JP3683998B2 - 加熱炉用バーナ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、設定温度を広範囲に変更できる加熱炉用のバーナの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に焼入れ等の高温熱処理から焼戻しのような低温熱処理までを行うワイドレンジの加熱炉においては、バーナのターンダウン比(通常10:1程度以下)に限度があるために、複数のバーナを設けて間引き運転したり、あるいは高負荷のメインバーナと低負荷のサブバーナとを組み合わせた複合バーナを用いて、低温設定時にはメインバーナを停止することにより、見掛けの高ターンダウン比を維持するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述のような従来方式には、次のような問題があった。すなわち炉壁に複数のバーナを配置して、低温設定時に一部のバーナを停止して間引き運転するという方法は、バーナの所要台数が増加して設備コストが高くなる上に、特に均一性を必要とする焼戻し時に、間引きによって炉内温度分布が不均一になり易いという欠点がある。一方複合バーナを用いる方式は、バーナの構造や燃焼制御システムが複雑で高価であり、またいずれの方式においても、低温熱処理時に燃焼排ガス量が減少するために、炉内攪拌効果が低下して、温度の不均一性を生じ易いという問題がある。本発明はこれらの点に鑑み、見掛け上高いターンダウン比を実現することができる上に、低温時に攪拌効果が低下することもなく、しかも構造が簡単で安価なこの種のバーナを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明による加熱炉用バーナは、図1〜3に示すように、基端部にほぼ理論混合比の燃料ガス及び燃焼空気が供給され先端部から火炎が噴出される円筒状のバーナ主部2の周囲に、バーナ主部2と同心の筒状若しくは等角度間隔に形成された冷却用空気供給路3を備え、高温設定時には冷却用空気を実質上停止し、低温設定時に上記冷却用空気供給路3を通して、炉内に冷却用空気を供給するようにしたものであって、冷却用空気を高温の燃焼排気の周囲に供給し、これを希釈することによって、見掛けのターンダウン比を大きくすると共に、バーナから低温のガスを多量に噴出させて、燃料を絞った場合にも炉内の攪拌効果が低下しないようにした点に特徴を有するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例を示したもので、バーナ本体1は中心部のバーナ主部2と、その外周に同心状に設けられた円筒状の冷却用空気供給路3とで構成されている。バーナ主部2には燃料制御弁4を通じて燃料ガスが供給されると共に、この燃料ガスに対して理論混合比となる燃焼空気が給気用ファン5より燃焼空気制御弁6を通じて供給され、更に冷却用空気供給路3には、同じく給気用ファン5より冷却用空気制御弁7を通じて冷却用空気が供給されており、燃料制御弁4及び燃料空気制御弁の開度は、炉内温度が設定温度を維持するように制御され、一方冷却用空気制御弁7の開度は設定温度によって制御されるようになっている。
【0006】
図2は本発明の他の実施例を示したもので、冷却用空気供給路3がバーナ主部2の周囲のバーナタイル8内に穿設された貫通孔として形成されている。更に図3の実施例は、炉内雰囲気の攪拌効果を高めるためにバーナ主部2の火炎噴出口及び冷却用空気噴出口をいずれも先絞り形状としたものであり、このように構成すれば、従来の高速噴流バーナに比し燃料を絞ったときにも冷却用空気の増加によって噴出エネルギの減少をカバーすることができる。
【0007】
図4は本発明によるバーナを焼入れと焼戻し兼用の円筒炉に使用した実施例を示したもので、バーナとしては5万kcal/時(TDR=10:1)のものを2台使用し、円筒状炉壁9の上部2箇所から内壁面に沿って周方向に火炎を噴出させている。炉内には燃焼排気が被処理物Aに直接当たらないように円筒状のマッフル板10が設けられており、モータ11で駆動される攪拌羽根12で温度を均一化されたのちに被処理物Aに吹き付けられるようになっている。この構成により焼入れ及び焼戻しを行った結果、下記のような結果が得られた。
Figure 0003683998
【0008】
【発明の効果】
本発明による加熱炉用バーナは、上述のように冷却用空気によって燃焼排気を希釈するようにしたものであるから、見掛けのターンダウン比を大きくすることができ、それによって高温の焼入れから低温の焼戻しまで多目的の熱処理を安定な燃焼状態で行うことできるという利点があり、また低温設定時にはバーナからは実質上低温のガスが多量に噴出されるので、高温時に比し炉内の攪拌効果が低下するおそれがなく、従って炉内温度分布を均一化して高品質の焼戻しを行うことができるという利点があり、また冷却用空気を高温の燃焼排気の周囲に供給するようにしたので、別途炉内に冷却用空気を吹き込んで燃焼排気を冷却するのに比し、空気吹き込み口等の複雑な構造を必要としない上に、高温の排気と低温の空気とが同一の箇所から互いに混ざり合ながら供給されるので、温度分布が不均一になり難く、また局所的に炉材やマッフル板を過熱して劣化させるおそれがないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略系統図。
【図2】本発明の他の実施例を示す縦断面図。
【図3】本発明の更に他の実施例を示す縦断面図。
【図4】本発明の使用例を示すもので、(a)は横断面図、(b)は縦断面図。
【符号の説明】
1 バーナ本体
2 バーナ主部
3 冷却用空気供給路
4 燃料制御弁
5 給気用ファン
6 燃焼空気制御弁
7 冷却用空気制御弁
8 バーナタイル
9 炉壁
10 マッフル板
11 モータ
12 攪拌羽根

Claims (1)

  1. 基端部からほぼ理論混合比の燃料ガス及び燃焼空気が供給され先端部火炎が噴出される円筒状のバーナ主部の周囲に、バーナ主部と同心の筒状若しくは等角度間隔に冷却用空気供給路を設け、高温設定時には冷却用空気を停止し、低温設定時に上記冷却用空気供給路を通して、炉内に冷却用空気を供給するようにして成る加熱炉用バーナ。
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