JP3682166B2 - 硫化銅精鉱の熔錬方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、銅の乾式製錬法に関し、特に、硫化銅精鉱あるいは硫化銅精鉱から得られたマットを酸化熔錬して白カワあるいは粗銅を得る製錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銅の溶融製錬は、硫化銅精鉱を酸化溶融し、鉱石中のFeの一部を酸化しスラグとして除去するとともに、Sの一部をSO2 とし、CuをFeSとCu2 Sの混合物であるマットとして濃縮するマット熔錬工程、次いで、得られたマットをさらに酸化してFeをスラグとして除去し、Feをほとんど含まない白カワ(Cu2 S)を得る白カワ製造工程、この白カワをさらに酸化して粗銅を得る造銅工程からなる。マット熔錬炉としては一般的に自熔炉が用いられ、白カワ製造工程と造銅工程は、通常、転炉で行われる。
【0003】
通常、硫化銅精鉱には脈石分としてSiO2 が含まれるため、マット熔錬工程では鉄シリケートスラグが用いられる。転炉でも、通常、溶剤として珪酸鉱を添加して鉄シリケートスラグを形成する。
【0004】
マット熔錬炉では、マット中の銅品位(マットグレード;MG)が、通常70質量%以下のマットを製造し、これを転炉に導入する。転炉はバッチ式で、前述のように、白カワ、次いで粗銅とする。プラント全体の生産性を高めるうえで、マット熔錬炉のMGを高め、バッチ式転炉の負荷を下げることが望ましい。マット熔錬炉で白カワまで酸化できれば、転炉での白カワ製造工程が不要になる。さらに、粗銅まで酸化できれば、転炉工程そのものが不要となる。しかし、マット熔錬炉の酸化度を上げようとすると、鉄シリケートスラグに起因する以下の問題があった。
【0005】
(1)マグネタイトトラブル:
鉄シリケートスラグでは3価のFeの溶解度が低い。このため、固体マグネタイトが析出して炉底に沈積するなど、いわゆるマグネタイトトラブルを招く。これを避けるために、MGを高くする場合には、熔錬温度を1300℃以上に上げざるを得ない。しかし、これは炉体の損傷を促進する。また、銅の一部を酸化してスラグ中の銅品位を高くすると、鉄シリケートスラグでもマグネタイトトラブルを避けて粗銅が得られるが、このときのスラグ中の銅品位は25%以上必要で、粗銅の収率が著しく低くなる。
【0006】
(2)銅の酸化溶解:
MGの上昇にともなって、鉄シリケートスラグ中への銅の酸化物としての溶解度が著しく上昇する。
【0007】
(3)不純物の濃縮:
鉄シリケートスラグとマットあるいは粗銅の共存下では、As、Sbなどの酸化物の鉄シリケートスラグへの溶解度が低いために、これらの不純物がマットあるいは粗銅中に濃縮する。その程度は、鉄シリケートスラグと粗銅が共存する場合、特に著しく、これらの不純物の高い硫化銅精鉱から鉄シリケートスラグ共存下で直接粗銅を得ることができない理由の一つとされていた。
【0008】
これらの点から、鉄シリケートスラグを用いるマット熔錬炉では、通常、MG65〜70%程度を上限として操業が行われている。
【0009】
また、同様の問題からマットをS品位の低い粗銅にまで酸化する工程においては、鉄シリケートスラグ共存下では連続化が不可能とされ、通常、転炉を用いたバッチ式の処理が行われてきた。鉄シリケートスラグ共存下で、マットから粗銅を連続的に得ている報告(特開昭58−224128号)もあるが、これはスラグ−白カワ−粗銅の3相共存下で粗銅を得たもので、このときの粗銅中のS品位は1.5%と高くならざるを得ず、後工程である精製炉の操業負荷を著しく増大させる。
【0010】
この問題を避けて、本願発明者の一人は、マット熔錬炉で白カワを製造する方法を特公平5−15769号で提案している。これは、溶剤として石灰を加え、硫化銅精鉱中の鉄分をカルシウムフェライトスラグとして除去するというものである。カルシウムフェライトスラグを用いることで、マグネタイトの析出は防止でき、また、As、Sbなどの不純物のスラグへの除去率は、鉄シリケートスラグより高いという利点があった。しかし、下記のような問題があった。
【0011】
(1)硫化銅精鉱中には、通常、若干のSiO2 が含まれる。このため、なるべく純粋なカルシウムフェライトスラグを生成させるためには、処理する硫化銅精鉱はSiO2 品位の低いもの(3%以下)に限られる。
【0012】
(2)上記の低SiO2 硫化銅精鉱であっても、カルシウムフェライトスラグ中に少量のSiO2 が存在すると、スラグの粘性を悪化させたり、泡立ちを引き起こし、安定的な操炉が困難であった。このため、カルシウムフェライトスラグを用いる場合、スラグ中のSiO2 品位は1%以下(スラグ中のFeに対し質量で約1.7%以下)に制御しなければならず、この方法により、カルコパイライトを主体とした標準的な硫化銅精鉱から白カワを得ようとする場合、実用上は硫化銅精鉱中のSiO2 品位は0.4%以下に限定されていた。
【0013】
(3)カルシウムフェライトスラグへのPbの溶解度が低いため、Pbが該スラグ中に分配されにくく、白カワに濃縮する。
【0014】
(4)カルシウムフェライトスラグへの銅の酸化物としての溶解量が多く、選鉱による回収率が低い。
【0015】
一方、転炉工程では、マットをさらに酸化して白カワ、粗銅とするうえで、鉄シリケートスラグに起因する問題を避けるために、工程をバッチとし、白カワとスラグが共存する状態でいったん吹錬を中断して炉を傾転させてスラグを排出し、白カワのみを転炉内に残して粗銅までの酸化を行う。この方式は、バッチ方式に起因する種々の不利益を含んでおり、転炉操業を煩雑なものとしている。
【0016】
三菱連続製銅法では、転炉(C炉)工程でカルシウムフェライトスラグを用いることでマグネタイトの析出を避け、MG65%程度のマットから粗銅を連続的に製造している。しかし、カルシウムフェライトスラグに起因する以下のような問題があった。
【0017】
(1)スラグ中の銅品位は酸素分圧に対して連続的に変化し、粗銅中のS品位を下げるほどスラグ中の銅品位が高くなる。実用上は、粗銅中のSを0.5〜1%程度でスラグ中のCuは13〜15%となり、これ以下のS品位とするのは銅の収率の点から効率的ではない。
【0018】
(2)カルシウムフェライトスラグ中の銅分は、主として酸化物で化学的に溶解したものであり、徐冷しても選鉱による銅の回収率が低い。
【0019】
(3)前述のように、カルシウムフェライトスラグ中のSiO2 が1〜3%程度になると粘性が著しく増大し、フォーミング(泡立ち)を起こす。このため、鉄シリケートスラグの混入したマットは原料として使用困難であった。マット中のFe品位を10%とすると、マット中への混入が許容できるSiO2 はマットに対して0.2%以下であり、マット熔錬工程から産出されるマットへのスラグの混入防止に特に注意する必要があった。
【0020】
(4)Pbの溶解度が低いため、Pbがスラグ中に分配されにくく、粗銅に濃縮する。このため、高Pb原料から従来の方法で電解可能なアノードの製造は困難であった。
【0021】
(5)同一温度で比較した場合、煉瓦への浸透性が大きいため、シリケートスラグより転炉煉瓦の浸食性が大きい。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硫化銅精鉱あるいはマットを連続的に酸化して白カワあるいは粗銅を得るうえで、(1)1300℃以下の通常の銅熔錬温度でマグネタイトトラブルがなく、(2)SiO2 を含有する硫化銅精鉱やマットの処理にも適用でき、(3)スラグへの銅の損失が少なく、(4)浮選によりスラグ中の銅分の回収が可能で、(5)As、Sb、Pbのスラグへの除去能が高く、(6)煉瓦の熔損が少ない硫化銅精鉱の熔錬方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法は、硫化銅精鉱に溶剤としてSiO2 源とCaO源を加え、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比が0.3〜0.6で、かつFe/(FeO x +SiO2 +CaO)の質量比が0.2〜0.5であるスラグと白カワに近いマットあるいは白カワあるいは粗銅とを生成するように酸化熔錬することを特徴とする。さらに、生成したスラグを徐冷固化した後、粉砕して浮選し、回収した銅分を酸化熔錬工程に繰り返すことが望ましい。また、硫化銅精鉱中のSiO 2 含有量が、スラグに除去しようとするFeに対して1.7重量%以上であることが望ましい。また、生成したスラグの温度を1300℃以下に制御することが望ましい。
【0024】
また、硫化銅精鉱を熔錬して得られるマットにSiO2 源とCaO源を加え、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比が0.3〜0.6で、かつFe/(FeOx +SiO2 +CaO)の質量比が0.2〜0.5であるスラグと粗銅とを生成するように酸化熔錬することを特徴とする。さらに、生成したスラグを徐冷固化した後、粉砕して浮選し、回収した銅分をマットの酸化熔錬工程に繰り返すことことが望ましい。また、生成したスラグを溶融状態のまま、マットの酸化熔錬工程に繰り返すことが望ましい。また、生成したスラグを冷却固化した後、マットの酸化熔錬工程に繰り返すことが望ましい。また、マット中のSiO 2 含有量がスラグ中に除去しようとするFeに対し1.7重量%以上であることが望ましい。また、生成したスラグの温度を1300℃以下に制御することが望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
白カワあるいは粗銅を製造する高い酸素分圧条件におけるスラグの特徴を、従来、銅製錬で用いられてきた鉄シリケートスラグ、三菱法で用いられているカルシウムフェライトスラグ、本発明で用いる鉄カルシウムシリケートスラグとを、比較して表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003682166
【0027】
従来、鉄シリケートスラグに若干のCaOを加えて粘性を改善することは行われてきた。ただし、マット熔錬工程ではCaO品位が高くなると、銅の硫化物としての溶解度が増えるうえに、スラグ量も増えるので不利と考えられてきた。しかし、硫化溶解が問題とならない白カワや粗銅と共存する条件下では、鉄シリケートスラグやカルシウムフェライトスラグで銅の酸化溶解が著しく多くなるのに対し、本発明で用いる鉄カルシウムシリケートスラグでは、銅の酸化溶解が少なくて済むため、スラグ量×銅品位=酸化溶解による銅の損失量で評価すると、従来法(鉄シリケートスラグあるいはカルシウムフェライトスラグを用いる高MGのマット熔錬法や白カワ熔錬や直接製銅法)より少なくなることを見出し、本発明に至った。
【0028】
図1は、硫化銅精鉱を酸化してMG75のマットを得る場合の、1300℃でのスラグ中の銅量(A)、生成するスラグ量(B)、スラグ中の銅品位(C)を、スラグ中のCaO/(SiO2 +CaO)の質量比(横軸)およびFe%(縦軸)に対して示したグラフである。各図には、各固相の飽和線が示されており、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比が0.6以上では2CaO・SiO2 が析出する。また、Fe品位が高すぎると、マグネタイトが析出する。図の左端が従来の鉄シリケートスラグ(CaO=0%)に相当する。
【0029】
スラグ中の鉄品位が低くなるほど銅品位が低くなる傾向にあり、またCaO/(SiO2 +CaO)の質量比が大きいほど銅品位は低くなる。生成するスラグ量は、スラグ中の鉄品位によって決まり、除去すべき鉄量は原料により決まるので、スラグ中の鉄品位が高いほどスラグ量は少なくなる。スラグへ移行する銅量(損失量)は、スラグ量×スラグ中銅品位で決まり、最上段に示したように、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比が0.5〜0.6、そして、Fe/(FeOx +SiO2 +CaO)の質量比が0.2〜0.5の組成付近で極小値をもつ。すなわち、スラグ中への銅の損失を最小にするという点からは、この付近の組成のスラグを選べばよい。
【0030】
一方、図2は、スラグ中のAsの活量係数をスラグ組成に対して示したグラフである。横軸にCaO/(SiO2 +CaO)の質量比、縦軸にAsの活量係数(γAsO1.5)を示している。図の左端が従来の鉄シリケートスラグ、右端がカルシウムフェライトスラグに相当し、本発明で用いる鉄カルシウムシリケートスラグは両者の中間に位置する。活量係数は、値が小さいほど、その元素がスラグ中に除去されやすいことを示す。
【0031】
図2より、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比を0.3以上にすると、Asの除去能は、鉄シリケートスラグより高くなることがわかる。なお、Asと同じV族に属するSbも同様の挙動を示す。
【0032】
一方、図3に示したように、Pbは逆の挙動を示し、Pbの活量係数(γPbO)がカルシウムフェライトスラグで著しく大きな値となっており、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比が小さなほど小さな値を示す。Pbの除去能は、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比が0.3〜0.6では、鉄シリケートスラグと比べるとやや劣るものの、カルシウムフェライトスラグに比べると、かなり大きな除去能をもっている。
【0033】
以上より、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比を0.3〜0.6とすることで、As、Sb、Pbのいずれについてもスラグ中に除去しやすくなることがわかる。
【0034】
図4は、図1と同様の関係を、白カワ共存下でS品位1〜1.5%程度の粗銅を得る場合について示したものである。図の左端が鉄シリケートスラグ(CaO=0%)、右端がカルシウムフェライトスラグ(SiO2 =0%)に相当する。最上段の図より、銅の損失量は、2CaO・SiO2 の飽和線に近いところで極小をとることがわかる。カルシウムフェライトスラグでも、銅の損失量は比較的少ないが、少量のSiO2 が持ち込まれると、2CaO・SiO2 飽和となり、スラグの泡立ちという問題を生ずる。
【0035】
不純物の分配については、マット熔錬と同じ傾向にあり、カルシウムフェライトスラグはPbを吸収しにくく、鉄シリケートスラグではAs、Sbを吸収しにくいという欠点があるのに対し、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比を0.3〜0.6とすることで、As、Sb、Pのいずれをもスラグ中に除去しやすくなる。
【0036】
以上より、CaO/(SiO2 +CaO)の質量比が0.3〜0.6、Fe/(FeOx +SiO2 +CaO)の質量比が0.2〜0.5の範囲に銅の損失を最小にし、かつPb、As、Sbのいずれをも除去しやすい最適組成があることがわかる。
【0037】
図5は、酸素分圧に対するスラグ中の銅品位を示したもので、図4に示した場合より、さらに酸化度が高い領域でS品位の低い粗銅を得ようとする場合の挙動が示されている。図中、曲線Aが鉄シリケートスラグ、曲線Dがカルシウムフェライトスラグ、曲線B、Cが本発明で用いる鉄カルシウムシリケートスラグを示す。鉄シリケートスラグ、カルシウムフェライトスラグでは、酸素分圧の上昇に応じてスラグ中の銅は100%まで連続的に変化する。それに対して、鉄カルシウムシリケートスラグでは、銅品位約20%で酸化銅飽和となるので、スラグ中の銅品位はこの品位以上には上がらない。すなわち、この条件で粗銅を作ると、スラグ中の銅品位が約20%でS品位が0.01%以下の粗銅(酸化銅飽和の粗銅)が得られる。同程度の酸化度の粗銅を鉄シリケートスラグあるいはカルシウムフェライトスラグで作ると、スラグ中の銅品位は著しく高くなり収率の点から実用とはならない。
【0038】
煉瓦の浸食については、スラグ成分の煉瓦への浸透が大きな影響を及ぼすと考えられている。通常、銅製錬で用いられるマグクロ煉瓦中にスラグ成分が浸透した場合、スラグ中の酸化鉄はペリクレース(MgO)やCr23を含むスピネルに吸収されることが知られている。SiO2 を含むスラグの場合、煉瓦内に浸入すると、酸化鉄がペリクレース(MgO)やスピネル中に固溶することにより、スラグ中のSiO2 濃度が高くなる。その結果、スラグの粘性が上昇し、それ以上のスラグ浸透が抑制されると考えられる。
【0039】
【実施例】
[実施例1]
1300℃に保持されたマグネシア製ルツボ内に表2に示す溶融マット40gと溶融スラグ60gを用意し、溶融浴中に同じく表2に示す組成の硫化銅精鉱とSiO2 (SiO2 純分95%以上)とCaO(CaO純分98%以上)とをランスパイプを用いて95%O2−5%N2(容量%)とともに、ランスパイプを浸漬せずに、吹き込んだ。
【0040】
【表2】
Figure 0003682166
【0041】
吹き込みに用いたランスパイプはアルミナ製で、20g/分の硫化銅精鉱と、1.94g/分のSiO2 、2.20g/分のCaOを4.5リットル/分の95%O2−5%N2(容量%)ガスとともに吹き込んだ。
【0042】
上記の条件で吹き込みを50分間継続して、10分間静止した後、冷却凝固させて、マットおよびスラグの質量ならびに分析品位を求め、最初に装入したマット、スラグの量ならびに品位から各成分量を差し引いて、反応により生成したマット量、スラグ量ならびにその品位を計算した結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
Figure 0003682166
【0044】
【実施例2】
1300℃に保持されたマグネシア製ルツボ内に表4に示す組成の溶融粗銅30gと溶融スラグ80gを用意し、溶融浴中に同じく表4に示す組成の硫化銅精鉱とSiO2 (SiO2 純分95%以上)とCaO(CaO純分98%以上)とをランスパイプを用いて95%O2−5%N2(容量%)とともに、ランスパイプを浸漬せずに、吹き込んだ。
【0045】
【表4】
Figure 0003682166
【0046】
吹き込みに用いたランスパイプはアルミナ製で、20g/分の硫化銅精鉱と、3.02g/分のSiO2 、2.88g/分のCaOを5.8リットル/分の95%O2−5%N2(容量%)ガスとともに吹き込んだ。
【0047】
上記の条件で吹き込みを50分間継続して、10分間静止した後、冷却凝固させて、粗銅およびスラグの質量ならびに分析品位を求め、最初に装入した粗銅、スラグの量ならびに品位から各成分量を差し引いて、反応により生成した粗銅量、スラグ量ならびにその品位を計算した結果を表5に示す。
【0048】
【表5】
Figure 0003682166
【0049】
【実施例3】
1300℃に保持されたマグネシア製ルツボ内に表6に示す組成の溶融粗銅60gと溶融スラグ40gを用意し、溶融浴中に同じく表6に示す組成のマットとSiO2 (SiO2 純分95%以上)とCaO(CaO純分98%以上)とを95%O2−5%N2(容量%)とともに、ランスパイプを浸漬せずに、吹き込んだ。
【0050】
【表6】
Figure 0003682166
【0051】
吹き込みに用いたランスパイプはアルミナ製で、20g/分の硫化銅精鉱と、1.78g/分のSiO2 と、1.14g/分のCaOとを4.0リットル/分の95%O2−5%N2(容量%)ガスとともに吹き込んだ。
【0052】
上記の条件で吹き込みを50分間継続して、10分間静止した後、冷却凝固させて、粗銅およびスラグの質量ならびに分析品位を求め、最初に装入した粗銅、スラグの量ならびに品位から各成分量を差し引いて、反応により生成した粗銅量、スラグ量ならびにその品位を計算した結果を表7に示す。
【0053】
【表7】
Figure 0003682166
【0054】
この実施例1〜3の試験において、ダスト発生率は4〜7質量%の範囲であった。この間、マグネタイトの発生によるトラブルは全くなかった。
【0055】
【実施例4】
実施例3において生成したスラグを200メッシュアンダーが95%となるまでボールミルにて微粉砕し、このスラグ200gを水で65質量%スラリーとし、試験用浮選機によって浮選テストを実施した。この際、起泡剤としてパイン油0.02g、浮選剤として市販のDM−2000、MCB−4、ザンセートを各々0.006g、0.01g、0.03g添加した。
【0056】
テスト結果を表8に示す。浮選により80%以上の銅を回収できることが確認された。
【0057】
【表8】
Figure 0003682166
【0058】
【実施例5】
反応塔の内径1.5m、高さ3.5m、セトラー部の内径1.5m、長さ5.2mの小型自熔炉を用い、表9に示した組成の精鉱と粉珪石と粉石灰(いずれも200μm以下に粉砕したもの)を所定の比率で調合、乾燥したもの(以下、乾鉱という)を反応塔天井に設けられた精鉱バーナーから酸素50%の酸素富化空気とともに反応塔内に吹き込み、スラグとマットを得た。精鉱バーナーには重油バーナーが組み込まれており、反応塔の熱バランスを保つように重油量を調節した。操業は4日間行った。得られた結果を表9に示す。表9より、MG約76の高品位マットが安定的に得られたことがわかる。
【0059】
【表9】
Figure 0003682166
【0060】
【比較例1】
1300℃に保持されたマグネシア製ルツボ内に表10に示す組成の溶融マット30gと溶融スラグ40gを用意し、溶融浴中に同じく表10に示す組成の硫化銅精鉱とSiO2 (SiO2 純分97%以上)とを95%O2−5%N2(容量%)とともに、ランスパイプを浸漬せずに、吹き込んだ。
【0061】
【表10】
Figure 0003682166
【0062】
吹き込みに用いたランスパイプはアルミナ製で、37.5g/分の硫化銅精鉱と、7.6g/分のSiO2 とを9.2リットル/分の95%O2−5%N2(容量%)ガスとともに吹き込んだ。
【0063】
試験開始5分後には、マットと生成マグネタイトの混合した高融点物質の形成により、供給原料の融体中への吹き込みが不可能となり、さらにこれらの物質のため、ランスパイプの閉塞が起こり、実験の継続が不可能となった。
【0064】
【比較例2】
1300℃に保持されたマグネシア製ルツボ内に表11に示す組成の溶融粗銅60gと溶融スラグ40gを用意し、溶融浴中に同じく表11に示す組成のマットとCaO(CaO純分98%以上)を95%O2−5%N2(容量%)とともに、ランスパイプを浸漬せずに、吹き込んだ。
【0065】
【表11】
Figure 0003682166
【0066】
吹き込みに用いたランスパイプはアルミナ製で、20g/分のマットと、0.73g/分のCaOとを0.20リットル/分の95%O2−5%N2(容量%)ガスとともに吹き込んだ。
【0067】
試験開始30分後、スラグのわき上がり現象が起こり、ルツボ内の熔体の大半がルツボ外に吹きこぼれ、実験の継続が不可能となった。
【0068】
【比較例3】
1300℃に保持されたマグネシア製ルツボ内に表12に示す組成の溶融粗銅60gと溶融スラグ40gを用意し、溶融浴中に同じく表12に示す組成のマットとCaO(CaO純分98%以上)を95%O2−5%N2(容量%)とともに、ランスパイプを浸漬せずに、吹き込んだ。
【0069】
【表12】
Figure 0003682166
【0070】
吹き込みに用いたランスパイプはアルミナ製で、20g/分のマットと、0.7g/分のCaOとを4.2リットル/分の95%O2−5%N2(容量%)ガスとともに吹き込んだ。
【0071】
上記の条件で吹き込みを50分間継続して、10分間静止した後、冷却凝固させて粗銅およびスラグの質量ならびに分析品位を求め、最初に装入した粗銅、スラグの量ならびに品位から各成分量を差し引いて、反応により生成した粗銅量、スラグ量ならびにその品位を計算した結果を表13に示す。
【0072】
S品位0.06%の粗銅が得られたが、スラグ中の銅品位が高く、粗銅の収率は約80%であった。
【0073】
【表13】
Figure 0003682166
【0074】
【比較例4】
Cu16.4%、Fe47.6%、CaO15.7%を含むカルシウムフェライトスラグを200メッシュアンダーが95%となるまでボールミルにて微粉砕し、このスラグ200gを水で65質量%スラリーとし、試験用浮選機にて浮選テストを実施した。この際、起泡剤としてパイン油0.02g、浮選剤として市販のDM−2000、MCB−4、ザンセートを各々0.006g、0.01g、0.03g添加した。
【0075】
テスト結果を表14に示す。カルシウムフェライトスラグから浮選により銅を回収することは困難であった。
【0076】
【表14】
Figure 0003682166
【0077】
【発明の効果】
本発明の方法により、硫化銅精鉱あるいはマットを連続的に酸化して白カワあるいは粗銅を得るうえで、マグネタイトトラブルがなく、SiO2 を含有する硫化銅精鉱やマットの処理にも適用でき、スラグへの銅の損失が少なく、また、浮選によるスラグ中の銅分の回収が可能で、As、Sb、Pbのスラグへの除去能が高く、煉瓦の熔損が少ない硫化銅精鉱の熔錬が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 硫化銅精鉱を酸化してMG75のマットを得る場合の、1300℃でのスラグ中の銅量(A)、生成するスラグ量(B)、スラグ中の銅品位(C)をスラグ中のCaO/(SiO2 +CaO)比(横軸)およびFe%(縦軸)に対して示したグラフである。
【図2】 スラグ中のAsの活量係数をスラグ組成に対して示したグラフである。
【図3】 スラグ中のPbの活量係数をスラグ組成に対して示したグラフである。
【図4】 白カワ共存下でS品位1〜1.5%程度の粗銅を得る場合の、1300℃でのスラグ中の銅量(A)、生成するスラグ量(B)、スラグ中の銅品位(C)をスラグ中のCaO/(SiO2 +CaO)比(横軸)およびFe%(縦軸)に対して示したグラフである。
【図5】 1573Kにおいて、溶銅共存下でスラグに酸化溶解する銅濃度と酸素分圧の関係を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 硫化銅精鉱を酸化熔錬し、該硫化銅精鉱中のFeの大部分をスラグに除去するとともに、Sの一部もしくは大部分をSO2 として除去し、硫化銅精鉱中の銅を白カワあるいは白カワに近いマットあるいは粗銅として得る方法において、前記硫化銅精鉱に溶剤としてSiO2 源とCaO源とを加え、CaO/(SiO2 +CaO)の重量比が0.3〜0.6で、かつFe/(FeOx +SiO2 +CaO)の重量比が0.2〜0.5であるスラグと、白カワあるいは白カワに近いマットあるいは粗銅とを生成するように酸化熔錬することを特徴とする硫化銅精鉱の熔錬方法。
  2. 生成したスラグを徐冷固化した後、粉砕して浮選し、回収した銅分を酸化熔錬工程に繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の硫化銅精鉱の熔錬方法。
  3. 硫化銅精鉱中のSiO2 含有量が、スラグに除去しようとするFeに対して1.7重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の硫化銅精鉱の熔錬方法。
  4. 生成したスラグの温度を1300℃以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の硫化銅精鉱の熔錬方法。
  5. 硫化銅精鉱を酸化熔錬し、該硫化銅精鉱中のFeの一部およびSの一部をスラグおよびSO2 に除去して、得られたFeSとCu2S の混合物であるマットを、さらに酸化熔錬してFeおよびSをスラグおよびSO2 として除去して粗銅を得る方法において、前記マットにSiO2 源とCaO源とを加え、CaO/(SiO2 +CaO)の重量比が0.3〜0.6で、かつFe/(FeOx +SiO2 +CaO)の重量比が0.2〜0.5であるスラグと、粗銅とを生成するように酸化熔錬することを特徴とする硫化銅精鉱の熔錬方法。
  6. 生成したスラグを徐冷固化した後、粉砕して浮選し、回収した銅分をマットの酸化熔錬工程に繰り返すことを特徴とする請求項5に記載の硫化銅精鉱の熔錬方法。
  7. 生成したスラグを溶融状態のまま、マットの酸化熔錬工程に繰り返すことを特徴とする請求項5に記載の硫化銅精鉱の熔錬方法。
  8. 生成したスラグを冷却固化した後、マットの酸化熔錬工程に繰り返すことを特徴とする請求項5に記載の硫化銅精鉱の熔錬方法。
  9. マット中のSiO2 含有量がスラグ中に除去しようとするFeに対し1.7重量%以上であることを特徴とする請求項5に記載の硫化銅精鉱の熔錬方法。
  10. 生成したスラグの温度を1300℃以下に制御することを特徴とする請求項5に記載の硫化銅精鉱の熔錬方法。
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