JP3684847B2 - ソリッドモデル生成支援装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラメトリックCAD機能を有するコンピュータによってソリッドモデルを生成する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プレス金型などの各種部材の形状設計において、パラメトリックCAD(Computer Aided Design)機能を有するコンピュータが多用されている。パラメトリックCAD機能とは、中実のソリッドモデルを生成したり、中空のサーフェスモデルを生成したり、それ等のソリッドモデルとサーフェスモデルとの間で変換したりするCAD機能に加えて、ソリッドモデル生成の一連の手順および各パラメータの数値を記憶しておいて、一旦ソリッドモデルを生成した後は、パラメータの数値の変更時等に同じ手順で自動的にソリッドモデルを修正するものである。
【0003】
図5は、このようなパラメトリックCAD機能を有するコンピュータを用いてソリッドモデルを生成する際の作業手順の一例で、先ずソリッドモデルを生成すべき対象物を複数に分割し、メインファイルで主要部分のメインソリッドモデル10を生成する(図5の(a) )とともに、サブファイルで他の付属部分のサブソリッドモデル12a、12b、・・・を生成する。サブファイルでは、それ等のサブソリッドモデル12a、12b、・・・の生成だけでなく、姿勢や位置についても対象物の形状に基づいて設定される。そして、そのサブソリッドモデル12a、12b、・・・をメインファイルに取り込んでメインソリッドモデル10と一体化し(図5の(b) )、その後、四角柱形状のカットモデル14によりメインソリッドモデル10の一部をカット(除去)して穴16を形成する(図5の(c) )ことにより、目的とする対象物のソリッドモデル18を生成する。カットモデル14によるカットは、サブソリッドモデル12a、12b、・・・の位置関係などに基づいて位置を調整できる。また、ソリッドモデル18中のサブソリッドモデル12a、12b、・・・部分の寸法や位置などは、サブファイル内のサブソリッドモデル12a、12b、・・・の寸法や位置などを変更すれば、その変更に伴って自動的に修正される。なお、カットモデル14によるカット時には、所定形状の突起物を追加したり変更したりするなど、種々の形状変更を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにサブソリッドモデル12a、12b、・・・を取り込んだ後でメインソリッドモデル10に対して一部カット等の形状変更を行うと、サブソリッドモデル12a、12b、・・・に支障をきたす場合がある。例えば、図6に示すようにカットモデル14がサブソリッドモデル12bと交差していると、この交差部分までカットされ、作業者の意に反して図7に示すように切欠20が生じる。これを避けるためには、サブソリッドモデル12bと交差しないようにカット用の四角柱モデル14を複数に分割したり、カット用のモデルを段付きなど複雑な形状にしたりする必要があるが、実際の作業ではこのような交差部分が多数生じるため、確認作業を含めて手数が大幅に増加する。カットモデル14による穴16の形成等の形状変更は、サブソリッドモデル12a、12b、・・・の位置関係などに基づいて行う必要があるため、それ等のサブソリッドモデル12a、12b、・・・を取り込む前のメインソリッドモデル10のみの状態で穴16などを設けることは困難である。また、メインソリッドモデル10のみの状態では、サブソリッドモデル12a、12b、・・・と関連付けて突起物などを設けることもできないため、実質的に作業不可能な場合もある。
【0005】
これに対し、図8に示すようにサブファイルでサーフェスモデル22、24、・・・を生成してメインファイルに取り込み、カットモデル14等による変更作業を行った後でそれ等のサーフェスモデル22、24、・・・をソリッドモデル12a、12b、・・・に変換することが考えられる。サーフェスモデル22、24、・・・は中空で実体が無いため、カットモデル14等と交差しても交差部分がカットされることはなく、カットモデル14等による形状変更でサーフェスモデル22、24、・・・が影響を受けることはない。しかし、サーフェスモデル22、24、・・・は、図8の(b) に示すように生成過程で用いた複数の基本中空体22a、22b、24a、24b等にて構成されているため、それ等の基本中空体22aと22bとの間、24aと24bとの間に境界線があって形状が理解しにくく、(c) の形状変更作業が必ずしも容易でないとともに、(d) でソリッド化する際には、それ等の基本中空体22a、22b、24a、24b、・・・を1つ1つソリッド化する必要があるため、手数が多くなって作業が面倒である。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、複雑な形状のソリッドモデルを簡単に生成できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、中実のソリッドモデルを生成できるとともに、そのソリッドモデルと中空のサーフェスモデルとを変換可能で、且つ処理手順およびパラメータの数値を記憶していてパラメータ等の変更時には同じ手順で自動的にソリッドモデルを修正するパラメトリックCAD機能を有するコンピュータによってソリッドモデルを生成するソリッドモデル生成支援装置であって、(a) 第1ファイル内で第1ソリッドモデルを作業者の指令操作に従って生成する第1生成手段と、(b) その第1ソリッドモデルに組み付けられる第2ソリッドモデルを第2ファイル内で作業者の指令操作に従って生成する第2生成手段と、(c) 作業者の指令操作に従って或いはコンピュータにより自動的に、前記第2ソリッドモデルをサーフェスモデルに変換するサーフェス化手段と、(d) そのサーフェス化手段による変換処理の前または後に、作業者の指令操作に従って或いはコンピュータにより自動的に、前記第2ソリッドモデルまたはサーフェスモデルを所定の作業ファイル内に取り込んで、前記第1ソリッドモデルと一体化する一体化手段と、(e) その一体化手段および前記サーフェス化手段により前記サーフェスモデルが一体化された前記第1ソリッドモデルを変更する変更手段と、(f) その変更手段により前記第1ソリッドモデルが変更された後に、作業者の指令操作に従って或いはコンピュータにより自動的に、前記作業ファイル内の前記サーフェスモデルをソリッドモデルに変換する戻し手段と、 (g) 前記第2生成手段により前記第2ソリッドモデルを生成した後に、前記サーフェス化手段によりその第2ソリッドモデルをサーフェスモデルに変換するとともに前記一体化手段により前記第1ソリッドモデルと一体化し、その状態で前記変更手段によりその第1ソリッドモデルを変更した後、前記第2ソリッドモデルのサーフェスモデルを前記戻し手段によりソリッドモデルに変換する一連の操作手順を画像表示する生成手順指示手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
このようなソリッドモデル生成支援装置によれば、生成手順指示手段によって画像表示される操作手順に従って作業者が操作することにより、第2ソリッドモデルを生成した後にサーフェス化し、そのサーフェスモデルを第1ソリッドモデルに一体化した状態で、第1ソリッドモデルの一部カットや突起物追加等の変更作業が行われるため、その変更作業の際に変更部分がサーフェスモデルと交差しても影響が無く、第1ソリッドモデルの変更作業を容易且つ簡便に行うことができる。また、この時のサーフェスモデルは、第2ソリッドモデルをサーフェス化したもので、複雑な形状であっても単一の中空体にて構成され、外形線のみで表されるため、形状の理解が容易であり、この点でも第1ソリッドモデルの変更作業が容易となる。また、このようにサーフェスモデルが単一の中空体にて構成されていることから、その後のソリッド化を容易且つ迅速に行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、例えばソリッドモデルを生成すべき対象物を比較的大きな主要部分と複数の付属部分とに分割する分割手段を有し、主要部分を表すメインソリッドモデルを第1ソリッドモデルとして生成するとともに、複数の付属部分を表す複数のサブソリッドモデルを第2ソリッドモデルとして生成するように構成される。複数のサブソリッドモデル(第2ソリッドモデル)は、単一のサブファイル(第2ファイル)内で生成することが望ましく、その場合は単一のサブファイルを作業ファイルに取り込むだけで複数のサブソリッドモデルまたはサーフェスモデルをメインソリッドモデルに一体化することができるが、複数のサブファイルを用いてサブソリッドモデルを生成することも可能である。上記主要部分および付属部分は、ソリッドモデルの生成の容易さや変更手段による変更の容易さなどを考慮して定めれば良い。
【0010】
第1生成手段により第1ソリッドモデルを生成する第1生成工程と、第2生成手段により第2ソリッドモデルを生成する第2生成工程とは、何方を先に行っても差し支えない。サーフェス化手段により第2ソリッドモデルをサーフェスモデルに変換するサーフェス化工程を一体化手段による一体化工程の前に行い、サーフェスモデルの状態で作業ファイル内に取り込むようにしても良いが、第2ソリッドモデルの状態で一体化工程が行われ、その後に第2ソリッドモデルをサーフェス化することもできる。この場合のサーフェス化は、第2ファイル内の第2ソリッドモデルをサーフェス化することにより、自動修正機能で第1ソリッドモデルに一体化された第2ソリッドモデルを自動的にサーフェスモデルに変換するようにしても良いが、作業ファイル内の第2ソリッドモデルのみをサーフェス化することも可能である。作業ファイルは、第1ファイルおよび第2ファイルとは異なる第3のファイルであっても良いが、第1ファイルを作業ファイルとして用いることもできる。
【0011】
変更手段により第1ソリッドモデルを変更する変更工程では、少なくとも第1ソリッドモデルの一部カットや突起物追加などの変更作業が作業者の指令操作に従って行われるが、第2ソリッドモデルに対応するサーフェスモデルの位置や形状、姿勢などを変更することも可能である。戻し手段によりサーフェスモデルをソリッド化する戻し工程の後で、その第2ソリッドモデルの位置や形状、姿勢などを変更するようにしても良い。この第2ソリッドモデル或いはサーフェスモデルの変更は、第2ファイル内で行うことが望ましいが、作業ファイル内で行うことも可能である。
【0012】
前記各工程のうち、少なくとも変更工程は作業者の選択操作や入力操作などによる変更指令操作に従って行われるが、他の工程については、例えばモデル生成に必要な各種の情報が予め入力されることにより、或いは必要に応じて適宜入力すべき内容を画像表示したり、一連の操作手順を画像表示したりすることにより、コンピュータによって自動的に行われるようにすることもできる。
【0013】
コンピュータによって自動的にソリッドモデルを生成させる場合に好適に用いられるプログラム記録媒体は、中実のソリッドモデルを生成できるとともに、そのソリッドモデルと中空のサーフェスモデルとを変換可能で、且つ処理手順およびパラメータの数値を記憶していてパラメータ等の変更時には同じ手順で自動的にソリッドモデルを修正するパラメトリックCAD機能を有するコンピュータによってソリッドモデルを生成するためのプログラムを記録した機械読み取り可能な媒体であって、(a) 第1ファイル内で第1ソリッドモデルを生成する第1生成工程と、(b) その第1ソリッドモデルに組み付けられる第2ソリッドモデルを第2ファイル内で生成する第2生成工程と、(c) その第2ソリッドモデルをサーフェスモデルに変換するサーフェス化工程と、(d) そのサーフェス化工程の前または後に行われ、前記第2ソリッドモデルまたはサーフェスモデルを所定の作業ファイル内に取り込んで、前記第1ソリッドモデルと一体化する一体化工程と、(e) その一体化工程および前記サーフェス化工程の後に、前記サーフェスモデルが一体化された前記第1ソリッドモデルを画像表示するとともに、その第1ソリッドモデルの変更作業を行うように指示し、その指示に従って為された変更指令操作に従って第1ソリッドモデルを変更する変更工程と、(f) その変更工程の後に、前記作業ファイル内の前記サーフェスモデルをソリッドモデルに変換する戻し工程とを実行させるためのプログラムを含むことを特徴とする。
【0014】
上記記録媒体は、CD−ROMやフロッピーディスク、磁気テープなどの持ち運び可能なものでも良いし、メモリやハードディスクなどコンピュータに一体的に配設されるものでも良い。
【0015】
また、ソリッドモデルを自動的に生成するソリッドモデル生成支援装置は、上記プログラム記録媒体を有し、そのプログラムに従って上記各工程を実行する各手段を含んで構成される。
【0016】
以下、本発明を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例であるソリッドモデル生成支援装置30の基本構成を説明するブロック線図で、データバスラインで接続された中央演算処理装置32、ハードディスクやROMなどの主記憶装置34、RAMなどの補助記憶装置36を有するマイクロコンピュータにて構成されている。中央演算処理装置32は、補助記憶装置36の一時記憶機能などを利用しつつ主記憶装置34に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、図2に示す各種の機能を実行する。
【0017】
図2のソリッドモデル生成手段30aは、予め定められた円柱や四角柱、三角柱、球、円すい等の基本モデルを用いてパラメータの変更、拡大、縮小、移動、回転等により中実のソリッドモデルを生成したり、和、差、積などの論理演算を用いて複数のソリッドモデルを一体化(合成)するなどの処理を行うもので、見える部分のみの外形線で表示する。複数のソリッドモデルを一体化した場合、その境界面は消滅して一体になる。サーフェスモデル生成手段30bは、同じく予め定められた円柱や四角柱、三角柱等の基本中空モデルを用いてパラメータの変更、拡大、縮小、移動、回転等により中空のサーフェスモデルを生成したり、複数のサーフェスモデルを一体化(組合せ)したりするもので、稜線などの外形線(影の部分を含む)で表示する。この場合の一体化は、単に複数のサーフェスモデルを組み合わせただけで、境界面はそのまま残る。モデル変換手段30cは、上記ソリッドモデルとサーフェスモデルとを変換するもので、一体化された複数のサーフェスモデルがソリッドモデルに変換されると、境界面が消滅して一体化(合成)される。また、ソリッドモデルがサーフェスモデルに変換されると、複数の基本モデルを合成した複雑な形状であっても単一の中空体となり、その中空体を構成している外形線が表示される。自動修正手段30dは、モデル生成時の手順および各パラメータの数値を記憶しておき、一旦ソリッドモデルやサーフェスモデルを生成したり、一体化や変換、修正などを行った後は、途中の段階のモデルの位置を変更したりパラメータの数値を変更したりした場合、同じ手順で自動的に最終モデルを修正するものである。これ等のソリッドモデル生成手段30a、サーフェスモデル生成手段30b、モデル変換手段30c、自動修正手段30dは、パラメトリックCAD機能に相当する。
【0018】
生成手順指示手段30eは、図3に示す手順に従ってソリッドモデルを生成するように、一連の操作手順や入力すべき内容を画像表示しながら、作業者の指令操作に従って上記ソリッドモデル生成手段30a、サーフェスモデル生成手段30b、モデル変換手段30c、自動修正手段30dを利用してソリッドモデルを生成するもので、作業者の選択操作に従って起動する。すなわち、作業者は、ソリッドモデル生成手段30a、サーフェスモデル生成手段30b、モデル変換手段30c、自動修正手段30dを利用して、図3に示す手順で順次操作を行ってソリッドモデルを生成することもできるが、生成手順指示手段30eを起動することにより、画像表示される操作手順や操作内容などを確認しながら簡便にソリッドモデル生成作業を行うこともできるのである。これ等の各手段30a〜30eを実行させるためのプログラムが記録された主記憶装置34は、ソリッドモデル生成プログラムの記録媒体に相当する。
【0019】
図1に戻って、表示装置38はブラウン管や液晶パネルなどの画像表示を行うもので、前記ソリッドモデル生成手段30aによるソリッドモデルの生成過程やサーフェスモデル生成手段30bによるサーフェスモデルの生成過程等の3次元表示の他、操作手順や選択メニューなどが表示される。キーボード40、タブレット42、ダイヤル44は入力操作装置で、作業者はソリッドモデルの生成に必要な各種の情報を入力したり、ソリッドモデルやサーフェスモデルの生成指令、一体化指令、パラメータなどの変更指令などの種々の指令を入力したりすることができる。また、プリンター46は、表示装置38の表示内容や生成されたソリッドモデルの形状データなどを印刷するためのもので、ネットワークコントローラ48は、ワークステーションや工作機械などと接続されて情報伝達を行うためのものである。
【0020】
以下、前記生成手順指示手段30eを起動して前記ソリッドモデル18を生成する場合について、図3および図4を参照しつつ具体的に説明する。なお、以下の説明では、前記図5〜図8と共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0021】
図3のステップS1では、生成手順指示手段30eによりソリッドモデルを生成すべき対象物を複数に分割する指示が表示装置38に表示され、作業者の入力操作や選択操作などの指令操作に従って例えば比較的大きな主要部分と複数の付属部分とに分割される。この分割は、ソリッドモデルの生成の容易さやその後の変更の容易さなどを考慮して適宜設定される。ステップS1は分割工程に相当する。なお、対象物が元々複数の部材から構成されている場合、その複数の構成部材をそのまま分割部分と見なして以後の作業を行うこともできる。
【0022】
ステップS2では、生成手順指示手段30eにより主要部分のメインソリッドモデルを生成すべき指示が表示装置38に表示され、作業者の指令操作に従って図4の(a) に示すようにメインファイル内で主要部分のメインソリッドモデル10が生成される。このメインソリッドモデル10は、作業者の操作に従ってソリッドモデル生成手段30aにより生成され、その生成過程は表示装置38に順次表示される。メインファイルは第1ファイルで、メインソリッドモデル10は第1ソリッドモデルであり、ステップS2は第1生成工程に相当し、作業者の指令操作に従ってソリッドモデル生成手段30aがメインソリッドモデル10を生成する信号処理は第1生成手段に相当する。
【0023】
ステップS3では、生成手順指示手段30eにより付属部分のサブソリッドモデルを生成すべき指示が表示装置38に表示され、作業者の指令操作に従って図4の(a) に示すように単一のサブファイル内で複数の付属部分のサブソリッドモデル12a、12bが生成される。このサブソリッドモデル12a、12bは、作業者の操作に従ってソリッドモデル生成手段30aにより生成されるとともに、メインソリッドモデル10に対する位置や姿勢などが設定される。このサブソリッドモデル12a、12bの生成過程も表示装置38に順次表示される。サブファイルは第2ファイルで、サブソリッドモデル12a、12bは第2ソリッドモデルであり、ステップS3は第2生成工程に相当し、作業者の指令操作に従ってソリッドモデル生成手段30aがサブソリッドモデル12a、12bを生成する信号処理は第2生成手段に相当する。なお、ここでは理解を容易とするため、サブソリッドモデルは12aおよび12bの2個とする。
【0024】
ステップS4では、生成手順指示手段30eによりサブソリッドモデル12a、12bをサーフェス化すべき指示が表示装置38に表示され、作業者の指令操作に従ってサブソリッドモデル12a、12bをサーフェス化したサーフェスモデル50a、50bが生成される。このサーフェスモデル50a、50bは、作業者の操作に従ってモデル変換手段30cにより生成されるが、特に作業者の判断を必要としないため、サブソリッドモデル12a、12bの生成完了後に1個のキー操作などで自動的にサーフェスモデル50a、50bが生成されるようにすることもできる。このステップS4はサーフェス化工程に相当し、作業者の指令操作に従ってモデル変換手段30cがサブソリッドモデル12a、12bをサーフェスモデル50a、50bに変換する信号処理はサーフェス化手段に相当する。
【0025】
ここで、サブソリッドモデル12a、12bが複数の基本モデルを合成した複雑な形状であっても、それは中実の単体であるため、それをサーフェス化したサーフェスモデル50a、50bは単一の中空体となる。したがって、前記図8のサーフェスモデル22、24のように複数の中空体22a、22b、24a、24bから構成されている場合に比較して、複数の中空体間の境界面(境界線)が無くなって線が少なくなり、形状の認識が容易である。
【0026】
図3のステップS5では、生成手順指示手段30eによりメインファイル内にサブファイルを取り込むべき指示が表示装置38に表示され、作業者の指令操作に従ってメインファイル内にサブファイルが取り込まれることにより、図4の(b) に示すようにメインソリッドモデル10の所定位置にサーフェスモデル50a、50bが組み付けられる。このステップS5は一体化工程であるが、特に作業者の判断を必要としないため、ステップS4のサーフェス化に続いて1個のキー操作などで自動的に行われるようにすることもできる。ステップS5でメインソリッドモデル10の所定位置にサーフェスモデル50a、50bを組み付ける信号処理は一体化手段に相当する。本実施例では単一のサブファイル内で複数のサーフェスモデル50a、50bが生成されるため、単一のサブファイルを取り込むだけで複数のサーフェスモデル50a、50bをメインソリッドモデル10と一体化することができる。なお、この実施例は、メインソリッドモデル10を生成したメインファイルをそのまま作業ファイルとして用いた場合であるが、別に作業ファイルを設けてメインソリッドモデル10およびサーフェスモデル50a、50bの双方を取り込むようにしても良い。
【0027】
ステップS6では、生成手順指示手段30eによりメインソリッドモデル10の変更作業を行うべき指示が表示装置38に表示されるとともに、図4の(b) のような画像が表示装置38に表示され、作業者の指令操作に従って例えば(c) に示すようにカットモデル14によりメインソリッドモデル10の所定位置に穴16を形成するなどの所定の変更作業が行われる。この変更作業は、作業者の操作に従ってソリッドモデル生成手段30aにより行われるが、変更しない付属部分がサーフェスモデル50a、50bであるため、カットモデル14等と交差しても影響を受けることがないし、図8のサーフェスモデル22、24に比較して形状を認識し易いため、メインソリッドモデル10の一部カットや突起物追加等の変更作業を容易に行うことができる。このステップS6は変更工程に相当し、作業者の指令操作に従ってソリッドモデル生成手段30aがメインソリッドモデル10を変更する信号処理は変更手段に相当する。
【0028】
ステップS7では、生成手順指示手段30eによりメインファイル(作業ファイル)内のサーフェスモデル50a、50bをソリッド化すべき指示が表示装置38に表示され、作業者の指令操作に従って図4の(d) に示すようにサーフェスモデル50a、50bがソリッドモデル12a、12bに変換され、目的とするソリッドモデル18が生成される。このソリッド化は、作業者の操作に従ってモデル変換手段30cにより行われるが、特に作業者の判断を必要としないため、ステップS6の変更作業後に1個のキー操作などで自動的にサーフェスモデル50a、50bがソリッド化されるようにしても良い。サーフェスモデル50a、50bはそれぞれ単一の中空体であるため、図8のように複数の中空体22a、22b、24a、24bから成るサーフェスモデル22、24をソリッド化する場合に比較して、作業が容易で処理時間が短縮される。このステップS7は戻し工程に相当し、作業者の指令操作に従ってモデル変換手段30cがサーフェスモデル50a、50bをソリッドモデル12a、12bに変換する信号処理は戻し手段に相当する。
【0029】
このように本実施例のソリッドモデル生成支援装置30によれば、生成手順指示手段30eによって画像表示される操作手順に従って作業者が操作することにより、サブソリッドモデル12a、12bをサーフェス化したサーフェスモデル50a、50bをメインソリッドモデル10と一体化した状態で、そのメインソリッドモデル10の一部カットや突起物追加等の変更作業が行われるため、その変更作業の際に変更部分がサーフェスモデル50a、50bと交差しても影響が無く、メインソリッドモデル10の変更作業を容易且つ簡便に行うことができる。
【0030】
また、上記サーフェスモデル50a、50bはそれぞれ単一の中空体にて構成されており、図8のサーフェスモデル22、24に比較して線が少なく形状を認識し易いため、この点でもメインソリッドモデル10の一部カットや突起物追加等の変更作業を容易に行うことができる。また、このようにサーフェスモデル50a、50bが単一の中空体にて構成されていることから、その後のステップS7でのソリッド化が容易且つ迅速に行われる。
【0031】
一方、このようなソリッドモデル18は、更に大規模なアッセンブリに組み込まれて干渉チェックなどが行われる場合があるが、本実施例ではサブファイル内でサーフェスモデル50a、50bとされているため、サブファイルが何らかの部品と関連付けられていても、ソリッドモデル18と干渉する恐れがない。すなわち、サブファイル内にサブソリッドモデル12a、12bが残っているとともに、そのサブファイルが何らかの部品と関連付けられていると、そのサブソリッドモデル12a、12bは必然的にソリッドモデル18と干渉することになり、干渉チェックの確認作業に無駄な時間を費やすことになる。
【0032】
また、本実施例では生成手順指示手段30eにより図3に示す手順に従ってソリッドモデルを生成するように、一連の操作手順や入力すべき内容を画像表示するようになっているため、作業者はその指示に従って簡便にソリッドモデルの生成作業を行うことができる。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるソリッドモデル生成支援装置の構成を説明するブロック線図である。
【図2】 図1の装置が備えている機能を説明するブロック線図である。
【図3】 図1の装置によってソリッドモデルを生成する際の作動を説明するフローチャートである。
【図4】 図3のフローチャートに従ってソリッドモデルを生成する際の各工程におけるモデル生成状態を説明する図である。
【図5】 従来のソリッドモデル生成方法の一例を説明する図である。
【図6】 図5の(c) の一部カット工程における問題点を説明する図である。
【図7】 図6のカットモデルで作業者の意に反して切欠が形成された場合を示す図である。
【図8】 ソリッドモデル生成方法の別の例を説明する図である。
【符号の説明】
10:メインソリッドモデル(第1ソリッドモデル)
12a、12b:サブソリッドモデル(第2ソリッドモデル)
18:ソリッドモデル
30:ソリッドモデル生成支援装置(コンピュータ)
30a:ソリッドモデル生成手段(第1生成手段、第2生成手段、変更手段)
30c:モデル変換手段(サーフェス化手段、戻し手段)
30e:生成手順指示手段
50a、50b:サーフェスモデル
ステップS2:第1生成工程、第1生成手段
ステップS3:第2生成工程、第2生成手段
ステップS4:サーフェス化工程、サーフェス化手段
ステップS5:一体化工程、一体化手段
ステップS6:変更工程、変更手段
ステップS7:戻し工程、戻し手段

Claims (1)

  1. 中実のソリッドモデルを生成できるとともに、該ソリッドモデルと中空のサーフェスモデルとを変換可能で、且つ処理手順およびパラメータの数値を記憶していてパラメータ等の変更時には同じ手順で自動的にソリッドモデルを修正するパラメトリックCAD機能を有するコンピュータによってソリッドモデルを生成するソリッドモデル生成支援装置であって、
    第1ファイル内で第1ソリッドモデルを作業者の指令操作に従って生成する第1生成手段と、
    該第1ソリッドモデルに組み付けられる第2ソリッドモデルを第2ファイル内で作業者の指令操作に従って生成する第2生成手段と、
    作業者の指令操作に従って或いはコンピュータにより自動的に、前記第2ソリッドモデルをサーフェスモデルに変換するサーフェス化手段と、
    該サーフェス化手段による変換処理の前または後に、作業者の指令操作に従って或いはコンピュータにより自動的に、前記第2ソリッドモデルまたはサーフェスモデルを所定の作業ファイル内に取り込んで、前記第1ソリッドモデルと一体化する一体化手段と、
    該一体化手段および前記サーフェス化手段により前記サーフェスモデルが一体化された前記第1ソリッドモデルを、作業者の指令操作に従って変更する変更手段と、
    該変更手段により前記第1ソリッドモデルが変更された後に、作業者の指令操作に従って或いはコンピュータにより自動的に、前記作業ファイル内の前記サーフェスモデルをソリッドモデルに変換する戻し手段と、
    前記第2生成手段により前記第2ソリッドモデルを生成した後に、前記サーフェス化手段により該第2ソリッドモデルをサーフェスモデルに変換するとともに前記一体化手段により前記第1ソリッドモデルと一体化し、その状態で前記変更手段により該第1ソリッドモデルを変更した後、前記第2ソリッドモデルのサーフェスモデルを前記戻し手段によりソリッドモデルに変換する一連の操作手順を画像表示する生成手順指示手段と、
    を有することを特徴とするソリッドモデル生成支援装置。
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