JP3688159B2 - L−アスパラギン酸塩の保存方法及び/又は輸送方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−アスパラギン酸塩を高濃度アスパラギン酸塩水溶液として保存及び/又は輸送する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
L−アスパラギン酸塩は、アスパルターゼによるフマル酸とアンモニアの反応によって得られるものであり、その代表的な塩としては反応によって直接で生成するL−アスパラギン酸アンモニウム塩、該L−アスパラギン酸アンモニウム塩に水酸化ナトリウムを添加し塩交換によって得られるL−アスパラギン酸ナトリウム塩、同様に塩交換反応により得られるL−アスパラギン酸カリウム塩、L−アスパラギン酸マグネシウム塩等が挙げられる。そして、これらの塩水溶液の調製方法については特開昭58-170480号公報、特開平9-202758号公報に開示されている。この特開平9-202758号公報には、フマル酸とアンモニアから生成したL−アスパラギン酸アンモニウム塩水溶液及び水酸化ナトリウムとを併せ、これを蒸留塔の上部から流入させることにより、蒸留塔の上部から遊離したアンモニアと若干の水を得るとともに蒸留塔下部から塩交換により生成したL−アスパラギン酸ナトリウム塩を得ることが記載されている
しかしながら、これらの方法では、得られるL−アスパラギン酸塩水溶液の濃度が低く、通常20〜30重量%の範囲である。これらの水溶液を大量に貯蔵、輸送する場合、L−アスパラギン酸塩よりも大過剰の水を含む溶液を扱うことになり、非常に大きな貯蔵槽が必要であるばかりでなく輸送のコストが大きくなってしまうなどの問題があった。L−アスパラギン酸塩水溶液を貯蔵や輸送せずに、そのまま次の反応の原料とする場合、例えば脂肪酸の酸クロライドとの反応を行って、界面活性剤を製造する場合などには、そのままの濃度で使用できるためこれらの問題は発生しない。しかし、すぐに使用しない場合には、アスパラギン酸塩水溶液の貯蔵、また他の場所で先ほどの界面活性剤を製造する反応など、次の加工、反応を行う場合には大量の水とともに保存、あるいは輸送する必要があった。
【0003】
これらの問題を解決するため、通常はL−アスパラギン酸を遊離酸の結晶として分離し、遊離酸の結晶の状態で保存、輸送を行い、次の工程を行う場所で、水酸化アルカリ金属、アルカリ土類金属を加えて対応する塩を調製する方法がとられている。
【0004】
しかしながら、この方法でも、L−アスパラギン酸を遊離酸の結晶として分離するために、結晶析出、濾過などの煩雑な工程、設備が必要であり、コスト高の原因となっていた。溶液からL−アスパラギン酸を取り出し、再度そのアスパラギン酸を中和して水に溶解させるのは工程としても非常に効率が悪い。
これらの問題を解決するためには、高濃度でも結晶の析出などの変質のない、安定なL−アスパラギン酸塩水溶液を調製する方法の開発が緊急の課題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安定的に長期保存が可能なL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液を提供し、併せてその塩水溶液を用いた少なくとも1ヶ月以上の長期安定的な保存が可能なL−アスパラギン酸2ナトリウム塩の保存方法及び/又は輸送方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、L−アスパラギン酸塩水溶液は、L−アスパラギン酸塩の種類、その溶解濃度(モル比)によって結晶析出が起こる条件が異なり、意外にもある特定濃度、特定温度範囲では結晶析出が起こらないことを見出し本発明を完成した。
【0007】
本発明は、L−アスパラギン酸の2ナトリウム塩水溶液であって、そのモル比が1.8〜2.2倍モルであり、その濃度が塩換算で30重量%以上であるL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液の保存及び/又は輸送方法である。
【0008】
すなわち、本発明はL−アスパラギン酸2ナトリウム塩の濃度及び該塩水溶液の温度を図1のA、B、C、D、E、F及びGで囲まれた範囲に維持したL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液である。上記濃度及び温度範囲としては好ましくは図1のC、D、E及びFで囲まれた範囲が挙げられる。
【0009】
さらに、本発明はL−アスパラギン酸2ナトリウム塩を、上記L−アスパラギン酸2ナトリウム水溶液で保存及び/又は輸送することを特徴とする、L−アスパラギン酸2ナトリウム塩の保存及び/又は輸送方法である。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するL−アスパラギン酸塩としては、L−アスパラギン酸アンモニウム塩、金属塩としては、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸2ナトリウム、L−アスパラギン酸カリウム等のアルカリ金属塩、L−アスパラギン酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられ、これらのうちアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好適である。
【0011】
これらのL−アスパラギン酸塩は、アスパルターゼによるフマル酸とアンモニアの反応によって得られる。そして、その代表的な塩としては反応によって直接生成するL−アスパラギン酸アンモニウム塩、該L−アスパラギン酸アンモニウムに水酸化ナトリウムを添加し塩交換により得られるL−アスパラギン酸ナトリウム塩、同様に塩交換反応により得られるL−アスパラギン酸カリウム塩、L−アスパラギン酸マグネシウム塩、L−アスパラギン酸カルシウム等が挙げられる。
【0012】
上記アスパルターゼはエッシェリシア・コリ(Escherichia coli) ATCC11303株を培養することにより得られるものである。しかし、本発明においてはこの微生物から得られる精製したアスパルターゼの他、該微生物の培養液またはその処理物をアスパルターゼとして使用することができる。
【0013】
また、L−アスパラギン酸塩水溶液の濃縮液はL−アスパラギン酸塩水溶液をエバポレーターかけて濃縮する方法或いはL−アスパラギン酸塩を水に溶解することにより得られる。
以下にL−アスパラギン酸2ナトリウム塩の調製方法を説明する。
【0014】
フマル酸とアンモニアとを上記アスパルターゼ酵素の存在下に反応させてL−アスパラギン酸アンモニウム塩水溶液を調製する。このL−アスパラギン酸アンモニア塩水溶液に水酸化ナトリウムを反応液中に存在するアンモニアに対して2倍モル添加して加熱する。アンモニアは水酸化ナトリウムよりも塩基性が弱いので、水溶液を加熱するとアンモニアが容易に遊離する。この水酸化ナトリウムを添加した溶液を50〜130 ℃で加熱して水分を蒸発させて濃縮すると濃縮されたL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液が得られる。濃縮の方法としては、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下、50〜95℃で濃縮する方法、常圧下160℃以下で加熱蒸発させる方法、蒸留塔に導入して上部から水と過剰のアンモニアを除き、底部から濃縮された溶液を取り出す方法など、公知の濃縮方法を採用することができる。
【0015】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にその技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
(実施例1)
蒸留水1Lあたり10gのフマル酸、5gの硫酸アンモニウム、1gのリン酸1カリウム、3gのリン酸2カリウム、0.5gの硫酸マグネシウム・7水和物、5.5gのNaOH及び20gの酵母エキスの組成からなる培地(pH6.3)60Lを90Lジャーファーメンターに仕込み、同組成の培地1Lで前培養したエッシェリシア・コリ(Escherichia coli)ATCC11303株を接種し、37℃で通気攪拌培養を行った。培養12時間目に培養を終了し、遠心分離によって菌体をバター状で回収した。
【0017】
PAS−880(日東紡績株式会社製)をアルカリでpH7付近にしたもの18g及び脱イオン水27gをよく混合し、前記の菌体40gを均一に分散させた。6L容のナス型フラスコにイオン交換樹脂(アンバーライトIRA−96SB、Cl型、オルガノ社製、平均粒径0.5mm)300mlを入れ、ここに先に得た菌体懸濁液を入れ、30℃で回転させながらエバポレーターで6時間減圧乾燥し、菌体をイオン交換樹脂に被覆させて固定化生体触媒を得た。この固定化生体触媒の水分含量をカールフィッシャー水分測定器を用いて測定したところ、6重量%であった。
【0018】
前記において調製した固定化生体触媒を、20%フマル酸アンモニウム溶液(pH8.5)に4℃で一晩浸漬した後、その25mlをジャケット付きカラムに充填し、ジャケットに30℃の温水を循環させて、反応器の温度を30℃に設定した。
【0019】
ふた付きビンに入れた基質液(1L中に200gのフマル酸、200gの25%アンモニア水0.25gの硫酸マグネシウム7水和物、アンモニアでpHを8.3に調整)をテフロンチューブを通して、毎時25mlの速度でカラムに流通させ連続反応を行った。
【0020】
反応開始6時間目に反応液の分析を行ったところ、反応生成物として、消費されたフマル酸とほぼ等モルのL−アスパラギン酸が生成し、その反応変換率は99.7%であった。また、反応開始1ヶ月目、及び4ヶ月目の変換率も99.7%を維持していた。
【0021】
この23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1L(比重1.11)にアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後(比重1.24)、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間の操作後、ナスフラスコには586gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で51.77重量/重量(%)の濃度となり、約2.3倍濃縮できたことになった。この濃縮液の比重は1.39であった。粘度を測定したところ、40℃では0.043Pas@10/sec、25℃では0.1Pas@10/sec、4℃では0.8Pas@10/sec、−5℃では1.88Pas@10/secであった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ110℃であった。
【0022】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0023】
(実施例2)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間20分の操作後、ナスフラスコには552gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で54.95重量/重量(%)の濃度となり、約2.4倍濃縮できたことになった。この濃縮液の比重は1.44であった。
【0024】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0025】
(実施例3)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間30分の操作後、ナスフラスコには518gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で58.55重量/重量(%)の濃度となり、約2.5倍濃縮できたことになった。この濃縮液の比重は1.51であった。
【0026】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0027】
(実施例4)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間30分の操作後、ナスフラスコには483gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で62.8重量/重量(%)の濃度となり、約2.7倍濃縮できたことになった。この濃縮溶液の比重は1.52であった。粘度を測定したところ、40℃では0.37Pas@100/sec、25℃では1.66Pas@100/sec、4℃では17.4Pas@10/sec(16.4Pas@30/sec)、−5℃では280Pas@10/secであった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ116℃であった。
【0028】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0029】
(実施例5)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間40分の操作後、ナスフラスコには433gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で70.05重量/重量(%)の濃度となり、約3倍濃縮できたことになった。この濃縮溶液の比重は1.55であった。粘度を測定したところ、40℃では1.39Pas@100/sec、25℃では12.0Pas@100/sec(10.1Pas@100/sec)、4℃では201Pas@3/sec(160Pas@30/sec)、−5℃では9300Pas@10/secであった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ120℃であった。
【0030】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0031】
(実施例6)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間40分の操作後、ナスフラスコには409gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で74.2重量/重量(%)の濃度となり、約3.2倍濃縮できたことになった。この濃縮溶液の比重は1.65であった。粘度を測定したところ、40℃では25.4Pas@100/sec(18.9Pas@100/sec)、25℃では212Pas@10/sec(212Pas@30/sec)、4℃及び−5℃では粘度が高すぎて測定することができなかった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ127℃であった。
【0032】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0033】
(実施例7)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間40分の操作後、ナスフラスコには371gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で81.86重量/重量(%)の濃度となり、約3.6倍濃縮できたことになった。粘度を測定したところ、40℃では633Pas@10/sec(652Pas@20/sec)であった。25℃、4℃及び−5℃では粘度が高すぎて測定することができなかった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ131℃であった。
【0034】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0035】
(実施例8)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間40分の操作後、ナスフラスコには366gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で82.9重量/重量(%)の濃度となり、約3.6倍濃縮できたことになった。粘度を測定したところ、40℃でも粘度が高すぎて測定することができなかった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ134℃であった。
【0036】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0037】
(実施例9)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸2ナトリウム水溶液1Lを2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。この水溶液の各温度及びL−アスパラギン酸2ナトリウムの各濃度における挙動(溶解、結晶化及び凍結)について、表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明により結晶が析出しない高濃度のL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液が得られ、この水溶液によりL−アスパラギン酸2ナトリウム塩を長期間安定的に保存及び/又は輸送をすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】L−アスパラギン酸2ナトリウム塩の水に対する溶解安定性を示す図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−アスパラギン酸塩を高濃度アスパラギン酸塩水溶液として保存及び/又は輸送する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
L−アスパラギン酸塩は、アスパルターゼによるフマル酸とアンモニアの反応によって得られるものであり、その代表的な塩としては反応によって直接で生成するL−アスパラギン酸アンモニウム塩、該L−アスパラギン酸アンモニウム塩に水酸化ナトリウムを添加し塩交換によって得られるL−アスパラギン酸ナトリウム塩、同様に塩交換反応により得られるL−アスパラギン酸カリウム塩、L−アスパラギン酸マグネシウム塩等が挙げられる。そして、これらの塩水溶液の調製方法については特開昭58-170480号公報、特開平9-202758号公報に開示されている。この特開平9-202758号公報には、フマル酸とアンモニアから生成したL−アスパラギン酸アンモニウム塩水溶液及び水酸化ナトリウムとを併せ、これを蒸留塔の上部から流入させることにより、蒸留塔の上部から遊離したアンモニアと若干の水を得るとともに蒸留塔下部から塩交換により生成したL−アスパラギン酸ナトリウム塩を得ることが記載されている
しかしながら、これらの方法では、得られるL−アスパラギン酸塩水溶液の濃度が低く、通常20〜30重量%の範囲である。これらの水溶液を大量に貯蔵、輸送する場合、L−アスパラギン酸塩よりも大過剰の水を含む溶液を扱うことになり、非常に大きな貯蔵槽が必要であるばかりでなく輸送のコストが大きくなってしまうなどの問題があった。L−アスパラギン酸塩水溶液を貯蔵や輸送せずに、そのまま次の反応の原料とする場合、例えば脂肪酸の酸クロライドとの反応を行って、界面活性剤を製造する場合などには、そのままの濃度で使用できるためこれらの問題は発生しない。しかし、すぐに使用しない場合には、アスパラギン酸塩水溶液の貯蔵、また他の場所で先ほどの界面活性剤を製造する反応など、次の加工、反応を行う場合には大量の水とともに保存、あるいは輸送する必要があった。
【0003】
これらの問題を解決するため、通常はL−アスパラギン酸を遊離酸の結晶として分離し、遊離酸の結晶の状態で保存、輸送を行い、次の工程を行う場所で、水酸化アルカリ金属、アルカリ土類金属を加えて対応する塩を調製する方法がとられている。
【0004】
しかしながら、この方法でも、L−アスパラギン酸を遊離酸の結晶として分離するために、結晶析出、濾過などの煩雑な工程、設備が必要であり、コスト高の原因となっていた。溶液からL−アスパラギン酸を取り出し、再度そのアスパラギン酸を中和して水に溶解させるのは工程としても非常に効率が悪い。
これらの問題を解決するためには、高濃度でも結晶の析出などの変質のない、安定なL−アスパラギン酸塩水溶液を調製する方法の開発が緊急の課題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安定的に長期保存が可能なL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液を提供し、併せてその塩水溶液を用いた少なくとも1ヶ月以上の長期安定的な保存が可能なL−アスパラギン酸2ナトリウム塩の保存方法及び/又は輸送方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、L−アスパラギン酸塩水溶液は、L−アスパラギン酸塩の種類、その溶解濃度(モル比)によって結晶析出が起こる条件が異なり、意外にもある特定濃度、特定温度範囲では結晶析出が起こらないことを見出し本発明を完成した。
【0007】
本発明は、L−アスパラギン酸の2ナトリウム塩水溶液であって、そのモル比が1.8〜2.2倍モルであり、その濃度が塩換算で30重量%以上であるL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液の保存及び/又は輸送方法である。
【0008】
すなわち、本発明はL−アスパラギン酸2ナトリウム塩の濃度及び該塩水溶液の温度を図1のA、B、C、D、E、F及びGで囲まれた範囲に維持したL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液である。上記濃度及び温度範囲としては好ましくは図1のC、D、E及びFで囲まれた範囲が挙げられる。
【0009】
さらに、本発明はL−アスパラギン酸2ナトリウム塩を、上記L−アスパラギン酸2ナトリウム水溶液で保存及び/又は輸送することを特徴とする、L−アスパラギン酸2ナトリウム塩の保存及び/又は輸送方法である。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するL−アスパラギン酸塩としては、L−アスパラギン酸アンモニウム塩、金属塩としては、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸2ナトリウム、L−アスパラギン酸カリウム等のアルカリ金属塩、L−アスパラギン酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられ、これらのうちアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好適である。
【0011】
これらのL−アスパラギン酸塩は、アスパルターゼによるフマル酸とアンモニアの反応によって得られる。そして、その代表的な塩としては反応によって直接生成するL−アスパラギン酸アンモニウム塩、該L−アスパラギン酸アンモニウムに水酸化ナトリウムを添加し塩交換により得られるL−アスパラギン酸ナトリウム塩、同様に塩交換反応により得られるL−アスパラギン酸カリウム塩、L−アスパラギン酸マグネシウム塩、L−アスパラギン酸カルシウム等が挙げられる。
【0012】
上記アスパルターゼはエッシェリシア・コリ(Escherichia coli) ATCC11303株を培養することにより得られるものである。しかし、本発明においてはこの微生物から得られる精製したアスパルターゼの他、該微生物の培養液またはその処理物をアスパルターゼとして使用することができる。
【0013】
また、L−アスパラギン酸塩水溶液の濃縮液はL−アスパラギン酸塩水溶液をエバポレーターかけて濃縮する方法或いはL−アスパラギン酸塩を水に溶解することにより得られる。
以下にL−アスパラギン酸2ナトリウム塩の調製方法を説明する。
【0014】
フマル酸とアンモニアとを上記アスパルターゼ酵素の存在下に反応させてL−アスパラギン酸アンモニウム塩水溶液を調製する。このL−アスパラギン酸アンモニア塩水溶液に水酸化ナトリウムを反応液中に存在するアンモニアに対して2倍モル添加して加熱する。アンモニアは水酸化ナトリウムよりも塩基性が弱いので、水溶液を加熱するとアンモニアが容易に遊離する。この水酸化ナトリウムを添加した溶液を50〜130 ℃で加熱して水分を蒸発させて濃縮すると濃縮されたL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液が得られる。濃縮の方法としては、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下、50〜95℃で濃縮する方法、常圧下160℃以下で加熱蒸発させる方法、蒸留塔に導入して上部から水と過剰のアンモニアを除き、底部から濃縮された溶液を取り出す方法など、公知の濃縮方法を採用することができる。
【0015】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にその技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
(実施例1)
蒸留水1Lあたり10gのフマル酸、5gの硫酸アンモニウム、1gのリン酸1カリウム、3gのリン酸2カリウム、0.5gの硫酸マグネシウム・7水和物、5.5gのNaOH及び20gの酵母エキスの組成からなる培地(pH6.3)60Lを90Lジャーファーメンターに仕込み、同組成の培地1Lで前培養したエッシェリシア・コリ(Escherichia coli)ATCC11303株を接種し、37℃で通気攪拌培養を行った。培養12時間目に培養を終了し、遠心分離によって菌体をバター状で回収した。
【0017】
PAS−880(日東紡績株式会社製)をアルカリでpH7付近にしたもの18g及び脱イオン水27gをよく混合し、前記の菌体40gを均一に分散させた。6L容のナス型フラスコにイオン交換樹脂(アンバーライトIRA−96SB、Cl型、オルガノ社製、平均粒径0.5mm)300mlを入れ、ここに先に得た菌体懸濁液を入れ、30℃で回転させながらエバポレーターで6時間減圧乾燥し、菌体をイオン交換樹脂に被覆させて固定化生体触媒を得た。この固定化生体触媒の水分含量をカールフィッシャー水分測定器を用いて測定したところ、6重量%であった。
【0018】
前記において調製した固定化生体触媒を、20%フマル酸アンモニウム溶液(pH8.5)に4℃で一晩浸漬した後、その25mlをジャケット付きカラムに充填し、ジャケットに30℃の温水を循環させて、反応器の温度を30℃に設定した。
【0019】
ふた付きビンに入れた基質液(1L中に200gのフマル酸、200gの25%アンモニア水0.25gの硫酸マグネシウム7水和物、アンモニアでpHを8.3に調整)をテフロンチューブを通して、毎時25mlの速度でカラムに流通させ連続反応を行った。
【0020】
反応開始6時間目に反応液の分析を行ったところ、反応生成物として、消費されたフマル酸とほぼ等モルのL−アスパラギン酸が生成し、その反応変換率は99.7%であった。また、反応開始1ヶ月目、及び4ヶ月目の変換率も99.7%を維持していた。
【0021】
この23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1L(比重1.11)にアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後(比重1.24)、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間の操作後、ナスフラスコには586gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で51.77重量/重量(%)の濃度となり、約2.3倍濃縮できたことになった。この濃縮液の比重は1.39であった。粘度を測定したところ、40℃では0.043Pas@10/sec、25℃では0.1Pas@10/sec、4℃では0.8Pas@10/sec、−5℃では1.88Pas@10/secであった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ110℃であった。
【0022】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0023】
(実施例2)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間20分の操作後、ナスフラスコには552gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で54.95重量/重量(%)の濃度となり、約2.4倍濃縮できたことになった。この濃縮液の比重は1.44であった。
【0024】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0025】
(実施例3)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間30分の操作後、ナスフラスコには518gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で58.55重量/重量(%)の濃度となり、約2.5倍濃縮できたことになった。この濃縮液の比重は1.51であった。
【0026】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0027】
(実施例4)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間30分の操作後、ナスフラスコには483gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で62.8重量/重量(%)の濃度となり、約2.7倍濃縮できたことになった。この濃縮溶液の比重は1.52であった。粘度を測定したところ、40℃では0.37Pas@100/sec、25℃では1.66Pas@100/sec、4℃では17.4Pas@10/sec(16.4Pas@30/sec)、−5℃では280Pas@10/secであった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ116℃であった。
【0028】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0029】
(実施例5)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間40分の操作後、ナスフラスコには433gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で70.05重量/重量(%)の濃度となり、約3倍濃縮できたことになった。この濃縮溶液の比重は1.55であった。粘度を測定したところ、40℃では1.39Pas@100/sec、25℃では12.0Pas@100/sec(10.1Pas@100/sec)、4℃では201Pas@3/sec(160Pas@30/sec)、−5℃では9300Pas@10/secであった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ120℃であった。
【0030】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0031】
(実施例6)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間40分の操作後、ナスフラスコには409gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で74.2重量/重量(%)の濃度となり、約3.2倍濃縮できたことになった。この濃縮溶液の比重は1.65であった。粘度を測定したところ、40℃では25.4Pas@100/sec(18.9Pas@100/sec)、25℃では212Pas@10/sec(212Pas@30/sec)、4℃及び−5℃では粘度が高すぎて測定することができなかった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ127℃であった。
【0032】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0033】
(実施例7)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間40分の操作後、ナスフラスコには371gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で81.86重量/重量(%)の濃度となり、約3.6倍濃縮できたことになった。粘度を測定したところ、40℃では633Pas@10/sec(652Pas@20/sec)であった。25℃、4℃及び−5℃では粘度が高すぎて測定することができなかった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ131℃であった。
【0034】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0035】
(実施例8)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸アンモニウム溶液1Lにアンモニアの2倍モルの水酸化ナトリウム138gを添加後、2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。約1時間40分の操作後、ナスフラスコには366gのL−アスパラギン酸2ナトリウム溶液が残存した。操作中及び終了後も結晶の析出はみられなかった。この溶液は塩換算で82.9重量/重量(%)の濃度となり、約3.6倍濃縮できたことになった。粘度を測定したところ、40℃でも粘度が高すぎて測定することができなかった。またこの濃縮液の沸点を測定したところ134℃であった。
【0036】
この濃縮液を20℃において3日間放置しても、結晶の析出はみられなかった。さらに4℃で3日間冷蔵しても、結晶の析出はみられなかった。その後−5℃で冷蔵しても結晶は析出しなかった。
【0037】
(実施例9)
実施例1の方法と同様にして得られた23%L−アスパラギン酸2ナトリウム水溶液1Lを2L容のナスフラスコに入れ、60℃の恒温槽に浸けながらエバポレーターで減圧濃縮を行った。この水溶液の各温度及びL−アスパラギン酸2ナトリウムの各濃度における挙動(溶解、結晶化及び凍結)について、表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明により結晶が析出しない高濃度のL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液が得られ、この水溶液によりL−アスパラギン酸2ナトリウム塩を長期間安定的に保存及び/又は輸送をすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】L−アスパラギン酸2ナトリウム塩の水に対する溶解安定性を示す図。
Claims (3)
- L−アスパラギン酸2ナトリウム塩の濃度及び該塩の水溶液の温度を図1のA、B、C、D、E、F及びGで囲まれた範囲に維持したL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液。
- L−アスパラギン酸2ナトリウム塩の濃度及び該塩の水溶液の温度を図1のC、D、E及びFで囲まれた範囲に維持したL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液。
- L−アスパラギン酸2ナトリウム塩を請求項1又は2記載のL−アスパラギン酸2ナトリウム塩水溶液で保存及び/又は輸送することを特徴とする、L−アスパラギン酸2ナトリウム塩の保存及び/又は輸送方法。
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