JP3688634B2 - 光ディスク装置のトレイ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクからのデータの読み出しおよび/または光ディスクへデータを書込む光ディスク装置が具備する、光ディスクを載置するトレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
CDやDVDなどの光ディスクを装着してデータの再生や記録を行なう装置として光ディスク装置がある。
光ディスク装置へのディスクの装着は、ディスクを載置可能なトレイによって行なわれるものが多い。
【0003】
従来のトレイの形状を示す斜視図を図8に示す。
トレイ9には光ディスク(図示せず)を載置するため、凹んで形成された載置部8が設けられている。
さらにトレイ9には、光ディスクを保持するターンテーブル(図示せず)がトレイ下面側から突出できるように、且つ光ディスクに記録されたデータを読み出しおよび/またはデータを書込む光ピックアップ(図示せず)が光ディスクの記録面に対峙できるように、載置部8a中心から光ピックアップの移動方向に沿って開口して形成された開口部6が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、光ディスクの回転速度が高速化するに伴って光ディスクの風切り音が問題となってきている。このような風切り音は、ユーザが不快になるという課題がある。
また、風切り音が発生しているということから、空気の流れが乱れており、この空気の乱れを原因として光ディスクに振動が多く発生してしまうのではないかというおそれもある。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、光ディスクの回転速度が高速化している場合であっても光ディスクで発生する風切り音の発生を防止し、ひいては光ディスクの回転に伴う空気の流れがスムーズになるような光ディスク装置のトレイを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、風切り音の発生のメカニズムについて次のような仮説をたてた。
すなわち、トレイに光ディスクを載置した場合には、光ディスクと載置部の底面との間には隙間があいているが、光ディスクの回転によってこの隙間内にトレイの開口部の端部から空気が入り込む。このとき、この隙間の厚さは一定であるので光ディスクの回転に伴い、隙間内に流入した空気は圧縮されることとなる。そして、この空気は流入した側と反対の開口部の端部から流出されることとなるが、圧縮されていた空気が開口部へ流出することにより、空気の圧力が一度に開放される。このとき、空気の圧力の開放に伴い風切り音が発生するのではないか、というのである。
【0007】
そこで、本発明者は、光ディスクと載置部の底面との間で圧縮されていた空気が開口部へ一気に開放されるのではなく、徐々に開放されるようにするのであれば風切り音は発生しなくなるのではないかと考え、本発明に想到した。
【0008】
すなわち、本発明にかかる光ディスク装置のトレイによれば、光ディスクを載置させるように、大径の部位と、該大径の部位よりも深さが深く形成されている小径の部位とが同心円状に凹設された載置部と、該載置部の底板の一部が、載置部の中心から光ピックアップの移動方向に沿って開口して形成された開口部とを有するトレイにおいて、前記載置部の底面の前記開口部との縁部には、載置された光ディスクとの間の隙間が前記開口部に向けて徐々に広がるように傾斜して形成された傾斜面を設け、該傾斜面は、前記載置部の前記大径の部位と前記小径の部位の両方にわたって形成されていることを特徴としている。
この構成を採用することによって、光ディスクと載置部の底面との間に存する空気は、開口部との縁部に移動していくと徐々に圧力が低下するようになるので、圧縮されていた空気が開口部へ一気に開放されるということがなくなり、風切り音の発生を防止できる。
【0009】
また、前記傾斜面には、1または複数の窪みが形成されていることにより、この傾斜面に接している空気に小さな乱流が生じるので、開口部へ空気をスムーズに流出させることができ、さらに風切り音の防止に寄与することができる。
【0010】
本発明にかかる光ディスク装置のトレイによれば、光ディスクを載置させるように凹設された載置部と、該載置部の底板の一部が、載置部の中心から光ピックアップの移動方向に沿って開口して形成された開口部とを有するトレイにおいて、前記載置部の底面の前記開口部との縁部には、前記開口部に一端が開口するように形成されたスリットを1または複数設けたことを特徴としている。
この構成を採用することによって、光ディスクと載置部の底面との間で圧縮された空気が開口部へ流出する際に、スリットから少しずつ抜けていくので空気の圧力が徐々に低下し、開口部へ空気が流出する際に圧力が一気に開放されることを防止することができる。
【0011】
また、前記スリットは、平面視円弧状に形成されていることを特徴とするので、光ディスクの回転方向に沿って、光ディスクと載置部の底面との間の空気を徐々に抜くことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明の第1実施形態の斜視図を、図2に図1に示したトレイの平面図を、図3に図2におけるA−A断面図を示す。
トレイ30には、光ディスク10(図3参照)を載置するための載置部32が形成されている。載置部32は、光ディスクが載置されるよう、光ディスクの直径よりもやや大きめであって、トレイ上面33よりも凹んだ形状に設けられている。
【0013】
本実施形態では、載置部32は同心円状に2段に形成されている。載置部32のうち深さが浅く形成されている大径の部位34は、直径12cmの光ディスクを載置する部位である。一方、大径の部位34の内側には、大径の部位34よりも深さが深く形成されている小径の部位36が形成されている。この部位は、直径8cmの光ディスクを載置する部位である。
【0014】
トレイ30には開口部38が形成されている。
開口部38は、載置部32の円の中心32aから図示しないピックアップの移動方向(光ディスクの半径方向)に沿ってトレイ30が切り抜かれた状態に開口して形成されている。
開口部38において、載置部の中心32aには光ディスクを保持するためのターンテーブル(図示せず)がトレイ下面側から突出する。ターンテーブルはスピンドルモータ(図示せず)の出力軸に連結されており、保持した光ディスクを回転させる。
また、載置部32の底面を挟んで、光ディスクの記録面と対向する位置に配置された光ピックアップは、載置部32に載置された光ディスクの読み出しおよび/または書込み位置に移動する必要がある。このため、光ピックアップは開口部38内を光ディスクの半径方向に移動する。
【0015】
載置部32の底面の開口部38の縁部には、開口部38に向けて徐々に凹設された載置部32の深さが深くなるような傾斜面40が形成されている。言い換えると、傾斜面40は、載置部32に載置した光ディスクの記録面と載置部32の底面との間の隙間が徐々に広くなるように傾斜して形成されている。
この傾斜面40は、載置部32の大径の部位34と小径の部位36の両方にわたって形成されている。
【0016】
傾斜面40を設けたことによる作用について説明する。
まず、光ディスク10が回転すると、回転に伴って周囲の空気を巻き込んで、光ディスク10と載置部32の底面との隙間内に空気が流入することとなる(矢印a)。このとき、光ディスク10が時計の逆回りに回転しているとすると、図2における右側の開口部38端部から進入する。
【0017】
光ディスク10が高速回転するほど光ディスク10と載置部32の底面との間には空気が多く流入し、光ディスク10と載置部32の底面との間には、流入した空気は圧縮されつつ光ディスクの回転方向に移動する(矢印b)。
圧縮された空気は、光ディスク10の回転に伴い、図2における左側の開口部38端部から流出する(矢印c)。
この空気の流出の際、載置部32には傾斜面40が形成されて、光ディスク10と載置部32の底面との間の隙間が開口部38に向けて徐々に広がるので、圧縮されていた空気は、開口部38に接近するにつれ膨張して次第に圧力低下する。
【0018】
このようにして最終的に光ディスク10と載置部32の底面との間から空気が流出する(矢印c)場合には、圧力が一度に開放されることなく、徐々に圧力低下していくので、空気が一度に圧力開放される際に生じると思われる音の発生を防止できる。
【0019】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4に本発明の第2実施形態の斜視図を、図5に図4に示したトレイの平面図を、図6に図5におけるB−B断面図を示す。
なお、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0020】
本実施形態の特徴は、載置部32に、開口部38へ一端が開口するスリット44を形成したことにある。したがって、言い換えるとスリット44は、開口部38側からみると凹んで形成されている部位であるとも言える。
本実施形態のスリット44は、長さを変えて3本形成されている。載置部32の最外周側には最も長いスリット44a,最内周側には最も短いスリット44c,スリット44aとスリット44cの間にはこれらの中間の長さを有するスリット44bとを有している。
これら各スリット44a,44b,44cは、光ディスク10の平面形状に合わせて、載置部32の中心32aを中心とした円弧状に形成されている。
【0021】
次にスリット44を設けたことによる作用について説明する。
まず、光ディスク10が回転すると、回転に伴って周囲の空気を巻き込んで、光ディスク10と載置部32の底面との隙間内に空気が流入することとなる(矢印a)。このとき、光ディスク10が時計の逆回りに回転しているとすると、空気は図5における右側の開口部38端部から進入する。
【0022】
光ディスク10が高速回転するほど光ディスク10と載置部32の底面との間には空気が多く流入し、光ディスク10と載置部32の底面との間には、流入した空気は圧縮されつつ光ディスクの回転方向に移動する(矢印b)。
圧縮された空気は、光ディスク10の回転に伴い、図5における左側の開口部38端部から流出する(矢印c)。
この空気の流出の際、載置部32には複数のスリット44a,44b,44cが形成されて、光ディスク10と載置部32の底面との間の空気が各スリット44a,44b,44cからトレイ30の下面側に抜けるので、圧縮されていた空気は、開口部38に接近する次第に圧力低下する。
【0023】
このようにして最終的に光ディスク10と載置部32の底面との間から空気が流出する(矢印c)場合には、圧力が一度に開放されることなく、空気が一度に圧力開放される際に生じると思われる音の発生を防止できる。
【0024】
上述したスリットの長さは、外側のスリットの長さを最も長くなるようにしたが、このような長さに限定されることはなく、内側のスリットの長さを最も長くするようにしてもよいし、全てのスリットを同じ長さにしてもよい。
なお、第2実施形態におけるスリットの数は上述したような3本に限定されることはなく、1本であってもよいし、3本以外の数であってもよい。
さらに、第2実施形態ではスリットは全て大径の部位34に形成されるようになっていたが、小径の部位36にも形成するようにしてもよい。
【0025】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7に本発明の第3実施形態の平面図を示す。
なお、上記第1実施形態および第2実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0026】
本実施形態の特徴は、第1実施形態で説明した傾斜面40に窪み46(ディンプル)を形成した点にある。
窪み46は、傾斜面40全体に形成される。窪み46の形状はほぼ円形であり、深さは1mm程度あればよい。
【0027】
このように、傾斜面40に窪み46を形成したことにより、この窪み46上を流れる空気には乱流が生じる。
このため、載置部32の底面上を流れる空気の空気抵抗が減り、風切り音の減少に寄与することができるのである。
【0028】
なお、上述してきた各実施形態においては、傾斜面40、スリット44は載置部32において開口部38の縁部の両側に形成されていた。
しかし、少なくとも光ディスク10の回転によって光ディスクと載置部32の底面との間から空気が流出する側(図2、図5では左側)にのみ、傾斜面40やスリット44を形成するようにすればよい。
【0029】
なお、上述してきた実施形態においては、載置部32が開放されている側を上方としてきたが、これは図面上で説明の必要のためにこのように説明したものであり、載置部32が開放されている側が、側面になるように配置されているものであってもよい。
【0030】
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係る光ディスク装置のトレイによれば、光ディスクと載置部の底面との間で圧縮された空気が開口部へ流出する際に、光ディスクと載置部の底面との間の隙間が徐々に広がって空気の圧力が徐々に低下し、開口部へ空気が流出する際に圧力が一気に開放されることを防止することができる。
【0032】
また、傾斜面には、1または複数の窪みが形成されていることにより、この傾斜面に接している空気に小さな乱流が生じるので、開口部へ空気をスムーズに流出させることができ、さらに風切り音の防止に寄与することができる。
【0033】
さらに本発明に係る光ディスク装置のトレイによれば、載置部の底面の開口部との縁部には、開口部に一端が開口するように形成されたスリットを1または複数設けたことを特徴としているので、光ディスクと載置部の底面との間で圧縮された空気が開口部へ流出する際に、スリットから少しずつ抜けていくので空気の圧力が徐々に低下し、開口部へ空気が流出する際に圧力が一気に開放されることを防止することができる。
【0034】
また、スリットは、平面視円弧状に形成されていることを特徴とするので、光ディスクの回転方向に沿って、光ディスクと載置部の底面との間の空気を徐々に抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光ディスク装置におけるトレイの第1実施形態の斜視図である。
【図2】 図1に示したトレイの平面図である。
【図3】 図2に示したトレイのA−A断面図である。
【図4】 本発明に係る光ディスク装置におけるトレイの第2実施形態の斜視図である。
【図5】 図4に示したトレイの平面図である。
【図6】 図5に示したトレイのB−B断面図である。
【図7】 本発明に係る光ディスク装置におけるトレイの第3実施形態の斜視図である。
【図8】 従来のトレイの斜視図である。
【符号の説明】
10 光ディスク
30 トレイ
32 載置部
32a 中心
33 トレイ上面
34 大径の部位
36 小径の部位
38 開口部
40 傾斜面
44 スリット
44a,44b,44c スリット
46 窪み

Claims (4)

  1. 光ディスクを載置させるように、大径の部位と、該大径の部位よりも深さが深く形成されている小径の部位とが同心円状に凹設された載置部と、
    該載置部の底板の一部が、載置部の中心から光ピックアップの移動方向に沿って開口して形成された開口部とを有するトレイにおいて、
    前記載置部の底面の前記開口部との縁部には、載置された光ディスクとの間の隙間が前記開口部に向けて徐々に広がるように傾斜して形成された傾斜面を設け
    該傾斜面は、前記載置部の前記大径の部位と前記小径の部位の両方にわたって形成されていることを特徴とする光ディスク装置のトレイ。
  2. 前記傾斜面には、1または複数の窪みが形成されていることを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置のトレイ。
  3. 光ディスクを載置させるように凹設された載置部と、
    該載置部の底板の一部が、載置部の中心から光ピックアップの移動方向に沿って開口して形成された開口部とを有するトレイにおいて、
    前記載置部の底面の前記開口部との縁部には、前記開口部に一端が開口するように形成されたスリットを1または複数設けたことを特徴とする光ディスク装置のトレイ。
  4. 前記スリットは、平面視円弧状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の光ディスク装置のトレイ。
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