JP3689029B2 - スクリュ式押出機のガス抜き装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリュ式押出機のガス抜き装置に関し、特に、原料中の気体または液体成分をシリンダに設けられたスクリーンを介して排出するガス抜き装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のガス抜き装置として、実開平5−86524号公報に示されるようなものがあり、これを図6および図7を参照して説明する。
【0003】
シリンダ21の原料供給口22から供給された微粉末状の原料23は、混練スクリュ24により可塑化、混練されるが、原料供給口22の下流側に設けられた排気口25のフイルタ部材26がシリンダ21の内壁面21aから離間した位置に設けられているため、この内壁面21aとフィルタ部材26間には、ある厚さt分の原料層23aが形成される。なお、フィルタ部材26上には、筒体27を介して蓋28が設けられ、この筒体27に弁29が接続されている。
【0004】
この原料層23aを、内壁面21aにおける原料23の嵩比重をフィルタ部材26に到達するまで徐々に上げ、原料23の各粉末体同志でミクロな空隙が自然に形成されたものとすることにより、長時間にわたり目詰まりなく安定的に、原料中に存在する気体等を排出口25から分離除去することができ、これにより上流方向への逆流をなくすことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガス抜き装置の場合、フイルタ部材の目詰まりがなく長時間運転するためには、原料層の厚さは、シリンダ径にもよるが3mm以上必要である。しかしながら、この滞留している原料層が、原料に混入して悪影響を及ぼすという問題がある。また、このガス抜き装置をゴム原料の脱水に使用する場合、パウダのように粉末体同士のミクロな空隙が形成されていないため、目詰まりを引き起こすという問題がある。また、フィラーなどが詰まったフィルタ部材を清掃する場合、押出機を停止する必要があるので、生産性の低下、時間のロス、交換の手間が発生するという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、フイルタ部材の目詰まりがなく、長時間運転することができるスクリュ式押出機のガス抜き装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によるスクリュ式押出機のガス抜き装置は、ホッパ部シリンダより下流側に設けられ、原料中の気体または液体成分を排出するガス抜き装置において、シリンダ内孔と連通する穴が側面に形成されているガス抜きシリンダと、該ガス抜きシリンダの前記穴に嵌め合される筒状部を有するスクリーン押え用金物と、該スクリーン押え用金物の先端面上を移動可能とされているスクリーンとを有し、スクリーン押え用金物の筒状部の先端に、スクリーン保護部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
前記ガス抜きシリンダとスクリーン押え用金物の間に、ガス抜きシリンダの穴と連通する穴が形成されているスクリーンガイド板が設けられ、該スクリーンガイド板には、スクリーンが移動する溝が設けられていることが好ましい。
【0010】
また、前記スクリーン押え金物にベントボックスが取り付けられていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明によるガス抜き装置を備えた噛み合い二軸スクリュ押出機の平面図である。
【0013】
同図に示すように、押出シリンダ1は、上流側からホッパ部シリンダ2、ガス抜きシリンダ3、中間シリンダ4、脱気シリンダ5、先端シリンダ6などから構成されている。なお、ホッパ部シリンダ2は、押出シリンダ1内のスクリュ7を回転する駆動装置8に取り付けられている。
【0014】
図2は、ガス抜き装置の構成図であり、図3は、図2のA−A矢視図である。図4は、ガス抜き装置の斜視図である。
【0015】
図2〜図4に示すように、ガス抜き装置(図4参照)は、側面の一部に縦方向の切り欠き部9を有し、シリンダ内孔10と連通する穴11が側面に形成されているガス抜きシリンダ3と、このガス抜きシリンダ3の切り欠き部9に嵌め込まれ前記穴11と連通する穴12が形成されているスクリーンガイド板13と、このスクリーンガイド板13に取り付けられ、このガイド板13の穴12に嵌め合される筒状部14aを有するスクリーン押え用金物14と、この金物14の筒状部14aの先端に設けられているスクリーン保護部材15と、前記スクリーン押え金物14に取り付けられているベントボックス16とから構成されている。
【0016】
前記スクリーンガイド板13には、図2中上下方向に長尺状のスクリーン17が通る溝18が形成されている。前記スクリーン押え用金物14の筒状部14aの先端には、ガス抜きシリンダ3の内孔10と同心であって、スクリーン保護部材15の厚みだけ大きい曲率半径を有する曲面が形成されている。
【0017】
スクリーン17は、コイル状に巻かれた長尺状のものが好ましいが、外部から溝18内に挿入できて引き出せるものであればよい。
【0018】
なお、スクリーンガイド板13を設けず、スクリーン17が通る溝18をガス抜きシリンダ3に形成してもよい。
【0019】
スクリーン保護部材15は、図5に示すようにスクリーン17が通る空間19が形成された網状物であり、その内壁面とシリンダ内孔面との隙間が0.5mmとなるようにスクリーン押え用金物14の筒状部14aで支持されている。
【0020】
なお、スクリーン保護部材15を別個に設けず、スクリーン押え用金物14の先端表面に網状物を一体に設けてもよい。
【0021】
前記ベントボックス16はベント蓋16aで密閉され、その上部に設けた排出管16bは図示しない真空装置と連通している。
【0022】
次に、上記ガス抜き装置の動作について説明する。
【0023】
ホッパ部シリンダ2に供給された熱可塑性樹脂とフィラーは、スクリュ7で混練される。その時に発生するガス分およびフィラーの巻き込みエアーは、ホッパ部シリンダ2側に移動しようとするが、これらはガス抜き装置によって吸引されて排出される。
【0024】
時間の経過とともに、ガス抜きシリンダ3に設けられているスクリーン17が詰まって脱気効果は徐々に失われる。そこで、図2に示すようにスクリーン17を矢印方向に引張って移動し、新しいスクリーン17とすることにより脱気効果を回復することができる。スクリーンは、手で引張ってもよいが、モータなどによって引張ってもよい。
【0025】
脱水分野においても、ホッパ部シリンダ3に供給された水と原料はスクリュ7で混練され、ガス抜きシリンダ3から水が除去される。この時、原料もスクリーン17に付着し、脱水効果は徐々に失われるが、上記と同様、スクリーン17を移動し、新しいスクリーン17とすることにより、脱水効果を回復することができる。
【0026】
(実施例)
使用機:かみ合い型二軸スクリュ押出機(日本製鋼所製、型番TEX-65、スクリュ径65mm)
使用原料:PP+50%未乾燥木粉(62.06μmの木粉)
結果:
スクリュ回転(rpm)、 能力(kg/h)
200 150 ガス抜き装置なし
200 250 ガス抜き装置あり
ガス抜き装置なしの場合、約8時間で目詰まりによる能力ダウンが発生した。
【0027】
以上のように、本発明によるガス抜き装置においては、押出能力の大幅にアップすると共に、この効果を持続することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、気体または液体成分を排出するガス抜きシリンダにおいて、原料の滞留やフイルタの目詰まりがないので、押出機を長時間運転することができる。また、スクリーンのメッシュを自由に交換できるので、様々な原料に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガス抜き装置を備えた噛み合い二軸スクリュ押出機の平面図である。
【図2】ガス抜き装置の構成図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】ガス抜き装置の斜視図である。
【図5】スクリーン保護部材の構成図である。
【図6】従来のスクリュ式押出機の断面図である。
【図7】図6の要部断面図である。
【符号の説明】
1 押出シリンダ
2 ホッパ部シリンダ
3 ガス抜きシリンダ
4 中間シリンダ
5 脱気シリンダ
6 先端シリンダ
7 スクリュ
8 駆動装置
9 切り欠き部
10 シリンダ内孔
11、12 穴
13 スクリーンガイド板
14 スクリーン押え用金物
14a 筒状部
15 スクリーン保護部材
16 ベントボックス
16a ベント蓋
16b 排気管
17 スクリーン
18 溝
19 空間

Claims (3)

  1. ホッパ部シリンダ(2)より下流側に設けられ、原料中の気体または液体成分を排出するガス抜き装置において、シリンダ内孔(10)と連通する穴(11,12)が側面に形成されているガス抜きシリンダ(3)と、該ガス抜きシリンダ(3)の前記穴(11,12)に嵌め合される筒状部(14a)を有するスクリーン押え用金物(14)と、該スクリーン押え用金物(14)の先端面上を移動可能とされているスクリーン(17)とを有し、前記スクリーン押え用金物(14)の筒状部(14a)の先端に、スクリーン保護部材(15)が設けられていることを特徴とするスクリュ式押出機のガス抜き装置。
  2. 前記ガス抜きシリンダ(3)とスクリーン押え用金物(14)の間に、ガス抜きシリンダ(3)の穴(11)と連通する穴(12)が形成されているスクリーンガイド板(13)が設けられ、該スクリーンガイド板(13)には、スクリーン(17)が移動する溝(18)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のスクリュ式押出機のガス抜き装置。
  3. 前記スクリーン押え金物(14)にベントボックス(16)が取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載のスクリュ式押出機のガス抜き装置。
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