JP3682536B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーの開環重合による芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネートは、機械的強度および耐衝撃性が極めて高く、ポリメタクリル酸メチルに匹敵する程度に高い透明性を有しており、成形体としたときに良好な寸法安定性を示し、又難燃性であるなどの材料として良好な特性を有している。これらの特性に着目して、代表的なエンジニアリングプラスチックとして各方面で用いられており、具体的には、各種機械部品、各種電気絶縁材料、自動車部品、光ディスクなどの情報機器材料、ヘルメットなどの安全防護用材料などがあり、極めて多岐にわたって利用されている。
【0003】
従来、この芳香族ポリカーボネートは、次の2種の方法により製造されてきた。その一つは、ビスフェノールとジフェニルカーボネートなどの炭酸誘導体を無溶媒条件下に反応させるエステル交換法であり、他の一つは、ビスフェノールとホスゲンを溶媒及び脱酸剤の存在下に脱塩重縮合反応させるホスゲン法である。前者のエステル交換法は、プロセスが簡単であるものの、高分子量のポリカーボネートが得られ難いうえに製品に着色がみられ、また、成形加工時に加水分解し易いなどの材料として好ましくない問題点が指摘されている。一方、後者のホスゲン法では、エステル交換法と比べて高分子量のポリカーボネートが得られ、また、製品は無色であるなどの利点を有するものの、製造に猛毒のホスゲンを用いるためにプロセスとしての危険性が指摘されていた。
【0004】
近年、より高度の材料開発が要求され、ホスゲンなどの危険性の高い物質を用いることなく製造することを前提とした新規な製造方法の研究が積極的に進められている。その新しい製法として、環状オリゴカーボネートを用いる重合法が提案された(例えば、非特許文献1参照)。これはビスフェノールAカーボネートの環状オリゴマーを塩基性触媒の存在下に加熱開環重合させる方法である。この方法により得られるポリマーは、重量平均分子量が50,000〜300,000程度であり、従来法で製造されるポリカーボネートと比較してより高分子量のものである。
しかし、この重合法は、エステル交換法に匹敵する高温条件下で行う必要があるため、得られるポリマーは着色し易く、またゲル化が起こり易いなどの問題を有している。
【0005】
【非特許文献1】
Macromolecules,vol.25,p3035(1991)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記した問題を解消するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、低温重合により安全な方法で良好な特性を有する芳香族ポリカーボネートを高収率で容易に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーにマイクロ波エネルギーを付与すると、ポリマーの融点以下の反応温度において重合反応が進行することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(II)
【化4】
Figure 0003682536
[式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または置換若しくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を示す。l及びmは、それぞれ0〜2の整数であり、nは2〜20の整数である。また、Xは、以下に示す基から選ばれる。
【化5】
Figure 0003682536
(ここで、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または置換若しくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を示し、Rは炭素数3〜8のアルキレン基を示す。)]
で表される環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーを、マイクロ波照射することにより開環重合させることを特徴とする下記一般式(I)
【化6】
Figure 0003682536
(式中、R〜R、l、m及びnは、前記したと同じ意味を有する。)
で表される繰り返し構造単位を有する芳香族ポリカーボネートの製造方法である。
【0009】
また、本発明は、前記一般式(II)で表される環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーを、触媒の存在下にマイクロ波照射することにより開環重合させることを特徴とする前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する芳香族ポリカーボネートの製造方法である。
上記のマイクロ波照射は、出力50〜800Wのマイクロ波を照射するものであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における芳香族ポリカーボネートの製造原料としては、下記一般式(II)
【化7】
Figure 0003682536
で表される環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーを用いる。
一般式(II)において、R及びRは、それぞれ独立に、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、メチル、エチル、プロピル、n−,t−ブチル、ペンチルなどの炭素数1〜5のアルキル基、フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子或いはアルキル基などの置換基を持つフェニル、ナフチルなどの炭素数6〜10のアリール基から選ばれる基である。l及びmは、それぞれ0、1または2であり、nは2〜20の整数である。 また、Xは、以下の基から選ばれる。
【0011】
【化8】
Figure 0003682536
【0012】
上記の基において、R及びRは、それぞれ独立に、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、メチル、エチル、プロピル、n−,t−ブチルなどの炭素数1〜5のアルキル基、フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子或いはアルキル基などの置換基を持つフェニル、ナフチルなどの炭素数6〜10のアリール基から選ばれる基である。また、Rは炭素数3〜8のアルキレン基であって、主鎖を構成する炭素原子と一緒になってシクロペンタン、シクロヘキサンなどの飽和炭素環を形成する。
【0013】
本発明に原料として用いられる環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーを構成する芳香族カーボネート類としては、次のものが例示される。
(1)ビス(ヒドロキシアリール)アルカンカーボネート、
(2)ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカンカーボネート、
(3)ジヒドロキシアリールエーテルカーボネート、
(4)ジヒドロキシジアリールスルフィドカーボネート、
(5)ジヒドロキシジアリールスルホキシドカーボネート、
(6)ジヒドロキシアリールスルホンカーボネート
【0014】
上記(1)〜(6)にいう芳香族カーボネート類の具体例としては、以下のものを挙げることができる。
(1)ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンカーボネート、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンカーボネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンカーボネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンカーボネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタンカーボネート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンカーボネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンカーボネート、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンカーボネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパンカーボネート
(2)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタンカーボネート、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンカーボネート
(3)4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルカーボネート、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテルカーボネート
(4)4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドカーボネート、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドカーボネート
(5)4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシドカーボネート、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドカーボネート。
(6)4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン
【0015】
これらの芳香族カーボネートを用いて得られる原料の環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、通常一種で用いるが、二種類以上を混合して用いることもできる。これらの中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンカーボネートの環状芳香族カーボネートを原料に用いると、目的生成物である芳香族ポリカーボネートが高収率で得られるので最も好ましい。
【0016】
次に、これらの原料オリゴマーを製造する方法の一例を示す。
ビス(ヒドロキシアリール)アルカンカーボネートの環状芳香族カーボネートは、以下の方法により製造できる。
ビス(ヒドロキシアリール)アルカンのビスクロロホルメートとトリホスゲンを原料として、加水分解させた後、縮合反応させることにより、2量体から20量体程度のビス(ヒドロキシアリール)アルカンカーボネートのオリゴマーが得られる。
同様にして、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカンカーボネートのオリゴマーを得ることができ、また、ジヒドロキシアリールエーテルカーボネート、ジヒドロキシアリールスルフィドカーボネート、ジヒドロキシジアリールスルホキシドカーボネート及びジヒドロキシアリールスルホンなどの環状芳香族カーボネートのオリゴマーも得ることができる。次に、環状芳香族カーボネートオリゴマーを製造する化学反応式の一例を示す。
【0017】
【化9】
Figure 0003682536
【0018】
本発明の重合反応は、以下のようにして行う。
原料となる前記一般式(II)で表される環状芳香族カーボネートオリゴマーを重合反応器に供給する。その重合反応系内に不純物が含まれていると、その不純物が触媒作用に関与して重合挙動が一律でなくなる可能性があるため、原料の精製などには注意を要する。原料を精製するためには、適当な単一溶媒或いは混合溶媒を用いる再沈殿、カラムクロマトグラフィーによる分別法などが用いられる。この場合、原料の純度の確認は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置などを用いて行う。
重合反応器は、マイクロ波を照射するため、金属製以外のものを用いる。また、原料である環状芳香族カーボネートと反応しないもの、また副反応を起こさないものであることが必要である。本発明の重合反応に用いる反応器の材質としては、通常、ガラス、セラミックス、フッ素樹脂等である。また、撹拌手段は有してもよいが、必ずしも撹拌が必要というものではない。
【0019】
本発明の重合反応は、マイクロ波照射を行うことが必要である。そのマイクロ波照射の出力としては、50〜800Wの範囲、好ましくは300〜600Wの範囲のものを用いる。250W未満では、重合反応が進行しない場合があり、他方650Wを越えると、目的生成物中に分岐構造が高度に進行し所望のものが得られない或いは着色の原因となるなどの好ましくない事態が発生する恐れがある。ただし、この出力ワット値はマルチモードタイプの加熱装置を用いる場合に限られることであって、モノモードタイプの装置を用いる場合には加熱の効率が著しく高まるため、好ましい出力範囲はこの範囲に限られない。
マイクロ波照射のマグネトロン周波数としては300MHz〜300GHzの範囲のものであれば使用可能であるが、2,450MHzのものが好ましい。
【0020】
重合反応の反応圧力は、大気圧から35Bar程度の範囲で行われるが、通常、大気圧下で進めることができる。また、反応温度は、20〜300℃の範囲であり、好ましくは100〜250℃である。さらにまた、反応時間は10秒から240分、好ましくは5〜90分の範囲である。
本発明の重合反応には、マイクロ波照射の他に、触媒を用いても用いなくてもよいが、一般的には触媒を併用する方が効率的である。ただ、触媒の種類によっては、目的生成物に着色が起こることがあるので注意を要する。本発明において、触媒として添加できる化合物としては、スズ、チタン、アルミニウムなどの金属を有する有機金属化合物或いは有機金属錯体、ナトリウム、リチウムなどの塩類、ビスフェノール類、アミン類などが挙げられ、具体的には、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサン、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールA、チタニウム(IV)ビス(エチルアセトアセタート)ジイソプロポキサイド、臭化リチウム、ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。これらの触媒は、1種でも或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
重合反応の終了後に反応生成物から目的生成物を得るには、まず初めに、反応生成物をクロロホルム、塩化メチレンなどの溶剤に溶解させ、次に、ケトン類などにより再沈殿させる。必要に応じてこの操作を繰り返し、未反応原料及び副反応生成物を除去した後、減圧下に乾燥させることにより、白色の純粋な目的生成物のポリマーを得ることができる。この再沈殿の操作は、場合によっては省略することもでき、反応器より生成物を取り出しそのまま使用することも可能である。
【0022】
前記重合反応生成物を精製処理することにより、前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する芳香族カーボネートを目的生成物として得ることができる。本発明方法により得られる芳香族ポリカーボネートの分子量は、数千から数十万の範囲、主として2万〜10万程度のものであり、良好な化学的及び機械的特性を有するものである。その分子量の上限値は必ずしも明確ではないが、16万程度の高分子量芳香族ポリカーボネートの生成を確認している。この分子量は、反応条件を種々変更することにより、さらに高分子量の芳香族ポリカーボネートを得ることも可能である。
【0023】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの内容によっては何ら限定されるものではない。
得られた目的生成物の確認は、次の方法を用いて行った。
(1) 高分子化合物の基本単位の構造の確認
得られる芳香族ポリカーボネートを構成する基本単位の構造については、赤外線分光分析及びNMR分析のスペクトルを解析することにより行った。
(2) 分子量の測定
得られる芳香族ポリカーボネートをクロロホルムに溶解させた後、ポリスチレンで校正したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析し、重量平均分子量を算出した。
【0024】
実施例1
環状芳香族ポリカーボネートとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)のビスクロロホルメートとトリホスゲンを用いてビスフェノールAカーボネートの環状オリゴマー(Mw=1,900、Mw/Mn=1.07)を合成した。このオリゴマーは、主に2〜20量体からなる混合物であることを、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(島津製作所社製)により確認した。
このビスフェノールAカーボネートの環状オリゴマー1gを、触媒の1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサン22g(触媒/原料モル比=0.0001/1)とともにクロロホルムに溶解させた後、溶媒を完全に留去したものを重合原料とした。
この原料100mgをガラス製反応容器に入れ、500Wのマイクロ波を30分間照射して重合反応を行った。このマイクロ波照射には、マルチモードマイクロ波照射装置(ER−VS1、東芝社製)を用いた。その際、反応容器の底面温度は、熱電対を用いて計測したところ187℃であった。
反応の終了後、反応容器中には無色透明なポリマーを含む反応生成物が得られた。この全量をクロロホルムに溶解させてポリマーを得た。このポリマーは、ポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、重量平均分子量86,500であり、また転化率96%であった。
このポリマーを赤外線分光分析及び1H−NMRによるスペクトル測定を行い、ビスフェノールAカーボネートを基本骨格とするポリマーであることを確認した。
【0025】
実施例2
実施例1に用いた触媒をステアリン酸リチウムに代えたこと以外は、実施例1と同様にして重合反応を行った。得られたポリマーを実施例1と同様にして分析したところ、このポリマーは、重量平均分子量85,700であり、また転化率99%であった。
【0026】
実施例3
実施例1に用いた触媒をビスフェノールAに代えたこと以外は、実施例1と同様にして重合反応を行った。得られたポリマーを実施例1と同様にして分析したところ、このポリマーは、重量平均分子量79,800であり、また転化率98%であった。
【0027】
実施例4
実施例1に用いた触媒をチタニウム(IV)ビス(エチルアセトアセタト)ジイソプロポキシドに代えたこと以外は、実施例1と同様にして重合反応を行った。得られたポリマーを実施例1と同様にして分析したところ、このポリマーは、重量平均分子量94,700であり、また転化率90%であった。
【0028】
実施例5
実施例1と同様にして、ビスフェノールAカーボネートの環状オリゴマーに、無触媒で500Wのマイクロ波を30分間照射して重合反応を行った。得られたポリマーを実施例1と同様にして分析したところ、このポリマーは、重量平均分子量67,100であり、また転化率63%であった。
【0029】
比較例1
実施例1と同様の反応容器にビスフェノールAカーボネートの環状オリゴマーを入れ、無触媒で220℃の恒温糟に入れ、30分間加熱して重合反応を行った。得られた反応生成物を実施例1と同様にして分析したところ、原料のビスフェノールAカーボネートの環状オリゴマーが回収されたことが確認された。
【0030】
比較例2
実施例1と同様の反応容器にビスフェノールAカーボネートの環状オリゴマーを入れ、無触媒で300℃の恒温糟に入れ、30分間加熱して重合反応を行った。反応の終了後、反応容器中には無色透明なポリマーを含む反応生成物が得られたが、この反応生成物の大部分はクロロホルムに溶解しなかった。
【0031】
次に、環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーの重合反応に及ぼすマイクロ波照射(500W)の影響を示すデータを、表1に示す。
【表1】
Figure 0003682536
【0032】
また、環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーにマイクロ波照射(500W)と触媒を併用して重合させる際、反応温度、反応時間及び触媒の種類(触媒濃度0.01モル)による原料変換率、得られるポリマーの重量平均分子量(Mw)及びMw/Mn値のデータを、表2に示す。
なお、表2中の触媒aは1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサン、触媒bはステアリン酸リチウム、触媒cはビスフェノールA、触媒dはチタニウム(IV)ビス(エチルアセトアセタート)ジイソプロポキサイドである。
【0033】
【表2】
Figure 0003682536
【0034】
さらに、環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーの重合反応において、それぞれマイクロ波照射(500W)と触媒を併用した場合、マイクロ波照射(500W)のみの場合及び加熱重合(220℃)の場合について、加熱時間と変換率との関係を示すグラフを図1に示し、また、加熱時間と得られたポリマーの重量平均分子量との関係を示すグラフを図2に示す。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーはマイクロ波を照射されると、活性化されて加熱開環重合が促進されることから、比較的低温において安全に高分子量の芳香族ポリカーボネートを簡易に高収率で得ることができる。
また、本発明方法は、従来法に比して溶媒の使用量が少なくて低温で反応速度が速いうえ、得られる芳香族ポリカーボネートは高分子量であるが溶媒に可溶であり、着色やゲル化しないため、工業的生産に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 環状芳香族ポリカーボネートの開環重合反応における加熱時間と原料変換率の関係を示すグラフである。
【図2】 環状芳香族ポリカーボネートの開環重合反応における加熱時間と得られるポリマーの重量平均分子量との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 下記一般式(II)
    Figure 0003682536
    [式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または置換若しくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を示す。l及びmは、それぞれ0〜2の整数であり、nは2〜20の整数である。また、Xは、以下に示す基から選ばれる。
    Figure 0003682536
    (ここで、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または置換若しくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を示し、Rは炭素数3〜8のアルキレン基を示す。)]
    で表される環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーを、マイクロ波照射することにより開環重合させることを特徴とする下記一般式(I)
    Figure 0003682536
    (式中、R〜R、l、m及びnは、前記したと同じ意味を有する。)
    で表される繰り返し構造単位を有する芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 前記一般式(II)で表される環状芳香族ポリカーボネートオリゴマーを、触媒の存在下にマイクロ波照射することにより開環重合させることを特徴とする前記一般式(I)で表される繰り返し構造単位を有する請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  3. 前記マイクロ波照射が、出力50〜800Wのマイクロ波を照射するものである請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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