JP3687141B2 - 穀物貯留槽における穀物撹拌装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、穀物貯留槽における穀物撹拌装置に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
穀物を貯蔵すべきビンを利用して張込穀物の乾燥を行なわせる形態がある。この形態では穀物の撹拌が必要なため撹拌用スクリューを縦方向に設け、ビン内を前後左右に移動させつつ回転し穀物を撹拌するものとするが、その移動の方法については例えば実公昭61−24867号公報に記載されているように、ジグザグ状に移動させる形態が一般的である。
【0003】
ところで、撹拌スクリューは内壁面近傍を移動するとき、固定面の影響で穀物の下から上への移動軌跡に乱れを生じ、所望の撹拌混合状態を得られない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記欠点を解消しようとし、平面視4角形をなし穀物を受けて貯留するビン11A,11Aには底面より乾燥用空気を供給すべく構成するとともに各ビンには撹拌装置を備え、順次供給される穀物を乾燥途中または乾燥済みの穀物と混合して徐々に乾燥するものにおいて、上記ビン内には撹拌用スクリュー21a,21bを縦方向に配設し、このスクリューが前後乃至左右に移動しながら略全面の穀物を回転によって撹拌すべくその移動パターンを予め記憶する制御手段を設け、該移動パターンは、ビン11Aの四隅の一隅部イを起点として内壁ロに沿って移動し往行程の終端で所定短区間毎に後方動させ、左右往復行程駆動を行い仮想壁ハとこれに対応する内壁ニとの間の移動を繰り返し、内壁ロに対応する内壁ホに沿う左動を経て起点とは異なる他の一隅部ヘに至るパターンP1、この隅部ヘを起点として内壁ニに沿って前方動し、次いで所定短区間右方に移動しながら前後全距離に亘る前後往復動を繰り返し、仮想壁ハに沿って前方動した後内壁ロと仮想壁ハとの接続隅部トに至るパターンP2、該隅部トを起点に内壁ロに沿ってスタートし内壁ホに沿って隅部チに至るパターンP3、隅部チから仮想壁ハに沿う移動からスタートし内壁ニに沿い上記パターンP1の起点である隅部イに至るパターンP4をこの順に繰り返しつつ撹拌混合をすることを特徴とする穀物貯留槽における穀物撹拌装置の構成とする。
【0005】
【発明の作用及び効果】
スクリューは予め設定された移動パターンに沿って前後乃至左右に移動しながら略全面の穀物を回転によって撹拌するものであるが、移動パターンパターンP1からパターンP4を順に繰り返すと、内壁ロ,ホ,ニ及び仮想壁ハに沿う回数は、上記パターンP1からパターンP4を1回実行することにより3回となり、他の箇所ではその回数は2回となり、このパターンを数時間に亘り複数回繰り返しても通過回数の3:2の関係は維持され、結局内壁ロ,ホ,ニの通過回数を多く確保でき、撹拌され難い内壁近傍の穀物の撹拌回数を多くでき、内壁面直近の穀物流動を促進し、中央部の穀物に近い乾燥状態を得られる。
【0006】
【実施例】
この発明の一実施例を図面に基づいて説明する。荷受ホッパ1,1…を備える荷受場2は、搬送トラックの出入りし易いように該荷受ホッパ1,1…の両側方向に通路を構成するようにその他の主たる設備群とは離れて構成される。
【0007】
上記荷受ホッパ1に搬送機構を介して、粗選機3や穀物を荷受計量する荷受計量機4を接続する。これらは荷受穀物あるいは乾燥済穀物を受けて精選する精選機5や籾摺プラント6とともに互いに近接して設備され、操作室7,自主検査室8,製品置場9等と同一建家10内に構成されている。上記建家10に直列的に貯留乾燥用のビン11,11…を配設する。本実施例では1基50トン程度のビンを左右A,B,C3系列×6ビンを建家12に収容して、合計18ビンとしている。
【0008】
ビン11A,11B,11Cは、夫々同形態の角型のビンを採用し、外側壁11aは断熱材としてグラスウール等を利用したものとし、ビン同志の中間仕切11b,11cは通常の壁材を使用している。ビン11A,11B,11Cの底部はフラットなスイープフロワ13形態とされ、その下方は通気空間14を形成している。
【0009】
上記ビン11A,11B,11Cの建家12内上側にはベルトコンベア形態の張込用コンベア15,15…を平行して設け、これらのコンベア15を配設するビン上方空間は断面において中央及び左右に空間を形成するよう封印用隔壁16,16…を断熱材によって設け、これによって形成された中央の隔室17には床材18が張設されてあり、当該隔室17は点検用通路として利用できる構成である。封印用隔壁16,16には各ビン11A,11B,11C宛に張込シュート(図示せず)が配設されている。19は張込用コンベア15に穀物供給しうるよう穀物昇降機排出部から水平方向に延出させて設けたフライトコンベアである。なお、上記張込用コンベア15はその長手方向に移動制御されて任意のビンに穀物供給できる構成である。
【0010】
前記ビンのA系列分6基については各ビン11A毎に夫々2個の撹拌用スクリュー21a,21bを設ける。これらスクリュー21a,21bは撹拌装置としての一例であり、各別に駆動モータ22a,22bを備え、該スクリュー21a,21bの支持枠23はビン11上端に設けるレール24,24に沿って前後に往復移動すべく構成され、更にこの支持枠23に沿う方向において左右のスクリュー間隔を保ったまま往復動する構成とされ、四角いビンを左右に分けて所定のパターンに移動しながら、全面を撹拌できる構成としている。
【0011】
即ち、支持枠23は、左右の縦枠部23a,23aとこれらを連結すべく設ける前後横枠部23b,23b等を剛体的に一体構造となしてあり、このうち、縦枠部23a,23aを左右連係状に回転軸25を設ける。この回転軸25の左右端部にはローラ26,26を備えてビン側壁側の上記レール24,24に案内される構成である。27は当該回転軸25を正逆転に連動する正逆転モータである。支持枠23の横枠部23b,23bには該支持枠23左右長さの約半分の長さで構成される移動枠28をローラ29,29…を介して載置状にして該支持枠23の横方向に沿って移動自在に設ける。30はこのローラ29,29…の軸をチェン等を介して正逆転に連動する正逆転モータである。
【0012】
前記支持枠23及び移動枠28には各移動限界を入力するリミットスイッチ35,36,37,38を配設している。支持枠23に設けるリミットスイッチ35,36はレール24の移動前後各端に配設する固定具(図示せず)に当接してONし運転制御部39へ入力回路40を介して入力される。同様に移動枠28に設けるリミットスイッチ37,38は支持枠23の左右各端に配設する固定具(図示せず)に当接してONしうるもので、同様に入力回路40を経て運転制御部39に入力される。
【0013】
上記運転制御部39は、各部運転制御機構、設定入力機構を有し、出力回路41を介して前記各モータ27,30及び22a,22bへの各駆動信号を出力する構成である。各ビン11A内において、撹拌スクリュー21a,21bは一定間隔を保持したまま所定のパターンを描いてビン11Aの全面を撹拌混合できる構成である。運転制御部39は、一定の移動パターンを記憶されていて、支持枠23,移動枠28移動を司るモータ27,30の正転逆転連動を実行させ、このパターンに沿わせるものである。即ち、当該移動パターンの一例は図1に示すとおりであり、支持枠23及び移動枠28の移動によって符号矢印の順に撹拌スクリューを移動させることができる。ビンAの四隅の一隅部イを起点として移動枠28の移動により内壁ロに沿って移動し往行程の終端(ビンの左右中間である仮想壁ハ突き当たり)で支持枠23を駆動して所定短区間毎に後方動させ、移動枠28の全幅に亘る左右往復行程駆動を行い仮想壁ハとこれに対応する内壁ニとの間の移動を繰り返し、内壁ロに対応する内壁ホに沿う左動を経て起点とは異なる他の一隅部ヘに至るパターンP1(図1中a)、この隅部ヘを起点として内壁ニに沿って前方動し、次いで所定短区間右方に移動しながら前後全距離に亘る移動枠23の前後往復動を繰り返し、仮想壁ハに沿って前方動した後内壁ロと仮想壁ハとの接続隅部トに至るパターンP2(同図中b)、図1中cで示す軌跡、即ち該隅部トを起点に内壁ロに沿ってスタートし、内壁ホに沿って隅部チに至るパターンP3、同じくdで示す軌跡で隅部チから仮想壁ハに沿う移動からスタートし内壁ニに沿いP1の起点である隅部イに至るパターンP4、をこの順に繰り返しつつ撹拌混合を実行するものである。
【0014】
上記パターンのうち内壁ロ,ニ,ホ及び仮想壁ハに沿う回数は、上記パターンP1〜P4を1回実行することにより3回となり、他の箇所では、前後,左右の折り返し用上記短区間の距離を一定にとる上記実施例であってもその回数は2回となり、このパターンを数時間に亘り複数回繰り返しても通過回数の3:2の関係は維持される。
【0015】
上記のA系列では撹拌スクリューを設けるが、B及びC系列についてはこのような撹拌スクリューのない構成であって張込供給部には拡散装置を配設する。42,42…は排出並びにローテーション用の排出コンベアで、ベルトコンベア形態とし、前記通気空間14,14…において風胴43に対向する位置に各系列毎に設けられる構成である。
【0016】
ビン11A,11B,11C用建家12に接続する状態に送風機室44が設けられ、各系列毎に通気空間14入り口に接続して送風機45,45…を配設している。46,46…は加熱装置であり、これの運転により送風機45は熱風を通気空間14に供給できる。ビンの運用形態としては、荷受計量機4からの計量情報を得て各ビン11毎の張込量を任意に設定可能に設けられているから、ビンのうちB,C系列では張込穀物を薄層にして比較的高い乾減率を得る乾燥主体形態、A系列ではB,C系列から比較的乾燥が進み仕上げ水分に至った又はこれに接近した穀物を受け、これらと既張込された又は上層に追加張込される新たな荷受穀物とを混合撹拌して乾燥を進める撹拌乾燥形態、及びA,B,C系列いずれにも乾燥仕上がり穀物を籾摺出荷までの短期貯留あるいは長期貯蔵する貯留・貯蔵を行なう貯蔵形態、を実行できる構成としている。
【0017】
47は複数台に設けられた循環型穀物乾燥機で、荷受計量機4からの供給ライン、A〜C系列の各排出ラインに接続されて穀物供給される構成である。又、その排出穀物は籾摺プラントやC系列のビン11Cに戻され貯蔵される構成である。上例の作用について説明する。
【0018】
荷受された高い水分の穀物は荷受計量機4等を通過ののち、所定量毎に振り分けられてBあるいはC系列のビン11B,C内に張り込まれる。ここでは送風によって薄層の穀物は比較的高い乾減率で乾燥される。一昼夜以上を経るとこれらはいずれか空きのビン11B又は11Cにまとめられ、乾燥が継続される。薄層状態の乾減率は得られないが適度に乾燥が続き、仕上がり予定水分近傍に達すると、A系列の空ビン11A内に移される。ここでは既に新たな荷受穀物が張込みされてあり、当該乾燥穀物と混合されて乾燥される。即ち、モータ27とモータ30とにより支持枠23が前後に移動し又は移動枠28が左右に移動することにより、撹拌スクリュー21a,21bが移動するが、このときモータ22a及び22bも共に回転しスクリュー21a,21bを回転させるから、穀物は隅々まで撹拌され水分差のある穀物が混合し、下方からの送風によって所定の水分値にまで乾燥するものである。
【0019】
ところで、上記撹拌スクリュー21a,21bは、移動パターンP1→P2→P3→P4→P1を繰り返し実行されるものである。このため、内壁ロ,ホ,ニ及び仮想壁ハに沿う回数は、上記パターンP1〜P4を1回実行することにより3回となり、他の中間の箇所ではその回数は2回となり、このパターンを数時間に亘り複数回繰り返しても通過回数の3:2の関係は維持され、結局内壁ロ,ホ,ニの通過回数を多く確保できる。従って、一般に撹拌され難い内壁近傍の穀物の撹拌回数を多くでき、内壁面直近の穀物流動を促進し、中央部の穀物に近い乾燥状態を得るものである。
【0020】
上記実施例では、単一のビン11Aに複数の撹拌用スクリュー21a,21bを設けて同位相にて移動させる形態としたが、これを分割するときは上記仮想壁ハの部分が内壁となって同様の効果を有する。
【0021】
なお所定水分値に乾燥された穀物はそのままビン11A内又はビンB,C内に移して貯蔵できるものである。また、上記撹拌混合した穀物を籾摺行程に移送する前に水分チェックし、未だ乾燥終了していない穀物や、緊急で乾燥してビンの空きを確保する等、急ぎの乾燥が必要なときは、乾燥機41,41…に張込み仕上乾燥させるものである。
【0022】
本実施例では、ビン11A,11B,11Cをフラットなスイープフロアで形成したが、特開昭59-183282号公報に示されるような傾斜床板を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スクリュー移動パターンの概要図。
【図2】 施設全体平面図。
【図3】 ビンの正断面図。
【図4】 その側面図。
【図5】 要部を拡大した正断面図。
【図6】 その一部平面図。
【符号の説明】
1…荷受ホッパ,2…荷受場,3…粗選機,4…荷受計量機,5…精選機,6…籾摺プラント,7…操作室,8…自主検査室,9…製品置場,10…建家,11A,11B,11C…ビン,12…建家,13…スイープフロワ,14…通気空間,15…張込用コンベア,16…封印用隔壁,17…隔室,18…床材,19…フライトコンベア,21a,21b…撹拌用スクリュー,22a,22b…駆動モータ,23…支持枠,24…レール,25…回転軸,26…ローラ,27…正逆転モータ,28…移動枠,29…ローラ,30…正逆転モータ,35〜38…リミットスイッチ,39…運転制御部,40…入力回路,41…出力回路,42…排出コンベア,43…風胴,44…送風機室,45…送風機,46…加熱装置,47…循環型穀物乾燥機
Claims (1)
- 平面視4角形をなし穀物を受けて貯留するビン11A,11Aには底面より乾燥用空気を供給すべく構成するとともに各ビンには撹拌装置を備え、順次供給される穀物を乾燥途中または乾燥済みの穀物と混合して徐々に乾燥するものにおいて、上記ビン内には撹拌用スクリュー21a,21bを縦方向に配設し、このスクリューが前後乃至左右に移動しながら略全面の穀物を回転によって撹拌すべくその移動パターンを予め記憶する制御手段を設け、該移動パターンは、ビン11Aの四隅の一隅部イを起点として内壁ロに沿って移動し往行程の終端で所定短区間毎に後方動させ、左右往復行程駆動を行い仮想壁ハとこれに対応する内壁ニとの間の移動を繰り返し、内壁ロに対応する内壁ホに沿う左動を経て起点とは異なる他の一隅部ヘに至るパターンP1、この隅部ヘを起点として内壁ニに沿って前方動し、次いで所定短区間右方に移動しながら前後全距離に亘る前後往復動を繰り返し、仮想壁ハに沿って前方動した後内壁ロと仮想壁ハとの接続隅部トに至るパターンP2、該隅部トを起点に内壁ロに沿ってスタートし内壁ホに沿って隅部チに至るパターンP3、隅部チから仮想壁ハに沿う移動からスタートし内壁ニに沿い上記パターンP1の起点である隅部イに至るパターンP4をこの順に繰り返しつつ撹拌混合をすることを特徴とする穀物貯留槽における穀物撹拌装置。
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