JP3690032B2 - 純水の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は純水の製造方法に係り、特に原水を脱気した後、3段逆浸透膜(RO膜)分離処理して高水質の純水を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程等で使用される純水の製造方法として、特公平8−29315号公報には、図2に示す如く、市水等の原水に酸を添加して炭酸イオン分解(CO2 化)した水を脱気装置1で脱気処理した後、2段に直列配置したRO膜分離装置2,3に順次通水して2段RO処理する方法が提案されている。また、特公平8−29315号公報には、この方法において、脱気処理水にアルカリを添加してRO処理することにより、得られる純水の水質(比抵抗)を更に高めることができることが記載され、半導体製造工程で使用される超純水を得るためには、更に2段RO処理水をイオン交換処理することが記載されている。なお、このイオン交換処理に用いるイオン交換装置としては、再生が不要な非再生型イオン交換装置を用いるのが有利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特公平8−29315号公報記載の方法で得られる2段RO処理水の水質は、全カチオンで1ppm程度、比抵抗で数MΩ・cm程度である。この程度の水質の2段RO処理水では、半導体製造工程で必要とされる比抵抗18MΩ・cm以上の水質の超純水を得るためには、後段のイオン交換装置の負荷が過大となる。このため、このイオン交換装置として非再生型のものを用いた場合には、数ケ月程度で交換する必要があり、メンテナンス作業が著しく手間のかかるものとなる。
【0004】
本発明は上記従来の問題点を解決し、RO処理により比抵抗15MΩ・cm以上の高水質処理水を得ることができ、これにより後段のイオン交換装置の負荷を軽減することができる純水の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の純水の製造方法は、原水に酸を添加して脱気処理して得られたpH5〜7の水を第1段目の逆浸透膜分離処理して主としてカチオン成分を除去し、次いで第1段目の逆浸透膜分離処理の処理水に必要に応じアルカリを添加してpH6.5〜8として第2段目の逆浸透膜分離処理を行って主としてアニオン成分を除去し、その後、第2段目の逆浸透膜分離処理の処理水を、NaCl濃度1〜10ppmという低塩類濃度域におけるNaCl阻止率が99%以上の逆浸透膜を用いて第3段目の逆浸透膜分離処理する純水の製造方法であって、第2段目の逆浸透膜分離処理に用いる逆浸透膜が負荷電膜であり、第3段目の逆浸透膜分離処理に用いる逆浸透膜が正荷電膜であることを特徴とする。
【0006】
前述の如く、2段RO処理では、比抵抗が数MΩ・cm程度の処理水しか得ることができないため、本発明では、この2段RO処理水を更にRO処理する。この3段目のRO処理の原水となる2段RO処理水は、既に2段階のRO処理を行うことで、塩類濃度が相当に低減されている。一方、一般的なRO膜の塩類阻止率は、原水中の塩類濃度が低くなるにつれて低下する傾向があり、従って、2段RO処理水のような低濃度水に対する塩類阻止率が低いために、十分なRO処理効果を得ることができない。
【0007】
本発明では3段目のRO処理のRO膜として、NaCl濃度1〜10ppmという低塩類濃度域におけるNaCl阻止率が99%以上のRO膜を用いるため、著しく高い3段RO処理効果を得ることができ、比抵抗15MΩ・cm以上の高水質の純水を製造することが可能となる。
【0009】
本発明においては、特に、原水に酸を添加して炭酸イオン分解した後脱気処理し、その後、低pH領域で第1段目のRO処理を行って主としてカチオン成分を除去し、次いでpH6.5〜8で第2段目のRO処理を行って主としてアニオン成分を除去し、その後、低塩類濃度域における塩類阻止率の高いRO膜を用いて第3段目のRO処理を行うため、より一層高水質の純水を得ることができる。
【0010】
即ち、一般に、Na+ 等のカチオン成分は低pH領域でRO処理による除去率が高く、一方、Cl- 等のアニオン成分はpH5.5以上の、これよりも高いpH領域でRO処理による除去率が高いため、上記の如くpH調整することにより、効率的なRO処理を行える。
【0011】
この場合、カチオン成分、アニオン成分の除去に用いる第1,2段目のRO膜は負荷電膜が、また、第3段目のRO膜は正荷電膜が好適である。
【0012】
なお、正荷電膜とは、限外濾過膜の上に界面架橋のような方法で薄いスキン層を形成してなるRO複合膜のうち、カチオン基、例えば第四アンモニウム基等を導入することにより、膜表面を正に帯電させたものであり、一方、負荷電膜とは、このようなRO複合膜において、アニオン基、例えばカルボキシル基等を導入して膜表面を負に帯電させたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。
【0015】
本実施の形態においては、市水、井水、工業用水等を原水として、必要に応じて凝集沈澱、膜濾過等の前処理を施した後、HCl,H2 SO4 等の酸を添加して原水中のM−アルカリ成分の主体をなすHCO3 -,CO3 2- イオンを脱気装置で除去し易いCO2 の形態とした後、脱炭酸塔、膜脱気装置等の脱気装置1に通水する。なお、酸の添加量は、脱気処理水のpHが5〜7程度となるような量とするのが好ましい。
【0016】
脱気装置1では、原水中のCO2 を気相に移行させて除去すると共に原水中の溶存酸素も気相に移行させて除去する。
【0017】
脱気処理水は、第1段目のRO膜分離装置2に導入してRO処理する。この第1段目のRO膜分離装置2では、原水に添加した酸により調整された低pH条件下において、主にNa+ イオン等のカチオン成分を除去する。
【0018】
即ち、一般に、RO膜処理において、Na+ イオン等のカチオン成分はpH3〜4の低pH領域で高い除去率を示し、逆にCl- イオン等のアニオン成分はpH5.5以上で高い除去率を示すため、第1段目のRO処理では、低pHの脱気処理水について主にカチオン成分の除去を行う。
【0019】
なお、この第1段目のRO処理はpH3〜4の範囲で行うのが好ましく、従って、脱気処理水のpHがこの範囲よりも高い場合には脱気処理水に更に酸を添加してpH調整を行っても良い。
【0020】
この第1段目及び次の第2段目のRO処理に用いるRO膜としては、日東電工株式会社製「ES20」、東レ株式会社製「SU710」等の負荷電膜を用いることができる。
【0021】
第1段目のRO処理水は、次いで、NaOH等のアルカリを添加してpH6.5〜8に調整した後、第2段目のRO膜分離装置3に導入してRO処理する。
【0022】
第2段目のRO処理水の水質は比抵抗で数MΩ・cmから最高でも6〜7MΩ・cm程度であるため、本発明では、更に水質を向上させるために、第2段目のRO処理水を第3段目のRO膜分離装置4に導入してRO処理する。
【0023】
本発明において、この第3段目のRO処理は、低塩類濃度域における塩類阻止率の高いRO膜を用いて行う。低塩類濃度域における塩類阻止率の高いRO膜であれば、2段RO処理により既に塩類濃度が相当に低減された第2段目のRO処理水中の塩類を極低濃度にまで除去して、著しく高水質の処理水を得ることができる。
【0024】
この第3段目のRO処理に用いるRO膜としては、塩類濃度1〜10ppmというような低塩類濃度域における塩類阻止率が99%以上のRO膜、例えば、日東電工社製「NTR−719HF」,「ES10C」,(共にNaCl濃度1〜10ppmでのNaCl阻止率99%以上)等の正荷電膜を用いる。
【0025】
本発明の方法によれば、第3段目のRO処理水として、比抵抗15MΩ・cm以上の高水質の純水を得ることができる。従って、この純水を更にイオン交換処理する際、イオン交換装置の負荷を大幅に軽減することができ、非再生型イオン交換装置の場合、その寿命を6ケ月〜1年以上に大幅に延長することができる。このため、メンテナンス作業が大幅に軽減される。
【0026】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0027】
実施例1
図1に示す本発明の方法により、厚木市の水道水を原水として純水の製造を行った。
【0028】
まず、原水に脱気処理水のpHが6となるように酸(HCl)を添加し、これを脱気装置(脱炭酸塔)1に通水して脱気処理した。脱気処理水を第1段目のRO膜分離装置2に通水し、第1段目のRO処理水にアルカリ(NaOH)を添加してpH7.0とした後第2段目のRO膜分離装置3に通水し、第2段目のRO処理水を更に第3段目のRO膜分離装置4に通水した。
【0029】
なお、各RO膜分離装置2〜4で用いたRO膜は表1に示す通りである。
得られた純水(第3段目のRO処理水)の比抵抗を表1に示す。
【0030】
比較例1
実施例1において、脱気処理を行わなかったこと以外は同様の条件で処理を行い、得られた純水の比抵抗を表1に示した。
【0031】
比較例2
実施例1において、第3段目のRO膜分離装置4のRO膜として表1に示すものを用いたこと以外は同様の条件で処理を行い、得られた純水の比抵抗を表1に示した。
【0032】
比較例3
実施例1において、第3段目のRO膜分離装置を設けず、脱気処理水を2段RO処理したこと以外は同様の条件で処理を行い、得られた純水の比抵抗を表1に示した。
【0033】
比較例4
比較例3において、アルカリを第1段目のRO処理水ではなく、脱気処理水に添加したこと以外は同様の条件で処理を行い、得られた純水の比抵抗を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1より、本発明の純水の製造方法によれば、比抵抗15MΩ・cm以上の高水質の純水を製造することができることがわかる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の純水の製造方法によれば、高水質の純水を製造することができる。このため、得られた純水を更にイオン交換処理する場合、イオン交換装置の負荷を著しく低減することができ、非再生型イオン交換装置の場合、その寿命を大幅に延長して交換頻度を低減することで、メンテナンス作業を著しく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】従来法を示す系統図である。
【符号の説明】
1 脱気装置
2,3,4 RO膜分離装置
Claims (1)
- 原水に酸を添加して脱気処理して得られたpH5〜7の水を第1段目の逆浸透膜分離処理して主としてカチオン成分を除去し、次いで第1段目の逆浸透膜分離処理の処理水に必要に応じアルカリを添加してpH6.5〜8として第2段目の逆浸透膜分離処理を行って主としてアニオン成分を除去し、その後、第2段目の逆浸透膜分離処理の処理水を、NaCl濃度1〜10ppmという低塩類濃度域におけるNaCl阻止率が99%以上の逆浸透膜を用いて第3段目の逆浸透膜分離処理する純水の製造方法であって、第2段目の逆浸透膜分離処理に用いる逆浸透膜が負荷電膜であり、第3段目の逆浸透膜分離処理に用いる逆浸透膜が正荷電膜であることを特徴とする純水の製造方法。
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JP01248497A JP3690032B2 (ja) | 1997-01-27 | 1997-01-27 | 純水の製造方法 |
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JP01248497A JP3690032B2 (ja) | 1997-01-27 | 1997-01-27 | 純水の製造方法 |
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