JP3687447B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に係わり、特に、インク吐出口からインクを吸引排出させて回復動作を確実に行わせるように改良したインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置において、インクの粘度の増大、インクの固着によるインク吐出口の目詰まり、あるいはインク吐出口に通じる液路内に発生した気泡やごみ等により目詰まりを回復するために、インク供給系を加圧したり、あるいは、インク吐出口からインクを吸引する等、液路に所定の圧力を作用させて、インクをインク吐出口から強制的に排出させる方法が用いられることは知られている。
【0003】
図5は、記録ヘッドのインク吐出口が形成される面であるインク吐出面にキャップ部材を装着し、吸引手段によりインクを吸引させるようにした従来例を示す。この従来例はカラー用のインクジェット記録装置である。記録ヘッド100は4つの記録ヘッド100Y、100M、100C、100Kより構成してある。100Yはイエローの記録ヘッド、100Mはマゼンタの記録ヘッド、100Cはシアンの記録ヘッド、100Kはブラックの記録ヘッドである。また、これら4つの記録ヘッド100はその構成が同一である。記録ヘッド100Yを例に説明すると、記録ヘッド100Yはインクを吐出させて液滴となし、不図示の記録シート上に記録を行うインクジェット用の記録ヘッドである。2は記録ヘッド100Yを搭載し、主走査レール3に沿って矢印Hで示す主走査方向に移動するキャリッジである。キャリッジ2による主走査方向の移動中に記録ヘッド100Yのインク吐出面1aに設けたインク吐出口1bからインクを吐出させて記録を行う。
【0004】
また、4は記録領域外に設けた回復装置であり、5はインクを吸引し易いように例えば親水性のEPDMゴム等の弾性材料で形成したキャップ部材、6はキャップ部材5を保持し、矢印U方向並びにD方向に移動自在なキャップホルダ、7はキャップ部材5の空間部5cと吸引ポンプ8との間を接続し、インクKを吸引するためのチューブ、9は吸引ポンプ8により吸引され、吐出されたインクをインク処理部材10に排出するためのチューブである。
【0005】
このように構成された回復装置4では、記録ヘッド100に対して回復動作を行う必要が生じたときに、キャップホルダ6を矢印U方向に移動させて、キャップ部材5の周囲の一端面5aを記録ヘッド100Yのインク吐出面1aに当接させ、インク吐出口1bの周りを密閉した状態にしてから吸引動作を行う。
【0006】
図5は、このようにして吸引ポンプ8による吸引動作が行われた状態を示しており、吸引動作の後では、キャップ部材5の空間部5cおよびチューブ7、9にかけて、排出されたインクKが充満した状態となる。
【0007】
吸引ポンプ8を停止させ、キャップ部材5の空間部5cの圧力を大気圧に戻した後、キャップ部材5を矢印D方向に引くと、空間部5c内のインクKは親水性のあるキャップ部材5側に引き寄せられ、撥水性を持たせたインク吐出面1a側にインクKが残留するのを軽減している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のインクジェット記録装置では、その記録ヘッド100Yに対するインク目詰まり回復動作後、キャップ部材5をインク吐出面1aから退避させたときに、わずかに残留するインクが表面張力等により集まり、インクが液滴状になり残留する(以下、このようなインクを残留インクという)。
【0009】
この残留インクをそのままにしておくと、記録作動中に不図示の記録シートに残留インクが接触してインクで汚したり、また、例えば、この残留インクをゴムプレート等で清掃する構成を有する場合、清掃時に記録シート側にインクKが飛び散り、画像品位を落とす。
【0010】
また、この残留インクをそのまま放置しておくと乾燥固着してしまい、次の回復を図るときにインク吐出面1aとキャップ部材5の一端面5aとの密着不良を生じせしめ、結果として吸引不良を発生させる。
【0011】
さらに、例えば、記録ヘッド100Yのインク吐出面1aと隣接する記録ヘッド100Mのインク吐出面1aとが同じ高さで連続して配置してあるので、記録ヘッドの作動中に記録ヘッド100Yの残留インクが移動して、隣接する記録ヘッド100Mのインク吐出口に到達するとインクが混じり合い、化学変化によりインクが凝縮してインク吐出口が目詰まりし易い。また、混色の危険性もある。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来の欠点を極力排除し、目詰まりの回復動作を確実に行わせることができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は下記の手段により達成できる。
【0014】
記録ヘッドに形成したインク吐出口の外周に空間部を形成してなるキャップ部材の一端面を当接させ、前記インク吐出口からインクを吸引排出させて回復動作を行わせるインクジェット記録装置において、
前記キャップ部材の前記一端面と当接する記録ヘッド側の当接面として撥水性を持たせたキャップ受け部材を設けると共に、前記インク吐出口を形成するインク吐出面を前記当接面より突出した位置に設け、前記インク吐出面と前記キャップ受け部材の当接面との間の段差周囲の壁面に親水性を持たせたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の要部構成を示す正面図、図2は図1に係わる底面図である。なお、前記従来例と機構的に同じ部材は同一の符号を付け、説明はできるだけ省略することとする。
【0016】
この実施の形態はカラー用のインクジェット記録装置である。記録ヘッド1は4つの記録ヘッド1Y、1M、1C、1Kより構成している。1Yはイエローの記録ヘッド、1Mはマゼンタの記録ヘッド、1Cはシアンの記録ヘッド、1Kはブラックの記録ヘッドである。これら記録ヘッドは各インク色ごとに独立して取り付け取り外しが可能である。また、これら4つの記録ヘッド1はその構成が同一である。
【0017】
記録ヘッド1Yを例に説明すると、記録ヘッド1Yは図2に示すように、インク吐出面1aに複数のインク吐出口1bが一列に配置してあり、前記インク吐出面1aと、後述するキャップ受け部材11の当接面11aとの間には段差をつけ、当接面11aよりインク吐出面1aを突出した位置に設けている。インク吐出口1bは、二列あるいはそれ以上の配置としてもよい。1cは段差部を構成する記録ヘッドの壁面を示す。インク吐出口1bのインク吐出面1aおよびキャップ受け部材11の当接面11aは撥水性を持たせた面で構成してある。即ち、インク吐出面1aとキャップ受け部材11の当接面11aに撥水剤を塗布し、これによって撥水性を持たせる。撥水剤としては、例えばテフロン(商品名、デュポン社)等フッ素系あるいはシリコン系が望ましい。また、段差周囲の壁面1cに親水性を持たせることにより、インク吐出面1a並びにキャップ受け部材11の当接面11a上に残留するインクを集めやすくしてある。親水性をもたせるためには、例えばプラズマ処理が望ましい。
【0018】
ここで、インク目詰まり回復動作時におけるインクの動きを中心に、図3および図4を参照して説明する。図3は本発明のインクジェット記録装置の要部構成においてインクを吸引している状態を示す断面図で、図4は図3に係わるキャップ部材を後退させた後の状態を示す断面図である。吸引ポンプ8によるインク吸引による回復動作の終了後に、吸引ポンプ8の吸引を停止し、キャップ部材5の空間部5cを大気圧まで戻した後に、キャップ部材5を図4に示すように、矢印D方向に退避させる。このとき、インク吐出面1aに接触して存在していたインクは、キャップ部材5の空間部5cに形成した親水性を有する内壁面5bに引き寄せられ、一方、インク吐出面1aには、わずかにインクが残留するが、残留インクは親水性を持たせた壁面1cに引き寄せられて矢印B方向に移動する。また、同様にして、キャップ受け部材11の当接面11aに接触して存在していたインクは、キャップ部材5の内壁面5bに引き寄せられ、一方、当接面11aには、わずかにインクが残留するが、残留インクは壁面1cに引き寄せられ、矢印A方向に移動する。以上により、残留インクは矢印A方向、矢印B方向に移動して壁面1c近傍に集まりインク溜まり12となる。したがって、当接面11aとインク吐出面1aにはインクが残留し難くなる。
【0019】
また、記録ヘッド1のインク吐出面1aは各インクごとに分かれており、例えば、記録ヘッド1Yのインク吐出面1aと隣接する記録ヘッド1Mのインク吐出面1aとは図2に示すように、離れて配置してあり、また、各インク吐出面1aとキャップ受け部材11の当接面11aとに段差を設けてあるので、記録ヘッド1の作動中に記録ヘッド1Yのインク吐出面1aに残留したインクが移動して、隣接する記録ヘッド1Mのインク吐出面1aに達することがなくなる。したがってインクが混じり合い、化学変化によりインクが凝縮してインク吐出口1bが目詰まりするといったことがなくなる。
【0020】
なお、上述の実施の形態では、インク吐出面1aとキャップ受け部材11の当接面11aの双方に撥水剤を塗布する構成について述べたが、キャップ部材5の一端面5aにも撥水剤を塗布した場合は、キャップ部材5の一端面5aにインクが残留するのを防止できる。
【0021】
また、上述の実施の形態では、撥水剤を塗布する構成について説明したが、記録ヘッド1のインク吐出面1aとキャップ受け部材11そのものを撥水性の高い材料で形成するようにしても同様の効果が得られる。例えば、撥水性の高い材料としてシリコンゴムを上げることができる。また、シリコン系の撥水剤微粉末をベースのゴム材料に混入させて成型したり、あるいは、オイルやワックス等を同様に混入させて成型することにより、成型後に、上述したような、撥水性の高い混入物が表面に出てくる効果を利用して撥水性を高めてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上のように構成したので、下記のような効果を奏する。
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、キャップ部材の一端面と当接する記録ヘッド側の当接面として撥水性を持たせたキャップ受け部材を設けると共に、インク吐出口を形成するインク吐出面を当接面より突出した位置に設けたので、記録ヘッドの目詰まりの回復動作を確実に行わせることができるインクジェット記録装置を提供できる。
また、インク吐出面と前記キャップ受け部材の当接面との間の段差周囲の壁面に親水性を持たせたので、インク吐出面並びにキャップ受け部材の表面からの残留インクが集まりやすい。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドが、インク色ごとに独立して取り付け取り外しが可能であるので、各インク色ごとに独立して保守点検等ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の要部構成を示す正面図である。
【図2】図1に係わる底面図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の要部構成においてインクを吸引している状態を示す断面図である。
【図4】図3に係わるキャップ部材を後退させた後の状態を示す断面図である。
【図5】従来例のインクジェット記録装置の要部構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1、1Y、1M、1C、1K 記録ヘッド
1a インク吐出面
1b インク吐出口
1c 壁面
5 キャップ部材
5a 一端面
5c 空間部
11 キャップ受け部材
11a 当接面
Claims (2)
- 記録ヘッドに形成したインク吐出口の外周に空間部を形成してなるキャップ部材の一端面を当接させ、前記インク吐出口からインクを吸引排出させて回復動作を行わせるインクジェット記録装置において、
前記キャップ部材の前記一端面と当接する記録ヘッド側の当接面として撥水性を持たせたキャップ受け部材を設けると共に、前記インク吐出口を形成するインク吐出面を前記当接面より突出した位置に設け、前記インク吐出面と前記キャップ受け部材の当接面との間の段差周囲の壁面に親水性を持たせたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記記録ヘッドが、インク色ごとに独立して取り付け、取り外しが可能であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
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JP33603199A Expired - Fee Related JP3687447B2 (ja) | 1999-11-26 | 1999-11-26 | インクジェット記録装置 |
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