JP3688528B2 - 軒天構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋の外壁面より外に突出した軒先部と前記外壁面との間に軒天材が架け渡された軒天構造に係り、特に小屋裏の湿気の問題を考慮した軒天構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
冬期、室内から小屋裏に抜けた暖かく湿った空気が、戸外の冷たい空気で冷却された屋根面や妻小壁等に触れると、結露が発生するおそれがある。結露がひどい場合には、カビが発生したり塗料が剥げたりする被害が出る。
【0003】
そこで、一般的には、特開平11−159018号公報、特開平10−325191号公報に記載のように、小屋裏の換気を行うようにしている。
【0004】
図3は小屋裏の換気を行うようにした従来の軒天構造を示している。この家屋1では、外壁面2より外側に屋根3の軒先部4が突出しており、軒先部4と外壁面2との間に軒天材5が架け渡されている。軒天材5の上側の軒裏空間6は、家屋1の屋根3と居室7の天井8との間に確保された小屋裏9に連通している。そして、軒天見切り縁10に換気通路11を確保して小屋裏9の換気を行うようにしている。この場合、防火上の理由で、換気通路11にダンパ機能を持たせたり、熱膨張材により火災時には換気通路11が遮蔽するような工夫を施したりしている。なお、図中の矢印は湿気の流れを示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来では換気通路を確保して小屋裏の湿気を屋外に排出するようにしているが、換気通路を確保した場合、防火上の理由で、ダンパ機能やそれに類する機能を付加しなくてはならず、コストアップになっていた。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、コストを抑えながら、小屋裏の湿気の問題を解消できるようにした軒天構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、家屋の外壁面より外側に突出した軒先部と前記外壁面との間に軒天材が架け渡され、該軒天材の上側の軒裏空間が家屋の屋根と居室の天井との間に確保された小屋裏に連通している軒天構造において、前記軒天材として、前記小屋裏の湿気を屋外に排出する透湿性を備えた調湿軒天パネルを使用し、軒天部が調湿軒天パネルにより完全に遮断されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の調湿軒天パネルが、保水性を備えた多孔質パネルよりなることを特徴とする。
【0009】
ここで、保水性とは、水分を吸収してそのまま水分を内部に保持しておける機能を指し、その機能を備える多孔質パネルの例としては、多孔質セラミック、多孔質タイル、多孔質煉瓦、多孔質ガラス、気泡コンクリート、ALC(軽量気泡コンクリート)などの連続気泡を有するパネル、あるいは合成樹脂の多孔質体や繊維の集積体をパネル化したもの等が揚げられる。特に、空隙率が40〜70%の範囲にあるものが保水性を十分に発揮できる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の多孔質パネルが、素材の密なる層と粗なる層を厚さ方向に積層した層構造に構成されていることを特徴とする。
【0011】
この場合、密なる層と粗なる層は、どちらを屋外側(下側)に配置し、どちらを小屋裏側(上側)に配置するかで、透湿性能に変化を与えることができる。
【0012】
【作用】
本発明では、冬期に、居室より小屋裏内に侵入する湿気を、軒天材として配した調湿軒天パネルを通して屋外に排出することができる。即ち、小屋裏と屋外の間には蒸気圧差ができ、その蒸気圧差により、透湿性を備えた軒天材(調湿軒天パネル)を通して、小屋裏の湿気が屋外に排出される。
【0013】
また、調湿軒天パネルとして保水性を備えた多孔質パネルを使用することにより、蒸気圧差による透湿が期待できないときでも、小屋裏内の湿気を吸収することができる。この場合の保水機能は、いったん飽和した場合でも、多孔質パネルが屋外の風に当たって水分が放散されたりすることにより再生される。よって、多孔質パネルは持続的に保水性能を発揮することができる。
【0014】
また、多孔質パネルを、素材の密なる層と粗なる層を厚さ方向に積層した層構造にした場合には、空隙率の違いにより、湿気を多孔質パネル内において密なる層から粗なる層へ移動させることができる。したがって、例えば、屋外に面する側を粗なる層、小屋裏に面する側を密なる層に設定することで、小屋裏の湿気を積極的に屋外側へ移動させて透湿を助けることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態の軒天構造を示す断面図である。この家屋1では、外壁面2より外側に屋根13の軒先部4が突出しており、軒先部4と外壁面2との間に、軒天材として、透湿性を備えた調湿軒天パネル15が架け渡されている。軒天材として張り付けた調湿軒天パネル15の上側の軒裏空間6は、家屋1の屋根13と居室7の天井8との間に確保された小屋裏9に連通している。また、屋根13にも透湿ルーフィング13Aが設けられている。
【0016】
この場合、調湿軒天パネル15自体が透湿性を備えていることにより、換気通路を有した軒天見切り縁は省略されており、軒天部は防火対策(延焼防止)上、調湿軒天パネル15で完全に遮蔽されている。
【0017】
調湿軒天パネル15としては、保水性を備えた多孔質セラミックパネルが使用されている。ここでは、例えば、主材料成分が、スラグ(高炉スラグまたは溶融スラグ等)50〜60%、ガラスカレット(ガラス瓶等の破砕物)25〜35%、高炉セメント(普通セメントに高炉スラグを付加したもの)5〜15%からなるものを、800〜1200℃で焼結して製造した多孔質セラミックパネルが使用されている。この多孔質セラミックパネルは、その空隙率が50〜60%であり、十分に水分を吸収し、保水できるものである。また、防火性能も備えている。
【0018】
この家屋1においては、冬期に、隙間や天井を通して居室7より小屋裏9内に侵入した湿気(図中矢印で示す)を、軒天材として配した透湿性を有する調湿軒天パネル15を通して、屋外Sに排出することができる。
【0019】
即ち、冬期においては、湿度の高い小屋裏9と、乾燥した屋外Sとの間には蒸気圧差ができる。したがって、その蒸気圧差により、透湿性を備えた調湿軒天パネル15を通して、小屋裏9の湿気を屋外Sに排出することができる。その結果、小屋裏9の結露の問題を解消できる。特に、この場合、換気通路を確保するわけでないので、防火上の対策として、ダンパ機能を付加したりする必要がなく、コスト低減が図れる。
【0020】
また、調湿軒天パネル15として保水性を備えた多孔質パネルを使用しているので、蒸気圧差による透湿が期待できないときでも、小屋裏9内の湿気を吸収することができ、結露の防止を図ることができる。なお、この保水機能は、いったん飽和した場合であっても、多孔質パネルが屋外の風に当たって水分が放散されたりすることにより再生されるので、持続的に発揮される。
【0021】
調湿軒天パネル15として使用されている多孔質パネルは、図2(イ)、(ロ)に示すように、全部が均一な密度のものでもよいし、(ハ)、(ニ)に示すように、厚さ方向に密度の差のあるものでもよい。(イ)は密なる層15Aで全体を構成したパネル、(ロ)は粗なる層15Bで全体を構成したパネル、(ハ)は密なる層15Aを上側、粗なる層15Bを下側にして積層した層構造のパネル、(ニ)は密なる層15Aを下側、粗なる層15Bを上側にして積層した層構造のパネルを示している。(ハ)や(ニ)のような層構造にする場合、段階的に密度が変わるようにしてもよい。また、調湿軒天パネル15の下面は、透湿性の無機塗装を施すのが防火上好ましい。
【0022】
(ハ)や(ニ)のように、素材の密なる層15Aと粗なる層15Bを厚さ方向に積層して層構造にした場合には、空隙率の違いにより、湿気を調湿軒天パネル15内において密なる層15Aから粗なる層15Bへ移動させることができる。したがって、屋外に面する側を粗なる層15B、小屋裏に面する側を密なる層15Aに設定することで、小屋裏の湿気を積極的に屋外側へ移動させて透湿を助けることもできる。
【0023】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、調湿軒天パネルを構成する多孔質パネルを層構造にする場合でも、一体のパネルを内部的に層構造にするのではなく、密度を変えた複数枚のパネルを積層して全体で層構造になした調湿軒天パネルを構成してもよい。また、層の数は任意である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、軒天材に透湿性を備えた調湿軒天パネルを使用したので、この調湿軒天パネルを通して、小屋裏の湿気を屋外に排出することができ、結露の発生を防止することができる。また、調湿軒天パネルを通して小屋裏の湿気を逃がすことにより、小屋裏換気を積極的に行う必要がなくなるので、ダンパ等を使用しなくても、密閉した防火構造を安価に成立させることができる。
【0025】
請求項2の発明によれば、調湿軒天パネルとして保水性を備えた多孔質パネルを使用したので、蒸気圧差による透湿が期待できないときでも、小屋裏内の湿気を吸収して、結露の発生を防止することができる。
【0026】
請求項3の発明によれば、調湿軒天パネルを構成する多孔質パネルを、素材の密なる層と粗なる層を厚さ方向に積層した層構造にしたので、湿気を多孔質パネル内において密度の差を利用して移動させることができ、透湿を助けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に使用する調湿軒天パネルの層構造の例(イ)〜(ニ)を示す断面図である。
【図3】従来の軒天構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 家屋
2 外壁面
4 軒先部
6 軒裏空間
7 居室
8 天井
9 小屋裏
13 屋根
15 調湿軒天パネル
S 屋外
Claims (3)
- 家屋の外壁面より外側に突出した軒先部と前記外壁面との間に軒天材が架け渡され、該軒天材の上側の軒裏空間が家屋の屋根と居室の天井との間に確保された小屋裏に連通している軒天構造において、前記軒天材として、前記小屋裏の湿気を屋外に排出する透湿性を備えた調湿軒天パネルを使用し、軒天部が調湿軒天パネルにより完全に遮断されていることを特徴とする軒天構造。
- 前記調湿軒天パネルが、保水性を備えた多孔質パネルよりなることを特徴とする請求項1記載の軒天構造。
- 前記多孔質パネルが、素材の密なる層と粗なる層を厚さ方向に積層した層構造に構成されていることを特徴とする請求項2記載の軒天構造。
Priority Applications (1)
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JP26240499A JP3688528B2 (ja) | 1999-09-16 | 1999-09-16 | 軒天構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP26240499A JP3688528B2 (ja) | 1999-09-16 | 1999-09-16 | 軒天構造 |
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JP2001081913A JP2001081913A (ja) | 2001-03-27 |
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Family
ID=17375318
Family Applications (1)
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JP26240499A Expired - Lifetime JP3688528B2 (ja) | 1999-09-16 | 1999-09-16 | 軒天構造 |
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JP2002335748A (ja) * | 2001-05-22 | 2002-11-26 | Miki Giken Co Ltd | 建造物の屋上、屋根等の緑化用植栽ユニット、及びこれを用いた緑化用植栽構成体 |
-
1999
- 1999-09-16 JP JP26240499A patent/JP3688528B2/ja not_active Expired - Lifetime
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