JP3685514B2 - 電源装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

電源装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という)等の磁場発生コイルに好適に用いられる電源装置に係わり、特にその大電力を要求される静磁場、傾斜磁場、高周波磁場の発生に必要な各種電源に好適な電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置は、静磁場中に置かれた検査対象に高周波磁場をパルス状に印加し、検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出し、この検出信号をもとにスペクトルや画像を再構成するものであり、MRI装置には磁場発生コイルとして静磁場を発生する超電導或いは常電導コイル、静磁場に重畳される傾斜磁場を発生するための傾斜磁場コイル、さらに高周波磁場を発生するための高周波コイルが備えられている。これら磁場発生コイルは所定の磁場強度の磁場を発生するために印加電流の大きさとタイミングを制御するため電源装置を備えている。
【0003】
このようなMRI装置の磁場発生コイルの電源装置は、例えば図12に示すように傾斜磁場コイル200に流すべき電流指令を生成するシーケンサ(図示せず)から電流指令を入力し、対応する出力電流を傾斜磁場コイル200に出力する出力電流増幅器10から構成され、この出力電流増幅器10としては、入力と出力の関係が比例関係にある電力アンプなどのアナログ回路で構成された線形増幅器の他、トランジスタなどのスイッチング素子をブリッジ状に構成したスイッチング方式の出力電流増幅器や、スイッチング素子と共振用の受動素子を組合せたものがある。後二者をスイッチング電源といい、高周波の交流電流が得られる。
【0004】
このようなMRI装置の磁場発生用のスイッチング電源として、特に傾斜磁場発生用のスイッチング電源の構成を図13に示す。このスイッチング電源10’は、4つのスイッチング素子51〜54と、スイッチング電源の出力を平滑するためのリアクトル55、56及びコンデンサ55、57とを備えている。スイッチング素子51と52及びスイッチング素子53と54はそれぞれ直流電源50に対し直列に接続され、スイッチング素子51と52及びスイッチング素子53と54は並列に接続されている。リアクトル55及びコンデンサ57はスイッチング素子52に並列に、リアクトル56及びコンデンサ58はスイッチング素子54に並列に接続され、それぞれスイッチ52及び54のドレイン側の電圧VL'、VR'を平滑する平滑回路を構成する。このスイッチング電源10’の一方の出力端子はリアクトル55とコンデンサ57の接続点に、他方の出力端子はリアクトル56とコンデンサ58の接続点にそれぞれ接続される。
【0005】
このスイッチング電源10’は、スイッチ51及び54がオンのときにはスイッチ52及びスイッチ53がオフ、スイッチ51及び54がオフのときにはスイッチ52及びスイッチ53がオンとなるように交互に一定周期で駆動される。この際、一方、例えばスイッチ51及び54がオンとなる時間を長く、スイッチ52及び53のオン時間を短くしたとすると、直流電源50の中性点(図示せず)からみたスイッチ52及び54のドレイン側の電圧VL'、VR'は、それぞれ図14に示すような波形となり、これらをリアクトル55とコンデンサ57及びリアクトル56とコンデンサ58で平滑することにより、出力端子の電圧VLA'及びVRA'は直流電圧となり、結果として傾斜磁場コイルに直流電流IL'が供給されることになる。
【0006】
スイッチング電源のスイッチング素子51〜55としては、通常、耐圧が数百V、電流容量が数十Aで数百kHzの高周波スイッチングが可能な電界効果トランジスタ(MOSFET)が用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところでMRI装置では、静磁場や傾斜磁場や高周波磁場の磁場強度が最終的に得られる画像上のノイズや撮像時間に大きく影響し、短時間で診断に有用な画像を得るためにはMRI装置の磁場電源として大電流電源が必要となっており、このようなMRI装置ではスイッチ耐圧で1200V程度、出力電流で400〜600A程度の電源装置が必要となる。
【0008】
しかし上述した従来の電源装置は1つの増幅器(スイッチング電源も含む)から構成されているために、大電流を出力するには能力が不足するという問題があった。例えば、線形増幅器を傾斜磁場用電源として用いた場合(図12)、仮に傾斜磁場コイル200のインダクタンスLcが0.5mHで、これに立ち上がり時間0.5ms、電流値400Aの出力電流Icを供給するとすると、電流の時間変化率に対応する電圧V
V=Lc×dIc/dt=0.5×10-3×400/0.5×10-3=400vの電圧が必要となる。即ち、増幅器10から最大で400Vの電圧を出力する必要があり、この増幅器10を動作させる直流電圧源として400V以上の電圧が用いられることになる。次にコイル200に供給される出力電流が定常値の400Aに達すると今度は増幅器10の出力電圧はほぼゼロになるので、増幅器の直流電圧源の電圧(400V)を増幅器内部で電圧降下させ出力電圧ゼロを作り出すことになる。その際増幅器内部で生じる損失は、
400A×400V=160000W=160kW
という現実的でないものとなる。
【0009】
一方、MOSFETに代用される高速なスイッチング素子を用いたスイッチング電源10’の場合(図13)、上述したように使用する電圧がスイッチング素子の定格電圧の制約を受け、この400Vという直流電圧源に接続できるものは、最大でも100A程度の電流容量しかないため、このようなスイッチング電源単独では400Aという出力電流を供給することはできない。
【0010】
このためスイッチング電源を並列接続することにより電流容量の増大を図ることが考えられるが、スイッチング電源を並列に接続した場合、各スイッチング電源間での循環電流(電流の回り込み)が問題となる。即ち、図15に示すように2つの出力電流増幅器11、12を磁場発生コイル200に対し並列接続した場合に、磁場発生コイルには出力電流増幅器11の出力電流と出力電流増幅器12の出力電流の合計電流が供給される。ここで出力電流増幅器11の出力電圧V1と出力電流増幅器12の出力電圧V2とが全く同じであれば問題がないが、これら出力電圧の間の電位に不均衡が生じた場合、例えばV1>V2であるとすると、高電位の出力電流増幅器11の出力電流のうち、負荷となる磁場発生コイル200を介さずに低電位の出力電流増幅器12を介して出力電流増幅器11に戻る循環電流Ic'が生じる。このような循環電流は磁場コイルに供給されない無効な電流であり、しかも循環電流が流れる回路中に抵抗がなければ無限大の電流となり、出力電流増幅器の電流定格を越えてこれを破壊するおそれがある。
【0011】
ところで従来技術として、米国特許5,017,871号、特開平6-47015号等に複数の出力電流増幅器を負荷である磁場発生コイルに接続した電源装置が提案されている。特開平6-47015号に記載された電源装置は、複数のスイッチング電源と線形増幅器とを組合せて、負荷である勾配(傾斜磁場)コイルに直列に接続したものであり、大電流化を図るためには電源を並列接続した方が有利である。一方、米国特許5,017,871号に記載されたNMRイメージングシステム用電源装置は、複数のスイッチング要素に接続された磁場発生コイルに複数の線形増幅器を並列接続するとともにバスラインと各線形増幅器との間にコンデンサとダイオードを接続したもので、スイッチング要素を選択的に切り替えることにより、高速で高電圧を印加できるように構成されている。この電源装置では各線形増幅器に直列に接続されたダイオードは1方向のみに電流を流すことにより増幅器間の電流の回り込みを防止する機能を有する。しかし、この場合コイルに流す電流の向きを変化させるためには、磁場発生コイルと線形増幅器との間に接続された4つのスイッチング要素を切り替え制御する必要がある。
【0012】
従って出力電流増幅器を並列に接続した場合に、簡易な構成で循環電流を抑制し、且つ応答性に優れ、大電流を得ることができるMRI用電源装置が望まれる。
またMRI用電源装置としては電流リップルが生じるという問題がある。例えば図13に示すスイッチング電源の出力端子の電圧は、図14に示すようにスイッチング周波数のリップルを含む直流電圧となるため、磁場コイル200に供給する出力電流IL'はVLA'とVRA'と同じ周波数のリップルをわずかに含んだ直流電流となる。この出力電流のリップルは、MRI装置における画像のノイズとなるため例えば実効値で数mA程度以下にする必要があり、このため、リアクトルとコンデンサからなる平滑回路のカットオフ周波数を低く抑える方法と、スイッチのスイッチング周波数を高周波化する方法とがとられる。
【0013】
しかしながら、前者については、カットオフ周波数を低くすると磁場発生コイルに印加すべき電流指令値に対する出力電流の応答が遅れてしまい、高速で良質の画像を得ることが困難になる。後者は、MOSFETなどの高速スイッチングが可能なスイッチを用い、例えば80kHz〜100kHz程度の周波数で動作させることで実現できるが、既に述べたように一般にMOSFETなどの高速スイッチング素子は耐圧が500V程度、定格電流で100A程度までしかなく、これ以上の高い電圧や電流容量に対応することができない。
【0014】
従って本発明は、複数の出力電流増幅器を並列接続した電源であって大電流、高速応答性で任意波形の電流を出力でき、しかも各出力電流増幅器間の電流回り込みの問題を解決した電源装置を提供することを目的とする。また本発明は高電圧、大容量の磁場用に好適な低リップル電流の電源装置を提供することを目的とする。また本発明は用いるスイッチング素子の種類如何にかかわらず、低リップル電流を出力できる超低リップルの電源装置を提供することを目的とする。更に本発明は、大電流、高速応答性、超低リップルの電流を磁場発生コイルに供給する電源を備え、高速撮影に対応できノイズの少ない高品質画像を得ることができるMRI装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電源装置は、任意波形の電流を出力するための電源装置であって、負荷に供給する電流指令値(A)を分配する分配手段と、負荷に並列接続され、分配された電流指令値(Ai)に対応する出力電流を前記負荷に供給する複数の出力電流増幅器と、出力電流増幅器の出力側に接続され各出力電流増幅器の出力電流(I'i)を検出する検出手段と、検出手段により検出された出力電流値(I'i)と分配された電流指令値(Ai)との差が零となるように各出力電流増幅器を独立して制御する制御手段とを設ける。
【0016】
本発明の電源装置の別の態様によれば、任意波形の電流を出力するための電源装置であって、負荷に供給する電流指令値(A)を分配する分配手段と、負荷に並列接続され、分配された電流指令値(Ai)に対応する出力電流を負荷に供給する複数の出力電流増幅器と、出力電流の双方向の流れを許容し且つ各出力電流増幅器間での循環電流を抑制する電流制限手段とを設けたものである。
【0017】
出力電流増幅器としては、入力と出力の関係が比例関係にあるアナログ回路で構成された線形増幅器、スイッチング素子を備えたスイッチング電源のいずれでもよいが、特に高速応答性、低損失の点でスイッチング電源が好適である。
また電流制限手段は、抵抗又はリアクトルを用いることができ、これらを併用してもよい。抵抗は、出力電流増幅器の出力側と負荷との間或いは出力電流増幅器の回路内に直列に挿入され、出力電流増幅器の2つの出力端子の少なくとも一方に挿入すればよい。またリアクトルは出力電流増幅器の出力側と負荷との間に挿入され、特に出力電流増幅器がスイッチング電源である場合に各出力電流増幅器の平均出力電圧の不均衡による循環電流に対し抑制する効果がある。
【0018】
更に本発明の電源装置の好適な態様において、出力電流増幅器がスイッチング電源である電源装置は位相制御装置を備え、この位相制御装置は負荷に印加すべき電流指令値(A)と電源装置の出力電流(I')とを比較し、両者の差がゼロになるように各スイッチング電源内のスイッチング素子の位相をずらして駆動制御するものである。
【0019】
本発明のMRI装置は、磁場発生コイル用の電源装置として上述したような電源装置を備えたものである。
【0020】
【作用】
以上のように構成される本発明の電源装置は、負荷に流すべき出力電流の指令値を分配手段で分配し、複数の出力電流増幅器のそれぞれに分配された指令値を入力することによって、個々の出力電流増幅器の出力電流の総計を負荷に供給する。このように出力電流増幅器を複数並列に設けることによって、1つの出力電流増幅器の電流容量が小さい場合でも、また出力電流増幅器がスイッチング電源である場合にそのスイッチング素子のスイッチ耐圧が低い場合でも、電源装置全体としての出力電流を大きくすることができ、高電流を必要とするMRI装置用磁場発生コイルに適用できる。またスイッチング電源の場合、全体として大電流容量であるにも拘らず、スイッチとしてMOSFETのような高速スイッチング素子を用いることができ、そのスイッチング周波数を高周波化でき、これにより出力電流のリップルを極力低くすることができる。
【0021】
また各出力電流増幅器について、その出力電流を検出するとともに、検出された出力電流値と各出力電流増幅器の電流指令値との差が零となるように独立して制御することにより、各出力電流の不均衡を防止できるので、複数の出力電流増幅器を並列したことによる他の出力電流増幅器への電流の回り込み(循環電流)を防止し、負荷以外の経路で無効な電流が流れないようにすることができる。このような電流の回り込みは、各出力電流増幅器の出力側に接続された電流制限手段によっても防止することができる。
【0022】
また各スイッチング電源を制御回路によって少しずつ位相をずらして動作させることにより、各スイッチング電源を低周波のスイッチング周波数で動作させた場合でも、これらの出力電流を合成した最終出力電流に含まれるリップルは周波数が高く、かつ小さいものとすることができる。更にMOSFETのような高速スイッチング素子を用いなくても低リップル電流とすることができるので、バイポーラトランジスタ、ゲートターンオフサイリスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)などの大容量半導体スイッチを利用することができる。これにより更に大容量化を図ることができる。
【0023】
また制御回路は、電流指令値とスイッチング電源の出力電流とを比較し、両者の差がゼロになるようにスイッチを駆動することにより、各スイッチング電源の位相をずらして動作させた場合にも常に所望の出力電流とすることができる。
更にMRI装置の電源装置として上述した電源装置を用いることにより、大電流、高速応答性、低リップルの波形を磁場発生コイルに供給することができるので、高速撮影で診断に有用な画像を得ることができ、特に超低リップル波形を出力が得られることにより、リップルによるMRI装置の画像のノイズを低減でき高品質画像が得られる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の電源装置のMRI装置の傾斜磁場コイルに適用した実施例について説明する。
図1は本発明の第1の態様によるMRI装置の電源装置の1実施例を示す図である。この電源装置100は、負荷であるMRI装置の磁場コイル200に並列接続される複数の出力電流増幅器であるスイッチング電源11、12と、磁場コイル200に供給すべき電流指令値Aを各スイッチング電源ごとの電流指令値A1、A2に分配する分配器21、22と、各スイッチング電源11の出力電流を検出する電流検出器31、32と、電流検出器31、32からの検出値及び分配器21、22からの電流指令値をそれぞれ入力し、両者の差がゼロとなるようにスイッチング電源11、12をそれぞれ駆動制御する制御回路41、42とを備えている。
【0025】
スイッチング電源は、図では説明を簡略にするため2つしか示されていないが、複数のスイッチング電源を並列接続することにより磁場コイル100に大電流を供給するためにはそれ以上設けることが好ましい。
分配器としては、オペアンプ、マイクロプロセッサ内の演算によって分配するディジタル回路やソフトウエアによって実現することができ、通常分配器21、22は1/n倍(ここでnはスイッチング電源の数、図示する実施例ではn=2である)に電流指令値を分配する。
【0026】
スイッチング電源11(12も同様である)は、図2に示すように、直流電圧源60と、直流電圧源60の正極側と負極側とにそれぞれ接続されブリッジを構成するスイッチング素子61〜64と、スイッチング電源11のスイッチング素子61と62との接続点C1及びスイッチング素子63と64との接続点C2に、コレクタ側の電圧を平滑するために挿入されたリアクトル65及びコンデンサ67並びにリアクトル66及びコンデンサ68とを備えている。各スイッチング電源11(12)は、スイッチング素子61及び64とスイッチング素子62及び63とが交互にオンオフとなるように所定周期で繰り返し駆動される。この際、例えばスイッチング素子51及び54のオン時間を長くするとともに、スイッチング素子62及び63のオン時間を短くすることにより、スイッチング素子61と62との接続点C1及びスイッチング素子63と64との接続点C2、即ちスイッチング電源11の出力端子に互いに極性の異なる直流電圧が得られ、結果として出力電流I1(I2)が生じる。
【0027】
スイッチング素子としては、サイリスタやバイポーラトランジスタ、ゲートターンオフサイリスタ、MOSFET等の各種スイッチング素子を用いることができるが、ここでは高耐圧大電流の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタIGBTを使用している。
検出器31、32は、各スイッチング電源11、12の出力電流をそれぞれ検出して制御回路41、42に入力する。尚、出力電流を検出する検出器としてはカレントトランスの他、低抵抗やホール素子検出器等公知の電流検出器を採用できる。
【0028】
このような構成における電源装置10の動作を説明する。まずこの電源装置100より上位にあり傾斜磁場コイル200に流すべき電流指令を生成するシーケンサ(図示せず)からの電流指令を入力する。シーケンサからの指令はデジタル信号として生成されるので、本実施例の場合、このデジタル信号は図示しないD/A変換回路を介してアナログ信号として与えられる。分配回路21、22はそれぞれ電流指令(A)を1/2にした電流指令(A1、A2)を出力し、制御回路41、42に与える。
【0029】
制御回路41、42は、それが接続されたスイッチング電源11、12について、スイッチング素子61と62との接続点C1及びスイッチング素子63と64との接続点C2との間の電位が、電流指令値の電流を供給する電圧値となるように各スイッチング素子をオンオフ制御する。この際、制御回路41は検出器31で検出された出力電流値I1'と電流指令値A1との差がゼロとなるように、また制御回路42は検出器32で検出された出力電流値I2'と電流指令値A2との差がゼロとなるように、スイッチング電源ごとに独立にフィードバック制御する。ここで分配器21、22によって分配された電流指令値A1、A2はA1=A2=A/2であり、各スイッチング電源の出力電流は同じになるようにフィードバック制御されているのでスイッチング電源11からスイッチング電源12へ或いはその逆に電流が回り込むことがない。
【0030】
このように本実施例の電源装置では、スイッチング電源を並列に接続することにより磁場コイル200には単独のスイッチング電源の出力電流I1、I2が加算された電流Iを供給することができ、大電流化を図ることができ、しかもスイッチング電源間の循環電流を抑制し、循環電流によるスイッチング素子の破壊を防止できる。
【0031】
また図2のスイッチング電源では、スイッチング素子61〜64はいずれもオン又はオフの飽和領域で作動させるものであり、それぞれのスイッチング素子に電流が流れているときはオンしており、そのスイッチング素子で生じる電圧降下はわずかである。またこれらのスイッチング素子がオフしているときはその両端に高い電圧がかかっているが流れる電流がゼロであるのでやはり損失は生じない。従ってこのようなスイッチング電源を採用することにより大容量の電源装置を構成することができる。
【0032】
尚、以上の実施例では出力電流増幅器として、図2に示すような1電源と4アームとから構成されたスイッチング電源について説明したが、これに限定されず、2電源と2アームのスイッチ、或いは1つのスイッチからなる電源などで構成することができる。また図2のスイッチング電源11におけるローパスフィルタであるリアクトル65(67)とコンデンサ66(68)とを取除いた構成でもよい。更に本発明の出力電流増幅器としては、上記スイッチング電源の他、入力と出力の関係が比例関係にある電力アンプなどのアナログ回路で構成された線形増幅器を用いることもできる。
【0033】
図3は、出力電流増幅器として線形増幅器を用いた電源装置110を示すもので、分配器21、22及び線形増幅器の出力電流を検出するための検出器31、32の構成は図1の電源装置100と同様である。この電源装置110では、電流指令値Aを分配する分配器21、22と各線形増幅器13、14との間に加算器43、44が挿入されており、これら加算器43、44で、検出器31、32からの検出値と電流指令値との差がとられ、線形増幅器13、14に入力される。各線形増幅器13、14では、両者の差がゼロとなるように出力電流を制御する電流フィードバック制御がなされる。従って、線形増幅器13、14の出力電流I1、I2の合成電流Iは電流指令値Aと一致することになり、磁場コイル200に供給される。また線形増幅器13、14の出力電流I1、I2はI1=I2となって不均衡がないので、図1の実施例と同様、循環電流の問題を解決できる。
【0034】
尚、図3でも線形増幅器は2つしか示されていないが、それ以上を並列接続できること、またその数に応じて分配器の電流指令値の分配比を変更することは言うまでもない。
次に本発明の第2の態様による電源装置について説明する。
図4は本発明の第2の態様による電源装置の第1の実施例を示す図で、このMRI装置用電源装置120は磁場コイル200に並列に接続された複数の出力電流増幅器11、12と、これら出力電流増幅器11、12の各出力側と磁場コイル200との間に挿入された抵抗71〜74と、磁場コイル200に供給する電流指令値Aを分配する分配回路20とを備えている。
【0035】
出力電流増幅器は、図では説明を簡略にするため2つしか示されていないが、複数の出力電流増幅器を並列接続することにより磁場コイル200に大電流を供給するためにはそれ以上設けることが好ましい。出力電流増幅器11、12としては、入力と出力の関係が比例関係にある電力アンプなどのアナログ回路で構成された線形増幅器、トランジスタなどのスイッチング素子をブリッジ状に構成したスイッチング方式のもの、スイッチング素子と共振用の受動素子を組合せたもののいずれも採用できる。
【0036】
分配回路20としては、オペアンプ、マイクロプロセッサ内の演算によって分配するディジタル回路やソフトウエアによって実現することができるが、図ではオペアンプ21、22として示されている。オペアンプは1/n倍(ここでnは出力電流増幅器の数、図示する実施例ではn=2である)の増幅率をもっている。
【0037】
このような構成における電源装置120の動作を説明する。まずこの電源装置120より上位にあり傾斜磁場コイル200に流すべき電流指令を生成するシーケンサ(図示せず)からの電流指令を入力する。分配回路20のオペアンプ21、22はそれぞれ電流指令(A)を1/2にした電流指令(A1、A2)を出力し、出力電流増幅器11、12に与える。出力電流増幅器11、12の出力端子からはこの電流指令に見合った出力電流(I1、I2)(I1=I2)を出力するのに必要な電圧(v1、v2)が出され、結果として電源装置120の出力端子からはこれらの合計である出力電流(I)が出力され、磁場コイル200に供給される。
【0038】
ここで2つの出力電流増幅器11、12の出力端子の電圧v1、v2はほぼ同じ電圧になるはずであるが、回路素子や直流電圧源などのばらつきによって、わずかでも例えばv1>v2のように電位差が生じる。既に述べたようにこの電位差は循環電流Icを発生させるが、出力電流増幅器11、12と磁場コイル200との間に抵抗71〜74が挿入されているので、仮に抵抗71〜74の抵抗値が全て等しくRbであるとすると、出力電流増幅器11、12の出力電圧v1、v2には次のような関係が成立する。
【0039】
1=v2+4Rb×Ic
従って、
Ic=(v1−v2)/4Rb
となり、循環電流は出力電流増幅器11と12の出力電圧の差に比例し、抵抗の和に反比例した有限な値に制限することができる。これにより循環電流が出力電流増幅器の電流定格を越えてこれを破壊することを防止できる。
【0040】
尚、ここでは抵抗71〜74の抵抗値を全て等しくRbであるとしているが、抵抗71〜74の抵抗値は必ずしも同じである必要はなく、また各出力電流増幅器の2つの出力端子の両方に挿入されている必要はなく、少なくとも一方に挿入されていればよい。例えば出力電流増幅器11について抵抗71、72のいずれか一方のみでもよい。さらに循環電流を抑制するという趣旨からは、複数の出力電流増幅器の出力電圧のわずかな不均衡を吸収するのに必要な抵抗を挿入してあればよいので、例えばn個(nは2以上の整数)の出力電流増幅器が並列接続されている場合、(n−1)についてそれぞれ2つの出力端子の少なくともいずれか一方に抵抗が挿入されていればよい。2つの出力電流増幅器を並列接続した図示する実施例では、最低限で抵抗71〜74のいずれか1つだけが挿入されていればよいことになる。
【0041】
このように本実施例によれば、磁場コイルに対し複数の出力電流増幅器を並列接続するとともに各出力電流増幅器の出力側に抵抗を挿入することにより、出力電流増幅器の電流容量が小さい場合でも、電源装置全体としての出力電流を大きくすることができ、しかも出力電流増幅器間の循環電流を抑制することができる。
【0042】
既に述べたように出力電流増幅器としては、線形増幅器、スイッチング方式の増幅器(スイッチング電源)のいずれも採用できるが、一般に線形増幅器は通常トランジスタなどの半導体素子を能動領域で作動させて損失を生じさせて出力電圧を抑制しており、この方式では電圧降下分と出力電流との積に相当する損失が生じるので、大電流出力にはスイッチング電源の方が好適である。
【0043】
このようなスイッチング電源としては図2に示すようなスッチング素子とフィルタとを組合せたものや図5に示すような1電源、4アームのスイッチング電源13を用いてもよい。スイッチング電源13は、電力を供給する直流電圧源60と、直流電圧源60の正極側と負極側とにそれぞれ接続されブリッジを構成するスイッチング素子61〜64と、これらスイッチング素子61〜64をオンオフ制御して出力電流I1を制御するためのスイッチング制御回路40とを備えており、図2のスイッチング電源11とはローパスフィルタとしてリアクトル及びコンデンサが挿入されていない点で異なるが、その他は同様に動作し、スイッチング素子61と62との接続点C1及びスイッチング素子63と64との接続点C2との間の電位が、出力端子へ電流Iiを供給する電圧値となるようにスイッチング制御回路40が各スイッチング素子をオンオフ制御する。尚、図示されていないがスイッチング制御回路40にマイクロプロセッサ内の演算等によって磁場コイルへの電流指令値Aを分配した電流指令値Aiが入力される。
【0044】
このようなスイッチング電源13の出力電圧は、スイッチング制御回路40のスイッチング信号のばらつきや、スイッチング素子のオン電圧、スイッチングの遅れ時間のばらつきなどが原因となって、平均電位が変動する。このような平均電位の変動はこれらスイッチング電源13を複数並列接続した場合に、無効な循環電流を発生させることになるが、本実施例においては図4に示すように抵抗71〜74によって循環電流を有限な値に抑制することができるので、循環電流によるスイッチング素子の破壊を防止できる。
【0045】
尚、上述した実施例では出力電流増幅器間の循環電流を抑制するための抵抗を出力電流増幅器と磁場コイルとの間に挿入した場合について説明したが、抵抗は出力電流増幅器の回路内に接続してもよい。
このような実施例を、出力電流増幅器としてスイッチング電源を用いた電源装置について図6及び図7を参照して説明する。
【0046】
図6は、図4と同様に複数の出力電流増幅器14、15を磁場コイル200に並列接続した電源装置を示すものであり、分配回路20の構成は上記実施例と同様であるので説明を省略する。この実施例では出力電流増幅器間の循環電流を抑制するための抵抗は出力電流増幅器の回路内にある。図7はそのような出力電流増幅器14を示すものであり、直流電圧源60、スイッチング素子61〜64及びスイッチング制御回路40の構成は図5に示すスイッチング電源13と同様であるが、更にスイッチング素子61と接続点C1との間、スイッチング素子62と接続点C1との間、スイッチング素子63と接続点C2との間及びスイッチング素子64と接続点C2との間に、それぞれ抵抗76〜79が直列に挿入されている。
【0047】
このような構成のスイッチング電源14も、図5のスイッチング電源17と同様に、スイッチング制御回路70のスイッチング信号のばらつきや、スイッチング素子のオン電圧、スイッチングの遅れ時間のばらつきなどが原因となって、接続点C1及びC2の平均電位が変動するが、この場合にも抵抗をスイッチング電源と磁場コイルとの間に挿入した場合と全く同様に、抵抗76〜79によって循環電流を有限な値に抑制することができ、これにより循環電流によるスイッチング素子の破壊を防止できる。
【0048】
尚、抵抗76〜79を挿入する位置は図示するものに限定されず、直流電圧源60から出力電流を供給する経路のいずれかに挿入されていればよく、スイッチング素子に対し出力側であっても入力側にあってもよい。また、循環電流抑制のための抵抗を回路内に設ける場合の出力電流増幅器としては、図7に示すスイッチング電源のみならず、線形増幅器や図2に示すようなローパスフィルタを挿入したスイッチング電源11であってもよいことは言うまでもない。
【0049】
また上述した図4及び図6に示す実施例で、循環電流を抑制するために挿入された抵抗71〜78の両端には、出力電流に対応して電圧が発生するため、この電圧から絶縁増幅器や作動増幅器などを用いて各々の出力電流を検出することができる。従って本発明の抵抗は各出力電流増幅器の出力電流検出器を兼ねることができる。
【0050】
次に本発明の第2の態様における第2の実施例について説明する。この実施例では出力電流増幅器間の循環電流を抑制する手段としてリアクトルが用いられている。
図8はこのようなMRI装置用電源装置140の一実施例を示す図で、この電源装置140は、4つのスイッチング電源111〜114と、これらスイッチング電源の出力側にそれぞれ接続された電流制限手段であるリアクトル80〜87と、各スイッチング電源を駆動制御する制御回路90とを備えている。各スイッチング電源111〜114はそれぞれ図示しない直流電源に並列に接続され、その一方の出力端子はそれぞれリアクトル80、82、84、86を介して接続され、他方の出力端子はそれぞれリアクトル81、83、85、87を介して接続され、負荷である磁場コイル200に接続されている。これらリアクトル80〜87は、スイッチング電源111〜114を駆動するタイミングがわずかでもずれた場合に、特に後述するように位相をずらして駆動した場合に、1つのスイッチング電源から他のスイッチング電源に電流が回り込むのを防止する。更にこの電源装置140の出力側には、磁場コイル200に流れる電流を検出する電流検出器35が設けられている。制御回路90は、各スイッチング電源111〜114に電流指令値を分配する分配手段として機能するとともに、制御回路90には磁場コイル200の印加される電流指令値と電流検出器35から出力された電流検出値ILが入力され、制御回路90は両者の差がゼロになるように各スイッチング電源を駆動制御する。
【0051】
このような構成における電源装置では、各スイッチング電源111〜114の出力側にリアクトル80〜87を接続することによって、各スイッチング電源111〜114の出力端子の電圧に不均衡が生じた場合に、この不均衡による電流の回り込みを有効に抑制することができる。この場合リアクトル80〜87は、各スイッチング電源の2つの出力端子の両方に接続しているが、これは必ずしも両側である必要はなく、片側でもよい。尚、各スイッチング電源の出力端子の電圧値の平均値に差が生じている場合には、リアクトルのみでは十分に抑制することができないので、この場合には図4或いは図6の実施例で用いた抵抗を併用することができる。
【0052】
ところで上記実施例におけるスイッチング電源111〜114としては、図13に示すような従来の電源装置に使用されたスイッチング電源も採用することができるが、図2及び図5に示すようにスイッチング素子としてIGBT等の大容量半導体スイッチを用いたものが好適に用いられ、特にリアクトルとコンデンサを組合せたローパスフィルタを挿入することによって出力電流I1の電流リップルを低減できる。
【0053】
以上本発明の第2の態様として、出力電流増幅器を負荷である磁場コイルに対し複数並列に接続し、且つ出力電流増幅器間の循環電流を抑制する電流抑制手段を設けた場合について説明したが、電流抑制手段としては上述した抵抗及びリアクトルの他、電流の双方向の流れを許容するものであれば、逆並列に接続したダイオードやスイッチ(これらは非線形抵抗、可変抵抗として作用させることができる)、また抵抗、リアクトル及びこれらを組合せたものも使用できる。
【0054】
次に本発明の第3の態様として、スイッチング電源を磁場コイルに対し複数並列に接続した電源装置であって、その電流リップルを低減した電源装置について説明する。電源装置全体の構成は、図8に示すものと同じであるが、ここでは各スイッチング電源111〜114のスイッチング素子をオンオフ制御する制御回路90は、各スイッチング電源の位相をずらして、電流指令値と電流検出器35から出力された電流検出値とのの差がゼロになるように各スイッチング電源を駆動制御する。
【0055】
ここでスイッチング電源111〜114は図9(a)に示すように基本的には図2に示すスイッチング電源と同様であり、簡単に説明すると、直流電流60に対し直列に接続された1組のスイッチング素子61、62(左側のスイッチング素子という)と、同様に直流電源に対し直列に接続され、左側のスイッチング素子61、62に対し並列である1組のスイッチング素子63、64(右側のスイッチング素子という)と、左側のスイッチング素子のコレクタ側の電圧を平滑するためのリアクトル65及びコンデンサ67と、右側のスイッチング素子のコレクタ側の電圧を平滑するためのリアクトル66及びコンデンサ68とから構成されており、リアクトル65とコンデンサ67との接続点C1及びリアクトル66とコンデンサ68との接続点C2は、このスイッチング電源の出力端子に接続され、これら2つの出力端子は図8に示すようにリアクトルを80、81を介して磁場コイル200に接続される。尚、図9には1つのスイッチング電源11のみを図示したが、他のスイッチング電源についても全く同様の構成である。
このような構成のスイッチング電源は、図2のスイッチング電源と同様にスイッチング素子61及び64とスイッチング素子62及び63とが交互にオンオフとなるように所定周期で繰り返し駆動される。この際、例えばスイッチング素子61及び64のオン時間を長くするとともに、スイッチング素子62及び63のオン時間を短くすることにより、スイッチング電源11の出力端子の電圧VLA1、VRA1は、互いに極性の異なる直流電圧となり、結果としてこのスイッチング電源の出力は直流電流IL1となる。尚、図9(a)中VL1、VR1は、直流電源60の中性点(図示せず)から見たスイッチング素子62、64のコレクタ側の電圧で、スイッチング電源の出力端子の電圧VLA1、VRA1は、VL1、VR1をそれぞれ平滑回路(リアクトルとコンデンサ)により平滑したものである。
【0056】
本実施例でも、以上のように構成されるスイッチング電源の各々がリアクトルを介して磁場コイル200に接続されているのであるが、これらスイッチング電源111〜114は制御回路90によってスイッチの位相をずらして駆動する。この実施例では、図9(b)に示すように、スイッチング電源が4つ設けられていることに対応して、位相は90度ずつシフトしている。尚、図中実線の波形VL1〜VL4は、各スイッチング電源の左側のスイッチング素子62のコレクタ側の電圧を示し、鎖線の波形は各スイッチング電源の出力端子の電圧を示す。スイッチの位相をずらすために制御回路90は、各スイッチング電源111〜114のスイッチング素子のゲート電圧を印加するタイミングをずらすとともに、磁場コイル200に印加すべき電流指令値と電流検出器35で検出された電流検出値を比較し、両者の差がゼロになるように各スイッチング電源のスイッチング素子に印加する電圧を制御する。これにより、各スイッチング電源の位相をずらして駆動しても所定の電流指令値の出力電流ILが磁場コイルに印加される。
【0057】
ここで各スイッチング電源の出力端子の電圧の波形は、図9(b)に示すようにスイッチング周波数と同じ周波数のリップルを含んだ直流波形となるが、これらの位相が90度ずつずれていることによって、図8の電源装置全体としての出力端子の電圧は高周波化され、磁場コイル200に流れる出力電流ILのリップルを低減することができる。従って、例えばIGBTなど高耐圧大電流の素子を、安全に動作させる最高の周波数、例えば20kHzに設定した場合でも、実際の出力のリップル周波数を80kHzに高周波化し、リップルを低減できる。
【0058】
尚、以上の実施例では、4つのスイッチング電源を並列に設けた場合について説明したが、本発明の電源装置はスイッチング電源が少なくとも二つから構成されていればよく、必要に応じて、更にスイッチング電源を接続して並列数を増やしてもよい。並列数を更に増やすことにより、より大電流の電源装置を構成することが可能である。
【0059】
また図8に示す実施例では、スイッチング電源111〜114を並列に接続することによって一つのスイッチング電源の出力電流が他のスイッチング電源内部へ流入することを防ぐための電流制限手段としてリアクトル80〜87を用いたが、このような電流制限手段としては、リアクトルの代りに抵抗器であってもよいし、他のスイッチやダイオードなどを用いることもできるし、更にこれらの組合わせでもよい。また図8では2つの出力端子の両方にリアクトルを接続しているが、これは必ずしも両側である必要はなく、片側でもよい。
【0060】
更に上記実施例では各スイッチング電源のスイッチの位相を等間隔でシフトする場合について説明したが、シフトの間隔は必ずしも等間隔である必要はなく、不等間隔であってもよいし、いくかのスイッチング電源の位相は同じであってもよい。また複数のスイッチング電源のスイッチの位相をシフトしない場合でも、複数を並列に設けることにより電源装置の大電流化を図ることは可能である。但し、位相をシフトすることにより、電源装置の出力電流のリップルの高周波化が可能となるので、スイッチング素子として安全な動作周波数が比較的低周波であるIGBTなど高耐圧大電流の素子を使用することが可能となり、結果として大容量化が可能となる。またMOSFETなどの高速のスイッチング素子を用いた場合には、更にリップルの高周波化を図ることができる。
【0061】
また本態様におけるスイッチング電源は図8及び図9に示す実施例に限定されるものではなく、電源とスイッチの数、スイッチング素子の種類、平滑回路の構成等任意に変更することができる。例えば図8では1電源と4アームのスイッチ子から構成されたスイッチング電源を例示したが、電源と2アームのスイッチ、或いは1つのスイッチからなる電源などで構成することもできる。またスイッチ(スイッチング素子)としてもIGBTの他、サイリスタやバイポーラトランジスタ、ゲートターンオフサイリスタ等どのようなスイッチであってもよい。
【0062】
更に図8に示す実施例では平滑回路(フィルタ)としてリアクトルとコンデンサを用いたが、このような平滑回路は個々のスイッチング電源に設けるのではなく、電源装置側に設けてもよい。また個々のスイッチング電源に設けると共に電源装置自体にも設けることができる。図10にフィルタにあたるリアクトルとコンデンサを取り除いたスイッチング電源の1実施例を示す。このスイッチング電源11’は図9に示す実施例と同様IGBTをスイッチング素子として用いており、その出力端子は直接スイッチング素子61、62の接続点及びスイッチング素子63、64の接続点に接続されている。従ってこのスイッチング電源11’の出力電流IL1は平滑化されていないので、このようなスイッチング電源11’を複数並列に設けた電源装置側に平滑回路を設ける必要がある。図11は電源装置150自体に平滑回路を設けた1実施例を示すもので、磁場コイル200の両端にコンデンサ70が挿入されている。この実施例では、各スイッチング電源の出力側に接続されたリアクトル80〜87は図8の実施例と同様にスイッチング電源111'〜114'相互間での電流の回り込みを防止するとともにコンデンサ70とともに平滑回路(フィルタ)を構成しており、これにより電源装置150の出力ILを直流電流とすることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上で説明したように本発明によれば、電源装置として複数の出力電流増幅器を並列に設けることにより、1つのスイッチング電源の場合よりも大電流を出力できる電源装置を構成することができ、MRI装置等の任意の大電流波形を供給する電源として好適である。また本発明によれば、並列に設けた出力電流増幅器の出力電流を検出し、フィードバック制御することにより、出力側に抵抗、リアクトル等の双方向への電流の流れを許容する電流制限手段を接続することにより、負荷に供給する電流の方向を切換えるための別個の手段を不要とし、しかも各出力電流増幅器の出力電流の不均衡による電流の回り込みを防止できる。
【0064】
また本発明によれば、複数のスイッチング電源を位相をずらして動作させることにより、リップルを低減し高周波化することができるので、MOSFETのような高速のスイッチング素子を用いることなく、高電圧、大電流の磁場用の低電流リップルの電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の態様による電源装置の一実施例を示すブロック図。
【図2】 図1の電源装置に用いられるスイッチング電源の一実施例を示すブロック図。
【図3】 本発明の第1の態様による電源装置の別の実施例を示すブロック図。
【図4】 本発明の第2の態様による電源装置の一実施例を示すブロック図。
【図5】 図4の電源装置に用いられる出力電流増幅器の一実施例を示すブロック図。
【図6】 本発明の第2の態様による電源装置の別の実施例を示すブロック図。
【図7】 図6の電源装置のスイッチング電源の一実施例を示すブロック図。
【図8】 本発明の第2及び第3の態様による電源装置の一実施例を示すブロック図。
【図9】 (a)は図8の電源装置に用いられるスイッチング電源の一実施例を示すブロック図、(b)は図8の電源装置のスイッチング波形及び出力電流を示す図。
【図10】 図8の電源装置に用いられるスイッチング電源の他の実施例を示すブロック図。
【図11】 本発明の第3の態様による電源装置の他の実施例を示すブロック図。
【図12】 従来のMRI装置用電源装置を示すブロック図。
【図13】 従来の電源装置を示すブロック図。
【図14】 従来装置におけるスイッチング波形を示す図。
【図15】 出力電流増幅器を並列に接続した場合の循環電流の発生を説明する図。
【符号の説明】
11〜14・・・・・・スイッチング電源
20、21、22・・・・・・分配器(分配手段)
31、32・・・・・・検出器(検出手段)
41、42・・・・・・制御回路(制御手段)
61〜64・・・・・・スイッチング素子
71〜78・・・・・・抵抗(電流抑制手段)
80〜87・・・・・・リアクトル(電流抑制手段)
90・・・・・・制御回路(位相制御手段)
100〜150・・・・・・電源装置
200・・・・・・磁場コイル(負荷)

Claims (4)

  1. 任意波形の電流を出力するための電源装置であって、負荷に供給する電流指令値(A)を分配する分配手段と、前記負荷に並列接続され、分配された電流指令値(Ai)に対応する出力電流を前記負荷に供給する複数の出力電流増幅器とを備え、前記出力電流増幅器毎に出力側に接続され各出力電流増幅器の出力電流(I'i)を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された出力電流値(I'i)と前記分配された電流指令値(Ai)との差が零となるように前記各出力電流増幅器を独立して制御する制御手段とを設けたことを特徴とする電源装置。
  2. 前記出力電流増幅器は、スイッチング素子を備えたスイッチング電源である請求項1記載の電源装置。
  3. 前記負荷に印加すべき電流指令値(A)と前記電源装置の出力電流(I)とを比較し、両者の差がゼロになるように各スイッチング電源内のスイッチング素子の位相をずらして駆動制御する位相制御装置を設けたことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
  4. 磁場発生コイル用の電源装置として請求項1ないし3のいずれか1項記載の電源装置を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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