JP3682091B2 - 現在位置算出システムおよび現在位置算出方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両等の移動体に搭載され、該移動体の進行距離、進行方位などを測定して、これにより、当該移動体の現在位置を算出する現在位置算出システムに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、道路上を走行する車両の現在位置を算出する現在位置算出システムにおいて、該車両の現在位置は、ジャイロ等の方位センサにより測定した車両の進行方向と、車速センサまたは距離センサにより測定した車両の進行距離とに基づいて算出されている。
【0003】
また、車両の進行距離は、一般的には、トランスミッションの出力軸、または、タイヤの回転数を計測して、その回転数に、タイヤ1回転あたりに車両が進む距離である距離係数を乗ずることにより求められている。
【0004】
さらに、このように車両の進行方向と進行距離から求めた現在位置の誤差を補正するために、特開昭63−148115号公報に記載のように、走行距離および方位変化量に基づき定まる車両の推定位置と、道路地図の誤差に基いて誤差量を得て、推定位置を中心とする誤差量の範囲内に位置するすべての道路上に対応させて、推定位置を自己位置として登録し、これら登録された推定位置の各道路に対する相関係数を算出して、道路に対する誤差が最も少ないことを示す相関係数に関連する推定位置を現在位置とする技術が開示されている。この公報に記載されたように、道路に整合するように、求められた車両の現在位置を修正する、いわゆる、マップマッチングの技術が知られており、このマップマッチングの技術により、現在位置算出の精度を高めることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような技術を用いてマップマッチングを実行する現在位置算出システムにおいては、特に、車両が分岐点を通過すると、複数の道路にそれぞれ位置する複数の推定位置が算出され、さらに車両が走行するのにしたがって、それぞれの相関係数が変化し、道路に対する誤差が最も少ないことを示す相関係数に関連する推定位置の存在する道路が、相関係数を算出するたびに変化するという場合がある。このような場合には、現在位置算出システムに設けられた表示装置に表示される現在位置が、車両が分岐点を通過した後に、ある時には、分岐点に接続されたある道路上に現われ、その一方、他のある時には、他の道路上に現れ、その結果、現在位置が不自然な動きをするという問題点が生じるおそれがあった。
【0006】
その一方、車両が分岐点を通過した後、しばらくの間(たとえば、分岐点に接続された複数の道路の形状に明確な相違が現れるまでの間)は、車両が何れの道路上を走行しているのかを判断することが困難な場合が多い。
【0007】
本発明は、表示装置に表示される車両の現在位置の不自然な動きを少なくしつつ、より正確な車両の現在位置を算出する現在位置算出システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明の目的は、車両に搭載され、該車両の現在位置を算出する現在位置算出システムであって、車両の進行方位を検出する方位検出手段と、車両の走行距離を算出する距離算出手段と、前記進行方位および前記走行距離に基づき得られた相対変位と、車両が何れかの道路上に位置する状態、或いは、車両が道路上に位置しない状態を示す候補点とに基づき、車両の現在位置であると予想される仮想現在位置を生成する仮想現在位置生成手段と、前記仮想現在位置と、地図データに含まれる道路データに含まれる道路方位示すデータとに基づき、当該道路データに対応する道路上に車両が存在することを示す候補点を生成する候補点生成手段と、前記候補点に対応する道路上の位置に、車両が存在する信憑性を示す信頼度を算出する信頼度算出手段と、前記候補点の信頼度を比較し、その値が最も大きな候補点を、車両の現在位置を示す表示候補点と決定する決定手段とを備え、前記信頼度算出手段が、前記表示候補点に基づき得られた第1の候補点の信頼度の値に所定の第1のバイアス値を与える第1のバイアス値加算手段と、前記表示候補点から複数の第2の候補点が生成された後、車両が所定の距離を走行する間、前記第1の候補点の信頼度の値に前記第1のバイアス値よりも小さい所定の第2のバイアス値を与える第2のバイアス値加算手段とを有し、前記決定手段が、前記表示候補点が存在する道路上の前記表示候補点以外の候補点から、前記第2の候補点が存在する他の道路の少なくとも一つに生成された第3の候補点を特定する候補点特定手段を有し、車両が前記所定の距離を走行する間に、前記第3の候補点の信頼度と、その値に第2のバイアス値が加えられた前記第1の候補点の信頼度とを比較するとともに、前記第3の候補点以外の候補点の信頼度と、その値に第1のバイアス値が加えられた前記第1の候補点の信頼度とを比較するように構成された現在位置算出システムにより達成される。
【0009】
本発明の好ましい実施態様においては、前記決定手段が、前記第3の候補点の信頼度と、前記第1の候補点および第3の候補点以外の候補点の信頼度とを比較する第1の比較手段と、第1の比較手段により得られた何れかの候補点の信頼度と、第1のバイアス値或いは第2のバイアス値が加算された前記第1の候補点の信頼度とを比較する第2の比較手段とを有している。
【0010】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、さらに、候補点が高速道路上に位置する場合には、前記所定の距離に、第1の距離を与え、その一方、候補点が一般道路上に位置する場合には、前記第1の距離より小さな第2の距離を与える距離付与手段を備えている。
【0011】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記候補点特定手段が、ある候補点に基づき複数の候補点が生成された際の前記複数の候補点のそれぞれを特定する第1のデータと、前記第1のデータと対応付けられ、前記ある候補点が位置する道路と、前記複数の候補点が位置する道路との分岐点を示すととともに、前記第1のデータと対応付けされた第2のデータとを記憶する記憶手段を有し、前記第1のデータおよび前記第2のデータにしたがって、前記第3の候補点を特定するように構成されている。
【0012】
【作用】
本発明によれば、表示候補点の信頼度に、バイアス値が加算されるため、表示候補点に基づき得られた第1の候補点以外の候補点が、新たな候補点として決定される可能性をバイアス値に対応する割合だけ小さくするため、算出された車両の現在位置が、車両の走行にしたがって、不自然な動きをするおそれを小さくすることができる。
【0013】
また、本発明によれば、車両が分岐点を通過してから所定の距離を走行する間、表示候補点に基づき得られた候補点の信頼度に第1のバイアス値よりも小さな第2のバイアス値を加算したものと、前記表示候補点が存在する道路上の前記表示候補点以外の候補点から、前記第2の候補点が存在する他の道路の少なくとも一つに生成された第3の候補点の信頼度とが比較されるため、第1の候補点の代わりに、第3の候補点以外の候補点が、新たな表示候補点として決定される可能性よりも、第3の候補点が新たな表示候補点として決定される可能性の方をより大きくすることができる。すなわち、車両が分岐点を通過してから所定の距離を走行する間は、当該分岐点を通過したことにより生成された表示候補点以外の候補点が、新たな表示候補点として決定される可能性が、比較的大きくなり、その結果、車両が分岐点を通過したときに得られた表示候補点が、車両の走行する道路以外の道路に対応するものであっても、より迅速に、適切な道路上の位置に、表示候補点を得ることが可能となる。
【0014】
本発明の好ましい実施態様によれば、第1の比較手段により第2の候補点の信頼度と、それ以外の候補点の信頼度とが比較され、第2の比較手段により、第1の比較手段により得られた候補点の信頼度と、バイアス値を含む第1の候補点の信頼度とが比較される。したがって、複雑な処理を必要とすることなく、適切な表示候補点を決定することが可能となる。
【0015】
【実施例】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例につき詳細に説明を加える。
【0016】
図1は、本発明の実施例にかかる現在位置算出装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。図1に示すように、この現在位置算出装置10は、車両のヨーレイトを検出することで進行方位変化を検出する角速度センサ11と、地磁気を検出することで車両の進行方位を検出する方位センサ12と、車両のトランスミッションの出力軸の回転に比例した時間間隔でパルスを出力する車速センサ13を備えている。
【0017】
また、現在位置周辺の地図や現在位置を示すマーク等を表示するディスプレイ17と、ディスプレイ17に表示する地図の縮尺切り替えの指令をユーザ(運転者)から受け付けるスイッチ14と、デジタル地図データを記憶しておくCD−ROM15と、そのCD−ROM15から地図データを読みだすためのドライバ16とを備えている。また、以上に示した各周辺装置の動作の制御を行うコントローラ18を備えている。本実施例において、上述したディジタル地図データには、複数の線分の端部を示す座標から構成される道路データ、或いは、該道路の道幅を示す道路幅データ、道路が高速道路或いは一般道路であるかを示す高速道路フラグなどが含まれる。
【0018】
コントローラ18は、角速度センサ11の信号(アナログ)をデジタル信号に変換するA/D変換器19と、方位センサ12の信号(アナログ)をデジタル信号に変換するA/D変換器20と、車速センサ13から出力されるパルス数を0.1秒毎にカウントするカウンタ26と、スイッチ14の押圧の有無を入力するパラレルI/O21と、CD−ROM15から読みだされた地図データを転送するDMA(Direct Memory Access)コントローラ22と、ディスプレイ17に地図画像を表示する表示プロセッサ23とを有する。
【0019】
また、コントローラ18は、さらに、マイクロプロセッサ24と、メモリ25とを有する。マイクロプロセッサ24は、A/D変換器19を介して得た角速度センサ11の信号、A/D変換器20を介して得た方位センサ12の信号、カウンタ26がカウントした車速センサ13の出力パルス数、パラレルI/O21を介して入力するスイッチ14の押圧の有無、DMAコントロ−ラ22を介して得たCD−ROM15からの地図データを受け入れて、それら信号に基づいて処理を行い、車両の現在位置を算出して、それを表示プロセッサ23を介してディスプレイ17に表示させる。この車両位置の表示は、図2に示すように、すでにディスプレイ17に表示している地図上に矢印マ−ク等を重畳して表示することにより行う。これにより、ユーザは、地図上で車両の現在位置を知ることができる。メモリ25は、このような動作を実現するための処理(後述)の内容を規定するプログラムなどを格納したROMと、マイクロプロセッサ24が処理を行う場合にワ−クエリアとして使用するRAMとを含んでいる。
【0020】
以下、このように構成された現在位置算出装置10の動作について説明する。
【0021】
装置10の動作は、全般的に、車両の進行方位及び進行距離を算出する処理と、算出された進行方位及び距離から車両の現在位置を決定する処理と、得られた車両位置および方位を表示する処理との三つの処理に分けることができるため、これらについて順次説明する。
【0022】
図3に、車両の進行方位及び進行距離を算出する処理の流れを説明する。
【0023】
この処理は、一定周期、たとえば100mS毎に起動され実行されるマイクロプロセッサ24のルーチンである。
【0024】
このルーチンでは、最初、A/D変換器19から角速度センサ11の出力値を読み込む(ステップ301)。この角速度センサ11の出力値には、方位変化が出力されるので、車両の進行方向の相対的な値しか検出できない。このため、次に、A/D変換器20から、地磁気センサからなる方位センサ12の出力値を読み込み(ステップ302)、この方位センサ12の出力値により算出された絶対方位と角速度センサ11から出力される方位変化(角速度出力)とを用いて、車両の推定方位を決定する(ステップ303)。
【0025】
この方位の決定は、たとえば、長い時間、車速が低い時には、角速度センサの誤差が大きいので、一定時間以上車速が低い場合には、方位センサの方位のみを利用するという方法により行う。
【0026】
次に、車速センサ13の出力するパルス数を、0.1秒毎に、カウンタ26で計数して、その計数値を読み込む(ステップ304)。この読み込んだ値に、距離係数を乗算することで、0.1秒間に進んだ距離を求める(ステップ305)。
【0027】
次に、このようにして求められた0.1秒間あたりの進行距離値を、前回得られた値に積算して、車両の進行距離が20mとなったかどうかを調べ(ステップ306)、20mに満たない場合(ステップ306でノー(No))、今回の処理を終了して、新たな処理を開始する。
【0028】
進行距離算出処理の結果、積算された進行距離が一定距離、例えば20mとなった場合(ステップ306でイエス(Yes))、その時点での進行方向と進行距離R(本実施例においては20m)とを出力する(ステップ307)。ステップ307では、さらに、積算距離を初期化して、新たに進行距離の積算を開始する。
【0029】
次に、算出された進行方位および進行距離に基づいて、車両の仮想現在位置を算出し、算出された仮想現在位置に基づき、車両の候補点を求める処理について説明する。
【0030】
図4に、この処理の流れを示す。
【0031】
本処理は、図3からの進行方位および進行距離が出力されるのを受けて起動され、実行されるマイクロプロセッサ24のルーチンである。すなわち、本実施例において、本処理は、車両が20m進む毎に起動される。
【0032】
さて、この処理では、まず、ステップ307で出力された進行方位と進行距離とを読み込む(ステップ401)。次に、それらの値に基づいて、車両の移動量を緯度経度方向、別々に、それぞれ求める。さらに、これらの各方向における移動量を、前回の車両の候補点を求める処理で得られた車両の候補点の位置に加算して、現在車両が存在すると推定される位置である仮想現在位置(A)を求める(ステップ402)。
【0033】
もし、装置の始動直後など、前回の車両の候補点を求める処理で得られた候補点が存在しない場合には、別途設定された位置を、前回得られた候補点の位置として用いて仮想現在位置(A)を求める。
【0034】
ここに、候補点につき説明を加える。装置の始動直後など、初期的な状態においては、仮想現在位置(A)は、ユーザ(運転者)がスイッチ14を用いて所定の情報を入力することなどにより、一意的に定まり、かつ、これは道路に対応する線分上に位置する。しかしながら、車両が走行した後には、方位センサなどの誤差などにより、仮想現在位置(A)が、道路に対応する線分上に存在しなくなる場合がある。その結果、たとえば、図5に示すように、道路が分岐している場合、すなわち、道路に対応する線分61の節点すなわち端部68から、二つの線分64および65があらわれる場合に、いずれの線分に対応する道路上に車両が存在するかが、明確にすることができない場合が多い。
【0035】
したがって、このような場合に、本実施例においては、後述する処理により得られた線分(図5に示す例では二つの線分)上に存在する点を、所定の条件の下で候補点として設定し、これらの現在位置、エラーコスト、後述する累算エラーコストなどを、それぞれ、メモリ25のRAMの所定の領域に記憶するように構成されている。なお、説明を容易にするため、以下の説明においては、特に複数の候補点であることを明示しない限り、単一の候補点から、新たな一以上の候補点を生成することとする。
【0036】
次いで、前回の車両の候補点を求める処理で得られたマッチング状態の候補点のみに関して、道路とのマッチングを行うための第1の道路検索処理が実行される(ステップ403)。なお、本実施例において、マッチング状態とは、ある仮想現在位置に関連して、該仮想現在位置との距離、或いは、その方位と車両の進行方位との間の方位差が、所定の範囲内であるような道路が存在し、その結果、仮想現在位置に基づき、道路上の所定の位置に候補点が得られた状態を称する。これに対して、ある仮想現在位置に関連して、上述した距離および方位差が、所定の範囲内であるような道路が存在しない場合が考えられる。本実施例においては、このような場合に、仮想現在位置Aに対応する点自体が候補点となり、このようにして得られた候補点を、フリー状態の候補点と称している。
【0037】
ここに、図6は、本実施例にかかる第1の道路検索処理を示すフローチャートである。
【0038】
図6に示すように、この道路検索処理においては、まず、CD−ROM15から、ドライバ16およびDMAコントローラ23を介して、所定の道路データを読み出す(ステップ601)。本実施例においては、道路データとして、図7に示すように、2点間を結ぶ複数の線分51ないし56で近似し、それら線分を、その始点と終点の座標によって表したものなどを用いている。たとえば、線分53は、その始点(x3、y3)と終点(x4、y4)によって表現される。したがって、このステップ601においては、前回の処理により得られたマッチング状態の候補点が位置する線分が選択されて、これに関するデータが読み出される。
【0039】
次に、ステップ601において選択された線分の座標に基づき、候補点の位置から車両の進行方向に沿って、20mに対応する長さだけ進められた位置を含む線分を検索し、この線分に関する座標データなどを一次候補線分を示すデータとして一時的に記憶する(ステップ602)。より詳細には、候補点が位置する線分の車両の進行方向の端部までの長さが、20mに対応する長さより大きければ、当該線分を一次候補線分として、その座標データなどを記憶する。また、候補点が位置する線分の車両の進行方向の端部までの長さが、20mに対応する長さ以下であれば、当該線分に接続する線分を検索する。
【0040】
次いで、ステップ602において少なくとも一つの一次候補線分が見つけられたか否かを判断し(ステップ603)、ノー(No)と判断された場合には、ステップ604に進む。
【0041】
これに対して、ステップ603においてイエス(Yes)と判断された場合には、車両の進行方位と、一次候補線分の方位との間の角度を比較する角度比較処理が実行される(ステップ605)。図8は、本実施例にかかる角度比較処理を示すフローチャートである。図8に示すように、この処理においては、車両の進行方位と線分の方位との方位差θdを算出し(ステップ901)、この方位差θdの絶対値が、所定のしきい値θthよりも大きいか否かを判断する(ステップ902)。本実施例において、このしきい値θthは、30°に設定されている。ステップ902においてノー(No)と判断された場合には、処理を終了し、その一方、イエス(Yes)と判断された場合には、この道路を一次候補線分としない旨の判断がなされ、一時的に記憶されたこの一次候補線分に対応するデータが削除される(ステップ903)。
【0042】
図6のステップ605に示す角度比較処理が終了すると、ステップ602において複数の一次候補線分が記憶された場合には、他の一次候補線分についても角度比較処理が実行され(ステップ605、606)、全ての一次候補線分につき、角度比較処理が実行されると、ステップ607に進む。このようにして、前回の処理において得られた候補点が位置する線分、或いは、これに接続する線分のうち、その方位と車両の方位との間の方位差が、しきい値θth以下であるような線分に関連するデータが、一次候補線分を示すデータとして記憶される。
【0043】
ステップ607は、一時的に記憶された一次候補線分が、少なくとも一つ以上存在するかどうかを判断する。このステップ607においてノー(No)と判断された場合には、ステップ604に進む。これに対して、ステップ607においてイエス(Yes)と判断された場合には、垂線距離比較処理が実行される(ステップ608)。ここに、図9は、本実施例にかかる垂線距離比較処理を示すフローチャートである。図9に示すように、この処理においては、仮想現在位置から一次候補線分に向けて垂線をひき、この垂線の長さLを求める(ステップ1001)。次いで、この垂線の長さLが、予め定められたしきい値Lth以下であるか否かを判断する(ステップ1002)。すなわち、一次候補線分が仮想現在位置から、しきい値Lthの範囲に存在しているかどうかを判断する。このステップ1002においてイエスと判断された場合には、この一次候補線分に関連する種々のデータが、二次候補線分を示すデータとして記憶されるとともに、前回の処理で得られた候補点から、所定の線分に沿って、距離Rだけ離間した位置の座標データが、当該二次候補線分に対応する位置データとして記憶される(ステップ1003)。
【0044】
その一方、ステップ1002においてノー(No)と判断された場合には、この一次候補線分に関連するデータは消去され、その結果、二次候補線分は生成されない(ステップ1004)。
【0045】
このように、垂線距離比較処理608が終了すると、全ての一次候補線分につき、処理が終了しているか否かが判断される(ステップ609)。
【0046】
ステップ608およびステップ609を繰り返すことにより、前回の処理により得られた候補点が位置する線分から、車両の進行方向に、該線分或いはこれに接続された線分に沿って、所定の距離Rだけ離間した点が存在し、その方位と車両の進行方位との間の方位差が、所定のしきい値θth以下であり、かつ、仮想現在位置との間の距離が、所定のしきい値Lth以下であるような二次候補線分を得ることができる。さらに、得られた二次線分に対応する位置データとして、前回の処理で得られた候補点から、所定の線分に沿って、距離Rだけ離間した位置の座標データを得ることができる。この座標データが、後述する候補点を示すデータに対応する。
【0047】
一次候補線分に関して、ステップ608および609の処理が終了すると、これらステップを経た結果、二次候補線分が得られているか否かを判断する(ステップ610)。このステップ610において、ノー(No)と判断された場合には、ステップ604に進み、その一方、イエス(Yes)と判断された場合には、処理を終了する。
【0048】
たとえば、図5において、線分61上に存在したある候補点62に対して、仮想現在位置Aが、点63に示す位置に表わされるとする。このような場合に、まず、候補点62が位置する線分61を選択し(ステップ601)、この線分上の候補点62から、車両の進行方向の端部68までの距離を判断する。図5の例の場合には、この線分に接続されている道路があるため、線分64、65に関連するデータが、それぞれ、一次候補線分を示すデータとして一時的に記憶され、それぞれに関連して、角度比較処理(ステップ605)が実行される。ここに、図5の例において、|θ(1)−θcar|<θth、かつ、|θ(2)−θcar|<θthであると仮定すると、ステップ605および606からなる処理ループが二回繰り返され、線分64、65のそれぞれに関連して、垂線距離比較処理(ステップ608)が実行される。
【0049】
さらに、図5の例において、L(1)<Lth、かつ、L(2)<Lthであったとすると、線分64、65に関連するデータが二次候補線分として記憶され、さらに、候補点62から、線分61および64、或いは、線分61および65に沿って、進行距離R(本実施例では20m)に対応する長さだけ進められた点が候補点66、67として設定され、この点の座標データ、仮想現在位置から線分までの距離L(1)、L(2)に対応するデータ、および、線分の角度θ(1)、θ(2)に対応するデータが記憶される。
【0050】
再度、図6の第1の道路検索処理の説明に戻る。ここで、ステップ603においてノー(No)と判断された場合、ステップ605の角度比較処理において、全ての一次候補線分が削除された場合(ステップ607でノー(No))、或いは、ステップ608の垂線距離比較処理において、二次候補線分が得られなかった場合(ステップ610でノー(No))には、仮想現在位置を示す座標データが、候補点を示すデータとなる。
【0051】
このようにステップ403の第1の道路検索処理が終了すると、前回の車両の候補点を求める処理で得られたフリー状態の候補点のみに関して、道路とのマッチングを行うための第2の道路検索処理が実行される(ステップ404)。第1の道路検索処理(ステップ403)および第2の道路検索処理(ステップ404)を実行することにより、前回の処理により得られた全ての候補点に関する新たな候補点を求めることが可能となる。図13は、本実施例にかかる第2の道路検索処理を示すフローチャートである。
【0052】
図10に示すように、この処理(ステップ1301ないし1304)は、図6に示すマッチング状態の候補点に対する第1の道路検索処理(図4のステップ403)に類似している。これら二つの処理の間の相違は以下の点にある。すなわち、第1の道路検索処理においては、前回の車両の候補点を求める処理で得られた候補点が位置する線分、あるいは、これに接続する線分を、一次候補線分として一時的に記憶し、これら一次候補線分から、さらに、その方位と車両方位との方位差が所定のしきい値θth以下であって、かつ、仮想現在位置からの距離に対応する長さが所定のしきい値Lth以内の線分を、二次候補線分として選択している。
【0053】
これに対して、第2の道路検索処理においては、仮想現在位置(A)を中心とする予め設定された距離D内にある線分をすべて抽出し(ステップ1301)、これら線分から、その方位と車両方位との方位差が所定のしきい値θth以下の線分を選択し(ステップ1302)、さらに、選択された線分と仮想現在位置との間の距離を求め、この距離に対応する長さが所定のしきい値Lth以内の線分を二次候補線分として選択している(ステップ1303)。換言すれば、第1の道路選択処理のステップ602においては、候補点が位置する線分、或いは、当該線分の分岐点から延びる幾つかの線分などが選択されるが、図10のステップ1302においては、読み出された地図データに含まれる道路データに基づき、抽出すべき線分が決定される。したがって、ステップ1301ないし1303を実行するための処理時間は、道路データに対応する道路の密度に依存し、特に、読み出された地図データに対応する地図が、市街地であった場合など、道路の密度が大きい場合に、この処理時間は、第1の道路検索処理における対応する処理を実行するのに必要な時間と比較すると大きい。
【0054】
この第2の道路検索処理において、ステップ1303が終了すると、ステップ1302およびステップ1303により取り出された線分、すなわち、その方位と車両方位との間の方位差が、しきい値θth以下であり、かつ、仮想現在位置からの距離に対応する長さがしきい値Lth以下であるような線分が、二次候補線分として選択され、該線分に関連する種々のデータが、二次候補線分を示すデータとして記憶される。また、仮想現在位置の存在する点、および、仮想現在位置から当該線分におろした垂線の足、すなわち、この垂線と線分との交点が、候補点と決定され、これら候補点の座標データが記憶される(ステップ1304)。なお、第2の道路検索処理においては、仮想現在位置からおろした垂線と線分との交点が候補点となるが、これは、前回の処理により得られた候補点が、フリー状態であり、したがって、たどるべき線分が存在しないためである。
【0055】
なお、この第2の道路検索処理において、仮想現在位置から所定の範囲D内に線分が存在しない場合、その方位と車両の進行方位との方位差がしきい値θth以下の線分が存在しない場合、或いは、仮想現在位置からの距離に対応する長さがしきい値Lth以下であるような線分が存在しない場合には、仮想現在位置に対応する点が、唯一の候補点となる。
【0056】
上述したように、ステップ404の第2の道路探索処理が終了すると、第1の道路検索処理および第2の道路検索処理により得られたn個の候補点に関連する垂線の長さL(i)(1≦i≦n)と、候補点が位置する二次候補線分の方位と車両の方位との間の方位差θd(i)とに基づき、以下の式により定義されるエラーコストec(i)が算出される(ステップ405)。
【0057】
ec(i)=α×|θd(i)|+β×L(i)
ここに、αおよびβは、重み係数である。これら重み係数の値は、車両の進行方位と線分の方位との間のずれと、仮想現在位置と線分との間のずれとの何れを、道路が選択される上で重視するかにしたがって決定される。たとえば、進行方位とその方位と方位が近い道路を選択することを重視する場合は、αを大きくするようにする。
【0058】
次いで、算出されたエラーコストec(i)と、前回の処理で得られた候補点に関連する累算エラーコストesとにしたがって、下記の式により定義される、今回の処理における累算エラーコストesを算出する(ステップ406)。
【0059】
es(i)=(1−k)×es+k×ec(i)
ここに、kは、0より大きく1より小さな重み係数である。この累算エラーコストes(i)は、前回以前の処理において算出されたエラーコストを、今回の処理において算出されるエラーコストにどのくらい反映させるかを表わしている。
【0060】
さらに、算出された累算エラーコストes(i)に基づき、下記の式に定義される信頼度trst(i)を算出する(ステップ407)。
【0061】
trst(i)=100/(1+es(i))
上記式から明らかなように、累算エラーコストes(i)が大きくなるのにしたがって、信頼度trst(i)は減少し、0(ゼロ)に近づく。その一方、これが小さくなるのにしたがって、信頼度trst(i)は増大し、その値は、100に近づく。
【0062】
このような処理をすることにより、ある候補点に対応して得られたn個の二次候補線分に関連する信頼度trst(i)が求められる。候補点が複数存在する場合には、それぞれの候補点に対応して得られた複数の二次候補線分に関連する信頼度trstを算出すればよい。
【0063】
なお、フリー状態の候補点に関連して、ステップ405で算出すべきエラーコストec(n)には、マッチング状態である場合に得られるエラーコストの値よりも大きな一定の値が与えられる。
【0064】
次いで、このように得られた候補点の各々に対応する信頼度trstの値にしたがって、これら新たな候補点をソートし(ステップ408)、その後、ステップ403およびステップ404において得られた候補点から、ディスプレイ17上に表示するための候補点である表示候補点を決定する表示候補点決定処理が実行される(ステップ409)。
図11は、本実施例にかかる表示候補点決定処理を示す図である。図11に示すように、まず、後述する同一分岐候補テーブルを参照し、同一分岐通過候補点を示すデータが存在するかどうかを判断する(ステップ1101)。この同一分岐通過候補点につき、以下に説明する。
【0065】
図12は、同一分岐通過候補点を説明するための図である。
【0066】
図12において、道路に対応する線分121ないし129を考え、あるときにステップ401ないし後述するステップ408が実行され、線分121上の点130、131および線分122上の点132が候補点として決定されたと考える。
【0067】
ここに、車両が距離R(本実施例においては20m)だけ走行し、候補点130に基づき二つの候補点133、134が生成されるとともに、候補点131に基づき一つの候補点135が生成され、さらに、車両が距離Rだけ走行し、候補点133、134に基づき、それぞれ、候補点136、137が生成されるとともに、候補点135に基づき、二つの候補点138、139が生成されたとする。
【0068】
さて、上述した複数の候補点のうち、候補点133、134、136ないし139は、特定の線分から、特定の分岐点を介して分岐した線分上に存在する。このような候補点を、同一の分岐点(X0,Y0)を経て生成された候補点であることを示す同一分岐通過候補点と称する。
【0069】
その一方、車両が距離Rだけ走行するのにしたがって、候補点132に基づき複数の候補点140、141が得られ、さらに、車両が距離Rだけ走行するのに従って、候補点140、141に基づき、それぞれ、候補点142、143が得られたとする。これら候補点140ないし143は、同一の分岐点(X1,Y1)を経て生成された候補点であるため、同一分岐通過候補点に該当する。しかしながら、候補点140ないし143は、分岐点(X1,Y1)を経て生成されたのに対して、候補点133、134、136ないし139は、分岐点(X0、Y0)を経て生成されたものであるため、候補点140ないし143と、候補点133、134、136ないし139は、同一分岐通過候補点には該当しない。
【0070】
さて、図11の表示候補点決定処理に戻り、ステップ1101でイエス(Yes)と判断された場合には、それぞれの候補点に関して、分岐候補テーブルに格納されたデータのうち、有効距離カウンタLCの値が、更新される(ステップ1102ないし1107)。この有効距離カウンタLCの値の更新については後述する。
【0071】
これに対して、ステップ1101でノー(No)と判断された場合には、先行するステップ403の処理において、一つの候補点に基づき複数の候補点が生成されたか否かを判断する(ステップ1103)。たとえば、図12において、候補点130から二つの候補点133、134が生成された場合、候補点132から、二つの候補点140、141が生成された場合、および、候補点135から二つの候補点138、139が生成された場合に、本ステップにおいてイエス(Yes)と判断される。
【0072】
ステップ1103においてイエス(Yes)と判断された場合には、分岐候補テーブルにデータを登録するデータ登録処理が実行される(ステップ1104)。図13に、分岐候補テーブルの構成を示し、図14に、データ登録処理のフローチャートを示す。図13に示すように、分岐候補テーブルは、先行するステップ403の処理において、一つの候補点に基づき生成された複数の候補点のそれぞれに付与するIDと、該IDに対応付けられた、関連する分岐点の座標を示す座標データ、および、有効距離カウンタの値を示すカウンタデータとを有している。
【0073】
したがって、データ登録処理においては、一つの候補点に基づき生成された複数の候補点のそれぞれに、所定のIDを付与し、該IDに対応付けられたメモリ25のRAMの領域に、これに関連する分岐点の座標データを記憶する(ステップ1501)。なお、このIDに対応するデータは、メモリ25のRAMの所定の領域に記憶される候補点に関連する種々のデータに含まれる。したがって、ステップ1501においては、メモリ25のRAMに記憶された当該候補点に関するデータの所定のビット位置に、IDに対応するデータを与える。
【0074】
次いで、IDをアドレスとするメモリ25のRAMの他の領域に、分岐有効距離カウンタLCの初期値LCinitを記憶する(ステップ1502)。本実施例において、この初期値LCinitは、候補点が高速道路に対応する線分上に存在する場合には、2kmに対応する値、候補点が一般道路に対応する線分上に存在する場合には、500mに対応する値に予め定められている。
【0075】
このようにデータ登録処理を実行することにより、たとえば、図12に示す例において、候補点130に基づき候補点133、134が生成され、候補点132に基づき候補点140、141が生成されたときに、図13に示すように、AというIDを付与された候補点133に関連する分岐点座標データ(X0,Y0)が記憶される。ここで詳細な説明は省略するが、候補点134、140および141には、それぞれ、B、CおよびDというIDが付与されていることが理解されるであろう。
【0076】
さて、図11の処理において、ステップ1101でイエス(Yes)と判断された場合を考える。この場合には、それぞれのIDごとに、分岐候補テーブル中の有効距離カウンタの値が、車両の走行距離Rに対応する値だけ減算される(ステップ1102)。また、あるIDを付与されている候補点に基づき新たな候補点が生成されているときには、メモリ25のRAMに記憶される新たな候補点に関連するデータ中の所定のビット位置に、もとの候補点のIDに対応するIDデータが与えられる。
【0077】
ステップ1102の処理が終了すると、分岐候補テーブルのデータを参照し、有効距離カウンタLCの値が0(ゼロ)以下であるか否かを判断し(ステップ1105)、0(ゼロ)以下である場合には、分岐候補テーブルから、有効距離カウンタLCの値が0以下のID、分岐点座標データを削除する(ステップ1106)。
【0078】
ステップ1102ないしステップ1106の処理を、全てのIDについて実行した後に、前述したステップ1103、場合によっては、ステップ1104が実行される。
【0079】
さらに、図4のステップ408において、その信頼度の値がソートされた候補点を参照し、前回の処理において得られた表示候補点に基づき生成された候補点CAの信頼度trstCAと、候補点CA以外の候補点で、その信頼度の値の大きな候補点CBの信頼度trstCBとを比較する(ステップ1108)。trstCAがtrstCB以上である場合(ステップ1108においてノー(No))には、表示候補点が、候補点CAに決定される(ステップ1109)。これに対して、ステップ1108においてイエス(Yes)である場合には、候補点CAと候補点CBとが同一分岐通過候補点であるか否かを判断する(ステップ1110)。ステップ1110の処理をより詳細に説明すると、図15に示すように、メモリ25のRAM中に記憶された候補点CAおよび候補点CBに関連するデータに含まれるIDデータを参照し、双方について、当該IDをアドレスとするデータが、分岐候補テーブルにあるか否か(ステップ1503、1504)、並びに、候補点CAおよびCBの分岐点座標データが、同一であるか否か(ステップ1505)が判断される。
【0080】
このように、図11のステップ1110でノー(No)と判断された場合、すなわち候補点CAと候補点CBが、同一分岐通過候補点に該当しない場合には、候補点CAの信頼度trstCAに、所定のバイアス値HYShighを加算したものと、候補点CBの信頼度trstCBとが比較される(ステップ1111)。
【0081】
このように、表示候補点から得られた候補点CAに所定のバイアス値を加えるのは以下の理由による。すなわち、表示候補点は、最もその信頼度の高い候補点、すなわち、現実の車両の位置とする信憑性の高い候補点である。したがって、これから得られた候補点の信頼度に、微小な値HYSを加算することにより、表示装置上に車両の現在位置として表示される印(たとえば、図2に示す矢印)が、道路間を移動したり、道路上の前後方向に著しく大きく変化することを防止している。
【0082】
その一方、あまり大きなHYSを与えると、表示候補点の位置が、現実の車両の位置から逸脱している場合には、より好ましい位置に表示候補点を得るまでに時間がかかる可能性がある。したがって、このHYSの値は、方位センサ、道路データの精度などにしたがって調整されている。
【0083】
このステップ1111により、バイアス値HYShighの分だけ、表示候補点から得られた候補点以外の候補点であって、同一分岐通過候補以外の候補点が、新たな候補点として決定される可能性が小さくなる。
【0084】
さて、ステップ1110でイエス(Yes)と判断された場合には、候補点CAの信頼度に、前述したバイアス値HYShighよりも小さなバイアス値HYSlowを加算したものと、候補点CAの信頼度とが比較される(ステップ1112)。
【0085】
すなわち、バイアス値HYSlowの分だけ、表示候補点から得られた候補点以外の同一分岐通過候補点が、新たな候補点として決定される可能性は、表示候補点から得られた候補点CAが表示候補点として決定される可能性よりも、バイアス値HYSlowの分だけ小さい。しかしながら、このバイアス値HYSlowは、バイアス値HYShighよりも小さいため、同一分岐通過候補点の方が、それ以外の候補点よりも、新たな候補点として決定される可能性は大きい。
【0086】
上述したように、ステップ1108、1111、或いは、1112で比較された結果、信頼度若しくはこれにバイアス値が加算されたもののより大きな候補点が、表示候補点として決定される(ステップ1109、1113、1114)。
【0087】
たとえば、図12に示す例において、線分121上の候補点130が表示候補点に該当し、これに基づき得られた候補点134が、前回の処理において表示候補点と決定されている場合を考える。この場合に、ステップ1108ないしステップ1114の処理において、表示候補点134に基づき得られた候補点137の候補点の信頼度と、他の候補点136、138、139、142および143のうち、その信頼度の最も大きな候補点CBの信頼度とが、比較される(ステップ1108)。このステップにおいてノー(No)と判断された場合には、ステップ1110ないしステップ1114に進むが、候補点CBが、候補点136、138或いは139に対応する場合には、図16に示すように、候補点137の信頼度trstにHYSlowが加算されたものと、候補点CBの信頼度が比較され、その一方、候補点CBが、候補点142或いは143に対応する場合には、候補点137の信頼度trstにHYShighが加算されたものと、候補点137の信頼度が比較され、信頼度のより大きな値の候補点が表示候補点と決定される。
【0088】
このように、図4のステップ409の表示候補点決定処理が終了すると、この処理において決定された表示候補点、すなわち、ディスプレイ17上に表示するための候補点の位置、累算エラーコスト、信頼度、マッチング状態であるかフリー状態であるかを示す状態フラグなどが、メモリ25のRAMの所定の領域に記憶するとともに、表示候補点以外の他の候補点の位置、累算エラーコスト、信頼度、状態フラグなども、RAMの所定の領域に記憶される(ステップ410)。なお、本実施例においては、7個の候補点に関連するデータを記憶可能に構成されている。したがって、図4のステップ401ないし408の処理を実行した結果、8個以上の候補点が算出された場合には、これらのうち、信頼度trstの値が大きい順に7個の候補点に関連する種々のデータが、メモリ25のRAMの所定の領域に記憶されることになる。
【0089】
最後に、表示候補点に関連するデータが出力され(ステップ411)、処理を終了する。
【0090】
図4のステップ401ないし410を実行することにより得られた表示候補点は、図17に示すフローチャートに基づく処理によりディスプレイ17の画面上に表示される。
【0091】
本処理は、1秒毎に起動され実行されるマイクロプロセッサ24のルーチンである。
【0092】
最初、スイッチ14が押圧により地図の縮尺の変更を指示されているかを、パラレルI/O21の内容を見て判断する(ステップ1401)。もし、押されていれば(ステップ1401でイエス(Yes))、それに対応して、所定の縮尺フラグを設定する(ステップ1402)。
【0093】
次に、図4の処理を実行することにより得られた表示候補点の位置および方位を示すデータを、メモリ25のRAMの所定の領域から読み出し(ステップ1403)、ステップ1402で切り替えられた縮尺フラグの内容に応じた縮尺の地図をディスプレイ17に、例えば、図2に示すような状態で表示する(ステップ1404)。
【0094】
そして、地図に重畳して、表示候補点の位置およびその方位を、たとえば、先に示した図2のように、矢印記号“↑”を用いて表示する(ステップ1405)。そして最後に、これらに重畳して、北を示す北マークと、縮尺に対応した距離マークとを、図2のように表示する(ステップ1406)。
【0095】
なお、本実施例においては、上記のように矢印記号を用いて車両位置および方向を示したが、車両位置および方向の表示形態は、位置および進行方向が、表示状態が明確に示されるものであれば、その形態は任意でよい。また、北マーク等も同様である。
【0096】
本実施例によれば、表示候補点に基づき得られた候補点の信頼度に、バイアス値HYSを加算し、このバイアス値が加算された信頼度と、他の候補点の信頼度とが比較されて表示候補点が決定されるため、信頼度の微小な変化に基づき、表示候補点が位置する線分が変化し、その結果、ディスプレイに表示される車両の現在位置が、不自然な動きをするおそれを少なくすることが可能となる。
【0097】
また、本実施例によれば、表示候補点に基づき得られた候補点以外の候補点のうち、同一分岐通過候補点に該当する候補点の信頼度と、表示候補点に基づき得られた候補点の信頼度を比較する場合には、その信頼度に、他の候補点と比較する際に用いるバイアス値HYShighよりも、幾分小さいバイアス値HYSlowを加算する。したがって、車両が分岐点を通過した後、何れの道路に車両が位置するかが明らかでないときには、前回の表示候補点が位置する線分以外の線分であって、同一分岐通過候補点が位置する線分上に、新たな表示候補点を生成する可能性が大きくなるため、より正確な車両の現在位置を表示することが可能となる。
【0098】
さらに、本実施例によれば、マッチング状態の候補点から得られた仮想現在位置に関連して、当該候補点が位置する線分、或いは、これに接続された線分を検索するため、仮想現在位置の周辺に存在する全ての道路を検索する場合と比較すると、より短時間で、所望の線分を検索することが可能となる。
【0099】
また、本実施例によれば、マッチング状態の候補点の位置する線分および/または該候補点の位置する線分に接続された線分に沿って、車両の進行距離に対応する長さだけ、前記候補点から進められた位置を候補点とするため、算出された車両の現在位置と実際の車両の現在位置との間の誤差をより小さくすることが可能となる。
【0100】
本発明は、以上の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0101】
たとえば、前記実施例の表示候補点決定処理においては、分岐有効距離カウンタの初期値LCinitの値を、候補点が高速道路に対応する線分上に存在している場合には、2kmに対応する値、また、候補点が一般道路に対応する線分上に存在する場合には、500mに対応する値に設定している。この値は、同一分岐通過候補点に対するバイアス値HYSlowおよびそれ以外の候補点に対するバイアス値HYShighを、表示候補点に基づき得られた候補点の信頼度に与える処理を実行することができる期間を規定している。このように、候補点が一般道路に対応する線分上にある場合と、高速道路に対応する線分上にある場合とで、初期値を変更しているのは、分岐点から延びる複数の道路の間に、明確な形状(道路に対応する線分の形状)の相違が現れる距離が、高速道路の方が大きいことに起因している。しかしながら、このようなしきい値に限定されるものではなく、候補点が高速道路に対応する線分上にある場合に設定される初期値と、一般道路に対応する線分上にある場合に設定される初期値とを同一にしても良いことは明らかである。
【0102】
また、前記実施例においては、分岐候補テーブルに、特定のIDをアドレスとする候補点に関連する分岐点座標データなどを記憶しているが、これに限定されるものではなく、図12および図16に示すように、ある線分が分岐することにより、ある候補点から複数の候補点が得られたときの分岐点が同一であるような候補点が特定されるものであればよい。
【0103】
さらに、本実施例において用いられたパラメータは、例示のために与えられたものに過ぎず、したがって、これらパラメータは、装置の処理速度、車両が走行する道路の種別(例えば、一般道路、高速道路など)にしたがって変更可能であることを理解すべきである。
【0104】
また、本明細書において、手段とは、必ずしも物理的手段を意味するものではなく、各手段の機能が、ソフトウエアによって実現される場合も包含する。また、一つの手段の機能が二以上の物理的手段により実現されても、二以上の手段の機能が一つの物理的手段により実現されてもよい。
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、表示装置に表示される車両の現在位置の不自然な動きを少なくしつつ、より正確な車両の現在位置を算出する現在位置算出システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例にかかる現在位置算出装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】 図2は、本実施例にかかる地図および現在位置の表示例を示す図である。
【図3】 図3は、本実施例にかかる車両の進行方位および進行距離を算出する処理を示すフローチャートである。
【図4】 図4は、本実施例にかかる車両の候補点を算出する処理を示すフローチャートである。
【図5】 図5は、道路に対応する線分、仮想現在位置および候補点を説明するための図である。
【図6】 図6は、本実施例にかかる第1の道路検索処理を示すフローチャートである。
【図7】 図7は、本実施例にかかる道路データの一例を説明するための図である。
【図8】 図8は、本実施例にかかる角度比較処理を示すフローチャートである。
【図9】 図9は、本実施例にかかる垂線距離比較処理を示すフローチャートである。
【図10】 図10は、本実施例にかかる第2の道路検索処理を示すフローチャートである。
【図11】 図11は、本実施例にかかる表示候補点決定処理を示すフローチャートである。
【図12】 図12は、本実施例にかかる同一分岐通過候補を説明するための図である。
【図13】 図13は、本実施例にかかる分岐候補テーブルを説明するための図である。
【図14】 図14は、本実施例にかかるデータ登録処理を示すフローチャートである。
【図15】 図15は、同一分岐通過候補を判断する処理を示すフローチャートである。
【図16】 図16は、表示候補点決定処理における信頼度およびバイアス値を説明するための図である。
【図17】 図17は、本実施例にかかる現在位置表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 現在位置算出装置
11 角速度センサ
12 方位センサ
13 車速センサ
14 スイッチ
15 CD−ROM
16 CD−ROM読み取りドライバ
17 ディスプレイ
18 コントローラ
Claims (5)
- 車両の現在位置を算出する現在位置算出システムであって、
車両の進行方位を検出する方位検出手段と、
車両の走行距離を算出する距離算出手段と、
前記進行方位および前記走行距離に基づき得られた相対変位と、車両が何れかの道路上に位置する状態、或いは、車両が道路上に位置しない状態を示す候補点とに基づき、車両の現在位置であると予想される仮想現在位置を生成する仮想現在位置生成手段と、
前記仮想現在位置と、地図データに含まれる道路データに含まれる道路方位を示すデータとに基づき、当該道路データに対応する道路上に車両が存在することを示す候補点を生成する候補点生成手段と、
前記候補点に対応する道路上の位置に、車両が存在する信憑性を示す信頼度を算出する信頼度算出手段と、
前記候補点の信頼度を比較し、該比較した候補点の中から1つの候補点を、車両の現在位置を示す表示候補点と決定する決定手段と、を備え、
前記決定手段は、
前記表示候補点に基づき得られた候補点を第1候補点とし、前記表示候補点以外の候補点から得られた候補点の中で最も大きな値の信頼度を持つ候補点を第2候補点として、前記第1候補点の信頼度と第2候補点の信頼度とを比較し、
前記第1候補点の信頼度が前記第2候補点の信頼度より大きい場合に前記第1候補点を次回の表示候補点と決定し、
前記第1候補点の信頼度が前記第2候補点の信頼度より小さい場合、前記第1候補点の信頼度にバイアス値を加算した値と当該第2候補点の信頼度とを比較し、当該第1候補点および第2候補点のうち値が高い方を次回の表示候補点と決定すること
を特徴とする現在位置算出システム。 - 請求項1に記載の現在位置算出システムであって、
前記決定手段は、
前記第1候補点の信頼度が前記第2候補点の信頼度より小さい場合、
前記第2候補点が、車両が分岐点を通過した後、所定の距離を走行する間に算出され、かつ前記表示候補点と同一の前記分岐点を持つ道路上の候補点から得られた分岐候補点である場合に前記バイアス値として第1の値を加算し、
前記第2候補点が前記分岐候補点以外の場合に前記バイアス値として第1の値より大きい第2の値を加算すること
を特徴とする現在位置算出システム。 - さらに、候補点が高速道路上に位置する場合には、前記所定の距離に、第1の距離を与え、その一方、候補点が一般道路上に位置する場合には、前記第1の距離より小さな第2の距離を与える距離付与手段を備えたこと
を特徴とする請求項2に記載の現在位置算出システム。 - 前記決定手段が、ある候補点に基づき複数の候補点が生成された際の前記複数の候補点のそれぞれを特定する第1のデータと、
前記第1のデータと対応付けられ、前記ある候補点が位置する道路と、前記複数の候補点が位置する道路との分岐点を示すとともに、前記第1のデータと対応付けされた第2のデータとを記憶する記憶手段を有し、
前記第1のデータおよび前記第2のデータにしたがって、前記分岐候補点を特定すること
を特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の現在位置算出システム。 - 車両に搭載され、該車両の現在位置を算出する現在位置算出システムが行なう現在位置算出方法であって、
前記現在位置算出システムは、
車両の進行方位を検出するステップと、
車両の走行距離を算出するステップと、
前記進行方位および前記走行距離に基づき得られた相対変位と、車両が何れかの道路上に位置する状態、或いは、車両が道路上に位置しない状態を示す候補点とに基づき、車両の現在位置であると予想される仮想現在位置を生成するステップと、
前記仮想現在位置と、地図データに含まれる道路データに含まれる道路方位を示すデータとに基づき、当該道路データに対応する道路上に車両が存在することを示す候補点を生成するステップと、
前記候補点に対応する道路上の位置に、車両が存在する信憑性を示す信頼度を算出するステップと、
前記候補点の信頼度を比較し、該比較した候補点の中から1つの候補点を、車両の現在位置を示す表示候補点と決定するステップと、を行い、
前記決定するステップは、
前記表示候補点に基づき得られた候補点を第1候補点とし、前記表示候補点以外の候補点から得られた候補点の中で最も大きな値の信頼度を持つ候補点を第2候補点として、前記第1候補点の信頼度と第2候補点の信頼度とを比較し、
前記第1候補点の信頼度が前記第2候補点の信頼度より大きい場合に前記第1候補点を次回の表示候補点と決定し、
前記第1候補点の信頼度が前記第2候補点の信頼度より小さい場合、前記第1候補点の信頼度にバイアス値を加算した値と当該第2候補点の信頼度とを比較し、当該第1候補点および第2候補点のうち値が高い方を次回の表示候補点と決定すること
を特徴とする現在位置算出方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP14367395A JP3682091B2 (ja) | 1995-06-09 | 1995-06-09 | 現在位置算出システムおよび現在位置算出方法 |
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1995
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