JP3684151B2 - 表面種別識別方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体表面からの反射光を画像として撮影し、撮影された画像から、表面の材質、若しくは表面の凹凸の有無といった物体表面の種別を識別する表面種別識別方法および表面種別識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
いままで、物体表面の種別を識別する方法として、物体表面に照明を斜めから照射し、物体表面からの反射光の強度を光検出器により検出し、その反射光の強度の違いから物体表面の種別を判定する方法が提案されている(特開平8−184421号公報:発明の名称「反射光による被測定物の識別方法」)。この提案方法は、光源と検出器を備えたセンサを使用し、光源の光を被測定物に対して鋭角に照射し、その被測定物からの散乱光を検出器に取り込み、予め測定された値と比較して、その被測定物を識別することを特徴としている。この提案方法では、異なる素材および凹凸の違いを持つ複数種の被測定物が移動ライン上で連続的かつ交互に現れるような場合に、観測位置にある被測定物の一点についてその種別を識別するという状況を想定している。係る状況に上記提案手法を適用する場合には、異なる被測定物毎にそれぞれ観測される反射光の値の変動範囲が重複しなければ正しく識別できるが、異なる被測定物同士で観測される反射光の値の変動範囲が重複する場合には正しく識別できない。
【0003】
一方、被測定物がそれぞれ個別のオブジェクトになっており、オブジェクト単位でその素材や凹凸の有無を識別したい状況も考えられる。このような状況に対して上記提案手法を適用する場合は、それぞれのオブジェクト全体にわたるに反射光の変動範囲や平均値等を算出するようにすれば、反射光の値の変動範囲がそれぞれ重複する場合でも、それぞれの変動範囲または平均値等が一致しなければ識別が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上記提案手法では、空間の一点毎の測定を行っており、そのためオブジェクト全体にわたる反射光の変動範囲や平均値等を算出するためには複数回数の観測が必要となり、時間がかかるという課題がある。また、上記提案手法のように反射光の強度の差異のみで識別を行う場合には、識別のための情報が十分でなく、識別が困難になる場合がある。
【0005】
本発明は、上述した従来手法の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、個々の被測定物毎に表面の材質若しくは凹凸の有無を識別する際の処理を迅速に、かつ高精度に行うことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、識別対象となる物体の表面の凹凸の有無を識別する表面種別識別方法であって、識別対象となる物体の表面に照明光を照射する照明ステップと、前記照明光の物体表面からの反射光の空間分布を画像として撮影する画像撮影ステップと、前記画像撮影ステップで撮影された前記画像の各画素について、前記物体の表面の凹凸を無視した場合の入射光の正反射方向と画像撮影方向との相対角度を指定する相対角度指定ステップと、前記相対角度指定ステップで指定された前記相対角度方向に対する画素値の分布を定量化した角度分布特徴量を算出する角度分布特徴量算出ステップと、前記物体の想定される表面の凹凸の有無と前記角度分布特徴量との関係を辞書データとして予め記憶媒体に登録しておく辞書データ登録ステップと、前記角度分布特徴量算出ステップで算出された前記角度分布特徴量と前記辞書データとを照合することにより、前記表面の凹凸の有無を識別する特徴量照合ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記角度分布特徴量算出ステップは、前記相対角度指定ステップで指定された前記相対角度に対する画素値の分布を、正反射成分と拡散反射成分とに分離する反射成分分離ステップを有し、かつそれぞれのこれら反射成分毎に前記角度分布特徴量を算出することを特徴とすることができる。
【0009】
また、前記角度分布特徴量算出ステップは、前記相対角度指定ステップで指定された前記相対角度に対する画素値の分布を、角度方向に対する高周波成分と低周波成分とに分離する周波数成分分離ステップを有し、かつそれぞれのこれら周波成分毎に前記角度分布特徴量を算出することを特徴とすることができる。
【0010】
上記目的を達成するため、請求項4の発明は、識別対象となる物体の表面の凹凸の有無を識別する表面種別識別装置であって、識別対象となる物体の表面に照明光を照射する照明手段と、前記照明光の物体表面からの反射光の空間分布を画像として撮影する画像撮影手段と、前記画像撮影手段で撮影された前記画像の各画素について、前記物体の表面の凹凸を無視した場合の入射光の正反射方向と画像撮影方向との相対角度を指定する相対角度指定手段と、前記相対角度指定手段で指定された前記相対角度方向に対する画素値の分布を定量化した角度分布特徴量を算出する角度分布特徴量算出手段と、前記物体の想定される表面の凹凸の有無と前記角度分布特徴量との関係を辞書データとして予め記憶媒体に登録しておく辞書データ登録手段と、前記角度分布特徴量算出手段で算出された前記角度分布特徴量と前記辞書データとを照合することにより、前記表面の凹凸の有無を識別する特徴量照合手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、前記角度分布特徴量算出手段は、前記相対角度指定手段で指定された前記相対角度に対する画素値の分布を、正反射成分と拡散反射成分とに分離する反射成分分離手段を有し、かつそれぞれのこれら反射成分毎に前記角度分布特徴量を算出することを特徴とすることができる。
【0013】
また、前記角度分布特徴量算出手段は、前記相対角度指定手段で指定された前記相対角度に対する画素値の分布を、角度方向に対する高周波成分と低周波成分とに分離する周波数成分分離手段を有し、かつそれぞれのこれら周波成分毎に前記角度分布特徴量を算出することを特徴とすることができる。
さらに、本発明には、前述の表面種別識別方法における各ステップをコンピュータに実行させるプログラムを記載したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体が含まれる。
【0014】
(作用)
本発明では、上記構成により、物体に照明光を照射し、その反射光に関する特徴量について空間方向の変化の度合いを算出し、これら算出した値と予め算出された辞書データとを照合することにより、表面の材質と凹凸の有無を識別し、また上記反射光に関する特徴量は、正反射成分と拡散反射成分を別々に算出する、あるいは高周波成分と低周波成分とを別々に分離して算出するようにしたので、1回の画像の撮影により迅速に、かつ反射光の空間分布の特徴を利用することにより精度良く表面の材質と凹凸の有無を識別できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(装置構成)
初めに本発明の表面種別識別方法を実施するための装置構成の一例を図5に示す。この実例のシステムは、被測定物51を照明する照明装置52、被測定物51からの反射光の空間分布を撮影する画像撮影装置53、画像撮影装置53で撮影された画像を取り込み、特徴量の算出、照合や、辞書データの登録および保存を行う演算・記録装置54とから構成されている。説明の便宜上、以降の説明では、このような装置構成を前提にして説明を行うものとする。
【0017】
(基本原理)
まず、表面種別を識別するための基本的な考え方について説明する。本発明では、物体表面での光の反射特性として、
1)正反射と、拡散反射の強度および観測角度に対する依存性
2)凹凸による反射光の観測角度に対する依存性
の2つに注目する。
【0018】
物体表面からの光の反射は、主として、物体表面で鏡のように反射してくる正反射(鏡面反射)と、物体内部で散乱されて再度表面から出てくる拡散反射に分けることができる。これらの成分の強さや角度依存性は表面素材の違いを良く反映する。例えば、金属では正反射が支配的であり、拡散反射はほとんど存在しない。一方、プラスチックや紙の場合では、正反射も存在するが、金属と比べ正反射は弱く、拡散反射の割合が多くなる。
【0019】
また、図6の(A)に示すように、正反射は被測定物51の表面において鏡面状に反射されるが、拡散反射成分は様々な方向に反射光が広がっていくという性質を持つ。図6の(B)に、被測定物51の表面が平坦な場合の反射光強度の角度分布の一例を示す。θ方向から入射された光は、正反射方向(2π−θ)において際立って高い値として観測される。一方、拡散反射成分は物体内部で散乱された後に出てくるため、様々な方向に向かって反射されていく。その反射光は表面の鉛直からの相対角度ψ(ψ=φ−(2π−θ):φは画像撮影方向)に依存する(Phong モデル、参考文献:新編色彩科学ハンドブック第2版、pp.1152)。被測定物51の素材により物体内部での散乱の性質は異なるため、拡散反射成分の強度およびその角度依存性は素材毎に異なる。
【0020】
上記の反射光に関する基本的な性質を踏まえ、まず、表面素材の識別について考える。上述したように、金属では正反射が支配的であるので、面上の表面からの反射光は正反射方向で非常に強くなるが、例えば紙のような非金属の多くの場合は正反射方向であっても反射光は金属ほど強くない。一方、正反射方向からずれた方向で観測すると逆に金属では反射光は非常に弱く、紙等では拡散反射によりある程度の強さを持つ光が観測される。このように、金属と紙のような非金属とでは、観測角度が決まれば、その反射光の強度だけから表面素材の種別を識別することが可能である。さらに、様々な角度における反射光の強度分布の違いを調べることにより、金属、紙、ゴム、硝子、プラスチックといった様々な素材の識別も可能になる。
【0021】
次に、表面の凹凸の有無の識別について考える。上述したように物体からの反射光の強度は角度依存性を持つ。被測定物51の表面に凹凸がある場合には、凹凸に対応して表面方向が変化しているので、凹凸のない場合と反射光の角度分布は異なるものになる。例えば、表面に比較的大きな凹凸がある場合を例として考えると、その反射光強度の角度依存性は図7の(B)に示すようになる。ただし、ここでは複数の凹凸を含むような一定の広がりを持った表面の範囲についての反射光の強度を考える。
【0022】
金属の場合では、凹凸のない平坦な表面の場合は、図7の(A)に示すように、その反射光はほとんどが正反射方向に集中するのに対して、凹凸のある場合には、図7の(B)に示すように、様々な方向において傾いた面からの正反射が強いピークとして観測される。また、紙など拡散反射成分が多い素材の場合も、凹凸のある場合には、金属ほどではないものの、反射光の角度方向に強度の変動が観測される。このように、反射光強度の角度方向の変動を調べることにより、物体表面の凹凸の有無を識別することができる。
【0023】
本発明の手法は、図8の(A)に示すように、様々な観測方向での反射光を別個に観測するのではなく、図8の(B)に示すように、空間的な広がりを持つ画像を撮影することにより、一枚の画像のみから様々な観測方向での反射光の情報を得るものである。図8の(B)に示す配置の場合、正反射方向からの相対角度をψとすると、ψの値は被測定物51上の反射位置xの関数になる。予め照明装置52、被測定物51、カメラ(画像撮影装置)53の配置が決まっていれば、被測定物51の反射位置xから相対角度ψを決めることができる。ただし、ここではその反射位置xから相対角度ψを決定する詳細については省略する。
【0024】
以上に述べたように、本発明では、物体(被測定物53)からの反射光の強度とその観測角度方向に対する反射光の強度の変化の特徴に注目することにより、物体の表面を構成する素材や凹凸の有無といった表面種別の識別を行うものである。以下、その具体的な実施形態について詳述する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1に本発明の第1の実施形態における表面種別識別方法の処理手順を示す。
【0026】
まず、図5の配置構成で、被測定物51の表面を照明装置52により照明する(照明ステップ110)。ここで、照明装置52の特性としては、反射光の角度依存性を評価する上で、物体表面への入射角θ(図6の(A)を参照)の方向に光源自体が広がりを持たない点光源または線光源であることが望ましいが、特にその照明装置52の特性は限定しない。
【0027】
次に、照明光の物体表面からの反射光の空間分布を画像撮影装置53により撮影する(画像撮影ステップ120)。画像撮影装置53としては、光の強度分布を1次元または2次元方向に広がり持つ画像として撮影できるものであれば良い。なお、画像撮影装置53の配置としては、撮影される画像の空間方向が図8の(B)に示す例のように、反射光の角度依存性が観測しやすい方向であることが望ましい。また、画像を撮影する際に、照明光の正反射方向が画像に入るようにするか、入らないようにするかは、ここでは限定しないものとする。
【0028】
このようにして画像撮影装置53により撮影された画像は、被測定物51の物体表面を構成する素材や、物体表面の凹凸の状態により、その撮影画像の特性が異なってくる。例えば、被測定物51の素材や、凹凸の状態に応じて、画像内の画素値の平均値、最大値、最小値、または最大値と最小値の差分や比率、または画素値の分散等のヒストグラムにおける特徴量や、空間微分値等の空間方向に対する画素値の変化の度合いを示す特徴量に違いが現れてくる。
【0029】
そこで、本発明では、演算・記録装置54において上記のような画素値の分布の特徴を定量化した特徴量を算出する(特徴量算出ステップ140)。
【0030】
一方、これらの特徴量と、素材または凹凸の有無といった物体表面種別との関係を辞書データ100として予め設定しておく(辞書データ登録ステップ160)。
【0031】
辞書データ100の登録の方法としては、学習による方法と経験的な方法がある。学習による方法としては、事前に多数の被測定物51のサンプルを用いて、実際に画像の撮影、特徴量の算出を行い、その統計分布として各クラス毎の平均値、分散等を求めておけば良い。この他、学習の方法には様々なものがあるが、ここでは限定しない。経験的な方法としては、試行錯誤的に識別のための閾値を設定する方法などがある。
【0032】
識別処理時には、上記の様にして予め登録された辞書データ100を参照し、被測定物体51の画像から算出された特徴量と辞書データ100に登録されている特徴量の一致度を算出し、最も一致度の高かった場合にその辞書データの示す種別であると判定する(特徴量照合ステップ150)。
【0033】
(第2の実施形態)
図2に本発明の第2の実施形態における表面種別識別方法の処理手順を示す。ここでは、図7の(B)に示すような角度配置で画像を撮影するものとし、被測定物体51の表面の方向は、細かな表面の凹凸を無視したものとして考える。照明光生成ステップ110および画像撮影ステップ120は図1の第1の実施形態と同様なので、その詳細は省略する。
【0034】
次に、本実施形態では、固体撮影装置53で撮影された画像に対して、その画像中の各画素毎に照明光の正反射方向からの撮影方向の相対角度ψの値を算出、または指定する(相対角度指定ステップ130)。
【0035】
上述したように相対角度ψは、照明装置52、被測定物51、カメラ53の配置が決まっていれば、反射位置xから求めることができる。ところで、、被測定物51の表面に凹凸がないとした場合には、正反射および拡散反射の強度はψの関数となるので、相対角度ψに対する画素値の関係は、正反射および拡散反射の特徴を判定のための直接的な情報を与える。なお、補足すると、一般に拡散反射成分は物体表面の鉛直方向からの観測方向の相対角度(仮にξとする)に対して直接の依存性を持つことが知られているが、この鉛直方向からの相対角度ξは、図8の(B)に示すような配置の場合には、正反射方向からの相対角度ψの関数になる(ψ,ξともに被測定物51の表面の反射位置xにより一意に決まる)。従って、結果的には正反射成分も拡散反射成分も相対角度ψの関数になる。
【0036】
次に、相対角度ψに対する画素値の分布から、その分布の特徴を定量化した角度分布特徴量を算出する(角度分布特徴量算出ステップ141)。次の特徴量照合ステップ150は図1で上述した第1の実施形態と同様なのでその詳細は省略する。
【0037】
上記角度分布特徴量としては、角度方向の画素値の分散、空間微分値、空間微分値の最大値、その他様々なものが考えられるが、ここではそれを限定しない。そのうちのいくつかの特殊な特徴量を本発明の第3、第4の実施形態として説明する。
【0038】
(第3の実施形態)
図3は本発明の第3の実施形態における表面種別識別方法の処理手順を示す。ステップ110、120、130、150は図2で上述した第2の実施形態と同様なのでその詳細は省略する。
【0039】
第3の実施形態においては、相対角度ψに対する画素値の分布において、正反射成分と拡散反射成分を分離する(反射光成分分離ステップ142)。
【0040】
図9に正反射成分と拡散反射成分の分離の例を示す。反射光の成分分離の方法としては、反射光の光学モデルとフィッティングすることにより、行うことができる。反射光の光学モデルとしては、2色性反射モデルを定式化したPhong モデルや、表面の微小形状を考慮したTorrance-Sparrowモデル等を用いることができる(参考文献:新編色彩科学ハンドブック第2版、pp.1152)。これらのモデルとのフィッティング方法や実際のフィッティング例については、これまで多くの研究報告、実用例があり、ここではその方法は限定しない。
【0041】
参考までに、2色性反射モデルにおける最も簡易なフィッティング方法を図9を用いて説明しておく。図9の(A)において、ψ=0の周囲の一定範囲−Δ≦ψ≦Δを、正反射光の強い範囲とし、この範囲を除いた部分を拡散反射成分としてモデルとフィッティングする。この際、ψ=−Δとψ=Δにおける画素値を直線で結べば良い(図9の(c)参照)。そして、拡散反射成分とされた成分を除いた分を正反射成分とする(図9の(B)参照)。
【0042】
このようにして、正反射成分と拡散反射成分が分離された場合、それぞれを特徴付ける値を角度分布特徴量として算出する。正反射成分と拡散反射成分が分離された形での特徴量は、その物体の表面の光学的な性質をより直接的に表現しているので、精度良く表面状態を判定できることが期待される。具体的な特徴量の例としては、正反射成分の強度の最大値や、角度方向への広がり(分散)、正反射成分と拡散反射成分の強度比等が考えられる。なお、ここでは、特徴量の具体的な形式までは限定しない。
【0043】
(第4の実施形態)
図4は本発明の第4の実施形態における表面種別識別方法の処理手順を示す。ステップ110、120、130、150は図2で上述した第2の実施形態と同様なのでその詳細は省略する。
【0044】
第4の実施形態においては、相対角度ψに対する画素値の分布において、相対角度方向に対する分布の高周波成分と低周波成分とを分離する(周波数成分分離ステップ143)。
【0045】
図10に高周波成分と低周波成分の分離の例を示す。周波数成分分離の方法としては、一般的に用いられているフーリエ変換等、信号を周波数空間へ変換する手法を用い、周波数空間において低周波成分と高周波成分を分離した後、元の空間に戻すことにより実現できる。この図10の(A)例では、表面の凹凸により、様々な角度において、画素値のピークが観測されている。
【0046】
周波数成分の分離の結果、角度依存性の大きい正反射成分が凹凸により散乱された成分は高周波成分に(図10の(B)参照)、一方、角度依存性の小さい拡散反射成分は、低周波成分に(図10の(C)参照)支配的に現れると考えられる。
【0047】
表面の凹凸が細かい場合には、高周波成分の主要周波数は高く、細かいピークが多数観測され、一方、表面の凹凸が大きく粗い場合には、高周波成分の主要周波数は低く、大きいピークが少数観測されると考えられる。このように、高周波成分の特性を見ることにより、表面の凹凸の状態を判定することができる。
【0048】
また、低周波成分の特性を見ることにより、角度依存性の少ない成分、つまり拡散反射成分の特性を知ることができる。なお、ここでは、特徴量の具体的な形式までは限定しない。
【0049】
(その他の実施形態)
最後に、本発明の手法による識別を困難にする要因として、素材表面に印刷等のパターンがある場合について述べる。例えば、紙に印刷がなされているような場合を考えると、正反射方向以外では紙にパターンが描かれているのか、それとも凹凸なのかは区別が困難になることが考えられるが、正反射方向で画像として観測すれば、凹凸の有無でその画素値の分布は異なってくるため、その区別は可能である。また、パターンが描かれている紙と凹凸のある金属との区別は、上記と同様に、正反射方向の観測で区別が可能である。
【0050】
一方、正反射方向からずれた方向の観測では、それぞれの画素値の分布は、空間方向に対して変動するため、区別しにくいものの、正反射による反射光が非常に強いことに注目し、画素値の最大値などを比較することにより、その区別が可能である。
【0051】
このように、表面パターンの存在は、本発明の手法による識別に対しては、ノイズとなり、識別を困難にするが、観測方向や注目する特徴量を工夫することにより、対処することが可能である。
【0052】
なお、本発明の目的は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体(記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し、実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。そのプログラムコードを記録し、またテーブル等の変数データを記録する記録媒体としては、例えばフロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROMなどを用いことができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、物体に照明光を照射し、その反射光に関する特徴量について空間方向の変化の度合いを算出し、これら算出した値と予め算出された辞書データとを照合することにより、表面の材質と凹凸の有無を識別し、また上記反射光に関する特徴量は、正反射成分と拡散反射成分を別々に算出する、あるいは高周波成分と低周波成分とを別々に分離して算出するようにしたので、1回の画像の撮影により迅速に、かつ精度良く表面の材質と凹凸の有無を識別できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における表面種別識別方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第2の実施形態における表面種別識別方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第3の実施形態における表面種別識別方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第4の実施形態における表面種別識別方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の表面種別識別方法を実施するための装置構成の一例を示す模式図である。
【図6】(A)は反射光の相対角度分布の例を示す概念図、(B)は、被測定物の表面が平坦な場合の反射光強度の角度分布の一例を示すグラフである。
【図7】被測定物の表面の凹凸の有無による反射光の強度分布の違いの例を示し、(A)は平坦な場合のグラフ、(B)は凹凸のある場合のグラフである。
【図8】画像における相対角度の定義を示し、(A)は従来例における一点についての相対角度を示す概念図、(B)は本発明に関わる画像における相対角度を示す概念図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に関わる正反射成分と拡散反射成分の分離の例を示し、(A)は分離前の反射光強度の角度分布の一例を示すグラフ、(B)は分離後の正反射成分を示すグラフ、(C)は分離後の拡散反射成分を示すグラフである。
【図10】本発明の第4の実施形態に関わる低周波成分と高周波成分の分離の例を示し、(A)は分離前の反射光強度の角度分布の一例を示すグラフ、(B)は分離後の高周波成分を示すグラフ、(C)は分離後の低周波成分を示すグラフである。
【符号の説明】
51 被測定物
52 照明装置
53 画像撮影装置(カメラ)
54 演算・記憶装置
100 辞書データ
Claims (7)
- 識別対象となる物体の表面の凹凸の有無を識別する表面種別識別方法であって、
識別対象となる物体の表面に照明光を照射する照明ステップと、
前記照明光の物体表面からの反射光の空間分布を画像として撮影する画像撮影ステップと、
前記画像撮影ステップで撮影された前記画像の各画素について、前記物体の表面の凹凸を無視した場合の入射光の正反射方向と画像撮影方向との相対角度を指定する相対角度指定ステップと、
前記相対角度指定ステップで指定された前記相対角度方向に対する画素値の分布を定量化した角度分布特徴量を算出する角度分布特徴量算出ステップと、
前記物体の想定される表面の凹凸の有無と前記角度分布特徴量との関係を辞書データとして予め記憶媒体に登録しておく辞書データ登録ステップと、
前記角度分布特徴量算出ステップで算出された前記角度分布特徴量と前記辞書データとを照合することにより、前記表面の凹凸の有無を識別する特徴量照合ステップと
を有することを特徴とする表面種別識別方法。 - 前記角度分布特徴量算出ステップは、前記相対角度指定ステップで指定された前記相対角度に対する画素値の分布を、正反射成分と拡散反射成分とに分離する反射成分分離ステップを有し、かつそれぞれのこれら反射成分毎に前記角度分布特徴量を算出することを特徴とする請求項1に記載の表面種別識別方法。
- 前記角度分布特徴量算出ステップは、前記相対角度指定ステップで指定された前記相対角度に対する画素値の分布を、角度方向に対する高周波成分と低周波成分とに分離する周波数成分分離ステップを有し、かつそれぞれのこれら周波成分毎に前記角度分布特徴量を算出することを特徴とする請求項1に記載の表面種別識別方法。
- 識別対象となる物体の表面の凹凸の有無を識別する表面種別識別装置であって、
識別対象となる物体の表面に照明光を照射する照明手段と、
前記照明光の物体表面からの反射光の空間分布を画像として撮影する画像撮影手段と、
前記画像撮影手段で撮影された前記画像の各画素について、前記物体の表面の凹凸を無視した場合の入射光の正反射方向と画像撮影方向との相対角度を指定する相対角度指定手段と、
前記相対角度指定手段で指定された前記相対角度方向に対する画素値の分布を定量化した角度分布特徴量を算出する角度分布特徴量算出手段と、
前記物体の想定される表面の凹凸の有無と前記角度分布特徴量との関係を辞書データとして予め記憶媒体に登録しておく辞書データ登録手段と、
前記角度分布特徴量算出手段で算出された前記角度分布特徴量と前記辞書データとを照合することにより、前記表面の凹凸の有無を識別する特徴量照合手段と
を有することを特徴とする表面種別識別装置。 - 前記角度分布特徴量算出手段は、前記相対角度指定手段で指定された前記相対角度に対する画素値の分布を、正反射成分と拡散反射成分とに分離する反射成分分離手段を有し、かつそれぞれのこれら反射成分毎に前記角度分布特徴量を算出することを特徴とする請求項4に記載の表面種別識別装置。
- 前記角度分布特徴量算出手段は、前記相対角度指定手段で指定された前記相対角度に対する画素値の分布を、角度方向に対する高周波成分と低周波成分とに分離する周波数成分分離手段を有し、かつそれぞれのこれら周波成分毎に前記角度分布特徴量を算出することを特徴とする請求項4に記載の表面種別識別装置。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の方法における各ステップをコンピュータに実行させるプログラムを記載したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000373431A JP3684151B2 (ja) | 2000-12-07 | 2000-12-07 | 表面種別識別方法および装置 |
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