JP3687171B2 - 育苗用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物の苗をその中で育てる育苗容器であって、しかも育てた苗をその容器ごと植付けできる、育苗容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
そのまま植付けできる育苗容器は、植付けが容易で労力が省け、しかも苗を傷めないので植付けの活着率が高いという特徴があり、園芸、農業、林業、土木などの分野で広く要望されている。しかし、従来の合成樹脂のポットや植木鉢などは、植付け後土壌中で分解しないので環境汚染の問題があり、また植物の根の成長も阻害するという問題がある。
【0003】
近年、脂肪族ポリエステルなどの自然分解性樹脂が開発され、それを育苗ポットに応用することも既によく知られている(PETROTEC 第18巻第3号197ページ(1995))。脂肪族ポリエステルの中でもポリ乳酸およびそれを主成分とする変性ポリ乳酸は、強度、耐熱性、溶融成型容易性などの特性が優れ、しかも将来量産すればコストも安くなる可能性が高く、最も実用化が期待されている。
【0004】
いうまでもなく、育苗容器は、苗を育てている間および植付け作業までの期間は、十分な強度を保持していなければならない。育苗期間は植物や苗の種類により異なるが、短いものでは3〜6ケ月程度、やや長いもので1〜2年、特に長いものでは3〜5年である。脂肪族ポリエステルの自然分解速度は、温度、湿度、土壌の性質、土壌菌の種類などにより異なるが、従来の脂肪族ポリエステル容器の寿命は6ケ月程度以下と短いものが多く、定植までに長期間例えば1年以上を要する目的には、不適当なものが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、自然環境下で完全に分解可能であり、且つより長い育苗期間に耐えるように改良された、新規な育苗容器を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、(1)乳酸を主成分とするポリエステル重合体からなり、 (2)重合体の結晶の融点が120℃以上であり、且つ(3)該結晶の溶融吸熱量が10ジュール/グラム以上となるように結晶化されており、且つ(4)該結晶が実質的に配向していないことを特徴とする、成型された新規育苗用容器によって達成される。
【0007】
ここで、乳酸を主成分とするポリエステル重合体とは、L−乳酸または/及びD−乳酸に由来する成分が50重量%以上のポリエステル重合体組成物で、ポリL−乳酸ホモポリマー、ポリD−乳酸ホモポリマー、ポリL/D乳酸共重合体、及びそれらに他の成分を50重量%以下共重合体又は/及び混合したものをすべて包含する。
【0008】
共重合する成分としては、エステル結合形成性のものが好ましく、例えば(1)グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのような脂肪族ヒドロキシカルボン酸、(2)グリコリド、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのような脂肪族ジオール、(4)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレンエーテル、PEG/PPG共重合体などの脂肪族エーテルグリコールおよびそのオリゴマー、(5)ポリブチレンカーボネートグリコール、ポリヘキサンカーボネートグリコール、ポリオクタンカーボネートグリコールなどのポリアルキレンカーボネートグリコール及びそのオリゴマー、(6)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。この他にテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族成分も応用可能である。 上記ポリエステル重合原料は、ポリ乳酸にランダム共重合又は/及びブロック共重合することが出来る。一般に、ランダム共重合ではポリマーの結晶性が損なわれる傾向が強く、共重合比率(重量比)は20%程度以下、特に1〜10%程度が好ましいことが多い。一方ブロック共重合では、あまり結晶性を損なわずに例えば耐衝撃性などを改良することが出来、共重合比率は50%以下、特に1〜40%程度とすることが出来、3〜35%の範囲が広く用いられる。
【0009】
また、上記ポリエステル重合原料以外に、例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、単官能化合物、3官能以上の多官能化合物を副次的に用いることも出来る。
【0010】
ポリ乳酸を共重合や混合によって変性する目的は、融点の低下(重合温度や成型温度の低下)、溶融流動性、成型性、強靭性、衝撃強度、柔軟性や弾性回復性の改良、接着性、結晶化温度の低下、親水性や撥水性の改良、透明性の改良、分解性の向上または抑制などが挙げられる。
【0011】
脂肪族ポリエステルの中でもポリ乳酸(ホモポリマー)およびそれを主成分とする変性ポリ乳酸は、強度、耐熱性、溶融成型容易性などの特性が優れ、しかも将来量産すればコストも安くなる可能性が高く、最も実用化が期待されている。またポリ乳酸系ポリマーは、自然環境下(土壌中、淡水中、海水中、堆肥中など)での分解速度が他の脂肪族ポリエステルに比べて小さく、長寿命という特徴があり、育苗に長期間を要する用途に適している。本発明は、そのポリ乳酸系ポリマーの分解性を一層低下させ、長期の育苗期間に耐えるよう改良するものである。 ポリ乳酸ホモポリマーは、ガラス転移点が約58℃と高く、昇温時の結晶化開始温度は約90℃、結晶化ピーク(中心)温度は115〜125℃であり、例えば射出成型したものは急冷されるため、ほぼ非結晶(非晶)状態である。非晶品は、透明で柔らかいが、強度が低く、分解速度も早く比較的短寿命である。押出し成型されたシートなども急冷されるので非晶性であり、それを真空や圧空成型したものも非晶性である。本発明は、これらの成型品のポリマーを結晶化させることにより、その分解速度を抑制し寿命を延長するものである。結晶化による寿命の延長効果は、分解条件、成型品の厚さ、形などで異なるが、10%以上、多くの場合20%〜200%(3倍)程度となることが認められる。
【0012】
図1及び2は、結晶性ポリ乳酸系ポリマーの走査型示差熱量計(DSC)による昇温時の吸熱、発熱曲線(DSC曲線)の例である。図1はあまり結晶化していない成型品の測定例で、1はガラス転移によるベースラインの変化、2は結晶化による発熱ピーク、3は溶融による吸熱ピークである。発熱または吸熱ピークの熱量はポリマーの結晶性の大きさを示す。発熱量および吸熱量は図の斜線部の面積に比例する。成型品の結晶化度が低ほど、結晶化による発熱量(ピーク2)が大きい。図2は十分に結晶化した成型品のDSC曲線で、ガラス転移によるベースラインの変化1及び結晶化による発熱ピーク2は見られず、結晶の溶融による吸熱ピーク3のみが観測されている。
【0013】
成型品のDSC分析(昇温法)において、溶融吸熱量H3(絶対値)と結晶化発熱量H2の差Hd=H3−H2は、成型品の結晶化度に比例的であり、完全に非晶性であればH3=H2となり、Hdはゼロである。図2の例では、H2=0であり、H3=Hdである。本発明の目的には、Hd(絶対値)が10ジュール(J)/グラム(g)以上である必要があり、20J/g以上が好ましく、30J/g以上が特に好ましく、40J/g以上が最も好ましい。なお十分に結晶化したポリ乳酸ホモポリマーの溶融吸熱量は50J/g程度である。
【0014】
なおDSC測定は、窒素ガス中で、試料量は約10mg、昇温速度は10℃/minとする。また、第2成分などの混合や共重合で融点のピークが2個以上観測されるときは、融点は最高温度のピークの中心値(極値)とし、溶融吸熱量は全部の溶融吸熱ピークの吸熱量の合計とする。
【0015】
ポリ乳酸系ポリマーの成型品を十分結晶化させるには、(1)成型品を結晶化温度以上で熱処理する、(2)重合体組成物に結晶核剤を混合しておき結晶化し易くする、(3)重合体組成物に結晶化を促進する成分を混合又は/及び共重合する、などの方法がある。(1)の熱処理温度は、ポリ乳酸ホモポリマーでは90℃以上、特に100〜140℃が好ましい(あまり高温では、成型品が軟化する)。熱処理時間は、1分間でも効果は有るが、通常は3分間以上、とくに5分〜2時間程度とすることが多い。(2)結晶核剤は結晶化を早く且つ十分にさせるもので、例えばタルク、珪酸カルシウム、チタン酸カルシウム、窒化ボロン、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、炭酸カルシュムその他の無機粒子で、例えば径10μm以下、特に5μm以下、多くの場合5nm〜2μm程度のもの、同様にサッカリンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、ポリ乳酸系ポリマーよりも融点の高いポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどのポリマーその他の有機化合物の微粒子が挙げられる。これらの核剤は、結晶化を効果的に促進し結晶化に必要な時間を短縮するが、昇温時の結晶化温度を大きく変えることは出来ない。(3)結晶化促進成分は、共重合や混合により、結晶化温度を低下させたり結晶化速度を増進するもので、例えばガラス転移点が常温以下特に0℃以下のポリマー又は/及び可塑剤が挙げられる。特にガラス転移点が0℃以下脂肪族ポリエステルは、混合やブロック共重合により、効果的に結晶化温度を低下させ、さらに成型品の耐衝撃性を改善できるので、本発明の目的に最も好ましい。
【0016】
ポリ乳酸系ポリマーブロック共重合又は/及び混合するに適した、ガラス転移点が低い脂肪族ポリエステルとしては、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンスベレート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンデカメチレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリブチレンデカメチレート、ポリヘキサンアジペート、ポリヘキサンセバケート、など炭素数2〜20程度のジカルボン酸、ジオール、ラクトンなどの重合体が挙げられる。また、それらのランダム又はブロック共重合体も同様に応用出来る。共重合又は混合比率は、1〜50%、特に3〜40%が好ましく、5〜30%が最も広く用いられる。
【0017】
ポリ乳酸とのブロック共重合は、L−ラクチド、D−ラクチド、L/Dラクチド混合物などの溶融重合時に、上記ポリマーを混合し反応させればよい。反応させるには、ポリマーの末端や側鎖などに水酸基をもつものを用いることが効果的である。反応温度が高過ぎたりく反応時間が長すぎると、エステル交換反応が進み、ランダム共重合へ移行するので、注意が必要である。ブロック共重合の別の方法としては、末端などに水酸基を持つポリ乳酸と、同じく末端などに水酸基を持つ脂肪族ポリマー(共重合成分)とを、溶融状態または溶剤中で混合し、ジイソシアネート、ジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸無水物などの多官能化合物を反応させればよい。
【0018】
同様に、末端などに水酸基を持つポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、それらの共重合物、及び末端などに水酸基を持つ脂肪族ポリカーボネートを、ポリ乳酸またはラクチドと反応、共重合させて、結晶化促進効果を得ることが出来る。これらの成分の混合でも、同じような結晶化促進効果が得られる。
【0019】
これらの方法で得られる変性ポリ乳酸は、ガラス転移点が20〜50℃または常温以下に低下し、同じく昇温時の結晶化温度(中心値)も50〜100℃程度まで低下し、成型時の温度や常温での保存中でも結晶化可能となる。また、熱処理が必要であっても、熱処理温度をより低く、例えば50〜120℃程度とすることが出来、結晶化された製品を容易に得ることが出来る。
【0020】
上記の(1)熱処理、(2)核剤、(3)結晶化促進剤の他に、成型品を延伸配向することにより結晶化させることが出来るが、特殊な工程を用いたり工程が増えて不利である。本発明は、例えば射出成型した後、熱処理するなどにより、実質的に延伸配向しないで結晶化させるもので、本発明による製品は、結晶配向度は40%以下、多くの場合30%以下である。(十分に延伸配向した製品の結晶配向度は、50%以上、多くの場合60%以上である)。結晶配向度OR(%)は、X線回折法において主たる回折ピークの半値幅(角度)をθ°としたとき、OR(%)=(180°−θ°)×100/180°の近似式で求める。
【0021】
育苗容器は、製造(成型)、運搬、育苗、苗の運搬、保存および植付け(定植)作業の間、十分な強度を保持し、破損などしないことが必要である。このため、引張り強度、曲げ強度、衝撃強度などが十分高いことが好ましい。特にポリ乳酸ホモポリマーは、衝撃強度が2kg・cm/cm程度と低いので、上記のようなガラス転移点の低い成分を混合又は/及びブロック共重合して、衝撃強度を3kg・cm/cm以上としたものが好ましく、衝撃強度4kg・cm/cm以上のものが最も好ましい。ここで衝撃強度(衝撃値)は、ASTM D256の方法に準じ、幅0.635mm,厚さ12.7mmで深さ2.54mmのノッチ付き試験片を用い、ノッチ方向から衝撃を加えて衝撃エネルギー(単位kg・cm)を求め、幅1cm当たりに換算して求める。
【0022】
本発明育苗容器に好ましい強度を与えるために、重合体は十分な分子量を持つことが必要である。本発明に用いる重合体の重量平均分子量は、5万以上が必要であり、7万以上が好ましく、8〜30万の範囲が最も広く用いられる。
【0023】
容器の成型方法は特に限定されないが、溶融射出成型、押出し成型、及び成型したものを更に加熱下で型や気体圧力などで変形させる方法などが好ましく用いられる。
【0024】
本発明育苗容器の形状は特に限定されないが、植物の根とそれを取り巻く土壌や堆肥などを効果的に包み保護する形が好ましい。普通の植木鉢状、植木ポット状、かめ状、袋状、かご状、それらを2つ以上に分割したもの(組み合わせて使用する)、その他任意である。しかし、本発明育苗容器が長寿命であることを考慮し、定植後、根が外部へ伸びる孔などを複数個、特に3〜30個程度設けることが好ましい。
【0025】
本発明容器を形成する重合体には、必要に応じ、顔料、染料などの着色剤、金属粒子、無機系または有機系粒子その他の充填剤、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、撥水剤、可塑剤、その他の添加剤を配合することが出来る。
【0026】
以下の実施例において、%、部は特に断らない限り重量比である。脂肪族ポリエステルの分子量は、試料の0.1%クロロホルム溶液のGPC分析において、分子量1000以下の成分を除く高分子成分の分散の重量平均値である。
【0027】
【実施例】
[実施例1]
光学純度99.5%以上のL−ラクチドに対し、触媒としてオクチル酸錫50ppmを混合し、2軸混練押出機に連続供給し188℃で12分間反応した後、口金より押し出し水で冷却後切断してポリL−乳酸ホモポリマーのチップC1を得た。チップC1を、乾燥後、140℃の窒素気流中で4時間熱処理(固相重合)したのち、塩酸を0.1%含むアセトンで洗浄し、さらに塩酸を含まぬアセトンで5回洗浄し、触媒および残存モノマーを完全に除去し、チップC2を得た。チップC2の分子量は17.6万で、それを射出成型した試験片の衝撃強度は2.2kg・cm/cmである。チップC2を210℃のT型口金より押出し、20℃の冷却ロールで冷却して、厚さ0.4mmの未延伸シートS1を製造した。シートS1を60分間で徐々に昇温し120℃で2時間熱処理してシートS2を得た。
シートから幅1cm,長さ10cmの試験片を作成し、土壌中深さ10cmに埋設し、1ケ月ごとに取り出し強度を測定し、強度が未埋設品のそれの半分になる期間(半減期)を求めた。実験データを表1に示す。表1に見るように、熱処理による結晶化によって、半減期は約2倍に伸びている。
【0028】
同様に、チップC2を用い射出成型した植木鉢(直径10cm,側部厚み約0.5mm)で未熱処理品および熱処理したものを、土壌中に埋設試験を行なったところ、強度半減期が未熱処理品で約7ケ月、熱処理品で約1.2年で、シートの実験結果と良く一致した。この植木鉢は、1年以上の育苗期間に耐える。
【0029】
【表1】
[実施例2]
光学純度99.5%以上のL−ラクチド81部、ポリブチレンサクシネート/ポリブチレンアジペートランダム=4/1(モル比)共重合体で分子量12.5万のもの20部、オクチル酸錫50ppm、結晶核剤として直径0.7μmのタルクを1.5%混合し、以下実施例1のチップC2と同様にして、チップC3を得た。この重合体3は、ポリブチレンアジペート/サクシネート共重合体が約20%ブロック共重合された変性ポリ乳酸であり、分子量15.1万、衝撃強度は4.7kg・cm/cmと優れ、融点は169℃と80℃の二つがあるが、169℃を代表値とする。またガラス転移点は43℃、結晶化温度(中心値)は103℃と低下している。このポリマーから、実施例1と同様にして得た未熱処理シートをS3、100℃で熱処理したものをS4とする。各シートの結晶の溶融吸熱量は、S3が1.9J/g.S4が48J/gであった。
【0030】
チップC3とほぼ同様にして、但しポリブチレンアジペート/サクシネート共重合体を約30%ブロック共重合して得たものをチップC4とする。チップC4は分子量14.3万、融点166℃と83℃、ガラス転移点は不明瞭で20℃前後、結晶化温度90℃、衝撃強度4.9kg・cm/cmである。このポリマーから、実施例1と同様にして得た未熱処理シートをS5、100℃で熱処理したものをS6とする。各シートの結晶の溶融吸熱量は、S5が3.8J/g.S6が46J/gであった。
【0031】
シートS3〜S6を用い、実施例1と同様にして土壌中の強度の半減期を測定したところ、S3は5.5月、S4は10.4月、S5は3.7月、S6は10.1月で、いずれも熱処理(結晶化)によって長寿命化していることが示された。
【0032】
【発明の効果】
本発明によって、より分解速度が遅く長寿命の育苗用容器が得られ、育苗に長い期間(例えば1年以上)を要する植物、例えば樹木類の育苗に極めて有用である。さらに、本発明の容器に他の分解抑制手段たとえば撥水剤(シリコン化合物、フッ素化合物、油脂類など)を混合したり塗布する方法を併用することにより、一層長寿命化することが出来、2年以上の育苗期間が必要なものにも応用可能である。本発明によって、育苗の管理や苗の保管、運搬、植付けが極めて容易かつ広い範囲で応用可能になり、農業、林業、園芸、土木などの分野に、福音をもたらす。また、乳酸を主成分とする重合体の分解物(乳酸など)は、悪い病原バクテリアの増殖を抑制しさらに植物の成長を促進する効果があり、上記用途に最も適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査型示差熱量計によって、結晶化度の低いポリマー試料の昇温時の吸発熱量を測定したDSC曲線の例である。
【図2】十分に結晶しているポリマー試料の昇温時のDSC曲線の例である。
【符号の説明】
1ガラス転移によるベースラインの変化
2試料の昇温に伴う結晶化による発熱ピーク
3試料の結晶の溶融による吸熱ピーク
Claims (3)
- (1)乳酸を主成分とするポリエステル重合体からなり、
(2)重合体の結晶の融点が120℃以上であり、(3)該結晶の溶融吸熱量が10ジュール/グラム以上となるように結晶化されており、且つ(4)該結晶が実質的に配向していないことを特徴とする育苗用容器。 - 重合体の結晶の融点が130℃以上であり、その溶融吸熱量が20ジュール/グラム以上である、請求項1記載の育苗用容器。
- 結晶核剤を含有する又は/及び結晶化促進成分が共重合又は/及び混合されている重合体からなる、請求項1記載の育苗用容器。
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