JP3686000B2 - 組み合わせ印 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数個の要素印判を連結して使用する組み合わせ印、なかでも各要素印判が連続捺印可能な浸透印になっている組み合わせ印に関する。個々の要素印判には、例えば住所、氏名、法人名、電話番号等の文字列が形成されるものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の組み合わせ印は実開昭56−171250号公報、同58−168448号公報、同59−82753号公報などに公知である。組み合わせ印を構成する個々の要素印判は、角板状の印判本体と、その下端面に固定されるゴム印字体とからなり、印判本体の接合面の一方に嵌合突起を設け、他方の接合面に嵌合凹部が設けてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
住所印には、上記のような組み合わせ印と、住所、氏名、法人名、電話番号等の文字列を1個のゴム印字体に形成した単体型の住所印とがある。組み合わせ印は、スタンプ台に含浸したインクを印面に付着させて紙面に転写するので、捺印作業が煩わしい。こうした煩わしさを避けるために、単体型の住所印の殆どは、連続捺印が可能な浸透印として構成されている。組み合わせ印も、個々の要素印判を浸透印化することにより捺印作業を簡便化できるが、これには次のような問題がある。
【0004】
組み合わせ印においては、住所、氏名、法人名、電話番号等の文字列を印字するためのゴム印字体が、前後幅が小さく左右長のみが極端に大きな帯形状になる形態状の特異性がある。このような左右横長のゴム印字体を浸透印化するには、個々の要素印判ごとに、ゴム印字体を垂れ下がらない状態で平坦姿勢に固定保持しなければならない。例えば、既存の浸透印で採用されているように、角枠状のホルダーの開口下面に受枠部を張り出し形成し、ゴム印字体をホルダーの開口上面側から組み付けることにより、ゴム印字体の下面周縁を受枠部で支持すると、左右横長のゴム印字体は垂れ下がることなく保持できる。ところが、ホルダーに受枠部を設けると、前後の受枠部の張り出し寸法分だけ、ゴム印字体の印字可能な前後幅が小さくなるのを避けられない。そのために、印字された文字列を見てみると、各文字列の前後間隔が異常に大きくなり、単体型の住所印で印字した場合に比べて、間が抜けて見える。
【0005】
各要素印判で印字された文字列の隣接間隔を小さくするために、本出願人は、板金化したホルダーでゴム印字体を保持する形態を検討した。そこでは、図10に示すように文字列の隣接間隔に影響しない、ホルダー45の下面前後にのみ受枠部46を設け、前後の受枠部46で支持した一対の支持板47でゴム印字体48を左右に挟み保持した。支持板47の対向面には複数個の突起49を設け、この突起49を食い込ませてゴム印字体48の垂れ下がりを防止した。ホルダー45および支持板47は、それぞれ薄いステンレス板材で形成したので、先のように、ホルダーの下面前後に受枠部を設ける場合に比べて、各要素印判で印字された文字列の隣接間隔を小さくできた。問題は、一対の支持板47と、ゴム印字体48の上面を受け止め保持する上枠50の分だけ部品点数が増え、さらに支持板47とゴム印字体48とホルダー45との組み立てに多くの手間を要し、組み合わせ印の全体コストが高く付くことにある。
【0006】
この発明の目的は、個々の要素印判が浸透印として構成してあって、捺印作業を連続して迅速に行えるにもかかわらず、左右横長のゴム印字体を垂れ下がることなく保持しながら、前後に隣接する文字列の間隔を小さくして、印字された文字列の見かけを単体型の住所印と同程度にまで向上できる組み合わせ印を提供することにある。この発明の目的は、印判本体に装着される印字ユニットの構造を簡素化し、構成部品点数が少なくて済む分だけ、加工および組み立てに要するコストを減少できる組み合わせ印を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の組み合わせ印は、複数個の要素印判1〜3のそれぞれに、印字構造と、隣接する要素印判1〜3どうしを接合する連結構造とが設けてある。印字構造は、下向きに開口するポケット19を備えたプラスチック製のホルダー12と、ポケット19に装着固定される印字ユニット13とを含んでいて、連続捺印が可能な浸透印として構成する。ポケット19の左右および上側は、厚肉の主枠壁21でコ字状に囲み、ポケット19の前後は膜状壁22で塞ぐ。印字ユニット13を構成するゴム印字体14は、自己保形性を有するインク含浸体15の下面に固定して、インク含浸体15で垂れ下がり不能に保形保持する。そして、印字ユニット13は、ポケット19に下面側から装着固定する。
【0008】
具体的には、ポケット19の前後の内壁面の複数箇所に、印字ユニット13を固定保持する突起23を突設し、印字ユニット13の少なくともインク含浸体15が、突起23で脱落不能に固定保持されたものとする。
【0009】
要素印判1〜3は、印判本体6と、印判本体6の下部に着脱可能に装着したホルダー12と、ポケット19に装着固定した印字ユニット13とを含み、ポケット19の前後を覆う膜状壁22の厚み寸法が、0.15〜0.5mmに設定されたものとすることができる。
【0010】
ホルダー12は硬質プラスチック製の射出成形品で形成し、インク含浸体15は、硬質の発泡プラスチック材で形成することができる。
【0011】
ホルダー12の前後面の上部には、毛細管現象に伴うインクの這い上がりを遮断する防滲溝30を形成することができる。
【0012】
この発明の組み合わせ印は、以下に付記する形態で実施することが好ましい。組み合わせ印は、接合端に位置する要素印判1・3に装着されて、各要素印判1〜3を昇降動可能に浮揚支持する支持体4を備えている。支持体4は、連結体8・9を介して要素印判1・3に連結される脚本体36と、ばね39で進出付勢されて、脚本体36を昇揚支持する脚片37とを含む。さらに好ましくは、各要素印判1〜3の間に、隣接する印字ユニット13の印面高さを調整する印面位置調整機構を設ける。印面位置調整機構は、一方の接合面5に設けた軸33で回転可能に軸支した偏心カム31と、他方の接合面5に設けられて、偏心カム31の調整カム面34に外接する受面32とで構成する。
【0013】
【発明の作用効果】
各要素印判1〜3の印字構造は、ポケット19を備えたホルダー12と、ポケット19に装着される印字ユニット13とを含んで浸透印化してあるので、必要時には組み合わせ印を単に捺印操作するだけで連続して印字でき、スタンプ作業が迅速にしかも簡単に行える。自己保形性を有するインク含浸体15の下面にゴム印字体14を固定して、インク含浸体15でゴム印字体14の垂れ下がりを防ぐようにしてあるので、ホルダー12側にゴム印字体14の下面周縁を受け止めるための構造を設ける必要がない。従って、ポケット19の左右および上面は、文字列の隣接間隔に影響しない圧肉の主枠壁21でコ字状に囲んでホルダー12の構造強度を確保したうえで、文字列の隣接間隔に影響するポケット19の前後は薄い膜状壁22で形成でき、しかも、膜状壁22は成形限界まで薄くできる。従ってこの発明の組み合わせ印によれば、膜状壁22を薄く形成できる分だけゴム印字体14の印字可能な前後幅が拡大し、印字された文字列の前後間隔を小さくなり、文字列の見かけを単体型の住所印と同程度にまで向上できる。
【0014】
印字構造がプラスチック製のホルダー12と、そのポケット19に装着される印字ユニット13とで構成されているので、板金化したホルダーおよび支持板等でゴム印字体を支持し、上枠でゴム印字体を押え保持する形式に比べて、印字ユニット13の部品点数が減り、印字ユニット13をポケット19に差し込み装着するだけの最小限の手間で印字構造の組み立てを完了でき、全体として組み合わせ印の製造コストを減少できる。
【0015】
ポケット19の前後の内壁面の複数箇所に印字ユニット13を固定保持する突起23を突設しておき、印字ユニット13の少なくともインク含浸体15を突起23で脱落不能に固定保持してあると、ゴム印字体14をポケット19に嵌め込んだ時の弾性に加えて、突起23がインク含浸体15に食い込むことによるインク含浸体15の弾性と摩擦抵抗とで、印字ユニット13をホルダー12に対して、さらに確実に固定保持できるうえ、印字ユニット13をポケット19に対して圧嵌操作するだけで、簡単に組み付けることができる。インク含浸体15に食い込んだ突起23で印字ユニット13の左右遊動を阻止して、捺印時に印字ユニット13が左右に遊動するのを防止できるので、印字された文字列が滲んだり、重複して印字されることもよく防止できる。
【0016】
要素印判1〜3が、印判本体6と、印判本体6の下部に着脱可能に装着したホルダー12と、ポケット19に装着固定した印字ユニット13とを含む形態にすると、住居表示や電話番号の変更に伴って要素印判1〜3を更新する場合に、印字ユニット13のみ、若しくは印字ユニット13とホルダー12とを部分更新するだけで、印判本体6はそのまま再使用できるので、印字内容の変更などをより低コストで行える。また、浸透印化されていない従来構造の組み合わせ印を希望する使用者に対して、印判本体6を利用した組み合わせ印を提供することにより、この種のユーザーが浸透印化された組み合わせ印へ転換する際のコスト負担を軽減することにも役立つ。
【0017】
膜状壁22は、ポケット19に装着されたゴム印字体14の前後方向のずれ動きを規制できるだけの厚みがあれば足り、印字された文字列の前後間隔を小さくするうえではできる限り小さいほうが好ましい。しかし、通常の射出成形法でホルダー12を成形する場合には、膜状壁22の厚み寸法が0.15mmを下回ると、溶融樹脂の射出圧を上げても膜状壁22の成形が困難となり、安定して膜状壁を成形できない。逆に、膜状壁22の厚み寸法が0.5mmを越えると、ゴム印字体の印字可能な前後幅を十分に大きくすることができず、印字された文字列の前後間隔を小さくする効果が得られにくくなる。従って、膜状壁22の厚み寸法は、0.15〜0.5mmに設定することが好ましい。因みに、キャビティ内に溶融樹脂を充満させた状態でゲートを締め切り、この後、スライドコアをキャビティ内へ進出させると、極薄の膜状壁22を確実に成形できる。
【0018】
ホルダー12は、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、PC樹脂、PBT樹脂、あるいはこれらのポリマーアロイ、例えば、ABS樹脂とポリアミド樹脂のポリマーアロイ、PC樹脂とPBT樹脂のポリマーアロイなどの、硬質プラスチック製の射出成形品で形成することが好ましく、インク含浸体15は、例えばポリビニルホルマールなどの硬質の発泡プラスチック材で形成することが好ましい。
【0019】
組み合わせ印は、複数個の要素印判1〜3を前後に密着接合して使用する。そのため、捺印時などにゴム印字体14から食み出たインクが隣接するホルダー12の接合面に付着すると、毛細管現象によって印判本体6側へ移動し、印判本体6を汚してしまう。このようなインクの拡散を防ぐために、ホルダー12の前後面の上部に防滲溝30を設け、この溝30でインクの這い上がりを遮断できるようにしている。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
図1ないし図9はこの発明に係る組み合わせ印の実施例を示す。図2および図3において、組み合わせ印は、複数個の要素印判1〜3と、これらの要素印判1〜3を浮揚支持する支持体4とで構成する。各要素印判1〜3は、平行な一対の接合面5・5を有する印判本体6と、その下端に装着される印字構造と、前後の接合面5・5のそれぞれに設けられて、隣接する要素印判1〜3どうしを接合する連結構造とからなる。各要素印判1〜3における印判本体6および印字構造の前後幅寸法(接合面5間の寸法)は、印字構造に形成される文字列の違いに応じて異なるが、他の構造は同じとする。
【0021】
図3において印判本体6は、左右に長い角板状のプラスチック成形品からなり、前後の接合面5・5にそれぞれ雌雄一対の連結体8・9からなる連結構造を設ける。詳しくは、一方の接合面5の左右両側に縦長リブ状の一対の突起を設けて片方の連結体8とし、他方の接合面5の左右両側に縦長の一対の凹部を設けて他方の連結体9とする。突起からなる連結体8を接合相手の連結体9に嵌め込むことにより、隣接する要素印判1〜3どうしは次々に連結できる。印判本体6の接合面5の周縁には、接合した要素印判1〜3を分離操作する切欠10が設けてある。
【0022】
連結状態における、各要素印判1〜3の印面位置を面一に揃えるために、隣接する要素印判1〜3の間には印面位置調整機構を設け、さらに凹凸嵌合する一対の連結体8・9を上下方向へ相対変位可能に構成する。具体的には、図4に示すように凹部からなる連結体9の上下長は、突起からなる連結体8の上下長より数mmだけ大きく寸法設定して、互いに嵌係合する連結体8・9を上下いずれの方向へも相対変位できるようにしている。
【0023】
図5および図6において印字構造は、印判本体6に対して着脱自在に装着されるホルダー12と、ホルダー12に装填される印字ユニット13とで、連続捺印が可能な浸透印として構成してある。印字ユニット13は、発泡ゴム製のゴム印字体14と、ポリビニルホルマールなどの硬質の発泡プラスチック材で形成したインク含浸体15とからなる。ゴム印字体14は、短冊状のベース部の下面に印面を突設し、この印面に住所や氏名などを鏡文字として形成する。左右横長に形成されたゴム印字体14は、全体が軟らかいため長手方向の中途部が自重で垂れ下がりやすい。このような垂れ下がりを阻止して、ゴム印字体14を常に平坦姿勢に保持するために、インク含浸体15は硬質の発泡プラスチックで形成し、その下面にゴム印字体14を接着固定する。つまり、インク含浸体15は本来のインク吸着機能に加えて、補強骨材としての機能を発揮するようにしてある。なお、両者15・14間のインクの移動を妨げることのないように、その接着個所は連続させずに断続的に形成しておく。
【0024】
ホルダー12は、例えばABS樹脂とポリアミド樹脂のポリマーアロイや、PC樹脂とPBT樹脂のポリマーアロイなどの硬質樹脂製のプラスチック成形品からなり、基部16と、基部16の上面に突設される連結部17と、連結部17を利用して形成されるインク補給口18とを備えている。基部16の内部には、先の印字ユニット13を収容するポケット19が下向きに開口する状態で形成してある。ポケット19の左右および上側は、図5に示すようにそれぞれ圧肉の主枠壁21でコ字状に囲んで、ホルダー12の構造強度を確保するが、隣接する要素印判1〜3の文字列の隣接間隔に影響するポケット19の前後は図1に示すように膜状壁22で塞ぎ、この膜状壁22は成形限度にまで薄く形成する。この実施例では、主枠壁21の左右壁部の厚み寸法を3.5mmとするとき、膜状壁22の厚み寸法を0.3mmとした。
【0025】
膜状壁22の下端縁は、インクが紙面に付着するのを避けるために、主枠壁21の左右壁の下端面よりも僅かに上方に位置させておく。ポケット19の前後壁の内面上部には、印字ユニット13を保持固定する縦長リブ状の突起23の一群が、一定間隔おきに突設してある。図7に示すように、印字ユニット13をポケット19に装着した状態においては、インク含浸体15の上面が、ポケット19の上壁で受け止められて位置決めされ、さらに突起23がインク含浸体15の前後面に食い込んで、印字ユニット13を脱落不能に保持固定している(図8参照)。
【0026】
連結部17は、基部16の上面に突設されて、印判本体6の下面に設けた装着穴7に下方から圧嵌係合される。連結部17は、左右一対の嵌合枠部26と、各嵌合枠部26の側端に突設された係合部27とからなり、図7に示すように係合部27の前後面に突設した横向きのリブ28を、先の装着穴7のリブ7aに圧嵌係合することにより、ホルダー12の全体を印判本体6の連結固定できる。図1に示すように嵌合枠部26は中空枠状に形成してあって、その内面空間がポケット19に連通するインク補給口18になっている。インク補給口18を設けることによって、主枠壁21の上壁部分の強度が低下するのを防ぐために、インク補給口18の内面左右には、補強リブ29を設けてある。左右の嵌合枠部26の間に設けられる突起は、ゲート突起である。
【0027】
組み合わせ印を使用するとき、ゴム印字体14からはみ出たインクが、毛細管現象によって隣接するホルダー12の接合面に沿って這い上がるおそれがある。このようなインクの拡散と這い上がりを防ぐために、ホルダー12の基部16の前後面の上部に防滲溝30を設け、この溝30で這い上がってきたインクを遮断できるようにしている。
【0028】
図3および図4において位置調整機構は、一方の接合面5に配置されて、接合面5に突設した軸33で回転可能に軸支してある偏心カム31と、他方の接合面5に凹み形成した凹部の上下一対の受面32とで構成する。偏心カム31はプラスチック成形品からなる六角形状のプレートからなり、各辺部のそれぞれが調整カム面34になっている。つまり、対向する3組の調整カム面34の、軸31の中心からの距離を各組ごとに異ならせておいて、どの調整カム面34が一対の受面32と係合するかによって、隣接する要素印判1〜3の印面位置を上下に調整できるようになっている。
【0029】
以上のように構成した位置調整機構によれば、各要素印判1〜3を連結した状態で捺印したときに、ある特定の要素印判による印影のみがかすれていた場合には、その印判の受面32と嵌合する偏心カム31を操作して、かすれを生じていた特定の要素印判を下方修正する。捺印の結果、ある特定の要素印判のみがにじみを生じていた場合にも、同様にして上方へ位置修正する。従って、新規の組み合わせ印の印面調整を行う場合はもちろんのこと、要素印判の部分更新を行う場合においても、印面調整作業を販売店やユーザー自身で簡単に行え、単体型の住所印と同程度の良好な印字品質を発揮できる組み合わせ印が得られた。
【0030】
図2および図9において支持体4は、プラスチック成形品からなる四角形状の本体部36と、その下面左右に設けた丸軸状の脚片37と、本体部36の要素印判6との接合面に設けた連結体8a・9aとからなる。図9において脚片37は、本体部36のばね穴38に収容したばね39で下向きに進出付勢されて、ガイド穴38の下端に固定した止め具40で上下スライド自在に案内支持され、さらにばね39の不勢力に抗して抜け止め保持してある。前後に対向する本体部36は、それぞれの接合面の構造が異なっている。その一方は、図2に示すように接合相手の印判本体6の連結体8に対応して、連結体9a縦長の溝で形成する。他方の本体部36は、接合相手の印判本体6の連結体9が凹部であるので、その連結体8aを縦長のリブ状に形成する。但し、両連結体8a・9aの上下長さは、係合相手の連結体8・9の上下長さに一致させておいて、各支持体4と印判本体6とが上下方向へ相対摺動する余地をなくしておく。本体部36の上部左右には、分離操作用の切欠10aを設ける。
【0031】
上記のように浸透印化された組み合わせ印によれば、支持体4のばね39に抗して組み合わせ印の全体を押し下げ操作するだけで印字できる。しかも、連続して捺印できるので、従来の組み合わせ印に比べて印字作業を手早く、かつ簡便に行える。また、支持体4で組み合わせ印の印面を紙面から浮き離しておくことができるので、不使用時の組み合わせ印を置いておくためのホルダーやスタンドを用意する必要がなく、組み合わせ印を任意の場所に収納保管できる。支持体4の本体部36は、連結体8・9を利用して印判本体6に連結するので、要素印判1〜3の接続個数や組み合わせ形態が種々に異なる場合にも、全ての組み合わせ印で支持体4を共用できる。必要があれば、個々の要素印判1〜3のインクの色を異ならせておいて、多色捺印が可能な住所印とすることができる。
【0032】
上記の実施例では、インク含浸体15の下面にゴム印字体14を接着したが、その必要はない。例えば、多数個のゴム印字体14をシート状に成形しておき、その接合面側にインク含浸体15を発泡成形して、発泡層の一部をゴム印字体14の接合面に食い込ませて一体化することができる。印字ユニット13は、インク含浸体15の上面の複数箇所をポケット19の上壁に接着して、脱落不能に固定することができる。必要があれば、インク含浸体14に係合片をインサート固定しておき、この係合片をインク補給口18の内面段部に係合して、印字ユニット13をホルダー12と一体化できる。この場合の係合片は、インク含浸体14の骨材として機能させることができる。
【0033】
なお、組み合わせ印は2個以上の要素印判1〜3を連結するものであれば、その個数は何個であってもよい。浸透印化された要素印判1〜3は、例えばその印面をキャップで下面側から覆うことより、印面を保護し、あるいは塵埃等が印面に付着するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図5におけるA−A線断面図である。
【図2】支持体を分離して示す組み合わせ印の斜視図である。
【図3】要素印判の斜視図である。
【図4】要素印判の分解正面図である。
【図5】印字構造を示す縦断正面図である。
【図6】印字構造の分解斜視図である。
【図7】図5におけるB―B線断面図である。
【図8】図7におけるC−C断面図である。
【図9】支持体の要部の断面図である。
【図10】印字構造の比較例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1・2・3 要素印判
5 接合面
6 印判本体
12 ホルダー
13 印字ユニット
14 ゴム印字体
15 インク含浸マット
19 ポケット
21 主枠壁
22 膜状壁
23 突起
Claims (3)
- 前後に連結される複数個の要素印判(1〜3)を有し、各要素印判(1〜3)は、平行な前後一対の接合面(5・5)を有する印判本体(6)と、印判本体(6)の下端に装着される印字構造と、前後の接合面(5・5)のそれぞれに設けられて、隣接する要素印判(1〜3)どうしを接合する連結構造とを有し、
印字構造は、印判本体(6)に対して着脱自在に装着されるホルダー(12)と、ホルダー(12)に装填される印字ユニット(13)とを含んでいて、連続捺印が可能な浸透印として構成されており、
ホルダー(12)は、ABS樹脂とポリアミド樹脂のポリマーアロイまたはPC樹脂とPBT樹脂のポリマーアロイの射出成形品からなり、下向きに開口するポケット(19)が内部に形成された基部(16)と、基部(16)の上面に突設されて印判本体(6)の下面に設けた装着穴(7)に下方から圧嵌係合される連結部(17)と、連結部(17)を利用して形成されたインク補給口(18)とを備えており、
ポケット(19)の左右および上側は、厚肉の主枠壁(21)でコ字状に囲まれて、ポケット(19)の前後が主枠壁(21)よりも薄く形成された膜状壁(22)で塞がれており、膜状壁(22)の厚み寸法が、0.15〜0.5mmに設定されていることを特徴とする組み合わせ印。 - ポケット(19)の前後の内壁面の複数箇所に、ポケット(19)に下面側から装着される印字ユニット(13)を脱落不能に固定保持する縦長リブ状の突起(23)が突設されている請求項1記載の組み合わせ印。
- ホルダー(12)の基部(16)の前後面の上部に、毛細管現象に伴うインクの這い上がりを遮断する防滲溝(30)が形成してある請求項1または2記載の組み合わせ印。
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