JP3686294B2 - 車両用インナミラー装置 - Google Patents

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  • Mounting And Adjusting Of Optical Elements (AREA)
  • Rear-View Mirror Devices That Are Mounted On The Exterior Of The Vehicle (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内に設けられる車両用インナミラー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用インナミラー装置には、例えば、図13に示す如き車両用インナミラー装置50がある。この車両用インナミラー装置50は、ベース52を備えており、ベース52は車両前方側及び下方側へ開口した箱状とされている。ベース52は車室内のフロントガラス(図示省略)に固定されており、ベース52の内部には略U字状の板ばね54が配置されている。板ばね54はベース52の側壁へ向う方向への付勢力を有しており、この付勢力により板ばね54の両端とベース52の側壁との間にボール56が挟持された状態でベース52に板ばね54が保持されている。板ばね54の内部にはベースインナ58が配置されており、ベースインナ58は、車両後方視認用のインナミラー60に設けられたステー62にボルト64によって固定されている。また、板ばね54の両端には挟持板66が設けられており、上述の如くベースインナ58がステー62に固定されることにより、ベースインナ58とステー62との間に板ばね54がこの挟持板66において挟持されている。
【0003】
この車両用インナミラー装置50では、上述の如く、ベース52が板ばね54を保持すると共に、この板ばね54をベースインナ58とステー62との間に挟持することにより、ベース52にステー62(インナミラー60)が保持されている。
【0004】
ところで、一般に、車両用インナミラー装置においては、車両後方視認用のインナミラーに所定荷重以上の荷重が作用すると、その荷重の作用方向に拘らず、インナミラーが脱落することが要求されている。
【0005】
ここで、上述の如き、車両用インナミラー装置50においては、インナミラー60に車両前後方向(または車両上下方向)へ所定荷重以上の荷重が作用した場合には、板ばね54が内側に撓むことによりベース52から板ばね54が外れ、これにより、ベース52からインナミラー60(ステー62)が脱落する。
【0006】
しかしながら、このような車両用インナミラー装置50では、ベース52にステー62が板ばね54の両端の2点のみで支持されており、この板ばね54の両端の2点支持のみでベース52のステー62保持力を所定荷重に維持すべく、板ばね54の付勢力が大きくされている。しかも、板ばね54の両端がベース52の側壁やベースインナ58に当接することにより、板ばね54の捩じれが阻害される。このため、インナミラー60に車両幅方向へ所定荷重以上の荷重が作用した場合には、板ばね54がベース52から外れにくく、これにより、ベース52からインナミラー60(ステー62)が脱落しにくいという問題がある。
【0007】
また、この車両用インナミラー装置50を組み付ける際には、ベース52内部の所定位置に板ばね54、ボール56及びベースインナ58を配置して位置合せし、この状態を維持しつつボルト64を締結することによってベースインナ58をステー62に固定しなければならない。このように、ボール56及びベースインナ58が必要であり部品点数が多くなると共に、多部品を位置合せしてボルト64を締結しなければならないため組み付け作業が困難になるのみならず、組み付け時間に多くを費やさなくてはならず、これにより、組付性が悪く、しかも、コスト高にもなるという問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、インナミラーに所定荷重以上の荷重が作用すると、その荷重の作用方向に拘らずインナミラーが脱落可能な車両用インナミラー装置を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の車両用インナミラー装置は、車両の後方を視認するためのインナミラーと、前記インナミラーに設けられたステーと、車室内に固定されたベースと、前記ベースに設けられた保持突起と、前記ステーに固定されると共に前記保持突起に対応して付勢力を有する少なくとも3つの付勢脚が周方向に略等間隔に設けられ保持部材と、前記保持突起と隣接して前記ベースに設けられ、前記付勢脚が挿入されて前記保持部材が前記ベースに対し回転されることで前記付勢脚が付勢力によって前記保持突起に係合する挿入孔と、前記付勢脚に設けられ、前記ベースから前記ステーへ向う方向に対して略垂直とされた接触部と、前記接触部に対応して前記保持突起に形成され、前記ベースから前記ステーへ向う方向に対して略垂直とされて前記接触部が面接触することで前記ステーを前記ベースに圧着させて前記ベースに前記ステーが所定荷重で保持される受部と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載の車両用インナミラー装置によれば、ベースに設けられた保持突起に、ステーに固定された保持部材の付勢脚が付勢力によって係合することにより、ベースにステー(インナミラー)が所定荷重で保持されている。
【0011】
ここで、保持部材には少なくとも3つの付勢脚が設けられているため、ベースにステーが少なくとも3点で支持されており、したがって、ベースのステー保持力を所定荷重に維持するために、付勢脚の付勢力を従来の板ばね程大きくする必要がない。しかも、付勢脚の撓みが他の部材により阻害されることはない。
【0012】
したがって、インナミラーに所定荷重以上の荷重が作用した場合には、その荷重の作用方向に対応した少なくとも1つの付勢脚がベースからステーに向う方向へスライドし、これにより、全ての付勢脚の保持突起との係合が解除される。このため、上記荷重の作用方向に拘らず、ベースからインナミラー(ステー)を脱落させることができる。
【0013】
また、車両用インナミラー装置が組み付けられる際には、ベースの保持突起に隣接する挿入孔に保持部材の付勢脚が挿入されて保持部材がベースに対し回転されることで、保持部材の付勢脚が弾性変形された状態でベースの保持突起に係合されることにより、ベースにステー(インナミラー)が保持される。このため、従来のボール及びベースインナが不要となり部品点数を少なくできると共に多部品を位置合せしてボルトを締結する必要がなくなるため組み付け作業を容易にでき、しかも、組み付け時間を短くすることができる。これにより、組付性を向上できると共にコストを低減できる。
【0017】
さらに、付勢脚に設けられた接触部及び接触部に対応して前記保持突起に形成された受部は、共にベースからステーへ向う方向に対して略垂直とされており、接触部が受部に面接触している。これにより、付勢脚の付勢力によってステーがベースへ向う方向へ付勢されることで、ステーがベースに圧着されている。このため、ステーとベースとの間のひびり防止性能を向上させることができる。
【0018】
請求項に記載の車両用インナミラー装置は、請求項1に記載の車両用インナミラー装置において、前記付勢脚を屈曲させた、ことを特徴としている。
【0019】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、付勢脚が屈曲されているため、付勢脚が屈曲されていない場合に比し、付勢脚の付勢力を倍増させることができる。このため、容易にベースのステー保持力を所定荷重に設定することができると共にステーのベースへの圧着力を倍増させてステーとベースとの間のひびり防止性能を一層向上させることができる。
【0020】
さらに、付勢脚が屈曲されているため、付勢脚の占有空間を小さくでき、これにより、ベース及びステーの省スペース化を図ることができる。
【0021】
また、インナミラーに所定荷重以上の荷重が作用した場合には、付勢脚はその屈曲部位において撓みやすいため、容易にベースからインナミラー(ステー)を脱落させることができる。
【0022】
請求項3に記載の車両用インナミラー装置は、請求項1または請求項2に記載の車両用インナミラー装置において、前記挿入孔に付勢力を生じない自然状態の前記付勢脚をそのまま挿入する、ことを特徴としている。
【0023】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、車両用インナミラー装置を組み付ける際には、ベースの保持突起に隣接する挿入孔に、付勢力を生じない自然状態の付勢脚をそのまま挿入すれば、保持突起に付勢脚を係合できる。
【0024】
このように、付勢脚を手操作等で弾性変形させた状態で保持突起に係合させるといった手順を要しないため、容易に付勢脚を保持突起に係合でき、したがって、組み付け作業を一層容易にできると共に組み付け時間を一層短くすることができ、組付性を一層向上できると共にコストを一層低減できる。
【0025】
請求項に記載の車両用インナミラー装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両用インナミラー装置において、前記保持突起と前記挿入孔との隣接部位に設けられ、前記挿入孔から前記保持突起に向けて傾斜する案内傾斜部を備えた、ことを特徴としている。
【0026】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、保持突起と挿入孔との隣接部位に設けられた案内傾斜部はベースの挿入孔から保持突起に向けて傾斜しているため、案内傾斜部によって付勢脚の保持突起への係合が案内される。これにより、付勢脚を保持突起に一層容易に係合でき、組み付け作業をさらに一層容易にできると共に組み付け時間をさらに一層短くすることができる。したがって、組付性をさらに一層向上できると共にコストをさらに一層低減できる。
【0027】
請求項に記載の車両用インナミラー装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車両用インナミラー装置において、前記付勢脚の前記保持部材周方向側端部に設けられ、前記挿入孔から前記保持突起に向かう方向に平行に傾斜する案内テーパ部を備えた、ことを特徴としている。
【0028】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、付勢脚の保持部材周方向側端部に設けられた案内テーパ部は挿入孔から保持突起の受部に向かう方向に平行に傾斜しているため、案内テーパ部によって付勢脚の保持突起への係合が案内される。これにより、付勢脚を保持突起に一層容易に係合でき、組み付け作業をさらに一層容易にできると共に組み付け時間をさらに一層短くすることができる。したがって、組付性をさらに一層向上できると共にコストをさらに一層低減できる。
【0029】
請求項に記載の車両用インナミラー装置は、請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の車両用インナミラー装置において、前記保持突起の端部に設けられ、前記保持部材周方向への前記付勢脚のスライドを係止するストッパを備えた、ことを特徴としている。
【0030】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、保持突起の端部に設けられたストッパが、保持部材周方向への付勢脚のスライドを係止するため、付勢脚が保持突起から保持部材周方向へずれて付勢脚の保持突起との係合が不要に解除されることを防止できる。これにより、インナミラーに所定荷重以上の荷重が作用した場合以外に、ベースからインナミラー(ステー)が脱落することを防止することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る車両用インナミラー装置10が分解斜視図にて示されており、図2には、車両用インナミラー装置10の主要部品が斜視図にて示されている。また、図3には、車両用インナミラー装置10の主要部品が平面図にて示されており、図4には、車両用インナミラー装置10の主要部が断面図にて示されている。
【0032】
本発明の第1の実施の形態に係る車両用インナミラー装置10は、車両後方視認用のインナミラー14を備えている。インナミラー14の車両前方側にはステー12が設けられており、ステー12の車両前方側には中空部16が形成されている。中空部16の中央部分には、車両前方側に突出した固定突起18が形成されている。
【0033】
ステー12の中空部16内には保持部材としてのスプリング20が設けられている。スプリング20の中央部分はステー12の固定突起18にスクリュウ22によって固定されており、これにより、ステー12にスプリング20が固定されている。スプリング20は弾性材料で略十字状に形成されており、これにより、スプリング20には4つの付勢脚24が周方向に等間隔に設けられている。各付勢脚24は、末端において車両後方側へ屈曲されると共に、略中央部分において車両前方側へV字状に屈曲されており、これにより、各付勢脚24はステー12の中空部16外周方向への付勢力を有している。また、前述の如く、付勢脚24の略中央部分をV字状に屈曲させることにより、付勢脚24の付勢力をこの部分が屈曲されていない場合に比し倍増させている。
【0034】
ステー12の車両前方側にはベース26が設けられている。ベース26は、略円柱状とされており、ベース26の車両前方側の壁面は車室内のフロントガラス(図示省略)に固定されている。ベース26には略円柱状の中空部分が設けられて中空孔28が形成されており、この中空孔28はベース26の車両後方側から開口している。
【0035】
中空孔28の外周壁には複数(本実施の形態では4つ)の保持壁30が形成されており、各保持壁30は前述のスプリング20の各付勢脚24に対応している。各保持壁30の車両後方側端部にはそれぞれ保持突起としての保持爪34が形成されており、保持爪34は中空孔28内側へ突出している。この保持爪34には、スプリング20の付勢脚24が付勢力によって係合しており、これにより、ベース26にステー12(インナミラー14)が所定荷重で保持されている。また、付勢脚24は保持爪34に線接触しており、これにより、付勢脚24の保持爪34への付勢力を一定値に安定させている。
【0036】
各保持壁30のベース26周方向における両端部(各保持爪34の両端部)にはストッパ36が形成されている。ストッパ36は、保持壁30の壁面からベース26中心側へ突出すると共に前述のスプリング20の付勢脚24に隣接しており、これにより、スプリング20周方向への付勢脚24のスライドを係止している。
【0037】
中空孔28の外周壁には複数(本実施の形態では4つ)の挿入壁38が形成されており、挿入壁38によって複数(本実施の形態では4つ)の挿入孔40が形成されている。各挿入壁38は、前述の保持壁30(保持爪34)にそれぞれ隣接すると共に保持壁30よりもベース26外周側に配置されている。これにより、各挿入孔40を前述のスプリング20の各付勢脚24に対応させており、各挿入孔40にはそれぞれ付勢力を生じない自然状態の各付勢脚24をそのまま挿入可能とされている。さらに、各挿入孔40と保持爪34との隣接部位にはそれぞれ案内傾斜部42が形成されており、案内傾斜部42は挿入孔40(挿入壁38)から保持爪34に向けて傾斜している。このため、図5に示す如く、挿入孔40に付勢力を生じない自然状態の付勢脚24をそのまま挿入した後、ステー12(スプリング20)をベース26に対し回転させて付勢脚24を案内傾斜部42に沿って保持爪34までスライドさせることにより、案内傾斜部42によって付勢脚24が弾性変形(内側に押圧)されて付勢脚24を保持爪34に係合させている。
【0038】
ここで、図6に示す如く、インナミラー14に所定荷重以上の荷重が作用した場合には、その荷重の作用方向に対応した少なくとも1つの付勢脚24がベース26の保持壁30に沿ってベース26からステー12に向う方向へスライドし、これにより、全ての付勢脚24の保持爪34との係合が解除される。このため、上記荷重の作用方向に拘らず、ベース26からインナミラー14(ステー12)が脱落する構成である。
【0039】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0040】
以上の構成の車両用インナミラー装置10では、図4に示す如く、ベース26の保持壁30に形成された保持爪34に、ステー12に固定されたスプリング20の付勢脚24が付勢力によって係合することにより、ベース26にステー12(インナミラー14)が所定荷重で保持されている。
【0041】
ここで、スプリング20の付勢脚24の略中央部分は屈曲されているため、付勢脚24のこの部分が屈曲されていない場合に比し、付勢脚24の付勢力を倍増させることができる。このため、容易にベース26のステー12保持力を所定荷重に設定することができる。さらに、この付勢脚24の末端及び略中央部分が屈曲されているため、付勢脚24の占有空間を小さくでき、これにより、ベース26及びステー12の省スペース化を図ることができる。
【0042】
ところで、スプリング20には4つの付勢脚24が設けられているため、ベース26にステー12が4点で支持されており、したがって、ベース26のステー12保持力を所定荷重に維持するために、付勢脚24の付勢力を従来の板ばね程大きくする必要がない。しかも、付勢脚24の撓みが他の部材により阻害されることはない。このため、図6に示す如く、インナミラー14に所定荷重以上の荷重が作用した場合には、その荷重の作用方向に対応した少なくとも1つの付勢脚24が保持壁30に沿ってベース26からステー12に向う方向へスライドし、これにより、全ての付勢脚24の保持爪34との係合が解除される。したがって、上記荷重の作用方向に拘らず、ベース26からインナミラー14(ステー12)を脱落させることができる。
【0043】
また、付勢脚24はその屈曲部位(付勢脚24の末端と略中央部分)において撓みやすいため、容易にベース26からインナミラー14(ステー12)を脱落させることができる。
【0044】
さらに、スプリング20の付勢脚24はベース26の保持爪34に線接触するため、付勢脚24の保持爪34への付勢力を一定値に安定させることができる。これにより、ベース26のステー12保持力を所定荷重に安定させることができ、インナミラー14に所定荷重以上の荷重が作用した場合に、確実にベース26からインナミラー14(ステー12)を脱落させることができる。
【0045】
さらにまた、保持爪34の両端部に設けられたストッパ36が、スプリング20周方向への付勢脚24のスライドを係止するため、付勢脚24が保持爪34から挿入孔40側(スプリング20周方向)へずれて、付勢脚24の保持爪34との係合が不要に解除されることを防止できる。これにより、インナミラー14に所定荷重以上の荷重が作用した場合以外に、ベース26からインナミラー14(ステー12)が脱落することを防止することができる。
【0046】
またここで、図5に示す如く、車両用インナミラー装置10を組み付ける際には、ベース26の保持爪34に隣接する挿入孔40に、スプリング20の付勢脚24を付勢力を生じない自然状態でそのまま挿入した後、ステー12(スプリング20)をベース26に対し回転させて付勢脚24を案内傾斜部42に沿って保持爪34までスライドさせる。このため、案内傾斜部42によって付勢脚24が弾性変形(内側に押圧)された状態で付勢脚24が保持爪34に係合され、これにより、ベース26にステー12を保持させることができる。
【0047】
したがって、従来のボール及びベースインナが不要となり部品点数を少なくすることができると共に多部品を位置合せしてボルトを締結する必要がなくなるため組み付け作業を容易にでき、しかも、組み付け時間を短くすることができる。これにより、組付性を向上できると共にコストを低減できる。
【0048】
また、付勢脚24を手操作等で弾性変形させた状態で保持突起に係合させるといった手順を伴わなくとも、上述の如く、付勢力を生じない自然状態の付勢脚24をそのまま挿入孔40に挿入した後ステー12(スプリング20)をベース26に対し回転させるのみで、案内傾斜部42によって付勢脚24が弾性変形(内側へ押圧)されて付勢脚24を保持爪34に係合させることができる。このように、容易に保持爪34に付勢脚24を係合できるため、組み付け作業を一層容易にできると共に組み付け時間を一層短くすることができ、組付性を一層向上できると共にコストを一層低減できる。
【0049】
さらに、挿入孔40と保持爪34との隣接部位に設けられた案内傾斜部42は挿入孔40から保持爪34に向けて傾斜しているため、案内傾斜部42によって保持爪34への付勢脚24の係合が案内される。これにより、一層容易に保持爪34に付勢脚24を係合できるため、組み付け作業をさらに一層容易にできると共に組み付け時間をさらに一層短くすることができ、組付性をさらに一層向上できると共にコストをさらに一層低減できる。
【0050】
なお、本実施の形態では、ベース26の保持爪34にスプリング20の付勢脚24が係合する構成としたが、これに限らず、ベース26の保持壁30にスプリング20の付勢脚24が係合する(線接触する場合を含む)構成としてもよい。
[第2の実施の形態]
図7には、本発明の第2の実施の形態に係る車両用インナミラー装置100が分解斜視図にて示されており、図8には、車両用インナミラー装置100の主要部が断面図にて示されている。また、図9(A)には、車両用インナミラー装置100の主要部が平面図にて示されており、図9(B)には、車両用インナミラー装置100の主要部が断面図(図9(A)のB−B線断面図)にて示されている。
【0051】
本発明の第2の実施の形態に係る車両用インナミラー装置100は、車両後方視認用のインナミラー102を備えている。インナミラー102の車両前方側にはステー104が設けられており、ステー104の車両前方側には中空部106が形成されている。中空部106の中央部分には、車両前方側に突出した固定突起108が形成されている。
【0052】
ステー104の中空部106内には保持部材としてのスプリング110が設けられている。スプリング110の中央部分はステー104の固定突起108にスクリュウ112によって固定されており、これにより、ステー104にスプリング110が固定されている。スプリング110は弾性材料で略十字状に形成されており、これにより、スプリング110には付勢力を有する4つの付勢脚114が周方向に等間隔に設けられている。各付勢脚114は、末端において車両後方側へ屈曲されると共に、略中央部分において車両前方側へV字状に屈曲されており、これにより、付勢脚114の略中央部分が屈曲されていない場合に比し付勢脚114の付勢力を倍増させている。各付勢脚114の先端には接触部116が形成されており、接触部116はステー104から後記ベース120に向う方向に対して垂直とされている。
【0053】
各接触部116のスプリング110周方向片側端部には、案内テーパ部118が形成されている。案内テーパ部118は接触部116に対し折り曲げられており、これにより、案内テーパ部118は後述のベース120の挿入孔130から保持突起124の受部126に向かう方向に平行に傾斜している。
【0054】
ステー104の車両前方側にはベース120が設けられている。ベース120は、略円柱状とされており、ベース120の車両前方側の壁面は車室内のフロントガラス(図示省略)に固定されている。ベース120には略円柱状の中空部分が設けられて中空孔122が形成されており、この中空孔122はベース120の車両後方側から開口している。
【0055】
中空孔122の外周壁には複数(本実施の形態では4つ)の保持突起124が形成されており、保持突起124は中空孔122内側へ突出している。さらに、各保持突起124の車両前方側には受部126が形成されている。受部126は前述の接触部116に対応してベース120からステー104に向う方向に対して垂直とされており、この受部126に接触部116が面接触することで、スプリング110の付勢脚114が付勢力によって保持突起124に係合している。これにより、付勢脚114の付勢力によってステー104がベース120へ向う方向へ付勢されることで、ベース120にステー104(インナミラー102)が所定荷重で保持されると共に、ステー104がベース120に圧着されている。
【0056】
保持突起124(受部126)のベース120周方向(スプリング110周方向)における端部には複数(本実施の形態では合計2つ)のストッパ128が形成されている。ストッパ128は、保持突起124からベース120中心側へ突出すると共に前述のスプリング110の付勢脚114に隣接しており、これにより、スプリング110周方向への付勢脚114のスライドを係止している。
【0057】
中空孔122の保持突起124に隣接する部位には、複数(本実施の形態では4つ)の挿入孔130が形成されている。各挿入孔130はスプリング110の各付勢脚114に対応しており、各挿入孔130にはそれぞれ付勢力を生じない自然状態の各付勢脚114をそのまま挿入可能とされている。さらに、各挿入孔130と各保持突起124(受部126)との隣接部位にはそれぞれ案内傾斜部132が形成されており、案内傾斜部132は挿入孔130から保持突起124の受部126に向けて傾斜している。このため、図10、図11(A)及び図11(B)に示す如く、挿入孔130に付勢力を生じない自然状態の付勢脚114をそのまま挿入した後、図12(A)及び図12(B)に示す如く、ステー104(スプリング110)をベース120に対し回転させて付勢脚114の接触部116を案内傾斜部132及び案内テーパ部118により案内して保持突起124の受部126までスライドさせることにより、案内傾斜部132及び案内テーパ部118によって付勢脚114が弾性変形(ステー104からベース120に向う方向に押圧)されて付勢脚114を保持突起124に係合(接触部116を受部126に面接触)させている。
【0058】
ここで、インナミラー102に所定荷重以上の荷重が作用した場合には、その荷重の作用方向に対応した少なくとも1つの付勢脚114がベース120の保持突起124から脱落してベース120からステー104に向う方向へスライドし、これにより、全ての付勢脚114の保持突起124との係合が解除される。このため、上記荷重の作用方向に拘らず、ベース120からインナミラー102(ステー104)が脱落する構成である。
【0059】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0060】
以上の構成の車両用インナミラー装置100では、図8、図9(A)及び図9(B)に示す如く、ベース120に形成された保持突起124にステー104に固定されたスプリング110の付勢脚114が付勢力によって係合している。
【0061】
ここで、付勢脚114に設けられた接触部116及び接触部116に対応して保持突起124に形成された受部126は、共にベース120からステー104へ向う方向に対して略垂直とされており、接触部116が受部126に面接触している。これにより、付勢脚114の付勢力によってステー104がベース120へ向う方向へ付勢されることで、ベース120にステー104(インナミラー102)が所定荷重で保持されるのみならず、ステー104がベース120に圧着されてステー104とベース120との間のひびり防止性能を向上させることができる。
【0062】
また、スプリング110の付勢脚114の略中央部分は屈曲されているため、付勢脚114のこの部分が屈曲されていない場合に比し、付勢脚114の付勢力を倍増させることができる。このため、容易にベース120のステー104保持力を所定荷重に設定することができると共に、ステー104のベース120への圧着力を倍増させてステー104とベース120との間のひびり防止性能を一層向上させることができる。さらに、この付勢脚114の末端及び略中央部分が屈曲されているため、付勢脚114の占有空間を小さくでき、これにより、ベース120及びステー104の省スペース化を図ることができる。
【0063】
ところで、スプリング110には4つの付勢脚114が設けられているため、ベース120にステー104が4点で支持されており、したがって、ベース120のステー104保持力を所定荷重に維持するために、付勢脚114の付勢力を従来の板ばね程大きくする必要がない。しかも、付勢脚114の撓みが他の部材により阻害されることはない。このため、インナミラー102に所定荷重以上の荷重が作用した場合には、その荷重の作用方向に対応した少なくとも1つの付勢脚114が保持突起124から脱落してベース120からステー104に向う方向へスライドし、これにより、全ての付勢脚114の保持突起124との係合が解除される。したがって、上記荷重の作用方向に拘らず、ベース120からインナミラー102(ステー104)を脱落させることができる。
【0064】
また、付勢脚114はその屈曲部位(付勢脚114の末端と略中央部分)において撓みやすいため、容易にベース120からインナミラー102(ステー104)を脱落させることができる。
【0065】
さらに、保持突起124の端部に設けられたストッパ128が、スプリング110周方向への付勢脚114のスライドを係止するため、付勢脚114が保持突起124から挿入孔130側(スプリング110周方向)へずれて、付勢脚114の保持突起124との係合が不要に解除されることを防止できる。これにより、インナミラー102に所定荷重以上の荷重が作用した場合以外に、ベース120からインナミラー102(ステー104)が脱落することを防止することができる。
【0066】
またここで、車両用インナミラー装置100を組み付ける際には、図10、図11(A)及び図11(B)に示す如く、挿入孔130に付勢力を生じない自然状態の付勢脚114をそのまま挿入した後、図12(A)及び図12(B)に示す如く、ステー104(スプリング110)をベース120に対し回転させて付勢脚114の接触部116を案内傾斜部132及び案内テーパ部118により案内して保持突起124の受部126までスライドさせることにより、案内傾斜部132及び案内テーパ部118によって付勢脚114が弾性変形(ステー104からベース120に向う方向に押圧)されて付勢脚114が保持突起124に係合(接触部116が受部126に面接触)される。これにより、ベース120にステー104を保持させることができる。
【0067】
したがって、従来のボール及びベースインナが不要となり部品点数を少なくすることができると共に多部品を位置合せしてボルトを締結する必要がなくなるため組み付け作業を容易にでき、しかも、組み付け時間を短くすることができる。これにより、組付性を向上できると共にコストを低減できる。
【0068】
また、付勢脚114を手操作等で弾性変形させた状態で保持突起に係合させるといった手順を伴わなくとも、上述の如く、付勢力を生じない自然状態の付勢脚114をそのまま挿入孔130に挿入した後ステー104(スプリング110)をベース120に対し回転させるのみで、案内傾斜部132及び案内テーパ部118によって付勢脚114が弾性変形(ステー104からベース120に向う方向に押圧)されて付勢脚114の接触部116を保持突起124の受部126に係合(面接触)させることができる。このように、容易に保持突起124に付勢脚114を係合できるため、組み付け作業を一層容易にできると共に組み付け時間を一層短くすることができ、組付性を一層向上できると共にコストを一層低減できる。
【0069】
さらに、挿入孔130と保持突起124との隣接部位に設けられた案内傾斜部132は挿入孔130から保持突起124の受部126に向けて傾斜すると共に、付勢脚114のスプリング110周方向片側端部に設けられた案内テーパ部118は挿入孔130から保持突起124の受部126に向かう方向に平行に傾斜しているため、案内傾斜部132及び案内テーパ部118によって保持突起124への付勢脚114の係合(接触部116の受部126への面接触)が案内される。これにより、一層容易に保持突起124に付勢脚114を係合できるため、組み付け作業をさらに一層容易にできると共に組み付け時間をさらに一層短くすることができ、組付性をさらに一層向上できると共にコストをさらに一層低減できる。
【0070】
なお、以上の実施の形態では、スプリング20、110に付勢脚24、114を4つ設けた構成としたが、これに限らず、スプリングに付勢脚を3つ以上設けた構成とすればよい。
【0071】
さらに、ベース26、120を車室内のフロントガラスに固定した構成としたが、これに限らず、ベースを車室内の天井に固定した構成としてもよい。
【0072】
【発明の効果】
請求項1に記載の車両用インナミラー装置によれば、インナミラーに所定荷重以上の荷重が作用した場合には、その荷重の作用方向に対応した少なくとも1つの付勢脚がベースからステーに向う方向へスライドし、これにより、全ての付勢脚の保持突起との係合が解除される。このため、上記荷重の作用方向に拘らず、ベースからインナミラー(ステー)を脱落させることができる。
【0073】
また、従来のボール及びベースインナが不要となり部品点数を少なくできると共に多部品を位置合せしてボルトを締結する必要がなくなるため組み付け作業を容易にでき、しかも、組み付け時間を短くすることができる。これにより、組付性を向上できると共にコストを低減できる。
【0075】
さらに、付勢脚の接触部が保持突起の受部に面接触しているため、付勢脚の付勢力によってステーがベースへ向う方向へ付勢されることで、ステーがベースに圧着されている。このため、ステーとベースとの間のひびり防止性能を向上させることができる。
【0076】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、付勢脚が屈曲されているため、付勢脚が屈曲されていない場合に比し、付勢脚の付勢力を倍増させることができる。このため、容易にベースのステー保持力を所定荷重に設定することができると共に、ベースのステーへの圧着力を倍増させてびびり防止性能を一層向上させることができる。
【0077】
さらに、付勢脚が屈曲されているため、付勢脚の占有空間を小さくでき、これにより、ベース及びステーの省スペース化を図ることができる。
【0078】
また、インナミラーに所定荷重以上の荷重が作用した場合には、付勢脚はその屈曲部位において撓みやすいため、容易にベースからインナミラー(ステー)を脱落させることができる。
【0079】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、付勢脚を手操作等で弾性変形させた状態で保持突起に係合させるといった手順を要しないため、容易に付勢脚を保持突起に係合でき、したがって、組み付け作業を一層容易にできると共に組み付け時間を一層短くすることができ、組付性を一層向上できると共にコストを一層低減できる。
【0080】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、案内傾斜部によって付勢脚の保持突起への係合が案内される。これにより、付勢脚を保持突起に一層容易に係合でき、組み付け作業をさらに一層容易にできると共に組み付け時間をさらに一層短くすることができる。したがって、組付性をさらに一層向上できると共にコストをさらに一層低減できる。
【0081】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、案内テーパ部によって付勢脚の保持突起への係合が案内される。これにより、付勢脚を保持突起に一層容易に係合でき、組み付け作業をさらに一層容易にできると共に組み付け時間をさらに一層短くすることができる。したがって、組付性をさらに一層向上できると共にコストをさらに一層低減できる。
【0082】
請求項に記載の車両用インナミラー装置によれば、保持突起の端部に設けられたストッパが、保持部材周方向への付勢脚のスライドを係止するため、付勢脚が保持突起から保持部材周方向へずれて付勢脚の保持突起との係合が不要に解除されることを防止できる。これにより、インナミラーに所定荷重以上の荷重が作用した場合以外に、ベースからインナミラー(ステー)が脱落することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る車両用インナミラー装置の分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る車両用インナミラー装置のスプリングの斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る車両用インナミラー装置のベースの平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る車両用インナミラー装置の主要部の断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る車両用インナミラー装置を組み付ける際の断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る車両用インナミラー装置のインナミラー(ステー)がベースから脱落する際の断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る車両用インナミラー装置の分解斜視図である。
【図8】第2の実施の形態に係る車両用インナミラー装置の主要部の断面図(図9(A)の8−8線に沿った断面図)である。
【図9】(A)は、第2の実施の形態に係る車両用インナミラー装置の主要部の平面図であり、(B)は、この車両用インナミラー装置の主要部の平面図((A)のB−B線に沿った断面図)である。
【図10】第2の実施の形態に係る車両用インナミラー装置のステーをベースに挿入した際の断面図(図11(A)の10−10線に沿った断面図)である。
【図11】(A)は、第2の実施の形態に係る車両用インナミラー装置のステーをベースに挿入した際の平面図であり、(B)は、(A)のB−B線に沿った断面図である。
【図12】(A)は、第2の実施の形態に係る車両用インナミラー装置のステーをベースに対し回転させる際の平面図であり、(B)は、(A)のB−B線に沿った断面図である。
【図13】従来の車両用インナミラー装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
10 車両用インナミラー装置
12 ステー
14 インナミラー
20 スプリング(保持部材)
24 付勢脚
26 ベース
34 保持爪(保持突起)
36 ストッパ
40 挿入孔
42 案内傾斜部
100 車両用インナミラー装置
102 インナミラー
104 ステー
110 スプリング(保持部材)
114 付勢脚
116 接触部
118 案内テーパ部
120 ベース
124 保持突起
126 受部
128 ストッパ
130 挿入孔
132 案内傾斜部

Claims (6)

  1. 車両の後方を視認するためのインナミラーと、
    前記インナミラーに設けられたステーと、
    車室内に固定されたベースと、
    前記ベースに設けられた保持突起と、
    前記ステーに固定されると共に前記保持突起に対応して付勢力を有する少なくとも3つの付勢脚が周方向に略等間隔に設けられ保持部材と、
    前記保持突起と隣接して前記ベースに設けられ、前記付勢脚が挿入されて前記保持部材が前記ベースに対し回転されることで前記付勢脚が付勢力によって前記保持突起に係合する挿入孔と、
    前記付勢脚に設けられ、前記ベースから前記ステーへ向う方向に対して略垂直とされた接触部と、
    前記接触部に対応して前記保持突起に形成され、前記ベースから前記ステーへ向う方向に対して略垂直とされて前記接触部が面接触することで前記ステーを前記ベースに圧着させて前記ベースに前記ステーが所定荷重で保持される受部と、
    を備えた車両用インナミラー装置。
  2. 前記付勢脚を屈曲させた、ことを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の車両用インナミラー装置
  3. 前記挿入孔に付勢力を生じない自然状態の前記付勢脚をそのまま挿入する、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用インナミラー装置。
  4. 前記保持突起と前記挿入孔との隣接部位に設けられ、前記挿入孔から前記保持突起に向けて傾斜する案内傾斜部を備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の車両用インナミラー装置。
  5. 前記付勢脚の前記保持部材周方向側端部に設けられ、前記挿入孔から前記保持突起に向かう方向に平行に傾斜する案内テーパ部を備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の車両用インナミラー装置。
  6. 前記保持突起の端部に設けられ、前記保持部材周方向への前記付勢脚のスライドを係止するストッパを備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の車両用インナミラー装置。
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