JP3688466B2 - 眼鏡レンズ加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡枠に合うように被加工レンズを研削加工する眼鏡レンズ加工方法及び眼鏡レンズ加工装置に関する。
【0002】
【従来技術】
眼鏡枠にレンズを嵌合するため、ヤゲン溝を持つ円筒のヤゲン砥石によりレンズ周縁部にヤゲンを形成するように加工する眼鏡レンズ加工装置が知られている。
【0003】
従来、この種の装置では、眼鏡枠の形状データとレンズコバ位置とに基づいてヤゲン頂点軌跡を求め、このヤゲン頂点軌跡にヤゲン砥石のヤゲン溝中心を単純に一致させるものとして、ヤゲン形成のための加工データを算出していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヤゲン頂点軌跡は一般にカーブを持つので、上記のように算出したヤゲン加工データで加工を行うと、ヤゲン砥石のヤゲン加工斜面が予定するヤゲンに対して3次元的に干渉してしまい、実際に加工されるヤゲン頂点は予定のものより小さくなるという問題があった。この干渉は、特にヤゲン頂点軌跡のカーブがきつい場合に大きくなり、形成されたヤゲンが小さくなり過ぎると眼鏡枠への枠入れ時の良好なフィット感が得られない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、被加工レンズに形成するヤゲン形状を適切に確保して、レンズ枠入れ時のフィット感が良い加工が行える眼鏡レンズ加工方法及び装置を提供することを技術課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) ヤゲン溝を持つヤゲン砥石により被加工レンズを加工する眼鏡レンズ加工方法において、被加工レンズに形成するヤゲン頂点軌跡を決定するヤゲン軌跡決定段階と、該ヤゲン頂点軌跡により形成されるべきヤゲンと前記ヤゲン溝との干渉を所定の基準に比して小さくするように,前記ヤゲン砥石のヤゲン溝を成す第1ヤゲン加工斜面と第2ヤゲン加工斜面が前記ヤゲン頂点軌跡に接するときの位置を求め,被加工レンズを回転するレンズ回転軸と前記ヤゲン砥石の砥石回転軸との軸間距離方向及び砥石回転軸方向の位置を補正したヤゲン加工データを求めるヤゲン加工データ演算段階と、該ヤゲン加工データに基づいて前記ヤゲン砥石による加工を制御する加工制御段階とを備え、さらに前記ヤゲンデータ演算段階は、前記軸間距離を初期設定する第1段階と,初期設定した軸間距離に基づいて前記砥石回転軸方向でのヤゲン頂点軌跡と前記第1及び第2ヤゲン加工斜面とがそれぞれ接するときの砥石回転軸方向のヤゲン溝位置を別々に求める第2段階と,該第2段階により別々に求めたヤゲン溝位置からその差を求める第3段階と,該第3段階によるヤゲン溝位置の差に基づいて軸間距離を補正した補正軸間距離と砥石回転軸方向のヤゲン溝位置とを調整する第4段階と,前記第1段階〜第4段階を被加工レンズの回転角に対応させて順次繰り返すことによりヤゲン加工データを得る第5段階と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)のヤゲン加工データ演算段階は、前記第5段階により前記第1段階〜第4段階を被加工レンズの回転角に対応させて繰り返すときは、1つ前の回転角で求められた補正軸間距離を、次の回転角で初期設定する軸間距離とすることを特徴とする。
(3) (1)のヤゲン加工データ演算段階は、前記第3段階で求められる各ヤゲン溝位置の差が所定の第1の基準値より小さくなるまで、第4段階で求めた補正軸間距離を初期設定の軸間距離の代わりに使用して、前記第2段階及び第3段階の演算を繰り返すことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[装置全体の構成]
図1において、1はメインベ−ス、2はメインベ−ス1に固定されたサブベ−スである。100はレンズチャック上部、150はレンズチャック下部であり、加工時にはそれぞれのチャック軸で被加工レンズを挟持する。また、レンズチャック上部100の下方のサブベ−ス2の奥側には、レンズ厚測定部400が収納されている。
【0018】
300R,300Lはそれぞれの回転シャフトにレンズ研削用の砥石を持つレンズ研削部である。各レンズ研削部300R,300Lは、後述する移動機構によりそれぞれサブベ−ス2に対して上下方向、左右方向に移動可能に保持されている。レンズ研削部300Rの回転シャフトには、図2に示すように、粗砥石30、ヤゲン溝を持つ仕上砥石31が取り付けられている。本形態のヤゲン溝は、ヤゲン肩が無いサングラスレンズの加工に適するように、レンズ前面側と後面側のヤゲン加工斜面が共に同じ角度であり、ヤゲン溝の幅は4mmに形成している。仕上砥石31の上端面には円錐面を持つ前面用の面取砥石32が、プラスチック用粗砥石30の下端面には後面用の面取砥石33が同軸に取り付けられている。レンズ研削部300Lの回転シャフトには、プラスチック用粗砥石30、仕上砥石31と同じヤゲン溝を持つ鏡面仕上砥石34、円錐面を持つ前面鏡面用の面取砥石35及び後面鏡面用の面取砥石36が同軸に取り付けられている。これらの砥石群は、その直径が60mm程の比較的小さなものを使用し、加工精度を向上するとともに砥石の耐久性も確保するようにしている。
【0019】
装置の筐体前面には、加工情報等を表示する表示部10、デ−タを入力したり装置に指示を行う入力部11が設けられている。12は開閉可能な扉である。
【0020】
[主要な各部の構成]
<レンズチャック部>
図3はレンズチャック上部100及びレンズチャック下部150を説明するための図である。サブベ−ス2に固定された固定ブロック101の上部には、取付け板102によりDCモ−タ103が取り付けられている。DCモ−タ103の回転は、プ−リ104、タイミングベルト108、プ−リ107を介して送りネジ105に伝達され、送りネジ105が回転することにより固定ブロック101に固定されたガイドレ−ル109にガイドされてチャック軸ホルダ120が上下動する。チャック軸ホルダ120の上部にはパルスモ−タ130が固定されており、その回転はギヤ131、中継ギヤ132、ギヤ133へと伝達されてチャック軸121が回転するようになっている。135はフォトセンサ、136はチャック軸121に取り付けられた遮光板であり、フォトセンサ135はチャック軸121の回転基準位置を検出する。
【0021】
下側のチャック軸152はメインベ−ス1に固定されたホルダ151に回転可能に保持され、パルスモ−タ156の回転が伝達されて回転される。157はフォトセンサ、158はギヤ155に取り付けられた遮光板であり、フォトセンサ157は下チャック軸151の回転基準位置を検出する。
【0022】
<レンズ研削部の移動機構>
図4はレンズ研削部300Rの移動機構を説明する図である。201は上下スライドベ−ス201であり、サブベ−ス2の前面に固着された2つのガイドレ−ル202に沿って上下に摺動可能である。サブベ−ス2の側面には、コの字型のスクリュ−ホルダ203が固着され、スクリュ−ホルダ203の上端にはパルスモ−タ204Rが固定されている。パルスモ−タ204Rの回転軸にはボ−ルネジ205がカップリングされており、ボ−ルネジ205が回転することにより、ナットブロック206に固定された上下スライドベ−ス201がガイドレ−ル202にガイドされて上下動する。サブベ−ス2と上下スライドベ−ス201との間にはバネ207が掛け渡されており、バネ207は上下スライドベ−ス201を上方へ付勢し、上下スライドベ−ス201の下方への荷重をキャンセルして上下の移動を容易にしている。208Rはフォトセンサ、209はナットブロック206に固定された遮光板であり、フォトセンサ208Rは遮光板209の位置を検出して上下スライドベ−ス201の上下移動の基準位置を決定する。
【0023】
210はレンズ研削部300Rが固定される左右スライドベ−スであり、上下スライドベ−ス201の固着された2つのガイドレ−ル211に沿って左右に摺動可能である。上下スライドベ−ス201の下端部にはコの字型のスクリュ−ホルダ212が固着され、スクリュ−ホルダ212の側部にはパルスモ−タ214Rが固定されており、その回転軸にはボ−ルネジ213がカップリングされている。ボ−ルネジ213にはナットブロック215が螺合しており、ナットブロック215は、図5に示すように、左右スライドベ−ス210の下部から伸びる突出部210aとバネ220により連結されている(なお、図5に示す機構は、図4におけるナットブロック215の背後に収納されている)。バネ220は左右スライドベ−ス210をレンズチャック側に付勢している。パルスモ−タ214Rの回転によりボ−ルネジ213が回転されてナットブロック215が図5上の左側に移動すると、バネ220に引っ張られる左右スライドベ−ス210も左側に移動する。被加工レンズの加工時にバネ220の付勢力よりも強い研削圧がかかると、ナットブロック215が左側に移動しても左右スライドベ−ス210は移動せず、被加工レンズへの研削圧が調整される。ナットブロック215が図上の右側に移動すると、ナットブロック215に突出部210aが押され、左右スライドベ−ス210も右側に移動する。突出部210aにはフォトセンサ221Rが取り付けられており、フォトセンサ221Rはナットブロック215に固定された遮光板222を検知すことにより、加工終了を検知する。
【0024】
また、スクリュ−ホルダ212に固定されたフォトセンサ216Rは、ナットブロック215に固定された遮光板217の検出して左右スライドベ−ス210の左右移動の基準位置を決定する。
【0025】
レンズ研削部300Lの移動機構はレンズ研削部300Rの移動機構と左右対称であるので、その説明は省略する。
【0026】
<レンズ研削部>
図6はレンズ研削部300Rの構成を示す側面断面図である。左右スライドベ−ス210にはシャフト支基301が固定されており、シャフト支基301の前部には、粗砥石30等の砥石群を下方部に取付けた上下に伸びる回転シャフト304を回転可能に保持するハウジング305が固定されている。シャフト支基301の上部には、取付け板311を介してサ−ボモ−タ310Rが固定されており、サ−ボモ−タ310Rの回転はプ−リ312、ベルト313、プ−リ306を介して回転シャフト304に伝達されて砥石群が回転する。
【0027】
レンズ研削部300Lの構成は、レンズ研削部300Rと左右対称に同じ構成を持つので、その説明は省略する。
【0028】
<レンズ厚測定部>
図7はレンズ厚測定部400を説明する図である。レンズ厚測定部400は、2つのフィ−ラ523、524を持つ測定ア−ム527、測定ア−ム527を回転するDCモ−タ(図示せず)等の回転機構、測定ア−ム527の回転を検出してDCモ−タの回転を制御するセンサ−板510とホトスイッチ504,505、測定ア−ム527の回転量を検出してレンズ前面及び後面の形状を得るためのポテンショメ−タ506等からなる検出機構等から構成される。このレンズ厚測定部400の構成は本願発明と同一出願人による特開平3−20603号等と基本的に同様であるので、詳細はこれを参照されたい。なお、図7に示したレンズ厚測定部400は、特開平3−20603号と異なり、前後移動手段630により装置に対して前後方向(矢印方向)に移動され、その移動量は枠形状デ−タに基づいて制御される。また、測定ア−ム527は下方の初期位置から回転上昇し、レンズ前面屈折面及びレンズ後面屈折面それぞれに対してフィ−ラ523、524を当接してレンズ厚を測定するので、測定ア−ム527の下方への荷重をキャンセルするコイルバネ等をその回転軸に取り付けることが好ましい。
【0029】
レンズ厚(コバ厚)の測定は、前後移動手段630によりレンズ厚測定部400を前後させ、測定ア−ム527を回転上昇させてフィ−ラ523をレンズ前面屈折面に当接させながらレンズを回転させることにより、レンズ前面屈折面の形状を得た後、次にフィ−ラ524をレンズ後面屈折面に当接させてその形状を得る。
【0030】
<制御部>
図8は装置の制御系を示す概略ブロック図である。600は装置全体の制御を行う制御部であり、表示部10、入力部11、マイクロスイッチ110、各フォトセンサが接続されている。また、ドライバ620〜628を介して移動用、回転用の各モ−タが接続されている。レンズ研削部300R用のサ−ボモ−タ310R及びレンズ研削部300L用のサ−ボモ−タ310Lに接続されたドライバ622、625は、加工時のサ−ボモ−タ310R,310Lの回転トルク量をそれぞれ検出して制御部600にフィ−ドバックする。制御部600はこの情報をレンズ研削部300R,300Lの移動制御や、レンズ回転の制御に利用する。
【0031】
601はデ−タの送受信に使用されるインタ−フェイス回路であり、レンズ枠形状測定装置650(特開平4−93164号等参照)やレンズ加工情報を管理するコンピュ−タ651、バ−コ−ドスキャナ652等を接続することができる。602は装置を動作するためのプログラムが記憶された主プログラムメモリ、603は入力されるデ−タやレンズ厚測定デ−タ等を記憶するデ−タメモリである。
【0032】
以上のような構成を持つ装置において、その動作を説明する。ここでは、被加工レンズとして度無しサングラスレンズを例にとり、その厚さは2.2mmでヤゲン肩の形成が必要ないものとする。
【0033】
まず、加工者はレンズ枠形状測定装置650により測定した枠データをインタ−フェイス回路601を介して装置本体側に入力する。入力されたデータはデ−タメモリ603に転送記憶され、表示部10には枠データに基づく玉型形状が表示される。加工者はレンズ材質、フレーム材質、加工モード等の加工条件を入力部11のスイッチにより入力した後、所定の処理が施された被加工レンズをチャック軸121、152によりチャッキングし、スタートスイッチを押して装置を動作させる。
【0034】
制御部600はスタ−ト信号の入力によりレンズ厚測定部400、前後移動手段630を作動させ、枠データの動径情報に基づくコバ位置情報を得る。その後、得られたコバ位置情報に基づき所定のプログラムに従ってレンズに施すヤゲン頂点の軌跡データ(rsδn,rsθn,zn)(n=1,2,3,……N)を得る。ヤゲン頂点軌跡の算出については、前面カ−ブ及び後面カ−ブからカ−ブ値を求める方法、コバ厚を分割する方法やこれらを組み合わせる方法等が提案されている。例えば、本願発明と同一出願人による特開平5−212661号等に詳細に記載されているので、これを参照されたい。なお、ここでは、度無しサングラスレンズを例にとっているので、ヤゲン状態を見た目に良好とするためにヤゲン頂点はレンズコバ厚の中央に位置させるものとする。
【0035】
ヤゲン頂点の軌跡デ−タが得られたら、このヤゲン頂点を予定通りに確保するためのヤゲン加工軌跡データを求める。以下、この算出について説明する。
【0036】
ヤゲン頂点軌跡に対する仕上砥石31のヤゲン溝の3次元的干渉は、ヤゲン溝をなす上斜面V1と下斜面V2(図9参照)のそれぞれについて生じるので、この上斜面V1及び下斜面V2によるヤゲン頂点軌跡の干渉を別々に考える。
【0037】
今、図9のように、レンズ回転軸を基準として装置に対する左右方向をX軸、前後方向をY軸、レンズ回転軸方向をZ軸とするXYZ座標系を考える。このとき、上斜面V1及び下斜面V2による砥石面は、それぞれ次の式1及び式2で表される。
【数5】
【0038】
ここで、XはX軸方向でのレンズ回転軸と砥石回転軸の軸間距離、YはY軸方向でのレンズ回転軸と砥石回転軸の軸間距離、ZはZ軸方向における基準位置に対する上斜面V1及び下斜面V2の仮想頂点の高さとする。ψ1はZ軸方向に対する上斜面V1の傾斜角とし、ψ2はZ軸方向に対する下斜面V2の傾斜角とする。
【0039】
この式1、式2を変形して、上斜面V1の仮想頂点高さをZV1、下斜面V2の仮想頂点高さをZV2とすると、
【数6】
となる。
【0040】
次に、上斜面V1及び下斜面V2によるヤゲン頂点軌跡の干渉を求めるに当たって、図10のように、上斜面V1側のヤゲン溝中心高さをZT、下斜面V2側のヤゲン溝中心高さをZBとして、別々に考える。このとき、ZTとZV1の距離差をC1、ZBとZV2との距離差をC2とすると、ZT及びZBは、
【数7】
となる。また、上記の距離差C1、C2は、仕上砥石31の半径をR、ヤゲン溝中心に対する上斜面V1側の溝間隔をb1、ヤゲン溝中心に対する下斜面V2側の溝間隔をb2とすれば、次式で表される。
【数8】
【0041】
なお、本形態ではψ1と、ψ2は共に同じ角度であるので、これをψとし、b1とb2も同じになるので、C1とC2も同じになり、これをCとする。また、本形態ではY=0であるので、式5及び式6は次のように表される。
【数9】
【0042】
ヤゲン加工軌跡データは、上記の式9及び式10の(x,y,z)にヤゲン頂点の軌跡データを代入して、ZTの最大値及びZBの最小値を求め、その差に基づいて軌跡を算出するという方法で、X方向の砥石回転軸の移動量(レンズ回転軸と砥石回転軸の軸間距離)とZ方向のヤゲン溝中心高さを算出する。
【0043】
この計算手順は次のように行う(図11、図12のフローチャート参照)。なお、ヤゲン頂点軌跡データ(rsδn,rsθn,zn)は極座標系から直交座標系に変換した(xn,yn,zn)(n=1,2,3,……N)を用いる。
【0044】
まず、ヤゲン頂点軌跡の最初の1点(ヤゲン頂点軌跡の回転開始点)に対するXの値を仮に決める。例えば、ヤゲン頂点軌跡の動径情報に対して、仕上砥石31(ヤゲン溝中心と考えても良い)が接するときの2次元的に求めた軸間距離とする。
【0045】
次に、式9及び式10の(x,y,z)にヤゲン頂点軌跡データ(xn,yn,zn)(n=1,2,3,……N)を代入して、加工開始点のZTの最大値ZTmax及びZBの最小値ZBminをそれぞれ算出し、その差ΔZを、
【数10】
で求める。このΔZからレンズ径方向の補正量ΔXを下式を用いて求める(当然の事ながらΔZがマイナスの場合に、ΔXもマイナスとなる)。
【数11】
【0046】
求められたΔXを先に使用したXに加え、新たに求めた補正後のXにて再びZTmax及びZBminを算出し、その差のΔZを求める。これから更にΔXの算出、ΔXを1つ前のXに加えて新たなる補正後のXの算出を繰り返して、ΔZの大きさが最終的にある基準値以下(これを第1の基準値といい、例えば、0.005mmとする)になるまで計算する。このときの最終的な補正後のXを加工開始点での径方向(X方向)の値とし、Z方向に関しては最終的なZTmaxとZBminの差が十分に少ないが、この中点をZ方向の値とする。
【0047】
次に、ヤゲン頂点軌跡を微小な任意の角度だけレンズ回転軸を中心に回転させ、Xの値が1つ前の回転角でのXと仮に等しいとして、ZTmax及びZBminを算出し、その差のΔZを求める。これから式12を用いてX方向を補正する。このときのΔZの大きさが、第1の基準値よりは緩いある基準値以下(これを第2の基準値といい、例えば、0.03mmとする)になるまで上記の計算を繰り返す。ΔZの大きさが第2の基準値以下になれば、上記の要領でX方向とZ方向の値を算出する。
【0048】
以後は一つ前のXを参照しながら、ヤゲン頂点軌跡の座標の回転角をξi(i=1,2,3,……N)とし、全周に亘ってX方向とZ方向の値を算出する。この場合、ヤゲン加工軌跡の加工開始点と終了点が大きくずれない方が良いので、最後に近づくに従い第2の基準値を第1の基準値に徐々に持っていくことも有効である。
【0049】
以上のような手順により、それぞれのξiでのX方向の値をXi、Z方向の値をZiとするヤゲン加工軌跡データ(Xi,Zi,ξi)(i=1,2,3,……N)が得られる。加工データはデータメモリ603に記憶される。
【0050】
なお、上記の第2の基準値を第1の基準値より緩くしたのは、計算時間の短縮を図るためであり、この値として0.03mm程度であれば、再補正の計算が必要なケースはほとんどなく、従来干渉を起こしていた部分も画期的に改善されたことが確認できた。干渉を起こさない部分については、式12の補正でほぼ正確にヤゲン頂点軌跡が確保できる。
【0051】
以上のようにしてヤゲン加工データが得られると、次に、制御部600は粗加工用の加工情報に基づいて粗加工を行う。制御部600は、サ−ボモ−タ310R,310Lを駆動してレンズ研削部300R,300Lの両砥石群を回転させる。また、左右のパルスモ−タ204R,204Lを駆動して両側の上下スライドベ−ス210を下降移動し、左右の粗砥石30が共に被加工レンズの高さ位置に来るようにする。その後、パルスモ−タ214R,214Lを回転してレンズ研削部300R、300Lをそれぞれ被加工レンズ側にスライド移動させるとともに、上下のパルスモ−タ130、156を同期して回転させてチャック軸121、152にチャッキングされた被加工レンズを回転する。左右の粗砥石30は回転しながら被加工レンズ側へ移動することにより、レンズを2方向から徐々に研削する。粗砥石30のレンズ側への移動量は、加工データに基づいて左右それぞれ独立して制御される。
【0052】
粗加工が終了すると、仕上砥石31による仕上げ加工に移る。制御部600はレンズ研削部の移動機構により両粗砥石S0を被加工レンズから離脱させた後、仕上砥石31のヤゲン溝中心高さが加工開始のヤゲン頂点軌跡の高さ位置になるようにレンズ研削部300Rを移動する。その後、仕上砥石31をレンズ方向に移動して加工を開始し、ヤゲン加工軌跡データに基づいてレンズの回転、X方向の移動及びZ方向の移動を制御して、被加工レンズの全周縁にヤゲン加工を行う。前述のヤゲン加工軌跡データに従った加工制御により、被加工レンズには予定するヤゲン頂点軌跡が確保されたヤゲンが形成される。これにより、枠入れ時のヤゲンのフィット感が良好になる。
【0053】
以上、ヤゲン肩の形成が必要ない被加工レンズの場合を例にとって説明したが、ヤゲン肩を形成するレンズであっても同様に適用することにより、ヤゲン頂点を確保したヤゲン形成ができる。ただしこの場合、ヤゲン溝の傾斜面による3次元干渉の度合いが大きいところでは、ヤゲン肩部分の径はその分大き目に形成される。この対応としては、従来の方法でヤゲンを形成した場合のヤゲン頂点位置とヤゲン頂点を確保したときの位置の半分程度にする等、ヤゲン肩の程度に応じて径方向のヤゲン頂点位置を調整すれば良い。こうすることにより、全く調整しない場合に比べて眼鏡枠へのフィット感も良好にしつつ、ヤゲン肩の変化による見栄えの影響を少なくできる。
【0054】
また、ヤゲン肩が大き目に形成された部分については、面取りによりその大きさの変化を抑えることも有効である。面取り加工には、前面用の面取砥石32及び面用の面取砥石33を使用して加工する。この面取り加工の方法については、本出願人による特願平9−41477号に記載したものを使用できる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ヤゲン溝の傾斜と被加工レンズとの3次元的な干渉を考慮したヤゲン加工データを得ることにより、被加工レンズに形成するヤゲン頂点を適切に確保することができる。これにより、レンズ枠入れ時のフィット感を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の全体構成を示す図である。
【図2】砥石構成を示す図である。
【図3】レンズチャック上部及び下部の構成を説明する図である。
【図4】レンズ研削部の移動機構を説明する図である。
【図5】レンズ研削部の左右の移動と加工終了検出機構を説明する図である。
【図6】レンズ研削部の構成を説明する側面断面図である。
【図7】レンズ厚測定部を説明する図である。
【図8】装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図9】ヤゲン頂点軌跡とヤゲン溝の干渉を説明するための座標系を示す図である。
【図10】ヤゲンの上斜面側のヤゲン溝中心高さと、ヤゲンの下斜面側のヤゲン溝中心高さを、別々に示した図である。
【図11】ヤゲン加工軌跡データ算出の計算手順を説明するフローチャートを示す図である。
【図12】ヤゲン加工軌跡データ算出の計算手順を説明するフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
31 仕上砥石
121,151 チャック軸
300R,300L レンズ研削部
600 制御部
650 レンズ枠形状測定装置
V1 上斜面
V2 下斜面
Claims (3)
- ヤゲン溝を持つヤゲン砥石により被加工レンズを加工する眼鏡レンズ加工方法において、被加工レンズに形成するヤゲン頂点軌跡を決定するヤゲン軌跡決定段階と、該ヤゲン頂点軌跡により形成されるべきヤゲンと前記ヤゲン溝との干渉を所定の基準に比して小さくするように,前記ヤゲン砥石のヤゲン溝を成す第1ヤゲン加工斜面と第2ヤゲン加工斜面が前記ヤゲン頂点軌跡に接するときの位置を求め,被加工レンズを回転するレンズ回転軸と前記ヤゲン砥石の砥石回転軸との軸間距離方向及び砥石回転軸方向の位置を補正したヤゲン加工データを求めるヤゲン加工データ演算段階と、該ヤゲン加工データに基づいて前記ヤゲン砥石による加工を制御する加工制御段階とを備え、さらに前記ヤゲンデータ演算段階は、前記軸間距離を初期設定する第1段階と,初期設定した軸間距離に基づいて前記砥石回転軸方向でのヤゲン頂点軌跡と前記第1及び第2ヤゲン加工斜面とがそれぞれ接するときの砥石回転軸方向のヤゲン溝位置を別々に求める第2段階と,該第2段階により別々に求めたヤゲン溝位置からその差を求める第3段階と,該第3段階によるヤゲン溝位置の差に基づいて軸間距離を補正した補正軸間距離と砥石回転軸方向のヤゲン溝位置とを調整する第4段階と,前記第1段階〜第4段階を被加工レンズの回転角に対応させて順次繰り返すことによりヤゲン加工データを得る第5段階と、を備えることを特徴とする眼鏡レンズ加工方法。
- 請求項1のヤゲン加工データ演算段階は、前記第5段階により前記第1段階〜第4段階を被加工レンズの回転角に対応させて繰り返すときは、1つ前の回転角で求められた補正軸間距離を、次の回転角で初期設定する軸間距離とすることを特徴とする眼鏡レンズ加工方法。
- 請求項1のヤゲン加工データ演算段階は、前記第3段階で求められる各ヤゲン溝位置の差が所定の第1の基準値より小さくなるまで、第4段階で求めた補正軸間距離を初期設定の軸間距離の代わりに使用して、前記第2段階及び第3段階の演算を繰り返すことを特徴とする眼鏡レンズ加工方法。
Priority Applications (6)
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