JP3682741B2 - アルカリ電池用セパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ電池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ電池用セパレータには、種々の特性が要求されるが、特に、電解液の保液性が高く(すなわち、電池寿命が長い)、かつ電池容量が大きいことが要求される。従来、3層以上の繊維層からなるアルカリ電池用セパレータとしては、特開昭52−50540号及び特開平5−314961号各公報に記載されているセパレータが知られている。
特開昭52−50540号公報には、低融点成分を有する複合型融着繊維と高融点の有機合成繊維との混合繊維ウェブを3層以上に積層したサンドイッチ構造を有し、前記サンドイッチ構造の外層構成繊維は、内層構成繊維よりも繊度が大きい繊維のみから又はそれらの繊維を主体としてなる繊維ウェブからなり、かつ、内層の少なくとも1層は、外層構成繊維より繊度が小さい繊維のみから又はそれらの繊維を主体とした繊維ウェブから構成され、内層構成繊維と外層構成繊維との繊度差が0.5〜3デニールである電池用不織布セパレータが開示されている。しかし、このセパレータを構成する繊維は、繊維直径が大きいため、電解液の保液性が低く、電池寿命が短い欠点があった。
【0003】
前記欠点を改善したセパレータとして、特開平5−314961号公報には、平均繊維直径が1.5〜8μmのポリアミド系極細繊維からなる第1繊維層と、前記ポリアミド系極細繊維よりも平均繊維直径が大きな繊維からなる第2繊維層とが積層一体化されているアルカリ電池用セパレータが開示されている。前記公報には、積層する繊維層の数は2つに限られず、3つ以上積層されていてもよく、第1繊維層と第2繊維層との質量比は、20/80〜80/20、特には30/70〜70/30の範囲が好ましいことが開示されている。しかし、前記セパレータは、電解液の保液性が向上しているものの、電池寿命が短い欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、電池容量及び電池寿命の両方が優れているアルカリ電池用セパレータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は、本発明による、第1表面繊維層、中間繊維層、及び第2表面繊維層が、この順に積層されているアルカリ電池用セパレータであって、前記中間繊維層は、平均繊維直径が11μm以下のポリアミド系極細繊維からなり、前記第1表面繊維層及び第2表面繊維層は、平均繊維直径が、前記中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の平均繊維直径以上であり、かつ12μm以下であるポリアミド系極細繊維からなり、前記中間繊維層と前記第1表面繊維層との質量比率、及び前記中間繊維層と前記第2表面繊維層との質量比率が、それぞれ独立に、85:15〜93:7であることを特徴とする、アルカリ電池用セパレータによって達成することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のアルカリ電池用セパレータは、少なくとも3層、すなわち、第1表面繊維層、中間繊維層、及び第2表面繊維層を含み、この順に積層されているセパレータである。
中間繊維層は、平均繊維直径が11μm以下、好ましくは1〜10μmのポリアミド系極細繊維から構成されている。前記ポリアミド系極細繊維としては、公知のポリアミド系繊維(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、又はナイロン6とナイロン12との共重合体などを1種類以上含む繊維)を単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、親水性及び紡糸性に優れている点で、ナイロン6繊維を用いることが好ましい。例えば、メルトブロー法、又はジェット紡糸法などの製法により、11μm以下の平均繊維直径を有する極細繊維を製造することができる。平均繊維直径が11μmより大きい場合には、電解液の保液性が小さくなることがある。また、平均繊維直径が1μm未満の場合には、繊維強度が低下することがある。
【0007】
本明細書において、複数の構成繊維からなる層を構成している全構成繊維の平均繊維直径Dav(μm)は、構成繊維が短繊維である場合には、式:
【数1】
〔式中、Xは、構成繊維の種類(a,b,c,…,n)を表し、Dxは、構成繊維Xの繊維直径(μm)を表し、そして、Lxは、前記層中における全構成繊維に対する構成繊維Xの質量比率(mass%)を、構成繊維Xの繊度(デニール)で除した値を表す〕により求めることができる値を意味する。なお、構成繊維の断面が円形断面以外の異形断面である場合には、その異形断面の面積と同じ面積をもつ円形断面の直径を、その構成繊維の繊維直径とする。
例えば、3種類の構成繊維a,b,及びcからなる層においては、構成繊維a,b,及びcの平均繊維直径Dav(μm)は、式:
Dav=Da×La/(La+Lb+Lc)+Db×Lb/(La+Lb+Lc)+Dc×Lc/(La+Lb+Lc)
〔式中、Daは、構成繊維aの繊維直径(μm)を表し、Dbは、構成繊維bの繊維直径(μm)を表し、Dcは、構成繊維cの繊維直径(μm)を表し、Laは、前記層中における全構成繊維に対する構成繊維aの質量比率(mass%)を、構成繊維aの繊度(デニール)で除した値を表し、Lbは、前記層中における全構成繊維に対する構成繊維bの質量比率(mass%)を、構成繊維bの繊度(デニール)で除した値を表し、そして、Lcは、前記層中における全構成繊維に対する構成繊維cの質量比率(mass%)を、構成繊維cの繊度(デニール)で除した値を表す〕により求めることができる。
また、構成繊維が長繊維である場合には、平均繊維直径Dav(μm)は、その長繊維からなる層の任意の50か所で計測した繊維直径の各測定値を平均した値を意味する。
【0008】
中間繊維層の面密度は、特に限定されるものではないが、好ましくは40〜70g/m2 、より好ましくは50〜60g/m2 である。40g/m2 未満であると、電極板に電解液が移行しやすく、保液性が悪くなることがあり、70g/m2 を越えると、アルカリ電池に占めるセパレータの体積が大きくなり、高容量化が困難になることがあるからである。
中間繊維層は、前記ポリアミド系極細繊維が所定量だけ積層されたウェブ又は繊維間を接着した不織布のいずれの状態でも使用することができる。また、前記ポリアミド系繊維は、親水性に富み、しかも、このように構成された前記中間繊維層では、繊維層を構成する繊維相互の間隔には微細な孔が形成されるので、電解液が繊維層表面だけではなく、繊維層内部にまで浸透することができる。この結果、中間繊維層は、充分な保液性を保持することができる。
【0009】
第1表面繊維層及び第2表面繊維層(以下、第1表面繊維層と第2表面繊維層とを併せて、表面繊維層と称する)は、平均繊維直径が、前記中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の平均繊維直径以上であり、かつ12μm以下であるポリアミド系極細繊維から構成されている。表面繊維層を構成する前記ポリアミド系極細繊維の平均繊維直径は、前記中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の平均繊維直径の3倍以内であることが好ましく、2倍以内であることがより好ましい。前記ポリアミド系極細繊維としては、前記中間繊維層と同様に、公知のポリアミド系繊維(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、又はナイロン6とナイロン12との共重合体などを1種類以上含む繊維)を単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、親水性及び強度に優れている点で、ナイロン66繊維を用いることが好ましい。また、表面繊維層は、前記中間繊維層と同様に、ウェブ又は不織布のいずれの状態でも使用することができる。
表面繊維層の面密度は、特に限定されるものではないが、好ましくは2〜14g/m2 、より好ましくは5〜10g/m2 である。2g/m2 未満であると、セパレータの強度が低下し、電池の製造上、問題があることがあり、14g/m2 を越えると、電解液の分布が悪くなり、電気抵抗が高くなることがあるからである。
【0010】
中間繊維層と表面繊維層との質量比率、すなわち、中間繊維層と第1表面繊維層との質量比率、及び中間繊維層と第2表面繊維層との質量比率は、それぞれ独立に、85:15〜93:7である。この範囲よりも中間繊維層の質量が小さく表面繊維層の質量が大きい場合には電解液の分布が不均一になり、前記範囲よりも中間繊維層の質量が大きく表面繊維層の質量が小さい場合には強度が低下するからである。
一般に、電解液の保液性は、繊維径が細いほど高くなる。本発明のアルカリ電池用セパレータは、細い繊維(すなわち、中間繊維層を構成する繊維)の量が多いので、電解液の保液性に優れ、従って、電池寿命が長い。また、表面繊維層の繊維量が少なく、繊維径のバランスがとれているため、電解液がセパレータ全体に均一に分布しやすく、電池容量が大きくなる。更に、中間繊維層と表面繊維層との平均繊維直径の差が小さいため、電解液がより均一に分布しやすく、電池容量が大きくなる。
【0011】
第1表面繊維層及び第2表面繊維層は、それぞれ独立に、例えば、それを構成する繊維材料、平均繊維直径、構成繊維の状態(例えば、ウェブ又は不織布)、及び/又は中間繊維層との質量比率などを決定することができる。従って、第1表面繊維層及び第2表面繊維層は、同一の構成からなる繊維層であることもできるし、異なる構成からなる繊維層であることもできる。
【0012】
本発明のアルカリ電池用セパレータの面密度としては、42〜84g/m2 が好ましい。42g/m2 未満であると、機械的強度が低下し、電池の製造時に加わる引張力に対抗することができなくなる場合があるからであり、84g/m2 を越えると、繊維層の厚みが厚くなりすぎて、電池の高容量化が困難になることがあるからである。
【0013】
本発明におけるアルカリ電池用セパレータにおいては、中間繊維層は、2層以上の多層繊維層であることができる。この場合には、前記多層繊維層を構成する各繊維層は、平均繊維直径が11μm以下、好ましくは1〜10μmのポリアミド系極細繊維から構成されている。また、中間繊維層を構成する各繊維層の合計質量と、第1表面繊維層の質量との比率、及び中間繊維層を構成する各繊維層の合計質量と、第2表面繊維層の質量との比率は、それぞれ独立に、85:15〜93:7である。中間繊維層が2層以上の多層繊維層からなる場合には、表面繊維層に近い繊維層ほど、平均繊維直径が大きいことが好ましい。
従来のセパレータでは、保管時又は製造時に、湿気などによりカールが生じてしまうことがあったが、本発明のアルカリ電池用セパレータは、ほぼ同量の第1表面繊維層と第2表面繊維層とを有するので、前記カールを防止することができ、また、機械的強度、例えば、引張強度などに優れている。
【0014】
表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、所望により、中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の融点よりも低い融点を有するポリアミド系接着成分を含むポリアミド系熱接着性繊維を使用することができる。
ポリアミド系接着成分としては、例えば、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン610、及びナイロン11、並びにこれらの共重合体などを挙げることができる。
ポリアミド系熱接着性繊維としては、例えば、芯がナイロン6であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体である複合繊維、芯がナイロン66であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体である複合繊維などを挙げることができる。
ポリアミド系熱接着性繊維は、表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の約20〜80mass%、好ましくは約30〜70mass%の範囲で使用することが好ましい。
【0015】
中間繊維層と、ポリアミド系熱接着性繊維を含む第1及び第2表面繊維層とを、第1表面繊維層、中間繊維層、及び第2表面繊維層の順に積層し、中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の融点よりも低く、かつポリアミド系熱接着性繊維のポリアミド系接着成分の融点以上の温度で熱プレスすることにより、表面繊維層を構成する繊維相互の接着、及び表面繊維層と中間繊維層との接着を行なうことができる。
表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、ポリアミド系熱接着性繊維を使用する場合には、第1表面繊維層又は第2表面繊維層の少なくともいずれか一方に使用することができ、第1表面繊維層及び第2表面繊維層の両方に使用することが好ましい。第1表面繊維層及び第2表面繊維層の両方に使用する場合には、ポリアミド系熱接着性繊維の、例えば、種類、構造、及び/又は使用比率などは、第1表面繊維層と第2表面繊維層とにおいて、同一であっても、あるいは異なっていてもかまわない。
【0016】
3層以上の繊維層を一体化する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、表面繊維層内に熱接着性繊維を含ませて、積層した繊維層を熱プレスすることにより接着する方法、表面繊維層と中間繊維層との間に点状又は線上に接着剤を介在させて、これにより部分的に接着する方法、中間繊維層上に直接、表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維を吹き付ける方法、又は水流などにより絡合一体化する方法などを挙げることができる。前記方法は、単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明のセパレータは、アルカリ一次電池用及びアルカリ二次電池用のセパレータとして使用することができる。前記アルカリ一次電池としては、例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、又は空気電池などを挙げることができ、前記アルカリ二次電池としては、例えば、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、又はニッケル−水素電池などを挙げることができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径3μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=50g/m2 )を使用し、表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、繊維直径10.0μmで繊維長38mmのナイロン66繊維(50mass%)と繊維直径12.2μmで繊維長38mmのポリアミド系複合繊維(芯がナイロン6であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体であって、鞘成分の融点が170℃である複合繊維)(50mass%)とからなる繊維ウェブ(平均繊維直径=10.9μm;面密度=7g/m2 )を使用した。
前記繊維ウェブ(面密度=7g/m2 )、前記極細繊維ウェブ(面密度=50g/m2 )、及び前記繊維ウェブ(面密度=7g/m2 )をこの順に積層し、180℃で10秒間加熱し、線圧9.8N/cmの条件でカレンダーロールによって加圧して、各繊維ウェブの繊維相互及び繊維ウェブ間を接着した。この後、接着された3つの繊維ウェブ質量に対してノニオン系界面活性剤を1mass%の割合で付着し、再びこれをカレンダーロールに通して厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0019】
比較例1
表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、繊維直径13.6μmで繊維長38mmのナイロン66繊維(50mass%)と繊維直径15.7μmで繊維長38mmのポリアミド系複合繊維(芯がナイロン6であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体であって、鞘成分の融点が170℃である複合繊維)(50mass%)とからなる繊維ウェブ(平均繊維直径=14.5μm;面密度=7g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0020】
実施例2
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径5μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=50g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0021】
比較例2
表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、繊維直径13.6μmで繊維長38mmのナイロン66繊維(50mass%)と繊維直径15.7μmで繊維長38mmのポリアミド系複合繊維(芯がナイロン6であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体であって、鞘成分の融点が170℃である複合繊維)(50mass%)とからなる繊維ウェブ(平均繊維直径=14.5μm;面密度=7g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例2と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0022】
実施例3
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径7μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=50g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0023】
実施例4
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径5μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=60g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0024】
実施例5
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径8.5μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=60g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0025】
実施例6
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径5μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=54g/m2 )を使用し、表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、繊維直径10.0μmで繊維長38mmのナイロン66繊維(50mass%)と繊維直径12.2μmで繊維長38mmのポリアミド系複合繊維(芯がナイロン6であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体であって、鞘成分の融点が170℃である複合繊維)(50mass%)とからなる繊維ウェブ(平均繊維直径=10.9μm;面密度=5g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0026】
実施例7
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径5μmのナイロン6からなる極細繊維(面密度=ウェブ47g/m2 )を使用し、表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、繊維直径10.0μmで繊維長38mmのナイロン66繊維(50mass%)と繊維直径12.2μmで繊維長38mmのポリアミド系複合繊維(芯がナイロン6であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体であって、鞘成分の融点が170℃である複合繊維)(50mass%)とからなる繊維ウェブ(平均繊維直径=10.9μm;面密度=10g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0027】
実施例8
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径10.9μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=60g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0028】
比較例3
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径12μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=50g/m2 )を使用し、表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、繊維直径13.6μmで繊維長38mmのナイロン66繊維(50mass%)と繊維直径15.7μmで繊維長38mmのポリアミド系複合繊維(芯がナイロン6であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体であって、鞘成分の融点が170℃である複合繊維)(50mass%)とからなる繊維ウェブ(平均繊維直径=14.5μm;面密度=7g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0029】
比較例4
メルトブロー法によって得た平均繊維直径5μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=64g/m2 )を、180℃で10秒間加熱し、線圧9.8N/cmの条件でカレンダーロールによって加圧して接着した。この後、接着された繊維ウェブ質量に対してノニオン系界面活性剤を1mass%の割合で付着し、再びこれをカレンダーロールに通して厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
【0030】
比較例5
中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、メルトブロー法によって得た平均繊維直径5μmのナイロン6からなる極細繊維ウェブ(面密度=40g/m2 )を使用し、表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維として、繊維直径10.0μmで繊維長38mmのナイロン66繊維(50mass%)と繊維直径12.2μmで繊維長38mmのポリアミド系複合繊維(芯がナイロン6であり、鞘がナイロン6とナイロン12との共重合体であって、鞘成分の融点が170℃である複合繊維)(50mass%)とからなる繊維ウェブ(平均繊維直径=10.9μm;面密度=12g/m2 )を使用したこと以外は、前記実施例1と同様の操作を実施して、厚さ0.2mmのアルカリ電池用セパレータを得た。
前記実施例1〜8及び前記比較例1〜5で製造した各アルカリ電池用セパレータの中間繊維層の面密度(単位:g/m2 )及び平均繊維直径(単位:μm)、表面繊維層(すなわち、第1表面繊維層及び第2表面繊維層は同じ)の面密度(単位:g/m2 )及び平均繊維直径(単位:μm)、並びに中間繊維層と表面繊維層との質量比率(すなわち、中間繊維層と第1表面繊維層との質量比、及び中間繊維層と第2表面繊維層との質量比は同じ)を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
物性評価
(1)電気抵抗測定
前記実施例1〜8及び前記比較例1〜5で製造した各アルカリ電池用セパレータを、縦3cm×横3cmの大きさに裁断し、これを2枚のニッケル板の間に挟んで、5kgfの加重をかけた。このセパレータに、比重1.3の水酸化カリウムを、セパレータの質量に対して80mass%を注液した際の電気抵抗をミリオームメータで測定した。結果を表2に示す。
極板間の電解液の分布が良好、すなわち均一な分布状態に近い場合には、電気抵抗は低くなり、不均一な場合には、電気抵抗は高くなる。電解液の分布の目安としては、5Ω以下の場合を良好とし、5Ωを超える場合を良好でないと判定することができる。
【0033】
(2)初期電池容量の評価
前記実施例1〜8及び前記比較例1〜5で製造した各アルカリ電池用セパレータを使用して、電池容量が1200mAhのニッケルカドミウム電池を作成した。次に、各電池を240mAで6時間充電を行ない、終止電圧1Vになるまで240mAで放電することからなる充放電操作を1サイクルとして、5サイクル行なった後の電池容量を初期電池容量とした。初期電池容量の評価結果を表2に示す。なお、表2に示す評価基準は、以下のとおりである:
◎:目標容量(1200mAh)。
○:目標容量(1200mAh)よりも0〜1%低い(但し、1%低い場合を除く)。
△:目標容量(1200mAh)よりも1%以上低い。
【0034】
(3)電池寿命の評価
前記の初期電池容量の評価に使用したニッケルカドミウム電池を、240mAで6時間充電を行ない、終止電圧1Vになるまで240mAで放電することからなる充放電操作を1サイクルとして、電池として充放電不可能な状態(すなわち、初期電池容量を100%とした場合に、電池容量が80%以下になった状態)になるまでのサイクル数を測定した。なお、この充放電は、温度20℃で行なった。電池寿命の評価結果を表2に示す。なお、表2に示す評価基準は、以下のとおりである:
◎:サイクル寿命が1500回以上である。
○:サイクル寿命が1000回以上1500回未満である。
△:サイクル寿命が500回以上1000回未満である。
×:サイクル寿命が500回未満である。
○〜×:サンプルによりばらつきがある。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
本発明のアルカリ電池用セパレータは、電池容量及び電池寿命ともに優れている。
Claims (2)
- 第1表面繊維層、中間繊維層、及び第2表面繊維層が、この順に積層されているアルカリ電池用セパレータであって、前記中間繊維層は、平均繊維直径が11μm以下のポリアミド系極細繊維からなり、前記第1表面繊維層及び第2表面繊維層は、平均繊維直径が、前記中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の平均繊維直径以上であり、かつ12μm以下であるポリアミド系極細繊維からなり、前記中間繊維層と前記第1表面繊維層との質量比率、及び前記中間繊維層と前記第2表面繊維層との質量比率が、それぞれ独立に、85:15〜93:7であることを特徴とする、アルカリ電池用セパレータ。
- 第1表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の内、一部のポリアミド系極細繊維が、中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の融点よりも低い融点を有するポリアミド系接着成分を含むポリアミド系熱接着性繊維であり、この熱接着性繊維によって第1表面繊維層と中間繊維層とが接着されており、しかも、第2表面繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の内、一部のポリアミド系極細繊維が、中間繊維層を構成するポリアミド系極細繊維の融点よりも低い融点を有するポリアミド系接着成分を含むポリアミド系熱接着性繊維であり、この熱接着性繊維によって第2表面繊維層と中間繊維層とが接着されている、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22057096A JP3682741B2 (ja) | 1996-08-02 | 1996-08-02 | アルカリ電池用セパレータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22057096A JP3682741B2 (ja) | 1996-08-02 | 1996-08-02 | アルカリ電池用セパレータ |
Publications (2)
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