JP3683426B2 - ウォータージェット反応装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォータージェットに発生するキャビテーションを利用して汚濁水域や排水の浄化を行うウォータージェット・リアクタ(反応装置)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速のジェット噴流として水中で水を吹き出すウォータージェットには、激しいキャビテーションが発生する。キャビテーションは、おびただしい数の小さな気泡が成長と圧縮・崩壊を短時間で繰り返す現象であって、特に気泡の崩壊時には、断熱圧縮されることによって以下のような特異な作用を生じる。
【0003】
▲1▼断熱圧縮によって高温、高圧状態が現出し、熱分解作用が生じる。
【0004】
▲2▼局所的に生じる高温によって、ラジカルや過酸化水素(H22)が発生し、これによって強い酸化作用を生じる。
【0005】
▲3▼気泡崩壊時に強力な衝撃圧が発生する。
【0006】
このうち▲1▼及び▲2▼の作用によれば、ダイオキシン、PCB及び農薬などの環境ホルモン、あるいはトリクロロエチレンなどの発ガン性の洗浄剤の原液もしくは前記洗浄剤が溶けだした水に対して前記各物質の分解処理を行うことができる。また、前記▲1▼ないし▲3▼の作用によれば、大腸菌や耐塩素性原虫のような病原性菌やアオコなどのプランクトンを死滅させることができるので、これらの病原菌に汚染された水源や、アオコなどのプランクトンが異常繁殖した水域の浄化を行うことが可能なる。特に、前記環境ホルモンと病原菌などの両者に汚染された水に対して両者ともに同時に作用するが、その際、例えば凝集剤などのような特殊な薬剤は不要である。
【0007】
このような事象はすでに知られており、これを利用して例えば図14に示すように対象とする液体が流通する管体1の内部にスロート3を設け、このスロート3から高圧水を噴出させ、スロート3から吹き出る噴流4にキャビテーションを発生させて、化学反応を促進させようとした試みも知られている(Steven Ley & Carolin Low[超音波有機合成−基礎から応用まで−Spring-Verlag, Tokyo, (1991) 岩崎・小川訳)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記試みでは、キャビテーションを発生させて化学反応が促進の是非について検討はされているが、キャビテーションの発生量、もしくは発達量と化学反応の促進の度合いまでは十分に検討されてはいない。そのため、実際に、化学反応の促進や、殺菌作用の促進に利用しようとした場合にキャビテーション大きさと管体内における反応との関係が不明なので、実機として使用するにはまだ不十分であった。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、キャビテーションと前記反応との関係を明確にし、確実に殺菌効果と浄化効果を得ることができるウォータージェット・リアクタを提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、水中に溶融する有害化学物質及び/叉は水中に浮遊する有害菌を反応器の流水中に設置されたノズルから噴出するウォータージェットによって発生するキャビテーションによって分解処理及び/叉は殺菌処理するウォータージェット反応装置において、前記ノズルの先端部をノズル先端の上流側に循環渦流が生成されるように前記反応器の内側に向けて突出させ、前記反応器は管型をしており、その反応器を水平方向に対して前記ウォータージェットの流れ方向下流側を高くなるように傾けて配置したことを特徴とする。
【0017】
なお、上記記載において、平均値については慣用的にアッパーバーを付すが、ここでは省略した。
【0018】
上記手段によれば、リアクタ内の平均管内流速あるいはリアクタ内の平均反応時間を適切に設定することが可能になり、無駄なく十分に反応を進行させ、また、反応集結時における副生物も安定して生成することができる。また、1回のリアクタ内通過時間とリアクタへの循環回数を最適に設定することによって、単位時間内での反応をより活発に行うことができる。
【0019】
また、最適なウォータージェットの噴射条件は、ノズルにおける噴射圧力を液体供給設備、端的にはポンプのコストとの関係によって決まる。気体溶解条件は、処理される液体中への気体溶解量が多ければ、キャビテーションの気泡核が増えてキャビテーションが十分に発達するようになり、処理効率が向上することになる。温度条件は、キャビテーションの生成に適した温度が選択されている。
【0020】
さらに、前記ノズルの先端部をノズル先端の上流側に循環渦流が生成されるように前記反応器の中央側に突出させたのは、反応器内を循環する液流がジェットにスムーズに流入するようになる。これによってリアクタ内の混合、撹拌が良好になり、反応処理効率が高くなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、同一と見なせる構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略した。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るウォータージェット・リアクタ(ウォータージェット反応器)を備えた水域浄化装置を含む浄化処理の全体系統を示す説明図である。同図において、水域浄化装置はフィードタンク24、プランジャポンプ20、管型リアクタ5、リザーバタンク17,22、循環ポンプ18,23、及び汲み上げポンプ26と、プランジャポンプ20から管型リアクタ5及びリザーパタンク22に至る経路に設けられた三方切替弁21を含む配管系などから構成されている。管型リアクタ5の一端部にノズルマウント7を介してノズル8が設けられ、管型リアクタ5内にウォータージェットを噴出するようになっている。
【0023】
浄化処理対象の汚染原水28は汲み上げポンプ26によって汲み上げられ、汲み上げライン27を通ってフィードタンク24内に導かれる。フィードタンク内の汚染原水28はプランジャポンプ20によって所定の圧力(例えば500kgf/cm2 )まで加圧され、三方切替弁21を経て高圧ホース6からノズル8部へ送られる。三方切替弁21はプランジャポンプ20の吐出圧力を調整するためのもので、圧力調整のために逃がされた汚染原水は第2の循環ポンプ23によって第2の循環ライン25を通ってフィードタンク24内に再度導かれる。ウォータージェットを噴射するノズル9は管型リアクタ5の内部に向けて突き出すように設置される。
【0024】
この管型リアクタ5は細長横置きであって、リアクタ5内に残留する気泡を浮上させ、できるだけ速やかに気泡を排出できるように下流側(図では右側)を上流側(図では左側)よりも上になるように傾けている。この傾角はこの実施形態では水平から5度に設定されている。管型リアクタ5の管内は汚染原水28をウォータージェットとして噴出させるため、処理済みの水が充満しており、この中でウォータージェットはキャビテーションを伴う水中噴流9となる。そして、このキャビテーション9の作用によって水中の有害化学物質の分解や病原性菌などの殺菌を進行させる。
【0025】
ノズル8からのウォータージェットの噴出によって管型リアクタ5からオーバーフローした水は、オーバーフロー管16を通って排出される。その際、処理が十分に行われているときは、処理済み水29として装置の系外に排出され、分解や殺菌が不十分な場合は、第1のリザーバタンク17へ一旦蓄えられ、第1の循環ポンプ18によって第1の循環ライン19を経て再びフィードタンク24へと戻り、再度、未処理水として管型リアクタ5側に供給される。
【0026】
図2は図1の管型リアクタ5におけるウォータージェットとキャビテーションとの関係を示す説明図である。
【0027】
図2において、ノズル8部における噴出孔からのウォータージェットの噴出流速ujは
400≦uj(m/s)≦1600・・・(1)
の範囲から選択する。この条件よりも噴出流速ujが低いと(uj<400m/s)キャビテーションは十分には発達しない。一方、ujをこれよりも大きくすると(uj>1600m/s)、キャビテーションの威力は徐々に強まるものの、プランジャポンプ20をより大型にする必要がある。ポンプ20を大型にすると、設備コストが過大になり、経済的に見合わなくなる。
【0028】
水中水噴流のキャビテーションは噴流の拡散とともに消滅し、管型リアクタ5の内部は、図示するようにプラグ型の速度分布を有する管内流となるが、この管内流の平均流速utが、
0.004≦ut(m/s)≦0.03・・・(2)
の範囲となるように、管型リアクタ5の寸法とウォータージェットの噴射条件を設定する。管型リアクタ5内における平均反応(滞留)時間trは、
40≦tr(sec)≦320・・・(3)
の範囲内から選択する。これよりも短時間の場合(tr<40)には、反応や殺菌が進行せず、処理終結に至り難くなる。一方、これよりも長時間(tr>320)にしても、反応や殺菌の急速な進展はなく、管型リアクタ5が不必要に長くなるのみで、設備コストも増加する結果となる。
【0029】
キャビテーションを伴うなう水中水噴流9におけるキャビテーションを十分に発達させるためには、ノズル8における噴射条件や管型リアクタ5の仕様を最適にするのみでは不十分であって、汚染原水の条件も重要である。水中の溶解気体はキャビテーションの気泡核となるが、この実施形態では、気体溶解度が、
0.80≦α/αs≦1.30・・・(4)
(但し、α:気体の溶解量、αs:気体の飽和溶解量)
となるように汚染原水の気体溶解量を調整する。これよりも気体溶解度が小さいと(α/αs<0.80)、汚染原水中の気泡核が少ないので、キャビテーションの威力は低下する。一方、これよりも気体溶解度が大きいと(α/αs>1.30)、これ以上気泡核が増えたとしてもキャビテーションの増強を図ることができないからである。
【0030】
管型リアクタ5内において、キャビテーションが生じる水温の条件もキャビテーションの威力に強く関与する。そこで、この実施形態では、管型リアクタ5内における水温を
15≦Tw(℃)≦85・・・(5)
の範囲内に設定する。もし、これよりも温度が低いと(Tw<15℃)、水の粘度が高く、また表面張力も大きいため、キャビテーション気泡の成長が抑制され、結果的にキャビテーションの強度が低下する。逆にこれよりも温度が高いと(Tw>85℃)、管型リアクタ5内においてサブクール沸騰が始まり、水中の気泡核が沸騰に消費されてしまい、また、大きな塊状の沸騰気泡が管型リアクタ5内に滞留するとクッション効果も生じるため、いずれにしてもキャビテーションの威力が衰える。
【0031】
なお、この実施形態において、管型リアクタ5内の圧力はほぼ大気圧(常圧)であり、ここで述べた水温も常圧化における条件である。また、殺菌の場合、水温が60℃を越えると、キャビテーションの強さにかかわらず、大腸菌は弱体化して死滅する。また、図2において、図1と同等な各部には、同一の参照符号を付して説明は省略する。
【0032】
図3は図1及び図2におけるノズル8の噴出部を拡大して示す断面図である。高圧水11はノズル8の上流側の高圧水供給流路12から導かれ、径収縮部15で減圧・加速され、噴出孔14から前記(1)式の範囲で与えられる高い速度で吹き出し、キャビテーションを伴う水中水噴流9となる。噴出孔14の先端にはドーム状の拡大空洞部13が設けられ、この拡大空洞部の内部には、不安定な渦流が活発に生成され、噴流9におけるキャビテーションを増幅させる。
【0033】
図4はノズル8を管型リアクタ5の内部まで突き出すように固定した他の実施形態を示す図である。ノズル8はノズルマウント7に装着され、ノズルマウント7を管型リアクタ5の高圧水の流れ方向上流側の端部に固定する。図2の実施形態とはノズルマウント7によるノズル8の突き出し量が異なるだけであり、この突き出し量は前述の各式の範囲を満足する範囲で任意に設定することができる。
【0034】
ここで、前述の各式の条件を導いた根拠について説明する。
【0035】
図5はリアクタ5内部の平均流速utに対する化学物質の分解率の変化を示したものである。ここで対象とした化学物質は、発ガン性の洗浄剤として認識されているトリクロロエチレンである。縦軸に示した分解率moは最終分解率mo*((100%ではない)で割ることによって相対値として示している。リアクタ5内の平均流速utが小さい場合、リアクタ5内の乱れが乏しく、反応が十分に進行しないこともあり、分解率はやや低めとなる。これに対し、図中で矢印→a領域として示したように、平均流速utを増やした場合、同一サイズのリアクタ5の場合には反応時間が短くなるので分解率は多少低下する。これらの検討の結果から、リアクタ内における平均流速utは前記(2)式の範囲が最適であると考えられる。
【0036】
図6はリアクタ5内の平均流速utを一定とする条件下で、リアクタ5の流通方向の長さを変化させることによってリアクタ内平均反応(滞留)時間trに対する化学物質の分解率の変化の傾向をまとめた図である。この場合も対象とした化学物質はトリクロロエチレンである。縦軸における分解率Cは、反応時間を無限(t=t∞)と想定した場合の分解率Ceで割ることによって相対値として示した。この図から分かるように、リアクタ内平均反応(滞留)時間trが短いうちには、分解率は急増するもののtr≒320sec程度でほぼ一定となる。従って、これ以上、反応時間を確保しても反応は進行しないとみなすことができる。以上の結果から、リアクタ内における反応時間についは、前記(3)式の範囲から選定することが好ましいと判断される。
【0037】
また、長尺のリアクタに1回通す過程で反応時間を確保するよりも、短いリアクタに何度も通し、言い換えればキャビテーションを伴う噴流としてリアクタ内に繰り返して噴出させることによって反応率を上げることができる。図7はリアクタ内平均反応(滞留)時間trに対する分解量の変化として長尺のリアクタを1回通過させる場合と、短いリアクタを繰り返し通過させる場合とを比較下ものである。ここで対象とした化学物質は農薬のチウラムである。縦軸に示した分解量は、分解量m’を1パス(長尺のリアクタ内を1回通過させる方式)におけるt=t∞を想定した場合の最終分解量me’で割ることで無次元化して示している。図7から1パス方式の場合は、分解量の増加が見られないのに対して、繰り返しリアクタ内を通す方式の場合は、通すたびに分解量が増加するのが分かる。
【0038】
図8はノズル噴出孔14におけるウォータージェットの噴出流速ujと、ノズルにおける噴射圧力Pj(この圧力pjはプランジャポンプ20の吐出力圧力にほぼ等しい)と整備コスト(主として高圧ポンプ)の関係を示す図である。この実施形態では、設備コストが急増しない範囲の流速、すなわち、前述の(1)式に示した範囲の流速を選択する。噴出速度ujを高めると、噴射圧力Pjも高くする必要があり、同一の噴射流量を確保するためには、ポンプ設備が大型にならざるを得ないので、コストが過大になり、実用的には望ましくない。
【0039】
図9は処理対象水中における気体の溶解度と化学物質の分解量との関係を示したものである。縦軸における分解量mは、その分解量の最大値で割ることによって無次元化している。ここでは、化学物質は内分泌錯乱物質(いわゆる「環境ホルモン」)のフタル酸ジブチルである。横軸における気体の溶解度αは、飽和溶解度αsで割り、こちらも無次元化している。この図から分かるように分解量m/m*はα/αsの増加とともに急増し、α/αs≒1.3においてほぼ最大に達して飽和する。水中に溶け込んだ気体はいわゆる気泡核(Nuclei)となってキャビテーションの「種」となる。言い換えると気体の溶解量が多いほどキャビテーションが活発となる。本実施形態では、m/m*が急増を開始し、ほぼ最大になるまでの範囲に相当する前記(4)式の範囲を選択する。ちなみに通常の水には、α/αs≒1.03とやや過飽和の状態に空気が溶け込んでいる。α>αsとするためには、微細気泡として水中に空気を強制的に吹き込んだり、気体(微細気泡)と部分付着する疎水性の超微小粒子を水中に供給する必要がある。
【0040】
水温Twはキャビテーションの威力に強く関係する。本形態実施では(5)式で示した温度範囲を選択する。図10は水温Twに対する化学物質の分解量の変化を示す図である。ここでは、化学物質は図9に示したフタル酸ジブチルである。縦軸に示した分解量は、分解量Mを最大分解量M*で割ることによって無次元化している。この結果から、Tw<15℃の低温側のC領域、及びTw>85℃のB領域の範囲が化学物質を分解したときの分解量で0.8以下となり、好ましくないことが分かる。これは、Tw<15℃の低温側のC領域の領域では、水の粘度や表面張力が大きいため、気泡の成長・収縮速度が小さく、図10におけるA領域よりもキャビテーションの威力が乏しく、Tw>85℃のB領域では局所的な過熱がきっかけとなって図11に示すように管型リアクタ5の内部でサブクール沸騰が始まるからで、このときの沸騰気泡を符号30で示す。図11に示すような大きな塊状の沸騰気泡30は、クッションとして作用するので、キャビテーションの衝撃を弱め、また、水中の気泡核も消費する。このことは、前記高温の条件下においても、キャビテーションの威力が低下することを示している。
【0041】
図12に示すようにノズルマウント7の先端に設けたノズル8を管型リアクタ5の中央側に突き出すと、ノズル8の上流側には大きなスペースが生じる。このスペースには循環渦流15が生じるので、この流れによってキャビテーションの作用にかかわらなかったいわゆる未処理の周囲水がスムーズにキャビテーションを伴う水中水噴流9の中に流入する。このように自然に生じる流れ場を利用することにより、動力消費を増やすことなく反応分解あるいは殺菌の効率を高めることができる。
【0042】
図13は他の実施形態に係るウォータージェット・リアクタのノズル形状を示すものである。このノズルは図3に示したノズルが噴出孔14の出口に拡大空洞部13を設け、噴出孔14から吹き出す噴流に乱れを与えてキャビテーションを促進しようとするものであったのに対し、噴出孔14への流入部を急峻な絞り形状としたものである。このような形状にすることにより、噴出孔14の内部に強い縮流を作り出し、噴出孔14においてキャビテーションの気泡核を噴流9の内部に断続的に供給するようにしている。噴出孔14の縮流部に生じる空洞(キャビティ)が気泡核となり、この気泡核が水中水噴流9中に流入することで、水中水噴流9のキャビテーションが促進されることとなる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、確実に殺菌効果と浄化効果を得ることができるウォータージェット・リアクタを提供することができる。その際、反応器の中で十分に発達したキャビテーションを伴うウォータージェットを連続的に生成することができる。
【0044】
また、これにより、反応器の中で有害化学物質の分解や殺菌を高い効率で実行することが可能になり、分解、殺菌処理時間の短縮化を図ることができる。また、有害化学物質と有害細菌によって複合的に汚染されている水域に対しても適用することができる。
【0045】
さらに、大量処理規模の反応器や小規模の反応器を任意に提供することが可能になるとともに、大規模な設備も不要なので、エネルギの無駄を抑制することができ、前述の分解効率や殺菌効率とも相まってエネルギ効率の向上も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るウォータージェット反応装置の全体的構成を示す図である。
【図2】図1における管型リアクタと流れの状態を示す図である。
【図3】図1及び図2におけるノズルのモデル図である。
【図4】図3におけるノズルの装着部分を特に示すモデル図である。
【図5】本発明の実施形態に係るウォータージェット反応装置の平均流速と分解率との関係を示す特性図である。
【図6】本発明の実施形態に係るウォータージェット反応装置のリアクタ内平均反応(滞留)時間と分解率との関係を示す特性図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るウォータージェット反応装置のリアクタ内平均反応(滞留)時間と分解率との関係を示す特性図である。
【図8】本発明の実施形態に係るウォータージェット反応装置の噴出速度と噴射圧力との関係を示す特性図である。
【図9】本発明の実施形態に係るウォータージェット反応装置の気体溶解度と分解率との関係を示す特性図である。
【図10】本発明の実施形態に係るウォータージェット反応装置の水温と分解量との関係を示す特性図である。
【図11】本発明の実施形態に係るウォータージェット反応装置内の流体力学的な挙動を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るウォータージェット反応装置内の流体力学的な挙動を示す説明図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るウォータージェット反応装置のノズル形状を示すモデル図である。
【図14】従来例に係るウォータージェット反応装置のノズル形状を示すモデル図である。
【符号の説明】
5 管型リアクタ
6 高圧ホース
7 ノズルマウント
8 ノズル
9 水中水噴流
16 オーバーフロー管
17,22 リザーバタンク
18,23 循環ポンプ
19、25 循環ライン
20 プランジャポンプ
21 三方切替弁
24 フィードタンク
26 汲上げポンプ
27 汲上げライン
28 汚染原水
29 処理済み水

Claims (1)

  1. 水中に溶融する有害化学物質及び/叉は水中に浮遊する有害菌を反応器の流水中に設置されたノズルから噴出するウォータージェットによって発生するキャビテーションによって分解処理及び/叉は殺菌処理するウォータージェット反応装置において、
    前記ノズルの先端部をノズル先端の上流側に循環渦流が生成されるように前記反応器の内部に向けて突出させ
    前記反応容器は管型をしており、その反応器を水平方向に対して前記ウォータージェットの流れ方向下流側が高くなるように傾けて配置したことを特徴とするウォータージェット反応装置。
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