JP3683881B2 - 甲被がスライドファスナーにより横側から水平に開閉可能な靴 - Google Patents

甲被がスライドファスナーにより横側から水平に開閉可能な靴 Download PDF

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    • A43C11/00Other fastenings specially adapted for shoes
    • A43C11/12Slide or glide fastenings

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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、履き脱ぎが容易であり、しかも、履き心地も良好な靴に関する。
特に、お年寄りや、何らかの原因で身体が不自由な人にとっても、履き脱ぎが容易であり、しかも、履き心地も良好な靴に関する。
また、介護者が、被介護者に履かせ易い靴に関する。
【0002】
【従来の技術】
この様な技術分野の靴は、従来から色々と提案されている。
例えば、靴の甲被が左右に開閉自在となるように、靴の甲部からつま先部までV字状に開くように裁断分離して、甲被部の一方に面ファスナーを貼着し、他方にベルトを設け、このベルトの裏側に面ファスナーを貼着した介護靴(特開2002−262906号)がある。図7に従来例1として示す。図7の(1)は、介護靴のベルトの裏側に面ファスナー貼着し、対応する甲被部に貼着した面ファスナーとにより着脱する靴を示す斜視図であり、図7の(2)は、靴を履いた状態を示す斜視図である。
また、甲被部の一部または全部が、面ファスナーで覆われた靴本体と、別体に設け、裏面が面ファスナー覆われた締め付けベルトとで靴を構成したリハビリ用靴(特開2001−04109号)がある。図8に従来例2として示す。図8の(1)は、リハビリ用靴の甲被部分を面ファスナーとした靴本体と、別体の締め付けベルトの裏面に設けた面ファスナーとを示す斜視図であり、図8の(2)は、締め付けベルトで固定して靴を履いた状態を示す斜視図である。
さらに、甲被の前部が全開するベルト付靴であって、前部およびベルトを含む甲被部表全体がループ群部材生地で作られており、この前部の裏側両端ならびにベルトの裏側端部にフック群部材生地が取付られており、前部およびベルトが靴本体と面ファスナーのフック機能で止めることができるベルト付靴(特開2001−104012号)がある。図9に従来例3として示す。図9は、裏面に面ファスナーA面(ループ群部材生地)を逢着したベルトを上げ、前部を全開した状態のベルト付靴を示す斜視図である。
【0003】
一方、スライドファスナーを利用した靴として、靴紐を通す靴紐穴の両側に沿って、切り込みを設け、そこに一対のスライドファスナーを取り付け、最初に靴を履くときには、一対のスライドファスナーを閉じておいて、靴紐を弛めた状態で足を挿入し、靴紐の締め付け量を最適の履き心地に調節し、その後で、靴を履くとき、脱ぐときには一対のスライドファスナーを開閉するだけで、靴の脱ぎ履きを行う高齢者・障害者用の靴(特開2001−104010号)がある。
図10に従来例4として示す。図10の(1)は、靴紐の両側にスライドファスナーを設けた高齢者・障害者用の靴を示す斜視図、図10の(2)は、スライドファスナーを引き下げ、履口を拡げた状態を示す斜視図であり、図10の(3)は、スライドファスナーを操作中の装着状態を示す斜視図である。
【0004】
しかし、前記した従来の靴は、それなりに一定の効果は認められるが、特に、お年寄りや、身体が不自由な人にとって、靴の履き脱ぎの行為は大変なことであり、履き安さの点では、まだまだ不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特に、お年寄りや、何らかの原因で身体が不自由な人にとって、座った状態で靴を履くという行為はとても難しく、また、体力を要するものである。それは、むくんだり、痛みを伴う足をつま先の形のあるものの中に押し込み、その上、かかとを入れなくてはならないからである。そこで本発明は、このようなお年寄りや身体が不自由な人にとっても、履き脱ぎが容易であり、しかも、履き心地も良好な靴を提供することを課題とする。
【0006】
また、本発明は、これから迎える少子化・高齢化社会において、介護者が、被介護者に履かせ易い靴を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、甲被において、足の甲の付け根部分から靴底内側部分まで甲被の外側を切り離し、甲被の足親指の付け根部分の位置から、つま先部分を通って、足の甲の付け根部分の切り離し位置に至るまで、靴底内側部分に沿って、水平にスライドファスナーを設けたことを特徴とする甲被がスライドファスナーにより横側から水平に開閉可能な靴としたことを最も主要な特徴とする。
このことにより、靴の外側から、つま先を通り、内側の足親指あたりまでスライドファスナーで横側から水平に開くので、足を靴の内底に載せるだけで、よけいな負担を掛けずに、簡単に履くことができる。また、片手でも楽に開閉できる。
次いで、面ファスナーと併用することにより、履き脱ぎが容易であるうえに、しっかりと足を固定することができる靴とすることができる。
また、甲被の素材は、ポリクロロプレンゴム発泡体に合成繊維を張り合わせた複合材を使用する。
さらに、中敷きは、中敷き芯と中敷きカバーとからなり、中敷き芯の下側は、かかと部分から後側に向かって緩やかな傾斜を設けた硬質部材とすることにより、履き心地の良好な靴とすることができる。
そして、スライドファスナーを0.01kgf/cm以上の防水性を有するものにすることによって、スライドファスナーが靴底に近く、水平に設けていてもも、日常生活において雨の日でも水が靴の中にはいることがないという生活防水機能を有する靴にすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る第の発明は、甲被とかかと部と靴底部とから構成し、かかと部はかかと中心部とかかとサイド部とから構成する靴において、かかとサイド部は足の内側部が甲被部に接続するとともに足の外側部を足の甲の付け根部分から靴底内側部分まで甲被の外側を切り離し、甲被の切り離し部分の両面に面ファスナーCを設け、甲被の足親指の付け根部分の位置から、つま先部分を通って、足の甲の付け根部分の切り離し位置に至るまで、靴底内側部分に沿って、水平に甲被を切り離すと同時に甲被を切り離した部分にスライドファスナーを設け、スライドファスナーの取っ手部分に面ファスナーAを設け、対応するかかとサイド部の表面に面ファスナーBを設け、かかとサイド部の面ファスナーBと甲被の切り離し部分の面ファスナーCと取っ手部分の面ファスナーAを固定するようにしたことを特徴とする甲被部分がスライドファスナーにより水平に開閉可能な靴である。
面ファスナーAは、スライドファスナーの取っ手部分に任意の方法で取り付けられるが、取っ手部分そのものに面ファスナーAを成形したものが好ましい。
面ファスナーBは、対応するかかとサイド部に周知の方法で縫い合わせる。
スライドファスナーの取っ手部分に設けた面ファスナーAだけを操作すればよいので、履き脱ぎが容易である。
面ファスナーCは、かかとサイド部の面ファスナーBに対応する甲被の切り離し部分の内側部分に周知の方法で縫い合わせる。甲被の切り離し部分の両面にも面ファスナーCを設けたから、甲被かかと部分にしっかり固定される。
【0011】
本発明に係る第の発明は、甲被の素材が、ポリクロロプレンゴム発泡体の片面あるいは両面に合成繊維を張り合わせた複合材であることを特徴とする請求項1記載の甲被部分がスライドファスナーにより水平に開閉可能な靴である。
甲被の素材は、靴に利用されている任意の素材が用いられるが、本発明においては、防水性、撥水性、伸縮性、柔軟性、および通気性の観点から、特に、ポリクロロプレンゴム発泡体の両面に合成繊維を張り合わせた複合材を使用する。
ポリクロロプレンゴムは、ネオプレン(デュポン・ダウ・エラストマーの登録商標。以下、単に登録商標という。)として周知のものである。そして、ポリクロロプレンゴム発泡体は、ネオプレン(登録商標)スポンジとして各種のものが市販されている。
本発明においては、ネオプレン(登録商標)スポンジの片面若しくは両面に合成繊維、例えばナイロンジャージ等の合成繊維製織物をラミネート加工等により張り合わせた複合材を使用する。
以下、この素材をネオプレン(登録商標)複合材という。
靴底の素材についても、靴に利用されている任意の素材が用いられるが、本発明においては、甲素材との相性からは、ネオプレン(登録商標)合成ゴムの加工製品が好ましいが、デザイン性の観点からは、特にシリコンゴムからなる透明性の靴底が好ましい。
靴底の素材についても、靴に利用されている任意の素材が用いられるが、本発明においては、甲被素材との相性からは、ネオプレン(登録商標)合成ゴムの加工製品が好ましいが、デザイン性の観点からは、特にシリコンゴムからなる透明性の靴底が好ましい。
【0012】
本発明に係る第の発明は、中敷きが、中敷き芯と中敷きカバーとからなり、中敷き芯は硬質プラスチック部材からなり、その下側は、かかと部分に後側へ向かった緩やかな傾斜を設けて後側部分を少し厚くし、中敷きカバーは、洗濯することができる繊維素材で、中敷き芯を取り外し可能に設けたことを特徴とする請求項1、請求項2記載の甲被部分がスライドファスナーにより水平に開閉可能な靴である。
この中敷き芯は、従来の中敷きのようなウレタン発泡体やゴム製弾性材等の柔軟材を用いたものではなく、硬質部材を用いることを特徴とする。
本発明において、中敷き芯として使用する硬質部材としては、任意の硬質プラスチック部材が用いられる。例えば、ポリプロピレン等の硬質樹脂が適する。
そして、この中敷き芯は、お年寄りなどの足首のことを考慮して、かかとの部分に穏やかな傾斜、具体的には約3度弱の傾斜を設けて後側部分を少し厚くすることにより、履き心地のより良い靴になる。
中敷きカバーの素材は、任意の繊維製品が用いられるが、綿素材が好ましい。
綿素材の中敷きカバーによって、いつでも靴下を洗う感覚で中敷きカバーを洗うことができる。また、樹脂で作られた中敷き自体も水拭きすることができる。
これらのことから、素足で靴を履く機会の多い要介護者に、靴の中をより清潔に使用してもらうことができる。
【0013】
本発明に係る第の発明は、スライドファスナーが0.01kgf/cm以上の防水性を有するものであることを特徴とする請求項1、請求項2記載の甲被部分がスライドファスナーにより水平に開閉可能な靴である。
スライドファスナーは、特に室内履き用靴としては何の問題もない。
しかし、外出履き用靴としては、雨の日などで水に濡れると靴内に水が入るおそれがある。そこで、雨の日でも水が靴の中にはいることがないように、日常生活において生活防水機能を持たせるために、スライドファスナーは0.01kgf/cm以上の防水性を有するものであることが必要である。
この防水性能を持ったスライドファスナーは、既に、ウエットスーツ、マリン用ウエストポーチ、バイクのタンクパック、乾燥用収納袋等の用途に市販されている。
【0014】
【実施例1】
以下に、本発明の実施例1を図面に基づき詳細に説明する。
ただし、本発明は、この実施例1によって何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る右足用靴について、スライドファスナーをつま先まで半分開いた状態を示す側面斜視図である。
この実施例1の靴の主要部は、甲被とかかと部と靴底部とで構成されている。
甲被は、図2の(1)に示されているように、甲覆い部1と甲つま先部2とからなり、甲覆い部1の足の内側部がかかと接続している。足の外側部は、図1および図3に示されているように、足の甲の付け根部分から靴底内側部分まで切り離されている。
かかと部は、図1、図2の(1)および(2)に示されているように、かかと中心部3と、かかとサイド部4とから構成されている。
かかとサイド部4の足の内側部は甲被部と接続している。かかとサイド部4の足の外側部は足の甲の付け根部分から靴底内側部分まで切り離されている。
かかと縁部から甲覆い部1にかけて、足首を覆うように縁取り5を設ける。
かかと中心部3のかかと縁部には、手の指が充分に入るつまみ6を設ける。
靴底部は、底部7と底つま先部8とから構成されている。
そして、甲被の足親指の付け根部分の位置から、つま先部分を通って、足の甲の付け根部分の切り離し位置に至るまで、靴底内側部分に沿って、水平にスライドファスナー9を設ける。
図1、図2の(2)、および図3に示された10は、スライドファスナー9の取っ手部分に成形した第一面ファスナー(フック群部材)である。
図1、図3、および図4の(1)に示された11は、第一面ファスナー(フック群部材)に対応するかかと部分に設けた第二面ファスナー(ループ群部材)である。
図1、図3、図4の(1)および(2)に示された12は、甲被の切り離し部分に設けられた第三面ファスナー(フック群部材)であり、13は、甲被の切り離し部分の内側に設けた第三面ファスナー(フック群部材)の縫い代である。
靴の底部の上面、すなわち靴底内側には、中敷き14を敷く。
上記のような構成により、本発明の実施例1に係る靴は、甲被がスライドファスナーにより、横側から水平に開閉可能になる。
すなわち、第2図の(2)に示されているように、甲被が完全に横に、水平に開くことになる。
【0015】
この実施例1について、さらに詳述する。
甲被の甲覆い部1は、ネオプレン(登録商標)複合材からなる一層構造である。
甲つま先部2は、デザイン部分として、甲被と同じ素材で、色違い、織り目の構造が違うネオプレン(登録商標)複合材を縫い合わせる。すなわち、甲被の甲覆い部1は一層構造であるのに対して、甲被の甲つま先部2は二層構造である。
かかと部は、かかと中心部3が固めのウレタンスポンジ芯材をネオプレン(登録商標)複合材で内側・外側を覆った三層構造であり、かかとサイド部4はかかと中心部3より薄い固めのウレタンスポンジ芯材をネオプレン(登録商標)複合材で内側・外側を覆った三層構造である。
かかと縁部から甲覆い部1にかけて設けた縁取り5は、ネオプレン(登録商標)複合材の上に合成スエードからなるバイアステープにより設ける。
これにより足首の周りは、合成スエードの柔らかい縁取り5により囲まれる。
かかと部の高さは、アキレス腱を覆う高さである。
以上のかかと部の構造のために、かかとが型くずれしにくくなり、その上、靴を履いたときに、足にフィットした感じの安心感が得られる。
靴底部は、底部7の厚さよりも底つま先部8の厚さをできるだけ薄くする。
そして、底部7はフラットにする。また、靴底部には所定高さの縁部を設ける。
この靴底部は、透明シリコンゴムを用いて前記の形に成形する。
靴底部の形状を、つま先部分の厚みをできるだけ少なくすることは、お年寄りなどが段差につまずきにくくなる。また、底部7をフラットにすることにより、お年寄りなどが転ぶことへの恐怖感を低減し、その上、薄く、軽い仕上がりにすることができるので、履きやすくなる。
中敷き14は、中敷き芯15と中敷きカバー16とからなり、中敷き芯15は、その下側を、かかと部分から後側に向かって緩やかな傾斜17を設けた硬質部材からなる。中敷きカバー16は、綿素材で中敷き芯を取り外し可能に設け、洗濯することができるようにする。
この実施例1においては、図5の(2)および(3)に示すように、中敷きカバー16は、その下側の前後方向中心に重ね合わせ部からなる中敷き出し入れ口18を設け、下側の前部および後部に中敷き縫い代部19を設けている。
【0016】
この実施例1の靴の製造工程について、以下に述べる。
(1)先ず、足の甲の付け根部分から靴底内側部分まで甲被の外側を切り離した形で、甲被とかかと部とを製造する。
(2)次いで、スライドファスナーの一方の縫い代を、足親指の付け根部分の位置から、つま先部分を通って、足の甲の付け根部分の切り離し位置に至るまで、靴底内側部材に接着剤で固定する。
(3)そして、甲被の足親指の付け根部分の位置から、つま先部分を通って、足の甲の付け根部分の切り離し位置に至るまで、水平にスライドファスナーの他方の縫い代を、靴底内側部分に対応する位置に沿って、甲被に縫いつける。
(4)さらに、この甲被の足親指の付け根部分までと、かかと部とを靴底内側部材に縫いつけ、スライドファスナーのスライダーをかみ合わせる。
(5)一方、靴底部は、透明シリコンゴムを用いて前記所定の形に成型する。
(6)前記工程(4)で用意された甲被とかかと部とからなる上側部分と、靴底部とを合わせ、靴底内側部材の縫い代および接着部が靴底部の縁部で隠れるように、靴底内側部材と靴底とを接着剤ではりあわせる。
(7)最後に、別途、用意しておいた中敷き14を靴底内側部材の上に挿入して載せる。なお、靴の製造工程については、上記した順序に制限されるものではない。
【0017】
実施例1の図面について、まとめて以下に説明すると、
図1は、実施例1に係る右足用靴をスライドファスナーをつま先まで半分開いた状態を示す側面斜視図である。
図2は、実施例1に係る右足用靴を左側から見た斜視図(1)と、スライドファスナーを全開した状態を上側から見た斜視図(2)である。
図3は、実施例1に係る右足用靴をスライドファスナーをつま先部分まで開けた状態、或いは半分まで閉めた状態を示す斜視図である。
図4は、実施例1に係る右足用靴に足を載せ、スライドファスナーをつま先まで、半分閉めた状態、あるいは、つま先まで半分開けた状態を示す側面図(1)と、スライドファスナーを閉め、面ファスナーで止めて靴を履いた状態を示す側面図(2)である。
図5は、実施例1に係る中敷きの斜視図(1)、長さ方向中心の断面図(2)と、巾方向中心の断面図(3)である。
【0018】
【実施例2】
図6は、本発明の実施例2に係る右足用靴を示す斜視図である。
この実施例2の靴は、甲被の甲覆い部1からつま先まで二本のクロス、かかと中心部3、かかとサイド部4、縁取り5、つまみ6まで、さらに、底部7、底つま先部8まで、甲被と同じ素材で、色違い、織り目の構造等が違うネオプレン(登録商標)複合材を縫い合わせた装飾部20を設けた例である。
すなわち、実施例1の靴の構造とほぼ同じであるが、ファッション性をより重視した靴である。
この実施例2の靴は、従来の暗い介護生活に対して、介護生活の中にファッション性を取り入れることができ、要介護者に明るさと華やかさを取り戻し、従来の介護に対するイメージを一新させ、メンタル面からも新しい介護生活を目指すことができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の靴は、
(1)かかとサイド部が足の内側部が甲被部に接続するとともに足の外側部を足の甲の付け根部分から靴底内側部分まで甲被の外側を切り離し、甲被の切り離し部分の両面に面ファスナーCを設け、甲被の足親指の付け根部分の位置から、つま先部分を通って、足の甲の付け根部分の切り離し位置に至るまで、靴底内側部分に沿って、水平に甲被を切り離すと同時に甲被を切り離した部分にスライドファスナーを設け、スライドファスナーの取っ手部分に面ファスナーAを設け、対応するかかとサイド部の表面に面ファスナーBを設け、かかとサイド部の面ファスナーBと甲被の切り離し部分の面ファスナーCと取っ手部分の面ファスナーAを固定するようにしたので、甲被が横に完全に開いた状態になり、足を靴の内底に載せるだけで、よけいな負担を掛けずに、簡単に履くことができる。また、片手でも楽に開閉できる。
(2)スライドファスナーと面ファスナーA、面ファスナーB及び面ファスナーCを併用することにより、履き脱ぎが容易である上に、しっかりと足を固定することができる。
(3)甲被の素材を、ネオプレン(登録商標)複合材とすることにより、防水性、撥水性、伸縮性、柔軟性、および通気性が優れている。
(4)また、ネオプレン(登録商標)複合材は、多種・多様な製品が市販されており、それらを適宜用いて、よりファッション性を取り入れることができ、要介護者に明るさと華やかさを取り戻し、従来の介護に対するイメージを一新させ、メンタル面からも新しい介護生活を目指すことができる。
(5)中敷きが、中敷き芯と中敷きカバーとからなり、中敷き芯の下側は、かかと部分から後側に向かって緩やかな傾斜を設けた硬質プラスチック部材とすることにより、履き心地が良好である。
(6)また、中敷きカバーを綿素材とし、中敷きを出し入れ可能としたので、いつでも、靴下を洗う感覚で、中敷きカバーを洗うことができる。さらに、中敷き芯も硬質プラスチック部材であるから、簡単に水拭きすることができる。これらのことから、素足で靴を履く機会の多い要介護者に、靴の中をより清潔にすることが可能である。
(7)スライドファスナーを0.01kgf/cm以上の防水性を有するものにすることによって、スライドファスナーが靴底に近く、水平に設けていても、日常生活において雨の日でも水が靴の中に入ることがないという生活防水機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係る右足用靴をつま先まで半分開いた状態を示す側面斜視図である。
【図2】 本発明の実施例1に係る右足用靴を左側から見た斜視図(1)と、スライドファスナーを全開した状態を上側から見た斜視図(2)である。
【図3】 本発明の実施例1に係る右足用靴をスライドファスナーをつま先部分まで半分開けた状態、或いは半分まで閉めた状態を示す斜視図である。
【図4】 本発明の実施例1に係る右足用靴に足を載せ、スライドファスナーを半分まで占めた状態、或いは半分まで開けた状態を示す側面図(1)と、スライドファスナーを閉め、面ファスナーで止めて靴を履いた状態を示す側面図(2)である。
【図5】 本発明の実施例1に係る中敷きの斜視図(1)、長さ方向中心の断面図(2)と、巾方向中心の断面図(3)である。
【図6】 本発明の実施例2に係る右足用靴を左側から見た斜視図と、中敷きを示す斜視図である。
【図7】 従来例1のベルトの裏側に貼着した面ファスナーにより着脱する靴を示す斜視図(1)と、靴を履いた状態を示す斜視図(2)である。
【図8】 従来例2の甲被部分を面ファスナーとした靴と、別体の締め付けベルトの裏面に設けた面ファスナーとを示す斜視図(1)と、靴を履いた状態を示す斜視図(2)である。
【図9】 従来例3の甲被部分を面ファスナーとし、甲被の前部が全開し、甲被裏面の両脇およびベルト裏面に面ファスナーを設けた靴を示す斜視図である。
【図10】従来例4の靴紐の両側にスライドファスナーを設けた靴を示す斜視図(1)、スライドファスナーを引き下げ、履口を拡げた状態を示す斜視図(2)と、スライドファスナーを操作中の装着状態を示す斜視図(3)である。
【符号の説明】
1. 甲覆い部
2. 甲つま先部
3. かかと中心部
4. かかとサイド部
5. 縁取り
6. 手の指が充分に入るつまみ
7. 底部
8. 底つま先部
9. スライドファスナー
10. スライドファスナーの取っ手に設けた第一面ファスナー(フック群部材)
11. かかとサイド部に設けた第二面ファスナー(ループ群部材)
12. 甲被の切り離し部分に設けた第三面ファスナー(フック群部材)
13. 甲覆い部1の第三面ファスナー取り付け部
14. 中敷き
15. 中敷き芯
16. 中敷きカバー
17. 中敷き芯の傾斜したかかと部
18. 中敷き出し入れ口
19. 中敷きカバー縫い代部
20. 装飾部
S. スライドファスナーの止め具

Claims (4)

  1. 甲被とかかと部と靴底部とから構成し、かかと部はかかと中心部とかかとサイド部とから構成する靴において、
    かかとサイド部は足の内側部が甲被部に接続するとともに足の外側部を足の甲の付け根部分から靴底内側部分まで甲被の外側を切り離し、甲被の切り離し部分の両面に面ファスナーCを設け、甲被の足親指の付け根部分の位置から、つま先部分を通って、足の甲の付け根部分の切り離し位置に至るまで、靴底内側部分に沿って、水平に甲被を切り離すと同時に甲被を切り離した部分にスライドファスナーを設け、
    スライドファスナーの取っ手部分に面ファスナーAを設け、対応するかかとサイド部の表面に面ファスナーBを設け、かかとサイド部の面ファスナーBと甲被の切り離し部分の面ファスナーCと取っ手部分の面ファスナーAを固定するようにしたことを特徴とする甲被部分がスライドファスナーにより水平に開閉可能な靴。
  2. 甲被の素材が、ポリクロロプレンゴム発泡体の片面あるいは両面に合成繊維を張り合わせた複合材であることを特徴とする請求項1記載の甲被部分がスライドファスナーにより水平に開閉可能な靴。
  3. 中敷きが、中敷き芯と中敷きカバーとからなり、中敷き芯は硬質プラスチック部材からなり、その下側は、かかと部分に後側へ向かった緩やかな傾斜を設けて後側部分を少し厚くし、中敷きカバーは、洗濯することができる繊維素材で、中敷き芯を取り外し可能に設けたことを特徴とする請求項 1 、請求項 2記載の甲被部分がスライドファスナーにより水平に開閉可能な靴。
  4. スライドファスナーが0.01kgf/cm以上の防水性を有するものであることを特徴とする請求項1、請求項2記載の甲被部分がスライドファスナーにより水平に開閉可能な靴。
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