JP3682816B2 - 中間端子付可撓バスバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車用電気接続箱等における大電流用バスバーの立体配索部位に用いて好適な中間端子付可撓バスバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車用等の電気接続箱に用いる大電流用バスバーは、導電容量を大きく確保するため断面積の大きい金属材からなり、剛性が高い。このような電気接続箱において、多回路を分配して且つ外部へ接続されるバスバーは、複数箇所で屈曲されて立体配索される。
【0003】
図7は電気接続箱における従来のバスバーを示す側面図である。電気接続箱1を貫通して立体配索されるバスバー群3は、一体形状では電気接続箱1を通せないため、一端をヒューズ5に接続したフラットバスバー7と、このフラットバスバー7及び電気接続箱1内のバスバー8を接続するZ形バスバー9と、電気接続箱1の外部へ突出したフラットバスバー7の他端及び不図示の外部給電側を接続するZ形バスバー11とをそれぞれ分割して構成してある。それぞれの接続部は、ボルト13、ナット15により螺着される。なお、図中、16はゴム材等からなる絶縁グロメット、17はヒューズホルダーである。このように、従来のバスバーは、立体配索されるバスバー群3を複数に分割することにより、多回路への分配を行い且つ電気接続箱外部への接続を可能としていた。
【0004】
また、遮断器等の内部導体を外部導体へ接続するための端子装置として、銅撚線を用いたものが提案されている。図8は銅撚線を用いた従来の端子装置の斜視図、図9は図8の端子装置を用いた導体間の接続例を示す側断面図である。この端子装置21は、貫通孔23の穿設された一対の端子部材25を、曲げと捩じりが可能な銅撚線からなる可撓導体27により接続してある。従って、図9に示すように端子装置21をバスバー貫通穴29に挿通した後、可撓導体27を屈曲することで、このバスバー貫通穴29に直交する方向の導体接続面30に端子部材25を螺着することができた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示した従来のバスバーでは、バスバー群3を複数に分割してこれらをボルト13、ナット15により螺着していたので、部品点数が増えるとともに、組付け作業性の悪い欠点があった。また、分割した単品においても複雑な曲げ加工が必要とされる場合では加工コストの増大する問題があった。更に、剛性の高いバスバーをそれぞれ接続して立体配索するため、バスバー自体の製造誤差、或いはバスバー相互間に相対位置誤差が生じている場合、バスバーの可撓によってはその誤差が吸収できず、締結後のバスバー群のどこかに応力が集中し、接続部の信頼性を低下させる虞れがあった。
一方、図8に示す端子装置21では、可撓導体27によって曲げと捩じりが吸収できるため、バスバー相互間の相対位置誤差による応力集中は除去できるものの、両端の端子部材25のみを介して接続を行うため、多回路を分配する接続には用いることができなかった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、曲げ加工が不要であるとともに、多数のバスバーを分割せずに多回路への分配が可能であり、しかも、バスバーの位置誤差等による応力集中が除去できる中間端子付可撓バスバーを提供し、コストの低減、組付け作業性の向上、接続部の信頼性向上を同時に図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る中間端子付可撓バスバーの構成は、可撓導体の両端に端子部材を固定し、該端子部材を電極等の接続対象に接続することで該接続対象間を電気的に接続する可撓バスバーにおいて、前記可撓導体に移動自在に中間端子部材を取り付け、前記中間端子部材は、前記可撓導体を挿通する挿通空間を形成した本体金具と、前記挿通空間に位置して前記可撓導体に接する押圧板と、前記可撓導体の挿通方向と直交する方向で前記本体金具に形成してあり、前記挿通空間へ貫通するネジ孔と、該ネジ孔に螺合し相手側バスバーを前記本体金具に螺着するとともに先端で前記押圧板を前記可撓導体方向に押圧するボルトと、からなることを特徴とするものである。
【0007】
このように構成した中間端子付可撓バスバーでは、可撓導体に中間端子部材が設けられ、多数のバスバーを分割せずに多回路への分配が可能となり、且つバスバーの位置誤差等による応力集中が除去される。
中間端子部材を可撓導体に対して移動自在に取り付けた中間端子付可撓バスバーでは、可撓導体の長手方向及び可撓導体の長手方向に直交する方向に中間端子部材の位置が変位可能となる。
また、中間端子部材を、本体金具と、押圧板と、ボルトとにより構成した中間端子付可撓バスバーでは、中間端子部材を移動自在にしながら、相手バスバーと可撓導体との接触面積を大きく確保できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る中間端子付可撓バスバーの好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、図7に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
図1は本発明に係る中間端子付可撓バスバーを用いた電気接続箱等における立体配索例を示す側面図、図2は図1の中間端子付可撓バスバーの平面図、図3は図2の中間端子付可撓バスバーのA−A断面図である。
図2に示すように、この実施形態による中間端子付可撓バスバー31は、例えば帯状に形成した可撓導体33の両端に、銅板からなる端子部材35をプレス加工により固着してある。可撓導体33としては、例えば銅撚線(編組)を好適に用いることができる。可撓導体33に固着した端子部材35には、ボルト挿通用の貫通孔37を穿設してある。可撓導体33には、銅板からなる中間端子部材39をプレス加工により固着してあり、この中間端子部材39にも同様にしてボルト挿通用の貫通孔37を穿設してある。
【0009】
各端子間で露出した可撓導体33は、図2、図3に示す絶縁材41によって被覆するものであってもよい。絶縁材41としては、例えばゴム系の熱収縮チューブを好適に用いることができる。なお、中間端子部材39は、可撓導体33に複数個設けるものであってもよい。
【0010】
このように構成した中間端子付可撓バスバー31を用いて、図7に示した従来の立体配索を行うには、中間端子付可撓バスバー31の一端の端子部材35を電気接続箱1内のバスバー8にボルト13、ナット15により螺着し、他端側を電気接続箱1の外部へ導出するとともに、中間端子部材39をフラットバスバー7に螺着することで、立体配索が完了する。
【0011】
この中間端子付可撓バスバー31を用いることにより、従来、分割して形成していた二つのZ形バスバー8、11(図7参照)が不要になり、且つフラットバスバー7も全長の短いものが使用可能となる。この結果、屈曲した複数の単体バスバーを分割形成する必要がなくなり、部品点数を少なくすることができる。
また、これに伴い、ボルト13、ナット15の締結箇所を減らすことができ、組付け作業性を向上させることができる。
更に、それぞれの端子部材35、中間端子部材39が可撓導体33を介して連結されているため、相手側バスバー相互間に相対位置誤差が生じていても、可撓導体33によってその誤差を吸収することができ、締結後に応力の集中することがなく、接続部の信頼性を向上させることができる。
【0012】
なお、この例では、中間端子部材39を一つ設けた場合を例に説明したが、複数の中間端子部材39を可撓導体33に設けることで、更に多数回路への分配を行いながら且つ組付け時の誤差を吸収して、より複雑な立体配索を可能にすることができる。
【0013】
次に、本発明に係る中間端子付可撓バスバーの他の実施形態を図4乃至図6に基づき説明する。図4は他の実施形態を示す斜視図、図5は図4に示した中間端子付可撓バスバーの使用例を示す分解斜視図、図6は相手バスバーを螺着した状態の図5に示す中間端子付可撓バスバーの断面図である。
この実施形態による中間端子付可撓バスバー51は、上述の中間端子付可撓バスバー31と同様に、可撓導体33の両端に端子部材35を固着してある。一方、可撓導体33に設けた中間端子部材53は、可撓導体33に対して移動自在となっている。図5に示すように、中間端子部材53は、可撓導体33を挿通する挿通空間55を形成した本体金具57と、この挿通空間55に位置して可撓導体33に接する押圧板59と、可撓導体33の挿通方向と直交する方向で本体金具57に形成したネジ孔61と、このネジ孔61に螺合するボルト63とからなる。本体金具57は、相手バスバー65の接触面となる平坦な外壁面57aを有しており、この外壁面57aにネジ孔61を形成してある。
【0014】
このように構成した中間端子付可撓バスバー51の作用を説明する。
中間端子付可撓バスバー51は、両端の端子部材35を不図示の相手バスバーに螺着した後、中間端子部材53を可撓導体33に対して移動させて、相手バスバー65のボルト孔67にネジ孔61を一致させる。相手バスバー65のボルト孔67に挿通したボルト63を本体金具57のネジ孔61に螺合する。従って、ボルト63を締めつけることにより、相手バスバー65が本体金具57の外壁面57aに螺着されるとともに、ボルト63の先端が押圧板59を押圧し、押圧板59が可撓導体33を本体金具57の内壁面に圧接する(図6の状態参照)。
【0015】
この実施形態による中間端子付可撓バスバー51によれば、中間端子部材53を可撓導体33に対して移動自在としてあるので、中間端子部材53を可撓導体33に対して移動することで可撓導体33の長手方向に、又可撓導体33の可撓により可撓導体33の長手方向に直交する方向に中間端子部材53の位置が変位可能となり、相手バスバー65の位置誤差に対して、更に柔軟に対応することができるようになる。
また、相手バスバー65と可撓導体33のそれぞれが、中間端子部材53を介して面接触するので、ボルト63のみを介する接触構造に比べて、接触面積を大きく確保することができ、電流抵抗を小さくして、発熱の少ない良好な接続構造を実現することができる。
【0016】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る中間端子付可撓バスバーによれば、可撓導体に中間端子部材を設けたので、曲げ加工を不要にできるとともに、多数のバスバーを分割せずに多回路への分配が可能となり、しかも、バスバーの位置誤差等による応力集中を除去することができる。この結果、コストの低減、組付け作業性の向上、接続部の信頼性向上を同時に達成することができる。
そして、中間端子部材を可撓導体に対して移動自在に取り付けた中間端子付可撓バスバーによれば、可撓導体の長手方向及び可撓導体の長手方向に直交する方向に中間端子部材の位置が変位可能となり、相手バスバーの位置誤差に対して、更に柔軟に対応することができる。
また、中間端子部材を、本体金具と、押圧板と、ボルトとにより構成した中間端子付可撓バスバーによれば、相手バスバーと可撓導体との接触面積を大きく確保しながら、中間端子部材を移動自在に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中間端子付可撓バスバーを用いた電気接続箱等における立体配索例を示す側面図である。
【図2】図1の中間端子付可撓バスバーの平面図である。
【図3】図2の中間端子付可撓バスバーのA−A断面図である。
【図4】他の実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4に示した中間端子付可撓バスバーの使用例を示す分解斜視図である。
【図6】相手バスバーを螺着した状態の図5に示す中間端子付可撓バスバーの断面図である。
【図7】電気接続箱における従来のバスバーを示す側面図である。
【図8】銅撚線を用いた従来の端子装置の斜視図である。
【図9】図8の端子装置を用いた導体間の接続例を示す側断面図である。
【符号の説明】
31、51 中間端子付可撓バスバー
33 可撓導体
35 端子部材
39、53 中間端子部材
55 挿通空間
57 本体金具
59 押圧板
61 ネジ孔
63 ボルト
65 相手側バスバー

Claims (1)

  1. 可撓導体の両端に端子部材を固定し、該端子部材を電極等の接続対象に接続することで該接続対象間を電気的に接続する可撓バスバーにおいて、
    前記可撓導体に移動自在に中間端子部材を取り付け、
    前記中間端子部材は、
    前記可撓導体を挿通する挿通空間を形成した本体金具と、
    前記挿通空間に位置して前記可撓導体に接する押圧板と、
    前記可撓導体の挿通方向と直交する方向で前記本体金具に形成してあり、前記挿通空間へ貫通するネジ孔と、
    該ネジ孔に螺合し相手側バスバーを前記本体金具に螺着するとともに先端で前記押圧板を前記可撓導体方向に押圧するボルトと、からなることを特徴とする中間端子付可撓バスバー。
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