JP3682153B2 - 動的相互関係評価システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、商品の開発、設計、製造、検査、販売や、サービスの企画、計画等を支援するための動的相互関係評価システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開平8−161287号公報に記載の「データ分析支援システム」では、分析項目絞り込み手段により、分析用ルールを生成する以前に、不要となる項目が削除されるため、分析する項目が少なくなり、分析用ルール生成時間を削減することができる。また、分析用ルール評価選択出力手段により、抽出された分析用ルールの評価と、その評価に対する有効順位の出力が可能となるため、生成された分析用ルールのうち、どれを用いればよいかを検証するための作業時間が削減され、データ分析の作業時間を短縮することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
さて、方法決定の最適化作業においては、通常、互いに相関がありそうなパラメータを単に抽出して特定の条件下での各パラメータ値を求めるといったことにとどまらず、相互に関係する複数のパラメータからなる全体系と、その局所的変化との関係を考慮して、一部のパラメータの変化に対する全体系のレスポンスを明確化することが不可欠となる。
【0004】
しかし、上記の従来技術は、項目の絞り込み作業や分析ルールの選択作業の一助にはなるものの、相互に関係する複数のパラメータを考慮した全体系の変化を予測・評価できる仕組みにはなってはいない。
【0005】
このような問題点に鑑み、本発明の目的は、局所的な変化が全体系へ与える影響を作業者が直感的に理解できるよう支援する動的相互関係評価システムを提供することにある。
【0006】
上記目標を達成するための本発明の一態様によれば、
品質を算出する複数のパラメータの関係式、又は、投資効果を算出する複数のパラメータの関係式を記憶する第1の記憶手段と、
パラメータの値を記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段から読み出したパラメータの値を、当該パラメータの変化する範囲を示すスケールに位置付けて表示する手段と、
パラメータの値を示す位置が入力されると、該入力された位置に示されるパラメータの値と、前記第2の記憶手段から読み出したパラメータの値との差分から、該パラメータの変化量を取得する手段と、
前記取得したパラメータの変化量を、前記第1の記憶手段から読み出した関係式に代入して他のパラメータの値を演算し、該演算により取得したパラメータの値を、前記第2の記憶手段に記憶させる手段と、
前記表示したパラメータの値を示すスケール上の位置を、前記第2の記憶手段から読み出したパラメータの値を示す位置に変更する手段を有することを特徴とする動的相互関係評価システムが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8を参照しながら説明する。
【0008】
図1に、本発明に係る動的相互関係評価システムの機能構成の一例を示す。図8に、この動的相互関係評価システムのハードウエア構成を示す。
【0009】
両図に示した本実施形態の動的相互関係評価システムは、例えば、新製品の企画/設計の段階において、品質目標の設定や作り込んだ品質の評価を行なう際に使用されてその効果を発揮するシステムであって、具体的には、対象となる品質項目間の因果関係をシステム自身が把握して、ある品質内容の局所的な変化が全体系にどのような影響を与えるかを視覚的かつ動的に表示し、品質に関する予測と評価を実現するものである。なお、品質には、製品や部品の優劣等のほかに、単なる設計パラメータ等も含むものとする。
【0010】
図8において、801はプログラムを実行するためのCPU、802はプログラムや必要なデータを格納するためのメモリ、803は後述する各種データベース等を実現するためのファイルシステム、804はディスプレイ、805はキーボード、806はポインティングデバイス、807は、これらを通信可能に接続するI/Oインタフェースである。
【0011】
まず、対象となる品質項目間の因果関係の生成・蓄積方法について述べる。
【0012】
本動的相互関係評価システムでは、図1に示すデータベース機能101により、因果関係を生成する上で必要となる、設計情報、生産情報、検査情報、販売情報、サービス情報等をあらかじめデータベース化している。
【0013】
品質目標の設定や作り込んだ品質を評価する上で必要となる各項目は、パラメータとして基本データ入力インタフェース102を用いて入力され、前記データベース中の各情報との関連が定義される。
【0014】
入力されたパラメータ間の関係があらかじめ定式化できている場合は、因果関係入力機能103により、その関係式が設定され、それらは因果関係記憶機能104により外部記憶装置(ファイルシステム803等)に格納される。
【0015】
一方、入力されたパラメータ間の関係があらかじめ定式化できていない場合は、パラメータの示す値が生データとして格納されているデータベース中の情報をもとに定式化を行なう。
【0016】
定式化を行なう場合は、まず、因果関係の抽出精度を上げるために、選択した情報の中から、パラメータの示す値の組み合わせが異常なパターンをノイズとして取り除く。この処理はデータ層別・選別機能105が実行する。
【0017】
データ層別・選別機能105は、組み合わせが異常なパターンとそうでないパターンを図2に示すようなデータ選別マトリクスを用いて弁別する。
【0018】
例えば、図2(a)のデータ選別マトリクスを参照すれば、機種毎(例えば「B85」は85年度納入機を示す)に、あり得ない納入年度や、あり得ない故障年月を誤データとして判定できる。
【0019】
図2(b)においては、製品の不具合の内容(例えば、エレベータのドアが開かない)、その件数(例えば、35件)、その不具合に関係する部品(例えば、カム、スイッチ)、その部品が破損した時点での回数等、が相互に関連付けられて定義されている。
【0020】
異常パターンを除去したら、その選別後のデータをもとに、パラメータ間の因果関係を求める。
【0021】
本動的相互関係評価システムでは、パラメータ相互の関係を抽出する機能として、重回帰分析機能106、ニューラル・ネットワーク機能107、および、データマイニング機能108を具備している。
【0022】
これらは、データの性格に基づき選択的に使用される。なお、データマイニングは、簡単に言えば、人が気づかない法則を自動的に抽出する技法であり、例えば、日経コンピュータ.1996.9.16号のP70〜P73に記載されている。
【0023】
本例では、因果関係が不明である属性値を軸とした重回帰分析法を例示する。本方法は図3に示す通りである。
【0024】
ステップ301にて、ファイルシステム803等に格納されている分析データをメモリ802の内部テーブルに読み込む。分析データは、例えば図4に示すように、目的変数401と、目的変数の因果関係を求めるための説明変数402から構成される。
【0025】
同図では、目的変数として、コスト、故障率、売り上げ等を登録し、説明変数として、部品数、変更数、設計工数等を登録している。製品Aに関しては、コストが500,000円、故障率が0.01%、売り上げが2,000,000,000円、部品数が51点、変更数が12件、設計工数が640時間となっている。これらのデータは、同図に示すように、製品(又はモジュール)毎等に分けて蓄積しておく。
【0026】
目的変数や説明変数へのデータの分類は予め行なっておいてもよいし、本ステップで行なうようにしてもよい。また、データ種が多い場合は、すべてのデータを目的変数や説明変数に振り分けなくてもよい。
【0027】
ステップ302では、説明変数や目的変数の各データを正規化する。正規化とは、各データのとりうる値の範囲が異なる場合に、それらを平均0、分散1のデータに変換する方法である。ここでは、データ種ごとに(図4の例では列の並びごとに)平均値と標準偏差を算出し、各データから平均値を引いて標準偏差で割った値を以降の処理に用いる。
【0028】
なお、各データ種のとりうる値の範囲が同一の場合は、このステップをスキップしてもよい。
【0029】
ステップ303では、回帰主成分分析を実行する。
【0030】
説明変数を、x1、x2、…、xn、目的変数を、y1、y2、…、ynとして、総合特性値zを(数1)の通り定義する。
【0031】
【数1】
【0032】
そして、(数1)のl1、l2、…、lnを主成分分析にて算出し、更に、(数2)のモデルに従う重回帰式を求める。
【0033】
【数2】
【0034】
(数2)を用いれば、目的変数のうちの1つの値を変化させたときに、他の目的変数を変化させることができる。
【0035】
なお、ステップ3の中に、(数1)、(数2)の各式の有意性を検定する処理を設けて、有意性が認められたときにのみ本処理を実施するようにしてもよい。
【0036】
このように重回帰分析機能(あるいはニューラル・ネットワーク機能/データマイニング機能)を用いて因果関係を求めたら、それらを因果関係記憶機能104により、外部記憶装置(ファイルシステム803等)に格納する。
【0037】
つぎに、格納した因果関係情報を用いて、一部のパラメータの変化に対する全体系のレスポンスを視覚的かつ動的に表示する方法について説明する。
【0038】
グラフィカル・ユーザインタフェース110を用いて、複数の評価対象パラメータを設定すると、図5に示すように、パラメータ毎にその平均値がレーダチャートの形式で表示される。なお、レーダチャートほど視覚的ではないが、各パラメータの値を数値表示するようにしても構わない。
【0039】
同図において、A〜Fは、各パラメータの名称であり、ここでは、対象パラメータ数を6としている。
【0040】
また、設定したパラメータ間の関係式が、因果関係入力機能103により予め定義されている場合は、その関係式も同時に表示される。同図では、「数式」の欄に太枠で(A1+C1)と表示されている。
【0041】
そして、一部のパラメータの値を変更したい場合には、ポインティング・デバイス(例えばマウス)を用いて、変更対象のパラメータの軸の上に存在するプロット点を移動させ、所望の変更量を入力する。
【0042】
パラメータ制御機能111は、マウスによるプロット点の移動操作が為されているあいだ、単位時間当たりのプロット点の移動量を逐次読みとり、それを状態遷移推論機能112に渡す。
【0043】
状態遷移推論機能112は、移動量が渡される度に、状態遷移推論処理を実行する。具体的には、渡された移動量に応じて、複数の評価対象パラメータ全体がどのように変化するかを、既に求めてある因果関係情報をもとに演算し、その演算結果を、各パラメータのプロット点の移動量に変換し、それらを推論結果出力・表示機能113へ送出する。
【0044】
推論結果出力・表示機能113は、渡された移動量に応じて各プロット点を移動させ、グラフィカル・ユーザインタフェース上のレーダチャートを変形させる。
【0045】
以下、具体例を示す。
【0046】
図6(a)では、新製品の企画あるいは設計の段階において、品質目標の設定や作り込んだ品質の評価を行なうべく、対象の品質項目として、開発期間、コスト、納期、変更点、故障率、不良金額、部品点数、寿命を設定している。
【0047】
寿命以外の項目については、そのパラメータがとり得る最大の値が原点(軸同士の交点)に位置するようにスケール設定している。寿命については、この逆のスケール設定を行なっている。
【0048】
図6(a)の601は、グラフィカル・ユーザインタフェース上の状態変化前におけるレーダチャートであり、ここでは、コストダウンを図った場合にこの8個のパラメータから成る多角形がどのように変化するかを見るため、コストを示す軸上のプロット点をマウスで移動させて、所望の変更量を入力する。
【0049】
パラメータ制御機能112は、前述したように、マウスによるドラッグ中において、その移動量を単位時間毎に状態遷移推論機能112に渡す。
【0050】
状態遷移推論機能112は、各パラメータのプロット点の移動量を即時演算してその結果を推論結果出力・表示機能113へ渡す。
【0051】
以上の処理により、グラフィカル・ユーザインタフェース上には、レーダチャート602が表示される。レーダチャート602では、コストダウンに反応して、変更点、故障率および不良金額が増大し、部品点数および寿命が低下するという予測結果が表わされている。
【0052】
このように本動的相互関係評価システムによれば、ポインティング・デバイスの操作中、当該操作内容に合わせてレーダチャートの変化の様子がリアルタイムで表示されるため、パラメータ間の相互関係が理解し易くなる。
【0053】
図6(b)に、一部のパラメータが異なるものを例示する。
【0054】
ここでは、CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)という定量化しづらいパラメータが含まれている。このように定量化しづらいパラメータを取り扱う場合は、例えば、階層分析法(AHP:Analytic Hierarchy Process)等を用いて実現すればよい。
【0055】
図6(b)の例では、レーダチャート603を見て性能面を向上させるという指示を与えた場合に、開発期間、コスト、変更点、故障率およびCSがそれぞれ増大するという予測結果(レーダチャート604)が得られる様子が示されている。
【0056】
つぎに、本発明のその他の実施形態を図7に示す。
【0057】
同図には、本発明の動的相互関係評価システムが適用されたCADシステム701が例示されている。
【0058】
このCADシステム701では、設計対象部分の追加・変更に際して、前述したグラフィカル・ユーザ・インタフェース110が呼び出され、関連パラメータとその状態を示すレーダーチャート702を表示する。
【0059】
このレーダーチャート702に対して、上述したようにマウス等により所望の変更量を入力すると、それに対する状態変化が予測結果として出力される。
【0060】
なお、レーダーチャート702は、3次元バーチャートをマルチ表示したグラフ703、部位別(または現象別)の不良発生分布を示したグラフ704、グラフ704の各データを組み合わせたグラフ705等に対して、データの相互交換が可能になっている。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、一部のパラメータの変化に対する全体系のレスポンスがリアルタイムで表示され、局所的な変化が全体系へ与える影響を視覚的かつ動的に把握できるため、商品の開発、設計、製造、検査、販売や、サービスの企画、計画における作業効率が向上し、作業時間・工数が大幅に低減されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動的相互関係評価システムの一実施形態の機能構成図。
【図2】図1の動的相互関係評価システムで用いるデータ選別用マトリクスの説明図。
【図3】図1の動的相互関係評価システムで用いる重回帰分析法の説明図(その1)。
【図4】図1の動的相互関係評価システムで用いる重回帰分析法の説明図(その2)。
【図5】図1の動的相互関係評価システムで用いる評価対象パラメータ値の表現形式を示した説明図。
【図6】図5の表現形式の具体例を示した説明図。
【図7】図1の動的相互関係評価システムで用いる各種の表現形式を示した説明図。
【図8】図1の動的相互関係評価システムのハードウエア構成図。
【符号の説明】
101:データベース機能、 102:基本データ入力インタフェース、 103:因果関係入力機能、 104:因果関係記憶機能、 105:データ層別・選別機能、 106:重回帰分析機能、 107:ニューラルネットワーク機能、 108:データマイニング機能、 109:因果関係生成機能、 110:グラフィカルユーザインタフェース、 111:パラメータ制御機能、 112:状態遷移推論機能、 113:推論結果出力・表示機能、 401:目的変数、 402:説明変数、 601〜604、702:レーダチャート、 703〜705:グラフ各種、 801:CPU、 802:メモリ、 803:ファイルシステム、 804:ディスプレイ、 805:キーボード、 806:ポインティングデバイス、807: I/Oインタフェース
Claims (2)
- 品質を算出する複数のパラメータの関係式、又は、投資効果を算出する複数のパラメータの関係式を記憶する第1の記憶手段と、
パラメータの値を記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段から読み出したパラメータの値を、当該パラメータの変化する範囲を示すスケールに位置付けて表示する手段と、
パラメータの値を示す位置が入力されると、該入力された位置に示されるパラメータの値と、前記第2の記憶手段から読み出したパラメータの値との差分から、該パラメータの変化量を取得する手段と、
前記取得したパラメータの変化量を、前記第1の記憶手段から読み出した関係式に代入して他のパラメータの値を演算し、該演算により取得したパラメータの値を、前記第2の記憶手段に記憶させる手段と、
前記表示したパラメータの値を示すスケール上の位置を、前記第2の記憶手段から読み出したパラメータの値を示す位置に変更する手段を有することを特徴とする動的相互関係評価システム。 - 請求項1記載の動的相互関係評価システムにおいて、
前記関係式を予め集めたサンプルデータの組み合わせをもとに生成する手段をさらに有することを特徴とする動的相互関係評価システム。
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JP2021071910A (ja) | 設計支援装置、設計支援方法及び設計支援プログラム |
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