合はグリーンシート)を焼結する際に、厚さ方向に加圧することが望ましい。このようにすれば、表面に発生する摩擦力または拘束力により、成形体の厚さ方向に垂直な方向の収縮を抑制、制御することができるからである。
【0034】
【作用】
本発明の配線基板の製造方法の一例を図2に模式的に示す。図2に示した方法は、
(1)まず、図2(a)に示すように、ボールミル装置1に非晶質ガラスとフィラーとからなるガラスセラミック組成物、有機バインダ、および溶剤を入れ、混合してスラリーにするスラリー化工程と、
(2)図2(b)に示すように、スラリー2をキャスティングマシーン3によりシート状に加工して、グリーンシート4にするグリーンシート形成工程と、
(3)図2(c)に示すように、得られたグリーンシート4にポンチ5を用いて貫通孔51をあける孔あけ工程と、
(4)図2(d)に示すように、グリーンシート4上に載せた導体ペースト7をスキージ6によりグリーンシート4の貫通孔51に充填してビアホール53を形成し、さらにグリーンシート表層部に導体ペーストを印刷して配線52を形成する印刷工程と、
(5)図2(e)に示すように、図2(d)で得られたビアホール53および配線52を備えるグリーンシート4を複数枚積層して接着し、グリーンシート積層体41を形成する積層工程と、
(6)図2(f)に示すように、得られたグリーンシート積層体41を、加熱炉8により700〜880℃に加熱して脱バインダする脱バインダ工程と、さらに900〜1050℃で焼結する焼結工程とを、
この順で有する。以下に、その詳細について述べる。
【0035】
<ガラスセラミック組成物>
a.軟化温度
本発明のグリーンシートを構成する(すなわち、スラリー化工程で用いられる)ガラスセラミック組成物はガラス粒子とフィラー粒子とからなる複合体であり、このような複合体は、熱処理による加熱によってガラスが軟化流動し、ガラス粒子接触部が増大してガラス粒子の表面積の減少が生じる、すなわち、ガラス粒子どうしの焼結が生じる。ガラスが軟化流動し、焼結が生じる温度は、ガラスの軟化温度、ガラス粒子と混合されるフィラーの量、ガラス粒子およびフィラー粒子の粒径等に依存する。一般に、フィラーはガラス粒子どうしの焼結を阻害するので、フィラーの量が多いほどガラス粒子の焼結は起こり難くなる。
【0036】
上述したように、グリーンシートに含まれる有機バインダの焼尽のための熱処理の間、ガラス粒子の焼結は起こり難い方が好ましい。そのために、フィラーの量を多くすることが考えられる。しかし、フィラーの量が多くなり過ぎると、ガラスの緻密化焼結が起き難くなる。緻密化焼結するための熱処理温度は、銅の融点1083℃よりも少し低い1050℃以下に制限されるので、緻密化焼結し難い場合には長時間熱処理すること、加圧をしながら熱処理することなどによって、できるだけ緻密化することを試みたが、そのような熱処理は多層セラミック配線基板の生産性の点であまり好ましくない。
【0037】
多層セラミック配線基板用ガラスセラミックスのガラス組成物としては、基板特性として要求される熱膨張係数、比誘電率の点から、パイレックスガラス(コーニング社商品名)を代表とする硼珪酸ガラスが用いられる。パイレックスガラスの組成は、SiO2:81重量%、B2O3:12重量%、Na2O:4重量%、Al2O3:3重量%であり、軟化温度は821℃で、市販の硼珪酸ガラスの中では、最も軟化温度の高いもののひとつである。パイレックスガラス以上の軟化温度を有する硼珪酸ガラスは、製造コストが高く、量産されている市販ガラスとして入手することは困難である。
【0038】
本発明者らはパイレックスガラスを用いて多層セラミック基板の製造を検討したところ、軟化温度が低すぎるため、フィラー量が少ないと、脱バインダ工程(700〜880℃の非酸化性雰囲中の熱処理)においてガラス粒子の焼結が進行してしまい、有機バインダ残渣がガラス中に取り込まれ、完全な脱バインダが困難であった。一方、フィラー量を50体積%以上と多くした場合、ガラス粒子の焼結が抑制され、脱バインダは容易になった。しかし、このようにフィラー量を多くすると、緻密化焼結し難く、1050℃の高温焼成でも、10時間以上の長時間を要した。
【0039】
軟化点より低い温度で脱バインダを行なえば、ガラス中へのカーボンの取り込みは起こらない。一方、銅(融点1083℃)との同時焼結を行なう必要があるため、1000℃付近で焼結するガラスを用いる必要がある。
【0040】
そこで、本発明では、軟化点が850℃〜1100℃のガラスを用いる。軟化温度が850℃以上であれば、脱バインダ時の加熱による焼結の進行はほとんど起こらず、軟化温度が1100℃よりも低ければ、1050℃以下の焼成で緻密化焼結することができるからである。
【0041】
なお、軟化点が800℃未満のガラスを用いても、添加するフィラー量を増やせば焼結による収縮カーブが緩やかとなり緻密化温度が高くなる。そこで、フィラー量を増やせば、緻密化温度を800℃より高くすることができるので、緻密化前に、800℃で脱バインダを行なうことができるように見える。しかし、個々のガラス粒子に着眼すると、脱バインダ温度がガラスの軟化点以上であるため、脱バインダ工程においてすでにガラス粒子が軟化し、内部にカーボンを閉じ込めてしまう。従って、ガラスの軟化点は、カーボン除去反応温度以上であることが好ましい。
【0042】
b.耐水性
水を主成分とする溶剤を用いて、グリーンシート作製用スラリーを得るためには、ボールミル混合時にガラスの成分が溶出しない、すなわち、耐水性の高いガラスを用いる必要がある。
【0043】
硼珪酸ガラス成分中の酸化ホウ素成分(B2O3)は、水に溶出しやすい。ボールミル混合時にこの成分が溶剤に溶出すると、ガラス成分中のB2O3成分が減少するだけでなく、グリーンシート成形後に、数十μm位の大きさのホウ酸結晶として、溶出したB2O3成分がグリーンシート表面に析出する。この析出したホウ酸結晶は配線幅が100μm以下の微細配線を形成する際に、断線や短絡の原因となる。同様に、グリーンシートを保管する際にも耐水性の悪いガラス材料を用いると、吸湿によってホウ酸結晶が析出する。また、硼珪酸ガラスの耐水性が悪いと、焼結体となってもB2O3が水に溶出しやすく、高湿度雰囲気下において表面にホウ酸結晶が析出し、基板の強度を劣化させる。以上の理由から、本発明で用いられるガラスは、耐水性が良い必要がある。
【0044】
耐水性の目安としては、ガラスを純水中に90℃で8時間浸漬したときの、ガラスの表面積当たりのB2O3の溶出量を用いることができる。この溶出量は、1.9mg/m2(上記パイレックスガラスの溶出量)以下が望ましく、1.5mg/m2以下がさらに望ましい。本発明の非晶質ガラスは、この耐水性の基準(1.9mg/m2以下)を満たしており、特にR2OがK2Oであるガラスは耐水性に優れている。
【0045】
c.クリストバライト結晶析出性
市販されている硼珪酸ガラスである上述のパイレックスガラスを、1000℃付近まで加熱すると、クリストバライト結晶が析出してくる。クリストバライト結晶は230℃付近での結晶相転移に伴う大きな体積変化を起こすため、クラックや基板強度低下原因となる。従って、クリストバライト結晶の析出しにくいガラスを用いることが好ましい。
【0046】
d.比誘電率および熱膨張係数
さらに、本発明の硼珪酸ガラスは、比誘電率が小さく、多層配線基板としての信号伝搬を速くする作用がある。また、本発明の硼珪酸ガラスは、熱膨張係数が小さく、添加するフィラーと組み合わせて熱膨張係数をシリコンと整合させることができる。、本発明のセラミック組成物は、上記熱処理によっても硼珪酸ガラスからクリストバライト結晶が析出せず、好ましい。なお、シリコンの熱膨張係数は3.0×10-6/℃であるから、セラミック焼結体の熱膨張係数は2.0〜4.0×10-6/℃であることが望ましい。
【0047】
e.本発明の非晶質ガラス
本発明の非晶質ガラスの組成は、上述した軟化温度、耐水性、熱膨張係数、クリストバライト結晶析出性、および比誘電率等の特性に優れるガラス材料という観点から、探索実験により求められたものである。
【0048】
本発明の非晶質ガラスの第一組成域は、図1に示すSiO2−B2O3−R2O系三角組成図において、重量%でSiO2が88、B2O3が12である組成を第1の組成、SiO2が82、B2O3が18である組成を第3の組成、SiO2が84、B2O3が10、R2Oが6である組成を第10の組成、SiO2が90、B2O3が5、R2Oが5である組成を第11の組成、SiO2が89、B2O3が10、R2Oが1である組成を第4の組成とした場合、第1の組成を示す点および第3の組成を示す点を結ぶ直線と、第3の組成を示す点および第10の組成を示す点を結ぶ直線と、第10の組成を示す点および第11の組成を示す点を結ぶ直線と、第11の組成を示す点および第4の組成を示す点を結ぶ直線と、第4の組成を示す点および第1の組成を示す点を結ぶ直線とで囲まれた範囲(線上の組成も含む)の示す組成域である。
【0049】
この組成域に含まれる組成のガラスは軟化温度が850〜1100℃であり、耐水性は実用レベルであり、熱膨張係数もフィラーの添加によりシリコンに整合させることができるものである。この範囲の非晶質ガラスを用いて調製したグリーンシートにおいては、脱バインダ工程(700〜880℃の非酸化性雰囲気中の熱処理)ではガラス粒子の焼結が進行し難く、上述したように熱分解の起こりにくい水溶性有機バインダを用いた場合でも、有機バインダ残渣がガラス中に取り込まれることなく脱バインダを容易に行うことができた。しかも、本発明のセラミック組成物により調製したグリーンシートは、緻密化焼結の工程において、1050℃以下の短時間(2時間)焼成でも、緻密化焼結することができる。
【0050】
ここで、SiO2およびB2O3はガラスの網目構造を形成し、SiO2成分量の増大は軟化温度を高め、耐水性を高める作用をもち、B2O3成分量の増大は軟化温度を低下し、耐水性を低める作用をもつ。R2Oは網目修飾成分として、軟化温度を低下し、一部の組成領域でB2O3の耐水性を高める作用をもつ。本発明の非晶質ガラスよりもSiO2が多い組成のものは、軟化温度が高くなり過ぎて1000℃付近での焼結が困難となり、また、B2O3が多い組成のものは、B2O3の溶出量が大きすぎるため耐水性の点で劣り、R2Oが多い組成のものは、熱膨張係数が高すぎるためLSIチップとの熱膨張係数差が大きくなるため、本発明の目的に適さない。
【0051】
第1の組成と第4の組成と第11の組成を結ぶ線よりSiO2の多い側の組成を有するガラスは、軟化温度が高すぎるため、本発明の目的を達成する上では好ましくない。また、第11の組成と第10の組成を結ぶ線よりR2Oの多い側の組成を有するガラスは、熱膨張係数が高すぎるため、本発明の目的を達成する上では好ましくない。第3の組成と第10の組成を結ぶ線よりSiO2の少ない組成はB2O3溶出量が大きすぎるため、本発明の目的を達成する上では好ましくない。
【0052】
本発明の非晶質ガラスの第二の組成域は、図1に示すSiO2−B2O3−R2O系三角組成図において、重量%でSiO2が89、B2O3が10、R2Oが1である組成を第4の組成、SiO2が87、B2O3が11.5、R2Oが1.5である組成を第5の組成、SiO2が84.7、B2O3が10.8、R2Oが4.5である組成を第9の組成、SiO2が84、B2O3が10、R2Oが6である組成を第10の組成、SiO2が90、B2O3が5、R2Oが5である組成を第11の組成とした場合、第4の組成を示す点および第5の組成を示す点を結ぶ直線と、第5の組成を示す点および第9の組成を示す点を結ぶ直線と、第9の組成を示す点および第10の組成を示す点を結ぶ直線と、第10の組成を示す点および第11の組成を示す点を結ぶ直線と、第11の組成を示す点および第4の組成を示す点を結ぶ直線とで囲まれた範囲(線上の組成も含む)の示す組成域である。
【0053】
この組成域に含まれる組成のガラスは、上述した第一の組成域に含まれるガラスの中で、特に耐水性が高い(すなわちB2O3溶出量が少ない)。この第2の組成域に含まれる組成のガラスや、そのガラスを用いて製作されたグリーンシートは保管や取扱い雰囲気の制限がほとんどなくなり、より好ましい。
【0054】
上述の組成範囲のなかでも、SiO287.0重量%−B2O39.0重量%−K2O4.0重量%(第8の組成)またはその近傍の組成のガラスは、軟化温度、耐熱性、耐水性に優れ、最も好ましい。
【0055】
本発明の非晶質ガラスの第三の組成域は、上記第二組成域に含まれる組成のガラスのR2O成分を、R2Oと、該R2Oのモル量の90%以下のモル量のAl2O3とに置き換えて得られる組成の範囲である。この組成のガラスは、Al2O3の存在により、熱処理によるガラスからのクリストバライト結晶の析出も抑制されるため、極めて好ましい。さらに、Al2O3の添加には、B2O3の溶出量を少なくするという効果もある。ただし、Al2O3の添加がガラスに含まれるR2Oのモル量の90%を超えると、ガラスの軟化温度が1100℃を超えてしまうため、好ましくない。ここでRは、Na、K等のアルカリ金属を示し、耐水性の点から、Kが最も好ましい。
【0056】
Al2O3を添加することにより、クリストバライト結晶の析出が抑制されるメカニズムは、つぎのようなものであると考えられる。
【0057】
SiO2−B2O3−R2O系ガラスの構造は、図7(a)に示すようにSi原子の酸素4配位体とB原子の酸素3配位体およびB原子の酸素4配位体の無秩序網目構造である。ここで、B原子の酸素4配位体は電荷補償のため、Rイオンを引き付けている。この3成分系にAl2O3が添加された場合、図7(b)に示すようにB原子の酸素4配位体はB原子の酸素3配位体になり、Rイオンを引き付けたAl原子の酸素4配位体が形成される。B2O3溶出はB原子の酸素3配位体の方が、B原子の酸素4配位体よりも起きやすい。Al2O3添加を添加すると、B2O3溶出量のわずかな増加が見られるが、これは、B原子の酸素4配位体がB原子の酸素3配位体に変わるためと考えられる。
【0058】
つぎに、Al2O3を添加しないガラスと、Al2O3を添加したガラスとを、それぞれ熱処理した場合について考える。上述のように、Al2O3を添加しないガラスでは、B原子は酸素4配位体となっている。図8(a)に示すように、B原子の酸素4配位体は、B−O結合力およびRイオンを引き付ける力が比較的小さいため、高温でそれらの結合が切断され、Siの非架橋酸素が形成されやすいと考えられる。このため、高温における粘度が低下し、クリストバライト結晶が析出しやすい。一方、Al2O3を添加したガラスでは、Al原子が酸素4配位体となっている。図8(b)に示すように、Al原子の酸素4配位体はAl−O結合力およびRイオンを引き付ける力が比較的大きいため、高温でもそれらの結合が切断されにくく、クリストバライト結晶が析出しにくいと考えられる。しかし、Al2O3の添加量が多過ぎると、ガラスの軟化温度が高くなり過ぎるという副作用を生じるため好ましくない。
【0059】
なお、第8の組成ではそのK2Oのモル量の80%以上のモル量のAl2O3を添加すれば、クリストバライト結晶の析出をほぼ完全に抑制できるが、Al2O3添加量をK2Oのモル量の50%以上とすれば、クリストバライト結晶析出量を1/5以下とすることができる。Al2O3の添加量をK2Oのモル量の80%としたとき、軟化温度は1020℃となり、Al2O3添加量をこれより多くすれば、軟化温度も1020℃より高くなある。軟化温度は、1000℃付近が最も好ましいため、Al2O3添加量は、K2Oのモル量の80%以下が特によいと考えられる。そこで、第8の組成に対するAl2O3の添加量は、K2Oのモル量の50%以上80%以下とすることが特に望ましく、70%モル量またはその付近とすることが最も好ましい。
【0060】
本発明の非晶質ガラスの第四の組成域は、上記第一〜第三の組成域のガラスに、ZnOを1〜4重量%添加して得られるガラスの組成の範囲である。この組成のガラスはB2O3溶出量が少なく、比誘電率が低いという特徴があり、好ましい。ZnOの添加量が1重量%より少ない場合には、添加の効果が得られず、ZnOの添加量が4重量%より多い場合には、熱処理によるガラスからの結晶析出が起こり易く好ましくない。
【0061】
以上に述べた組成のガラスは、例えば、無水ケイ酸(SiO2)、ホウ酸(H3BO3)、およびアルカリ金属の炭酸塩(R2CO3)と、必要に応じて、アルミナ(Al2O3)および/または酸化亜鉛(ZnO)を所定の組成比になるように秤量、続いてボールミル混合後この混合粉末をルツボに入れ、加熱炉にて混合粉末が十分溶融する温度で加熱した後急冷して非晶質ガラス塊を作製し、所定の粒径となるように粉砕することによって得られる。
【0062】
f.フィラー
ところで、セラミック配線基板としてのセラミック材料としては、硼珪酸ガラスを単独で使用せずに、機械的強度の向上、クリストバライト結晶析出を抑える、熱膨張係数のLSIチップとの整合、及び銅との同時焼結のための収縮整合を目的としてフィラーを添加した、ガラス/フィラー複合体とした材料が用いられる。
【0063】
このようなフィラーとしては、ムライト、アルミナ、コージェライト、石英を単独またはこれらを組み合わせた混合物が用いられ、フィラーを添加する量としては上記目的、比誘電率、及び焼結でのセラミック材料の緻密化・変形・寸法精度等を材料構成及びプロセスを考慮して調整される。
【0064】
本発明のガラスに添加するフィラーは、焼結後、ガラスマトリックス相中に分散する粒子として構成され、
(a)ガラスセラミック複合体の機械的強度を向上させる作用、
(b)ガラスセラミック複合体の熱膨張係数をシリコンと整合させる作用、
(c)硼珪酸ガラスからの熱処理によるクリストバライト結晶析出を抑える作用、
等の作用をもつ。上記したように、ガラスセラミック複合体としては、高強度、低比誘電率が好ましい。フィラーとしてのアルミナは、特に上記(a)、(c)の作用、ムライトおよびコージェライトは上記(a)、(b)、および(c)の作用、石英ガラスは特に低比誘電率化の作用を有する。本発明では、これらそれぞれの単独体、あるいは、これらから選ばれる複数種を組合せた混合物が、ガラスにフィラーとして添加される。
【0065】
つぎに、セラミック組成物に含まれるフィラーの量と、加圧焼成との関係について説明する。なお、フィラー量と、焼成時に印加した圧力と、焼結温度および相対密度(ボイド0%の時相対密度は100%)との関係を、図21に模式的に示す。
【0066】
本発明では、焼成時に加圧することが望ましい。フィラー添加量は、加圧焼成時の最高温度保持時に、ガラス材料が緻密化可能な範囲とする。焼成時に印加する圧力を大きく設定すれば、添加できるフィラー量は増える。しかし、フィラー量が増えると、緻密化した時のガラスとフィラーからなるセラミック中のボイドが多くなってしまう。セラミック体のボイドは5%以下であることが望ましく、このようにするためには、ガラスおよびフィラーの粒径にも依存するが、ガラス50〜100体積%に対してフィラーを50〜0体積%とすることが好ましい。フィラー添加量が50体積%を超えると、ガラス/銅配線基板を作製できる範囲内で(すなわち、基板を破壊しない範囲内で)圧力および温度を最高にしても、フィラーの周りを取り囲むためのガラスの量が不十分なため、ガラスセラミック中のボイドを5%以下とすることができない。なお、焼結を1050℃以下の温度で行なうためには、フィラーを、セラミック全体の40体積%以下にすることが望ましい。
【0067】
<バインダ材料>
グリーンシート用のバインダとしては、バインダ除去時間が短くてすむよう、熱分解後のバインダ残渣物である残留カーボン量が少ない、水系材料を用いることが望ましい。また、バインダ材料は、グリーンシートの機械的性質、すなわち、該グリーンシートに微小な貫通孔を多数明ける際の歪量を支配することから、高位置精度な孔あけを実現するためには、この歪量が小さくなるようなバインダ材料が良い。このような観点から、バインダには、熱分解が解重合型で、熱分解時のカーボン残渣量が少なく、貫通孔を明ける際の歪が小さい材料を用いることが望ましい。
【0068】
このようなバインダ材料として、水溶性高分子を重合用分散安定剤として用いた懸濁重合によって得られる重合体を用いることが好ましい。。
【0069】
詳しくは、
(A)下記一般式(化1)で表されるアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのうちの少なくとも一種:100重量部と、
【0070】
【化1】
Figure 0003690312
【0071】
(ただし、R1は、炭素数が1〜18個のアルキル基、炭素数が1〜18個の環状アルキル基または炭素数が5〜18個のアリール基):100重量部と、
(B)分散安定剤:1〜9.5重量部とを、
水または水と水溶性有機溶剤との混合液に溶解し、重合開始剤存在下で(A)成分を懸濁(共)重合させて得られるセラミック成形用有機バインダが好ましい。本発明で用いる有機バインダは、水溶性ではなく、水系分散型粒子であることから吸湿性が低いため、これを用いて得られるグリーンシートの機械的特性および寸法安定性が良い。
【0072】
なお、有機バインダはバインダ調製用溶剤に分散した状態で用いられるが、その状態の固形分濃度は、濃度が高いと粒径が大きくなり、濃度が低いとグリーンシート作製時の添加量の調節や乾燥等の作業性が低下することから、20〜50重量%が好ましく、30重量%程度がさらに好ましい。
【0073】
a.モノマ
(A)成分は、セラミック成形用有機バインダの主成分であり、メタクリル酸エステルは、熱分解性が良好なため特に好ましい。メタクリル酸エステルの中でも、特に、メタクリル酸n−ブチル(以下、n−BMAと略す)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル(以下、n−BAAと略す)等が良い。さらに、これらの中でも、熱分解性およびグリーンシート孔明け時の孔位置精度の点から、特にメタクリル酸n−ブチルが良好である。
【0074】
b.分散安定剤
また(B)成分は、(A)成分を重合開始剤の存在下で重合する際の、重合用分散安定剤として用いられる水溶性高分子であり、具体的には、ポリエチレンオキシド(以下、PEOと略す)、ポリビニル−2−ピロリドン、ポリビニル−2−ピロリドン共重合体、ポリ(2−オキサゾリン)等が使用される。これらのなかで、熱分解性の点からポリエチレンオキシドが特に好ましい。
【0075】
本発明では、水系分散型粒子のバインダを用いる。すなわち、セラミック粉末とのボールミル混合時には、バインダは粒子状であり、乾燥工程でこの粒子状のバインダを溶融させる。溶融したバインダは、個々のセラミック粒子を接着し、粒子状のバインダが占めていた部分が空間となる。したがって、セラミック成形用バインダとしてのバインダポリマの平均粒径としては、用いられるセラミック粒子の大きさと同等もしくはそれ以下の、5μm以下、好ましくは3μm以下が良い。
【0076】
このような粒子径を得るためには、粘度平均分子量が10〜100万の水溶性高分子(特にポリエチレンオキシド)を重合用分散安定剤として使用することが好ましく、粘度平均分子量が10〜50万であればさらに好ましい。また、この水溶性高分子(特にポリエチレンオキシド)の量は、(A)成分のモノマ100重量部に対して、1〜9.5重量部が良く、6〜8重量部がさらに好ましい。(A)成分のモノマ100重量部に対して水溶性高分子である(B)成分の量を1重量部未満とすると、(A)成分が分散せず、また、9.5重量部を超える場合には、熱分解性の点から好ましくない。
【0077】
c.重合開始剤
また、重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム(以下、APSと略す)等の過硫酸塩、過酸化物、アゾ化合物等を用いることができ、特に制限されないが、モノマ100重量部に対して0.5重量部以下とするこが望ましい。
【0078】
d.溶剤
バインダ調製用溶剤としては、水、または、水と一種以上の水溶性有機溶剤との混合液が用いられる。水溶性溶剤としては、例えば、下記一般式(化2)で表されるアルコール、および、下記一般式(化3)で表されるエチレングリコール誘導体のうちのいずれかを用いることができ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(以下、IPAと略す)等のアルコールや、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール誘導体等を用いることができる。これらの有機溶剤のうち、特にIPAが好ましい。
【0079】
【化2】
Figure 0003690312
【0080】
(ただし、R2は炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18の環状アルキル基)
【0081】
【化3】
Figure 0003690312
【0082】
(ただし、R3は、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18の環状アルキル基、または、炭素数5〜18のアリール基であり、R4は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の環状アルキル基、または、炭素数5〜6のアリール基であり、nは1〜20である)
また、これらの有機溶剤と水との混合比は、水を100〜50重量%、水溶性溶剤を0〜50重量%とすることが望ましく、水を95〜50重量%、水溶性溶剤を5〜50重量%とすることがさらに望ましい。なお、バインダ調製用溶剤量は、モノマ100重量部に対して100〜400重量部が好ましく、250重量部付近がさらに好ましい。
【0083】
e.可塑剤
グリーンシート成形用のバインダは、可塑剤を含むことが望ましい。可塑剤としては、バインダ用溶剤と相溶性が良く、水または水溶性有機溶剤と共沸せず、グリーンシート成形時の乾燥工程で揮発しにくいものが良い。そこで、可塑剤として、下記一般式(化4)により表される芳香族ジカルボン酸エステルのうちの少なくともいずれかを用いることが望ましい。
【0084】
【化4】
Figure 0003690312
【0085】
(ただし、R5は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18の環状アルキル基、または、炭素数5〜18のアリール基であり、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18の環状アルキル基、または、炭素数5〜18のアリール基である。また、R7は炭素数5〜18の2価の芳香族基であり、特にフェニレン基が好ましい。)
この可塑剤の具体例としては、ジイソデシルフタレート(以下、DIDPと略す)、ジブチルフタレート(以下、DBPと略す)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステルが挙げられ、これらのなかでもDIDPが好ましい。可塑剤の添加量は、モノマ100重量部に対して5〜15重量部とすることが好ましく、10重量部程度がさらに好ましい。
【0086】
f.バインダ調製方法
バインダは、例えば、以下の手順で調製することができる。まず、バインダ用溶剤に(B)成分1〜9.5重量部を溶解し、得られた溶液中に、0.15重量部程度の重合触媒を添加し、重合触媒の種類によるが、通常、40〜90℃に加熱しながら激しく撹拌しつつ、(A)成分100重量部および可塑剤を添加して、重合(または共重合)反応を行うことによって、バインダが得られる。
【0087】
なお、添加する(A)成分量は、重合反応を円滑にするため、溶液濃度が60重量%以下となる量とすることが望ましい。また、バインダがグリーンシートの機械的性質、すなわち、グリーンシートに微小な貫通孔を多数明ける際の歪量を決めることから、バインダ材料と同様に、可塑剤の量も、この歪量が小さくなるように定めることが、高位置精度な孔あけのために望ましい。
【0088】
<グリーンシート>
本発明の非晶質ガラスとフィラーとからなるセラミック粉末と、上述したバインダと、分散剤と、スラリー用溶剤とを、ボールミル混合することにより、スラリーが得られる。このスラリーをシート状に成形し、乾燥することにより、グリーンシートが得られる。
【0089】
a.スラリー用溶剤
なお、スラリー用溶剤としては、バインダ粒子の分散性の点からバインダ作製時と同様の溶剤、すなわち、水、または、水と水溶性有機溶剤との混合溶剤を用いることが望ましく、水とイソプロパノールとの混合溶剤を用いることが特に望ましい。ここで、水とイソプロパノールとの混合溶剤を用いた場合でも、グリーンシート成形時の乾燥工程において十分な空気を流すことで、容易に、空中の溶剤濃度を爆発限界以下とすることができる。
【0090】
b.バインダ量
バインダの量としては、脱バインダ性、グリーンシートの成形性、積層圧着性の点から、セラミック粉末100重量部に対して5〜25重量部が適当である。
【0091】
c.分散剤
また、分散剤は、セラミック粉末の分散のため、添加することが望ましく、例えば、ポリアクリル酸アンモニウム塩等を用いることができ、その添加量は、セラミック粉末100重量部に対して0.5重量部以下とすることが望ましく、0.1〜0.2重量部が特に好ましい。
【0092】
d.熱処理
先に述べたように、本発明のバインダは、粒子状態で混合されてセラミック粒子間を接着する。このとき、キャスト温度が低いと、十分な接着強度が得られない。そこで、グリーンシートの引張り強度、ヤング率等の機械的特性を向上させるために、乾燥時に、適宜熱処理を行っても良い。
【0093】
この熱処理の温度および時間は、バインダ粒子が溶融する条件とすることが望ましく、具体的には、80〜120℃、30〜90分程度とすることが望ましい。この加熱条件であれば、バインダ粒子は、溶融して、十分にセラミック粒子を相互に接着することができる。
【0094】
<配線形成>
本発明では、グリーンシートに高位置精度で孔あけできるため、グリーンシートを積み重ねる際のセラミック基板Z方向(厚さ方向)の接続が、高位置精度で行えることから、微小径孔での配線の接続が可能となる。さらに、本発明では、グリーンシートに高位置精度で孔あけできるため、多数のビア配線による、短いピッチでの接続が可能となるので、従来と比べ配線の高密度化ができる。また、同様に、本発明では、グリーンシートに高位置精度で従来よりも多数の孔をあけることができるため、これにあわせて配線幅を小さくすることで、XY方向(表面の縦横方向)の配線についても高密度化できる。
【0095】
ところで、配線の形成は一般的な配線形成方法を適用することができる。例えば、スクリーン印刷法により銅配線を形成する場合には、Cu、Cu合金、または、ガラスを添加したCu等の導体を含むCuペーストを、所望の配線パターンを形成したスクリーン版およびスクリーン印刷機で、グリーンシート表面に印刷して、配線パターンを形成する。この場合、配線形成の精度はスクリーンのパターン精度およびスクリーン印刷時のパターン精度で決まるが、この精度は上述のグリーンシートへの孔加工時の位置精度より高精度である。すなわち、配線の高密度化の限界はグリーンシートへの孔加工時の位置精度で概略決まり、基板サイズにもよるが、焼結前で0.15mmピッチ程度である。
【0096】
<焼成>
セラミック配線基板を焼成する際の高寸法精度化は、焼成時にセラミック配線基板の厚さ方向に圧力を加えることによって達成できる。すなわち、セラミック成形の焼成時に、厚さ方向に圧力を加えることによって、表面に摩擦力または拘束力を発生させる。この摩擦力または拘束力を最適に制御するることにより、平均焼成収縮率をほぼ0とし、同時に収縮率ばらつきもほぼ0に低減することができる。
【0097】
なお、この時、収縮抑制力は、加圧される基板と加圧する側との間に働く摩擦力によって生じているので、拘束されている表面から厚さ方向から離れるほど収縮抑制力は小さくなり、反対に収縮量は大きくなる。すなわち、加圧力を焼成時に基板がつぶれない程度の範囲内で、基板表面の焼成による収縮を抑えるために必要な拘束力となるように最適化することによって、側面形状は凹型となる。
【0098】
また、同様に、基板表面の焼成による収縮を抑えることができる範囲内の拘束力を加えるとともに、セラミック基板材料に発生する塑性変形量を適正範囲内に制御することによって、焼成後のセラミック配線基板の側面形状は凸型となる。
【0099】
なお、加圧力を適正範囲以上に大きくすると塑性変形によって基板が大きくつぶれて基板厚さが所定の寸法以下となると同時に、内部配線の変形とともに基板表面パターンにも伸びの寸法変化が起きる。
【0100】
本発明のガラス材料およびバインダを用いてグリーンシートを作製し、その表面に銅配線を形成して、加圧焼結した時の、平面方向(表面の縦横方向)および厚さ方向の寸法変化率を、図20に示す。加圧力の調整によって摩擦力を最適化すれば、基板表面パターン寸法変化率を、ある加圧力範囲でほぼ0とすることができる。この時の凹または凸型の側面変化量は、内部配線の変形を考慮すれば、焼成後の基板厚さの1/2以下であることが好ましい。
【0101】
ここで、加圧力および摩擦係数としては、材料構成および焼成条件によってそれぞれの適正範囲があるために特に限定されるものではないが、概ね加圧力としては100g/cm2以上、摩擦係数としては特に数値が限定されることはなく基板表面パターンの収縮を抑えるのに必要な拘束力が得られれば良い。
【0102】
成形体に圧力を印加するには、例えば、接触面に大きな摩擦力が得られ、かつ、セラミック成形体の焼成温度範囲で寸法安定性が高い板状の加圧部材2枚の間に、セラミック成形体を挾んで加圧する。なお、成形体を加圧部材に挾持しながら積層すれば、同時に2個以上の基板の焼結ができる。
【0103】
加圧部材の熱膨張係数がセラミック配線基板と同一であれば、表面パターンの収縮を完全に拘束する圧力を印加すると、収縮率は0となる。また、加圧部材の熱膨張係数がセラミック配線基板の熱膨張係数と異なっている場合には、焼成プロセスの冷却過程において、セラミック配線基板が塑性変形を起こさない温度と室温との間の温度範囲内における、両者の熱膨張率差に基づく寸法変化が起こる。すなわち、加圧部材の熱膨張係数がセラミック配線基板よりも大きい場合には、表面パターンが小さくなるような寸法変化が起こり、加圧部材の熱膨張係数がセラミック配線基板よりも小さい場合には、表面パターンが大きくなるような寸法変化が起こる。見方を変えれば、加圧部材に種々の熱膨張係数の材料を使用することで、セラミック配線基板の寸法の調整が可能であり、概ね−0.2%〜+0.8%の範囲での制御ができる。
【0104】
なお、印加する圧力は、焼成過程全体で一定にするよりも、温度に応じて最適な圧力に適正化することがより好ましい。セラミック配線基板の寸法変化を引き起こす主要因は、焼成の初期段階では、グリーンシートおよびCuペースト中のバインダ成分の溶融や熱分解除去によるものであり、中期段階では、セラミック粉末粒子の焼結収縮によるものであり、後期段階では、セラミック材料のガラス成分の軟化溶融にともなう液相成分による焼結収縮によるものである。これらの原因による焼結の収縮力は、互いに異なる場合が多いため、各段階において最適な加圧力に制御することが好ましい。
【0105】
つぎに、加圧焼成と脱バインダとの関係について述べる。グリーンシートに配線パターンを形成し、これらを積層し圧着し、得られた積層体を焼成してセラミック配線基板とする際には、グリーンシートおよび配線用導体ペーストに含まれるバインダを除去する必要がある。セラミック配線基板として、ここでは、ガラス/銅配線基板を例にとって詳しく説明する。
【0106】
銅は酸化されやすいが、窒素中では還元されるため、脱バインダは、窒素と水蒸気の混合ガス、または、窒素、水蒸気、水素の混合ガス等の非酸化性雰囲気または還元性雰囲気において行なわれる。バインダ残渣物のカーボンは、水蒸気中での熱力学的な反応によって除去される。その後の焼結工程は、例えば、窒素雰囲気でおこなう。
【0107】
バインダ除去時間を短縮するためには、上記のカーボンの除去反応速度が大きくなるように、雰囲気ガスが焼成する基板内に常に行き渡るようにすることが望ましい。したがって、圧力を加えるために基板に加圧部材の材料としては、通気性が高いものが好ましい。
【0108】
このような通気性が高く、かつ前述したように寸法が安定で加圧力以上の強度を持つもつ材料としては、例えば、多孔質セラミック板や耐熱セラミック繊維材を成形して得られる多孔質板などがあり、その気孔率が50%以上、より好ましくは70%以上のものを用いることが望ましい。気孔率が60%以上の通気性の十分な厚さの材料で加圧し、雰囲気ガスを十分に供給した場合には、基板側面と同様に上下面からも通気ができるので、無加圧すなわち通常の台板上に置いて焼成する場合とほとんど同様の時間での脱バインダできる。
【0109】
さらに、先に述べたように、カーボンの除去反応を短時間化するためには、できる限り高温度、好ましくは800℃以上の温度で、かつ、基板材料として用いるガラス内部にカーボンが閉じ込められてカーボンの除去が妨げられることがないように、ガラスの軟化点付近以下の温度で行うほうが良い。本発明では、軟化点が850〜1100℃の高軟化点ガラス材料を用いることから、カーボン除去反応を800℃以上、組成によっては850℃以上とすることができる。850℃とした場合には、800℃でのカーボン除去時間の約1/3の時間とすることができ、脱バインダ時間をさらに短時間化できる。
【0110】
また、この加圧焼成は、高寸法精度のセラミック配線基板を得ることができるだけでなく、セラミック材料と導体材料の焼成収縮率差を吸収できることから、一般的な無加圧焼成を行なう場合に必要な、セラミック材料と導体材料との焼成収縮率の厳密な整合を必要としない。また、加圧焼成によって焼成されたセラミック配線基板の表面は、基板を加圧部材表面に倣うため、加圧部材表面と同様の平坦さになる。これにより、基板表面の平坦性は、通常の無加圧焼成時と比較して大幅に改善される。例えば、加圧部材表面の平坦性を20μmとすると、この面に接して加圧された基板表面もほぼ20μmとなる。このことは、基板表面を研削することなく、基板表面に厳密な平坦性が要求される薄膜工程(基板表面に薄膜配線層を形成する工程)を行なうことができる。
【0111】
また、加圧焼成では、焼成時に寸法変化が起こらないため、各基板毎の収縮率を決める必要がないので、原寸でのスクリーン設計ができるとともに、基板表面に薄膜配線層を形成する場合にも、通常の無加圧焼成の場合と比較して寸法変化がほとんど無く、かつ、収縮のバラツキも大幅に小さく、寸法精度が良いため、整合が容易になり、さらに、より配線密度の高い微細なパターンとも整合が可能となる。また、一般的な無加圧焼結では平面方向で約20%の収縮があるが、加圧焼成ではほとんど収縮が無い。そこで、一般的な無加圧焼結の場合と比較して、より小さなワークサイズで、大きな基板を製造することができる。
【0112】
<薄膜形成>
つぎに、セラミック多層配線基板の表裏の少なくとも一方の面(以下、単に「基板表面」という)に、薄膜配線層を形成する方法について説明する。
【0113】
始めに、焼結後の基板表面の付着物を取り除いた後、表面を洗浄したのち、薄膜プロセスを実行する。なお、基板表面の厚膜配線パターンが必要無い、あるいは、厳密な平坦性が必要である、などの場合には、付着物を取り除いた後、洗浄する前に、必要に応じて、基板平坦化のためのラッピングを行い、表面をポリッシュする。
【0114】
薄膜プロセスによる薄膜配線層の形成は、例えば、つぎのようにして行なうことができる。
【0115】
まず、ポリイミド前駆体ワニスのスピン塗布により形成した塗膜を乾燥ベークした後、350〜400℃の温度で硬化させてポリイミド膜を形成する。続いて、この層間絶縁膜に所望のレジストパターンを形成した後、ヒドラジン−エチレンジアミン系の混合液やその他のアルカリ性混合液でエッチングすることによって所定のパターンの層間絶縁膜を形成する。この層間絶縁膜の形成は、感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて、フォトリソグラフィ法により形成することもできる。
【0116】
得られた層間絶縁膜表面に、薄膜配線を形成する。まず、層間絶縁膜表面の全面にスパッタリングにより、クロム/銅/クロム積層膜、または、チタン/銅/チタン積層膜を成膜をする。なお、各層間のコンタクトを確保する必要がある場合には、スパッタ成膜直前に、アルゴンガスによるスパッタエッチを行う。この積層膜の所望の配線パターンへの加工は、クロムの加工にはアルカリ性過マンガン酸カリウム水溶液またはアルカリ性フェリシアン化カリウム水溶液を主成分とするエッチャント、銅の加工にはリン酸/硝酸系の混合液エッチャント、チタンの加工にははアンモニア/過酸化水素系エッチャントを用いて行う。これにより、所望のパターンの薄膜配線が得られる。
【0117】
以上の層間絶縁膜形成工程および薄膜配線形成工程を、所望の回数繰り返すことにより、所定の層数の薄膜配線層が形成される。
【0118】
<電子回路装置の組立ておよび電子計算機の作製>
電子回路装置の組立ての一例として、電子計算機用のモジュールの組み立てについて用いて説明する。本発明における電子計算機用のモジュールの製造プロセスを、図22に示す。図22において、(a)〜(f)は、図2と同様に、セラミック多層配線基板の焼結体41の製造工程を示しており、(a)は、ボールミル工程を、(b)はグリーンシート形成工程を、(c)は孔あけ工程を、(d)は導体印刷工程を、(e)は積層圧着工程を、(f)は焼結工程を、それぞれ示している。また、図22の(g)は焼結体41の表面研磨工程を、(h)は表面に薄膜配線層71を形成した焼結体41である薄膜・厚膜複合多層配線基板71を、(i)は薄膜・厚膜複合多層配線基板17を備えるモジュール61を、(j)はモジュール61を備える命令プロセッサ185を、それぞれ示している。
【0119】
まず、片面または表裏両面に薄膜配線層71を形成したセラミック多層配線基板(ガラス/銅多層配線基板が望ましい)17に(図22(h))、入出力ピン12、半導体素子または半導体素子を封止したチップキャリア11、さらには冷却用フィン15、水冷ジャケット16を順次取付けて、モジュール61を作製する。作製されるモジュール61を図23に示す。
【0120】
なお、セラミック多層配線基板17表面の配線パターンに直接入出力ピン12等を接続せず、必要な組成の金属膜層をスッパタ成膜し、必要に応じてめっきをして、接続層を形成し、この接続層を介して入出力ピン59等を取り付けてもよい。
【0121】
例えば、これらの部品のうち、入出力ピン12は、基板表面に接続用パッドにニッケル/タングステン合金膜をスパッタで形成した後、所定量のろう材をヘッド部に固着させてある入出力ピンをカーボン製の位置決め治具を用い、金属層が酸化しない雰囲気でリフローすることによって、基板裏面にろう付けする。同様にして、融点の異なるはんだ材のハンダバンプを介して、チップキャリア11を、続いて、さらに融点の異なるはんだで水冷ジャケット16を、それぞれはんだ付けするようにする。
【0122】
このようにして作製したモジュール61を、ケーブルコネクタ18を介して、複数個多層プリント基板63に搭載し、水パイプ62を接続することで、命令プロセッサ185を作製する。作製される命令プロセッサ185を、図24に示す。また、この命令プロセッサ185を複数個使用すれば、大型電子計算機を作製することができる。
【0123】
【実施例】
〈実施例1〉
(1)ガラスの調製
SiO2−B2O3−R2O系ガラスが所望の組成となるように、原料である無水珪酸(SiO2)、硼酸(H3BO3)、および炭酸カリウム(K2CO3)を種々の組成比になるように秤量し、それらをボールミル混合し、混合粉末を得た。次に、混合粉末を白金坩堝、あるいは白金−ロジウム坩堝に入れ、その坩堝を電気炉中に入れ、坩堝内の混合粉末が溶融する温度(溶融温度)で1時間加熱し、その後坩堝を電気炉から取り出し、坩堝を水に浸漬してガラス化して硼珪酸ガラスのガラス塊を得た。坩堝から取り出したガラス塊は、その一部を熱膨張係数測定用試料とし、他の一部は粉砕してガラス粉末試料とした。調製した試料のうちの一部(第1〜11の組成の試料)について、それぞれの組成比と、その組成比で調製したガラスの溶融温度、B2O3溶出量、軟化温度、熱膨張係数、比誘電率、およびクリストバライト結晶析出性とを表1に示す。また、これら第1〜11の各組成は、図1において、これらの各組成を示す点を中心とする小円により図示されている。なお、図示された小円内の数字は、それぞれ組成の番号を示している。
【0124】
【表1】
Figure 0003690312
【0125】
(2)ガラス粉末の耐水性の評価
得られた硼珪酸ガラスの耐水性はつぎのようにして評価した。まず、ガラス粉末試料1gを150gの純水を入れた容積300mlのテフロン(デュポン社商品名)のビーカーに入れた後、ポリエチレンフィルムでふたをし、そのテフロンビーカーを90℃に保った恒温槽に8時間入れた。つぎに、テフロンビーカー内の試料水を取り出し、遠心分離して、その上澄み液を濾過し、得られた瀘液を分析液とした。この分析液中に溶出したB原子を、ICP(高周波誘導結合プラズマ:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析により検出し、その量を求めた。さらに、BET(ブルナウアー−エメット−テラー:Brunauer-Emmett-Teller)法によりガラスの比表面積を求め、B原子の検出値とガラスの比表面積とから、ガラス粉末の単位表面積当りのB2O3溶出量を算出した。結果を図3に示す。また、第1〜11の組成のガラスについては、求めたB2O3溶出量を表1にも示した。なお、図3には表1に示したもの以外の組成のガラスについての実験結果も含まれている。
【0126】
図3において、線aはB2O3溶出量が20mg/m2の等溶出量曲線、線bはB2O3溶出量が10mg/m2の等溶出量曲線、線cはB2O3溶出量が6mg/m2の等溶出量曲線、線dはB2O3溶出量が4mg/m2の等溶出量曲線、線eはB2O3溶出量が2mg/m2の等溶出量曲線、線fはB2O3溶出量が0.7mg/m2の等溶出量曲線、線gはB2O3溶出量が0.5mg/m2の等溶出量曲線を示す。図3に示すように、ガラス成分としてのK2Oが約3wt%以下のガラス組成物では、K2O成分量が増大するに従いB2O3溶出量が減少し、K2Oが約3wt%を超えるガラス組成物では、B2O3成分量が増大するに従いB2O3溶出量が減少する。
【0127】
(3)グリーンシートの耐水性の評価
種々の組成のSiO2−B2O3−K2O系ガラスの粉末試料を用いて、それぞれグリーンシートを作製し、室温の55〜92%相対湿度雰囲気中に放置し、硼酸結晶の析出状況を調べた。
【0128】
B2O3溶出量が20mg/m2のガラス組成物(表1の第3の組成、図3ではa1として図示)を用いた場合、55%相対湿度下における1か月の放置では、問題となる硼酸結晶の析出は見られないが、75%相対湿度以上における1週間の放置で問題となる硼酸結晶の析出が見られた。
【0129】
一方、B2O3溶出量が2mg/m2のガラス組成物(表1の第4の組成(図3ではe1として図示)、第5の組成(図3ではe2として図示)、第9の組成(図3ではe3として図示)、第10の組成(図3ではe4として図示)、および、図3でe5として図示される組成の5種類の組成のガラス)を用いた場合、75%〜92%相対湿度の雰囲気下における2か月の放置でも、問題となる硼酸結晶の析出は見られなかった。
【0130】
したがって、B2O3溶出量が20mg/m2以下のガラス組成物を用いた場合には、保管や取扱いの際の雰囲気の制限が緩くなり、特にB2O3溶出量が2mg/m2以下のガラス組成物を用いた場合には、保管や取扱いの際の雰囲気に制限がほとんどなくなり、好ましい。しかし、B2O3溶出量が20mg/m2のガラス組成物であっても、グリーンシートの保管や取扱いの際の雰囲気に制限があるが、実用に供することはでき、本発明に用いることはでき、他の特性が好ましいものであれば、本発明に用いることはできる。
【0131】
(4)熱膨張係数の評価
作製した硼珪酸ガラス試料について、ガラス塊を直径約4mm、長さ約15mmに加工し、レーザー干渉式熱膨張計で0℃から200℃の温度範囲における熱膨張係数を求めた。求められた第1〜11の組成の熱膨張係数を表1に示す。第1〜11の組成のガラスの熱膨張係数は、いずれも4.0×10-6/℃以下と低く、フィラーを添加することにより、容易に熱膨張係数をシリコンのそれに整合させることができる。
【0132】
(5)軟化温度の評価
ガラス粉末試料について、通常の示差熱分析により軟化温度を測定した。第1〜11の組成の測定結果を、表1に示す。軟化温度は850〜1100℃であることが好ましい。第1〜11の組成のガラスの軟化温度は、いずれもこの範囲に含まれており、表1に示した結果から、これらの組成は本発明に適していることがわかる。
【0133】
(6)クリストバライト結晶の析出の評価
まず、ガラス粉末試料1gを通常のプレス法で直径15mmの円板状に成形し、それを電気炉で800℃に50時間保持する熱処理を行なって焼結体を得た。熱処理条件は多層基板製造条件を想定し、ガラスからの結晶析出として厳しくなる条件とした。得られた焼結体について、X線回折強度によりクリストバライト結晶量を測定した。第1〜11の組成のガラスについての測定結果を表1に示す。いずれの組成についても、析出したクリストバライト結晶の量は、実用に供することのできる範囲内であったが、K2Oの量が多い第6〜11の組成では、クリストバライト結晶の析出がかなり認められた。
【0134】
(7)比誘電率の評価
ガラス粉末試料約10gを、通常のプレス法で直径47mmの円板状に成形し、それを電気炉で約800℃に2時間保持する熱処理を行なって、焼結体を得た。得られた焼結体を厚さ約0.5mmに加工し、さらにその両面に電極としてCr/Cuの膜をスパッタ成膜し、LCR(inductance capacitance resistance)メーター(測定周波数:1MHz、入力信号レベル:1Vrms)により電気容量を測定して、比誘電率を求めた。第1〜11の組成のガラスについての測定結果を表1に示す。第1〜11の組成のガラスの比誘電率は、いずれも5.0以下と低く、好ましい。
【0135】
(8)評価のまとめ
以上の結果をまとめると、SiO2−B2O3−R2O系三角組成図において、第1の組成を示す点と第3の組成を示す点と第10の組成を示す点と第11の組成を示す点と第4の組成を示す点と第1の組成を示す点とをこの順で結ぶ線により囲まれる範囲(線上の組成も含む)に含まれる組成のガラスは、軟化温度が850〜1100℃であり、耐水性は実用レベルであり、熱膨張係数も4.0×10-6/℃以下であってフィラーの添加によりシリコンに整合させることができるものであった。また、クリストバライト結晶析出性および比誘電率も実用に耐えるものである。
【0136】
一方、第4の組成を示す点と第5の組成を示す点と第9の組成を示す点と第10の組成を示す点と第11の組成を示す点と第4の組成を示す点とをこの順で結ぶ線により囲まれる範囲(線上の組成も含む)に含まれる組成のガラスは、B2O3溶出量が2mg/m2以下と特に少ないため、保管や取扱い雰囲気の制限がほとんどなく、特に好ましい。
【0137】
<実施例2>
つぎに、炭酸カリウム(K2CO3)の代わりに炭酸ナトリウム(Na2CO3)を用い、実施例1と同様にして、各種の組成比を有するSiO2−B2O3−Na2O系ガラスを調製した。得られたガラス試料について、実施例1と同様にして各種特性を評価したところ、実施例1のK2O系ガラスと同様に、本発明の目的に適した溶融温度、軟化温度、熱膨張係数、比誘電率を備えていた。ただし、耐水性およびクリストバライト結晶析出性についての測定結果から、Na2O系ガラスにはつぎのような特徴があることがわかった。
【0138】
図19にSiO2−B2O3−Na2O系ガラスのB2O3溶出特性を示す。図19において、線aはB2O3溶出量が20mg/m2の等溶出量曲線、線bはB2O3溶出量が10mg/m2の等溶出量曲線、線cはB2O3溶出量が6mg/m2の等溶出量曲線、線dはB2O3溶出量が4mg/m2の等溶出量曲線、線eはB2O3溶出量が2mg/m2の等溶出量曲線を示す。
【0139】
SiO2−B2O3−K2O系ガラスのB2O3等溶出曲線(図3)では、各等溶出曲線がほぼ平行に並んでいるのに対して、SiO2−B2O3−Na2O系ガラスのB2O3等溶出曲線(図19)は乱れている。これは、Na2O系ガラスでは、組成の異なる2種のガラス相に別れる傾向、すなわち、分相する傾向が大きいためと考えられる。また、Na2O系ガラスは、実用性が損なわれるほどではないが、熱処理によるクリストバライト結晶の析出量が多く、K2O系ガラスの約2倍であった。従って、Na2O系およびK2O系は、いずれも本発明に用いることができるが、分相する傾向およびクリストバライト結晶の析出の少ないK2O系ガラスの方が、より好ましいと考えられる。
【0140】
<実施例3>
次に、SiO2、B2O3、R2Oに加えて、さらにAl2O3を含む場合のガラスについて検討した。本実施例では、SiO2−B2O3−R2O系三角組成図において、第1の組成を示す点と第3の組成を示す点と第10の組成を示す点と第11の組成を示す点と第4の組成を示す点と第1の組成を示す点とをこの順で結ぶ線により囲まれる範囲(線上の組成も含む)に含まれる組成の例として、SiO286.6wt%、B2O39.3wt%、K2O4.1wt%の組成(ほぼ第8の組成)になるように調製された、無水珪酸、硼酸、炭酸カリウムの混合粉末を用いた。この混合粉末に、さらにアルミナ(Al2O3)粉末を表2に示す組成になるように添加して、ボールミル混合し、表2に示す第12〜16の組成の混合粉末を得た。この混合粉末を用いて、実施例1と同様にしてガラスを作成し、その特性を評価した。それぞれの組成におけるAl2O3およびR2O(本実施例ではK2O)の比率(モル比)と、溶融温度、熱膨張係数、および比誘電率についての測定結果とを表2に示す。表2に示した測定結果からわかるように、Al2O3の添加量を増やしても、熱膨張係数および比誘電率はほとんど変化せず、好ましい値の範囲に含まれている。
【0141】
【表2】
Figure 0003690312
【0142】
つぎに、B2O3溶出量に対するAl2O3の添加の影響について検討する。Al2O3を添加していない第8の組成のガラスと、上記第12〜16の組成のガラスとのB2O3溶出量を図4に示す。図4では、Al2O3の添加量はガラス成分中のK2O量とのモル比で規格化してある。また、小円内の数字は、その小円の示すガラスの組成の番号を示している。図4より、Al2O3の添加量を増加させるとB2O3溶出量も増加することがわかる。しかし、K2Oモル量の90%のAl2O3を添加しても、B2O3溶出量は1.6mg/m2と少なく、Al2O3の添加によるB2O3溶出量の増加は問題とならないと考えられる。
【0143】
さらに、軟化温度に対するAl2O3の添加の影響について検討する。第8、12〜16の組成のガラスの軟化温度を図5に示す。図5においても、図4と同様、Al2O3の添加量はガラス成分中のK2O量とのモル比で規格化してある。また、小円内の数字は、その小円の示すガラスの組成の番号を示している。図5から、Al2O3の添加量がK2Oモル量の90%を超えと、該組成のガラスの軟化温度は1100℃を超えてしまうことがわかる。従って、このような多量のAl2O3は好ましくない。
【0144】
最後に、クリストバライト結晶の析出性に及ぼすAl2O3の添加の影響について検討する。第8、12〜16の組成のガラスにおけるクリストバライト析出量(クリストバライト結晶の回折強度により示される)を図6に示す。図6においても、図4と同様、Al2O3の添加量はガラス成分中のK2O量とのモル比で規格化してある。また、小円内の数字は、その小円の示すガラスの組成の番号を示している。図6より、Al2O3の添加量が増加すると、クリストバライト結晶X線回折強度(すなわち、析出したクリストバライト結晶の量)は減少することがわかる。Al2O3の添加量がK2Oモル量の80%以上の場合、熱処理によってもクリストバライト結晶が析出しない。
【0145】
クリストバライト結晶は前述のように約230℃で非常に大きな体積変化を伴う結晶相の転移を生じるので、基板の割れの原因となり、その析出は好ましくない。しかし、焼成時に予想されるガラスとフィラーとの反応において、フィラー材料に硼珪酸ガラスのクリストバライト結晶を抑止する効果があれば、ガラス単体ではクリストバライト結晶が析出する条件であっても、析出しないことになる。従って、ガラスとフィラーとの複合体を用いて基板を作製する場合には、ガラス単体ではクリストバライト結晶が析出する組成のガラスであっても、フィラーとの複合体組成でクリストバライト結晶が析出しなければ、本発明に適用する上では問題無いと言える。従って、第8の組成や第12の組成のガラスであっても、本発明に用いることができる。ただし、ガラス単独でも熱処理によるクリストバライト結晶の析出が抑制されていれば、フィラー材料の選択の幅が広がるとともに、製造プロセスの安定化を図ることができるという長所がある。
【0146】
以上の実験結果から、R2Oに対してモル比で90%以下のAl2O3を添加してガラスを調製することが望ましいことがわかる。また、R2Oに対してモル比で50%以上のAl2O3を添加すれば、クリストバライト結晶の析出をかなり抑制することができ、80%以上では、析出を完全に抑制することができるため非常に好ましいことがわかる。
【0147】
<実施例4>
次に、SiO2、B2O3、R2O、Al2O3に加えて、さらにZnOを添加した場合(SiO2−B2O3−R2O−Al2O3−ZnO系ガラス)について検討した。まず、表3に示す組成になるように秤量した無水珪酸、硼酸、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アルミナ、および酸化亜鉛(ZnO)の粉末を、ボールミル混合し、表3に示す第17〜23の組成の混合粉末を得た。この混合粉末を用いて、実施例1と同様にしてガラスを作成し、その特性を評価した。それぞれの組成における溶融温度、B2O3溶出量、軟化温度、熱膨張係数、比誘電率、およびクリストバライト結晶析出性についての測定結果を表3に示す。
【0148】
【表3】
Figure 0003690312
【0149】
表3に示したように、第17〜23の組成のガラスは、いずれも、B2O3溶出量、熱膨張係数および比誘電率は低い値であり、好ましい。また、軟化温度も900〜1060℃であり、好ましい。さらに、クリストバライト結晶の析出も認められないか、認められても少量であり、好ましい。
【0150】
つぎに、第2の組成(組成比は表1に示した)の原料混合粉末に、種々の量のZnO粉末を添加してガラスを調製し、このガラスから溶出するB2O3量を実施例1と同様にして測定した。ZnOの添加量とB2O3溶出量との関係を図9に示す。図9より、ZnOを添加することにより、B2O3溶出量を劇的に減少させることができることがわかる。従って、本実施例から、ガラスを調製する際には、ZnOを添加することが好ましいことがわかる。また、表3に示すように、SiO2−B2O3−Na2O−K2O−Al2O3−ZnO系ガラスはB2O3溶出量が少なく、比誘電率も低いという特徴がある。なお、ZnOの添加量が1重量%より少ない場合には、添加の効果が得られず、ZnOの添加量が4重量%より多い場合には、熱処理によるガラスからの結晶析出が起こり易いという問題がある。従って、本実施例から、ZnOの添加量は1重量%以上4重量%以下であることが望ましいことがわかる。
【0151】
〈実施例5〜21、比較例1〉
(1)焼結体の調製
つぎに、ガラス組成物にフィラーを混合した場合の効果について検討した。まず、実施例5〜12および比較例1では第14の組成(表2に示した)のガラスの粉末を、実施例13〜15では第9の組成(表1に示した)のガラスの粉末を、実施例16では第19の組成(表3に示した)のガラスの粉末を、実施例17〜20では第23の組成(表3に示した)のガラスの粉末を、実施例21では第1の組成(表1に示した)のガラスの粉末を、それぞれ用意した。このガラス粉末に、フィラー粉末を種々の割合で混合し、表4に示す18種類のセラミック複合物を得た。ガラス粉末の平均粒径(直径)は約4μm、フィラーの平均粒径(直径)は約3μmとした。なお、フィラーとして、実施例1〜11、13〜15、17〜18および比較例1ではムライト(3Al2O3・2SiO2)を用い、実施例12ではムライトおよびアルミナ(Al2O3)を用い、実施例16ではアルミナおよびコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を用い、実施例19および21ではアルミナを用い、実施例20ではアルミナおよび石英ガラス(SiO2ガラス)を用いた。
【0152】
得られたセラミック複合物100重量部と、変性アクリル樹脂を主成分とする水溶性の有機バインダ約14重量部と、溶剤としての水約75重量部と、アクリル酸アンモニウム塩系分散剤0.3重量部とをボールミルで混合し、スラリーを作製した。ここで、バインダ材料には、孔あけ位置精度が良く、環境の安全衛生上好ましい水溶性有機バインダとして、ヒタロイド2713(商品名:日立化成工業(株)製)を用いた。
【0153】
【表4】
Figure 0003690312
【0154】
次に、得られたスラリーを用い、ドクタブレード法により厚さ0.2mm、幅450mmのグリーンシートを作製した。グリーンシートは150mm角あるいは50mm角の正方形に切断した。150mm角のグリーンシートにはポンチで直径0.1mmの孔(スルーホール)を0.4mmピッチであけた。その孔に、銅ペーストを印刷法で埋め込みビアホールとし、さらにはグリーンシート表面にも銅ペーストを印刷して0.08mm幅の配線パターンを通常の方法で形成したものを、4〜50層積層し、130℃、20MPaの圧力で10分間プレスして、グリーンシート積層体を得た。また、50mm角のグリーンシートは、強度や比誘電率、残留カーボン量を測定するための試料として、孔あけや導体印刷をせずに、4〜50層積層し、130℃、20MPaの圧力で10分間プレスして、グリーンシート積層体を得た。
【0155】
得られたグリーンシート積層体を雰囲気制御可能な電気炉に入れ、水蒸気−窒素−水素ガス雰囲気のもとで、炉内の温度を室温から700〜880℃に100℃/時間の昇温速度で上げ、その温度で10〜50時間保持して、残留カーボンが200ppm以下になるまで脱バインダ焼成を行った。その後、炉内の温度を、再び100℃/時間の昇温速度で表4に示す焼結温度に上げ、その温度で2時間保持して緻密化焼結を行って、セラミック焼結体を得た。
【0156】
得られたセラミック焼結体(50mm角グリーンシート積層体の焼結体)の熱膨張係数と比誘電率とを、実施例1と同様の方法により測定した。さらに、この焼結体の曲げ強度を、JIS規格(R1601)に従い、長さが38mm、幅が4mm、厚さが3mmになるように加工し、スパン30mmの3点曲げ試験により測定した。以上の測定結果を表4に示す。
【0157】
実施例5〜21および比較例1のセラミック焼結体の熱膨張係数は、いずれも2.0〜3.6×10-6/℃以下と、シリコンの熱膨張係数(3.0×10-6/℃)に近い値であった。また、実施例5〜21および比較例1のセラミック焼結体の曲げ強度は、いずれも150MPa以上であり、実用に供するのに十分な強度が得られた。さらに、焼結強度は、実施例5〜21では、いずれも1050℃以下であった。しかし、比較例1では、焼結温度が1100℃に達してしまい、望ましくない結果となった。これは、フィラー量が多すぎるため焼結しにくくなってしまったものと考えられる。従って、フィラーの量は、40%より多くないことが望ましい。
【0158】
また、焼結体の中央部を削り出し、この焼結体中央部に含まれるカーボン量を定量することにより、残留カーボン量を測定したところ、残留カーボン量は、実施例5〜21および比較例1のいずれの場合も200ppm以下であり、好ましい結果が得られた。さらに、150mm角グリーンシート積層体の焼結体の銅導体の抵抗を、四端子法により測定したところ、実施例5〜21および比較例1のいずれの場合も、銅導体の比抵抗は3μΩ・cmと十分小さく、好ましい値であった。
【0159】
(2)脱バインダ温度の検討
つぎに、脱バインダのための熱処理温度について検討する。実施例9のグリーンシートを用い、種々の温度に保持して脱バインダを行って、セラミック焼結体中の残留カーボン量が200ppm以下となるまでに要した時間(脱バインダ時間)を測定した。結果を図10に示す。図10からわかるように、熱処理温度が高い程、その温度における保持時間が短くなり、好ましいことがわかる。
【0160】
(3)フィラー量の検討
まず、脱バインダに必要なフィラー量について検討する。種々の組成のガラスと種々の量のフィラー(ムライト(3Al2O3・2SiO2))とを用いて調製されたグリーンシートについて、800℃または850℃で脱バインダを行い、セラミック焼結体中の残留カーボン量を200ppm以下にすることのできたグリーンシートの、ガラスの軟化温度と、フィラー量とを求めた。その結果を図11に示す。
【0161】
図11からわかるように、ガラスの軟化温度が低くなるに従い、脱バインダに必要なフィラー量が多くなる。また、脱バインダのための熱処理温度が高い程、必要なフィラー量が多くなる。これは、脱バインダが完了するためには、脱バインダのための熱処理の間、ガラス粒子の焼結が進まない必要があるからである。従って、ガラスの軟化温度が低くなる程、あるいは、脱バインダの温度が高い程、焼結を阻害するフィラーが必要となる。
【0162】
つぎに、緻密化焼結に必要なフィラー量と焼結温度とについて検討する。第1の組成(軟化温度1100℃)、第2の組成(軟化温度1000℃)、第5の組成(軟化温度950℃)、第10の組成(軟化温度850℃)の4種類のガラスの粉末に、それぞれ種々の量のフィラー(ムライト)を添加してグリーンシートを調製し、これを脱バインダ処理し、さらに焼結を行い、焼結体相対密度を98%以上にすることのできた焼結温度を求めた。求められた焼結温度とフィラー量との関係を、用いたガラスの軟化温度ごとに図12に示す。図12から、フィラー量が多くなる程、または、ガラス軟化温度が高くなる程、緻密化焼結に要する熱処理温度(焼結温度)が高くなることがわかる。
【0163】
なお、このようなフィラー量と焼結温度との関係は、図13に示す焼結収縮カーブから考察することができる。ここで焼結収縮カーブは、熱処理中の形状、寸法を観察できるように石英ガラス反応管にグリーンシート積層体をいれて、100℃/分で昇温しながら、各温度における形状を写真撮影し、寸法を計測して相対密度を計算することにより求めた。図13において、曲線131は第14の組成のガラス(フィラーなし)を用いて調製したグリーンシートの焼結曲線、曲線132〜138は、それぞれ、実施例5〜11のグリーンシートの焼結曲線を示している。
【0164】
曲線131から、フィラーを添加していないグリーンシートは、800℃付近で急激に焼結が進み緻密化することがわかる。一方、曲線132〜138から、第14の組成のガラスにフィラーが10〜40体積%添加された実施例5〜11のグリーンシートでは、フィラー量が増大するに従い、相対密度の変化がなだらかになっており、焼結が起こりにくくなっていることがわかる。なお、図13に示す焼結収縮カーブは、各温度における保持時間を0時間として求めたものであり、保持時間を長くすることにより、さらに緻密化が進行するものと考えられる。
【0165】
1050℃以下の焼結温度で短時間に焼結するためには、フィラー量を少なくし、ガラス軟化温度の低いガラスを用いる必要がある。一方、上述のように、フィラー量が少なすぎると、あるいは、ガラス軟化温度が低すぎると、脱バインダが完了しない可能性がある。また、脱バインダを行うことのできるフィラーおよび軟化温度であっても、焼結温度が高くなり過ぎてしまい、好ましくない場合もある。例えば、図11からわかるように、ガラス軟化温度が820℃のガラスを用い、フィラー量を50体積%とした場合は、800℃で脱バインダを行うことができるが、この場合は、図12から推測されるように、焼結温度は1050℃以上となってしまい、好ましくない。従って、第14の組成のガラスを用いる場合、1050℃以下で緻密化焼結するフィラー量の上限は40体積%と考えることができる。なお、その他の組成のガラスの焼結収縮カーブは、そのガラスの軟化温度に応じて、図13において、第14の組成のガラスの焼結収縮カーブ(曲線131)を横軸方向に、ほぼ平行移動すれば得られる。
【0166】
つぎに、焼結体の曲げ強度とフィラー量との関係について検討する。実施例5〜11により得られた焼結体に加え、フィラーを添加せずに第14の組成のガラスから調製したグリーンシートを脱バインダしたのち焼結して得られた焼結体と、第14の組成のガラスにフィラーとして5vol%のムライトを添加して調製したグリーンシートを脱バインダしたのち焼結して得られた焼結体とを用意し、これらの焼結体の曲げ強度を、JIS規格(R1601)に従って、長さが38mm、幅が4mm、厚さが3mmになるように加工し、スパン30mmの3点曲げ試験により測定した。得られた焼結体の曲げ強度とフィラー量との関係を図14に示す。
【0167】
図14から、フィラー量が5体積%から40体積%の範囲で、実用レベルの強度(この場合150MPa以上の曲げ強度)が得られ、好ましいことがわかる。なお、曲げ強度は、200MPa以上であることが、さらに好ましい。
【0168】
〈実施例22〉
実施例5と同様の方法により図15に示すような多層配線基板(層数:40)を作製した。本実施例により作製した多層配線基板17は、銅を導体とするビアホール53および配線52とガラスセラミック焼結体158とからなる。
【0169】
つぎに、図16に示すようにLSI(大規模集積回路)11およびI/O(入出力)ピン12を接続ろう材13、14により取り付けた後、図17に示すように、マイクロフィン15、冷却ジャケット16、およびコネクタ18を取付け、電子計算機用モジュールである命令プロセッサ185を作製した。
【0170】
さらに、この命令プロセッサ185を用いて、図18に示すように、主記憶装置181、拡張記憶装置182、システム制御装置183、入出力プロセッサ184、および命令プロセッサ185を備える電子計算機を製作したところ、従来の、ムライトを基板材料としタングステンを導体材料とする多層配線基板を用いて作製された命令プロセッサを備える電子計算機に比べて、約2倍の高速演算ができた。
【0171】
本実施例で作成した配線基板は、特に高速、高密度が要求される電子計算機など、広く電子回路装置に適用できる。
【0172】
<実施例23>
本実施例23では、有機バインダとして、水系分散型粒子を用い、ガラス/銅多層配線基板を作製した。その製造プロセスを、図22を用いて説明する。
【0173】
(1)有機バインダの合成
精製水とイソプロパノールとを混合して、バインダ調製用溶剤(精製水:70重量%、IPA:30重量%)を調製した。分散剤であるポリエチレンオキシド7重量部を、このバインダ調製用溶剤250重量部に溶解し、得られた溶液に、重合開始剤として、0.15重量部の過硫酸アンモニウムを添加し、40〜90℃に加熱しながら激しく撹拌しつつ、メタクリル酸n−ブチル100重量部および可塑剤としてフタル酸ジイソデシル10.5重量部を添加して、さらに6〜8時間撹拌し、平均粒径:0.8〜2.5μm、平均重量分子量:50〜65万の重合体である有機バインダを得た。
【0174】
(2)スラリーの調製
つぎに、第14の組成(表2に示した)のガラスの粉末(平均粒径が約4μm)を用意し、このガラス粉末70体積%と、フィラーとして平均粒径が約3μmのムライト粉末30体積%とをあらかじめ混合し、セラミック複合物を得た。
【0175】
このセラミック複合物100重量部と、分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム塩)0.13重量部と、スラリー調製用溶剤(精製水80重量%とイソプロパノール20重量%との混合溶液)45重量部とを、アルミナボールおよびアルミナ内張りボールミル1(図22(a))で予備混合した後、(1)で合成した有機バインダ(バインダ調製用溶剤に分散したままのもの)を、バインダ固形分換算で17重量部加え、さらにボールミル混合を続け、ガラス粉末と、フィラー粉末と、バインダ粒子とが均一に混合したスラリーを作製した。
【0176】
(3)グリーンシートの作製
続いて、このスラリーを撹拌しながら減圧し、スラリー中の気泡を取り除くとともに、溶媒を蒸発させ、粘度を2000〜3000cpsに調節して、ドクターブレイド型キャスティング装置2(図22(b))を用い、キャリアフィルム上に塗布して、厚さ0.2mmのグリーンシート4を成形した後、120℃で約1時間乾燥させた。
【0177】
(4)セラミック多層配線基板の作製
このようにして作製したグリーンシート4の外形を切断して所定寸法とした後、金属製の支持枠に固定した。続いて、複数の超硬製パンチピン5が独立駆動可能なNC(numerically control)制御された孔明け装置を用いて、支持枠に固定したグリーンシートに直径50〜70μmの貫通孔51を0.3mmピッチであけた(図22(c))。続いて、平均粒径4μmのCu粉末とビヒクルを50重量部づつ混合したCuペーストを用い、スクリーン印刷法にて、グリーンシートの貫通孔にペーストを充填してビアホール53を形成するとともに、グリーンシート表面に所定の配線パターン52を形成した(図22(d))。
【0178】
次に、この配線パターン52を形成したグリーンシート4を、接続する貫通孔部分の位置ずれが小さくなるように位置合わせして50枚積み重ね(図22(e)))、温度:130℃、圧力:150kg/cm2で圧着し一体化した後、外形を所定寸法に切断した。得られた積層体41の寸法は約180mm角、厚さは約10mmであった。
【0179】
続いて、焼成プロセスについて述べる。上記積層体41の表裏に、アルミナファイバを主成分とする多孔質板64(気孔率約70%、平坦度30μm)をそれぞれ配置し、加圧機構を備える雰囲気制御可能な電気炉8(図22(f)))内に置いて積層体41を加圧した。続いて、窒素雰囲気にてあらかじめ設定した脱バインダに最適な速度で昇温を開始するとともに、炉8内が結露しなくなる温度に達した時点で、炉8内雰囲気を窒素と水蒸気との混合雰囲気(水蒸気分圧0.3〜0.5atm)とし、850℃で10〜20時間保持しながら脱バインダを行った。
【0180】
この時の積層体41へ印加する圧力は、約1〜3kg/cm2とした。この圧力は、脱バインダプロセスにて平面方向の収縮をほぼ0にできる範囲内の圧力のうち、積層体41の開気孔率を確保して脱バインダを阻害しないよう、比較的低い圧力を選択したものである。
【0181】
続いて、水蒸気を切り、炉内を窒素雰囲気とした後、積層体41を加圧しながら再び昇温を開始し、980〜1040℃の最高温度で1〜3時間保持し、ガラスセラミック材料の気孔率が5%以下となり緻密化するようした。
【0182】
この時印加した圧力は、約1〜4kg/cm2とし、緻密化するとともに平面方向の収縮がほぼ0となり、かつ側面の凹量が小さくなるように制御した。
【0183】
最後に、窒素雰囲気にて焼結体を冷却した。冷却過程では、残留応力が小さくなるような温度および加圧プロファイルとなるようにそれぞれを制御した。以上により、ガラス/銅多層配線基板が得られた。本実施例における焼成工程での寸法変化は、XY平面方向(基板表面の縦横方向)で0.15±0.02%であり、厚さ方向の収縮率は約45%であった。
【0184】
<比較例2>
本比較例2では、非晶質ガラスとして市販品のパイレックスガラスを用い、有機バインダとしてポリビニルブチラールを用いて、セラミック多層配線基板を作製した。
【0185】
(1)スラリーの調製
平均粒径4μmのパイレックスガラス粉末60体積%と、フィラーとして平均粒径が約3μmのムライト粉末40体積%とを、あらかじめ混合し、セラミック複合物を調製した。
【0186】
このセラミック複合物100重量部と、有機バインダとしてポリビニルブチラール6重量部と、可塑剤としてブチルフタリル・ブチルグリコレート2重量部と、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、およびブチルアルコールからなるアゼオトロープ組成の溶剤とを加えあわせ、アルミナボールおよびアルミナ内張りボールミル1にて十分混合し、非晶質ガラス粉末およびフィラー粉末が均一に分散したスラリーを調製した。
【0187】
(2)グリーンシートの作製
続いて、スラリーを撹拌しながら減圧し、気泡を脱気しながら粘度を8000〜13000cpsに調整後、ドクターブレイド型キャスティング装置2を用いて、無加圧焼成で実施例23の基板と同じ厚さとなるように、厚さが0.14mmのグリーンシート4を作製した。
【0188】
(3)セラミック多層配線基板の作製
得られたグリーンシート4の外形を切断し、所定寸法とした後、実施例23と同様の方法にて、焼成後にピッチが0.3mmとなるように貫通孔51をあけ、スクリーン印刷法にて貫通孔51にCuペーストを充填するとともに、グリーンシート4表面に配線パターン52を形成した。
【0189】
つぎに、配線パターン52を形成したグリーンシート4を、実施例23と同様に50枚積み重ね、温度:130℃、圧力:150kg/cm2で圧着し一体化して、積層体41を作製した。得られた積層体41の寸法は約220mm角であり、厚さは約7mmであった。
【0190】
続いて、実施例23と同様の電気炉8を用いて、加圧をせず焼成を行った。すなわち、窒素雰囲気にて、あらかじめ設定した脱バインダに最適な速度で昇温を開始するとともに、炉内が結露しなくなる温度に達した時点で窒素と水蒸気の混合雰囲気とし、800℃で20〜30時間保持しながら脱バインダを行った。続いて、水蒸気を切り、窒素雰囲気とした後、再び昇温を開始し、970〜1020℃の最高温度で1〜3時間保持して、ガラスセラミック材料の気孔率が5%以下になり緻密化するようした。焼成工程での寸法変化は、XY平面方向で18±0.29%であり、厚さ方向の収縮率は20%であった。
【0191】
(4)基板の評価
ここで、実施例23と本比較例2とのプロセス特性および基板品質を比較すると、表5に示す通りであった。
【0192】
【表5】
Figure 0003690312
【0193】
表5に示した評価結果から、実施例23では、グリーンシート表面へのホウ酸析出が起こらず、孔明け時の位置精度が良く、かつ、グリーンシートの経時寸法変化が小さいため、配線の高密度化が容易で、短時間に容易に脱バインダでき、高密度配線を行なっても配線不良の無い、高寸法精度なガラス/銅多層配線基板が得られたことがわかる。
【0194】
なお、実施例23では、高密度配線の一例として、0.3mmピッチでのグリーンシートへの孔明けについて述べたが、より細いパンチピンの使用で配線基板として0.15mmピッチ程度の孔明けが可能である。さらに、実施例23および本比較例2で述べた具体的数値は、材料組成、材料構成、基板寸法およびパターン構造、プロセス条件で変化するもので、特に限定されるものではない。また、ガラス材料およびバインダ材料についても、前述した好ましい材料組成範囲のガラス材料およびバインダ材料であれば、ほぼ実施例23と同様のプロセス特性および基板品質を得ることができる。
【0195】
<実施例24〜37>
本実施例24〜37では、有機バインダが異なる以外は実施例23と同様にして、セラミック多層配線基板を作製した。各実施例において合成した有機バインダのモノマ、分散安定剤(重合用分散剤)、可塑剤、バインダ調製用溶剤、および重合開始剤を、表6に示す。なお、表6において「番号」は実施例番号を示し、「開始剤」は重合開始剤を示す。
【0196】
【表6】
Figure 0003690312
【0197】
各実施例24〜37において得られた配線基板は、実施例23と同様の良好な基板であった。
【0198】
<実施例38>
本実施例38では、実施例23で得たガラス/銅多層配線基板を用い、電子計算機用モジュールを作製した。その作製手順を、図22を用いて説明する。
【0199】
始めに、ガラス/銅多層配線基板の焼結体158の表裏面に付着した異物を除去した後、表裏面を、グリーンシート焼成後の1枚相当分以下の厚さだけラッピングして除去し(図22(g))、さらに、表裏面を、必要な表面粗さとなるようポリッシュをしてから洗浄した。
【0200】
続いて、基板158表面に、ポリイミド前駆体ワニスのスピン塗布により形成した塗膜を乾燥ベークした後、350〜400℃の温度で硬化させて、保護皮膜のためのポリイミド絶縁膜を形成した。次に、基板158裏面に、入出力ピン12接続用薄膜電極パッドを形成するため、基板158裏面全面にアルゴンガスによるスパッタエッチをした後、裏面全面にクロム、銅、クロムの順に連続スパッタ成膜し、フォトレジストをマスクとした連続ウェットエッチングを行った。このエッチングは、クロムにはアルカリ性過マンガン酸カリウム水溶液を、銅にはリン酸/硝酸系の混合液を、それぞれエッチャントとして用いた。その後、基板裏面に、表面と同様にして保護皮膜のための層間絶縁膜71を形成した。
【0201】
続いて、基板158表面側に薄膜配線71を以下の手順で形成した(図22(h))。最初に、基板158表面の保護皮膜を、酸素プラズマアッシャで除去してから、整合パッド、配線パターンおよび封止用パターンを形成するため、基板表面全面にアルゴンガスによるスパッタエッチをした後、基板表面全面にクロム、銅、クロムの順に連続スパッタ成膜し、フォトレジストをマスクとした連続ウェットエッチングを行った。つぎに、層間絶縁膜の形成および加工を行った。すなわち、ポリイミド前駆体ワニスのスピン塗布により形成した塗膜を乾燥ベークした後350〜400℃の温度で硬化させ、この表面にレジストパターンを形成した後エッチングして所定のパターンに加工した。加工は、ヒドラジン−エチレンジアミン系の混合液を用いた。以上の配線パターン形成および層間絶縁膜形成を繰り返して、必要な薄膜配線層71を形成した。これにより、薄膜・厚膜複合多層配線基板17が得られた。
【0202】
つぎに、はんだ接続用薄膜電極パッドを形成した。まず、基板17表面に、クロムまたはチタン、続いて銅またはニッケルまたは銅/ニッケル合金またはニッケル/タングステン合金を連続スパッタ成膜し、この上にレジストパターンを形成し、上層から順にエッチングしてはんだ接続用薄膜電極パッドを形成した。ここで、銅、ニッケル、銅/ニッケル合金はリン酸/硝酸系の混合液エッチャントで、ニッケル/タングステン合金はフッ酸/硝酸系の混合液エッチャントで、チタンはアンモニア/過酸化水素系エッチャントで加工した。次に、この電極パッド表面に金をめっきした。同様に封止用パターン表面にも金をめっきした。
【0203】
続いて、基板17裏面の保護膜を酸素プラズマアッシャで除去し、Au−Sn20wt%共晶合金(融点280℃)のろう材がヘッド部に固着させてある入出力ピン12を、カーボン製の位置決め治具を用い、金属層が酸化しない雰囲気でろう材の融点以上の温度でリフローすることによって、基板17裏面にろう付けした。同様にして、融点の異なるはんだ材のハンダバンプを介してチップキャリア11をはんだ付けし、続いて冷却フィン15を組み合わせた後さらに融点の異なるはんだを用いて水冷ジャケット16をはんだ付けをした。これにより、図22(i)に示す電子計算機用モジュール61が得られた。
【0204】
以上により得られたモジュール61を複数個用意し、それぞれコネクタ18を介して多層プリント基板63に搭載することで、命令プロセッサ185を作製し、この命令プロセッサ185を複数個使用して大型電子計算機を作製した。
【0205】
その結果、従来の方法、例えばムライトセラミックスとタングステン導体からなるムライト多層配線基板(配線ピッチ0.45mm)を用いて製作された大型電子計算機と比べ、約3倍の演算速度が達成できた。
【0206】
なお、実施例23で得られたガラス/銅多層配線基板は本実施例38で作製したような電子計算機だけでなく、高密度配線および高速演算が要求される電子回路装置に適用できる。
【0207】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、脱バインダが容易で、緻密化焼結し易く、基板特性として、熱膨張係数はシリコンの熱膨張係数と整合し、曲げ強度は十分大きく、比誘電率は十分小さい配線基板が得られる。特に、本発明の組成物はガラスの軟化温度が850〜1100℃と高いため、脱バインダ熱処理による焼結収縮が起こり難く、少ないフィラー添加で脱バインダ可能となり、短時間の焼成で緻密化焼結できる。また、本発明のセラミック組成物および該組成物に含まれるガラスは、耐水性が高く、グリーンシート上に硼酸結晶が析出し難く、しかも、本発明のセラミック組成物は熱処理によっても硼珪酸ガラスからクリストバライト結晶が析出せず、好ましい。従って、本発明によれば、配線基板の生産性を格段に向上させることができる。
【0208】
また、本発明によれば、
(a)耐水性良好な高軟化点ガラス、
(b)熱分解性良好で、グリーンシートへ高位置精度の孔加工ができる水系分散型バインダ、
(c)高寸法精度で基板を焼結できる加圧焼結、
の3要素の組み合せにより、高配線密度かつ高寸法精度で、基板表面に薄膜を形成するのに適したガラス/銅多層配線基板と、該基板を備える電子回路装置、電子計算機用モジュール、および電子計算機とを製造することができる。
【0209】
例えば、(a)の耐水性良好な高軟化点ガラスを用いることにより、グリーンシート表面へのホウ酸析出が回避され、また、高温での脱バインダが可能になる。(b)のバインダを用いることにより、安全な水系溶剤を用いることができる。また、(c)の加圧焼結を行なうことにより、グリーンシートへの高位置精度での孔加工が可能になるとともに、グリーンシートの寸法変化が抑制されるため、高寸法精度なガラス/銅多層配線基板を作製することができ、高密度配線が実現される。さらに、この加圧焼結により、脱バインダ時間が短縮される。これにより、(a)の高軟化点ガラスを用いても、脱バインダに過度の時間がかかることを回避できる。
【0210】
さらに、本発明では、水系分散型バインダを用いることで環境対策もでき、高軟化点ガラスを用いることで脱バインダ時間が短縮できるので低コストで基板が製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非晶質ガラスの組成域を表すSiO2−B2O3−R2O3成分系三角組成図である。
【図2】 多層配線基板の製造工程を示す説明図である。
【図3】 B2O3等溶出曲線を示したSiO2−B2O3−K2O3成分系三角組成図である。
【図4】 SiO2−B2O3−K2O−Al2O3系ガラスのB2O3溶出量とAl2O3/K2Oのモル比との関係を示すグラフである。
【図5】 SiO2−B2O3−K2O−Al2O3系ガラスの軟化温度とAl2O3/K2Oのモル比との関係を示すグラフである。
【図6】 SiO2−B2O3−K2O−Al2O3系ガラスのクリストバライト析出性とAl2O3/K2Oのモル比との関係を示すグラフである。
【図7】 図7(a)はSiO2−B2O3−R2O系ガラスの構造モデルを示す説明図である。
図7(b)はSiO2−B2O3−R2O系ガラスにAl2O3成分を追加した場合の構造変化を示す説明図である。
【図8】 図8(a)はSiO2−B2O3−R2O系ガラスを高温に加熱した場合の構造変化を示す説明図である。図8(b)はSiO2−B2O3−R2O−Al2O3系ガラスを高温に加熱した場合の構造変化を示す説明図である。
【図9】 SiO2−B2O3−ZnO系ガラスのB2O3溶出量とZnO添加量との関係を示すグラフである。
【図10】 脱バインダ温度と脱バインダ時間との関係を示すグラフである。
【図11】 ガラスの軟化温度と脱バインダに必要なフィラー量との関係を示すグラフである。
【図12】 ガラス−フィラー系組成物の緻密化焼結温度と、フィラー量およびガラス軟化温度との関係を示すグラフである。
【図13】 ガラス−フィラー系組成物の焼結収縮カーブを示すグラフである。
【図14】 ガラス−フィラー系焼結体の曲げ強度とフィラー量との関係を示すグラフである。
【図15】 実施例22の多層配線基板の断面図である。
【図16】 実施例22のLSIとI/Oピンを搭載した多層配線基板の断面図である。
【図17】 実施例22の命令プロセッサ・モジュールの部分断面図である。
【図18】 実施例22の電子計算機のシステム構成図である。
【図19】 B2O3等溶出曲線を示したSiO2−B2O3−Na2O3成分系三角組成図である。
【図20】 加圧焼結における、印加された圧力と、基板の平面方向および厚さ方向の寸法変化との関係を示すグラフである。
【図21】 加圧焼結における、フィラー量と、印加された圧力と、焼結温度と、相対密度との関係を示すグラフである。
【図22】 電子計算機用モジュールの製造工程を示す説明図である。
【図23】 電子計算機用モジュールの構造を示す部分断面斜視図である。
【図24】 命令プロセッサの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…ボールミル装置、2…スラリー、3…キャスティングマシン、4…グリーンシート、5…ポンチ、6…スキージ、7…ペースト、8…加熱炉、9…ビアホール、10…配線、11…LSI、12…I/O(入出力)ピン、13および14…接続ろう材、15…マイクロフィン、16…水冷ジャケット、17…多層配線基板、18…コネクタ、41…積層体、51…貫通孔、52…配線、53…ビアホール、61…モジュール、62…水パイプ、63…多層プリント基板、71…薄膜配線層、158…ガラスセラミック焼結体、181…主記憶装置、182…拡張記憶装置、183…システム制御装置、184…入出力プロセッサ、185…命令プロセッサ。

Claims (3)

  1. 導体からなる配線と、セラミックからなる絶縁層とを備える配線基板と、該配線基板上に搭載された電子回路素子とを備える電子回路装置において、
    上記セラミックは、60〜95体積%の軟化温度が850〜1100℃である非晶質ガラスと、40〜5%のフィラーとからなり、
    上記非晶質ガラスは、酸化珪素(SiO )を84.0重量%、酸化硼素(B )を9.0重量%、酸化カリウム(K O)を4.0重量%、及びアルミナ(Al )を3.0重量%夫々含む組成を有することを特徴とする電子回路装置。
  2. 前記フィラーはムライトであることを特徴とする請求項1に記載の電子回路装置。
  3. 前記電子回路素子として半導体素子を備えた請求項1又は請求項2に記載の電子回路装置として構成されることを特徴とする電子計算機用モジュール。
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