JP3684555B2 - 文書処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数の文書要素オブジェクトをあたかも紙媒体に印刷した文書を貼り付けるが如く合成させて複合文書を作成する文書処理装置に関し、特に、文書データを文書要素オブジェクトに変換処理する文書処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、電子的な文書データから成る文書要素オブジェクトをあたかも紙媒体のオブジェクトを貼り合わせるが如く合成させて電子的な複合文書データを作成し、この作成された複合文書データを更に紙媒体の文書の如く取り扱えるようにした文書処理装置を既に提案している(特願平6−278323号)。
【0003】
この文書処理装置では図11に示すような複合文書21を作成し、更には編集等の処理を行っており、この複合文書21には例えば文書要素オブジェクトA、B、C、D、Eが重畳して合成されている。
文書要素オブジェクトAは所謂親となる文書であり、ワードプロセッサを構成するテキスト作成アプリケーションで作成されたテキスト文書である。また、文書要素オブジェクトB、C、Dは文書要素オブジェクトAに対して重畳される所謂子となる文書であり、文書要素オブジェクトBは図表作成するアプリケーションで作成されたグラフ文書、文書要素オブジェクトC及びDは図形作成アプリケーションで作成された図形文書である。また、文書要素オブジェクトEは文書要素オブジェクトBに対して重畳される所謂孫となる文書であり、テキスト作成アプリケーションで作成されたテキスト文書である。
【0004】
各文書要素オブジェクトA乃至Eの実データはそれぞれ実データフレームとして作成され、文書要素オブジェクトAと文書要素オブジェクトB乃至Dとの間及び文書要素オブジェクトBと文書要素オブジェクトEとの間の関係データはそれぞれ関係データフレームとして作成される。これら実データと関係データとの対によって各文書要素オブジェクトA乃至Eの文書要素データが構成されている。実データフレームは実質的なデータを含むデータ列と関係データフレームへのポインタを含む保持データ列とを有している。データ列には文書要素オブジェクトの作成者や作成日時等といった作成環境、文書要素オブジェクトの作成に用いた作成アプリケーション名、文書要素オブジェクトの文書データを作成アプリケーションに依存しない形式に変換した表示用データ、作成アプリケーションからの文書データであるアプリケーションデータ、等が含まれている。また、保持データ列には複数のポインタを含ませることができ、それぞれのポインタを介して重畳される他の文書要素オブジェクトの関係データフレームへ関係付けられている。
【0005】
なお、表示用データは文書データを作成アプリケーションの印刷機能を用いてポストスクリプト言語(PostScript:登録商標)のような統一形式の表示用データに変換したものであり、作成アプリケーションを用いずとも表示用データで表示や印刷を行うことができる。本実施例では、この表示用データはビットマップデータであり、文書要素オブジェクトの出力は実現できるが文書要素オブジェクトの編集は実現できないものである。
一方、アプリケーションデータは作成アプリケーションに依存する文書データであり、当該作成アプリケーションを起動することによりアプリケーションデータを用いて文書要素オブジェクトの編集を実現することができる。
【0006】
関係データフレームも実質的なデータを含むデータ列と文書要素オブジェクトへのポインタを含む保持データ列とを有している。データ列には文書要素オブジェクトの貼付位置、貼付サイズ、複合文書において文書要素オブジェクトがどのような役割をもっているかの貼付役割、文書要素オブジェクトの重畳に際しての重なり順序、等が含まれている。また、保持データ列は単一のポインタを含んでおり、このポインタを介して対応する文書要素オブジェクトの実データフレームへ関係付けられている。
【0007】
概念的には、文書要素オブジェクトA乃至Eはそれぞれ仮想的な文書作成領域22上に形成され、これら文書作成領域22を重ね合わせることにより文書要素オブジェクトA乃至Eを重畳して複合文書21が作成されている。親となる文書要素オブジェクトAの実データフレーム23は子となる文書要素オブジェクトB乃至Dの実データフレーム24乃至26とそれぞれ関係データフレーム27乃至29を介して関係付けられており、文書要素オブジェクトB上に重畳される文書要素オブジェクトEの実データフレーム30は関係データフレーム31を介して文書要素オブジェクトBの実データフレーム24と関係付けられている。
【0008】
上記の実データフレームと関係データフレームとはポインタによって対応関係が付けられ、或る実データフレームからポインタを辿ることによって関係データフレームを介して重畳されている他の実データフレームへアクセスすることができる。ポインタで関係付けられた実データフレームと関係データフレームは全体として複合文書データを構成しており、これら実データフレームと関係データフレームのそれぞれはポインタで関係付けられた独立したデータ単位として記憶装置に格納され、データ単位毎に読出及び書込可能となっている。
【0009】
図12に示すように、文書要素オブジェクトA乃至Eの実データフレーム23乃至26及び30には、作成環境、表示用データ、アプリケーションデータとともに、文書要素オブジェクトの文書データ作成に用いた作成アプリケーション名が”テキスト”、”図表”、”図形”、”図形”、”テキスト”として含まれている。
また、実データフレーム23と実データフレーム24乃至26との間の関係データフレーム27乃至29、及び実データフレーム24と実データフレーム30との間の関係データフレーム31には、貼付位置、貼付サイズ、重なり順序とともに貼付役割が含まれている。
【0010】
すなわち、関係データフレーム27には文書要素オブジェクトBは文書要素オブジェクトA上に重なり順序が2番目で貼り付けられ、文書要素オブジェクトBの貼付位置を後に移動させることは禁止され、文書要素オブジェクトBは複合文書21の本文を成す旨のデータが含まれている。また、関係データフレーム28には文書要素オブジェクトCは文書要素オブジェクトA上に重なり順序が1番目で貼り付けられ、文書要素オブジェクトCは複合文書21のコメントを成す旨のデータが含まれている。また、関係データフレーム29には文書要素オブジェクトDは文書要素A上に重なり順序が最先の0番目で貼り付けられ、文書要素オブジェクトDの内容を後に変更することは禁止され、文書要素オブジェクトDは複合文書21の本文を成す旨のデータが含まれている。また、関係データフレーム31には文書要素オブジェクトEは文書要素オブジェクトB上に重なり順序が最先の0番目で貼り付けられ、文書要素オブジェクトEの貼付位置を後に移動させることは禁止され、文書要素オブジェクトEは複合文書21の本文を成す旨のデータが含まれている。
【0011】
なお、このように複合文書を作成する文書処理装置として、従来より他にも幾つかの形式の装置が提案されている(特開昭63−24463号公報、特開平6−168092号公報)。
また、従来では、文書中に文字列データのオブジェクトを貼り付ける際(特開平2−59857号公報)や文書中にイメージデータのオブジェクトを貼り付ける際(特開平5−81400号公報)に、オブジェクトを所謂クリップボード等の保持手段に保持させておき、同一のオブジェクトを繰り返し貼り付け処理することを可能にした文書処理装置も提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、作成アプリケーションに依存せずに表示や印刷が可能な複合文書を作成するためには、各文書要素オブジェクトを成す文書要素データに、上記のように作成アプリケーションの印刷機能を用いて変換した統一形式の表示用データを含ませる必要がある。そして、この変換処理は文書要素オブジェクト化しようとする文書データをそのデータ種類に応じた編集プログラムで行う必要がある。例えば、文字列データの文書データは文字列編集プログラムで変換処理し、図形データの文書データは図形編集プログラムで変換処理する必要がある。
【0013】
しかしながら、文書処理装置に1つの編集プログラムしか備えていない場合には、この編集プログラムで処理できる種類の文書データしか文書要素オブジェクト化することができず、紙媒体文書のように種々な種類のオブジェクトを自由に貼り合わせて複合文書を作成せんとする所期の目的を達成できないという問題があった。
【0014】
これに対して、文書処理装置に複数種類の編集プログラムを備えるようにすれば、種々な種類の文書データを文書要素オブジェクト化することができるが、この編集プログラムの切り換え操作を利用者がその都度行う場合には、操作が煩雑で複合文書作成に手間がかかるばかりか、紙媒体文書のように種々な種類のオブジェクトを貼り合わせて簡単に複合文書を作成せんとする所期の目的を達成できないという問題があった。
【0015】
本発明は上記従来の事情に鑑みなされたもので、文書データから文書要素オブジェクトへの変換操作を容易化して、紙媒体文書を扱うが如くして複合文書を作成することができる文書処理装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した文書処理装置は、複数の文書要素オブジェクトから成る複合文書を作成する文書処理装置において、処理対象の文書データをそのデータ種類情報とともに保持する保持手段と、互いに異なる複数種類の文書データに対応して該文書データをアプリケーションに依存しない表示用データを含む文書要素オブジェクトに変換処理する複数の文書要素化手段と、それぞれの文書要素化手段が処理し得る文書データのデータ種類情報を保持するリスト手段と、前記保持手段に保持された文書データに対して、そのデータ種類情報及びリスト手段の保持情報に基づいて対応する文書要素化手段を起動させる起動手段と、前記文書要素化手段により変換された文書要素オブジェクトを複合文書データに関係付けることにより複合文書に合成させる合成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載した文書処理装置は、複数の文書要素オブジェクトから成る複合文書を作成する文書処理装置において、処理対象の文書データをそのデータ種類情報とともに保持する保持手段と、互いに異なる複数種類の文書データに対応して該文書データをアプリケーションに依存しない表示用データを含む文書要素オブジェクトに変換処理する複数の文書要素化手段と、前記複数の文書要素化手段の一覧情報を保持するリスト手段と、前記保持手段に保持された文書データに対して、前記リスト手段の保持情報に基づいて一の文書要素化手段を起動させる起動手段と、前記起動された文書要素化手段により変換された文書要素オブジェクトを複合文書データに関係付けることにより複合文書に合成させる合成手段と、を備え、前記起動手段は前記一の文書要素化手段から所期の変換結果が得られないときには前記リスト手段の保持情報に基づいて他の文書要素化手段を順次起動させることを特徴とする。
【0018】
また、請求項3に記載した文書処理装置は、請求項2に記載した文書処理装置において、前記文書要素化手段は文書データを自己が変換処理し得るものかを判断する判断手段を有し、前記起動手段は判断手段による判断結果に応じてリスト手段の保持情報に基づいて他の文書要素化手段を順次起動させることを特徴とする。
【0019】
また、請求項4に記載した文書処理装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した文書処理装置において、前記リスト手段には前記起動手段が起動する文書要素化手段の優先順位情報が保持されていることを特徴とする。
【0020】
【作用】
請求項1の文書処理装置では、クリップボード等の保持手段に文書要素オブジェクト化しようとする文書データをそのデータ種類情報とともに保持させ、当該文書データに対して、そのデータ種類情報及びリスト手段の保持情報に基づいて、起動手段が編集プログラム等から成る文書要素化手段を起動させる。すなわち、リスト手段には文書データをそのデータ種類に応じてアプリケーションに依存しない表示用データを含む文書要素オブジェクトへ変換処理する文書要素化手段の情報が保持されており、処理対象の文書データに対応した文書要素化手段が起動される。
【0021】
この結果、文書要素化手段が文書データを表示用データ等を含んだ文書要素オブジェクトへ変換し、合成手段が当該文書要素オブジェクトを貼り付け対象の複合文書データに関係付けることにより複合文書中に合成させる。
【0022】
また、請求項2の文書処理装置のリスト手段には装置に備えられている文書要素化手段の情報が一覧で保持されており、起動手段はリスト手段の一覧に基づいて一の文書要素化手段を起動させる。そして、保持手段に保持されている文書データの種類に一の文書要素化手段が対応せず、変換結果(文書要素データ)が得られないときには、起動手段はリスト手段の一覧に基づいて他の文書要素化手段を起動させるという処理を繰り返し行い、装置に備えられたいづれかの文書要素化手段によって変換処理を行わせる。
【0023】
上記した変換結果が得られるかの判断は、タイマ等により所定の処理時間を計測することによっても可能であるが、請求項3に記載した文書処理装置では、文書要素化手段に備えられた判断手段で文書データを変換処理し得るものかを判断し、この判断結果に応じて起動手段が他の文書要素化手段を順次起動させる。
また、請求項4の文書処理装置では、起動手段はリスト手段に保持された優先順位情報に基づいて文書要素化手段を起動させ、文書データを文書要素オブジェクトへ変換させる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の一実施例に係る文書処理装置を図面を参照して説明する。
なお、本実施例の文書処理装置は上記した本願出願人が既に提案した文書処理装置を利用したものであり、以下の説明では上記の事項を引用する。
図1に示すように、本実施例の文書処理装置は、マルチタスクのオペレーティングシステム1上に構成され、文書データを保持する保持手段としてのクリップボード2と、複合文書を作成するための複合文書処理手段3と、文字列データや図形データ等といった文書データを作成するアプリケーションプログラム4と、を備えている。
なお、アプリケーションプログラム4は文書データを作成・編集し得るものであるが、複合文書には対応しておらず、文書データを前述したように表示用データ等を含む文書要素データ化し得るものではない。
【0025】
上記の複合文書処理手段3には、文字列編集プログラムや図形編集プログラム等といった複数種類の編集プログラム5と、これら編集プログラム5の情報を一覧で保持する対応リスト6と、文書編集プログラムの起動処理等を行う文書要素オブジェクト管理部7と、が備えられている。
編集プログラム5は、文書データをそのデータ種類に応じて文書要素データに変換処理等の編集処理を施す文書要素化手段を構成しており、例えば、文字列編集プログラムは文字列データの文書データを編集処理し、図形編集プログラムは図形データの文書データを編集処理し、ビットマップ編集プログラムはビットマップデータの文書データを編集処理し、表編集プログラムは表データの文書データを編集処理し、グラフ編集プログラムはグラフデータの文書データを編集処理する。
【0026】
なお、図3に示すように、編集プログラム5には、文書データを文書要素データに変換処理する
変換部5aの他に、文書要素データの実データに対して編集処理を施す編集部5bも備えており、必要に応じて、文書要素データの内容も編集部5bによって変更処理し得るようになっている。
【0027】
また、図2に示すように、対応リスト6には、編集プログラム5のファイル名と、その編集プログラムが処理し得るデータ種類とが対応付けて保持されており、例えば、ファイル名”textedit.exe”の編集プログラム5は文字列データを編集対象とし、ファイル名”bitmap.dll”の編集プログラム5はビットマップデータを編集対象とし、ファイル名”figure.exe”の編集プログラム5は図形データを編集対象とし、ファイル名”table.dll”の編集プログラム5は表データを編集対象とし、ファイル名”graph.exe”の編集プログラム5はグラフデータを編集対象としている。
【0028】
また、文書要素オブジェクト管理部7は、対応リスト6を参照して文書データのデータ種類に応じた編集プログラム5を起動させる起動手段8と、編集プログラム5から得られた文書要素データを複合文書データに関係付けて複合文書中に文書要素オブジェクトを合成させる合成手段9と、を備えており、クリップボード2に保持されている文書データを文書要素データに変換して文書要素オブジェクトとして複合文書に貼り付ける処理を行う。
【0029】
なお、文書処理装置には、キーボードやマウス等を備えた入力手段10と、ディスプレイ等を備えた表示手段11と、が付設されており、文書処理装置は入力手段10から入力された指示に基づいて所定の文書処理を行い、文書処理の結果を表示手段11に表示出力する。
【0030】
次に、文書データを文書要素オブジェクト化する処理は、図4に示す手順に従って行われる。
利用者が入力手段10を操作して、アプリケーションプログラム4で作成した文書データをクリップボード2に保持させると、文書要素オブジェクト管理部7がクリップボード2から当該文書データのデータ種類情報を取得する(ステップS1)。
なお、一般的にアプリケーションプログラムは文書データを作成すると、そのデータ種類の情報も当該文書データに付属させるため、クリップボード2には文書データとともにそのデータ種類情報も保持されている。
【0031】
次いで、データ種類情報から、クリップボード2に保持されている文書データが文書要素データ(文書要素オブジェクト)であるかを文書要素オブジェクト管理部7が判断し(ステップS2)、文書要素データである場合にはそれをクリップボード2からコピーして(ステップS3)、合成手段9が当該文書要素データを目的とする複合文書のデータに関連付けて、文書要素オブジェクトを複合文書中に貼り付ける処理を行う(ステップS4)。
なお、複合文書データは図外の記憶手段に格納されており、合成手段9が当該記憶手段に対してデータの読出及び更新書込を行う。また、この記憶手段に格納された複合文書データは図外の表示制御手段によって読み出されて表示処理がなされ、複合文書データ中の表示用データに基づいた複合文書画像が表示手段11に画面表示される。
【0032】
一方、クリップボード2に保持されている文書データが文書要素データでない場合には、取得したデータ種類情報に基づいて起動手段8が対応リスト6を走査し、対応するデータ種類用の編集プログラム5が装置に備えられているかを調べ(ステップS5)、その存在を判断する(ステップS6)。
この結果、対応する編集プログラムがない場合にはそのまま処理を終了する一方、対応する編集プログラム5がある場合には、対応リスト6のプログラムファイル名情報に基づいて、起動手段8が当該編集プログラム5を特定して起動させる(ステップS8)。
【0033】
すなわち、文書要素オブジェクト管理部5がクリップボード2から文書データをコピーして取得して、この文書データを編集プログラム5の変換部5aに送り、編集プログラム5にその印刷機能を用いて文書データから表示用データを作成させ、文書データを表示用データを含ませた文書要素データ(文書要素オブジェクト)へ変換させる。
そして、合成手段9が当該文書要素データに基づいて文書要素オブジェクトを複合文書中に貼り付ける処理を行い(ステップS4)、処理を終了する。
【0034】
上記のように、種々なデータ種類に対応して複数の編集プログラム5を装置に備えておけば、クリップボード2から取得したデータ種類情報と対応リスト6に保持されたデータ種類情報とに基づいて、処理すべき文書データに対応した編集プログラム5が自動的に選択されて起動されるため、利用者が煩雑な操作を行わずとも、所望の文書を文書要素オブジェクト化して複合文書中に合成させることができる。
【0035】
ここで、図5には本発明の他の一実施例に係る対応リスト6を示してある。
本実施例は同一のデータ種類に対応した複数の編集プログラム5が装置に備えられている場合を対象としており、対応リスト6はこれら編集プログラム5が起動される順番を示す「優先順位」情報を更に保持している。
例えば、文字列データに対応してプログラムファイル名が”text−a.exe”、”text−b.exe”、”text−c.exe”という3つの編集プログラム5が存在する場合、「優先順位」情報に基づいて、”text−a.exe”、”text−c.exe”、”text−b.exe”の順序で起動処理がなされるように設定することができる。
【0036】
したがって、優先順位に従って、例えば汎用性が高い編集プログラムが先ず起動され、この編集プログラムから良好な変換結果が得られないと文書要素オブジェクト管理部7が判断したときには、起動手段8が次の優先順位の編集プログラムを起動させ、最適な変換結果を得られるように編集プログラムを自動的に選択することができる。
【0037】
なお、このように優先順位を敢えて設けずとも、同一のデータ種類に対応する編集プログラムが複数ある場合には、そのプログラムファイル名を表示手段11に表示して、利用者に起動すべき編集プログラムを選択させ、これに基づいて起動手段8が編集プログラム5を起動させるようにしてもよい。
【0038】
図6には、本発明の更に他の一実施例に係る文書処理装置を示してある。
なお、前述した実施例と同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
本実施例では、前述した実施例で示した対応リスト6に換えて、使用可能プログラムリスト12を備えている。この使用可能リスト12には、装置の備えられている編集プログラム5のファイル名が一覧として保持されており、例えば、ファイル名”textedit.exe”、”bitmap.dll”、”figure.exe”、”table.dll”、”graph.exe”といったように、対象とするデータ種類に関わらず各ファイル名が保持されている。
【0039】
また、図8に示すように、各編集プログラム5には、変換部5a及び編集部5bの他に、データ種類情報に基づいて変換処理の可否を判断する判断部5cが備えている。この判断部5cは、文書要素オブジェクト管理部7から送られてきた文書データを自己の編集プログラム5が変換処理し得るか否かを、そのデータ種類情報に基づいて判断して、変換処理し得る場合には変換部5aに変換処理を行わせる一方、変換処理し得ない場合には文書データとともにその旨を文書要素オブジェクト管理部7へ返送する処理を行う。
また、本実施例の起動手段8は、このような判断部5cからの返送に応じて、他の編集プログラム5へ文書データを送り直す処理を行う。
【0040】
次に、文書データを文書要素オブジェクト化する処理は、図9に示す手順に従って行われる。
利用者が入力手段10を操作して、アプリケーションプログラム4で作成した文書データをクリップボード2に保持させると、文書要素オブジェクト管理部7がクリップボード2から当該文書データ及びそのデータ種類情報を取得する(ステップS11)。
【0041】
次いで、データ種類情報から、クリップボード2に保持されている文書データが文書要素データ(文書要素オブジェクト)であるかを文書要素オブジェクト管理部7が判断し(ステップS12)、文書要素データである場合にはそれをクリップボード2からコピーして(ステップS13)、合成手段9が当該文書要素データを目的とする複合文書のデータに関連付けて、文書要素オブジェクトを複合文書中に貼り付けて処理を終了する(ステップS14)。
【0042】
一方、クリップボード2に保持されている文書データが文書要素データでない場合には、取得したデータ種類情報に基づいて起動手段8が使用可能リスト12を走査し(ステップS15)、リストの先頭側からプログラムファイル名情報を1つ取り出し(ステップS16)、このファイル名に該当する編集プログラム5に文書データとともにそのデータ種類情報を送って起動させる。
次いで、送られてきたデータ種類情報に基づいて、判断部5cが自己の編集プログラムが当該データ種類を変換処理し得るものかを判断し(ステップS17)、変換し得ない場合には、文書データ及びデータ種類情報を起動手段8へ返送する。
【0043】
この結果、起動手段8は使用可能リスト12の次のファイル名に対応する編集プログラムに対して上記と同様な処理を行う。そして、使用可能リスト12に基づいて装置に備えられている全ての編集プログラム5を操作しても、データ種類に対応する編集プログラム5が見つからない場合には、文書要素オブジェクト化処理を行うことができないので、そのまま処理を終了する。
【0044】
一方、上記の操作処理によって対応する編集プログラム5が見つかった場合には、当該プログラムの判断部5cが送られてきた文書データを変換部5aへ渡し、印刷機能を用いて文書データから表示用データを作成させ、文書データを表示用データを含ませた文書要素データ(文書要素オブジェクト)へ変換させる(ステップS18)。
そして、合成手段9が当該文書要素データに基づいて文書要素オブジェクトを複合文書中に貼り付ける処理を行い(ステップS14)、処理を終了する。
【0045】
上記のように、本実施例においても、種々なデータ種類に対応して複数の編集プログラム5を装置に備えておけば、クリップボード2から取得したデータ種類情報と使用可能リスト12に保持されたファイル名情報とに基づいて、処理すべき文書データに対応した編集プログラム5が自動的に選択されて起動されるため、利用者が煩雑な操作を行わずとも、所望の文書を文書要素オブジェクト化して複合文書中に合成させることができる。
【0046】
ここで、図10には本発明の更に他の一実施例に係る使用可能リスト12を示してある。
上記の実施例では使用可能リスト12の先頭から1つずつ編集プログラム5を起動させるようにしたが、本実施例では起動する順序を利用者が設定できるように、使用可能対応リスト12に編集プログラム5が起動される順番を示す「優先順位」情報を更に保持させている。
【0047】
したがって、「優先順位」情報に基づいて、装置に備えられている編集プログラム5は、例えば、プログラムファイル名で”textedit.exe”、”figure.exe”、”graph.exe”、”table.dll”、”bitmap.dll”の順で起動処理がなされる。
したがって、優先順位に従って、例えば使用頻度の高いデータ種類に対応した編集プログラムが先ず起動されようにして、迅速に変換結果が得られるように編集プログラムを自動的に選択させることができる。
【0048】
なお、このように優先順位を敢えて設けずとも、装置に備えられている複数の編集プログラムをそのプログラムファイル名で表示手段11に表示して、利用者に起動すべき編集プログラムを選択させ、これに基づいて起動手段8が編集プログラム5を起動させるようにしてもよい。
【0049】
上記した実施例では、判断部5cによって自己の編集プログラム5で変換処理し得るか否かを判断するようにしたが、この判断手段5cを敢えて設けずとも、例えば、起動手段8が文書データを送ってからの経過時間をタイマで計測し、所定の時間が経過しても変換結果が得られないときには、使用可能リスト13に従って次の編集プログラムを起動させるようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の文書処理装置によると、複数の文書要素化手段(編集プログラム)を自動的に選択して文書データの変換処理を行うようにしたため、利用者に煩雑な操作を強いることなく、種々な種類の文書データから文書要素オブジェクトを得て複合文書へ貼り付け処理をすることができる。したがって、電子データ文書を紙媒体文書のように自由且つ簡単に貼り合わせて複合文書を作成することができる。
【0051】
更に、請求項3に記載した文書処理装置によると、文書要素化手段が自己が変換処理し得る文書データかを判断するようにしたため、上記の効果に加え、リスト手段の構成を簡素化できるとともに、対応する文書要素化手段を迅速に捜し出すことができる。
更に、請求項4に記載した文書処理装置によると、リスト手段に文書要素化手段の起動順位を保持させるようにしたため、上記の効果に加え、利用者の意図を反映させて対応する文書要素化手段を迅速に捜し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る文書処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施例に係る対応リストの保持内容を示す説明図である。
【図3】 本発明の一実施例に係る編集プログラムの構成を示す概念図である。
【図4】 本発明の一実施例に係る変換処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】 対応リストの保持内容の他の一例を示す説明図である。
【図6】 本発明の他の一実施例に係る文書処理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 本発明の他の一実施例に係る使用可能リストの保持内容を示す説明図である。
【図8】 本発明の他の一実施例に係る編集プログラムの構成を示す概念図である。
【図9】 本発明の他の一実施例に係る変換処理の手順を示すフローチャートである
【図10】 使用可能リストの保持内容の他の一例を示す説明図である。
【図11】 複合文書を説明する概念図である。
【図12】 複合文書のデータ構造を示す概念図である。
【符号の説明】
2・・・クリップボード(保持手段)、
5・・・編集プログラム(文書要素化手段)、 5a・・・変換部、
5c・・・判断部、 6・・・対応リスト、
7・・・文書要素オブジェクト管理部、
8・・・起動手段、 9・・・合成手段、 21・・・複合文書、
A〜E・・・文書要素オブジェクト、

Claims (6)

  1. 複数の文書要素オブジェクトから成る複合文書を作成する文書処理装置において、
    処理対象の文書データをそのデータ種類情報とともに保持する保持手段と、
    互いに異なる複数種類の文書データに対応して該文書データをアプリケーションに依存しない表示用データを含む文書要素オブジェクトに変換処理する複数の文書要素化手段と、
    それぞれの文書要素化手段が処理し得る文書データのデータ種類情報を保持するリスト手段と、
    前記保持手段に保持された文書データに対して、そのデータ種類情報及びリスト手段の保持情報に基づいて対応する文書要素化手段を起動させる起動手段と、
    前記文書要素化手段により変換された文書要素オブジェクトを複合文書データに関係付けることにより複合文書に合成させる合成手段と、
    を備えたことを特徴とする文書処理装置。
  2. 複数の文書要素オブジェクトから成る複合文書を作成する文書処理装置において、
    処理対象の文書データをそのデータ種類情報とともに保持する保持手段と、
    互いに異なる複数種類の文書データに対応して該文書データをアプリケーションに依存しない表示用データを含む文書要素オブジェクトに変換処理する複数の文書要素化手段と、
    前記複数の文書要素化手段の一覧情報を保持するリスト手段と、
    前記保持手段に保持された文書データに対して、前記リスト手段の保持情報に基づいて一の文書要素化手段を起動させる起動手段と、
    前記起動された文書要素化手段により変換された文書要素オブジェクトを複合文書データに関係付けることにより複合文書に合成させる合成手段と、を備え、
    前記起動手段は前記一の文書要素化手段から所期の変換結果が得られないときには前記リスト手段の保持情報に基づいて他の文書要素化手段を順次起動させることを特徴とする文書処理装置。
  3. 請求項2に記載した文書処理装置において、
    前記文書要素化手段は文書データを自己が変換処理し得るものかを判断する判断手段を有し、前記起動手段は判断手段による判断結果に応じて前記リスト手段の保持情報に基づいて前記他の文書要素化手段を順次起動させることを特徴とする文書処理装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した文書処理装置において、
    前記リスト手段には前記起動手段が起動する前記複数の文書要素化手段の優先順位情報が保持されていることを特徴とする文書処理装置。
  5. 互いに異なる複数種類の文書データを文書要素オブジェクトに変換処理する複数の文書要素化手段を備えた文書処理装置により、複数の文書要素オブジェクトから成る複合文書を作成する文書処理方法であって、
    前記文書処理装置の起動手段が、データ種類情報とともに保持された文書データに対して、そのデータ種類情報に対応する文書要素化手段を起動して当該文書データをアプリケーションに依存しない表示用データを含む文書要素オブジェクトに変換し、
    前記文書処理装置の合成手段が、前記変換された文書要素オブジェクトを複合文書データに関係付けることにより複合文書に合成させることを特徴とする文書処理方法。
  6. 互いに異なる複数種類の文書データを文書要素オブジェクトに変換処理する複数の文書要素化手段を備えた文書処理装置により、複数の文書要素オブジェクトから成る複合文書を作成する文書処理方法であって、
    前記文書処理装置の起動手段が、当該文書処理装置に備えられた複数の文書要素化手段の内の一の文書要素化手段を起動して、処理対象の文書データをアプリケーションに依存しない表示用データを含む文書要素オブジェクトに変換し、また、前記一の文書要素化手 段から所期の変換結果が得られないときには当該文書処理装置に備えられた複数の文書要素化手段の内の他の文書要素化手段を順次起動させて前記文書データをアプリケーションに依存しない表示用データを含む文書要素オブジェクトに変換し、
    前記文書処理装置の合成手段が、前記変換された文書要素オブジェクトを複合文書データに関係付けることにより複合文書に合成させることを特徴とする文書処理方法。
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