JP3683527B2 - 折畳収納車両用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車など折畳収納車両用シート、詳しくは、後脚又はクッションフレームの後部を車体側のストライカにフックで係止し、前脚と、この前脚に並設する回転防止用のロッドとの各々の上下両端部をクッションフレームと車体とに前後方向に回転可能に軸着して折畳収納時のシートの跳ね上がりを防止する車両用シートの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の自動車用シート(例えばサードシート)は、特開平2000ー108746号公報に開示されているようにシートの使用状態(図4(a))からシートバック(SB)をシートクッション(SC)上に折畳み、この折畳み状態で図4(b)に示すようにシートクッション(SC)を前脚(100)を回転中心に前方の車体の床面(92)に、前脚を折り畳むことにより収納できるようになっている。
【0003】
そして、前記前脚(100)と並設した回転防止用のロッド(200)によって、収納状態の不用意の跳ね上がりを防止できるし、また、収納状態から使用状態に戻す際には、跳ね上がりを防止するロックがないためロック解除などの動作が不要になる…利点がある。なお、図4において、図中(6)は車体の隆起面(90)に設けたストライカで、このストライカ(6)にシートクッション(SC)側に設けたフック(7)が係合する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来品は、例えば、前脚の全長に対してロッドの取付時の全長にバラツキが生じた時には、シートの使用時において座面の傾きが設定基準位置から外れる。
【0005】
また、シートの収納時においては、無理に、或いはシートの自重によって設定位置に移動させると、ロッドが前脚の円滑な回動を妨げ、使用状態に容易に復帰させることができない…などの不具合がある。
【0006】
特に、シートが設置場所によって、前脚を長さ方向に略く字状に折曲したものにおいては、ロッドの全長を正確に製造し的確に取付けることは困難である。
【0007】
そこで、本発明は斯様に折畳収納車両用シートにおいて、回転防止用のロッドに制作上等の誤差が生じても、前記不具合の発生を防止できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明は、前記ロッドの上端部を前記クッションフレーム側に設けた上下方向に長い長孔からなる上部係止部に、また、ロッドの下端部を前記車体側に設けた前後方向に長い長孔からなる下部係止部に各々取付けてなることを特徴とするものである。
【0009】
以上の構成により、ロッドの前脚に対する誤差を長孔からなる上部係止部、下部係止部によって吸収し、上部係止部、下部係止部の両長孔は各々直交方向に長く形成されているため、使用状態においてガタが発生することがない。
【0010】
また、前記ロッド又は前脚又はその双方は、長さ方向に略く字状に形成してなることにより、全長の寸法が正確に製作し難い略く字状の形成した前脚、ロッドにも対応できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る折畳収納車両用シート(サードシート)で、このシートは図4に示す従来品と同様に、使用状態から折畳収納状態に、或いは折畳収納状態から使用状態に復帰できるように形成されている。
【0012】
図1に示す本発明に係る折畳収納車両用シートは、車体の隆起面(90)と床面(92)との間に有する壁面(91)が前方に突出している。そのため、前脚(1)及び回転防止用のロッド(2)は壁面(91)の形状に沿うように各々略く字状に折曲成形されている。
【0013】
前脚(1)及びロッド(2)は前記従来品と同様に、図2に示すように各々の上端部(1A)、(2A)がシートクッション(SC)のクッションフレーム(3)側に、各々の下端部(1B)、(2B)は図3に示すように車体側に締結したベースプレート(4)に、前後方向に回動可能に軸着されている。
【0014】
クッションフレーム(3)の後部底面は後脚(4)が折畳可能に取付けられ、この後脚(4)の下端にフック(7)が設けてあり、このフック(7)が車体に固設したストライカ(6)に係合することにより、シートクッション(SC)がロックされるように形成されている。図中(5)は前脚(1)と一体のアーム(50)と後脚(4)とを連結する後脚自動折畳用の連動ロッドを示す。
【0015】
なお、前脚(1)はクッションフレーム(3)と一体の前部ブラケット(32)に設けたストッパ(32A)、後脚(4)は、クッションフレーム(3)に設けた後部ブラケット(不図示)に設けたストッパによって各々外方へ移動を規制している。
【0016】
前記前脚(1)はクッションフレーム(3)の前部に固設した前部ブラケット(32)の左右に設け、左右の前脚(1)は折曲部において、保護プレート(13)で一体に連結している。この保護プレート(13)によって左右の前脚(1)は補強されると同時に着座者の脚を保護している。
【0017】
この各前脚(1)は従来と同様に、上端部(1A)と下端部(1B)が枢軸(11)(12)で、上下、左右方向に移動不能に各々取付けられている。なお、下端部(1B)を前後方向に枢着する固定ブラケット(42)は車体の壁面(11)に締結したベースプレート(44)に一体に固着されている。
【0018】
一方、ロッド(2)はその上端部(2A)が図2に示すようにクッションフレーム(3)の前部側に固設した取付ブラケット(31)と一体のガイドプレート(20)に枢支ピン(21)で枢着されている。このガイドプレート(20)には上下方向に長い長孔からなる上部係止部(20A)が開孔され、この上部係止部(20A)に前記枢支ピン(21)が挿通されている。
【0019】
ロッド(2)の下端部(2B)は図3に示すように取付けられている。即ち、ベースプレート(4)に前方に突出状に固設した取付片(41)の先端部に、水平方向である前後方向に長い長孔からなる下部係止部(23A)付の係止プレート(23)を延設し、この下部係止部(23A)にロッド(2)の下端部(2B)を枢支ピン(22)で前後方向に回動可能に挿着している。
【0020】
以上のように、ロッド(2)の上端部(2A)と下端部(2B)が長孔からなる上、下係止部(20A)(23A)に取付けられているが、上、下係止部(20A)(23A)の長孔は相互に直交方向に長く形成されているため、シートの使用状態(図1)においてシートに上下方向のガタが発生することがない。
【0021】
また、ロッド(2)の全長等において製作誤差やバラツキがあっても上、下係止部(20A)(23A)が長孔に形成されているため、無理なくクッションフレーム等に取付けることができる。
【0022】
加えて、ロッド(2)はシートの使用状態、収納状態において設定基準に移動可能となる。
【0023】
更に、前脚(1)がその全長においてバラツキがあっても、前脚(1)による誤差をロッド(2)側で吸収し得る。
【0024】
なお、図示するものはロッド(2)と前脚(1)が平行リンク機構を構成するように配設しているが、必ずしもロッド(2)は前脚(1)に対して平行である必要がない。
【0025】
【発明の効果】
本請求項1の発明によれば、折畳収納時のシートの跳ね上がりを防止するロッドはその全長においてバラツキがあっても、上部係止部、下部係止部が各々長孔で形成されているため、シートの使用状態及び折畳収納状態において、設定基準位置に無理なく円滑に回動できる。
【0026】
加えて、上部係止部、下部係止部を形成する長孔は直交関係にあるため、着座状態でシートにガタが発生しない。
【0027】
本請求項2の発明によれば、制作上バラツキが生じ易い長さ方向に略く字状に形成したロッド前脚を使用する折畳収納車両用シートに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシートの部分切欠側面図である。
【図2】図1のA部の拡大図である。
【図3】図1のB部の拡大図である。
【図4】折畳収納車両用シートの動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 前脚
2 ロッド
3 クッションフレーム
20A 上部係止部
23A 下部係止部
Claims (2)
- 前脚と、この前脚に並設する回転防止用のロッドとの各々の上下両端部をクッションフレームと車体とに前後方向に回転可能に軸着して折畳収納時のシートの跳ね上がりを防止する車両用シートであって、
前記ロッドの上端部を前記クッションフレーム側に設けた上下方向に長い長孔からなる上部係止部に、また、ロッドの下端部を前記車体側に設けた前後方向に長い長孔からなる下部係止部に各々取付けてなることを特徴とする折畳収納車両用シート。 - 前記ロッド又は前脚又はその双方は、長さ方向に略く字状に形成してなる請求項1記載の折畳収納車両用シート。
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