JP3689090B2 - 室内用防犯ブラインドアマド及び室内用防犯ブラインド格子 - Google Patents

室内用防犯ブラインドアマド及び室内用防犯ブラインド格子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建物の開口部の室内側に配置される室内用防犯ブラインドアマド及び同格子に関する。
【0002】
【従来の技術】
空き巣、居直り強盗等、社会不安を引き起こす犯罪の発生件数が高水準で推移している。
空き巣の家屋侵入の手口には、ピッキング等で玄関から侵入する場合の他、窓ガラスを割って、クレセント等を開錠して侵入する場合も多い。段上への足場があれば、2階等のベランダからも室内に侵入してくるケースもある。
この「ガラス破り」の対策には、補助鍵の設置、合わせガラスの導入等が奨励されている。
【0003】
サッシメーカとしての出願人は、その独自の技術を用いて、窓の防犯機能を徹底的に高めることができる製品を社会に提供するため、従来から自社で開発している開口部外装装置に着目した。
この開口部外装装置は、防風、防雨、防犯、プライバシーの保護の機能を保持させつつ、通風性、採光性を発揮できる構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−256776(図1、図9)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願では、前記開口部外装装置が持つ防犯機能やプライバシーの保護機能を重点的に追求しつつ、さらに通風性、採光性を確保できる室内用防犯ブラインドアマドおよび同格子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、建物の開口部を開閉する開閉装置に対し、その室内側に配置される少なくとも2枚のブラインド格子を備え、これら内外ブラインド格子は、開閉可能に配置されている少なくとも1組の複数のスラットとクレセントを備えると共に、下枠にはレール、上枠にはスライド下向片がそれぞれ形成され、且つ、既設の開口部の木額(額縁)を介して固定される枠体であって、これらの各レールの間隔、各スライド下向片の間隔は、前記ブラインド格子のスラットを開いた状態で、各ブラインド格子が引違い可能な所定間隔であって、該所定間隔はスラットが内ブラインド格子の竪框から突出する最大幅と略同一か若干の遊びを加えた寸法が取られている室内用防犯ブラインドアマドであって、前記内ブラインド格子には、前記所定間隔を埋める塞ぎヒレが形成され、内ブラインド格子側にクレセント本体を、外ブラインド格子側にクレセント受を取付け、そのクレセント本体はキー付きのものを用いていることを特徴とする室内用防犯ブラインドアマドとした(請求項1に記載の発明)。
この発明は、主に室外側の前記開閉装置が居室等の開口部に取付けられたガラス障子、テラス窓等である場合を想定した室内用防犯ブラインドアマドである(以下、室内用防犯引違ブラインドアマドと称する)。
この室内用防犯引違ブラインドアマドは、2枚のブラインド格子を想定しているが、3枚、4枚、それ以上でもよい。
なお、室外側にガラス障子等の他、雨戸等が建物開口部に組付けられていても、本発明のアマドを取付けることができる。以下に説明する室内用防犯ブラインドアマド、格子も同様である。
1組の複数枚のスラットとは、後述の揺動機構により同時にスラットの開閉動作が可能な単位を意味するが、1枚のブラインド格子に対して、1組、2組、それ以上でもよい。以下に説明する室内用防犯ブラインドアマド、格子も同様である。
【0008】
この発明によれば、ガラス障子等による施錠と、室内用防犯引違ブラインドアマドによる施錠とで、2重に施錠されるので、防犯機能が高まる。
また、施錠した状態で、スラットを開閉できるので、採光性、通風性、日照調整、外部からの視線の遮断などのプライバシー保護を確保することができる。
また、スラットの開放状態のまま、ブラインド格子が引違い可能に前記開口部に取付けられるので、内外ブラインド格子を重ねても高い採光性を維持できる。また、建物の外観に影響を与える製品(例えば、室外側に取付けられるシャッター等)の設置に制約がある場合には、防犯上の不安があるが、本発明によれば、設置の制約に抵触することなく、防犯上の不安を解消できる。即ち、窓からの防犯対策が不充分なマンション等に取付けることで、防犯機能を高めることができる。
【0009】
上記課題を解決するため、建物の開口部を開閉する開閉装置に対し、その室内側に配置される少なくとも2枚のブラインド格子を備え、これら内外ブラインド格子は、開閉可能に配置されている少なくとも1組の複数のスラットとクレセントを備えると共に、下枠にはレール、上枠にはスライド下向片がそれぞれ形成され、且つ、既設の開口部の木額(額縁)を介して固定される枠体であって、外ブラインド格子と内ブラインド格子との間隔は、内ブラインド格子のスラットを開放した状態ではそのスラットが内ブラインド格子の竪框から突出して外ブラインド格子の竪框にぶつかり、内ブラインド格子のスラットを閉じた状態で引違いできるスペースを備え、また前記ブラインド格子のスラットを閉じた状態で、内ブラインド格子と外ブラインド格子が室内の壁面に沿って引込且つ収納可能な室内用防犯ブラインドアマドであって、内ブラインド格子側にクレセント本体を、外ブラインド格子側に、クレセント受を取付け、クレセントキーが框の最下端に落ちるキー付きのものを用い、前記内外ブラインド格子により前記開口部を閉鎖した段階で、それらの内外ブラインド格子の無用なスライドを規制するため、各ブラインド格子又は何れかのブラインド格子の下枠に、前記額縁にロッドが出没可能で、且つ、鍵が抜き取り可能な鍵装置を取付けることを特徴とする室内用防犯ブラインドアマド(請求項2に記載の発明)とした。
この発明は、上記室内用防犯引違ブラインドアマドと同様に、主に前記開閉装置として、ガラス障子等が居室等に取付けられている場合を想定した室内用防犯ブラインド格子(以下、室内用防犯引込ブラインドアマドと称する)であって、前記室内用防犯引違ブラインドアマドと略同様の作用効果を奏する。
また、この室内用防犯引込ブラインドアマドの場合、ブラインド格子のスラットを閉じた状態で、室内側に引込み可能に組付けられているので、建物の開口部を全面的に開放させることができる。
【0010】
上記課題を解決するため、建物の開口部を開閉する開閉装置に対し、その室内側に配置される少なくとも1枚のブラインド格子を備え、前記ブラインド格子は、開閉可能に配置されている少なくとも1組の複数のスラットとクレセントを備え、室内側に内開き可能に、既設の開口部の木額(額縁)を介して固定された枠体に取付けられ、クレセントは、クレセントキーが框の最下端に落ちるキー付きのものを用い、前記枠体の室内側に網戸取付ヒレを設け、ロッド部材を前記網戸取付に埋めこむように、網目部材を取付けることを特徴とする室内用防犯ブラインドアマドとした
この発明は、主に前記開閉装置が小窓等に取付けられた竪辷り出し窓、開き窓、上げ下げ窓、ガラスルーバー等である場合を想定した室内用防犯ブラインド格子(以下、室内用防犯内開きブラインド格子と称する)であって、上記各発明と略同様の作用効果を奏する。
【0011】
上記各発明において、室内用防犯引違ブラインドアマド、室内用防犯引込ブラインドアマド、室内用防犯内開きブラインド格子は、それぞれ、室内のブラインド、カーテン等に代る商品であることから、明るい色で着色されることが望ましい。例示すれば、ホワイト、アイボリーホワイト等が望ましい。
なお、ここで「着色」とは、電解着色、電着塗装、静電塗装、スプレー塗装、その他の着色方法による。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る室内用防犯引違ブラインドアマド、室内用防犯引込ブラインドアマド、室内用防犯内開きブラインド格子毎に、図面に基づいて各構成例を説明する。
【0013】
室内用防犯引違ブラインドアマド
図1(A)は室内用防犯引違ブラインドアマドの室内側概略正面図、同図(B)及び同図(C)は同各平面図、図2は同縦断面図、図3は同横断面図である。なお、上記各図及び後述の各図において、略同一の構成は同一の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0014】
前記室内用防犯引違ブラインドアマドAは、図1〜図3に示したように、建物の開口部Bの開閉装置としてのガラス障子Gよりも室内側に配置され、且つ、2枚の内外ブラインド格子1、8からなり、各ブラインド格子1、8は施錠装置としてのクレセント9により、施錠可能に構成されている。
また、1組の複数のスラット2・・・が開閉可能に配置された内外ブラインド格子1、8は、図1(A)〜(C)に図示したように、それぞれスラット2を開いた状態であっても開口部Bの開口幅W内において、引違い可能に前記開口部Bに組込まれて構成されている。
【0015】
よって、建物の開口部Bに対して、前記ガラス障子Gによる閉鎖と、前記内外ブラインド格子1、8による閉鎖により、窓等の開口部Bの防犯性が厳格になっている。また、開口部Bの閉鎖状態で、内外ブラインド格子1,8のスラット2を開放して採光性を確保し、且つ、プライバシー保護を図ることができる。また、前記クレセント9を開錠し、内外ブラインド格子1,8をスライドさせて、前記ガラス障子Gのクレセント(図示せず)も開錠してガラス障子Gを開放した後、再度、内外ブラインド格子1,8を閉鎖して前記クレセント9を施錠したとしても、通気性及び採光性を確保できる。その他、外ブラインド格子8のスラット2を全開にし、同時に内ブラインド格子1のスラット2を全開にした状態で、内外ブラインド格子1、8を重ねるように位置させることができる。従って、開口部Bの略半分が完全に開放されるので、開口部Bの採光性をさらに確保される(図1(C)参照)。
さらに、内外ブラインド格子1、8のスラット2を開にした状態でも、内外何れかブラインドをスライドさせて開口部Bを開放することができるので、火災等の非常の際の脱出にも問題はない(図1(C)参照)。
【0016】
前記内外ブラインド格子1、8は、略同一に構成されているので、以下の実施形態では、内ブランイド1を外ブラインド格子8に代表させて説明する。
内ブランイド1は、上下框10,11と左右竪框12,13から枠体が形成され、その枠体内に1組の複数の前記スラット2がそれぞれ水平方向に配列されていると共に、前記開口部Bをスライド可能に取付けられている。そして、前記下框11の上方に配置した桟状部14に揺動機構(後述)を操作する操作スライダー15(後述)を臨ませている。
【0017】
図3に示したように、前記左右竪框12,13の中空部121,131には前記揺動機構の一部が収容されている。
また、前記竪框12、13の室内側には、遮光片122、132が形成されている。これは、前記左右の竪框12、13に揺動開閉可能なスラット2を取付ける場合、スラット両端に僅かな間隙が形成されてしまい、外部からの光、室内側からの光が漏れることになることから、これを防ぐためである。
【0018】
前記桟状部14は、前記揺動機構の一部が組込まれるもので、上述のように操作スライダー15を室内側に臨ませている。
【0019】
次に、前記揺動機構の構成例を図4〜図11に基づいて説明する。
前記揺動機構は、図4及び図5に示したように、前記操作スライダー15のスライド力を回転力に変換させるねじりバー3と、その回転力をバー部材4に伝達する第1の伝達部材5と、そのバー部材4の回転力を各スラット2に伝達する第2の伝達部材6からなっている。
【0020】
前記操作スライダー15は、摘み片150とスライダー本体151からなり、そのスライダー本体151が、前記桟状部14に設けられたスライド枠142(図4)に沿って直線的に滑動できるように配置されている。
【0021】
前記スライダー本体151の構成例を、図6に基づいて説明する。
スライダー本体151は、本体部151aと、蓋体部151bと、本体部151aと蓋体部151bを組立てるカシメ部151cからなっており、このカシメ部151cに前記摘み片150が固定されている。前記本体部151aには、2列の孔151d、151dが設けられており、各孔151dにスプリング151e、ボール151fが嵌めこまれている。前記本体部151aと蓋体部151bには、ねじり状の孔152が設けられているが、この孔152に形成されているクリアランスが、前記スプリング151eにより前記蓋体部151bに向かって付勢されるボール151fによって調整される。よって前記スライダー本体151に「ガタツキ」が生じることなく、スムーズにスライドさせることができる。
【0022】
より詳細に「ガタツキ防止手段」を取付けた理由及び作用を図7に基づいて説明する。
前記ねじり状の孔152をねじりバー3の「ねじれ」にそって忠実に形成すると、操作スライダー15を操作する際に、「ガタ」が生じる。また全てのねじりバー3に全く同一の「ねじれ」を形成させることは困難である。
よって、前記ねじり状の孔152にはねじりバー3のためにクリアランス(遊び)が必要になる。この場合に、このクリアランスを調整し、快適なスライド操作を実現するものが「ガタツキ防止手段」である。
【0023】
図7に示したように、前記スプリング151eにより前記蓋体部151bに向かって付勢されるボール151fがねじりバー3に当接すると共に、操作スライダー15のスライドにより回転する。その結果、前記ねじりバー3に作用するクリアランスCが、適度に調整されることになり、前記スライダー本体151に「ガタ」が生じることなく、スムーズにスライドさせることができる。なお、前記スライダー本体151は、スライド枠142に沿って直線的に滑動できるような形状であればどのようなものでもよく、前記スイラダー15の摘み片150の形状も同様に、どのようなものでもよい。
【0024】
前記ねじりバー3は、薄板状の棒材を所定のねじれ角によって変形させたもので、前記操作スライダー15の滑動方向に応じて、正転或いは逆転するようになっている。前記ねじりバー3のねじれ角の大きさ、即ち、そのねじれ角によって形成されるねじりバー3の一端30に対する他端31の回転角度は、操作者が前記操作スライダー15を軽くスライドできて、好みの開閉角度を楽しむことができ、さらに各スラット2の開閉角度の微調整が可能なように成形すればよい。例えば、図8に示したように、前記ねじりバー3の一端30から他端31までの長さLに対し、他端の回転角度は約210度のように成形してもよい。同じ寸法Lにおいて、回転角度を大きく設定すればするほど、スラット2の開閉角度を大きくすることができるが、大きなスライド力を付与しなければならず操作性は重くなる。一方、回転角度を小さく設定すればするほど、スラット2の開閉角度が小さくなり、操作性が軽くなる。また、同じ回転角度において、ねじりバー3の取付長さを調整することにより、スライドバー15のスライド幅に応じてスラット2の開閉角度を調整することができる。
【0025】
この実施形態では、前記ねじりバー3の取付長さは、各スラット2を約90度の範囲で開閉できるように設定され、ねじりバー3の両端30、31が回転軸32,32に固定されると共に、これらの回転軸32,32がそれぞれ前記スライド枠142に固定された軸受33、33に取付けられている。
【0026】
前記回転軸32は、図5に図示されているように、前記ねじりバー3の端部を固定する固定円柱部320と、この固定円柱部320より縮径された回転部321とからなる。この回転部321には、前記第1の伝達部材5の一端を固定する4角孔322が形成されている。これら固定円柱部320と回転部321間に形成された段差323が前記軸受33の側面に当接することにより、前記ねじりバー3が変位することなく空転し、回転力のみが前記第1の伝達部材5に伝達されるようになっている。なお、前記ねじりバー3と第1の伝達部材5間に前記回転軸32を介在させることにより、ねじりバー3の円滑な回転を図ると共に、ねじれ角の異なるねじりバー3の交換も容易となる。前記回転軸32の回転部321は、前記竪框12に設けられた孔(図示せず)から、その竪框12の中空部121(図3参照)に突出され、前記第1の伝達部材5の一端50に連結されている。
【0027】
前記第1の伝達部材5は、竪框12の中空部121に収容され、図5等に示したように、その一端50がねじりバー3及び回転軸32と略同一軸上に配置され、前記回転軸32の四角孔322に固定されている。そして前記一端50を中心にして、他端51が前記ねじりバー3の回転に応じて回転する。この第1の伝達部材5は、略小判状に形成されているが、前記一端50に相当する回転中心部と前記他端51に相当する回転部を備えていれば、どのような形状でもよい。
【0028】
前記第1の伝達部材5の他端51は、前記竪框12の中空部121に沿って配置されているバー部材4の孔40に空転可能に取付けられている。前記バー部材4は、前記第1の伝達部材5からの回転に同調させて各スラット2を回転させるもので、各スラット2の配置間隔に応じた孔41が設けられている(図5参照)。
一方、前記バー部材4の孔41に対応するように、前記第1の伝達部材5と略同一の形状に成形された第2の伝達部材6の一端60が、後述のスラットホルダ7を介して前記竪框12内に回転可能に配置されている(図5等参照)。この第2の伝達部材6の他端61は、前記バー部材4の前記各孔41に空転可能に配置されており、第2の伝達部材6は、その一端60を中心にして前記第1の伝達部材5と同調して回転する。
【0029】
前記スラットホルダ7は、図5等に示したように、前記竪框12の中空部121内に臨む回転軸70と、この回転軸70に同軸的に固定され、且つ、竪框12の外側面に当接する鍔部71と、前記スラット2の側面に埋込まれる楔部72からなっている。
【0030】
なお、前記スラット2の他端を回転可能に保持するスラットホルダ7A(図2参照)は、前記竪框13に取付けられており、前記スラットホルダ7と同様に構成され、その楔部72が前記スラット2の側面に埋込まれている。
上述のように、前記操作スライダー15、ねじりバー3、バー部材4、第1の伝達部材5及び第2の伝達部材6は、前記竪框12側に取付けられているが、竪框13側に取付けても良い。
【0031】
次に、前記スラット2の構成例を説明する。
スラット2は、図5等に示したように、前記スラットホルダ7の楔部72を取付ける取付部20を設けた中空部21と、この中空部21の下部から下方に延出された板状部22からなり、例えばアルミニウム等の金属材料の押出成形によって形成されている。
このスラット2の主な特徴的な点は、スラット2を略水平位置まで回動させた場合、その上部が竪框12、13の遮光片122、132(図3参照)と干渉しないような寸法に形成されていること、前記スラットホルダ7の回転軸70の位置とスラット2の重心が略一致するように、その形状に工夫を加えたこと、及び前記中空部21の上部室外側に消音部材23を取付けたことである。
【0032】
前記遮光片122、132と前記スラット上部との干渉を避けるため、スラット2の中空部21の寸法が、スラット2の回転中心(前記第2の伝達部材6の一端60、スラットホルダ7の回転軸70)から遮光片122、132までの距離に比べ、短くなるように形成した。この場合に、スラット2の重心が前記板状部22側に偏ると、スラット2の回転が重くなり、快適な操作性を害するおそれがある。
そこで、前記スラット2の中空部21の内、前記回転中心から遮光片寄りの部分を肉厚、且つ、若干傾斜状に成型し、その重心が前記板状部22側に偏らないようにしている。その結果、前記スラットホルダ7の回転軸70の位置とスラット2の重心が略一致し、操作性が向上している。
【0033】
前記消音部材23は、例えば塩化ビニールからなるもので、各スラット2を閉じた際に、上下のスラットが当たるときに発生する音を消音すると共に、雨仕舞の機能も発揮する。
【0034】
上記のように構成された室内用防犯引違ブラインドアマドAは、アイボリーホワイトに着色されており、カーテン等に代えてこの室内用防犯引違ブラインドアマドAを取付けても、意匠的に室内と調和できるようにしている。
【0035】
次に、上記のように構成された内外ブラインド格子1,8の建物開口部Bに対する取付構造の1例を説明する。
図1及び図2の開口部Bは、既設の開口部を図示しているが、この開口部Bの木額(額縁)B1を介して、枠体B2を固定する。
この枠体B2の下枠にはレールB20、上枠にはスライド下向片B21がそれぞれ形成されている。
これらの各レールB20の間隔、各スライド下向片B21の間隔は、内ブラインド格子1のスラット2を開放した状態でも、引き違えるような所定間隔(スラット2を開いたときの最大幅と略同一か若干の遊びを加えた寸法W1)が取られている。
また外ブラインド格子8のスラット2を開放した状態でも、ガラス障子Gに接触することなく、スライドできるような所定間隔W1が取られている。
よって、上記内外ブラインド格子1,8を前記レールB20及びスライド下向片B21間にケンドンで取付ければよい。
なお、上述のように、内外ブラインド格子1,8間には、所定間隔W1の隙間ができてしまうので、図1及び図2のように、内ブラインド格子1には、その間隔を埋める塞ぎヒレ124が形成されている。
【0036】
前記クレセント9は、図3のように、内ブラインド格子1側にクレセント本体を、外ブラインド格子8側に、クレセント受りを取付け、そのクレセント本体はキー付きのものを用いている。
施錠装置としては、どのような構造のクレセントでもよく、またクレセントに限定されるものでもない。
【0037】
次に、上記のように構成された室内用防犯引違ブラインドアマドAの使用例を、図9(a)〜(c)及び図10に基づいて説明する。
図9(a)及び(b)は各スラット2が閉じた状態の要部断面図、同図(c)は各スラット2を略45度に開いた状態の要部断面図を示している。図10は内外雨戸1、8の各スラット2が略90度に開いた状態を並べて示した要部断面図である。
前記スラット2が図9(a)及び(b)に示した閉鎖状態にあるときは、前記操作スライダー15は同図に示した右端の位置にある。
この位置から前記操作スライダー15を図面上、左方向にスライドさせると、そのスライド力は、ねじりバー3、回転軸32、第1の伝達部材5、バー部材4、第2の伝達部材6、スラットホルダ7を介してスラット2に伝達され、各スラット2が前記操作スライダー15のスライド幅に応じた角度で開放される。
【0038】
図9(c)のように、前記操作スライダー15を中間位置まで移動させると、前記スラット2が半開される。
【0039】
図10のように、さらに左端まで前記操作スライダー15をスライドさせると、スラット2が全開となる。
この時、同図のように内外ブラインド格子1、8を重ねて配置した場合の採光量は、該ブラインド格子がない場合の約70〜80%を確保できるようになっており、また、内外ブラインド格子1、8を重ねて配置可能になっているので、開口部Aの半分が開放されて、採光性は十分である。
なお、各スラット2を閉じるときには、前記操作スライダー15を右側にスライドさせればよい。
【0040】
以上のような室内用防犯引違ブラインドアマドによれば、第1に、室外側のガラス障子Gと室内側の室内用防犯引違ブラインドアマドAの2重の防犯構造であることから、防犯性が向上する。
即ち、ガラス障子Gのガラスが割られても防犯でき、また、スラット2,2の間から手を入れて、クレセント9を開けようとしても、クレセントキーは、框の最下端に落ちているので、室内用防犯引違ブラインドアマドAを開けることはできない。
第2に、マンションのような集合住宅のように建物の外観に影響を与える製品の設置に制約がある場合でも、室内用防犯引違ブラインドアマドAは設置の制約に抵触することなく、窓からの防犯対策が不充分なマンション等のテラスサッシ窓部の防犯機能を高めることができる。
第3に室内への、通気性、採光量が確保される。特に、夏季等、ガラス障子Gを開放しても、室内用防犯引違ブラインドアマドAの施錠をしておけば、外部からの侵入を心配することなく、通気を確保でき、外部からの視線も遮断できる。第4に、内ブランイドサッシ1のスラット2が全開状態でも、内外ブラインド格子1、8を引違いに重ねて配置可能になっているので、人の出入りや災害時、非常時の室外への脱出にも問題はない。
第5に、前記操作スライダー15を左右にスライドさせることで、各スラット2の開閉を行うので、開閉操作が極めて容易であり、また開閉角度を調整することにより、プライバシーの保護を図ることができる。
第6に、前記ねじりバー3のねじれ角を小さくすることにより、小さな力でスライドさせることができ、また各スラット2を略90度の範囲で、好きな角度で固定することができる。この場合、各スラット2の開閉角度を大きくしたいときには、より大きなねじれ角のねじりバーに交換すれば良い。
第7に、ねじりバー3にはねじれ角が存在するので、スラット2を動かしても、操作スライダー15はスライドし難く、防犯性に優れており、またねじりバー3は、その製造コストを安価に押さえることができる。
第8に、ねじりバー3のねじれ方向を逆転させて(反時計回り)成形することにより、前記操作スライダー15が図9(a)及び(b)に示した位置にあるときに、前記スラット2を開放状態にすることができる。
第9に、前記左右の竪框12,13に遮光片122,132が形成されているので、この点からもプライバシー保護や防犯性に優れている。
【0041】
なお、前記回転軸32の回転方向を直交させる部材を、その回転軸32と第1の伝達部材5間に介在させることにより、前記操作スライダー15、前記ねじりバー3及び前記回転軸32を竪框側に配置することもできる。また、前記実施形態においては、前記各ブラインド格子1,8の框内略全面にスラットを配置していたが、框内の上部、中部或いは下部など、所定の領域に限定し、これらのスラットを揺動させる揺動機構を設けてもよい。さらに、図11に示したように、操作スライダーの摘み片150を室内側に臨ませてもよい。
その他、開口部の形態は、出窓でもよいし、片引き窓でもよい。
また、この実施形態では、2枚のガラス障子であったが、4枚のガラス障子からなる場合には、同様に4枚の上記ブラインド格子を取付けてもよい。
また、室内用防犯引違ブラインドアマドAは、室内用のサッシであることから、上記構成の内、強度、水密及び気密性を高める部分は、省くようにしてもよい。例えば、前記消音部材23等である。
【0042】
室内用防犯引込ブラインドアマド
図12は室内用防犯引込ブラインドアマドの室内側概略正面図、図13は同縦断面図である。
前記室内用防犯引込ブラインドアマドA1は、図12及び図13に示したように、建物の開口部Bの開閉装置としてのガラス障子Gよりも室内側に配置され、且つ、2組の内外ブラインド格子1、8からなり、各ブラインド格子1、8は施錠装置としてのクレセント9(図示せず)により、施錠可能に構成されている。
【0043】
前記ガラス障子Gと外ブラインド格子8との間隔は、外ブラインド格子8のスラット2を開放した状態でも、ガラス障子Gに接触することなく、スラット2の開閉、且つ、外ブラインド格子8をスライドできるような所定間隔W1が取られている。
一方、外ブラインド格子8と内ブラインド格子1との間隔は、内ブラインド格子1のスラット2を閉じた状態で引違いできるスペースである。
よって、内外ブラインド格子1,8の見込み幅を前記室内用防犯引違ブラインドアマドAより小さくできるが、内ブラインド格子1のスラット2は、開口部Bを閉鎖することを条件に開閉できるようになっている。
【0044】
図12に示したように、室内用防犯引込ブラインドアマドA1の場合には、開口部B横の室内壁面には、内外ブラインド格子1,8を室内に納めるスペースA10が設けられている。
即ち、前記内外ブラインド格子1,8のスラット2を閉じた状態で、室内の壁面に沿って引込み可能に取付けられる構成となっており、このような構成により、前記開口部Bを全面開放できる。
なお、前記内外ブラインド格子1,8により、前記開口部Bを閉鎖した段階で、それらの内外ブラインド格子1,8の無用なスライドを規制するため、各ブラインド格子1,8又は何れかのブラインド格子の下枠11に、木額B1にロッド90が出没可能で、且つ、鍵91が抜き取り可能な鍵装置9Aを取付ける(図16,図17)。
【0045】
その他の構成は、前記室内用防犯引違ブラインドアマドAと同様であり、同様な作用効果を奏する。
【0046】
室内用防犯内開きブラインド格子
図14は室内用防犯内開きブラインド格子の室内側概略正面図、図15は同縦断面図である。
前記室内用防犯内開きブラインド格子A2は、図14及び図15に示したように、建物の開口部Bの開閉装置としての竪辷り窓Gよりも室内側に配置され、且つ、1枚のブラインド格子1からなり、ブラインド格子1は施錠装置としてのクレセント9により、施錠可能に構成されている。
【0047】
このブラインド格子1は、ヒンジ等(図示せず)を介して室内側に内開き可能に前記開口部Bに取付けられている。
よって、このブラインド格子1を室内側に開くことで、前記竪辷り窓Gを開錠することができる。
前記窓Gとブラインド格子1との間隔は、そのスラット2を開放した状態でも、その窓Gに接触することがないように所定間隔W1が取られている。
【0048】
この室内用防犯内開きブラインド格子A2の室外側の開閉装置は、前記縦辷り出し窓Gのほか、開き窓、上げ下げ窓、ガラスルーバー等でもよい。
【0049】
最近の住宅の小窓には、竪辷り出し窓が多く、この窓ではその外部に格子を付けることができないので、防犯上問題となっているが、この室内用防犯内開きブラインド格子A2により、防犯上の問題を解決できる。
また、竪辷り出し窓Gと前記格子A2間に網戸がある場合には、竪辷り出し窓Gの開閉の都度、網戸を開閉する不便さがあるが、この室内用防犯内開きブラインド格子A2の枠体の室内側に網戸取付ヒレD1を設け、ロッド部材D2を前記網戸取付ヒレD1に埋めこむように、網目部材Dを取付けること(図18参照)で、その不便さが解消される。
その他の構成は、前記室内用防犯引違ブラインドアマドAと同様であり、同様な作用効果を奏する。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、ガラス障子等による施錠と、室内用防犯引違ブラインドアマドによる施錠とで、2重に施錠されるので、防犯機能が高まる。また、スラットを開いた状態で、ブラインド格子を引違い可能に前記開口部に取付けられるので、スラットをそれぞれ採光性が高い状態で開放して採光性や通風性を確保することができ、また火災等の非常時の場合にも室外側に脱出できる。また、建物の外観に影響を与える製品(例えば、室外側に取付けられるシャッター等)の設置に制約がある場合には、防犯上の不安があるが、本発明によれば、設置の制約に抵触することなく、防犯上の不安を解消できる。即ち、窓からの防犯対策が不充分なマンション等に取付けることで、防犯機能を高めることができる。
【0051】
請求項2に記載の発明によれば、前記室内用防犯引違ブラインドアマドと略同様の作用効果を奏する他、室内用防犯引込ブラインドアマドの場合、ブラインドのスラットを閉じた状態で、室内側に引込み可能に組付けられているので、建物の開口部を全面的に開放させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A) 室内用防犯引違ブラインドアマドの室内側正面図、(B)及び(C) 同平面図、
【図2】 同縦断面図、
【図3】 同横断面図、
【図4】 揺動機構の要部断面図、
【図5】 揺動機構の分解斜視図、
【図6】 揺動機構の操作スライダーの分解斜視図、
【図7】 同操作スライダーの動作説明図、
【図8】 揺動機構のねじりバーの正面図、
【図9】 (a)〜(c) スラットの動作説明図、
【図10】 スラットの動作説明図、
【図11】 別例に係る操作スライダーの分解斜視図、
【図12】 室内用防犯引込ブラインドアマドの室内側正面図、
【図13】 同要部縦断面図、
【図14】 室内用防犯内開きブラインド格子の室内側正面図、
【図15】 同縦断面図、
【図16】 鍵装置の透視正面図、
【図17】 鍵装置の透視正面図、
【図18】 網目部材の斜視図。
【符号の説明】
A 室内用防犯引違ブラインドアマド
A1 室内用防犯引込ブラインドアマド
A2 室内用防犯内開きブラインド格子
B 開口部
B1 木額 B2 枠体
B20 レール B21 スライド下向片
G ガラス障子
1 8 ブラインド格子 2 スラット
3 ねじりバー 4 バー部材
5 第1の伝達部材 6 第2の伝達部材
7 7A スラットホルダ 10 上框
11 下框 12 竪框
13 竪框 14 中框
15 操作スライダー
23 消音部材 30 一端
31 他端 32 回転軸
33 軸受 40 41 孔
50 第1の伝達部材の一端 51 他端
60 第2の伝達部材の一端 61 他端
70 回転軸
71 鍔部 72 楔部
9 クレセント 9A 鍵装置
121,131 中空部
122 132 遮光片
150 摘み片 151 スライダー本体
151a 本体部 151b 蓋体部
151c カシメ部
151d 孔 151e スプリング
151f ボール 152 孔
320 固定円柱部 321 回転部
322 4角孔 323 段差

Claims (2)

  1. 建物の開口部を開閉する開閉装置に対し、その室内側に配置される少なくとも2枚のブラインド格子を備え、
    これら内外ブラインド格子は、開閉可能に配置されている少なくとも1組の複数のスラットとクレセントを備えると共に、
    下枠にはレール、上枠にはスライド下向片がそれぞれ形成され、且つ、既設の開口部の木額(額縁)を介して固定される枠体であって、これらの各レールの間隔、各スライド下向片の間隔は、前記ブラインド格子のスラットを開いた状態で、各ブラインド格子が引違い可能な所定間隔であって、該所定間隔はスラットが内ブラインド格子の竪框から突出する最大幅と略同一か若干の遊びを加えた寸法が取られている室内用防犯ブラインドアマドであって、
    前記内ブラインド格子には、前記所定間隔を埋める塞ぎヒレが形成され、
    内ブラインド格子側にクレセント本体を、外ブラインド格子側にクレセント受を取付け、そのクレセント本体はキー付きのものを用いていることを特徴とする室内用防犯ブラインドアマド。
  2. 建物の開口部を開閉する開閉装置に対し、その室内側に配置される少なくとも2枚のブラインド格子を備え、
    これら内外ブラインド格子は、開閉可能に配置されている少なくとも1組の複数のスラットとクレセントを備えると共に、
    下枠にはレール、上枠にはスライド下向片がそれぞれ形成され、且つ、既設の開口部の木額(額縁)を介して固定される枠体であって、外ブラインド格子と内ブラインド格子との間隔は、内ブラインド格子のスラットを開放した状態ではそのスラットが内ブラインド格子の竪框から突出して外ブラインド格子の竪框にぶつかり、内ブラインド格子のスラットを閉じた状態で引違いできるスペースを備え、
    また前記ブラインド格子のスラットを閉じた状態で、内ブラインド格子と外ブラインド格子が室内の壁面に沿って引込且つ収納可能な室内用防犯ブラインドアマドであって、
    内ブラインド格子側にクレセント本体を、外ブラインド格子側に、クレセント受を取付け、クレセントキーが框の最下端に落ちるキー付きのものを用い、
    前記内外ブラインド格子により前記開口部を閉鎖した段階で、それらの内外ブラインド格子の無用なスライドを規制するため、各ブラインド格子又は何れかのブラインド格子の下枠に、前記額縁にロッドが出没可能で、且つ、鍵が抜き取り可能な鍵装置を取付けることを特徴とする室内用防犯ブラインドアマド。
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