JP3683280B2 - Trichoderma viride由来のセルラーゼcbh1遺伝子の制御配列およびそれを用いたタンパク質またはペプチドの大量生産系 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、タンパク質またはペプチドの大量生産系に関し、更に詳しくはTrichoderma viride由来の制御配列を用いた生産系、さらにこの生産系を用いたタンパク質またはペプチドの生産技術に関する。
背景技術
糸状菌は菌体外にタンパク質、特に酵素を著量分泌することが知られている。たとえば、Aspergillus属はアミラーゼやプロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼといった酵素を分泌し、それらは各種の分野で利用されている。その生産量は、工業的に利用されるAspergillus nigerの場合グルコアミラーゼを培養液1Lあたり20g以上、Aspergillus oryzaeの場合個体培養で1kgあたり50g程度生産するといわれている(五味勝也:化学と生物(1994),32,269)。
さらに、近年これら糸状菌のタンパク質生産性を利用した、目的タンパク質の生産技術についても多くの知見が集積されつつある。たとえば、Aspergillus nidulansを宿主にMucor miehei由来レンニン(G.L.Gray,et.al.:Gene(1986),48,41)、Aspergillus nigerを宿主にAspergillus ficuum由来フィターゼ(R.F.M.van Gorcom,et.al.:Europian Patent Application(1991),0420358A1)、Aspergillus oryzaeを宿主にMucor miehii由来レンニン(T.christensen,et.al.:Bio/Technology(1988),6,1419)やリパーゼ(B.Huge-Jensen,et.al.:Lipids(1989),24,781)、Trichoderma reeseiを宿主にPhlebia radiata由来ラッカーゼ(M.Saloheimo,et.al.:Bio/Technology(1991),9,987)、Trichoderma virideを宿主にAspergillus oryzae由来α−アミラーゼ(C.Cheng,et.al.:Agric.Biol.Chem.(1991),55,1817)、Acremonium chrysogenumを宿主にFusarium属由来アルカリプロテアーゼ(森田滋ら:日本農芸化学会大会講演要旨集(1993),p.140)等の糸状菌由来異種タンパク質が生産されてきている。また、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzaeやTrichoderma reeseiを宿主にしたヒトやウシなどの動物、さらには植物由来のタンパク質生産も確認された。
このように、糸状菌はタンパク質やポリペプチドの優れた生産宿主であることは明らかである。そしてさらに、それを工業的に利用するにあたっては、目的タンパク質の生産性が重要となってくる。この生産性を左右するといわれている要因としては、▲1▼宿主内で発現する調節領域(例えばプロモーターやターミネーターなど)が目的タンパク質を有効かつ大量に転写、翻訳の調節をすること、▲2▼翻訳産物が目的とする高次構造(活性型)をとること、▲3▼更にはそれらが安定に細胞外に分泌される事等があげられる。これらに対してAspergillus属のアミラーゼ遺伝子のプロモーターやTrichoderma属のセルラーゼ遺伝子プロモーターなど、有効なプロモーターが開発されてきた。これまでの知見によれば、Aspergillus oryzaeを宿主に、α−アミラーゼ遺伝子のプロモーターを用いてMucor mieheiのレンニンを培養液1Lあたり3.3g生産できるとされている。
しかしながら、いかに強力なプロモーターを利用しても、一般に、取得したい目的タンパク質は宿主のタンパク質生産量を越えることはない。実際、上述Aspergillus oryzaeの例については30%のタンパク質生産能力が利用されているにすぎない。この現象については、利用した遺伝子が宿主に残っている、翻訳領域のコドン使用頻度が種により異なる、分泌のメカニズムが種により異なる等の事が考えられているが、これらを改良する技術はいまだ発見されていない。
そこで宿主のタンパク質生産量自体を向上させることにより、目的タンパク質の収得量を向上させることが考えられる。
これまで、Trichoderma属に属する糸状菌は優れたセルラーゼ生産菌であることが知られている。特にTrichoderma reeseiは異種タンパク質の生産に関しても各種検討されており、同菌の分泌タンパク質の約70%を占めるといわれているセロビオハイドロラーゼ1(cbh1)遺伝子のプロモーターを用いて、異種タンパク質発現の検討が多く行なわれている(Uusitalo JM,et.al.:J.Biotechnol.(1991),17,35.Joutsjoki VV,et.al:Curr.Genet.(1993),24,223.Barnett CC,et.al.:Biotechnology(1991),9,562.Berges T,et.al.:Curr.Genet.(1993),24,53.Saloheimo M,et.al.:Gene(1989),85,343.Saarelainen R,et.al.:Mol.Gen.Genet.(1993),241,497.)。しかし、Trichoderma virideを宿主とした異種タンパク質発現系についてはC.Chengらの報告に見られるだけである。C.Chengらによれば、Trichoderma virideのプロテアーゼ欠損株を宿主にcbh1プロモーター、シグナル配列を用いたα−アミラーゼ遺伝子を導入し、培養液1Lあたり1gのα−アミラーゼが生産されたとしている。これは、Trichoderma virideを用いた異種タンパク質生産の可能性を示すものであるが、生産レベルは実生産スケールにおいてはコスト的に満足するものではない。
発明の概要
本発明者らは、今般、Trichoderma viride由来のセルラーゼ遺伝子の制御配列が目的タンパク質を高発現させるとの知見を得て、この制御配列を用いてHumicola insolens由来のエンドグルカナーゼを15g/L生産させることに成功した。このような生産量は、これまでに開示された如何なる糸状菌の異種タンパク質生産系においても確認されていない。本発明は、これら知見に基づくものである。
よって、本発明は、目的タンパク質を高発現させる制御配列およびそれを用いたタンパク質の大量生産系の提供をその目的としている。
また、本発明は、上記生産系を用いたタンパク質またはペプチドの大量生産法の提供をその目的としている。
そして、本発明による目的タンパク質を高発現させる制御配列は、Trichoderma viride由来のセルラーゼcbh1遺伝子の制御配列である。
また、本発明によるタンパク質の大量生産系は、このTrichoderma viride由来のセルラーゼcbh1遺伝子の制御配列を利用したものである。
【図面の簡単な説明】
図1はTrichoderma viride由来のセルラーゼcbh1遺伝子およびその制御配列を含むプラスミドpAO1、ならびにその消化断片をクローン化したプラスミドpCB1-H3、pCB1-H4、pCB1-S1、pCB1-S3、pCB1-a1、pCB1-b1、pCB1-c2、pCB1-d1、およびpCB1-e1の制限酵素地図である。
図2はプラスミドpCB1-MXの制限酵素地図である。
図3はプラスミドpCB1-M2の制限酵素地図である。
図4はプラスミドpCB1-M2XRの制限酵素地図である。
図5はプラスミドpCB1-HEgXの制限酵素地図である。
図6は、プラスミドpCB1-Eg3Xの制限酵素地図である。
図7は、プラスミドpCB-XI′の制限酵素地図である。
発明の具体的説明
微生物の寄託
図2に記載の地図で表されるプラスミドpCB1-MXで形質転換された大腸菌JM109株は、FERM BP−6044の受託番号のもと1996年9月9日(原寄託日)に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(日本国茨城県つくば市東1−1−3、以下「NIBH」と略す)に寄託されている。
図4に記載の地図で表されるプラスミドpCB1-M2XRで形質転換された大腸菌JM109株は、FERM BP−6045の受託番号のもと1996年9月9日(原寄託日)にNIBHに寄託されている。
図5に記載の地図で表されるプラスミドpCB1-HEgXで形質転換された大腸菌JM109株は、FERM BP−6046の受託番号のもと1996年9月9日(原寄託日)にNIBHに寄託されている。
図6に記載の地図で表されるプラスミドpCB1-Eg3Xで形質転換された大腸菌は、FERM BP−6043の受託番号のもと1997年8月11日にNIBHに寄託されている。
図7に記載の地図で表されるプラスミドpCB-XI′で形質転換された大腸菌は、FERM BP−6042の受託番号のもと1997年8月11日にNIBHに寄託されている。
本発明によるcbh1遺伝子およびその制御配列の由来となったTrichoderma viride MC300-1株は、FERM BP−6047の受託番号のもと1996年9月9日(原寄託日)にNIBHに寄託されている。
定義
本明細書において、タンパク質およびペプチドは特に断らない限り、同義に用いることとする。また、本明細書において、改変配列とは、塩基配列またはアミノ酸配列において、幾つかの(例えば、1〜数個の)塩基またはアミノ酸の挿入、置換または欠失、もしくはその一方または両末端への付加がなされたものを意味する。
Trichoderma viride由来のセルラーゼcbh1遺伝子の制御配列
本発明による制御配列は、Trichoderma viride由来の制御配列である。本発明において制御配列とは、プロモーター、シグナル配列、およびターミネーターからなる群から選ばれる少なくとも一つを意味する。
本発明による制御配列とは、より具体的には、図1に記載のプラスミドpAO1内にあるcbh1遺伝子の制御配列である。
本発明において好ましいプロモータ配列の例としては、図1に記載のプラスミドpAO1中の、cbh1遺伝子のアミノ末端から上流の約1.5kbまでの領域中に存在する配列、例えばプラスミドpAO1中のcbh1遺伝子のアミノ末端から上流のHindIIIサイトまでの配列である。
さらに、本発明によるプロモーター配列には、この領域の全配列のみならず、高プロモーター活性を保持するその改変配列も含まれる。本発明において、高プロモーター活性とは、後記するセルラーゼNCE4遺伝子の発現において、高発現を実現する強いプロモーター活性を意味し、より具体的には、培地1リットルあたり7〜8g、好ましくは15g以上のNCE4の発現を実現するプロモーター活性を意味するものとする。後記する実施例に記載の知見、寄託されている菌株、および配列番号1の配列が与えられた当業者であれば、そのような改変配列が存在することは容易に予測でき、また容易に製造することが可能であることは明らかである。
また、本発明において好ましいシグナル配列とは、配列番号1に記載のアミノ酸配列の−17から−1までの配列をコードする塩基配列が挙げられる。更に本発明には、その塩基配列の改変配列であって、シグナル配列活性を保持するアミノ酸配列をコードするものも包含される。このような改変配列についても、後記する実施例に記載の知見、寄託されている菌株、および配列番号1の配列が与えられた当業者であれば、そのような改変配列が存在することは容易に予測でき、また容易に製造することが可能であることは明らかである。
なお、これら配列の実際の利用にあたり上記のシグナル配列に加えてさらにcbh1タンパク質のN末端側のいくつかのアミノ酸が付加されてもよいことは当業者に明らかである。すなわち、これらシグナル配列の利用にあたり、目的タンパク質が、cbh1タンパク質のN末端側のいくつかのアミノ酸からなるペプチドとの融合タンパク質、さらにはcbh1タンパク質との融合タンパク質として得られてもよい。
さらに、本発明において好ましいターミネーター配列としては、プラスミドpAO1中のcbh1遺伝子のカルボキシル末端から下流の約1kbまでの領域中に存在する配列、例えばcbh1遺伝子のカルボキシル末端から下流のSalIサイトまでの配列が挙げられる。
さらに、本発明によるターミネーター配列には、これら領域の全配列のみならず、そのターミネーター活性を保持する改変配列も含まれる。
これら制御配列、とりわけ前記プロモーター配列は、後記するセルラーゼNCE4遺伝子を極めて高効率で発現させる。従って、本発明の好ましい態様によれば、NCE4遺伝子の発現に好ましく用いられる制御配列、とりわけNCE4遺伝子の発現に好ましく用いられるプロモーター配列が提供される。本発明の好ましい態様によれば、セルラーゼNCE4の生産量は培養液1リットルあたり7〜8g、好ましくは約15gに達する。
発現ベクターおよび宿主
本発明によれば、上記制御配列を用いて目的タンパク質を発現するための発現ベクターが提供される。
本発明による発現ベクターは、その第一の態様によれば、上記制御配列と、場合によって遺伝子マーカーとを含んでなるものである。さらに、本発明による発現ベクターは、第一の態様の発現ベクターに、さらにその制御配列に作動可能に連結された目的タンパク質をコードする塩基配列を含んでなるものである。従って、上記した本発明によるプロモーター、シグナル配列、およびターミネーターからなる群から選ばれる少なくとも一つを含んでなる発現ベクターは本発明の範囲に包含されるものである。
前記したように、本発明によるプロモーター配列は極めて有用性の高いものであることから、本発明の好ましい態様によれば、本発明によるプロモーター配列を少なくとも含んでなる発現ベクターが提供される。この発現ベクターにあって、シグナル配列、ターミネーター配列は本発明によるシグナル配列およびターミネーター配列以外のものであってもよいが、上記した本発明によるシグナル配列およびターミネーター配列の利用が好ましい。これらベクターの具体例としては、後記する実施例において構築された発現ベクターpCB1-MX、pCB1-M2XRが挙げられる。
本発明による発現ベクターは、発現ベクターを構築する為の宿主細胞において複製可能なベクター、例えばプラスミドを基本に構築されるのが好ましい。そのようなベクターとして、大腸菌で複製可能なベクターである、pUC Vector、pTV Vector、pBluescript、pBR322などが挙げられる。本発明によるベクターの構築に必要な手法は、遺伝子組み替えの分野において慣用されている方法を用いることができる。
また遺伝子マーカーは、形質転換体の選択の手法に応じて適宜選択されてよいが、例えば薬剤耐性をコードする遺伝子、栄養要求性を相補する遺伝子等を利用することができる。本発明に用いることができる薬剤耐性遺伝子としては、宿主細胞が感受性を示す薬剤に関するものならば限定されないが、例えば、宿主としてTrichoderma virideを用いる場合、Streptomyces rimofaciens由来のデストマイシン耐性遺伝子、Escherichia coli由来のハイグロマイシンB耐性遺伝子、Streptococcus hindustanus由来のブレオマイシン耐性遺伝子を好ましく用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、公知の方法により、Aspergillus nidulans由来trp C遺伝子のプロモーターとターミネーター(Mullaney,E.J.et al.,Mol.Gen.Genet.199:37-45,1985)が得られ、これを用いて、ハイグロマイシンB耐性遺伝子を発現可能にしたカセット(Cullen,D.et al.,Gene(1987),57,21)を利用するのが好ましい。
本発明による発現ベクターは、種々の目的タンパク質またはペプチドの発現生産に利用することができる。本発明において目的タンパク質またはペプチドとは、宿主細胞に存在しないいわゆる外来タンパク質のみならず、宿主細胞において発現してはいるがその量が微量であるタンパク質をも意味するものとする。本発明による発現ベクターにおける目的タンパク質をコードする遺伝子としては、セルラーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、フィターゼ等産業上有用なタンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。また、これらを人為的に改良した遺伝子についても同様に目的タンパク質をコードする遺伝子とすることができる。
本発明による発現ベクターは、Trichoderma viride由来のcbh1遺伝子が発現可能な宿主細胞ならば特に限定されないが、好ましくは、宿主としてTrichoderma属に属する微生物と組み合わされて発現系とされる。本発明の好ましい態様によれば、Trichoderma属に属する微生物としてTrichoderma virideを利用することができる。
更に本発明の好ましい態様によれば、最も好ましい宿主としてTrichoderma viride高セルラーゼ生産株であるTrichoderma viride MC300-1株を利用するのが好ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、宿主細胞としてTrichoderma reeseiを用いることも可能である。
更に本発明の好ましい態様によれば、本発明による発現系はセルラーゼの発現に極めて有利に利用することができる。セルラーゼの具体例としては、フミコーラ・インソレンス由来のセルラーゼNCE4またはその改変タンパク質、およびWO91/17243号公報(特表平5−509223)に記載の43kDのエンドグルカナーゼ、Trichoderma viride由来のエンドグルカナーゼSCE3またはその改変タンパク質、または同じくTrichoderma viride由来のキシラナーゼSXY1またはその改変タンパク質が挙げられる。ここで、フミコーラ・インソレンス由来のセルラーゼNCE4とは、配列番号3に記載の1番から284番までの配列を有するタンパク質を意味する。また、エンドグルカナーゼSCE3とは、配列番号5に記載の1番から397番までの配列を有するタンパク質を意味する。さらに、Trichoderma viride由来のキシラナーゼSXY1とは、配列番号7に記載の1番から190番までの配列を有するタンパク質を意味する。
なおここで、改変タンパク質とは、上記タンパク質のアミノ酸配列において、いくつかの(例えば、1〜数個の)アミノ酸の付加、挿入、削除、欠失、または置換などの改変が生じたタンパク質であって、依然としてその酵素活性、とりわけエンドグルカナーゼ活性またはエンドキシラナーゼ活性を保持するものを意味するものとする。
本発明の好ましい態様によれば、セルラーゼNCE4の発現系として好ましいベクターの具体例としては、後記する実施例によって構築された発現ベクターpCB1-HEgXが挙げられる。また、エンドグルカナーゼSCE3またはキシラナーゼSXY1の発現系として好ましいベクターの具体例としては、後記する実施例によって構築された発現ベクターpCB1-Eg3XまたはpCB-XI′が挙げられる。
目的タンパク質の生産
本発明による目的タンパク質の生産は、上記した本発明による発現ベクターで形質転換された宿主細胞を適当な培地中で培養し、培養物から目的タンパク質またはペプチドを採取することによって実施される。
本発明の好ましい態様によれば、極めて効率のよい目的タンパク質の生産系が提供される。例えば、宿主細胞がTrichoderma virideである場合、その培養液1リットルあたり7gまたは8g以上、好ましくは15g以上の目的タンパク質を生産することができる。この量は、従来知られたタンパク質の発現系と比較して、極めて多量である。このことは、本発明による目的タンパク質の発現系が極めて高い有用性を有していることを示している。
例えば、目的タンパク質がセルラーゼNCE4である場合、これら酵素は本来的に高活性であるが、それを更に大量に生産することができる。その結果、セルロース含有繊維の毛羽除去、減量加工、およびデニム染めセルロース含有繊維の脱色加工などに有用なセルラーゼ調製物を効率よく生産することが可能となる等の利点が得られる。
本発明による目的タンパク質の生産法において、形質転換体の培養は、慣用の成分、例えば炭素原、窒素原、無機塩、増殖因子成分などを含む培地で、好気的条件での培養法、振盪培養法、電気攪拌培養法または深部培養法により行うことができる。培地のpHは例えば4〜8程度である。培養は宿主細胞がTrichoderma virideである場合、Trichoderma virideの培養に慣用される通常の条件、例えば20℃〜37℃、好ましくは26℃〜28℃、培養時間は48〜168時間程度の条件で行うことができる。
本発明によって得られるタンパク質あるいはペプチドの培養物からの回収にあたっては、その性状を利用した通常の分離手段、例えば溶剤抽出法、イオン交換樹脂法、吸着または分配カラムクロマト法、ゲル濾過法、透析法、沈殿法等を単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。
セルラーゼcbh1およびその遺伝子
本発明による制御配列の由来となったセルラーゼcbh1遺伝子は、配列番号1に記載される配列の一部または全部を有するものである。また、遺伝子工学の慣行法(例えば部位指定変異など)を用いて本遺伝子の各構成(プロモーター、シグナル配列、ターミネーターなど)や翻訳領域の各構成(コア部位、リンカー部位、基質結合部位)を付加、挿入、欠失または置換等の改変を行った配列番号1に記載されるTrichoderma viride由来のcbh1断片、すなわちその改変配列も本発明に包含される。
配列番号1に記載される塩基配列は、Trichoderma virideの染色体由来cbh1遺伝子の塩基配列を表したものである。配列番号1に記載される塩基配列は、配列番号1438のATGで始まり、配列番号3109の終止コドン(TAA)で終了するオープンリーディングフレーム(読み取り枠)を有する。また、配列番号1489〜3108の塩基配列は、497残基からなる前記成熟cbh1タンパク質に対応する。更に、配列番号1の塩基配列中には2つのイントロンが存在することが確認された。
本発明によるcbh1遺伝子はこれまでにクローン化され塩基配列が明らかにされたいかなるセルラーゼ遺伝子のそれと同一のものは確認されない。すなわち、DNAデータベースGenBank R96.August,1996、に登録されているセルラーゼ遺伝子と比較することによってすでに確認されている。
更に、配列番号2に示すcbh1タンパク質は、これまでにクローン化され塩基配列が明らかにされたいかなるセルラーゼ遺伝子のそれと同一のものは確認されない。すなわち、アミノ酸データベースProtein Identification Resource R48 March,1996、SWISS-PROT R33 February,1996に登録されているセルラーゼタンパク質と比較することによってすでに確認されている。
タンパク質のアミノ酸配列が与えられれば、それをコードするDNA配列は容易に定まり、配列番号1に記載されるDNA配列の全部または一部をコードする種々の塩基配列を選択することができる。従って、本発明による配列番号1に記載されるDNA配列の一部または全部をコードする配列とは、配列番号2に記載される一部または全部のアミノ酸配列に加え、同一のアミノ酸をコードする配列であって縮重関係にあるコドンを塩基配列として有する配列も意味するものとする。
本発明によるDNAは、天然由来のものであっても、全合成したものであってもよい。また、天然由来のものの一部を利用して合成を行ったものであってもよい。DNAの典型的な取得方法としてはTrichoderma viride由来の染色体ライブラリーから遺伝子工学の分野で慣用されている方法、例えば部分アミノ酸配列の情報を基にして作成した適当なDNAプローブを用いてスクリーニングを行う方法、が挙げられる。また寄託菌より得ることも可能である。
なお、本発明によるcbh1遺伝子の配列は、Trichoderma virideとTrichoderma reeseiの菌株の差異を明確に示している。すなわち、cbh1翻訳領域のDNA配列の相同性は約96%であるものの、非翻訳領域(イントロン)の相同性は66%、さらに、プロモーター、ターミネーターのDNA配列は翻訳領域からそれぞれ150bp、170bp以上離れた場合相同性は見受けられない。これは、cbh1遺伝子の起源は同一であっても、それを受け継いだ各菌株の遺伝的多様性が非常に離れていることを示している。
これまでは、糸状菌の分類は形態学的特徴からなされることが一般的であるが、近年多用されるDNA分析によれば、菌株間の差異は明確である。たとえば、Trichoderma reeseiとTrichoderma longibrachiatumのセロビオハイドロラーゼ(cbh)2遺伝子のサザン解析からハイブリダイゼーションパターンの差異を示した(Meyer W,et.al.:Curr.Genet.(1992),21,27.Morawez R,et.al.:Curr.Genet.(1992),21,31)。
実施例
実施例1:cbh1遺伝子のクローン化
(1a) cbh1タンパク質の精製
Trichoderma viride MC300-1株をP培地(1.0%グルコース、4.0%ラクトース、2.0%大豆粕、1.0%イーストエキス、0.5%リン酸カリウム、0.2%硫酸アンモニウム、0.2%炭酸カルシウム、0.03%硫酸マグネシウム)で5日間、28℃で培養した。本培養液を遠心分離して菌体残渣を除去し、培養上澄をファルマシアバイオテク社製FPLC装置(RESOURCE Q 50mMトリス-塩酸(pH7.8).0-1M塩化ナトリウムグラディエント)を用いて分画し、塩化ナトリウム濃度約280mMで溶出されるピークを分取した。この画分をSDS-PAGE(テフコ社製SDS-PAGE mini、8% gel)に供したところ、クマジーブリリアントブルーR250染色において分子量約67キロダルトン(KDa)のcbh1がほぼ単一バンドとして得られた。
(1b) cbh1タンパク質のアミノ酸配列解析
アミノ末端のアミノ酸配列の解析はPodell,D.N.らの方法(Podell,D.N.et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.(1978)81:176)に従い修飾アミノ末端残基を除去した。即ち、上述のように精製したcbh1画分を脱塩濃縮し、約0.5μg/μlの濃度に調整した。これを5mMジチオスレイトール、10mM EDTA、5%グリセロール、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)中ベーリンガーマンハイム社製ピログルタメートアミノペプチダーゼ(シーケンスグレード)を用い、50℃、6時間反応させ、修飾アミノ末端残基を除去した。これをSDS-PAGEに供し、PVDF膜(ミリポア社製イモビロン−PSQ)にブロット後、水洗して風乾した。
本ブロットはパーキンエルマー社製プロテインシーケンサーModel 492を用いてアミノ酸配列を解析した。その結果、以下のアミノ末端のアミノ酸配列(10残基)を解読した。
(1c) ペプチドマップ
前記(1a)のように精製したcbh1画分を100mM重炭酸アンモニウム(pH7.8)溶液中1/50モル量のV8プロテアーゼ(シグマ社製)で消化し、パーキンエルマー社製Model 172μプレパラティブHPLCシステムでカラムクロマトグラフィーを行い(カラム:RP-300アクアポアC8、220×2.1mm、0.1%トリフルオロ酢酸−0.085%トリフルオロ酢酸/35%アセトニトリルグラディエント)、二種のペプチドを分取し、V8-33およびV8-34と名付けた。
これらのアミノ酸配列を解析したところ、以下のような配列であった。
これらのアミノ酸配列は、Trichoderma reesei株から得られたcbh-1タンパク質のアミノ酸配列(S.Shoemaker et al.,Bio/Technology(1983),1 691)と相同性を示した。更にTrichoderma viride株から得られたエキソ−セロビオハイドロラーゼ(Cheng Cheng et.al.,Nucleic Acids Res.,(1990)18,5559)と同一のアミノ酸配列を示すことから、同タンパク質をコードする遺伝子のクローニングはTrichoderma viride株由来のエキソ−セロビオハイドロラーゼ遺伝子の翻訳領域をPCRを用いて増幅し、これをプローブとして用いた。
(1d) cbh1翻訳領域の増幅
cbh1翻訳領域はTrichoderma viride MC300-1株由来ゲノムDNAを鋳型にPCRにより増幅した。
ゲノムDNAの単離はHoriuchiらの方法(Hiroyuki Horiuchi et al.,J.Bacteriol(1988)170,272-278)に従った。まず、Trichoderma viride MC300-1株をS培地(3.0%グルコース、0.1%ポリペプトン、1%イーストエキス、0.14%硫酸アンモニウム、0.2%リン酸カリウム、0.03%硫酸マグネシウム、pH6.8)で24時間培養し、遠心分離(3500rpm,10分)によって菌体を回収した。得られた菌体を凍結乾燥後、TE(10mMトリス−塩酸、1mM EDTA)緩衝液に懸濁し、3%SDS溶液中、60℃、30分間処理後、TE飽和フェノール抽出により、菌体残渣を除去した。抽出液はエタノール沈澱化後、リボヌクレアーゼA(シグマ社製)及びプロテイナーゼK(和光純薬社製)処理し、さらに日立工機社製65P-7超遠心機で塩化セシウム密度勾配沈降平衡法によりDNAを得た。
PCRは宝酒造社製Takara Taqを用いた。プライマーとして以下に示すcbh1-Nとcbh1-Cを用い、94℃1分間、50℃2分間、72℃3分間のサイクルを40回繰り返すことにより反応を行った。その結果、約1.7kbpのDNAが増幅された。
以下にcbh1-Nとcbh1-Cの配列を示す。
このPCR増幅断片はアガロース電気泳動の後、ファルマシア社製バンドプレップキットに従いアガロースから回収し、これをスクリーニング用プローブとした。
実施例2:Trichoderma virideゲノムDNAライブラリーの作製
Trichoderma viride MC300-1株ゲノムDNAをSau3AIにより部分消化した。これをファージベクター、λEMBL3クローニングキット(ストラタジーン社製)のBamHIアームにT4リガーゼ(宝酒造社製ライゲーションキットVer.2)を用いて凍結させた。これをエタノール沈澱後、TE緩衝液に溶解した。凍結混合物の全量をストラタジーン社製ギガパックIIパッケージングキットに従い、ファージ粒子を形成させた。このファージは大腸菌LE392株に感染させた。この方法により得られた1.1×104個のファージライブラリーを用いて目的遺伝子のクローニングを行った。
実施例3:cbh1遺伝子のサブクローニング
(3a) プラークハイブリダイゼーションによるスクリーニング
Trichoderma viride株由来のエキソ−セロビオハイドロラーゼ遺伝子の翻訳領域約1.7kbのDNA断片を、あらかじめアマシャム社製ECLダイレクトシステムに従い、標識化した。
実施例2において作成したファージプラークを、ハイボンドN+ナイロントランスファーメンブラン(アマシャム社製)に転写し、アルカリ変性後、5倍濃度SSC(SSC:15mMクエン酸3ナトリウム、150mM塩化ナトリウム)で洗浄し、乾燥させDNAを固定した。キットの方法に従って、1時間のプレハイブリダイゼーション(42℃)の後、先の標識化したプローブを添加し、4時間(42℃)ハイブリダイゼーションを行った。プローブの洗浄は前述キットの方法に従った。
プローブの洗浄を行ったナイロン膜は、添付されている検出溶液に1分間浸したあと、同社製ハイパーフィルムECLに感光させ、4個の陽性クローンを得た。
(3b) ファージDNAの調製
陽性クローンからのDNA調製はManiatisらの方法(J.Sambrook,E.F.Fritsch and T.Maniatis,"Molecular Cloning",Cold Spring Harbor Laboratory Press.1989)に従った。
宿主大腸菌はLE392を用いた。まず、LE392をLB-MM培地(1%ペプトン、0.5%イーストエキス、0.5%塩化ナトリウム、10mM硫酸マグネシウム、0.2%マルトース)で一晩培養し、これにシングルプラーク由来のファージ溶液を感染させ、LB-MM培地で一晩培養した。これに、塩化ナトリウムを1M、クロロホルムを0.8%になるよう加え、大腸菌の溶菌を促進させた。遠心分離により、菌体残渣をのぞき、ポリエチレングリコール(PEG)沈澱(10%PEG6000)からファージ粒子を回収した。ファージ粒子はSDS存在下、プロティナーゼKで消化し、これをフェノール処理、エタノール沈澱化して、ファージDNAを回収した。
以上のように回収したDNAはアマシャム社製ECLダイレクトシステムに従い、サザンブロット解析を行った。実施例1のPCR増幅断片をプローブにハイブリダイゼーションを行った結果、7kbpのPstI消化断片が共通にハイブリダイズした(図1)。
この共通にハイブリダイズするPstI断片をpUC118(宝酒造社製)にサブクローンし、プラスミドpAO1を得た。
実施例4:cbh1遺伝子の塩基配列の決定
(4a) ゲノムDNAの塩基配列解析
塩基配列決定は以下の様に行った。塩基配列解析装置は、ファルマシアバイオテク社製A.L.F.DNAシーケンサーIIを用いた。シーケンシングゲルとして、FMC社製ハイドロリンクロングレンジャーとして市販されているアクリルアミド担体を使用した。ゲル作成用各種試薬(N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン、尿素、過硫酸アンモニウム)はファルマシアバイオテク社製A.L.Fグレードの試薬を用いた。
塩基配列解読反応は、ファルマシアバイオテク社製オートリードシーケンシングキットを用いて行った。ゲル作成条件、反応条件、および泳動条件の各々は、各説明書の詳細を参照し、設定した。
また、塩基配列解読用鋳型プラスミド(以降テンペレートと記す)は、以下のような一本鎖DNAと分断クローンを調製し、テンペレートとした。
まず、pAO1をHindIIIで消化し、3.1kbの断片をpUC119にクローン化したもの(pCB1-H3またはpCB1-H4)、またはSalIで消化し、2.8kbの断片をpUC119にクローン化したもの(pCB-S1またはpCB1-S3)をM13一本鎖DNAとして調製し、用いた。更に、3.1kbのHindIII断片をpUC18にクローン化し(pCB1-2、pCB1-7)、pCB1-7をEcoRIで消化し、4kbの消化断片を自己閉環したもの(pCB1-b1)、1.3kbの消化断片をpUC118にクローン化したもの(pCB1-a1)、pCB1-7をSalIで消化し、5.4kbの断片を自己閉環したもの(pCB1-c2)、pCB1-2をHindIIIおよびEcoRVで消化し、2.2kbと0.9kbの断片をそれぞれpUC18のHindIII-HincIIサイトに連結し、クローン化したもの(pCB1-e1、pCB1-d1)の全9種類のプラスミドを調製した(図1)。
(4b) 一本鎖DNAの調製
pCB1-H3、pCB1-H4、pCB1-S1、pCB1-S3の各プラスミドを大腸菌JM109に形質転換し、形質転換されたコロニーを150μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で一晩前培養した。この培養液に対して109PFU/mlのヘルパーファージM13KO7懸濁液を等量感染させた。これを100倍量の150μg/mlのアンピシリンおよび70μg/mlのカナマイシンを含むLB培地中で一晩本培養した。
この培養液30mlを遠心分離(8000rpm、10分間)して菌体を除去し、培養上澄に対して6mlのPEG-NaCl(20%PEG6000、2.5M塩化ナトリウム)を加えM13粒子を沈澱化した。M13のPEG沈澱は3mlの100mMトリス−塩酸(pH7.5)、10mM塩化マグネシウム溶液に懸濁し、100μg/mlのDNaseI(ベーリンガーマンハイム社製)、10μg/mlのリボヌクレアーゼA処理により、夾雑する大腸菌の核酸を分解した。これをさらにPEG沈澱化し、TE緩衝液に懸濁後TE飽和フェノール抽出、フェノール−クロロホルム抽出の後、エタノールにより一本鎖DNAを沈澱化した。
(4c) シーケンス反応および解析
まず、二本鎖プラスミドを2M水酸化ナトリウムでアルカリ変性した後、pCB1-2とキットに添付のUniversal及びReverse;pCB1-7とUniversal及びReverse;pCB-a1とUniversal及びReverse;pCB1-b1とReverse;pCB1-c2とReverse;pCB1-d1とReverse;pCB1-e1とReverseのプライマーの各組み合わせによりアニーリングさせ、キットに従い伸長反応を行った。更に、pCB1-2とWVCI-01、WVCI-02、WVCI-03、WVCI-04及びWVCI-06の組み合わせでシーケンス反応を行い、cbh1翻訳領域の塩基配列を決定した。
次に、pCB1-H3の一本鎖DNAとUniversal、WVCI-07、WVCI-08、WVCI-09及びWVCB-11;pCB1-H4とWVCI-05、WVCI-15、WVCI-16及びWVCI-17;pCB1-S1とUniversal、WVCI-13、WVCI-14、及びWVCB-12;pCB1-S3とWVCI-06、WVCI-10、WVCI-11、及びWVCI-12の組み合わせでシーケンス反応を行いcbh1遺伝子のHindIII〜SalI断片の全長4176bpを配列表1の様に決定した。
cbh1特異的シーケンスプライマーの配列は以下に示される通りであった。
(4d) 非翻訳領域(以降「イントロン」と記す)の決定
イントロンの決定には、Trichoderma viride MC300-1株からmRNAを調製し、逆転写酵素によりcDNAを合成し、これとゲノムの塩基配列を比較し、同領域を判定した。
(4d-1) 全RNAの調製
Trichoderma viride MC300-1株をP培地で2日間培養し、菌体を遠心分離(3500rpm,10分)により回収した。この菌体を滅菌水で洗浄し、液体窒素で凍結したままブレンダーで粉砕した。これを4Mグアニジンチオシアン酸塩を含む変性溶液(4Mグアニジンチオシアン塩酸、25mMクエン酸3ナトリウム、0.5%N-ラウリルサルコシン酸ナトリウム、0.1Mメルカプトエタノール)に懸濁した。室温で数分間攪拌の後、2M酢酸ナトリウム(pH4.5)で中和し、TE飽和フェノールを加えさらに攪拌した。ここにクロロホルム−イソアミルアルコール(24:1)を加え、攪拌の後、遠心分離(3500rpm,10分)によりフェノールで変性した菌体成分を除去した。上層(水層)を回収し、イソプロパノールで核酸を沈殿化した。同沈殿を遠心分離(3500rpm,10分)で回収し、70%エタノール−水で再遠心分離により沈殿を洗浄した。
同沈殿は、1mg/mlの核酸濃度になるようTE緩衝液に溶解の後、2.5M塩化リチウムで沈殿化(5℃で2時間)した。これを遠心分離(12000rpm,10分)により沈殿を回収し、70%−エタノールで洗い、これを全RNA画分とした。
(4d-2) ポリAテイル+RNA(=mRNA)の調製
mRNAの調製はファルマシアバイオテク社製mRNAピュアリフィケーションキットを用いた。
まず上記(4d-1)において調製した全RNAのうち、1mgを1mlのエリューションバッファーに溶解し、これに65℃、10分間の熱変性処理を加え、氷中で急冷の後、0.2mlのサンプルバッファーを加えた。この全量のRNA溶液をオリゴ(dT)セルロースカラムにチャージし、ハイソルトバッファーで3回、ロウソルトバッファーで3回カラムを洗浄の後、65℃に加温したエリューションバッファーで溶出した。このカラム操作を2回繰返し、mRNA画分とした。
(4d-3) cDNAの合成
cDNA合成はファルマシアバイオテク社製タイムセーバーcDNA合成キットを使用した。
まず、5μgのmRNAを20μlのサンプルバッファーに溶解した。65℃、10分間の熱処理後、ファーストストランド合成ミックスにジチオスレイトール溶液、オリゴ(dT)プライマーと共に添加し、37℃1時間反応させた。次に、この全量をセカンドストランドミックスに加え、12℃、30分間、次いで22℃、1時間反応させ、これをcDNAとした。
(4d-4) cbh1cDNAの増幅
cbh1cDNAは全cDNAを鋳型にPCRにより増幅した。
PCRは宝酒造社製LA PCRキットを用いた。プライマーはMcbh1-NとMcbh1-Cを用い、94℃1分間、55℃2分間、72℃2分間のサイクルを25回繰り返すことにより反応を行った。その結果、約1.6kbpのDNAが増幅された。
Mcbh1-NおよびMcbh1-Cの配列は以下に示される通りであった。
このPCR増幅断片はアガロース電気泳動の後、ファルマシア社製バンドプレップキットに従いアガロースから回収し、ノバジェン社製pT7-Blueにクローン化し(pCbhU)、これをイントロン決定用テンペレートとした。
(4d-5) cDNAの塩基配列解析
シーケンシング反応は前述同様オートリードシーケンシングキットを用いた。まず、プラスミドpCbhUを2M水酸化ナトリウムでアルカリ変性し、これをテンペレートとしてT7ポリメラーゼで反応させた。プライマーはキット添付のUniversalとReverse、更に前述WVCI-03とWVCI-04を用いた。
その結果、1899〜1965bp(Introne I)、2663〜2724bp(Introne II)の計2つのイントロンが存在した。配列表1において、非翻訳開始配列およびその終了配列、イントロン内部の調整配列は以下に示される通りであった。
Introne I:1899〜1904、1963〜1965、1946〜1952
Introne II:2663〜2668、2722〜2724、2705〜2711
実施例5:Trichoderma viride用異種タンパク質発現分泌ベクターの構築
cbh1プロモーター、ターミネーター、分泌シグナルを目的タンパク質発現分泌に利用できる形にするため部位指定変異処理を行った。
(5a) 発現ベクターpCB1-MXの構築
部位指定変異処理はアマシャム社製スカルプターインビトロミュータジェネシスシステムを用いた。変異点はスタートコドンの上流と終止コドンの下流に導入した。
まず、変異導入用オリゴヌクレオチドCBn-Stu、CBc-Xhoを0.9OD260/mlの濃度で100mMトリス−塩酸(pH8.0)、10mM塩化マグネシウム、7mMジチオスレイトール、1mM ATP中PNK(東洋紡績社製)を用いて37℃で15分間反応させ末端をリン酸化した。更に70℃で10分間の熱処理で酵素を失活させた。
前述pCB1-H4、pCB1-S1の一本鎖DNA2μgに対してそれぞれCBn-Stu、CBc-Xhoを70℃で3分間、次に55℃の湯約500ml中で室温になるまで(約2時間)放置し、オリゴヌクレオチドをアニールさせた。
このアニールミックスにklenowフラグメント、T4リガーゼを反応させ、ヘテロ二本鎖を合成させた。このヘテロ二本鎖はT5エクソヌクラーゼで未反応の一本鎖を分解させた。次に制限酵素NciIでニックを入れ、エクソヌクラーゼIIIでテンペレートストランドを分解した。更に、変異ストランドをDNAポリメラーゼI、T4リガーゼを用いて二本鎖とし、これを大腸菌TG1に形質転換した。
変異DNAの検出は、pCB1-H4由来の変異はStuIで切断されるもの(pCB1H4-19)、pCB1-S1由来の変異はXhoIで切断されるもの(pCB1S1-17)を選抜した。次にpCB1H4-19をXbaIおよびXhoIで消化し、約6kbの断片を回収し、これとpCB1S1-17をXbaIで消化後、XhoIで部分的に切断した約1.2kbの断片を連結し、これをpCB1-Mとした。これをXbaIで消化し、PDH25(Cullen,D.,Leong,S.A.,Wilson,L.J.and Henner,D.J.,Gene 57,21-26,1987)由来ハイグロマイシンB耐性カセットを挿入しpCB1-MXを構築した(図2)。
CBn-Stu、CBc-Xhoの配列は以下に示される通りであった。
(5b) 分泌ベクターpCB1-M2XRの構築
前述pCB1-MをSalIで消化し、約2.7kbの断片をpUC119にクローン化した(pCB1-SalM)。これを更に一本鎖化し、スカルプターインビトロミュータジェネシスシステムを用いて前記(5a)と同様に変異処理を行った。変異点はプロセス残基の上流と下流(CB1-SmSph)、cbh1タンパク質のリンカー構造中(CB1-Bam)、更に終止コドンの上流部(CB1-Pst)に導入した。
一方、変異遺伝子の構築は、pUC118をXbaIおよびEcoRIで切断し、これを宝酒造社製DNAブランチングキットを用いて末端を平滑化した。これを自己閉環し(pUC118-SBN)、SalIおよびHindIIIで消化後、cbh1プロモーターHindIII〜SalI断片を連結した。このSalI部位に、変異が導入されたcbh1翻訳領域〜ターミネーターを正しい向きで連結し、pCB1-M2を構築した(図3)。pCB1-M2XRはpCB1-M2のXbaI部位に前述ハイグロマイシンB耐性カセットを連結したものである(図4)。
CB1-SmSph、CB1-Bam、CB1-Pstの配列以下に示される通りであった。
実施例6:Trichoderma viride用NCE4分泌ベクターの構築
Trichoderma virideにNCE4を強制分泌させるために、Humicola insolens由来NCE4翻訳領域をPCRにより増幅した。
まず、Horiuchiらの方法(Hiroyuki Horiuchi et al.,J.Bacteriol.,170:272-278,1988)に従い、Humicola insolensの全DNAを回収した。具体的には、フミコーラ・インソレンスHN200-1を(N)培地(5.0%アビセル、2.0%酵母エキス、0.1%ポリペプトン、0.03%塩化カルシウム、0.03%硫酸マグネシウム、pH6.8)中、37℃で培養した。2日間培養の後、遠心分離(3500rpm、10分)によって菌体を回収した。得られた菌体をフェノール処理、プロテイナーゼK、およびリボヌクレアーゼA処理、さらにポリエチレングリコール(PEG)沈殿化によりゲノムDNAを得た。
得られた全DNAを鋳型として、HEg-mn(Sph)とHEg-c(Sal)の各プライマー1μM、dNTPs200μM存在下Pfuポリメラーゼ(ストラタジーン社製)を用いてPCRを行った。PCR反応のサイクルは94℃で1分間の熱変性の後、55℃で2分間アニーリング、75℃で5分間伸張反応を25回行い、目的のDNA断片を増幅させた。
PCR増幅断片はファルマシアバイオテク社製マイクロスピンS-400HRカラムに供し、残存するプライマー等を除去した。更に、SphI及びSalIで消化し、アガロースゲル電気泳動に供し、約0.9kbの断片を回収した。
一方pCB1-M2をSphIおよびXhoIで消化し、7.3kbの断片を回収した。これに0.9kbの消化PCR断片を連結し、更にXbaI部位に前述ハイグロマイシンB耐性カセットを挿入し、構築されたベクターをpCB1-HEgX(図5)とした。
なお、上記操作によって得られたNCE4の翻訳領域の塩基配列は配列番号4に記載されるとおりであった。
HEg-mn(Sph)とHEg-c(Sal)の配列は以下に示される通りであった。
実施例7:Trichoderma virideの形質転換
Trichoderma viride MC300-1をS培地中28℃で培養し、24時間後、3000rpm、10分間遠心分離により集菌した。得られた菌体を0.5Mシュークロースで洗浄し、0.45μmのフィルターで濾過したプロトプラスト化酵素溶液(5mg/mlノボザイム234、5mg/mlセルラーゼオノズカR-10、0.5Mシュークロース)に懸濁した。30℃で60〜90分間振盪し、菌糸をプロトプラスト化させた。この懸濁液を濾過した後、2500rpm、10分間遠心分離してプロトプラストを回収し、SUTC(0.5Mシュークロース、10mM塩化カルシウム、10mMトリス−塩酸(pH7.5))緩衝液で洗浄した。
以上のように調製したプロトプラストを1mlのSUTC緩衝液に懸濁し、この100μlに対し10μgのDNA(TE)溶液(10μl)を加え氷中に5分間静置した。つぎに、400μlのPEG溶液(60% PEG4000、10mM塩化カルシウム、10mMトリス−塩酸(pH7.5))を加え、氷中に20分間静置した後、10mlのSUTC緩衝液を加え、2500rpm、10分間遠心分離した。集めたプロトプラストを1mlのSUTC緩衝液に懸濁した後、4000rpmで5分間遠心分離して、最終的に100μlのSUTC緩衝液に懸濁した。
以上の処理をしたプロトプラストを、ハイグロマイシンB(20μg/ml)添加ポテトデキストロース(PD)寒天培地(3.9%ポテトデキストロースアガー、17.1%シュークロース)上に、PD軟寒天(1.3%ポテトデキストロースアガー、17.1%シュークロース)とともに重層し、28℃、5日間培養後、形成したコロニーを形質転換体とした。
実施例8:pCB1-HEgX形質転換体のNCE4生産性評価
実施例7の様にプラスミドpCB1-HEgXをTrichoderma viride MC300-1株に導入し、ハイグロマイシンBに耐性を示す株が1μgのDNA当り約25株出現した。
この25株をS培地で前培養後、前述P培地で本培養した。この培養上澄をSDS-PAGEにより解析したところ、NCE4タンパク質と予想される分子量約43kDのバンドが新たに観測された株が出現した。
その内NCE4生産性がもっとも高いと予測される株の培養上澄をFPLCシステム(ファルマシアバイオテク社製)により分画し、NCE4生産量を測定した。カラムはRESOURCE RPC 3mlを用い、0.1%トリフルオロ酢酸を含む5−60%アセトニトリル濃度グラジェントで溶出し、約47%アセトニトリル濃度で溶出されるピークを分取し、脱塩、凍結乾燥後収得量を測定したところ、培養液1Lあたり、15gのNCE4が含まれていることが判明した。
実施例9:SCE3の単離精製
Trichoderma viride MC300-1株をP培地で培養し、その培養上澄を疎水クロマトグラフィー(Phenyl-Sepharose HP 16/100、ファルマシアバイオテク社製)に供し、50mM酢酸緩衝液(pH5.5)中、1-0Mの濃度勾配をかけた硫酸アンモニウム溶液で溶出し、分画した。このうち、0.1−0Mの濃度勾配のときに得られた画分にジーンズ脱色活性が強く認められたので、その画分を疎水クロマトグラフィー(Resource PHE 30mm I.D.x150mm、ファルマシアバイオテク社製)に供し、50mM酢酸緩衝液(pH5.5)中1−0Mの濃度勾配をかけた硫酸アンモニウム溶液で溶出し、活性画分を分取した。
このうち、0Mの濃度勾配のときに得られた画分にジーンズ脱色活性が強く認められた。その画分を疎水クロマトグラフィー(Butyl-Toyopearl 6500S 22mm I.D.x200m、東ソー社製)に供し、50mM酢酸緩衝液(pH5.0)で溶出し、ジーンズ脱色活性の強い画分を精製酵素SCE3として単離した。このSCE3はSDS-PAGEにおいて約50kDの単一なバンドを示した。
実施例10:SCE3遺伝子のクローニング
(10a)SCE3タンパク質のアミノ末端側アミノ酸配列解析
実施例9と同様にして得た精製SCE3をSDS-PAGEに供し、ミリポア社製PVDF膜(Immobilon-PSQ)に転写した。このPVDF膜はクマシーブリリアントブルーで染色し、目的のタンパク質が転写された部分を切り取った。これを0.5%ポリビニルピロリドン40、100mM酢酸で37℃、30分間処理の後洗浄し、宝酒造社製Pfuピログルタミン酸アミノペプチダーゼ(50℃、5時間)でアミノ末端修飾残基を除去した。これをModel 492アミノ酸シーケンサーに供し、アミノ末端側10残基のアミノ酸配列を解読した。その配列は以下に示される通りであった。
(10b)ペプチドマップ
実施例9と同様にして得た精製SCE3画分を、50mM重炭酸アンモニウム(pH7.8)溶液中1/50モル量のV8プロテアーゼ(シグマ社製)で消化し、実施例1cと同様の手法を用いてV8-18.5、V8-26、およびV8-42の3種のペプチドを分取した。これらのアミノ酸配列を解析したところ、以下のような配列であった。
これらのアミノ酸配列は、Trichoderma reesei株から得られたエンドグルカナーゼIII(EGIII)タンパク質のアミノ酸配列(M.Saloheimo et.al.,Gene(1988),63,11)と相同性を示したことから、同タンパク質をコードする遺伝子のクローニングはTrichoderma reesei株由来のEGIII遺伝子の翻訳領域をPCRを用いて増幅し、これをプローブとして用いた。
(10c)SCE3翻訳領域の増幅
SCE3翻訳領域はTrichoderma viride MC300-1株由来ゲノムDNAを鋳型にPCRにより増幅した。
増幅は、実施例1dのTrichoderma viride MC300-1株由来染色体DNAを鋳型にTakara Taqを用いて行った。プライマーとしてSCE3-NとSCE3-Cを用い、94℃1分間、50℃2分間、および72℃3分間のサイクルを20回繰り返すことにより反応を行った。その結果、約1.5kbpのDNAが増幅された。
SCE3-NおよびSCE3-Cの配列は以下に示される通りであった。
このPCR増幅断片をアガロースゲル電気泳動の後、ゲルから回収し、これをSCE3クローニング用プローブとした。
(10d)Trichoderma viride株由来SCE3遺伝子のクローン化
実施例2と同様の手法を用いて作製した1.0×104個のファージライブラリーを用いてSCE3遺伝子のクローニングを行った。プラークハイブリダイゼーションの結果、1種の陽性クローンが得られた。このクローンはサザン解析の結果、約4kbのBamHI断片、約4kbのEcoRI断片、および約3.7kbのXbaI断片が染色体DNAと共通のハイブリダイゼーションパターンを示した。このXbaI断片をpUC118にクローン化(pUC-Eg3X)した。
実施例11:SCE3発現ベクターpCB1-Eg3Xの構築
SCE3をcbh1プロモーターの制御下、大量に発現させるために、SCE3の翻訳領域をcbh1プロモーターの下流に連結した。
まず、pUC-Eg3Xを鋳型にSCE3-StuとSCE3-XhoなるプライマーでPCRを行い、約1.5kbの増幅断片を回収し、pT7-blueにサブクローン化した。このプラスミドをStuIおよびXhoIで切断し、約1.5kbの断片を回収した。更に、実施例5aの様に構築したpCB1-MXをStuIおよびXhoIで切断し、約8.5kbの断片と、約1.5kbのStuI〜XhoI断片とを連結し、これをpCB1-Eg3Xとした(図6)。
なお、上記操作によって得られたSCE3の翻訳領域の塩基配列は配列番号6に示される通りであった。
また、SCE3-StuとSCE3-Xhoの配列は以下に示される通りであった。
実施例12:pCB1-Eg3X形質転換体のSCE3生産性評価
実施例7と同様にしてプラスミドpCB1-Eg3XをTrichoderma viride MC300-1株に導入した。その結果、ハイグロマイシンBに耐性を示す株が1mgのDNA当り約20株出現した。この20株をS培地で前培養後、P培地で本培養した。この培養上澄をSDS-PAGEにより解析したところ、SCE3タンパク質と予想される分子量約50kDのバンドが観測された株が出現した。
このうち50kDのバンドがもっとも顕著に観察されるもの(EG3D2株)のSCE3生産量をデニム染めセルロース含有繊維の脱色活性を指標に算出した。詳細には以下に示す条件で行った。
脱色処理は、糊抜きした12オンスのブルージーンズパンツ(木綿)を下記の条件で脱色処理した。
試験機械;20kgワッシャー(SANYO社製全自動洗濯機SCW5101)
浴比;1:40
加熱;60℃
時間;30分
pH;4(20mM酢酸緩衝液)
脱色度は色差計COLOR ANALYZER TOPSCAN MODEL TC-1800MK2(東京電色株式会社製)を用い、Lab表示計のL値(明度)を測定した。コントロールに対するL値の増加(白色度の増加)=ΔL値より、脱色を評価した各試験区につき5点のΔL値を測定し(n=5)、最大値・最小値を棄却した3点の平均値を採用した。そして、ΔL値=4まで脱色するのに必要なタンパク質濃度を算出した。
タンパク質濃度はバイオラッド社製プロテインアッセイキットに従いγグロブリンをスタンダードとして定量した。
親株であるTrichoderma viride MC300-1株の培養上澄は、ジーンズの脱色に必要なタンパク質濃度は160mg/Lであり、実施例9において単離精製されたSCE3は32mg/Lであった。EG3D2株の培養上澄のジーンズの脱色に必要なタンパク質濃度は、、精製SCE3を全タンパク質量の30%となるように加えたTrichoderma viride MC300-1株の培養上澄の脱色に必要なタンパク質濃度と一致し、その濃度は80mg/Lであった。このことから、EG3D2株の培養上澄1L中に含まれる総タンパク質27g中30%(9g)は(組み換え)SCE3が含まれていると考えられた。
実施例13:SXY1の単離精製
Trichoderma viride MC300-1株をP培地で培養し、その培養上澄をキシラン分解活性を指標に精製した。まず、Resource Q 6mL(ファルマシアバイオテク社製)に供し、50mMトリス−塩酸(pH7.5)緩衝液中0−1Mの塩化ナトリウム濃度勾配で溶出し、塩濃度0Mの溶出画分を回収した。本画分をさらに、ファルマシアバイオテク社製Resource HIC PHE 1mLに供し、25mMトリス−塩酸(pH7.0)緩衝液中1.5−0Mの硫酸アンモニウム濃度勾配で溶出し、硫酸アンモニウム濃度約0.3Mで溶出される画分をSXY1画分として回収した。本画分はさらに、ファルマシアバイオテク社製Superdex 75(10/30)ゲルろ過カラムに供し、0.1M塩化ナトリウムを含む0.05Mリン酸緩衝液で展開し、SXY1画分を回収した。このSXY1はSDS-PAGEにおいて約20kDの単一なバンドを示した。
実施例14:SXY1遺伝子のクローニング
(14a)SXY1タンパク質のアミノ末端側アミノ酸配列解析
実施例13と同様にして得た精製SXY1をSDS-PAGEに供し、実施例10と同様の方法を用いてアミノ末端修飾残基を除去した。これをModel 492アミノ酸シーケンサーに供し、アミノ末端側13残基のアミノ酸配列を解読した。その配列は以下に示される通りであった。
このアミノ酸配列は、Trichoderma reesei株から得られたキシラナーゼI(XYLI)タンパク質のアミノ酸配列(Anneli Torronen et.al.,Bio/Technology(1992),10,1461)と相同性を示したことから、同タンパク質をコードする遺伝子のクローニングはTrichoderma reesei株由来のXYLI遺伝子の翻訳領域をPCRを用いて増幅し、用いた。
(14b)SXY1翻訳領域の増幅
SXY1翻訳領域をTrichoderma viride MC300-1株由来ゲノムDNAを鋳型にPCRにより増幅した。
増幅は、実施例1dのTrichoderma viride MC300-1株由来染色体DNAを鋳型にTakara Taqを用いて行った。プライマーとしてSXY1-NおよびSXY1-Cを用い、94℃1分間、50℃2分間、72℃3分間のサイクルを20回繰り返すことにより反応を行った。その結果、約0.7kbpのDNAが増幅された。
SXY1-NおよびSXY1-Cの配列は以下に示される通りであった。
このPCR増幅断片をアガロースゲル電気泳動の後、ゲルから回収し以下に用いた。
実施例15:SXY1発現ベクターpCB-XI′の構築
SXY1をcbh1プロモーターの制御下、大量に発現させるために、SXY1の翻訳領域をcbh1プロモータの下流に連結した。
まず、実施例14bと同様にPCRを行い、約0.7kbの増幅断片を回収し、pT7-blueにサブクローン化した。このプラスミドをStuI及びXhoIで切断し、約0.7kbの断片を回収した。更に、実施例5aの様に構築したpCB1-MXをStuI及びXhoIで切断し、約8.5kbの断片と、約0.7kbのStuI〜XhoI断片とを連結し、これをpCB-XI′とした(図7)。
実施例16:pCB1-XI′形質転換体のSXY1生産性評価
実施例7と同様にしてプラスミドpCB1-XI′をTrichoderma viride MC300-1株に導入した。その結果、ハイグロマイシンBに耐性を示す株が1mgのDNA当り約10株出現した。このうち46株をS培地で前培養後、P培地で本培養した。この培養上澄をSDS-PAGEにより解析したところ、SXY1タンパク質と予想される分子量約20kDのバンドが観測された株が出現した。
このうち20kDのバンドがもっとも顕著に観察されるもの(S22株)のSXY1生産量をFPLCシステムを用いて定量した。カラムは前述Resource HIC PHE 1mLを用い、50mMトリス−塩酸(pH7.5)緩衝液中1−0M硫酸アンモニウムの濃度勾配で溶出した。SXY1生産量は、対照として実施例13で得られた精製SXY1を用い、硫酸アンモニウム濃度約0.3Mで溶出されるピークの面積比で算出した。その結果、S22株のSXY1生産性は8.1g/Lであり、親株の13倍の生産性であった。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:4176
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列の特徴:
特徴を表す記号:sig peptide
存在位置:1438..1488
特徴を決定した方法:E
特徴を表す記号:mat peptide
存在位置:1489..3108
特徴を決定した方法:E
特徴を表す記号:intron
存在位置:1899..1965
特徴を決定した方法:E
特徴を表す記号:intron
存在位置:2663..2724
特徴を決定した方法:E
配列
配列番号:2
配列の長さ:514
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
配列番号:3
配列の長さ286
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
配列番号:4
配列の長さ:927
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源
生物名:Humicola insolens
配列の特徴
特徴を表す記号:intron
存在位置:297..334
特徴を決定した方法:E
配列
配列番号:5
配列の長さ:418
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
配列番号:6
配列の長さ:1463
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列の特徴:
特徴を表す記号:sig peptide
存在位置:14..76
特徴を決定した方法:E
特徴を表す記号:mat peptide
存在位置:77..1450
特徴を決定した方法:E
特徴を表す記号:intron
存在位置:343..525
特徴を決定した方法:E
配列
配列番号:7
配列の長さ:223
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
配列番号:8
配列の長さ:822
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列の特徴:
特徴を表す記号:sig peptide
存在位置:14..112
特徴を決定した方法:E
特徴を表す記号:mat peptide
存在位置:113..809
特徴を決定した方法:E
特徴を表す記号:intron
存在位置:286..412
特徴を決定した方法:E
配列
配列番号:9
配列の長さ:10
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
フラグメント型:N末端フラグメント
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列
配列番号:10
配列の長さ:6
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
フラグメント型:中間フラグメント
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列
配列番号:11
配列の長さ:18
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
フラグメント型:中間フラグメント
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列
配列番号:12
配列の長さ:18
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:13
配列の長さ:19
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:14
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:15
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:16
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:17
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:18
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:19
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:20
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:21
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:22
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:23
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:24
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:25
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:26
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:27
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:28
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:29
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:30
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:31
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:32
配列の長さ:24
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:33
配列の長さ:20
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:34
配列の長さ:20
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:35
配列の長さ:36
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:36
配列の長さ:36
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:37
配列の長さ:35
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:38
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:39
配列の長さ:30
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:40
配列の長さ:29
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:41
配列の長さ:33
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:42
配列の長さ:10
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
フラグメント型:N末端フラグメント
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列
配列番号:43
配列の長さ:11
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
フラグメント型:中間フラグメント
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列
配列番号:44
配列の長さ:7
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
フラグメント型:中間フラグメント
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列
配列番号:45
配列の長さ:15
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
フラグメント型:中間フラグメント
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列
配列番号:46
配列の長さ:19
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:47
配列の長さ:23
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:48
配列の長さ:36
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:49
配列の長さ:36
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:50
配列の長さ:14
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
フラグメント型:N末端フラグメント
起源
生物名:Trichoderma viride MC300-1
配列
配列番号:51
配列の長さ:35
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
配列番号:52
配列の長さ:34
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成核酸
配列
Claims (19)
- プロモーターと、ターミネーターとを含んでなる発現ベクターであって、
前記プロモーターが、配列番号1の1〜1437番の塩基配列を有するものであるか、または配列番号1の1〜1437番の塩基配列において、1〜数個の塩基の挿入、置換または欠失、若しくはその一方または両末端への付加を有し、かつプロモーター活性を保持する塩基配列を有するものであり、
前記ターミネーターが、配列番号1の3112〜4176番の塩基配列において、1〜数個の塩基の挿入、置換または欠失、若しくはその一方または両末端への付加を有し、かつそのターミネーター活性を保持する塩基配列を有するものであることを特徴とする、発現ベクター。 - シグナル配列をさらに含んでなり、該シグナル配列が、配列番号1のアミノ酸配列の−17から−1までの配列をコードする塩基配列である、請求項1に記載の発現ベクター。
- 前記プロモーターとターミネーターとに作動可能に連結された目的タンパク質またはペプチドをコードする塩基配列を含んでなる、請求項1または2に記載の発現ベクター。
- 前記目的タンパク質が、Humicola insolens由来のエンドグルカナーゼまたはその改変タンパク質である、請求項3に記載の発現ベクター。
- Humicola insolens由来のエンドグルカナーゼがエンドグルカナーゼNCE4である、請求項4に記載の発現ベクター。
- 前記目的タンパク質が、Trichoderma viride由来のエンドグルカナーゼまたはその改変タンパク質である、請求項3に記載の発現ベクター。
- 前記Trichoderma viride由来のエンドグルカナーゼがエンドグルカナーゼSCE3である、請求項6に記載の発現ベクター。
- 前記目的タンパク質が、Trichoderma viride由来のキシラナーゼまたはその改変タンパク質である、請求項3に記載の発現ベクター。
- 前記Trichoderma viride由来のキシラナーゼがキシラナーゼSXY1である、請求項8に記載の発現ベクター。
- 選択マーカーを更に含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の発現ベクター。
- 選択マーカーがハイグロマイシンB耐性遺伝子である、請求項10に記載の発現ベクター。
- 発現ベクターpCB1-MX(FERM BP-6044)、pCB1-M2XR(FERM BP-6045)、pCB1-HEgX(FERM BP-6046)、pCB1-Eg3X(FERM BP-6043)、またはpCB1-XI′(FERM BP-6042)。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の発現ベクターによって形質転換された、宿主細胞。
- 宿主細胞が、Trichoderma属に属する微生物である、請求項13に記載の宿主細胞。
- Trichoderma属に属する微生物がTrichoderma virideである、請求項14に記載の宿主細胞。
- Trichoderma属に属する微生物がTrichoderma virideのセルラーゼ高生産株であるTrichoderma viride MC300-1株(FERM BP-6047)である、請求項14に記載の宿主細胞。
- 請求項13〜16のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養し、培養物から前記目的タンパク質を採取する工程を含んでなる、目的タンパク質の産生方法。
- その培養液1Lあたり7g以上の目的タンパク質を生産する、請求項17に記載の方法。
- その培養液1Lあたり15g以上の目的タンパク質を生産する、請求項17に記載の方法。
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